<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>13.今回のテーマ■eラーニング(下)

育費負担」の減狙う 際協力にも積極姿勢




 


 韓では2004年1月に「eラニング産業展法」が制定され、公共機eラニング導入が義務づけられている。その体である「韓eラニング産業協」は「eラニング認証事業」も展開している。eラニング企業として備えるべき基本事項を審査し認証マクを行することで、eラニングを導入する企業などには客的な選の根を提供し、またeラニング事業者は認証を得ることでマケティングのきっかけをつくることになる。認証事業は政府のeラニング統合品質認証事業に大される予定である。



 さらに、08年にはeラ
ニングを導入しようとする中小企業7社を選定し、コンサルティングやシステム構築費を支援している。システム構築はeラニング認証を受けた企業に任せている。政府と協が一eラニングの需要も掘り起こし、供給とつなげることで産業を活性化させようと努力している。添付画像


 


 育熱が高い韓では、家計消費に占める育費の負担が大きすぎるのが問題になっている。政府は受生を抱える家庭の「育費負担」を抑えるために、eラニングを使った大を推している。このように、需要の高い大からeラニングを使わせることで、社心を高めることに成功した。政府は育放送EBSの全講義をインタネットからビデオオンデマンドで利用できるようにし、育放送の容から大入試問題を出すとまで表した。地方と都市部の育水準の格差、所得水準による育の格差をなくすための置でもある。地方自治体のなかには住民サビスの一環として、ソウルで有名な予備校講師の講義動を自治体のWebサイトやIPTVを利用して無料で提供するところもある。リアルタイムで映像をながら講義を受け、インタネット由で質問もできるeラニングも、塾や予備校が少ない山間離島地域の中高校生には人が高い。


 


 韓政府は、情報化やブロドバンドインフラの構築と同時に、eラニングの導入普及にも90年代から力を入れてきた。際交流や技術の輸出も積極的に行っていて、07年に第1回ユネスコ育情報化賞を受賞している。韓eラニング産業はシステムや技術開から、仮想現コンテンツ開、デバイス開へなど、範がりつつある。

(趙
章恩●取材/文)


 


BCN This Week 2008年10月6日 vol.1254 載]     Link

サムスン電子の「モバイル・コンバージェンス」とは?――Mobile World Congress 2008より

2月11日よりスペイン、バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2008」(旧3GSM World Congress)には韓国の携帯電話ベンダーや通信キャリアも参加し、「世界初」と冠の付く技術を多数公開している。今回はその中でサムスン電子の注目製品を取り上げたい。

 サムスン電子は「モバイル・コンバージェンス時代の新しい方向性を提示したい」とし、日常を便利にしてくれる技術を展示した。その中でも注目されたのは超小型モバイルプロジェクターだ。携帯電話につなげて使うモバイルプロジェクターの商用化製品が公開されたのはこれが初めてのこと。


 外形寸法が約70mm×70mm×21mmと手のひらに収まるほどにまで小さくなった「モバイルプロジェクター」は、携帯電話に保存しておいたPower Point形式、写真、動画などのファイルと、モバイル向けの放送を大画面で見られるようにしてくれる。携帯電話とモバイルプロジェクターさえあれば、どこでも会議室や映画館になってくれる。以前、サムスン電子のショールームにあったモバイルプロジェクターはかなり重く、サイズも大きかったこともあり、「大型テレビが普及している中で、わざわざ家庭やオフィスで携帯電話とモバイルプロジェクターをつなげて映画を見るかな?」と思っていたものだが、持ち運べるプロジェクターには使い道が色々とありそうだ。場所を選ばずにプレゼンテーションができるというのもいいが、家族だけの野外映画館もいいね。


 プロジェクターはVGA級の鮮明な画質をサポートし、一般的な室内環境であれば10インチまで、暗い場所では50インチにまで画面を拡大できる。バッテリーは映画一本を無理なく見られる程度にもち、携帯電話だけでなくDVDプレイヤー、ビデオカメラ、PMP(ポータブルマルチメディアプレーヤー)、ノートパソコンなど多様な電子機器と連動できる。2008年3月、韓国で先行発売される予定である。


 また最新のWindows Mobile搭載スマートフォン「i780」をホームネットワークシステムのリモコンやサーバーとして活用し、テレビ、ノートパソコンなどに各種コンテンツを送信し制御する新技術を披露した。i780は、韓国産の携帯電話としては初めてDLNA(Digital Living Network Alliance)認証を獲得している。「DLNA」はインテル、サムスン電子、ソニー、IBMなど200社余りの企業が結成した異なるメーカー間の機器を簡単に相互接続するための規格を策定している業界団体。DLNAの認証を獲得すれば、ホームネットワークを経由して、製品に保存されているデジタルコンテンツを自由に共有したり制御したりできるようになる。i780はHADPAとGSM/GPRS/EDGE互換通信方式にQWERTYキーボードとフルタッチスクリーンなど、2008年に人気を集めるといわれている要素をすべてそろえた最先端のマルチメディア型スマートフォンだ。


 タッチスクリーン型携帯電話「F700」の後続モデル「F490」も公開された。F490は既存の携帯電話端末とは違って3.2インチのワイド液晶を全面に搭載し、映画などのマルチメディアコンテンツを視聴するのに向いている。ほかにも、500万画素の高画質カメラを内蔵し、3.6MbpsのHSDPAとBliuetooth 2.0に対応、メモリーは130MB搭載するである。F490は2008年2月中にヨーロッパで発売される予定で、価格は約530ユーロ程度を考えているという。


 最後にサムスン電子の戦略を簡単に紹介したい。


 サムスン電子 情報通信総括社のチェ・ジソン社長は、2007年に世界携帯電話市場のうち14.3%(1億6100万台)のシェアを記録したが、2008年にはこれより5%以上増加した2億台以上の携帯電話を全世界に販売し、世界における携帯電話の市場シェアを20%以上に引き上げるという目標を明らかにした。高機能なハイエンド端末から普及型端末まで、全分野の市場を攻略することで「携帯電話はサムスン」というイメージを高めると同時に収益構造を安定させるのが狙いだ。


 チェ社長は「多様な事業部を持つサムスン電子だけの強みを発揮し、携帯電話が多様なIT機器のハブになる、『モバイルハブ』時代を主導していきたい」とコメント。最近話題になっているサムスン電子によるモトローラの携帯電話事業部門の買収については「重複している事業が多くシナジー効果がないので興味はない」とはっきりした態度をみせた。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年2月13日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080213/293710/

携帯電話の料金値下げ騒動、規制緩和が逆に独占を促す可能性も(2)

韓国の新政府は、規制を緩和することで自由競争を促進し、その結果として通信料金や通話料金を引き下げ、家計のコスト負担を軽くするという公約を打ち出している。そのために、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)の導入やUSIMのロック解除、セット販売の規制緩和などで市場競争を極大化させ、値下げ競争も勃発させるという方針だ。競争を活発化させるのはいいが、これが逆に大手1社の独占状態を作ってしまう可能性も大きいのである。

 セット販売の規制が緩和されたことで、ブロードバンド通信、固定電話、IPテレビなど他の通信サービスとセットで使うユーザーの月額料金を割り引くことが可能になった。これを受けて、携帯電話のシェア1位のSKテレコムは、ブロードバンドISPで2位のハナロテレコムを買収し、ブロードバンドとIPテレビ、IP電話、携帯電話を一つにセット化した料金制度を開始する見込みだ。ブロードバンド1位のKTの子会社でありながらもこれまで別運営だった携帯電話のシェアで2位のKTFは、KTと合併して本格的に携帯電話とブロードバンドを合わせたサービスを提供したいと発表した。3位のLGテレコムもグループ会社が光ファイバーとIP電話、IPテレビを提供しているので、携帯電話と連携した料金制度を提供しようとしている。


 しかしブロードバンド市場で圧倒的なシェアと資金力を持つKTが携帯電話市場をも牛耳るようになれば、料金を一方的に安くしてシェアを独占できる。しかもKTは衛星放送や映画制作会社も傘下に抱えているので付加価値を付けやすい。このままではKTが携帯電話でもシェアを独占するのは時間の問題かもしれないと言われている。独占までは料金を安くして、良いサービスも提供するが、一旦競争相手を潰してしまえば、その後はやりたい放題になるのではないか。杞憂かもしれないがそう考えると怖くなってしまう。


 通信料金が安くならない理由の一つに、大手の通信キャリアが通信料を勝手に決められないという制度的問題がある。例えばSKテレコムの場合、シェアが50%を超えているため料金を自由に決められず、政府が認可する料金でサービスを提供しなければならない。これはシェアの少ない事業者を保護し、市場支配力を最小限にとどめさせるためだ。この制度によりKTも有線のブロードバンド料金を勝手に値下げできない状況にある。SKテレコムは「料金を安くしたくてもできないようにしていたくせに、今となってもっと安くしろ、もっと削れと言うことは、会社の利益は考えるなということか」と不満を漏らしている。事業者が自由に料金を決められるようにすれば、競争に応じて通信費は安くなる。この規制をなくす方が、セット販売の規制を緩和するよりも先ではないだろうか。

通信費を安くできないもう一つの理由は補助金にある。2008年3月から「端末補助金規制」が廃止され、通信キャリアは顧客に対して端末を安く提供できるようになる。補助金とは、顧客が新規加入や機種変更で端末を購入する際に、通信キャリアが一定金額を補助して、顧客が安く端末を購入できるようにする制度だ。今まで韓国の携帯電話端末が、日本円に換算して8万~9万円もするのは、この補助金が規制されていたためだと言われている。


 通信キャリアにとっては補助金を自由に使えるようになったからといって、そんなに嬉しくはない。去年は限定的に3Gの加入者に対しては端末補助金を支給できたので、3G端末を購入するユーザーには格安端末(1ウォン携帯や無料携帯)を支給していた。しかし、身を削る競争の末、マーケティング費用を使いすぎて営業利益が予想を下回った通信キャリアも登場した。


 今年3月からは、3Gと2Gの購入者に端末補助金を自由に出せるようになる。そうは言っても、もうその余力はないと各通信キャリアはしり込みしていたのだが、シェア2位のKTFがついに先頭に立って3G端末を2年間の月賦払いで購入すると半額になるという端末補助金支給を開始した。長く加入してもらうことで、補助金を出したとしても利用料で利益を十分出せるという考えで始めたことは想像に難くない。逆に言えば、通信費を安くしてしまうと自分の首を絞めてしまうので、それはできないというわけだ。ちなみに、残りの通信キャリア2社は、補助金制度がまだ解禁されてもいないのにこんなことをされては困る、公正取引違反だ、と反発している。


 韓国の通信キャリアはよく期限限定の料金プランを発表したり、とんでもなく安い料金プランを発表したりしてはすぐにそのプランをやめてしまう。制度問題もそうだが、通信費などを安くするために、先を見すえて企画を打ち立てていないことの表れだろう。


 代表的なのが「カップル料金」。2台の携帯電話を同時に加入して「カップルプラン」にすると、基本料金だけで2台の携帯電話間の通話は無料とSMSの送信が無料かつ無制限というものだった。このプランで、通信キャリアの予測を大きく上回る通話トラフィックが発生し、結局1年ほどでプランをやめてしまったになった。その後も懲りずに2台間の通話が100分間無料、SMSの送信は無制限に無料で利用可能、毎月の映画予約チケット(自由に映画を選択できる)を2枚贈呈といった面白い企画を打ち出しては、予想外に加入者が多くなり、営業利益が落ちる可能性があるのでプランを一方的に打ち切ったりしている。


 長い目で見て料金プランを企画すれば加入者にとってはより安く、企業にとっても利益をあげられる構造になると思うのだが、今回の値下げ騒動を見ると政府も通信キャリアも鼻の先しか見ないで大騒ぎしているように見えてしまう。企業も得して加入者も得する携帯電話料金値下げになってくれるといいのだが、まだまだ道は険しいようだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年2月6日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080205/293131/

携帯料金値下げ騒動、通信費を安くする妙案とは(その1)

2007年、韓国都市部の労働者は1カ月平均で13万5000ウォン(1万6200円)の通信費を使い、このうち携帯電話料金の占める割合は約6割に当たる8万3200ウォン(約1万円)だった。家計支出のうち通信費の占める割合は5.6%。これはOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最高水準だという。この発表のせいだろうか、新政府は通信会社や移動通信キャリアに通信費の20%値下げを要求した。企業が自由に競争する中で料金が下がるのならともかく、政府が無理やり値下げを要求するのはひどい、と論争になっている。

 韓国の携帯電話料金は標準プランの場合、基本料金は1万5000ウォン(1800円)前後、通話料は10秒当たり18ウォン~20ウォン(2.2~2.4円)となっている。ビジネスマンだと電話もデータ通信も使わざるを得ないので、月に6万~10万ウォン(7200~1万2000円)ほど支払っている。所得は日本の3分の2から2分の1なのに、通信費は日本とそれほど変わらないわけでかなり厳しい。これに端末料金まで考えると家族4人の携帯電話料金だけで所得の大半が消えてしまうことになる。


 こうした情勢の中、韓国キャリアは2007年末から電話料金値下げの一環として日本のソフトバンクモバイルのホワイトプランをまねた「網内割引」を始めた。月額2500ウォンを追加すると、同じキャリアの加入者間の通話料がSKテレコムの場合で50%、KTFならば30%安くなり、LGTだと無料というプランだ。


 SKテレコムはシェアの50%以上を占めているので加入者間の通話も多い。加入者の全通話時間の内、加入者間の通話比率は53%におよぶ。そのため「網内割引」プランの普及には意欲的で、テレビCMをはじめ、3カ月以上もマーケティング攻勢を続けている。しかし加入者間割引に加入したユーザーはたったの7.6%にすぎず、ユーザーはあまり興味を示していない。加入者間通話の割合はKTFは30%、LGTは23%しかなく、割り引きのメリットを感じられないユーザーが多いのか、ほとんどがこの料金制度を選んでいない。新政府はユーザーが望まない料金プランをたくさん作るよりも、確実に値下げ効果のある基本料金や加入費に手をつけたくてうずうずしているようだが、政府であってもそこまではできないだろう。


 SKテレコムは、網内割引は割引率が高いので加入者の70%はこのプランを選択すると見込んでいたが、予想が大きく外れた。例えばSKテレコムの加入者で月200分ほど利用するユーザーの場合、平均53%が加入者間通話だとすると、割引される料金は約6360ウォン(763円)、追加料金2500ウォン(300円)を差し引いても3860ウォン(463円)お得になる。それでもユーザーにとってみれば、そもそも音声通話そのものをあまりしなくなったので加入者間の通話割引はそれほど魅力的ではない。家族割引や指定番号割引はからあったので、加入者間割引で大きくシェアを伸ばした、なんてことは韓国で起こらなかった。


 通話料だけでなく、SMS(ショートメッセージ)も80バイト当たり30ウォンだったものを、20ウォンに値下げしているので、これ以上の値下げは難しい。通信キャリアは、どこを絞れば料金を値下げられるのかアイデアがほしいと言うほどだ。通信キャリアは基本料金と加入費(加入手続き事務料金)にだけは手をつけないでほしいと大反対しているため、あくまでも通話料やデータ料金を値下げするしかないのだが、一体どこを削ればいいのやら悩ましいのは通信キャリアも政府も同じだろう。


政府の担当者からは、携帯電話料金を安くするため電話をかける人も受信する人も課金してはどうかといった双方向課金制の意見や、従量制のように通信や電話を一定量以上たくさん使う人には2~3倍の料金がかかるようにしてはどうかという意見が出た。


 これまた「電話代の割り勘なんて一体どういう発想だ」、「通信と電話は空気のようなライフラインなのに、これじゃ料金が怖くて使ってられない」と議論になった。「電話はかける人が電話料を払うもので受信する人もお金を出すなんて、負担が大きすぎて電話に出れなくなるではないか」、「国際ローミングじゃあるまいし受信するのもお金がかかるなんてひどい」、「通信費の負担を軽くするといったのに、その妙案というのが消費抑制なのか?」とネットでの抗議の書き込みも絶えず、キャリア側も電話やデータ通信をたくさん使ってくれる顧客ほどありがたいVIPとして待遇するのが資本主義なのに、こんなのあり?という反応で「これは企業のマーケティングを否定する発想である。通信と電話の消費を押さえ込もうとする、通信市場について何も知らない素人に勝手なことを言われては困る」と猛反発したことから、このアイデアはなかったことに、ということになった。


 このほかにも携帯電話料金を安くできるという制度改革案が登場している。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年1月30日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080130/292455/

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>12.今回のテーマ■eラーニング(上)

eラニング際博覧会を開催 デジタル科書に注目集まる


 




 韓国内外の優秀なeラニング製品と技術が一堂にする「2008年度eラニング際博覧会e-Learning Expo Korea 2008)」が2008年9月9日から11日までソウルで開催された。今年で3回目のこの博覧会は「Design Your Future with e-Learning(あなたの未eラニングと共に)」をテマに、韓の中央官である文化光体育部、育科部、知識経済部が共同主催している。そのほかにもなど8機が共催する大規模な展示と、際カンファレンスの同時開催となった。



 カンファレンスは、創意的人材養成のための
育情報化政策および未来教育力量化をテマとする「eラニンググロバルリズカンファレンス2008」のほか、アジア各eラニング政策や協力の方策などについて議論する「アジアカンファレンス」、新しいシステムやデバイスに合った育コンテンツを議論する「エデュテイメントアジアコングレス」などに分かれ、熱い議論が展開された。


 


 展示には韓から70社、海外12かから20社が加。テマ館、企業館、際館、大eラニング支援センタ館に分けられた300ブス規模で開催された。カンファレンスは門家や係者向けだが、展示は一般客向けにeラニングとはどんなものかをめるのが役割なので、しく体できる展示が並んだ。添付画像


 


 特に注目を浴びたのは未室システムを体できるユビキタス室とデジタル科書、130インチの電子板、科書の映像コンテンツを見ることができる仮想現のような像機だった。これは際にソウル市郊外の小校に導入され実験が行われているシステムで、展示場では誰でも機材を使って授業を体できるコが設けられた。


 


 テマ館は政府のeラニング支援政策を報するもので、小校で実験が行われているユビキタス室、デジタル科書、HMD(Head Mounted Display)を活用した育システム、師向けNEIS(育行政情報システム)、ロボット、増強基盤次世代eラニングなど、政府の支援で行われた各種技術が展示された。企業館では海外30かから招待されたバイヤとの輸出商談が開催された。

(趙
章恩●取材/文)


 


 BCN This Week 2008年9月29日 vol.1253 載]Link


 

韓国ネットカフェの80%が廃業危機に瀕する事態に

 IT韓国の象徴でもあり、自動車産業よりも大きいといわれるオンラインゲーム業界。それを支えていた全国2万店以上あるPCバン(ネットカフェ)の80%が廃業の危機に陥った。建設交通省が発表した「PCバン関連建築法施行令改定案」によって、4車線以上の大通りに面するPCバンだけが営業できることになったからだ。


 この改定案では、150平米未満でなければならなかった住居地域内にあるPCバンの店舗面積を2倍の300平米にする代わりに、幅が12メートル以上ある道路(4車線道路)に面しているPCバンだけが事業登録できるという条項が新設された。4車線に面していないPCバンが全体の80%に相当するため、約1万6000店が廃業を余儀なくされる運命にあるというわけだ。2008年5月からこの法律が適用される。中小都市はもちろん、田舎の町村や島にはそもそも4車線もの大通りがないことが多いので、そうしたところではPCバンの姿は見られなくなる。


 なぜこんなことになったのだろうか。


 韓国のPCバンのほとんどは住宅地にある30席未満の小規模な店舗で、母親の監視を逃れて「とことんオンラインゲームをしてやる!」という小中高校生がよく利用する場所である。PCバンでメールを確認したり会社の仕事をこなしたりする人はあまり見かけない。というのも、ノートパソコンと無線LANが普及したことや、全国の郵便局や市役所、区民センター、ファーストフード店にインターネットが無料で使えるパソコンが置いてあるので、ちょっとしたネット検索やメールの確認にはそれを利用すればよいからだ。


 韓国ではインターネットを利用する場所でもっとも多いのは自宅なのだが、ことオンラインゲームとなるとPCバンでゲームをする人が多くなる。というのも、自宅でオンラインゲームを利用すると月3万ウォン(約3700円)ほどの料金がかかるところ、PCバンで利用する場合はPCバンの利用料金として1時間1000~1500ウォン(約125円~185円)だけを払えばオンラインゲームをいくらでも利用できるからだ。特に、受験勉強で忙しい子供たちはちょっとした息抜きにPCバンでオンラインゲームに興じる。


 韓国では、オンラインゲームであってもネット上の見知らぬ人とゲームを楽しむのではなく、PCバンに友達が集まってわいわいと騒ぎながら遊ぶユーザーが多い。それに、オンラインゲーム会社が全国のPCバンを回ってイベントを開催することも多い。このため、「PCバン=オンラインゲームテーマパーク」のような存在だった。


 一方でPCバンについては問題点がたくさん指摘されていた。例えば、中高校生がオンラインゲームでレベルアップするためにPCバンに数日間も閉じこもってゲームをしては過労で倒れたり、日本のネットカフェのように個室のあるPCバンが登場したことで子供がどんなサイトを利用するか分からなかったりで、教育関係者からの反発が多かった。個人経営のPCバンの一部で売り上げのために未成年者の深夜利用を見て見ぬふりするところもあった。ほかにも、「PCバンというのは見せかけだけで、日本のネットカフェ難民のように貧困な若者の宿泊代わりになったり、ホームレスの休憩所みたいになっているのではないか」という指摘や、「店舗内部が暗く、電化設備がぎっしり詰まっていることから消防の面でも危険性が高く、消防車がすぐかけつけられる大通りに面した環境でないといけない」といった問題点も指摘されていた。


 そんな中に「成人用PCバン」というものが登場。法律で禁じられているパソコンを利用した換金制カジノゲームや画像チャットを使った風俗営業など、PCバンとして営業申告しておきながら、中身の全然違う商売をしていた業者が摘発された。

こうしたことから、政府も青少年保護のためにPCバンを規制しなくてはならないと考え始め、PCバンを登録制にしてより厳しくしっかり管理監督する方向へと法律を変えたのである。

 この法律改定を教育関係者は歓迎しているが、廃業に追い込まれてしうまうPCバン業界はもちろんのこと、オンラインゲーム業界、パソコン業界や不動産業界などが猛反発している。


 前述のように、オンラインゲーム業者は、PCバンがなくなれば売り上げがガタ落ちになるのは必至。韓国で販売されるハイエンドのデスクトップパソコンや大型LCDモニター、マウス、キーボードを大量に買ってくれていたPCバンが消えてしまうと、パソコンメーカーのサムスン電子やLG電子をはじめ、LCDモニター関連企業やパソコン部品企業も打撃を受けるだろう。また、PCバンがなくなると、PCバンを中心に光ケーブルを普及させていた通信会社のKTやHanaroTelecom、LGパワーコムも売り上げ予測をかなり下方修正しなければならないはず。


 ほかにも、韓国のPCバンはネットショッピングやオンラインコンテンツの決済代行を行っていたり、有料オンラインゲーム用プリペイドカードの販売をしていたりした。PCバンのカウンターがエスクロー(商品取引の仲介)の役割も果たしていた。PCバンでのカップラーメンの売り上げシェアも大きかっただけに、カップラーメンのメーカーも売り上げが下がって困るだろう。


 不動産にしてもそう。住宅街の商店街ビルには必ずといっていいほどPCバンが入店しているのだが、全国で一気に約1万6000店ものPCバンが廃業してしまうとなると、長引く不景気で空きビルが増えている中で打撃が大きすぎる。


 つらつらと並べ立てたが、この建築法改定で困るのはPCバン業界だけとは限らないわけである。


 韓国では「現場を知らない公務員の机上の空論行政」に非難が集中している。法律を改定した公務員らは、PCバンへ行ったことがあるのだろうか。青少年保護と産業保護のバランスを考えない一方的な規制や法律改定は毒にしかならない。


 こんなことを書いていて、なんだか久しぶりにPCバンに行ってみたくなった。韓国のPCバンはオープン席がメインでパソコンだけが置いてある。マンガや雑誌やフリードリンクはない。イヤホンもなくて、みんなが大音量でゲームを楽しむ。数年前のことだが、PCバンで隣のおじいちゃんが「市民記者になるには、どうしたらいい?」と聞いてきたので、オーマイニュースの会員登録方法やマウスの動かし方とキーボードの打ち方を教えてあげたこともあったな。その時初めて、マウスのカーソルを当ててダブルクリックする簡単なこともお年寄りには難しく感じるのだということに気付き、デジタルデバイドについて考えさせられた。


 ちなみに筆者がPCバンでよくやるゲームは「スタークラフト」。やっぱり人間と対戦すると、どんな手を使ってくるか見当がつかないからワクワクして面白いね。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年2月27日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080227/294892/

SKテレコムはモバイルTVに集中――Mobile World Congress 2008より

韓国で最大手の通信キャリアであるSKテレコムは、バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2008」に参加し、主にモバイルTVにスポットを当てた技術を紹介した。この展示会でSKテレコムと米サンディスクは、携帯電話で放送を視聴する「モバイルTV」のコンテンツを保護できる、SKテレコムのモバイルDRMが適用されたメモリーカードを公開した。高いパケット代がかからずに楽しめるモバイルTVの人気は韓国で高く、1000万人以上の加入者を集めている。

 この事業のためにSKテレコムとサンディスクは2007年2月に覚書を締結。今後、サンディスクのメモリーカードにSKテレコムのDRM技術を搭載するための技術検証を完了した上で、DRM技術が適用されたメモリーカードを発売することになった。両社の契約によりサンディスクは、全世界で今後販売するモバイル向けメモリーカードに、このモバイルDRM技術を搭載できるようになる。


 今まで登場したモバイルDRMソリューションは、コンテンツの保存や再生機能が限定されおり、特にモバイルTVのようなストリーミングコンテンツの保護が難しかった。これに対し、SKテレコムのモバイルDRMは、モバイル通信の業界団体「Open Mobile Alliance」が策定した「OMA DRMバージョン2.0」に基づいた仕組みであり、モバイルTVサービスのようなストリーミングコンテンツをサンディスクのメモリーカードに安全に保存し、多様な電子機器から利用可能にできるとしている。同時に、コンテンツの不正送信や流布も防止できるという。


 この技術は、モバイルコンテンツをセキュアに保存したり配給したりする新たな標準になることが期待されている。この技術によって、モバイルTVユーザーはより自由にコンテンツを楽しめるようになり、モバイルTV事業者らは利用日数や利用機器に応じて多様な価格設定ができるので、ビジネスモデルの幅が広がるのではないかと展望しているからだ。


 SKテレコムとサンディスクは今後、ゲームや映画、電子ブック、動画、アニメーションなど多様なモバイルコンテンツに必要な技術開発と、韓国をはじめ全世界市場のモバイルTVと私的録画などDRM技術が活用可能な多様な市場を切り開くために協力する。


 SKテレコムは通信キャリアであるが、通信インフラだけでなくモバイルコンテンツも提供している。日本の通信キャリアと違ってSKテレコムは「プラットフォームだけ握っていてもしょうがない、どこよりもたくさんのコンテンツを確保しておく必要がある」としきりに自前コンテンツの重要性を力説しており、ここ数年は、映画会社や音楽会社を買収し、モバイルに限らずコンテンツ制作から流通まで仕切るようになった。ブロードバンド通信事業大手のHanaroを買収して有線・無線インフラのすべてを掌握し、IPテレビやモバイルIPテレビも開始した際に、売り場はたくさんあるのに売る物がないという悩みもあった。あるいは、携帯電話は売れているのにモバイルインターネットはなかなか普及しない中、SKテレコムらしいコンテンツがほしいという考えもあったのだろう。


 ほかにもSKテレコムは2008年上半期から「モバイルネットワークTV」を始めようとしている。モバイルネットワークTVはソニーが提供しているロケーションフリーの携帯電話版に近いもので、SKテレコムとCJケーブルネットが開発した。チャンネル数が100以上もあるケーブルテレビの番組を携帯電話で視聴できるサービスで、モバイルTVに比べてチャンネル数がはるかに多い。サービスを利用するためには家庭内ケーブルテレビの信号を外部に転送する「N-box」というデジタルメディアアダプターをケーブルテレビのセットトップボックスと家庭内ブロードバンドにつなげるだけ。N-boxがケーブル放送信号を携帯電話に送信する。携帯電話がつながる場所であればどこででもケーブルテレビを見られる。


 今は、携帯電話の外にはモバイルコンテンツを持ち出せないので安心という時代ではなくなった。このため、今回発表したようなコンテンツを保護しながらさまざまな機器で使えるようにする技術が必要なのだろう。韓国では「のどが乾いた人が井戸を掘る」ということわざがある。まさにその通りに、ベンダーやコンテンツプロバイダーに任せず、必要な技術やコンテンツはどんどん自分で作るというのが韓国キャリアの戦略でもある。ただ、ユーザーの利便性を高めるためのモバイルコンテンツの録画や著作権管理のあり方をどうしたらいいのかという技術だけではカバーしきれない部分の方が大きいのではないだろうか。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年2月20日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080219/294205/

韓国サムスン、低価格ミニノート参入の成算

 韓ではプレミアム志向のブランド略をとっていたサムスン電子が、いよいよ低格のミニノトパソコン、いわゆる「ネットブック」に入する。台勢の攻勢で国内も追せざるを得ないという構は韓も日本と同なのだが、サムスンの場合は別の思惑もあるようだ。


 


 日本の量販店では、モバイルインタネットに加入すると台の低格ミニノトを100円程度で買えるといった販方法が人だが、韓でも同じようなシステムが登場している。モバイルWiMAXの「Wibro」に加入するとミニノトを安く買える仕組みで、台製のミニノトが発売されてからパソコンの格競は確に激しくなっている。


 


 


■先行する台勢、デルも人


 


 インタネットショッピングモルのロッテドットコムによると、2008年8月のノトパソコン上高は全家電の20%以上を占め、このうちミニノトの比率が30%を超え、年率300%近い伸びをみせているという。


 


 


  


でも低格ミニノトは人が上昇している


 


 


 火付け役であるASUSTeK Computer、MSIをはじめ台勢の製品は日本円で3万円以下という安さでみるみるうちに韓で勢力をげ、米デルもシェアを伸ばしている。デルの8.9インチ型液晶を搭載する「Inspiron Mini 9」は49万9000ウォン(約4万5000円)程度の格であり、携電話を買うより安く10カ月無利子の分割いも利用できる。フラッシュメモリを使うSSD搭載で、HDDタイプに比べて熱や音、速度が改善されたのがりだ。


 


 こうしたなか、韓パソコン市場トップで倒的シェアを占めているサムスンもついに10月、低格ミニト「NC10」を発売する。


 


 サムスンやLG電子は韓市場ではブランドイメジを保つためプレミアム路線に固執し、携電話や家電と同にパソコンも20万円を超えるような高機能モデル中心で、格競にはろうとしなかった。このため韓国内では、「回復の見みがない不景のなか、プレミアム略だけではこれ以上れない、台勢に負けてしまうという危機を感じたからかもしれない」などと分析されている。


 


 


  


サムスンが発売する「NC10」


 


 


10.2型液晶のハイスペックモデル


 


 サムスンの「NC10」は、パソコンに慣れた目の肥えたユ対応すべくスペックや機能を高めたのが特だ。低格ミニノトの弱点といわれる小さすぎて使い辛いキドは存のノトパソコンの93%の大きさを確保し、液晶も10.2インチ型と大きい。バッテリー駆動時間も最大8時間と長いが、大容量バッテリ57.72Wh)を入れても重さ1.3キロと量にもこだわった。


 


 さらに韓では動ケティングが流行っていて、履書も紙ではなく動で作るという時代を反映して、動投稿サイトを利用しやすいよう130万素のWEBカメラも付けた。インテルのAtomプロセッサ1GBのメモリ120GBのHDD、無線LAN、マルチメモリスロット、3つのUSBポトなど、 サイズはコンパクトでも存のノトパソコンとわらないという点を調している。


 


  


 これで格は6万9000円台を予定している。今は無線LANのみに対応しているが、今後は通信社と提携してWibroやHSDPAを内蔵した製品も発売するという。品販より通信プランとセットで安く買える提携モデルで販していく考えだ。


 


  


トライジェムの「Averatec Buddy」


 


 


 韓ではこのほか、中堅のTG三(トライジェム)がサムスンより一足早く「Averatec Buddy」を発売している。10.2インチ液晶にインテルAtomプロセッサ1GBのメモリ80GBのHDD、重さはバッテリを入れて1.4キロと、基本性能はHDD容量を除いてほぼ同じで、格はサムスンより若干安い約6万4900円となっている。


 


  


 


みの国内市場、守りを優先


 


 いわゆるネットブックといわれるジャンルは、面サイズが10型以下で、45ナノプロセスで製造されたAtomプロセッサを搭載し、おもにインタネット利用に使うノトパソコンを指す。サムスンなどの製品は、面サイズを含めて仕面を充させており、「韓型ネットブック」などとも呼ばれている。


 


 しかし、今まで20万円以上のノトパソコンをっていたサムスンが突然6万円台の製品を主力商品としてるとなれば、り上げ規模は然縮小する。サムスンやLGは携電話やテレビはグロバル市場でいが、パソコンにしてはまだ世界でえる況ではない。それでも低格ミニノトにり出すのは、ここで台勢に国内シェアまで奪われれば世界市場に進出するチャンスが永遠に失われるという判があるのだろう。


 


 


 


アススが日本で発売している「Eee PC 901-X」


 


 


 低格ミニノトは値段の安さからまだ家庭にパソコンが普及していない新興市場、2台目需要の高い米や日本、韓などのパソコン成熟市場の方を狙える。韓でこの春から低格ミニノトを販し始めた台は、まだ韓国内に顧客センタが少なく、アフタビスの不安がネックになっている。今のうちであればき返しは可能とみているだろう。


 


 ASUSの低格ミニノト「EeePC」シリズは2007年に世界で35万台れたが、2008年は500万台を目標としているという。韓IDCは2008年の韓市場でのパソコン販467万台と予想しており、ASUSは韓全土でれるパソコンよりも大きな市場を狙っている。ブランド値云と指をくわえて見ているわけにはいかないのだ。


 


 低格競まれるのは必至だが、だからといって放っておけば販はどんどん落ちむことが目に見えている。難しい選の岐路に立たされているわけだが、サムスンにはこれを克服できるチャンスがある。SSD市場の大だ。


 


  


■ミニノト向けSSDは年率5割成長


 


 サムスンは低格ミニノトでも採用されているSSDをさらに小さくした1.8インチの「Half Slim」という新しい規格のSATA2 SSDの量産を表している。この新しいSSDは8GB、16GB、32GBの3種類で、モバイルPCでの急速な市場大が見める。サムスンはネットブック向けのSSD市場が2011年まで年約57%成長すると見む。プレミアムノトパソコンがれなくなっても、これからミニノトには欠かせなくなるであろうSSD市場を大させていけば、十分な埋め合わせになるかもしれない。


 


 


 


 東芝も10月下旬にミニノトパソコン「NB100」を発売する


 


 


 今までM&Aには手を出さなかったサムスンがサンディスクの買について積極的な態度を示しているのも、東芝を出しいてSSDの主導を確保するのが狙いだろう。


 


 メル、インタネット、文書作成と基本的な機能が使えて持ち運びが便利な低格ミニノトのライバルは、ノトパソコンではなくスマトフォンといわれている。携電話ではインタネットを使わないとされていた韓人だが、パケット定額の導入でスマトフォンの割合も少しずつ伸びている。


 


 韓のモバイルWiMAXであるWibroに音通話機能を搭載するかもしれないという話も出ている。低格ミニノトからも音通話が使えるようになれば、携電話はいらなくなるかもしれない。時代がまた大きくわろうとしている。


 


 – 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
2008年10月1日
 


Original Source (NIKKEI NET) 


http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000001102008

筆者も偽の対策ソフトに騙されました……

最近ニュースで報道されたように、韓国でトラッキングクッキーをウイルスと認識するようにした偽の対策ソフトを2005年から622万台のパソコンに配布し、ウイルス検出を名目に約126万人から約92億5000万ウォンを騙し取った韓国のセキュリティベンダーの前代表らを検挙した(関連ニュース:「偽ソフト」で10億円を稼いだ人物、韓国で起訴される)。

 実は、この126万人に及ぶ被害者のうちの一人が筆者である。


 このソフトの名前は「ドクターウィルス」。筆者がこのソフトを使うようになったきっかけは、2007年1月に情報通信部が選定した優秀ソフトウエアに選ばれたからである。つまり国がお墨付きを与えた対策ソフトだったわけだ。自国の恥をさらすようでまことに恥ずかしいことだが、韓国のIT政策を指揮する省庁が偽ソフトを優秀な製品と選定するなんて、一体どういう審議をしていたのだろうか。2008年に情報通信部は解体されたので二度とこのようなことは起こらないとは思うが、情報通信部が見破けないほど高度な技術を使った偽ソフトでもなかったので、疑問は大きくなるばかりだ。


 情報通信部はウイルスやスパイウエアを最もよく検出・駆除するソフトとして「ADスパイダー」「PCクリアー」「スパイドクター」、「スパイゼロ」「ドクターウィルス」――の5種類が優秀であるという内容の報道資料を配り、それを省庁のWebサイトにも掲示していた。


 国がお墨付きを与えたソフトなので、筆者も何の疑いもなしにその中の一つだった「ドクターウィルス」をダウンロードしてウイルスをチェックしてみたところ、出るわ出るわ。筆者のパソコンはウイルスとスパイウエアだらけだという結果が表示された上に、「今すぐウイルスを駆除するためには、1回800ウォン、もしくは月額3850ウォンの有料サービスを利用しろ」という案内が出た。


 800ウォンというと日本円で100円。今まで何の問題もなく利用できたのにおかしいな~と思いつつも、大事な商売道具であるパソコンのためなら100円ぐらい使ってやろうじゃないかと、携帯電話の料金に合算請求される小額決済で支払った。


 しかし、1回800ウォンのタイプを選んで決済したはずが、なぜか4000ウォン近い料金が毎月勝手に引き落されていく。携帯電話料金と合算請求なので払わないわけにもいかない。キャリアに連絡をしても、決済代行をしているだけなので請求を止めることはできないという。ドクターウィルスの顧客センターと書いてある電話番号に電話をしても、いつも通話中なのか誰も電話に出ない。

困ったときの神頼みとして消費者保護院(日本の国民生活センターに相当)に通報したところ、「あなたもドクターウィルスですか……」と言われる始末。ネットでは既に2006年からドクターウィルスの詐欺行為を告発する書き込みがいっぱいあったのに気付かなかった。7カ月もお金を騙し取られてから、ようやくこの会社が捜査対象となり、料金請求がストップした。


 筆者は自分でダウンロードし、インストールしたケースだが、ほとんどの被害者はこのソフトが自分のパソコンにどこからインストールされたのかを覚えていないという。あるときから、パソコンを立ち上げると「ドクターウィルス」というソフトが起動され、「ウイルスに感染しています」という警告が表示され、何度アンインストールしてもまた元に戻ってしまったという。


 コミュニティサイトで会員登録したり、ポータルサイトの掲示板などでリンクをクリックしたりすると、自動的にインストールするように仕込まれていたというから、ソフトの配布方法までスパイウエア同然だったわけだ。


 あとで知ったことだが、情報通信部が保証したはずの5つのウイルス対策ソフトのほとんどが、同じような手口で有料決済を仕向ける偽ソフトだったとして大問題になっていた。偽ウイルス対策ソフトによる関連被害は、消費者保護院に届け出られただけで2005年に184件、2006年に507件、2007年は1~9月だけで742件にも及ぶ。このうち83%が、本人認証としてクレジットカード番号や携帯電話番号を確認するだけとしておきながら、実際には入力されたクレジットカード番号や携帯電話番号に料金を請求されたり、1回800ウォンで決済したつもりが筆者のように知らないうちに年間契約にされていたという。


 ウイルスや個人情報を盗むスパイウエアを遮断するつもりが、泥棒をパソコンの中で育てていたようなものだから非常に腹立たしい。


 消費者保護院は「パソコンを利用していてウイルスに感染したという警告が突然画面に表示された場合、いったんそのプログラムを削除して、信頼できる著名な対策ソフトを使ってウイルスをチェックして下さい」とコメント。この手の偽ソフトを取り締まれる基準を作り、徹底的に対策を行うと発表した。


 ドクターウィルスの悪党たちは、ようやく2月に検挙されたということだが、私のお金は戻ってくるのだろうか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年3月12日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080311/295893/

SNSに疲れたら、こんな使い方はどうですか?

日本に「mixi疲れ」があるなら、韓国には「MiniHompy疲れ」がある。


 日本では韓国ほどの人気はないようだが、2200万人の会員数を誇り、今でも週に1500万人以上が訪問している“韓国人の人名録”とも称される「Cyworld」は、元祖SNSサイトとして、アバターや個人Blogがセットになった「MiniHompy」(ミニホームページ)を、登録した仲良しメンバー(「イルチョン」と呼ぶ)だけに公開できる機能で一躍社会現象にまでなった。MiniHompyでは、アバター用の着せ替え服や家具を買ってアバターの部屋をかわいくさせるアイテムや背景画面、BGMなどを購入して飾り付け、訪問する人を楽しませる。


 CyworldのMiniHompyが本格的にサービスを始めたのは2001年。しかし、2003年~2005年をピークに「MiniHompy疲れ」が出始めている。新入社員の面接やお見合いの前には、相手のMiniHompyを確認するのが当たり前になっていた。このため、逆に自由に物を書けなくなってしまったり、イルチョンとして登録している友達のMiniHompyを毎日のように周回して挨拶コメントを残すのにも疲れてしまったりで、Cyworldから離れしてしまうユーザーが増えてきた。それでもCyworldの訪問者数は減らないし同時アクセス者数もそれほど減らない理由はどこにあるのだろうか。


 Cyworldによると、それは「BGM」にあるそうだ。


 SNSサイトとしてMiniHompyを管理することに疲れたユーザーは、それまでに購入したアバターのアイテムやBGMがもったいないので脱退まではしない。そして、自分が購入したBGMを再生する音楽サイトとして、一日中利用するというのだ。1曲500ウォン(約60円)でダウンロードできるCyworldのBGM市場では、この5年間で2億曲以上を販売し、累計1000億ウォン(約125億円)の売り上げを突破している。MiniHompy以外では購入したBGMを使えない。複製もできないし、著作権もしっかり保護できることからオンライン音楽産業の大きな割合を占めている。それに他人のMiniHompyにあるBGMも聴けるので、音楽の趣味が似ている人同士で「イルチョン」になり、毎月どんなBGMを購入するかを相談して10曲ずつ分けて購入するといった動きもあるという。


 MiniHompyのBGMを音楽サイト代わりにするのが流行っているせいか、ヒット曲もBGMから生まれている。オフラインでアルバムを発売するよりも早くBGMとして販売したり、アルバムを一切出さずにBGM販売やダウンロード販売だけを提供したりする歌手も増えてきた。MiniHompy向けのBGMとして新曲を1曲提供しただけで1億円は軽く稼げるということで、一部の人気歌手はテレビやラジオに出演せず、アルバムも出さず、Cyworld専用に新曲を販売しているほどだ。2007年公開された映画「ラブソングができるまで」のサウンドトラックもCyworldで初めて公開され、マドンナが地球温暖化防止のチャリティーコンサートの前に発売したスペシャルシングル「Hey You」もCyworldで先行販売されたほどだ。インディーバンドの曲も人気がある。「ハミングアーバンステレオ」という歌手の「ハワイアンカップル」はBGMで火が付き、テレビのCMソングや映画の主題歌になり、音楽チャート1位になった伝説的な曲である。SNSサイトの一機能であったBGMが今では会員数をバックに韓国音楽市場に多大な影響を与え始めているのだ。


 CyworldのBGMとして最もたくさん売れたのは中島美嘉の「雪の華」を韓国の男性歌手がカバーした韓国語バージョン「雪の華」。ドラマの主題歌だったこともあり、100週間以上も連続して販売件数第1位を記録。70万人を超えるユーザーが購入した。今でもこの記録は破られていない。mixiでもSNSの人脈管理に疲れたら、自分だけの写真アルバムとして利用するかもしれないし、まったく想像しなかった方向へと進むかもしれない。Cyworldのように時代の変化に応じて特技を変えながら生き残ることも重要なことではないだろうか。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年3月5日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080305/295430/