[エンタメコラム] 伝説となったドラマ「若者のひなた」 その4

「若者のひなた」のあらすじをご紹介します!



「若者のひなた」は韓国の定番のメロドラマで、主人公の裏切りと破滅を描いた単純明快なものです。


 


炭鉱村で育った貧乏な青年が成功を夢見て超難関の国立ソウル大に進学→自分の出世を願い貯金をはたいてくれた恋人を裏切り、金持ちのお坊ちゃまに近づいて親友となり、その双子の妹と婚約→3年後、婚約者の父に会社経営の跡取りとして認められるほどになり、留学までさせてもらう→彼の出世を願う献身的な元恋人は彼の子供を産みひとりで育てている→4年後、結局すべてがばれて婚約解消、破滅へ……。


 


しかし、もうちょっと踏み込んで詳しく話そうとした瞬間、「このドラマってこんなに生き生きした内容だったんだ~」と感心せずにはいられなくなります。炭鉱村からソウルに出てきた若者の暮らし、ソクジュのようなお金持ちの暮らし、周辺人物のもろもろのエピソード、お金がある人もない人もみんなそれぞれ悩みがあり、「成功」の基準もそれぞれ違うため、それぞれの葛藤があり……このような細かいパズルのピースがひとつになることで、単純なメロドラマが不滅の名作へと生まれ変わっていきました。どんな苦しみも、温かく包み込んでくれる家族や友人のおかげで克服できるというエピソードがあちこちに散りばめられていて、「ドラマ」というより、身近な人の話かと思えるほど親近感が沸いてきます。


 


改めてあらすじを紹介しましょう。ソウルオリンピックで国中が騒然としていた1988年、ある炭鉱村で国立ソウル大学に合格したインボムのお祝いパーティーが開かれます。若いころに夫を亡くし、喫茶店(といってもいわゆるスナック)を営む母にとって秀才のインボムは自慢の宝であり、プライドでもあります。水商売と陰で軽蔑されながらも、インボムがいるからこそチャヒの家族にも大きな顔をしていられるからです。


 


彼の恋人のチャヒは、彼が合格したことをインボム本人ではなく、インボムの母が営む喫茶店の貼紙で知ってがっかりします。一方、インボムの弟インホがチンピラと喫茶店で働く女の子と三角関係になり、チンピラを刺して逃げたため、パーティーは台無しになります。


 


その時ソウルでは、ソクジュの合格祝いパーティーが盛大に開かれます。ソクジュは進学を望んでいた映画学校ではなく、化粧品会社を経営する父のすすめで経営学を受験するしかなかったので、ソウル大学に合格したものの嬉しく思ってはいません。


 


さて、男装した女スリのヒョンジは、警察から逃げるためソウルにやってきたインホのサイフを盗み、それが原因となってインホは逮捕されます。インボムの大学入学金はインホの釈放のための和解金に消えてしまい、インボムは途方に暮れます。


 


チャヒは知能が7歳のまま大人になってしまった弟のために、母が貯めていた貯金を持ち出し、インボムに渡します。そのお金を持ってインボムは始発の汽車に乗り、ソウルへ向かいます。


 


インボムは教室で出会った御曹司のソクジュに近づき、親友になります。ソクジュの双子の妹ソクランは田舎者のインボムを無視し、インボムもわざとソクランに冷たく当たります。が、インボムとソクランのあいだには少しずつ微妙な感情が芽生え始めます。


 


インホの和解金のために全財産をはたいてしまったインボムの母は、喫茶店があるビルの大家に面倒を見てもらう代わりに不倫関係となります。釈放されたインホはその現場を目撃し、大暴れしたあと、ソウルへ逃げます。インホは自分のサイフを盗んだスリ団を見つけ出し、ヒョンジと再会。ヒョンジにスリの仕方を教えてもらい、自分もスリ団の一員としてソウルで生活を始めます。インホは、男だと思い込んでいたヒョンジが実は女性だったことを知り、驚きます。


 


家族を養うため炭鉱で経理事務員として働くチャヒは、インボムの手紙だけが楽しみです。小説家を夢見る文学少女の妹ジョンヒは、チャヒの名前でエッセイを応募し当選、チャヒは代わりに原稿料を受け取るためソウルへ行くことになります。インボムに会えると胸をときめかせるチャヒの姿に、チャヒに想いを寄せるユンベは胸が痛みます。ユンベは炭鉱で働きながらボクシングの世界チャンピオンを夢見る誠実な青年で、インボムの親友でもあります。


 


インボムを訪ねてソウル大学まで行ったチャヒはやっとの思いでインボムと再会しますが、教授のアシスタントとしてソクジュの会社の研究員になったインボムは、ゆっくりしていられませんでした。インボムに会えると張り切っていたチャヒは落ち込み、終電の汽車に乗り込みます。そこへインボムが現れ、出発直前の汽車の中でふたりは再会し、インボムの部屋で一夜をともにします。


 


インボムは、ソクジュの父の前で研究員として働きながら得た化粧品の知識を披露します。これはすべて計算された行動でした。ジンミ化粧品の会長であるソクジュの父はインボムを気に入り、ソクランもインボムを見直します。


 


ヒョンジは、入院している母の病院代をかせぐためにスリをしていました。彼女と母を捨てた男は、今はソクジュの父です。死にかけている母のために、最後に一度でも会ってくれるよう頼みますが断られ、ヒョンジはジンミ化粧品一家への復讐を誓います。そのためスリ団と決別し、暴力団に身を置きます。それはインホにとっても不幸の始まりでした。


 


一方、ユンベのところに、昔ボクサーの夢を与えてくれたコーチがやってきます。ソウルで一緒に再起してみないかと誘われたものの、コーチに全財産を詐欺で奪われてしまいます。それでもコーチを信じて、ユンベは世界チャンピオンに向けて走り出します。


 


故郷にひとり残されたチャヒは、インボムが自分の母の誕生日には炭鉱村に戻ってくるだろうと期待しています。インホもインボムを訪ね、母に渡してほしいとお金を預けます。しかしインボムは、葛藤しながらもソクジュ、ソクランと一緒にヨット旅行へ出かけます。インボムはヨットの上でソクランに無理やりキスし、彼女との距離を縮めることに成功します。


 


ユンベに会ったインホはインボムが故郷に帰らなかったことを知り、自分だけでも母の誕生日を祝ってあげようと炭鉱村に行きますが、目に入ったのは酔っ払って寝ている母と不倫相手の姿でした。インホは、ユンベのコーチが博打をやめてボクシングに戻るためにお金が必要だと言っていた話を思い出し、アルバイトのつもりで炭鉱村のチンピラに力を貸します。


 


ヨット旅行から戻ったインボムは、里帰りするつもりで買っておいたチャヒと母へのプレゼントを持って衝動的に夜行列車に乗ります。インボムから指輪を贈られたチャヒは感動の涙を流します。そのとき、インボムが突然故郷に戻ったという話を聞いたソクジュは、インボムを追いかけます。炭鉱村でソクジュは、インボムが自分の生い立ちなどについてずいぶんとウソをついていたことを知ります。インボムは母と不倫相手の妻が罵りあいながら喧嘩をしている場面を目撃し、もうここには戻らないことを決意します。


 


インボムがソウルに行ってしまってから、チャヒはつわりを経験します。ソクジュに自分のウソがばれてしまったのではないかと気を揉んでいたインボムは過労で入院し、チャヒはその報せを聞いてソウルへやってきます。妊娠を疑うインボムにチャヒはウソをつきます。それでも隠しているのはいけないと思い戻ってきたチャヒは、インボムとソクランが車の中で抱き合っているところを目撃します。愛するインボムの出世のために、チャヒは身を引くことを決意します。一方、闇の世界に身を置くようになったインホは、対抗する組織にいるヒョンジの手助けをするため、炭鉱村のチンピラ達を裏切り暴力を受けます。


 


それから3年が経ち、インボムは徴兵を終えてソクラン、ソクジュと一緒にアメリカ留学の準備を始めます。家族にも知らせず子供を産んだチャヒはシングルマザーとなり、ホテルの電話交換手として働いています。


 


インホはチンピラに暴力を振るわれたことがきっかけで記憶喪失になりますが、再び事件を起こして刑務所に入り、ヒョンジは彼を待つことになります。アジアチャンピオンになったユンベはチャヒを探し出し、一度告白しますが、チャヒにその気がないことを知ると兄として見守ることを誓います。チャヒは父の臨終にも立ち会うことができず、ジョンヒはそんな姉を憎みます。


 


インボムが留学を終えて戻ってきた4年後、ソクランとインボムは婚約し、結婚の準備を急いでいます。ソクジュはこっそり映画監督になるための勉強をしてましたが、映画賞を受賞したことで父が知るところとなり、勘当されてしまいます。チャヒは小さなお店を営み、ヒョンジは化粧品の流通を牛耳るようになり、ジンミ化粧品の営業を妨害することで復讐を始めます。ヒョンジを愛する暴力団のボスは、ヒョンジがインホに想いを寄せていることを知り、インホを殺そうとします。それをかばおうとしたヒョンジは頭を殴られ、脳に損傷を受けて車椅子の生活を余儀なくされ、インホはヒョンジに一度も愛していると伝えることができないまま死んでしまいます。


 


小説の公募で入選し小説家として注目されるようになったジョンヒは、雑誌の仕事で新人監督のソクジュをインタビューしてきてほしいと頼まれ、ふたりは再会します。実は高校生のとき、インボムを訪ねてきたソクジュを見てジョンヒは胸がときめいたことがあったのでした。また、ジョンヒが通信制の大学に通っていたころ、ハキハキと自分の意見を言うジョンヒの姿にソクジュは胸がときめいたことがありました。そして3度目の出会い。ソクジュはジョンヒの小説「鉱夫の娘」の映画化を提案します。そしてジョンヒからこの小説は姉の話であると聞かされ、インボムが従妹だといっていたチャヒが実は恋人で、子供までいることを知ります。


 


インボムもチャヒに子供がいることを知りますが、いまさらあとには戻れないとソクランとの結婚を強行しようとします。そのころソクランは、インボムの母に会い失望します。育ちが違いすぎることから、結婚に不安を感じ始めるのです。そこへインボムに隠し子がいることがばれ、ソクランは婚約を破棄してインボムを忘れるために留学を選びます。


 


ソクジュは映画の撮影のために炭鉱村へ行き、タイトルを「若者のひなた」に変えたとジョンヒに伝えます。ふたりはなんだか恋人になりそうなムードです。ソクランにも捨てられ、ソクランを踏み台に手に入れた地位も失ったインボムが、ソウル大学でソクランやソクジュと出会ったころの野望に燃えていた自分を思い出しているところでドラマは終わります。


 


以上が「若者のひなた」のストーリーです。次回は、さらにこのドラマの魅力に迫ります!


ニッコリア
Cho!エンタメコラム
http://ni-korea.jp/cho/index.php?id=090727#leftblock

韓方化粧品大好き! その効果には驚きます!

私が「韓方化粧品大好き! これはすごいよ~」などと、あちこちですすめるようになったのは、憧れの女優さんが愛用していると聞いて、韓国売上ナンバーワンブランドだと言われる「雪花秀(ソラス)」の20万ウォンの滋陰生(ジャウムセン)クリームをどかんと大人買いしたのがきっかけでした(雪花秀はロッテ免税店やロッテ百貨店1階で販売されています。2009年7月現在、滋陰生クリームの60mlのものが、ロッテ免税店では131USドル、ロッテ百貨店では20万ウォンです)。


高麗人参の香りがけっこう強い琥珀色のクリームに戸惑いながらも、どれどれ~と顔にたっぷり塗ってみると……。へ~~! 柔らかいクリームなのに、肌に塗った瞬間ぐんぐんしみ込んでしっとり+さらさらではありませんか。韓方化粧品は成分は良くても「ベトベトしていて、香りもキツそう~」という先入観がありましたが、そんなこと全然ない! 高麗人参の香りもどことなくローズマリーの香りに似ていて、す~っと鼻呼吸がしやすくなるようなアロマ効果があって、やみつきになります!


そして、次の日の朝起きてみると……キャ~、ほうれい線が目立たなくなってる~! 目じりのしわよりも歳をとって見えるほうれい線が悩みで、いろいろなクリームやパックを試していましたが、こんなに劇的に効果があったのは初めてです。真夏でも真冬でも、べとついたり物足りなかったりすることなく、いつも肌を元気にしてくれるところはさすが!


滋陰生クリームは、「2000年に発売されてから300万個以上売れた韓国を代表するベストセラー」などとよく雑誌にも紹介されていますが、売れるには理由があるんですね。それに雪花秀は韓国のデパート売上No.1! シャネルやランコム、クリスチャンディオール、エスティーローダーといった世界でも有名なコスメブランドを押しのけ、韓国でここ5年ほど売上トップを維持しているコスメブランドです。


ロッテ百貨店の1階にはコスメカウンターがずらりと並んでいますが、いつも大混雑しているのが雪花秀! 次から次へお客さんがやってきては指名買いしていくので、ゆっくりお肌の相談なんてできやしないところは残念です。そのぶん、リピーターの多いすごいブランドということなんでしょうね。


雪花秀の化粧品は化粧水も美容液も石鹸もぜんぶ! 絶対後悔しないよ~~と太鼓判を押したくなるものばかりですが、隠れたマイブーム! ヒットアイテムがこれ! 「玉容パック(オギョンパック)」です。古くなった角質を吸着して取り除いてくれる強力なパック! 薬剤をすりつぶしてそのままパックにしたようで、香りも濃厚で微粒子が含まれているんです。私も週に1度はたっぷり塗って思いっきりはがしています。


本当はやさしくはがさないといけないのだけれど、肌に吸いつく快感がたまらなくて~。一気にぺろ~っとはがしています。トホホ……。玉容パックのあとは、スクラブ洗顔したときよりも爽快! 伊勢丹デパートで販売しているアモーレパシフィックのライブブライトエンザイムピール(パウダー洗顔)とのダブル使用で、毛穴の黒ずみやブツブツが一気になくなるんです。しかも肌に刺激はまったくないので、何度リピートしたことやら!(2009年7月現在、玉容パックは150mlのものがロッテ免税店では26USドル、ロッテ百貨店では4万ウォン)


ネットで検索してみると、日本の有名モデルや女優さんのブログや本にも「雪花秀」は結構紹介されているんですね。日本ではまだ正式に発売されてないのに、びっくりしました。


「雪花秀」のほかにも韓方化粧品はたくさんあります。おすすめは、ロッテ百貨店やロッテ免税店で買うならイ・ヨンエさんがモデルの「后」(フー)、お手頃価格のものなら明洞(ミョンドン)のロードショップやロッテマートで買える「韓律」(ハンユル)、「多娜嫺」(ダナハン)、「秀麗韓(スリョハン)」などです。どれも大手メーカーから発売され長年愛されているブランドなので、安心して使えます。


「后」はスキンケアもいいけれど、純金と真珠入りの韓方リップグロスがとってもキレイ! パールの輝きが違うので、デパートや免税店に行くことがあればテスターで試してみてください!


しかし、私がいつも悩むのは何を買うかというよりも、どこで買うか、ということ。


ロッテ百貨店の1階で買うと、おまけのサンプルキットやポーチなどがたくさんもらえます。しかもプロモーション時期によっては、有名デザイナーが手がけた工芸品やバッグがもらえたり、お買い上げ金額20万ウォンごとに1万ウォンのロッテ商品券がキャッシュバッグされたりと、いたれりつくせりです。


ロッテ免税店で買うと、もちろん免税なので約10%ほど安くなります。ロッテ免税店のVIPカードを持っているとさらに割引+クーポン割引もあるので、この組み合わせをうまく使えば約15~20%ほど安くなります。その代わりおまけはデパートより少ないんです(免税店は海外へ出国する人が利用するので、その場で受け取ることはできません。団体ツアーでガイドさんと一緒の場合、VIP割引は適用されない場合もあります)。


値段が安いほうを選ぶ? おまけがたくさんあるほうを選ぶ? いつも悩みます! みなさんはどっちがいいと思います?



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雪花秀の最高級クリーム「珍雪(チンソル)」。60ml38万ウォン。韓国西海岸の生命力あふれる赤松から抽出した成分を配合して老化をストップ! 肌をふっくらと生き返らせてくれます。肌に密着しつつ、さらっとしている使い心地はさすが~。












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    后の「還幼硬(ファンユゴ)」は韓国コスメ業界最高価格、60ml 68万ウォンのクリームです。パッケージも超豪華! 韓方医とLGの化粧品研究所が3年の歳月をかけて、最上級の韓方薬剤を使って研究を重ねた魂のこもったクリームです。












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    Amorepacificのライブブライトエンザイムピール。一度洗うだけでお肌つるつる! 肌色がワントーン違って見えるんです! 驚異のパウダー洗顔として個人的に超おすすめ!












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    韓国版「花より男子~Boys Over Flowers」のク・ヘソンさんがモデルです。「ヒョヨンゴクリーム」はアンチエイジングと美白を同時に狙うお肌のための韓方薬。50ml8万ウォンです。









    by: 趙章恩

    2009年08月10日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!
  • 人気アイドルの芸能界追放騒動、書き込みは災いの元?!

    アメリカのオバマ大統領が9月8日、バージニア州の高校生達に「フェイスブックに書き込みをする時は注意しなくてはならない。何を書き込もうと自分の未来に影響を与えるだろう」と警告し話題になったことがある。

     同じ日、まさにオバマ大統領の予告通りの問題が韓国で発生した。韓国で絶頂の人気を誇る男性アイドルグループ「2PM」のメンバーの一人が、デビュー前SNSサイトに書き込んだ文章が発端となり、グループを脱退、芸能界から追放されてしまったのだ。


     アメリカで生まれ育った彼はまだ18歳だった2005年、誰一人知り合いのいない韓国で歌手としてデビューするためトレーニングを受けていた。その当時の苦しい心情を、アメリカのSNSサイト「マイスペース」に「韓国なんて嫌いだ」という表現で一言残した。それが4年後、ネットユーザーに見つかりマスコミに報道されてから大問題となった。マスコミは大々的に「韓国卑下発言」という見出しで騒ぎ立てた。それを見た人々は動揺し、「韓国が嫌いならアメリカに帰れ」とバッシングが始まったのだ。そして9月8日、彼は家族のいるシアトルに帰国した。絶頂から奈落へ落ちるのに3日もかからなかった。





    SNSサイトでのデビュー前の発言が問題となりグループを脱退した「2PM」のメンバー「ジェボム」のグループ脱退撤回を求めるファン達が新聞に掲載した広告


    数日前も、「ここが変だよ日本人」と同じコンセプトのテレビ番組、「美女のおしゃべり」に出演しているドイツ人の女性が、自国で韓国を卑下する内容の本を出版したとして一騒動巻き起こったことがある。しかし、彼女の本は韓国で生活しながら体験した、文化の差による苦しさを表現しただけだった。間違がった翻訳で韓国卑下本を出したと騒いだブロガーの書き込みを、ネット新聞が確認もせず書き写し記事にしたのが問題だった。過去、韓国のテレビによく出演し、「韓国好き」発言で人気を得て大学の教授にまでなったのに、自分の国では韓国の歴史を歪曲して面白おかしく書き立てた本を出版した日本人がいたことから、「もしかして!」と騒がれたが、ドイツ人女性は無罪(!)が判明されテレビ出演も続けている。

    このような前例があったからとはいっても、韓国のことを少しでも悪く書くと「韓国卑下」と騒ぎ立てるマスコミに対して、韓国に住んでいる外国人らは「あり得ない」、「怖い」と反応している。「韓国に住んでいるからといって、韓国を好きにならなくてはならないのか?これは人権にもかかわる重要な問題である」といった反発を起きている。


     芸能人の間では、「ネットの魔女狩りがまた始まった」と反発の声も上がっている。一部ネットユーザーの書き込みが世論であるかのように書き写すマスコミ、それを見て興奮しさらに書きたてるネットユーザーによって、何でもないことが大事件として膨れ上がる傾向があるのは確かだ。さらに、一部ネットユーザーの極端な愛国主義こそ問題であるという専門家の指摘もある。


     SNSサイトは知人達とコミュニケーションするための個人的な場ともいえるが、いつでも誰でも見られるという点では公共の場ともいえる。韓国が好きとか嫌いとか、それぐらいは十分、表現の自由として容認できる範囲と思うのだが、トップの座にいたアイドルだっただけに世間の目は厳しかった。


     韓国のネットユーザーの6割以上が自分のブログやSNSサイトを持っていて書き込みをしている。アンケート調査によると、企業の人事担当者32%は、社員採用の際、求職者のブログやSNSサイトをチェックしているという。個人的な感想一言が、数年後どんな問題になるか分からない。損害賠償訴訟を起こされた人もいる。表現の自由もあれば責任もあるということだが、もう少し包容力のある見方をしてもいいではないか。

    (趙 章恩=ITジャーナリスト)

    日経パソコン
    2009年9月17日

    -Original column
    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090916/1018636/

    最終回:ついに始りました!驚きの連続~ペ・ヨンジュン主演『太王四神記』







    最終回
    ついに始りました!驚きの連続

    ペ・ヨンジュン主演『太王四神記』

    2007年9月21日


     いつかいつかと世界中のヨン様ファンが首を長くして待った超大作ファンタジー歴史ドラマ『太王四神記』がついに韓国で放映開始となった。チャンネル11番、MBCより9月10日予告スペシャルのドラマ全般解説から始まり11日~13日に3話連続放映という太っ腹サービスで幕開けとなった「テワンサシンギ(太王四神記)」、略して「テサギ」は韓国でも今年最高の、いや歴代最高のドラマとして早速視聴率がぐんぐん伸びている。







    太王四神記 (c)iMBC ※ クリックで拡大

    ●済州道の野外セットはテーマパークに

     2003年に企画され、男物のドラマを作らせたら右に出るものはいないとされるキム・ジョンハク監督にペ・ヨンジュンがパートナーとして参加し、2006年3月に撮影開始、事前製作を目指したのだが2007年9月時点、未だ撮影は続いている。

     放映が6回も延期されたのは撮影に手間のかかる時代劇であるのとCG作業が重要な役割を占めるファンタジーであることが原因だが、「ソン・ジナ作家とヨン様の意見対立で撮影中止に」という報道もあった。真偽のほどは明らかではないが、その後作家が一人追加された。製作発表当時は映画「ロードオブザリング」のCGチームが参加するということだったが、台本が出るのが遅れてしまい、1年以上も韓国に滞在していたが、結局1コマもCGを作ることなく帰国してしまったそうだ。もったいない。

     済州道(チェジュド)に完成した大型野外セットは8月まで無料公開され大繁盛、まだ撮影が続いているため一般公開は難しいが、撮影が終了したらテーマパークとして公開するという。同じく高句麗を背景にしたドラマ「朱蒙(ジュモン)」の野外セットだった全羅南道の羅州(ナジュ)にある三漢志テーマパークや、ソウルから近い九里市にあるデジャンガンマウル(鍛冶屋村)でも撮影が行われている。そのため9月22日からのお盆連休には家族連れでロケ地巡りを計画しているファンも多い。野外セット場は韓国の三国時代の歴史を学べる場所でもあるので、子供を連れて行きたいスポットとして人気が高いとか。


    視聴!<太王四神記>

     太王四神記』(MBC、毎週水木・夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。
     MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは
    第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。
     なお、
    壁紙場面写真も公開されている。



    ●韓国の建国神話と高句麗19代目の王様の歴史がモチーフ







    太王四神記 (c)iMBC ※ クリックで拡大
     『太王四神記』のストーリーは韓国の建国神話と高句麗19代目の王様の歴史をモチーフにしている。主人公ダムドク(談德)は韓国歴代王様の中でもっとも勇敢で領土を中央アジアにまで拡張した「広開土大王(グァンゲトデワン)」、日本では「好太王」と記録されている人物だ。名前から察しがつくように、ヨン様が演じる広開土大王は韓国の歴史上もっとも韓国の領土と勢力を拡大させた王様だった。高句麗の領土を韓国歴史上最大規模である今の中国吉林省にまで拡大して最盛期を迎える。

     中国は高句麗の遺跡の多くが元々高句麗の領土だった中国に残っているのをいいことに、高句麗は中国の歴史、『太王四神記』は中国の歴史を改ざんしていると主張し、遺跡周辺での撮影を拒否し、高句麗の歴史を中国の世界遺産として登録申請している。ヨン様のドラマは日本では待ちに待った待望の大作だが、中国では目の敵のような作品扱いをされていて、外交問題にまでなろうとしたほど。

     ドラマの物語は三国時代の高句麗から始まる。登場人物の生まれ変わる前の因縁や四神を説明するため神話の時代に戻り、生まれ変わってからの子供時代から話が始まる。ダムドク(神話時代ではファンウン)とスジニ(神話時代ではセオ)、ソギハ(神話時代ではガジン)姉妹の三角関係と、ダムドクがジュシンの王様として領土を取り戻すまで彼を守護する四神の生まれ変わりである個性的なヒョンゴ、ジュムチ、チョロの活躍、ダムドクを慕う貴族からライバルへとなるしかなかったヨンホゲのソギハへの想いと苦悩も、ストーリーをひっぱる大きな軸となっている。

     ジュシン(肅愼)というのは、韓国の建国神話と関連がある。天から天符印として青銅剣、青銅鏡、青銅鐘の3つを持って3,000人でこの世へやってきた桓雄(ファンウン)が、太白山の周辺に神市を作った。そこへ熊と虎がやってきて、人間になりたいと願った。ファンウンは100日間洞窟の中でにんにくとヨモギだけを食べれば人間になれると言った。それに耐えられなかった虎は途中で逃げてしまうが、熊は最後まで耐えて女に生まれ変わる。ファンウンは熊女と結婚し、今の韓民族の先祖となる。

     ドラマではファンウンがヨン様、熊女がセオでありその後のスジニ、虎がガジンでその後のソギハという設定で、ファンウンはガジンが持つ火を操る力(紅色の玉ネックレス)を奪いセオに渡す。嫉妬したガジンはセオが産んだファンウンの子を崖から投げ落とす。怒りに燃えるセオは、真っ赤に燃える黒朱雀となり、その怒りを静めるために残りの三神がこの世に登場する。ファンウンは自らの手で黒朱雀になったセオを殺し、セオのネックレスをはじめ四神の力が込められた神物を聖なる木の下に封印する。

     ファンウンはジュシンの王様が生まれる日、星は光り神物はそれを告げてくれると予言する。神物は高句麗や百済の家で代々命より大事な物として守られてきた。そしてダムドクが生まれた日、神物はそれを告げ、虎族の後継で闇の王国建設を狙うデファチョンフェ(大和天会)は神物を手に入れようと動き出す。


    ●“ヨン様の恋人”に注目が集まる

     予告スペシャルでは、ヨン様よりもスジニ役の新人女優イ・ジアに視線が集中した。“ヨン様の恋人”を演じる相手役を選ぶために30回以上もオーディションを繰り返し、撮影が開始されてから1年6か月以上経ってやっと決定したほど、スジニ役選びは難航した。だが監督は演技経験のまったくない、グラフィックデザイナーを目指してアメリカに留学中だった26歳のイ・ジアを一目見た瞬間「この子はいける!」と惚れ込んだそうで、ヨン様と同じBOFの所属となり撮影に挑んでいる。

     神話時代の髪の長いセオを演じるシーンではとてもきれいで、一瞬チェ・ジウに似ていると思ったが、古代の髪の短いスジニのシーンではまた別人のようでビックリ。放映早々ヨン様よりもイ・ジアのほうが、ネットで検索キーワード上位になったほど、シンデレラ誕生間違いなし。

     もう一人驚いたのはチェ・ミンス。大和天会の首長を演じる彼のカリスマは画面を通り越して鳥肌が立つほど。いつもはすごい老人なのに魔法で若く見えるようにしているという設定なので、最初はあの老人がチェ・ミンス? とひっくり返るほどの特殊メイクもすごかった~。

    ●豪華なCGを使ったハイビジョン映像は感動モノ

     映画より豪華なCGを使ったハイビジョン映像は感動の一言だ。ファンタジー映画とはあまり縁のなかった人でも、これは手が込んでいるな~と実感できるはず。神話の場面では、白髪に長髪のヨン様の姿が映画「ロードオブザリング」のガンダルフっぽいことから「ヨンダルフ」ともいわれたが、スジニとソギハの関係を説明するためには重要な場面なので笑ってはいけない。

     CGが多くて一瞬オンラインゲームのようでもあり、アニメのようでもあるが、そこが逆に新鮮だ。物語りも複雑だから集中して(登場人物をメモったりしながら)観ないといけないので、1時間があっという間に過ぎてしまう。3話連続放映のあとに再放送でまた観てしまったが、観るたびに新しい発見があってよかった~。子役の演技も安定していて、脇役もしっかりしているから、観るたびに「このセリフは後でこういう仕掛けのためかな?」なんて分析してみたり、街の風景や衣装、小物にまでもすごく細かいところまで手が行き届いているから目がぐるぐる回ってしまう。

     これから本格的にスジニ(朱雀)、ヒョンゴ(玄武)、ジュムチ(白虎)、チョロ(青竜)の四神が登場する。「いつも僕のそばにいて。振り返ったら見えるよういつもそこにいて」とダムドクが告白した初恋のソギハではなく、なぜスジニに惹かれるのか、ライバルのヨンホゲはどんな妨害作戦でダムドクを苦しめるのか、どうやってジュシンの王になるのか、今後の展開から目が離せない!

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    RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情 
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    衛星か,地上波か競争激化する携帯端末向けテレビ放送 ─韓国編─

    衛星か,地上波か競争激化する携帯端末向けテレビ放送 ─韓国編─


    趙 章恩(チョウ・チャンウン)
    ITジャーナリスト


     このごろ,地下鉄に乗ると携帯電話機の画面をのぞき込んでほぼ同じタイミングでニヤニヤしたり,深刻になったりしている人たちを頻繁に見かけるようになった。事情を知らない人にとっては異様な光景に映るかもしれないが,地下鉄で「DMB(digital multimedia broadcasting)」を楽しむのは,韓国ではもはや当たり前になっている。DMBには人工衛星を使う「衛星DMB」,地上波を使う「地上波DMB」の2種類がある。いずれも携帯端末向けのテレビ放送で,前者は日本のモバHO!,後者はワンセグに相当するサービスだ。


     韓国では,携帯電話はいつでもどこでも通話ができなければ意味がないと考えられている。このため,地下鉄で携帯電話機をマナーモードに切り替えるどころか,車内でも大声で話している人をよく見かける。同様に,日本と違って衛星DMBや地上波DMBも地下鉄で視聴できる。地下鉄の駅構内の片隅には,韓国の携帯電話事業者であるSK Telecom Co., Ltd.やKT Freetel Co., Ltd.(KTF社),LG TeleCom Ltd.のギャップフィラー(電波中継器)が設置されている。


    続きは日経エレクトロニクス(2007年4月16日号)で

    子供の安全を守れる社会システムとなるか? ITフル活用のソウル市施策

    韓国ソウル市は小学校周辺の監視カメラとセンサーを利用し、子供たちの学校出欠、危険地域への立ち入りなどをチェックして保護者の携帯電話に知らせ、いつでも子供の居場所をソウル市のウェブサイトで確認できる「ユビキタスソウル安全ゾーン」を始める。2009年9月よりソウル市内の2箇所の小学校で600人を対象に実験サービスを開始し、利用方法や活用方案などの標準モデルを制定し、ソウル市25区全域に拡大させる。




    「ユビキタスソウル安全ゾーン」のサイト

    位置情報確認のために子供にUSIM内蔵携帯電話または位置追跡機能のあるネックレス、腕時計型電子タグを持たせ、学校周辺半径200M以内の位置情報が周期的にSMSで保護者の携帯電話に送信される。子供の位置情報は行政機関と警察も確認できるようにする。

     学校や塾などで個別に子供の出欠を位置情報でチェックし、保護者の携帯電話にメッセージを送信するサービスは提供されてきたが、自治体が乗り出して子供の安否を確認できる位置情報サービスを提供するのは初めてのことである。


     位置情報を利用するため、保護者が同意した場合だけ利用できるようにした。子供が危険な状態と思われる場合は、ソウル総合防災センターまたは警察に連絡し、監視カメラで確認してもらうこともできる。今後サービスをお年寄りや障害を持つ人の安否確認にも利用できるようにする計画である。


    教育政策を担当する省庁である教育科学部も、共働きと低所得層の多い地域にある小学校40校を対象に「セイフウェイ・プロジェクト」を始める。指紋認識または電子タグを利用して学校の出欠情報を保護者の携帯電話に送信し、低学年の子供はボランティアが指定の場所まで子供を送り迎えする「登下校お助け制度」も利用できる。教育科学部は安心して子供を外に出せるよう、2010年6月からは全国の小学校で電子タグを利用した位置情報サービスを提供するとしている。


     子供が今どこにいるのか、ちゃんと塾に行っているのか、変な人に連れ去られはしないか、いつでも自分で確認できる位置情報サービスを自治体が提供してくれるとなれば、保護者にとって嬉しいことであろう。一方では、そのためにまた街に監視カメラが増えるとことを、プライベート侵害として嫌がる人もいるだろう。


     しかし、韓国のニュース番組では、連日街の監視カメラのおかげで強盗が捕まった、駐車違反が減ったと報道しているため、個人の肖像権やプライベートを侵害されても、犯罪のない安全な生活を求め監視カメラをもっと増やしてほしいと願う住民も増えている。


     この秋からは路線バスにカメラをつけて、バスを「移動交通違反取締り」に利用するという方案も発表された。マンションでは人件費を節約するという名目で警備員の数を減らし、監視カメラとオートロックに変えている。カメラは動かぬ証拠を残してくれるので、確かにないよりは犯人逮捕にも役立つし予防にもなっている。でもシステムの不具合はいつでも起こりうる。電子タグと監視カメラは万能ではない。決定的な瞬間カメラが動かなくなることだってあるではないか。韓国の有名女優で自殺した故チェ・ジンシルさんのお墓から遺骨がなくなった事件でも監視カメラが役に立たず捜査に苦労したことがあった。


     ユビキタスという魔法の言葉をつけると、すべてのものが生命を持ち、人間のために働いてくれそうな幻想を抱いてしまう。犯罪の被害者になるのも怖いが、「電子タグ依存症」「監視カメラ依存症」になってしまうのも怖い。自分を守るために常に位置情報を発信し、カメラを頭につけて歩く時代になったりして。


    (趙 章恩=ITジャーナリスト)

    日経パソコン
    2009年9月9日

    -Original column
    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090909/1018483/

    アナログ放送停止延期に揺れる国内,海外は韓米FTAで対米戦略を強化 ―韓国編―

    アナログ放送停止延期に揺れる国内,海外は韓米FTAで対米戦略を強化 ―韓国編―



    趙 章恩(チョウ・チャンウン)
    ITジャーナリスト


     最近,韓国の家電量販店では,日本と同様,「フルHD」や「1080p」と呼ばれる1920×1080画素のプログレッシブ方式のテレビが,売り場で目立つようになってきた。しかし,こんな時代の先端を行く店頭の様子からは想像し得なかったある決定が,このほど韓国で下された。政府は2007年4月26日,これまで2010年12月31日を期限としていたアナログ放送の停止時期を2年延長すると発表した。


     韓国政府はデジタル放送への完全移行時期を,デジタル方式に対応したテレビ(以下,デジタル・テレビ)の普及率が95%に達する時期と計画していた。それが2004年ごろの予測では2010年末だった。


    続きは日経エレクトロニクス(2007年5月21日号)で

    第39回:韓国の夏休みの過ごし方~イケメン揃いの韓国版「花より男子」が人気







    第39回
    韓国の夏休みの過ごし方
             イケメン揃いの韓国版「花より男子」が人気

    2007年8月15日


     2007年の暑い~夏はいかがお過ごしだろうか。東京ドームでチャングムの誓いのイベントが大反響だったと、韓国でも大きく報じられた。

     私はソウルから4時間ほど離れた江原道の「束草(ソクチョ)」で夏休み中だ。束草と聞いて「もしかしてあのドラマのロケ地では!」と叫んだあなたは立派な韓流ファン! 束草は韓流の原点とも言える「秋の童話」のロケ地だ。

     秋の童話は中国語圏でもっと人気があるらしく、街のいたるところに「ここが○○場面のロケ地」と中国語と日本語で書かれた看板があった。ウンソが住んでいた街「アバイマウル」に行って北朝鮮式のスンデも食べた。スンデは豚の腸詰のことだが、ソウルで食べる屋台のスンデは皮が薄くて春雨が多いのだが、アバイスンデは野菜ともち米がたっぷり入ってサイズも大きく、一味も二味も違う。アバイマウルは1950年韓国戦争のとき、北朝鮮から逃げてきた避難民が集まってできた村なので、北朝鮮式の料理が有名だ。辛くあえたお刺身を載せた令麺もやわらかくて冷たくて、これまた美味しい。









    韓流の原点とも言える「秋の童話」のロケ地(※ 画像はクリックで拡大) アバイスンデ

     ヤンヤン国際空港を利用すれば車で40分ほどで着くのだが、残念ながら日本からの直行便はないようだ。



    ●韓国のドラマ好きはモバイル環境まで変える

     束草といえば限りなく続く海水浴場と青い海、そして韓国を代表する山「雪嶽山(ソルアグサン)」の入口ともいえる場所だ。この夏韓国ではリゾートやホテルではなく、自前のテントと車で利用する「オートキャンプ」が大ブーム。私も早速ネットで一式買い込んで、雪嶽山国立公園でキャンプに挑戦している。

     夜テントの前でバーベーキューをしてお腹いっぱいになったところで、皆さんは何をやっているのかな~と観察したところ、ほとんどの人がDMB(digital multimedia broadcasting)受信携帯電話や車のナビゲーションを利用して8時と10時のドラマをしっかり観ていた。地下鉄の中でも携帯電話を利用してテレビを観る人が増えているが、この山奥のキャンプ場にまでDMBが届くとは驚きだ。

     DMBとは、移動しながら受信するモバイルテレビのことで、韓国では衛星DMB(日本のモバHO!と同じ衛星を使う衛星モバイル放送)と地上波DMB(日本のワンセグと同じ地上波放送をそのまま受信)があり、どちらも全国どこでも地下鉄で移動しながらもテレビを受信できる。地上波DMBは
    サイマルだが、衛星DMBは有料でドラマを24時間再放送するCATVが視聴できるので、ドラマ好きにはたまらない。

    ●地下鉄でも携帯・モバイルTVとも利用可

     韓国では携帯電話はいつでもどこでも通話ができなければ意味がないと思われているため、地下鉄の中でも携帯電話をマナーモードに切り替えるどころか大声で話している人もよく見かける。携帯電話を利用したモバイルテレビも、全国どこでも途切れず利用できなければ意味がなく、地下鉄駅構内の片隅にはキャリア3社のロゴが入った中継器の箱と一緒に、DMBのギャップフィラー(電波の届きにくい地域や場所の受信特性を改善する装置)も設置されている。実はこのDMB、世界で初めて商用化されたモバイルテレビで、衛星DMBは2005年5月から、地上波DMBは2005年12月から放送されている。

     2007年5月末現在、衛星DMB携帯電話の加入者は113万、地上波DMB携帯電話は236台、カーナビやノートパソコン、受信機などが297万台、合計533万台にのぼる。韓国で発売される携帯電話、ナビゲーション、PMP(Portable Multimedia Player、PDAのような動画再生機)のほとんどがDMB受信対応端末で、衛星DMBと地上波DMBを同時に受信できる端末も増えている。


    ●韓国では予約録画はしない!?

     いつでもどこでも移動しながらでも、観たい番組を逃すことがなくなり、さらにパソコンからはVOD、テレビからはIPTVを利用すれば、見逃した番組までもが、いつでも好きな時間に再生できるようになり、韓国では「予約録画って何?」のような世界になっている。DVDレンタルも、ショップまででかけるのは面倒と、IPTVの利用者が増え、携帯電話料金またはインターネット利用料金と合算で支払うようになっている。

     IPTVは、地上波の放送を同時にIP経由で放映してはならないという放送法があるため、再放送中心となっているが、来年あたりはテレビとリモコンさえあればホームネットワークで家電を操作し、ネット検索をしながらテレビを観たり、電子申請をしたりと、今実証実験サービス中のことがすべて商用化されるため、韓国のドラマファンにとって、ますますドラマにどっぷりはまれる環境が整うことになる。

    ●イケメン揃いの韓国版「花より男子」が人気

     では、この頃DMBで人気のドラマは何かというと、「
    コーヒープリンス1号店」だ。











    コーヒープンリンスの美男子たち ユンウンへ(ウンチャン役)、コンユ(ハンギョル役) 左からイソンギュン(ハンソン役)、チェジョンアン(ユジュ役)、ユンウンへ(ウンチャン役)、コンユ(ハンギョル役)

     アイドルグループ「ベビーボックス」出身で、ドラマ「宮」「ぶどう畑のあの男」で立派に女優デビューしたユン・ウンへが今度は男装に挑戦した。コッミナム(直訳すると花美男、美少年のこと)しか雇わないコーヒーショップでバリスタとして成功するため男装して就職するが、そこで運命の人と出会う。最後まで男のふりをするのか、告白するのか!

     もう一人の主人公コンユも今まではちょっと油っぽい役柄が多く、あまり好印象ではなかったが、ここではもう~男の魅力を精一杯出し切っている。コンユ、イ・ソンギュンを始め、あちこちのドラマで「この人カッコいい~」と印象に残っていた美男子が勢揃い! ストーリーはまったく違うが、韓国版「花より男子じゃない?」と噂されているほど、目を喜ばせてくれるドラマだ。また、日本から彼女を探しにやってきたという設定のコーヒープリンスの美男子の一人であるキム・ジェウクにも注目だ。

     実際にコーヒープリンスは、ソウル弘益大前の「オーチャード」というカフェを貸切で撮影中。連日、韓国はもちろん、日本や中国、台湾からもファンが駆けつけ、コンユの姿を一目見ようと大騒ぎだ。コーヒープリンスは、ラブストーリーに限らず韓国人のカフェ好きぶりものぞけるので面白さが倍増。日本でもすでに口コミで火が付いたと聞く。コンユの日本ファンミーティングも近々開催される予定だ。

     今回は、“韓国のドラマ好きはモバイル環境まで変える!”ということで、DMBとコーヒープリンスを紹介した。韓国ではソウル新村にある三星電子のANYCALLスタジオでDMBを体験できるので、韓国旅行の際にはぜひ立ち寄ってほしい。新村駅4番出口からすぐだ。



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    RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情  
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    生き残りを「創造経営」に懸ける後継者人事に注目 ―韓国Samsung編―

    生き残りを「創造経営」に懸ける後継者人事に注目 ―韓国Samsung編―




    趙 章恩(チョウ・チャンウン)
    ITジャーナリスト


     「2010年からは予測し難い急速な変化が起こるだろう。ここからさらに飛躍して世界の一流企業になるためには,すべてを原点から見直し,伸び伸びと人とは違う発想をする必要がある。ただし,その発想は収益につながるもので,かつ持続可能なものでなければならない」。


     2007年,Samsung Electronics Co., Ltd. 会長の李健煕(イ・ゴンヒ)氏は,「創造経営」と呼ばれる新たな経営スローガンを発表した。単に「良い製品を作る」というレベルを超え,マーケティング,研究開発,デザインのすべてにおいて独創的なアイデアがないと,いずれは競争に負けてしまうというのが同氏からのメッセージである。


    続きは日経エレクトロニクス(2007年10月22日号)で

    オンライン学習で子どもの教育環境は改善できるか?

    IP放送(IPTV)で教育環境の改善を目指すプロジェクトが韓国で始まった。自治体とIPTV事業者が提携し、経済的に貧しく両親が共働きで放課後一人ぼっちで留守番をしている小・中学生を対象に、IPTVのVODや双方向放送を使って無料で課外授業をするというものだ。

     図書館や児童会館の中に「IPTV勉強部屋」を作り、英語・数学・アニメ・映画などのコンテンツを利用できるようにした。ボランティアの先生が機器の操作と子供達に見せる番組を選択する。


     韓国デジタルメディア産業協会がLCDテレビを、IPTV事業者のKTは1年間IPTVを無料で提供し、学習書出版社が教材を提供する。


     韓国の教育熱の高さは海外でもよく知られている。名門大学を卒業しても正社員になるのは一握りしかいないといわれるほどの不況の中、韓国ではますます学閥が重要となっている。


     子供の未来のため、幼児の頃から英才教育をさせ小学校から各種塾に通わせる。しかしそのためにはかなりのお金が必要となる。1980年代までも貧しい田舎の出身の学生が独学でソウル大に主席合格したという感動物語がよくテレビに放映されたものだが、今は教育もお金がないとできない。「私教育」といって学校の教育よりも塾や家庭教師を頼る傾向が強くなったからだ。大学受験のための「私教育」費用は家計負債を増やす深刻な問題となっている。

    教育の差は所得の差につながるが、その教育をさせるためにはまたお金がかかる。自然と名門大学に進学する学生は中産層以上の所得がある家庭で育った子供達で、貧困家庭の子供は大人になっても貧困から抜け出せないという悪循環を、IPTVの教育放送を利用して改善してみようとする試しである。

     放送通信委員会の関係者は、「デジタルメディアを活用した教育福祉を実現させ、インターネットで経済的弱者を保護する社会安全ネットワークにしたい」と述べた。自治体は「IPTV勉強部屋によって、優秀な教育コンテンツを利用できる機会がなかった貧しい子供たちの学習能力を高められる」と期待していた。


     「IPTV勉強部屋」は全国300カ所の地域児童センター、情報化村(2001年から推進されている地方の情報化事業で、地域特産品のオンラインショッピングや観光予約などのサービスで地方の所得増進を目指している)にも設置される。


     一方では、義務教育のためではなくIPTV塾のために国の予算を使うことに対する反発もある。学校教育で学習能力を高めるべきなのに、塾に行かないと勉強についていけないということを政府が認め、「私教育」を煽っているという批判もある。さらに、IPTV勉強部屋事業のために国家予算450億ウォン(約37億円)が使われることから、特定事業者のサービスを利用した福祉事業に予算を使いすぎているという批判もある。


     それでも、いつも一人ぼっちで学習意欲がない貧困層の子供達にとって、誰かが自分たちに関心を持っていて、勉強を教えてくれて、他の子供達と同じように最新映画やアニメも見られるようにしてくれるIPTV勉強部屋の存在は、人生を変えられるきっかけになるかもしれない。


    (趙 章恩=ITジャーナリスト)

    日経パソコン
    2009年9月2日

    -Original column
    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090902/1018324/