サムギョプサルの値段急騰で泣いてます!

 
手前がデジコプテキ、奥がサムギョプサルです。デジコプテキのお店に行くと、こんなステンレスで焼くことが多いですね。













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    真ん中が盛り上がった、釜の蓋のような黒い鉄板で焼くのが正統派サムギョプサルです。キムチやナムルなど、おいしい脂で一緒に焼いて食べると、もっとおいしくなります!














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    豚肉にはやっぱりキムチが一番! サムギョプサルと焼いたキムチを食べている途中で、キムチ冷蔵庫から取り出したばかりのサクサクした歯ごたえのある冷たいキムチで口直し。韓国のキムチは最初は辛いけれど、あとでジュワッと塩辛の風味と白菜の甘みがやってくるので、病みつきになります。



    体内の老廃物を排出して血管をきれいにすると言われているので、黄砂がひどい日やほこりっぽいところに長時間いた日などに必ず食べる
    サムギョプサル。疲れたお父さんの栄養補給たのために、サムゲタンと並んで家庭でよく食べるごちそうのひとつです。韓国では、豚の脂は消化されやすくビタミンBが豊富なので疲労回復にもよく、コレステロールの活動を抑制すると言われていて、牛より豚肉を食べることのほうが多いんです。

  • サムギョプサルとは直訳すると「三重肉」、「三段肉」。よくメニューに「三段バラ肉」なんて書いてありましたね。今は「三枚肉」、あるいはサムギョプサルで日本でも通じてしまうほどポピュラーな韓国料理になりました。


    お肉を焼いて、にんにくやキムチ、サムジャン(韓国味噌とコチュジャン、ごま油、唐辛子、ねぎ、にんにく、ごまなどを混ぜたもの)と一緒にサンチュに包んで食べるだけなので、お母さんの手間も省けます。夏休みにはみんなでキャンプに出かけ、よくサムギョプサルパーティーをやったりもします。お肉をごまの葉に包んで食べると、独特の風味があってとってもおいしいんですよね。野外で食べると、さらにおいしく感じるんです。木の枝や松ぼっくりを拾ってきてバーベキューのように焼いたり、川では拾ってきた平たい大きな石をホイルに巻いて熱し、その上でお肉を焼いたりと、焼き方もいろいろです。私はちょっと厚めの肉とキムチを一緒に並べて焼いて食べるのが一番好きです!


    ところが、サムギョプサルに関してここ数ヵ月間ショックなことが……。お手頃な値段で、庶民のごちそうとして愛されてきたサムギョプサルが! 骨付きカルビよりも愛されていたサムギョプサルが! 今じゃビーフより高い!! 霜降サーロインと変わらない値段にまで高騰してしまいました。豚肉は高級食材になってしまったのです! 「金ギョプサル」と呼ばれるほどですから、もう泣きたいです……。


    もちろん、国産豚を使うサムギョプサルに対して、牛はオーストラリアからの輸入が増えて安くなったという事情はあります。しかし! スーパーで100gのものが1300Wぐらいだったサムギョプサルが、今じゃ2500Wぐらいしますからね。お店で食べると1人前8000Wだったのが、1万Wから1万2000Wぐらいはするし。うちなんてふたりで4人前は軽く食べるから……。韓国の物価から考えると、おサイフに負担をかけることなく気軽に食べられるメニューとは言えなくなりました。


    「豚肉のほかの部位だっておいしいのに、なぜサムギョプサルにこだわるの?」と聞かれそうですが、やっぱり、脂と肉の絶妙なバランスが魅力なのでしょう。焼く前のあの肉を見るかぎり、白い脂だらけに見えますが、サムギョプサル専用の鉄板(釜の蓋のような真ん中が盛り上がっているあれです)で脂を落としながら焼くと、お肉のすみずみまでジューシーな脂がしみこみ、やわらかくて香ばしくて! キムチと一緒に食べて冷たいチャミスル(緑色の瓶の韓国の焼酎)を1杯のどに流し込めば、もうパラダイス! きゃ~なんて、叫んでしまうほど幸せになるんです(と、夫が熱っぽく語ってくれました)。


    そして、サムギョプサル価格急騰の影響で私が最近目覚めた、それはそれはおいしいあるものがあります。辛口醤油に漬け込んで下味を整え、練炭でじっくりパリッとなるまで焼いた「デジコプテキ」(豚の皮)です!! 最初は「うひょ~、こんなに毛穴が丸見えの皮なんて食べれないよ~~」とベソをかいてしまったのですが、「コラーゲンたっぷりでお肌ぷるぷるになりますよ。うちに来る芸能人の方はみんな必ずデジコプテキを注文します」とお店の人に励まされ、レッツチャレンジ!


    うっすら茶色で乾燥こんにゃくのような感じもするデジコプテキを口に入れると、パリッと醤油味スナック菓子のような歯ごたえがあって、次はもっちりとした少し固めのゼリーのような食感が続き、ほんのり甘いお肉の味がきた~と思ったら、もう口の中で溶けてなくなりました。え~~これがデジコプテキですか! 私今までこの味を知らずに生きてきたなんて、損しました。もっと若い頃から食べていれば、おいしくコラーゲンを補えたのに。この口周りのほうれいせんも、いじわるそうにみえる垂れた頬肉も、カラスの足跡のような目尻のしわも、私とは縁のないものにできたはず! これからは、値段が急騰したお高いサムギョプサルよりも、デジコプテキを愛してあげるつもりです。


    でもひとつ難点なのは、デジコプテキは下準備が大変なので、家庭でこの味を再現するのは難しく、専門店に行かないとおいしくいただけないことです。


    新しくオープンした「ロッテシティホテル」がある地下鉄「麻浦(マポ)」駅周辺は、40年も前からデジコプテキで名声の高いお店が集まっているので、おすすめしたいです! デジコプテキがおいしいお店は豚肉を熟知しているということなので、サムギョプサルも豚カルビも、なんでもおいしいんですよ。


    麻浦(マポ)に行けば、お店の外に置かれたステンレス製の丸い練炭用のテーブルに座り、「うぎゅ~」、「ぱうぱう」、「ミチゲッソヨ~(頭がおかしくなりそう~)」なんて、わけのわからないことを叫びながら肉にむさぼりついている私に出会えるかもしれませんよ。


    by: 趙章恩

    2009年07月17日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!

    デジタルサイネージ都市をめざすソウルの実験

    薄型ディスプレーと通信ネットワークを使った新しい屋外広告メディアとして注目される「デジタルサイネージ」。韓国でも2006年ごろから「DID(Digital Infomation Device)」と呼ばれ、成長を続けている。今回は首都ソウルでの動向を紹介しよう。(趙章恩)

     ソウル南部にある江南(カンナム)駅前。東京でいえば渋谷のように若者でにぎわう繁華街の約760メートルの大通りに2009年3月、「メディアポール(Media Pole)」と名付けられた多機能型のデジタルサイネージが22本設置された。



    ■情報検索やメール、無線LAN機能も


     高さ約12.4メートル、幅1.4メートルのメディアポールは、車道に向いている面はLED、歩道に向いている面は液晶パネルになっている。パネルの上部はメディアアートの展示や広告用ディスプレー、下部はタッチパネル式で歩行者向けコンテンツを提供する。メディアポールの最上部には照明と防犯カメラもついていて、安全な街づくりの役割も果たす。ソウル市はここを「U-street」と名付けている。


     メディアポールはコンテンツを一方的に配信するだけでなく、情報検索や画像の送受信、公衆無線LAN通信などの様々な機能を持つ。グルメ情報や交通情報を検索したり、自分の写真を転送して大画面で表示したり、内蔵カメラで写真を撮って友人にメール送信したりと、いろいろな使い方、遊び方ができる。映画の予告編を見てその場でチケットを予約できるサービスもある。




    ■サムスン電子が世界シェアトップ


     調査会社ディスプレイサーチによると、2009年1~3月のデジタルサイネージ向けの薄型パネル世界シェアは、韓国サムスン電子が26型以上で11.2%と首位。パナソニックをわずかな差で押さえ、3位がNEC、4位が韓国LG電子という順だ。サムスン電子は「モニター、テレビに続いてデジタルサイネージでも世界1位になった。映像ディスプレー分野で最高のブランドになる」と意気込んでいる。


     サムスン電子やLG電子のように韓国を代表する電子企業がデジタルサイネージに積極的になっていることもあるが、韓国では都市計画の1つとしてデジタルサイネージの導入が注目されている。



    ■ソウルの都市景観づくりの一環


     メディアポールは、ソウル市が08年に「デザイン・ソウル」をキャッチフレーズに始めた都市景観計画の一環だ。「自然と環境」「歴史と文化」「ITと産業」「人間と健康」をテーマに、歩きやすい歩道、自然環境を生かした生態公園づくり、ITインフラを生かした街ナビの整備などを進め、より美しい街づくりに精を出している。


     ソウルの中心である景福宮前の光化門(クァンファムン)には、16車線あった道路を10車線に減らして広場がつくられた。光化門広場は清渓川復元、ソウルの森造成に続く都市再生プロジェクトとして市民を喜ばせている。韓国は60~80年代、「漢江の奇跡」と呼ばれるほどの高度成長を成し遂げたが、一方で首都ソウルは高層マンションだらけの味気ない再開発都市になってしまった。それをITと文化とデザインが中心の知識基盤世界都市にするというのが、デザイン・ソウルの目標である。



    ■広告から楽しめるコンテンツへ


     メディアポールが登場する数年前から、ディスプレーを利用した広告、デジタルサイネージは存在した。タッチパネル式ディスプレーを使って、ユーザーが自分で触って音を出すという広告、床に企業のロゴ入りサッカーボールの映像を映し、それを蹴って遊べるようにした広告など、ソウル市内では映像技術を駆使したデジタルサイネージが身近になっている。


     メディアポールのプロジェクトはそれらを一歩前進させたものといえる。広告方式を競うハードウエアの競争から、「広告だけど広告に見えない」楽しいコンテンツを流す競争になってきた。


     地下鉄運営会社ソウルメトロは、地下鉄1~4号線の全駅にデジタルサイネージとIP電話を組み合わせた公衆電話を導入する計画を発表している。デザイン・ソウル計画の一環で、タッチパネルの画面から広告・情報検索・メール送信・チケット購入(電子マネーやクレジットカード決済可能)などの機能を利用できる。


     双方向メディアとしてのデジタルサイネージは韓国でも注目度が高く、10~20代をターゲットにしたピザ、製菓、ファミリーレストランなどは、ブランドと顧客をより親密につなげる方法としてデジタルサイネージを利用している。ブランドの歴史やブランドロゴを使ったゲーム・メニュー提案といったイベントも開催している。ビルの外側一面をLEDにしてメディアアートとコラボした広告を流す「パサードギャラリー」も流行っている。





    ■情報提供料など課題


     一方、こうした取り組みを通じて、デジタルサイネージのビジネスモデルを確立するうえでの課題も浮かび上がってきた。コンテンツ配信をより発展・向上させるソリューションが整っていなければ長続きしないということだ。


     メディアポールのテスト期間であった3~6月は、ニュースや交通情報、グルメガイドなど多彩なコンテンツが提供されていたが、運営が民間会社に委託されてからはいくつかのコンテンツが利用できなくなった。サービスを中断した新聞社やコンテンツ事業者らは、「ソウル市や江南区役所は世界でも珍しい施設をつくったことだけに満足し、コンテンツ使用料のことまでは考えていなかったようだ」と残念そうに語る。


     デジタルサイネージ広告管理ソフトウエア会社であるScalaのアジア総括支社長ギヨム・プル氏は「デジタルサイネージは多様なコンテンツを自由に表現できるのが長所で、動画、写真、テキストなど表現の制限がない。韓国には世界有数のディスプレーメーカーがあり、有無線ブロードバンドインフラが優れている。デジタルサイネージの大きな市場を形成すると確信している」と述べる。


    ■都市計画とのシナジーが重要


     広告と情報端末兼用の大型デジタルサイネージはソウル各地で見つけられるようになった。日本人観光客が集まる明洞には韓国語・日本語・英語で検索できる観光ガイドと周辺レストランやエステの広告が登場している。


     デパートや大手企業もデザイン・ソウル計画に合わせてITを利用した都市づくりに参加している。屋外広告の標準化と規格化で都市の環境を整備する政策といかにシナジー(相乗効果)を出していくか。美しく、そしてより安全で快適なユビキタス都市を目指して、ソウルは今日も工事中である。



    観光ガイドなどを日本語でも表示するデジタルサイネージ



    – 趙 章恩  

    NIKKEI NET  
    インターネット:連載・コラム  
    [2009年9月2日]
    Original Source (NIKKEI NET)
    http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000001092009


    光明見えてきた韓国版WiMAX,大学生中心に2008年末に40万会員へ

    光明見えてきた韓国版WiMAX,大学生中心に2008年末に40万会員へ

    from 韓国

    趙 章恩(チョウ・チャンウン)
    ITジャーナリスト

     最近,韓国ソウル市では「デジタル遊牧民」をよく見掛ける。カフェや公園,電車やバスの中でもノート・パソコンの画面を夢中で見て,インターネットにアクセスしている人たちだ。街中でインターネットというと,日本では携帯電話機が主流だが,韓国ではノート・パソコンやPMP(portable multimedia player)と呼ばれる小型端末が定番になっている。自宅や図書館,オフィスよりも自分の好きな場所で仕事をしたい,宿題をしたいというデジタル遊牧民が街中にあふれている。



    続きは日経エレクトロニクス(2008年6月2日号)で

    第38回:カンヌ映画祭主演女優賞おめでとう! チョン・ドヨンのドラマを見直そう







    第38回
    カンヌ映画祭主演女優賞おめでとう!
                   チョン・ドヨンのドラマを見直そう

    2007年7月3日


     先日、韓国のメディアには「招かれざる客」というタイトルの記事が掲載され、韓流を悪用する商魂の批判が続いた。5月31日、「4月の雪」「8月のクリスマス」を演出したホ・ジンホ監督の結婚式での出来事。

     非公開結婚式にもかかわらず式場の周辺には記者団より多い50人あまりの日本人女性が集まり、監督の結婚式にヨン様が来るのではないかと待ち構え、芸能人が来るたびに写真を撮るため大騒ぎ。ホ監督は不快な様子で「招待していない観光客が結婚式場に現れ驚いた。大事な日なので抗議はしなかったが、神聖な結婚式がこんな風に利用されるなんて怒りを感じる」と話していたという(
    関連記事:ハングル)。

     これが実は韓流ツアーの日程の一部で、ホ監督に何の相談もなく、「ヨン様が来るかもしれない」と旅行代理店が結婚式場にツアー客を送り込んだせいだというのがわかった。本人の知らない間に、自分の結婚式が芸能人に会える観光商品になっていたと聞いたら、最悪な気分だろうな。

     それに芸能人が見られるからって高い費用を払ってツアーに参加し、招かれざる客扱いされる韓流ファンも決していい気分ではなかっただろう。「破廉恥な韓流ツアーが韓流を滅ぼす」と旅行業界も目の前の利益にとらわれず、息の長い韓流を守っていこうと自粛の動きをみせている。韓流ツアーに参加して逆に韓国が嫌いになったという方がいらっしゃるのではないかと心配だ。悪徳な韓流ツアーの見分け方があるといいけど、それも難しい。この際、韓ドラファンの一人として「まともな韓ドラツアー」を企画してみようかしら。







    密陽(公式サイト)
    ※ 画像はクリックで拡大
     ところで、ホ監督の結婚式で新郎より注目されていた人がいる。主人公は第60回カンヌ映画祭主演女優賞を授賞したチョン・ドヨン。韓国ですら「まさか!」と思われていた授賞だけに、国をあげての大騒ぎとなった。でも“海外映画祭で賞をとる映画はみんな面白くない”という伝説があるんだよね。例にもれず、主演女優賞を授賞するきっかけとなった映画「密陽(ミルヤン)」(密陽の公式サイト)もカンヌ効果で興行成績は伸びたものの、「パイレーツ・オブ・カリビアン」と「シュレック3」には負けている。

     この映画のイ・チャンドン監督は、文化観光部長官を務めた大物監督。しかし「密陽」に限っては、イ・チャンドンの映画ではなくチョン・ドヨンの映画というほど、彼女の卓越した演技力で支えられた映画と評価されている。

     チョン・ドヨンは、韓国でも特別な女優として扱われている。それは、ヨン様主演の「太王四神記」に出演する(でも撮影は中断されたし、どうなることやら~)ムン・ソリとも共通している部分だけど、どんな役柄も恐れないタフな俳優魂を持つ女優だからだ。HIVに感染したホステス役、全裸の後ろ姿を公開した不倫に落ちる主婦役、先生を好きになる知能障害の17歳の役など、ほかの女優が断った難しい役柄に好んで挑戦している。そのせいか、チョン・ドヨンには広告が入ってこない。

     イ・ヨンエ、キム・テヒ、キム・ジョンウン、コ・ソヨンといった女優は正直、映画やドラマに出るより広告で生き延びているのに、チョン・ドヨンは当たり前といえば当たり前だが、女優業一つで勝負している。「それがついに、カンヌ映画祭主演女優賞として実ったのではないか」と、韓国の映画ファン達は大絶賛している。

     チョン・ドヨンは高校時代、ジョンソン&ジョンソンベビーライトスキンの広告モデルとしてデビューし、雑誌モデルとして活躍した。あの広告写真を今でもBLOGでみかけたりするが、顔がそのまま! あの童顔、素肌美人の秘訣は、緑茶をコットンに浸してパックしたり、きゅうりを顔にはる天然パックの効果だそう。今日から早速きゅうりパックを始めなきゃ! 話がそれたが、その後チョン・ドヨンはトレンディードラマの主人公の親友役といったチョイ役を経て、ヨン様も出演した「若者のひなた」で演技ができる新人として知名度を高めた。

     私の記憶の中のチョン・ドヨンは、ヨン様と縁が深い女優だった。ドラマ「若者のひなた」、「別れの6つの段階」、映画「スキャンダル」で共演しているし、そのほかでも、90年代中盤までヨン様とお似合いといえばチョン・ドヨン、と名前が挙がっていたのをよく覚えている。「若者のひなた」では貧しい炭鉱村の次女で、初恋のために自分を犠牲にする姉とは正反対の現実主義、小説家を目指す強気の役柄だった。ヨン様の演じるハ・ソクジュがその堂々たる態度に惹かれていく数々の場面が、まるで昨日観たドラマのように鮮明に残っている。もちろん、あのショートカットのかつらがあまり似合わなかったのも記憶に残っているけど。

     チョン・ドヨンが出演したドラマと映画は数が多すぎて、何から紹介したらいいのやら迷ってしまうが、特にお勧めしたいのは、この90年代初期のドラマ3作品と韓国で大ヒットした映画4作品だ。日本ではDVDまたはインターネットで公開されているので、ぜひ楽しんでいただきたい。







    ●お勧めドラマ

    ◆われらの天国

     チョン・ドヨンのドラマデビュー作。この作品で彼女は、かなりのチョイ役なので、彼女がどの場面に出ているかを探すのも大変だが、90年代前半、韓国がまだかなりダサかった頃の、大学生の恋と悩みを描く青春物語なので、韓国の大学文化を含め楽しめる要素が満載。ドラマのストーリーより、92年、93年頃の古き良きソウルの街並みや文化に触れられるところに注目して観ると、面白さが倍増する。韓国って、この15年でまったく違う国になってしまったことがよくわかる。

    別れる6つの階段

     漢江の夕焼けを背景に、黄色いワンピースを着てはしゃぐチョン・ドヨンの姿が印象に残る作品。それは下着が透けて見えたから……、という理由もあるが、ヨン様の温かい微笑みとチョン・ドヨンの初々しい姿が重なり「私もあんなデートしてみたいな~」と空想したものだ。








    若者のひなた
    若者のひなた

     個人的に大好きなドラマの上位にランクされているので、RBB読者の皆さまにもぜひご覧いただきたい作品。全56話とかなり長いが、一度見始めるとドラマ「初恋」のようにどんどんはまっていく。視聴率58%を記録したドラマ史に残る作品なのは確かだ。




    By-
    RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情  
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    コンチャの国、ドムの国、韓国! その1

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    仁寺洞でのランチ。オーダーしたチゲがまだ出ていないのに、すでにテーブルはこんな状態に(これでふたり分)! このあともチゲと焼き魚とキムチが3種類ほど追加され、デザート代わりに冷たい梅茶まで並びました~。これでひとり8000Wでしたよ。











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    書店の雑誌コーナー。雑誌のオビには付録の案内が。どれどれ~?











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    「リビングセンス」という主婦向け雑誌の5月号の付録は、メンソレータムの日焼け止めとラッピング解説書! メンソレータムの日焼け止めは、日本のドラッグストアで売っているものと同じです。6月号は国産ブランドのマッサージクリーム300MLと洗濯洗剤250gでした。雑誌が7800Wなので、これはお得!











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    おしゃれな主婦に人気のインテリア雑誌「CASA」は、ラベンダーのアロマキャンドルが付録でした。雑誌のテーマに合う付録ですね。



    韓国を初めて訪問したとき、レストランで席に着くやいなや、注文もしていないのにテーブルにどどっと小皿料理が並べられ、戸惑ったことはありませんか?

  • 豆もやし、ほうれんそう、ねぎなどをごま油であえたナムル、白菜キムチカットゥギ(サイコロのように切った大根のキムチ)、練りもの(韓国では「おでん」といいます)の炒め物など、小皿に盛り付けられたものはすべて基本のおかずでコンチャ(無料、タダ)です!


    もちろんおかわりだってコンチャ! いくらでも食べていいんですよ。


    お店によってはカンジャンケジャン(カニのしょうゆ漬け)ケランチム(韓国式茶碗蒸し)なんていう立派な料理までドム(おまけ)で出してくれます。


    韓国ではいつも、どれがオーダーした料理で、どれがコンチャでドムなのかまったく区別がつかないような状況になってしまいます。日本の方は「食べきれない~!」と驚かれるようですが、これが韓国式の食事です。逆に韓国人が日本に来ると、すべてが有料であることに驚きます。「日本人はたったふた切れのたくあんまでお金をとる! 薄情だ!」とびっくりしてしまうんです。韓国ではラーメンやうどんなどについてくるキムチ、たくあんなどの漬物は無料が当たり前ですからね。


    サムギョプサルをオーダーすれば、野菜におかずはドム、お刺身をオーダーすれば天ぷらに手巻き寿司に焼き魚など、15~20種類近い料理がドム、うどんやトッポッキなど安いファストフードを頼んでも、たくあんやキムチにスープがドム、なのです。オーダーした料理だけ出される、なんてことはまず考えられません。ファミリーレストランやファストフード店でも、パンが食べ放題、飲み物もおかわり自由のところがほとんどです。


    仁寺洞や明洞などにあるカフェのコーヒーもおかわり無料です。スターバックスやコーヒービーンズなどのチェーン店はやっていませんが、普通の喫茶店のようなカフェはどこも、注文した飲み物を飲んだあと、コーヒーを無料で注いでくれます。明洞のコスメショップ「TODACOSA」がある通りには小さいカフェがずらっと並んでいますが、どのカフェもケーキが無料なんです! 何を頼んでもひとりひとつずつ生クリームケーキか、シロップをたっぷりかけたホットケーキがドムとしてサービスされます。仁寺洞ではドリンクだけオーダーしても、お餅や韓菓を出してくれるところが多いですよね。


    韓国のおもてなしとは、「テーブルの足が折れるほど」、「食べきれないほど」料理を出すことだと言われてきました。


    もてなされる側も少し残して、「お腹いっぱいでもうこれ以上は入りません! 大満足です!」という感謝の気持ちを伝えます。昔は、きれいさっぱり食べてしまうと「足りない」という意味になり、お客様に大変失礼なことをしてしまったと考えられていましたが、この頃は食べ物があふれ肥満が心配な時代ですし、エコが大事ですからね。残飯を減らすために、残さずきれいに食べるのがマナーと言われるようになりました。おかわりは自由ですが、残さないようにしましょうね。


    韓国のコンチャやドムは食事だけではありませんよ。ニッコリア読者のみなさんなら、もう体験済みかもしれませんね?


    コスメショップでは決まった金額以上を買うと、試供品とは思えない箱入りのセットをくれたり、1個でも商品を買うとあれこれ試供品を一緒に入れてくれたりします。以前、日本のテレビ番組で、「センプルジュセヨ~(サンプルください)」と悲しそうな表情で言えば試供品がたくさんもらえるなんてことを教えていましたが、そんな恥ずかしいことをしなくても、たっぷりもらえますから心配ご無用!


    また、コンチャの総集編ともいうべきものが、雑誌の付録です。


    日本でも女性ファッション雑誌に付録がつくようになりましたが、韓国では1995年頃からファッション雑誌にボディーローションやグロス、美容液、アイシャドー、ファンデーションといったコスメやハンドバッグが付録でつくようになりました。試供品ではなく、正規の商品が丸ごとついていたりもします。新発売のお醤油やソースを1本、オリーブオイルなどがどん! とついていたり(迫力満点!)、Tシャツやアロマキャンドルが付録になっていたこともあります。


    本屋さんの入口にはその月の付録が展示されていて、みんな雑誌の中身より付録で選んでいますね。法律によって雑誌の値段より高い付録をつけてはいけないのですが、企業から試供品として提供してもらったものは無料のため雑誌の値段を超えることはないので、付録競争はどんどんエスカレートしています。さらに鐘路にある大手書店では、その書店オリジナルの特別付録があるんです! 5月にも、7800Wの雑誌に、スペイン産オリーブオイル700ML、新発売のお醤油1L、中小メーカーのBBクリーム30ML、保湿成分入りウェットティッシュ1箱、消臭スプレー2本、シートマスク5枚、手で回して使うジューサーまで! スーパーで買うと2万Wは下らないほどの付録がついていました(重かった・・・)。韓国旅行の記念に雑誌を買ってみるのもおすすめです。


    さらに驚くべきコンチャ、ドムの世界はロッテ百貨店にあります! 次回はロッテマートや百貨店で出会ったコンチャの世界をご紹介します!



    by: 趙章恩

    2009年06月09日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!

    [エンタメコラム] 韓国ドラマ史に残る「愛の群像」 その3

    「若者のひなた」のあらすじをご紹介します!



    「若者のひなた」は韓国の定番のメロドラマで、主人公の裏切りと破滅を描いた単純明快なものです。


     


    炭鉱村で育った貧乏な青年が成功を夢見て超難関の国立ソウル大に進学→自分の出世を願い貯金をはたいてくれた恋人を裏切り、金持ちのお坊ちゃまに近づいて親友となり、その双子の妹と婚約→3年後、婚約者の父に会社経営の跡取りとして認められるほどになり、留学までさせてもらう→彼の出世を願う献身的な元恋人は彼の子供を産みひとりで育てている→4年後、結局すべてがばれて婚約解消、破滅へ……。


     


    しかし、もうちょっと踏み込んで詳しく話そうとした瞬間、「このドラマってこんなに生き生きした内容だったんだ~」と感心せずにはいられなくなります。炭鉱村からソウルに出てきた若者の暮らし、ソクジュのようなお金持ちの暮らし、周辺人物のもろもろのエピソード、お金がある人もない人もみんなそれぞれ悩みがあり、「成功」の基準もそれぞれ違うため、それぞれの葛藤があり……このような細かいパズルのピースがひとつになることで、単純なメロドラマが不滅の名作へと生まれ変わっていきました。どんな苦しみも、温かく包み込んでくれる家族や友人のおかげで克服できるというエピソードがあちこちに散りばめられていて、「ドラマ」というより、身近な人の話かと思えるほど親近感が沸いてきます。


     


    改めてあらすじを紹介しましょう。ソウルオリンピックで国中が騒然としていた1988年、ある炭鉱村で国立ソウル大学に合格したインボムのお祝いパーティーが開かれます。若いころに夫を亡くし、喫茶店(といってもいわゆるスナック)を営む母にとって秀才のインボムは自慢の宝であり、プライドでもあります。水商売と陰で軽蔑されながらも、インボムがいるからこそチャヒの家族にも大きな顔をしていられるからです。


     


    彼の恋人のチャヒは、彼が合格したことをインボム本人ではなく、インボムの母が営む喫茶店の貼紙で知ってがっかりします。一方、インボムの弟インホがチンピラと喫茶店で働く女の子と三角関係になり、チンピラを刺して逃げたため、パーティーは台無しになります。


     


    その時ソウルでは、ソクジュの合格祝いパーティーが盛大に開かれます。ソクジュは進学を望んでいた映画学校ではなく、化粧品会社を経営する父のすすめで経営学を受験するしかなかったので、ソウル大学に合格したものの嬉しく思ってはいません。


     


    さて、男装した女スリのヒョンジは、警察から逃げるためソウルにやってきたインホのサイフを盗み、それが原因となってインホは逮捕されます。インボムの大学入学金はインホの釈放のための和解金に消えてしまい、インボムは途方に暮れます。


     


    チャヒは知能が7歳のまま大人になってしまった弟のために、母が貯めていた貯金を持ち出し、インボムに渡します。そのお金を持ってインボムは始発の汽車に乗り、ソウルへ向かいます。


     


    インボムは教室で出会った御曹司のソクジュに近づき、親友になります。ソクジュの双子の妹ソクランは田舎者のインボムを無視し、インボムもわざとソクランに冷たく当たります。が、インボムとソクランのあいだには少しずつ微妙な感情が芽生え始めます。


     


    インホの和解金のために全財産をはたいてしまったインボムの母は、喫茶店があるビルの大家に面倒を見てもらう代わりに不倫関係となります。釈放されたインホはその現場を目撃し、大暴れしたあと、ソウルへ逃げます。インホは自分のサイフを盗んだスリ団を見つけ出し、ヒョンジと再会。ヒョンジにスリの仕方を教えてもらい、自分もスリ団の一員としてソウルで生活を始めます。インホは、男だと思い込んでいたヒョンジが実は女性だったことを知り、驚きます。


     


    家族を養うため炭鉱で経理事務員として働くチャヒは、インボムの手紙だけが楽しみです。小説家を夢見る文学少女の妹ジョンヒは、チャヒの名前でエッセイを応募し当選、チャヒは代わりに原稿料を受け取るためソウルへ行くことになります。インボムに会えると胸をときめかせるチャヒの姿に、チャヒに想いを寄せるユンベは胸が痛みます。ユンベは炭鉱で働きながらボクシングの世界チャンピオンを夢見る誠実な青年で、インボムの親友でもあります。


     


    インボムを訪ねてソウル大学まで行ったチャヒはやっとの思いでインボムと再会しますが、教授のアシスタントとしてソクジュの会社の研究員になったインボムは、ゆっくりしていられませんでした。インボムに会えると張り切っていたチャヒは落ち込み、終電の汽車に乗り込みます。そこへインボムが現れ、出発直前の汽車の中でふたりは再会し、インボムの部屋で一夜をともにします。


     


    インボムは、ソクジュの父の前で研究員として働きながら得た化粧品の知識を披露します。これはすべて計算された行動でした。ジンミ化粧品の会長であるソクジュの父はインボムを気に入り、ソクランもインボムを見直します。


     


    ヒョンジは、入院している母の病院代をかせぐためにスリをしていました。彼女と母を捨てた男は、今はソクジュの父です。死にかけている母のために、最後に一度でも会ってくれるよう頼みますが断られ、ヒョンジはジンミ化粧品一家への復讐を誓います。そのためスリ団と決別し、暴力団に身を置きます。それはインホにとっても不幸の始まりでした。


     


    一方、ユンベのところに、昔ボクサーの夢を与えてくれたコーチがやってきます。ソウルで一緒に再起してみないかと誘われたものの、コーチに全財産を詐欺で奪われてしまいます。それでもコーチを信じて、ユンベは世界チャンピオンに向けて走り出します。


     


    故郷にひとり残されたチャヒは、インボムが自分の母の誕生日には炭鉱村に戻ってくるだろうと期待しています。インホもインボムを訪ね、母に渡してほしいとお金を預けます。しかしインボムは、葛藤しながらもソクジュ、ソクランと一緒にヨット旅行へ出かけます。インボムはヨットの上でソクランに無理やりキスし、彼女との距離を縮めることに成功します。


     


    ユンベに会ったインホはインボムが故郷に帰らなかったことを知り、自分だけでも母の誕生日を祝ってあげようと炭鉱村に行きますが、目に入ったのは酔っ払って寝ている母と不倫相手の姿でした。インホは、ユンベのコーチが博打をやめてボクシングに戻るためにお金が必要だと言っていた話を思い出し、アルバイトのつもりで炭鉱村のチンピラに力を貸します。


     


    ヨット旅行から戻ったインボムは、里帰りするつもりで買っておいたチャヒと母へのプレゼントを持って衝動的に夜行列車に乗ります。インボムから指輪を贈られたチャヒは感動の涙を流します。そのとき、インボムが突然故郷に戻ったという話を聞いたソクジュは、インボムを追いかけます。炭鉱村でソクジュは、インボムが自分の生い立ちなどについてずいぶんとウソをついていたことを知ります。インボムは母と不倫相手の妻が罵りあいながら喧嘩をしている場面を目撃し、もうここには戻らないことを決意します。


     


    インボムがソウルに行ってしまってから、チャヒはつわりを経験します。ソクジュに自分のウソがばれてしまったのではないかと気を揉んでいたインボムは過労で入院し、チャヒはその報せを聞いてソウルへやってきます。妊娠を疑うインボムにチャヒはウソをつきます。それでも隠しているのはいけないと思い戻ってきたチャヒは、インボムとソクランが車の中で抱き合っているところを目撃します。愛するインボムの出世のために、チャヒは身を引くことを決意します。一方、闇の世界に身を置くようになったインホは、対抗する組織にいるヒョンジの手助けをするため、炭鉱村のチンピラ達を裏切り暴力を受けます。


     


    それから3年が経ち、インボムは徴兵を終えてソクラン、ソクジュと一緒にアメリカ留学の準備を始めます。家族にも知らせず子供を産んだチャヒはシングルマザーとなり、ホテルの電話交換手として働いています。


     


    インホはチンピラに暴力を振るわれたことがきっかけで記憶喪失になりますが、再び事件を起こして刑務所に入り、ヒョンジは彼を待つことになります。アジアチャンピオンになったユンベはチャヒを探し出し、一度告白しますが、チャヒにその気がないことを知ると兄として見守ることを誓います。チャヒは父の臨終にも立ち会うことができず、ジョンヒはそんな姉を憎みます。


     


    インボムが留学を終えて戻ってきた4年後、ソクランとインボムは婚約し、結婚の準備を急いでいます。ソクジュはこっそり映画監督になるための勉強をしてましたが、映画賞を受賞したことで父が知るところとなり、勘当されてしまいます。チャヒは小さなお店を営み、ヒョンジは化粧品の流通を牛耳るようになり、ジンミ化粧品の営業を妨害することで復讐を始めます。ヒョンジを愛する暴力団のボスは、ヒョンジがインホに想いを寄せていることを知り、インホを殺そうとします。それをかばおうとしたヒョンジは頭を殴られ、脳に損傷を受けて車椅子の生活を余儀なくされ、インホはヒョンジに一度も愛していると伝えることができないまま死んでしまいます。


     


    小説の公募で入選し小説家として注目されるようになったジョンヒは、雑誌の仕事で新人監督のソクジュをインタビューしてきてほしいと頼まれ、ふたりは再会します。実は高校生のとき、インボムを訪ねてきたソクジュを見てジョンヒは胸がときめいたことがあったのでした。また、ジョンヒが通信制の大学に通っていたころ、ハキハキと自分の意見を言うジョンヒの姿にソクジュは胸がときめいたことがありました。そして3度目の出会い。ソクジュはジョンヒの小説「鉱夫の娘」の映画化を提案します。そしてジョンヒからこの小説は姉の話であると聞かされ、インボムが従妹だといっていたチャヒが実は恋人で、子供までいることを知ります。


     


    インボムもチャヒに子供がいることを知りますが、いまさらあとには戻れないとソクランとの結婚を強行しようとします。そのころソクランは、インボムの母に会い失望します。育ちが違いすぎることから、結婚に不安を感じ始めるのです。そこへインボムに隠し子がいることがばれ、ソクランは婚約を破棄してインボムを忘れるために留学を選びます。


     


    ソクジュは映画の撮影のために炭鉱村へ行き、タイトルを「若者のひなた」に変えたとジョンヒに伝えます。ふたりはなんだか恋人になりそうなムードです。ソクランにも捨てられ、ソクランを踏み台に手に入れた地位も失ったインボムが、ソウル大学でソクランやソクジュと出会ったころの野望に燃えていた自分を思い出しているところでドラマは終わります。


     


    以上が「若者のひなた」のストーリーです。次回は、さらにこのドラマの魅力に迫ります!


    ニッコリア
    Cho!エンタメコラム
    http://ni-korea.jp/cho/index.php?id=090727#leftblock

    新政権のエレクトロニクス政策発展政策担う「知識経済部」に期待

    新政権のエレクトロニクス政策発展政策担う「知識経済部」に期待


    from 韓国




    趙 章恩(チョウ・チャンウン)
    ITジャーナリスト

     2008年6月17~18日,韓国ソウル市で「OECD(経済協力開発機構) IT大臣会議」が開催された。韓国の政府機関は,アジアでは初開催となる同会議を招致したこと,そして韓国がITやエレクトロニクスの強国としてイニシアチブを取り続ける意思があることを内外に示す絶好の機会であるため,会議の準備を優先的に進めてきた。これにより,IT技術や製品の世界での販売力の強化につなげる狙いがあった。


     例えば,韓国で年に数回開催されるIT関連展示会を同会議の付帯イベントとして前倒し,「World IT Show 2008」として同時開催したほどである。


     OECD IT大臣会議には世界42カ国の大臣や政府代表,民間企業の代表者など3000人以上が参加した。韓国Samsung Electronics Co., Ltd.や韓国LG Electronics, Inc.の最新の携帯電話機,韓国KT社のIPTV用セットトップ・ボックスなどが展示され,合計で20万人以上の来場者が訪れた。


    続きは日経エレクトロニクス(2008年7月14日号)で

    第37回:視聴率No.1はやっぱり「ドロドロの不倫劇」 人気女優が大胆悪女に初挑戦!















    第37回
    視聴率No.1はやっぱり「ドロドロの不倫劇」

    人気女優が大胆悪女に初挑戦!


    2007年6月7日


     5月5日は子どもの日、8日はオボイ(両親)の日、14日はローズデイ、15日は先生の日とイベントが多い韓国の5月。プレゼント費用でごっそりまとまった出費をしなくてはならない月でもある。

     子供の日と両親の日があるせいか、韓国では「5月は家庭の月」といってテレビでもよく特番が組まれる。両親を亡くした子供の健気な生活や大家族のほのぼの生活などが定番だが、それとは裏腹にこの5月、月曜から日曜まで、朝ドラも1日ドラもミニシリーズ(月火・水木・土日週2回のトレンディードラマ)も金曜ドラマも、どうして不倫ばかりなんだろう。







    「私の男の女」今年40歳になったとは思えない抜群のプロポーションでファッションリーダーとして人気のキム・ヒエ。俳優生活25年で初の悪女役に挑戦
    (c) SBS
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    ●女同士で殴る蹴るの壮絶なシーンが人気!?

     視聴率1位のSBS「
    私の男の女」は、端正で淑やかな女優の代表格であるキム・ヒエが、親友の夫を奪う悪女に初挑戦ということでも話題だが、女同士で殴る蹴るの壮絶なシーンが続き視聴率が一気に上がった。

     キム・ヒエは、韓国で有名なベンチャー会社の社長と結婚し2児の母でもある。そんな彼女がヌード同然の衣装を着て派手なラブシーンまでこなすという、あまりにも大胆な役に挑む理由は、夫のビジネスが上手くいかないせいではないかという憶測まで生んだ。それぐらい破格的な変身である。

     このドラマでは、夫の浮気に苦しめられる、格闘技が趣味という主人公のお姉さんが裏主役で、妹の夫を奪うキム・ヒエを何度も思いっきり殴りとばす。

    お金持ちのマダムなので、妹の憂さ晴らしに何でもしてあげようとするお姉さんに主婦の視線は釘付け! 「こんなお姉さんがいたらいいな~」とストーリーの展開に関係なく、お姉さん役のハ・ユミの人気は急上昇している。









    「私の男の女」これです。妹の親友が妹夫と浮気をしたなんて! 怒り狂ったお姉さんの殴り込み、壮絶なバトルシーンから視聴率は一直線に上昇 「私の男の女」専業主婦で無邪気で大人しい妻と色気たっぷりで激しい女医の間で揺れる夫

    ●ユン・ソナの韓国復帰作もやっぱり不倫

     SBS金曜ドラマでユン・ソナの韓国復帰作でもある「
    恋人よ」も、それぞれ結婚した元カップルが隣の家に住みながら不倫をする。

     MBCの「
    悪女善女」では、痴呆症の祖母に姑、そして自分の初恋の女性が産んだ娘を実の子以上に大事に育ててくれた奥さんを捨て、その初恋の女性と6年もの浮気の末、家出。果ては、海外へ逃げようとする夫が登場する。






    「幸せな女」左には再婚相手のキム・ソクフン、右は元夫のジョン・ギョウン。これは幸せだ。刑事役のキム・ソクフンは久々にいい役にめぐり合えた感じでいい演技を見せている

     KBS「幸せな女」は、夫の成金両親が浮気を公認、「お前のような身分の合わない嫁はいらない」と離婚を催促する始末。妻は夫に知らせず離婚してから出産、いい人と出会い再婚しようとするが、そこに元夫が現れ「やっぱりお前しかいない」とすがりつくというストーリー。どのチャンネルも不倫ドラマだらけだ。

     そうそう、不倫ドラマといえばこれも見逃せない。日本でもケーブルチャンネルで放映されているKBSの「夫婦クリニック-愛と戦争」は、1999年放映開始以来、金曜日の夜の時間帯では13~15%と最高視聴率を維持している。

     離婚を前提に裁判所に来た夫婦の「どうして離婚したいのか」を、夫の立場、妻の立場から再現するドラマだ。韓国ドラマにしてはかなり過激なベッドシーンや暴力シーンもあり議論になったりもしたが、根強い主婦ファンのおかげで長寿番組になっている。“不倫”“経済的な問題”“夫または妻の家族のいびり”の3点セットによる離婚が多い中、これはもしかしてあの人のこと? と思わせるような「財閥の御曹司と女優の離婚」「大学教授のセクハラ騒動」「年下彼の結婚詐欺」といったエピソードも登場するから目が離せない。

    ●私はもっと幸せになってやる!

     韓国の視聴者は、この頃の不倫ドラマに関して以前とは違う反応を示している。「夫が家庭に戻って来るのがハッピーエンドではない。浮気をした夫を許し家庭に戻らせるというストーリは陳腐すぎる。若くて健康だったときは浮気ばかりして歳をとって病気になったら奥さんに戻ってくるという設定は気にいらない」と。ドラマの内容も「女性」を主人公にしたものが多くなったので、「夫が浮気? あ、そう。それなら私はもっと幸せになってやる!」とばかりに自分の人生をリセットする。

     SBS「私の男の女」では、夫を寝取られた不幸なはずの妻も、通帳と家を慰謝料にもらい、すっきりした表情で離婚する。離婚を知らない夫の両親や知人の集まりには妻の顔をして参加し、不倫の末に男を勝ち取ったはずの親友キム・ヒエが腸を煮えくり返らせるようなこともよくする。それに離婚を待ってましたとばかりに長年自分に想いを寄せていたという男性にも出会う。離婚は不幸の始まりではなく、妻にとっても新しい恋愛の始まり、という展開になっているから面白い。「私の人生から夫を退場させ、私を好きと言ってくれる格好よく経済的余裕もある年下彼と子供と一緒に第2の人生を歩む」、これって夫婦喧嘩の後に一度は夢見る主婦のファンタジーではないだろうか。

     韓国で不倫ドラマが人気なのは、このように糟糠の妻が負け犬ではなく、離婚を契機に悪戦しながらも新しい人生にチャレンジして生まれ変わるという成功ストーリーになっているからだ。

     2000年に大人気だったドラマ「アジュンマ(おばちゃん)」や2004年の「2度目のプロポーズ」はまさにその典型。離婚した専業主婦の妻たちは、子供を養うために手探りでお店や会社を興し、周囲に助けられてとんとん拍子で成功していく。これはまさに現実離れしたファンタジーなのだけど、「私もそうなるかも?」と感情移入してしまうのは仕方ない。

     韓国の離婚率は3組に1組というほど高い。筆者の周りも出戻り組、ドルシン(ドラオンシングル、戻ってきたシングル)が増えているし、子連れ再婚カップルも増えている。だがテレビのドキュメンタリー番組などを観ると、離婚して子供を抱え、養育費ももらえず貧困に苦しむ母子家庭は少なくない。韓国では、離婚後養育費を払うよう強制はできない。物価は日本と変わらないのにパートの時給は1時間400円~700円、失業率の高いこの国で主婦が再就職するのは至難の業だ。なので、やっぱり離婚だけは躊躇する奥さんも多い。

     もっと面白いのは、SBS「私の男の女」では、不倫の末に結ばれた男女が日常を一緒に送ることにより、またお互いに飽きてしまうという内容に差し掛かっていること。女は男とままごとのような新婚生活を楽しみたかった、だが男は「蒸したじゃがいもが何でこんなにおいしくないんだ」「掃除はしないのか」と些細なことも元妻と比較し、肉体的関係以外の日常的な生活は噛み合わなくなる。まさに「ざま~みろ~」とも言うべきシーンが続く。不倫のその後を描いた物語りについては、あまりドラマの素材になることがなかったせいか、かなり新鮮だ。

    ●いよいよヨン様の出番となるか!?

     韓国のドラマはご存じのとおり、“通事故”“記憶喪失”“異母兄弟の恋”“アメリカ留学”“偶然の再会”という基本的なルールに沿わないと視聴率を取れない。不倫ドラマもこれに負けず「またかよ!!」という場面が多発する。でもストーリは関係ない。セカンドライフじゃないけど第2の自分というか、多くの主婦が自分の喜怒哀楽を投影できるキャラクターがいるドラマはヒットする。ドラマを観ながら、同時に視聴者掲示板に主人公になりきり意見を書き込む廃人の中に主婦が多いのも頷ける。

     ヨン様の「太王四神記」が放映延期となり、その埋め合わせとしてMBCで放送されるドラマ「賢母良妻」もタイトルとは裏腹に不倫物だ。主婦向けファンタジーである不倫ドラマを観ながら本物のファンタジー大作ドラマを待つというのも悪くないね。6月こそはヨン様の出番となることを祈りたい。

    By-
    RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情 
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    OECD報告書の波紋、韓国の携帯電話利用料値下げ圧迫

    経済協力開発機構(OECD)が会員国の情報通信政策と料金をまとめて2年に一度発表している「OECDコミュニケーションアウトルック」が韓国移動通信業界に波紋を巻き起こしている。OECDの料金比較は約款上の標準料金の比較で、通話量別料金を比較している。

     韓国のGDPは会員30カ国の中で22位にすぎないが、移動通信利用料は2007年に比べ14%ほど安くなったものの、通話量が少量(月44分)だと25位、中量(月114分)で19位、多量(月246分)になると15位とかなり高いことが分った。さらに、韓国の家計支出に占める通信費の割合は5.6%で、OECD平均2.45%の2倍以上だった。


     OECDの報告書が発表される直前、韓国消費者保護院も韓国の移動通信通話料は1分当たり0.1443米ドルで、移動通信利用時間や通信環境が似ている15カ国の平均は0.1024米ドルであるとし、韓国の通話料は高すぎるといった報告書を発表していた。


     消費者団体や加入者の間では、標準基本料金(月1万2000ウォン)または標準通話料(10秒18ウォン)のどちらかを値下げするよう要求する動きが強まっている。消費者団体は、移動通信キャリアが料金を値下げしているといいながらも営業利益は毎年伸びていることを指摘している。OECD会員国の中で通話料が最も安い国は、フィンランド、オランダ、スウェーデンで、MVNOが盛んなヨーロッパに集中していたため、第4のキャリアを認可するか、MVNOを始めるか、政府が積極的に競争できる市場環境を作らないといけないのに、事業者の言いなりになっていると不満を持っている。


     所得に比べ料金が高すぎるという論争は、移動通信サービスが始まった頃から変わっていない。何度も繰り返されてきた。ところが料金の認可を担当している政府は、料金値下げは市場に任せるとしながらも、OECD報告書の算定方式には疑問があるとして解明のためのセミナーまで開催した。


     国内外から料金が高すぎると攻撃された移動通信キャリアは、早速反撃に乗り出した。

    韓国は音声通話の利用時間が長いため、基本料は高く通話料は安くなるよう割引を適用しているが、OECDは標準料金だけを比較対象にしているため料金が高いように見えるだけというのだ。料金が高いのではなく、通話時間が長いので料金が高くなるのは当たり前ではないかという説明である。キャリア側は、モバイルインターネットが発達しているため音声通話をあまり使わなくなる世界的傾向とは違って、まだ音声通話が中心の韓国と海外の料金を一概に比べてはならないと主張している。韓国の月平均音声通話時間は約313分で、OECD平均をはるかに上回っている。韓国のキャリアの売上の約8割が基本料金と音声通話から生まれているほどだ。

     移動通信市場シェア1位のSKテレコムは標準料金に加入しているユーザーは19%にすぎないので、各国の通信環境を考慮していないこのような料金比較は信頼できないと反発している。割引制度を多様化しているので、標準料金は高くても、そこからあれこれ割引されるので合計額から利用料を割り出すと決して高くないと説明している。しかし消費者側は納得できない様子だ。


     放送通信委員会は消費者団体の意見を受け入れ、ナンバーポータビリティを利用して新規加入したり、2Gから3Gへ機種変更する際にもらえる端末購入補助金制度を見直したり、端末を買い替える代わりに料金を割り引きしてもらえる制度を導入する方案を提案した。一部のユーザーが新機種を安く手に入れる方法としてナンバーポータビリティを繰り返していることから、同じ端末を長く使うユーザーにもメリットがあるようにするためである。キャリア側は端末補助金か料金割引か、どちらかしか提供できないという立場である。


     高いと評価された移動通信料金とは違い、ブロードバンド料金は1秒当たりMbyteに換算するとOCED会員国の中で3番目に安かった。最も安いのは日本で0.07ドル、アメリカ0.25ドル、韓国0.34ドルの順だった。


     通信設備輸出に関しては2007年基準297億8800万ドルでOECD1位、通信設備輸出入による貿易指数も247億4800万ドルで1位を占めた。GDP対比通信設備輸出割合は2.07%で、OECD平均の0.43%を大きく上回った。


     韓国ではOECDや海外シンクタンクの各国比較レポートがマスコミで大きく取り上げられ、韓国が何位に選ばれたのかとても過敏に反応する。内需が小さすぎて輸出に頼って生きていくしかない構造のせいか、海外で韓国がどのように評価されているのか神経を尖らせている。仕方ない部分もあるのだが、OECD報告書に押し倒されるような通信料金値下げはいらない。移動通信サービスは内需向けのサービス産業なのだから、外側よりも内実を充実させてほしい。問題は所得に比べて高い料金なのだから、個人的には数百円の料金の値下げより、料金が高くても文句なく払えるよう雇用安定や最低賃金についてもっと悩んでもらいたいものだ。

    (趙 章恩=ITジャーナリスト)

    日経パソコン
    2009年8月26日

    -Original column
    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090826/1018101/

    独創的な人材の確保がグローバルな競争力の源泉に―韓国Samsung編(最終回)―

    独創的な人材の確保がグローバルな競争力の源泉に―韓国Samsung編(最終回)―

    趙 章恩(チョウ・チャンウン)
    ITジャーナリスト

    韓国ソウル市の江南駅の近くに建てられた,韓国Samsungグループの超高層ビル群─。このビル群の一角に「未来戦略グループ(Global Strategy Group)」という極めて優秀な人たちで構成される組織がある。メンバーのほとんどが「S(Super)」クラスと呼ばれる外国人である。

     世界のMBAトップ10に入る大学の出身者や博士号を持つ人ばかりで,誰もが知る世界屈指の大企業で5年以上の実績を持つ人たちだ。海外から引き抜いたこうした人材は,未来戦略グループで2年間経験を積んでから,各グループ会社に配属される。

    続きは日経エレクトロニクス(2008年3月24日号)で