韓国ではそれほど食べなかったキムチや韓国料理なのに、日本に来るととてもとても食べたくなる。 中でも汁物、チゲとかタンとかが恋しい。日本で食べる韓国料理は高いし、安いところは不味いし、自分では作れないし・・・(私は手がけた食材を全て生ゴミに変えてしまう呪われた手なのです・・・) あ~辛くてこってりしてこくのあるものが食べたい!!!と願っていたところ、またまたM姉協賛、ごちそうになっちゃいましたよ。 豊洲ららぽーと1階にあるスンドゥブチゲのお店。 ポジャンマチャ、だったかな?店名は「屋台」という意味だけど、出てくる料理の盛り付けはきれいにちょこちょこ、日本人好みの韓国料理そのもの。でも味はね~マイルドで深さがあった。もうちっとパンチがきいたスープがいいな~とは思ったけど、後味がすっきりしていて、調味料の味もあまりせず、おいしかった!お勧めです。具もたくさん入っていて、スープも最後の一滴まで飲み干したくなる味。 私って、独身のお姉さまたちのお陰で栄養失調にもならず、ぷくぷくしたスタイルを維持しているようなもの。感謝しなくては。一人で寂しい、ホームシックでやる気が出ない、なんていう時は不思議とお姉さまたちが助けてくれる。本当にありがたい。
– BY 趙章恩
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http://www.kddi-ri.jp/blog/cho/?p=56
Author: hajun444
韓国キャリアの一風変わった「家族割」
日本でも携帯電話の料金体系の一つである「家族割」のCMが一日に何度も流れているが、韓国でも家族で一緒に加入すると料金が安くなる家族割りで勝負する料金競争が始まっている。
LGテレコムは家族でなくても料金納付者を指定して、その人の下に加入するのであれば他人であっても7人まで「家族愛割引プログラム」という家族割り引きが適用される。この料金制度は家族間通話料が50%引き、家族間メンバーシップ(毎月の平均料金に応じて1年に約3300円~1万1000円ほどのポイントがもらえ、加盟店でその金額分割引してもらえる制度)も共有できる。
驚きは1年ごとに2カ月分の基本料と平均音声通話を全額差し引いてくれることだろう。例えば一人当たり7000円/月の電話代を払う5人家族だと月に3万5000円。ここから2回分に相当する7万円を差し引いてくれるということだ。太っ腹な割引だな~と感心してしまった。だって家族じゃなくてもサークル仲間や仲良しグループで申請しても家族割りになるのだ。キャリア3社の中で最も加入者が少なく、新規加入を確保するため料金で勝負するようなところを見せているのは日本の事情と変わらない。
韓国で最大手キャリアのSKテレコムも家族割りを始めて反響をよんだ。LGテレコムと異なり、戸籍上の家族5人だけが対象だが、家族登録するだけで通話料が50%引きになる。また、面白いのは基本料の割引制度。家族の加入年数を合計して、10年未満なら10%、10年以上は20%、20年以上は30%が基本料から割り引かれて、30年以上だと基本料が半額になる。
さらに家族を登録した新規顧客の中から抽選で1000人に8万円以上する最新の携帯電話を贈呈するイベントまでやっている。基本料を安くしようとSKテレコムの加入期間が長い父に急接近する子供たちが増えているから、親孝行効果もあって一石二鳥だなんて言われている。家族割りは今年の4月1日に登場してからたったの10日間で25万人を突破した。2008年末までに400万人以上が家族割りを利用すると見込まれている。
家族ではなくても、毎月約300円を追加すればSKテレコム加入者同士の通話料が毎月5時間無料になる。これは800円分ほどの割引効果があるということで、この料金制に加入する人は4月時点で全加入者の10%に当たる230万人を超えている。月額基本料には無料通話分が含まれていないので、家族割分を含めると5人家族で年間最大約6万2000円ほども節約できるという。SKテレコムの加入者は 2237万人で、全加入者の50.5%を占めている。LGテレコムやKTFよりもSKテレコムに加入している家族の方が多く、みんな家族割りのために多数決でSKテレコムへ移行したという人も結構みかける。家族全員の加入期間が長ければ長いほど基本料が安くなるから、どんどんSKテレコムに加入させようとするわけだ。
加入者間の無料通話は最後の最後の砦と言われてきたけど、新しく就任したイ・ミョンバク大統領の公約の一つが通信費を20%値下げして家計の負担を軽くすることなので、2007年秋からさまざまな家族割りが登場している。SKテレコムの資料を見ると、2008年1月から3月の加入者の平均通話時間は変わらないのに、ARPU(加入者一人あたりの月間売上高)は前期の約4600円から約4300円に落ちている。家計の負担は少しずつ減っている。
家族割りでなくてもLGテレコムは月に1700円ほどの追加料金で加入者間の通話が20時間無料に、月に110円プラスすれば加入者間の通話料が50%割引に、4300円/月ほどを支払えば加入者間の通話が20時間無料+その他キャリアや固定電話への通話が5時間分無料になる。KTFも月に300円ほどを追加すれば加入者間の通話料が50%割り引かれる。加入者間の通話が増えるとKTの固定電話から携帯電話へかける頻度は当然に減るので、売り上げは前年同期比約11.6%も減っているという。家庭用インターネット電話も普及していることからKTの固定電話通話料の売り上げは前年比3.2%減っている。
固定電話の売り上げが減る一方のKTも、負けじと通話料割引を始めた。韓国に住む外国人を対象にした「国際LOVE料金」。パケット定額制のように月額で約1100円~約3100円の定額料金を払えば家の固定電話と携帯電話合わせて60分から最大500分まで国際電話がかけ放題となる。
以前は携帯電話の料金なんて標準料金、エコノミー料金(基本料が安くて通話料は高め)、300分通話放題料金(基本料が高くなる代わりに時間に関係なく月額300分の無料通話時間が付く)など、料金制度のタイトルと意味がその通りでとても分かりやすかったのに、家族割りやらパケット割引が登場してからは計算のややこしいこと! 料金案内のページに入ると、30種類以上の料金制度がどばっと出てくるからますます混乱してしまう。無料通話分や割り引き方が微妙に違うので、最も節約できる料金を選択するためにネットの知識検索に相談することもしばしば。知識検索とはユーザー同士でQ&Aするものなのだが、人の経験を教え合うので企業が提供する一括した情報サイトよりも分かりやすい。
通信料が安くなってくれるのはありがたいが、もう少し整理してほしいものだ。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2008年5月21日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080521/1002692/
国民総背番号制の罠、個人情報流出は止められない
韓国最大オークションで発生した1000万人規模の個人情報漏えい事件のほとぼりも冷めないのに、テレホンマーケティング業者と大手スーパーと医者が絡んだ3万件の医療保険情報流出や、薬局職員の絡んだ72万件の医療保険情報流出など毎日のように個人情報が盗まれる事件が後を絶たない。
3万件の流出事件にかかわった犯人たちの手口はこうだ。まず、不正に手を貸した医者の公認人証書※を使って国民健康保険公団のサイトにアクセスする。次に、大手スーパーが流出させた懸賞イベントの応募用紙に書かれていた氏名と住民登録番号を入力して、国民健康保険公団の医者用のページから患者の受診内容を確認するふりをして医療保険の加入状況を確認し、医療保険に書いてある職場や所得情報を探り出す。調べた情報をテレホンマーケティング業者は、懸賞用の個人情報を流出させた大手スーパーの提携クレジットカードの勧誘に使う。こうして、医者はテレホンマーケティング会社から報酬を、テレホンマーケティング業者はカード加入1枚につき約3000~4000円ほどの報酬をこの大手スーパーから受け取ったというものである。しかし情報を流出さえたスーパーからは罰金を取るぐらいがせいぜいで、それ以上処罰できる根拠がないという。
※公証人証書:インターネットバンキングや政府サイトにアクセスする際に必要な個人認証手段で、銀行または郵便局で身分証明書を提示して発行されたIDに、インターネット経由でパスワードを設定して使う。本人が一度は必ず身分証明書をもって金融機関を訪問しなければならないので、現在のところ最も有効な個人認証手段になっている。
薬局職員による流出事件はもっとひどい。借金取り立て業者から受け取った72万件の住民登録番号と氏名を元に、国民健康保険公団のサイトを検索して、医療保険に書いてある職場情報を教えたというのだ。この犯人は、自分が勤めている薬局の薬師が持っている公認人証書を勝手に使い、借金の取り立て業者に個人情報を売り渡したという。取り立て業者はこの情報を使って職場に押し寄せた。
犯罪とは言えないまでも、テレマーケティング業者に会員情報を提供する通信会社やポータルサイトも少なくない。こういう会社のほとんどは、会員登録するときに「テレマーケティング業者に個人情報を渡しても良い」という項目に同意しないと会員になれないようにしているからタチが悪い。断っても断ってもインターネット電話に加入しろとかクレジットカードに加入しろと電話がかかってくるのは、本人が同意をしたのだから仕方ないということになる。
私なんて同じ通信会社のテレマーケティング業者からインターネットテレビとインターネット電話をセットで申し込むと今なら3カ月間無料お試しができますという電話を一日6回ももらったことがある。さっき断ったのに何でまた電話をするのかと聞くと、全国のテレマーケティング業者が同じ個人情報を元に勧誘しているからだとのこと。全国にいる何千万人のもテレマーケッターの手元に私の個人情報が出回っていると思うと怖くなってしまった。断るときも慎重にやわらかくしないと個人情報をばらまかれるかもしれないではないか。韓国のテレマーケティング業者の中には30秒以上の通話に成功すると報酬がもらえるところもあるらしく、一方的にマシンガントークで商品の宣伝をはじめて、電話を切れないようにする人もいたな。
現在、韓国には公共機関の個人情報保護に関する法律はあっても民間企業の個人情報保護に関する法律は「情報通信網利用促進及び情報保護などに関する法律」という大きな法律の中の一部でしかなく、処罰も甘い。このため、民間企業は住民登録番号を収集できないようにするとか、いっそのこと番号制度を止めるべきではないだろうかという議論も出ている。弁護士団体も住民登録番号制度を改善した個人情報保護法を制定するべきと声明を発表した。
政府は2008年9月までには新しい法律を制定するとしているが、これは既に2004年から繰り返されている古い議論に過ぎない。個人情報を売買したり盗んだりする人は懲役10年ぐらいのきつい処罰規定がない限り、危機意識を持たないかもしれない。一部大手通信社では住民登録番号を書いた申請書をデータベースに入力した後、本人に書類を持って帰ってもらうようにしている。紙で個人情報が残された場合、不意に誰かに見られたりする可能性もあるからだ。でもこうした個人情報流出をふさぐために努力しているところはまだ少ない。
住民登録番号は出生届けを出すと発行されて、一生同じ番号で広範囲な個人情報を管理される。情報流出の被害に遭った人たちが番号の再発行を申し込んでも変えてくれない。携帯電話への加入、パスポートの発行、学校の入学や会社の入社にも住民登録番号を提出しないといけない。金融、医療、税金、自動車、不動産はもちろん、その人がやることすべてに住民登録番号は関わっている。
とても大事な番号なのだが、何をするにも住民登録番号を書かされるようになるとセキュリティ意識も甘くなるものなのだろうか。スーパーの懸賞応募用紙に住民登録番号を書けと言われても抵抗を感じる人は少ないようだ。インターネット実名制度が導入されてから、ますます過度な個人情報を要求するWebサイトが増えている。無料のWebメールサービスを使うのにも大事な住民登録番号を登録しないといけない。それが嫌だからといって、罪悪感もなく他人の番号を書き込む人もいる。これは法律で禁じられるようになったが、まだまだネットでは住民登録番号が検索されている。
このようにさまざまな問題を抱えているが、全国民を番号で管理するのはとっても楽なことである。携帯電話にしても電話番号と住民登録番号がつながっているから、他の国に比べると追跡も容易である。不正侵入や個人情報売買といった事件が続いても、その犯人を追跡する手段にIPアドレスとプロバイダー加入情報と住民登録番号が使われるので、問題点があることを認識していながらも手っ取り早く国民を監視・管理できる住民登録番号制度はやめられない。全国民がおでこに個人情報を張って歩いているようなものだと批判する人もいたが、韓国で生きていくためには住民登録番号なしでは何もできなくなってしまった。
そんな韓国の国民総背番号制について、「韓国では住民登録番号があるからいいよね~。楽だよね~。」なんて言えないということだけは日本のみなさんに伝えておきたい。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2008年5月16日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080513/1002389/
[東京留学生活] 韓国ビューティー スイカで美肌~
これは美容系のコラムをはじめたくて、サンプルとして書いた原稿だけど、いつはじめられるか決まりそうにないのでここで公開します!
韓国のビューティー民間療法、スイカを徹底的に使い倒す!!
韓国の女性も夏の日焼けは美容の天敵と、すごく気を使います。日本の番組で驚かれた大阪おばちゃんの間で流行っていると言う顔を覆う黒いサンキャップや覆面のようなものは、もう既に何年も前から韓国では夏の必需品です。登山好きが多い韓国では、早朝まだ暗闇の残る山で覆面おばさんに出会いびっくり!腰を抜かしたおじさん続出だったため、黒い覆面ではなくピンクや黄色の覆面をするようになりました。^^
日焼け止めに日傘に長袖を着てもアスファルトの反射熱があるから、顔は火照るし真っ赤に焼けることもしばしば。そんな時のために、韓国ではお母さんから娘へ「スイカ美容秘法」が伝授されているのです。
水分が豊富でビタミンAとCが含まれているため美白効果もあり、暑さでばててしまった肌を生き返らせるにはこれ以上効果的な化粧品はないと言われています。韓国ではカットされたスイカより1玉丸ごと買うことが多いですね。なので、残った大量の皮をなんとか有効に使えないのかという悩みから生まれたのかもしれません。
韓国でスイカはどれも甘く値段もお手頃なので、夏中切らすことなく食べます。赤いところはおいしくそのまま、もしくはファチェ(スイカを小さく切ってサイダーや牛乳などにいれてフルーツポンチみたいに作るデザートです)でいただいて、美肌のために使いのは白い部分です。
日焼けしてひりひりする肌には、細かく刻んだスイカの白い皮+卵の黄身+小麦粉少々を混ぜてパックを作ります。洗顔した肌の上に目と口周りをさけてスイカパックをのばし、ガーゼ(韓国では安いガーゼハンカチを切って使います)を乗せてその上からもう一度パックを塗ります。20分ほど経ったら洗い流します。肌がもちもちしっとりして、火照った肌も落ち着きます。
もっと美白効果を高めたい場合は、皮の白い部分をごく薄く大きめに切って冷蔵庫で冷まします。ここに緑茶の粉末またはビタミンC(サプリ)の粉を少量ふりかけて顔にぺたぺた貼り15分ほど、ぬるくなってきたらはがします。ビタミンCの粉を顔に!!なんて驚かれると思いますが、刺激がないよう少量だけを使います。
スイカ化粧水もあります。肌の乾燥を防いでやわらかくしてくれる効果があるので、スキンケアを始める前の導入液として使います。作り方はとても簡単!スイカの白い部分を刻んでキッチンペーパーまたはガーゼに包んで汁を絞ります。スイカ汁20mlにミネラルウォーター50mlの割合で混ぜて冷蔵庫で保存します。朝晩洗顔後にスイカ化粧水でパタパタ肌をビタミンを与えてスキンケアを始めると、肌の熱も下がり水分も補給されます!
スイカ美容法は民間療法なので、科学的に肌の改善が認められたわけではありませんが、長い時間の間母から娘へ伝授されてきた方法だけに、一度は真似してみたいと思いませんか?果物なので肌トラブルが発生することもないと思いますし。ね?
実はこの白い部分、ナムルの材料にもなるんです。スプーンで長めにすくってベランダで天日に干します。コリコリしてきたら、塩もみして水気を切ってごま油やねぎなどを入れればナムルに変身です。食感は干し大根に似ていますが、もっと甘みがあるのでビョルミ(別味、特別な味)です。
– BY 趙章恩
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http://www.kddi-ri.jp/blog/cho/?p=53
「鎖国」状態の韓国携帯ネットワークに風穴
韓国の携帯通信キャリア3社の中で最下位のLGテレコムのパケット定額が話題になっている。「OZ」というブランド名のこのサービスは韓国で初めて月6000ウォン(約600円)の定額で携帯電話からインターネットへ自由にアクセスできるようにした料金プランである。
これまでも、携帯電話からインターネットに自由にアクセスできる方法としてはもう1つ「Wibro(モバイルWimax)」があった。携帯電話やノートパソコンを使って高速で移動しながらも途切れることなくブロードバンドでアクセスできることから「携帯インターネット」とも呼ばれている通信サービスだ。KTが主導していて、KTの子会社であるキャリアKTFの携帯電話から利用できる。2008年上半期まで加入すれば月々約2000円で使い放題だ。Wibroはまだソウルと首都圏の一部でしか利用できないエリアの狭さから加入者が伸びなやんでいるが、需要が増えることは間違いないとされてきた。
しかし、ここにWibroよりも安くて手軽な「OZ」が登場することによって、Wibroに投資する意味がなくなるのではないかという声も出てきた。フルブラウザー搭載でパソコンと代わらない画面を提供できるようになっただけに、わざわざWibroに加入することもないということになる。
これまで、韓国の携帯電話を経由したモバイルインターネットアクセスはキャリアのネットワークを経由しなくてはならなかったため、勝手サイトにはアクセスできないように遮断されていた。例えれば、NTTドコモのiモード経由でしかポータルサイトやメールにアクセスできなかったため、ドコモと契約しているサイトでないと他キャリアの携帯電話からはアクセスができないという状態だったわけである。データ通信料も高く、パケット定額は期限限定のプランしかなかったため、携帯電話で何か検索でもしようとするとあっという間に4~500円はかかってしまっていた。
「OZ」はプロモーション料金として加入から6カ月間は容量の制限なく利用できる。さらに基本料と音声通話の利用料に応じて毎月の携帯電話端末月賦金を無料にしてくれるプランも始めた。7カ月目からは同じ料金で月1GB分利用できるようになる。1GB分というとそれほど多くないように感じるが、一般的なWebページでいうと2千~3千ページほどの分量になるので携帯電話から利用する分には十分。先行するWibroに対しても、「OZ」は通信料が破格的に安い上にどんなサイトにもアクセスできるという点で韓国のモバイルインターネット利用環境を大きく変えることになるだろう。
携帯電話からインターネットに自由にアクセスできるようにネットワークを開放することに対してシェア1位のキャリアSKテレコムは慎重な立場を示しているが、前述の通り、残りの2社は市場拡大のため積極的になっている。ネットワーク開放は2001年から実現するといわれながらも、データ通信料や公式サイトの情報料収入が減ることを恐れたキャリアは反対してきた。SKテレコムの場合、データサービスの売上は年約1400億円、全売上高の15%を占めている。KTFとLGテレコムの場合はデータサービスの売上がそれぞれ500億円と150億円と、SKテレコムとは比較にならないほど少ない。SKテレコムは加入者数が韓国の人口の約半分にあたる2300万人ということに加え、ビジネスユーザーが多いのもデータサービスの利用が大きい理由のようだ。しかし2007年末、SKテレコムがブロードバンド通信会社のHanaroTelecomを買収する条件としてネットワーク開放を約束している。2008年内にはSKテレコムも開放するしかない見込みだ。
ただし、念のため触れておくと、SKテレコムやKTFは一応2007年からネットワークを開放したことになっている。しかし、両社は、携帯電話経由で特定のサイトにアクセスできるようにする際に、そのサイトに課すネットワーク利用料をものすごく高くして、事実上、サービスの提供をあきらめさせていた。ところが、LGテレコムのOZの登場で、日本のように携帯電話からもパソコンと同じく自由にインターネットへアクセスしたいというユーザーのニーズがあることははっきりしてしまった。
ポータル業界はモバイルから簡単にアクセスできるようになったことで、広告チャンネルが増えると喜んでいるが、キャリアは公式サイトではない勝手サイトにアクセスさせることで情報料の収入は減ってしまうのではないかと懸念の方が現時点では大きい。
韓国の携帯電話加入者は人口の9割近い4400万人である。「OZ」のようなサービスが全キャリアから提供されるようになれば、4400万人を対象にした新しいメディアが生まれることになる。そのためポータルサイトの「NAVER」や「DAUM」などはこぞってより使いやすくしたモバイル専用サイトの構築を急いでいる。モバイルネットワーク開放はキャリアにとっては収益減少につながるかもしれないが、ネット利用者増加と広告増加につながり、インターネット産業全体は潤ってくる。3Gで「より高速になりました」といってもデータ通信が高すぎて使えないままでは宝の持ち腐れというものではないだろうか。もう少し懐を大きくして3社ともに「OZ」のようなサービスを出してくれるといいんだが。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2008年6月4日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080603/1003917/
韓国最大SNS「Cyworld」の3D仮想社会、サービス前から不安
人口4800万人の韓国で2300万人の会員を持つSNS「Cyworld」がセカンドライフのように3D仮想社会「ミニワールド」サービスを2008年6月より開始する。Cyworldの仮想社会は2007年下半期から出る出ると言われ続けていたので、ネットでの反応は「ついに来るべきものが来た」、「これでCyworldも最終戦となった」といった感じだ。Cyworldが歳月をかけて準備した野心作であるにも関わらず、「ミニワールド」に対して「過去の栄光を取り戻すのは難しいだろう」と否定的な書き込みばかり。
Cyworldを運営するSKコミュニケーションズは韓国最大移動通信キャリアSKテレコムの子会社である。そのためパソコンだけでなく携帯電話からもらくらく利用できるサービスを特技としていた。Cyworldも電話をかけるように自分のHOMPY(Cyworld内の自分のホームページ)の番号を入力して通話ボタンを押すだけで利用できるのが魅力だった。しかし飛ぶ鳥も落とす勢いだったCyworldも2005年をピークに下り坂、株価は2008年1月までも1株3万ウォン台だったのに5月には1万5千ウォンと半分に折れてしまった。
2008年1~3月は営業利益が前年同期比196%減少した42億8200万ウォンの赤字となった。純利益も5億ウォン赤字となった。訪問者数も2007年1月と2008年5月を比べると10%ほど落ちていて、PVは他のポータルサイトより断然多いといっても30%以上落ちている。会員が2300万人もいるからにはこれ以上の会員増加は難しい。
SKコミュニケーションズの現状は、負のスパイラルを描いている。Cyworldの売上が落ちる一方なので、検索ポータルサイトを買収してバナー広告を追加したら、コミュニティサービスというよりありきたりのポータルサイトになってしまった。今度は逆に訪問者数も売上も落ちて苦戦中。そこでSKコミュニケーションズは新しい切り口としてセカンドライフのような3DSNS「ミニライフ」を提供しようとしている。赤字の理由としてSKコミュニケーションズはミニライフへの投資をあげ、サービスが始まれば問題ないとしているが、どうだろう。
日本のmixi疲れと同じように韓国でもネットワーク疲労からCyworld離れが始まっていて、友達を管理しなくてはならないSNSよりも、一人で日記を書いたり写真を保存できるBlogにユーザーの利用は移っている。クリスマスや年賀状代わりにCyworldのHOMPYに挨拶を残したり、芸能人のHOMPYに載せられた写真をみるためにアクセスするといったことはまだ続いているが、学生の間では「まだCyworldやってるの?」といわれるほど注目度は落ちている。
そのような状況の中で登場したミニライフはCyworldが持つアバターの着せ替えや部屋を飾るといった遊びの部分を最大限いかしながら、チャット機能を強化し、ユーザーとユーザーのつながりももっと密接になるサービスなるそうだ。が、セカンドライフとの違いがよく分からない。唯一違うのはセカンドライフのようにプログラムをインストールすることなくWebからActiveXでいくつかの機能をダウンロードすればすいすい使えるというところだ。でもミニライフに登場するアバターは今までCyworldに登場していたかわいいキャラクターではなく妙に欧米っぽいアニメキャラになっていてなじめない。
SKコミュニケーションズはセカンドライフやフェイスブックなど海外SNSの韓国サービスが増えていることをそれほど気にしていない様子だ。韓国人の文化や情緒を理解できないグローバルサービスは韓国でヒットしにくいという前例をたくさん見てきたからだ。だからセカンドライフよりはミニライフを利用してくれるだろうという計算なのだろうか。ビジネスモデルは広告と有料アイテム販売の混合でアバターの部屋の中にサムスンのテレビにLGの冷蔵庫を置くといった感じの広告モデルを考えている。派手なグラフィックのオンラインゲームに慣れ親しんでいる韓国ユーザーには受け入れがたいサービスとして利用者が伸びないセカンドライフだが、企業はどんどん広告を出している。家電、携帯電話、化粧品、食品など色んな業種の大手企業が次々にセカンドライフの中にブランドショップを作ることがステータスみたいになっていることから、ミニライフのユーザーがそれほど増えなくても企業の色んな広告を誘致できると見込んでいるのかもしれない。ミニライフは現在50万人のテスターによるクローズドテスト中で、6月中に商用化される。
しかし3D SNSはCyworldだけではなかった。より精密なアバターを再現した「NURIEN」や、UCCといってユーザーが製作した動画を投稿して遊ぶコミュニティサイトを中心にユーザーが動画+3Dでコンテンツを作れるようにし、それを投稿してコメントをつけて遊ぶ「kloseup」、「zeb」などいくつものサービスが登場している。これらのサイトは始まったばかりでユーザーの反応はまだ届かないが、毎日のように3Dサービスが登場したという記事をみると、これからのWebはコミュニティも検索も3Dに変わっていくようだ。3Dになった車のナビゲーションさえ見辛くて方向がわからなくなってしまう私みたいな人には嬉しくないが、3Dにすると色々と広告を誘致しやすくなるからもしれない。ところで、セカンドライフに広告を出している企業は効果があったのだろうか?去年まではセカンドライフにショップを作った、というだけで話題になってたけど、この頃はすっかりそういうニュースも聞かなくなったし。気になるので自分で調べてみることにするか。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2008年5月28日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080528/1003567/
[東京留学生活] コンテンツ流通の新たな社会基盤整備に向けて、セミナー後記
コンテンツ流通の新たな社会基盤整備に向けて、東京国際フォーラム
火花散る討論を期待しましたが、謙遜な日本人に討論は難しいですよね。
交通費がもったいなかったような気がしないでもない微妙な内容。
ネットで公開されている情報を読み上げる程度だったし、新しい情報とか、こうしましょうとか、社会基盤整備に向けてという面では何も進展がなかったように思えたから。討論ではなく平行線なのを確認しただけだったのではないだろうか。
一人10分ずつ発言のはずが、同じ話の繰り返し繰り返し、時間ばかり過ぎて行くし。
司会の金先生が途中で整理してくれなかったら、何人かの発言は何を主張したいのかさっぱり分からなかったかも。
ネット法を主張する側は低姿勢で、1対6で戦ってやるぞ!という意気込みが見られなかった。もっと強気に主張してほしかったな。韓国のテレビ番組「100分討論」をみると、微妙な言いまわしてとことん相手にそれは違うだろう!と攻めて行くんだけど、もっと自分の主張をはっきり言ってもらわないと討論にはならないかもよ。
私はユーザーの立場からネット法はすごく現実的でまともな話をしていると思っているので、その辺は残念だった。
著作物がないと流通もない、まずしっかり対価払わってもらわないと著作物は出せない
という主張も分かる。市場を作って後から対価を回収するといいてもほとんのケースが対価を回収できていないという現実もあるし。しかし、いつまでもこのままでは、違法コピー業者やP2Pやストレージといった違法コピーファイルなしではビジネスが成り立たないような人達にいいことばかじゃないかな。まともにコンテンツを流通させるためにはどうしたらいいのか、それこそDRMでどれぐらい保護できるのかとか、対価がいくらだったら出してもいいだとか、そういう話も聞きたかったな。無料の食べ放題の隣で鉄人?名人?の料理を売ったって客は入らないというけど、名人の料理を安く食べれるんだったら無料のお粗末な食べ放題よりいいかもよ。
タダが好きというのは本能みたいなものだけどさ、韓国放送局のドラマ再放送VODだって、高画質の動画を100円で観れるんだよ。無料でもぶちぶち切れちゃう動画より、100円でDVD並みの高画質動画観たいと思わない?中学生とか高校生とかはそれでも無料を観るだろうけど、大学生にもなったら100円ぐらい使うよ。ね?
それに決済も簡単で携帯電話合算請求だから負担がないのだ。コンテンツの流通にはセキュリティと決済の話も欠かせないよね。
結局コンテンツ持っている方が心を開かない限り何も始まらないから、最初から討論にはならないかもしれない。よく聞き取れなかったが、ダビング10に関して平成のなんとかって中村先生の発言には驚いた。日本の著作権者やコンテンツ持っている側って本当に強いんだね。(当たり前だけど) オフラインのパッケージ販売が活発だから、日本はコンテンツって持っているだけで何もしなくてもお金になるからなのか?
久しぶりにお世話になっている方々にご挨拶ができたので時間の無駄ではなかったけど。次回はもっと本気で、日本のコンテンツ流通と社会基盤を整備してやる!という意気込みで討論をしてほしいと思った。それぐらい影響力のあるメンバーなんだからさ~
– BY 趙章恩
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http://www.kddi-ri.jp/blog/cho/?p=47
韓国の通信「セット割」規制緩和、料金競争は加速へ
韓国の情報通信政策を担当する中央省庁である放送通信委員会は、通信商品のセット販売の割引幅を政府の認可なしでも50%までできるように拡大した。通信会社らはこれまでも提供してきた携帯電話とブロードバンドのセット割引に加え、今回新たに携帯電話+ブロードバンド+インターネット電話+IPTVの組み合わせの中で基本料の割引を始めた。携帯電話とブロードバンドのセットだと基本料の10%引き、携帯電話とブロードバンドとインターネット電話のセットだと基本料の20%引きといった具合に、セットでの組み合わせを増やせば増やすほど割引幅は大きくなる。
ブロードバンド2位のHanaroTelecomを買収した携帯電話シェア1位のキャリアSKテレコムは、さらに家族割引や長期加入割引を適用して最大50%まで割引されるプランを開始している。対象となるサービスの契約期間の合計が10年未満は10%、20年未満は20%、30年未満は30%、30年以上だと50%割引される。例えばSKテレコムの携帯電話に家族全員が契約していて、家族全員の継続利用期間を足すと20年、同じグループ会社であるHanaroTelecomのブロードバンド契約期間が10年だと合わせて30年ということで50%割引される。
買収の効果は契約者獲得の道を広げたという点でも意味があった。SKテレコムの代理店からHanaroTelecomのブロードバンドを申し込めるようになっている。SKテレコムの加入者は約2300万人と人口の約半分に当たるわけだから、HanaroTelecomの販促への影響は大きい。この加入者を対象に「より安くインターネットが使える」とマーケティングをすれば、ライバルであるKTのブロードバンドシェアを奪えるかもしれない。また、HanaroTelecomは、加入者獲得のためにテレマーケティング会社に会員情報を無断で流出したことで取り調べを受けた過去がある。SKテレコムの傘下に入ったことでより安定したマーケティングが行えるようになったのも追い風だろう。
SKテレコムにとっても今回のセット割引の規制緩和の意味は大きい。同社の携帯電話を使っているユーザーがHanaroの有線ブロードバンド、インターネット電話、IPTVを追加で申し込むとどんどん基本料が安くなる。ユーザーにセット割引を選択させることで有線・無線といった通信市場全体ではもちろん、放送と通信の融合でも自社グループのシェアを伸ばして市場を掌握しようというわけだ。
最大手KTは意外と苦戦
このようなセット割引で益々シェアを伸ばすだろうと予想された最大手通信業者のKTは意外にも苦戦している様子だ。KTは日本のNTTのような会社で、携帯電話、固定電話、ブロードバンド、VoIPなど多様なサービスを傘下のグループ会社が提供している。当然、これらの商品を何でも組み合わせて複数で加入すると基本料の合計を割り引きしてくれる。
現にKTは固定電話と有線ブロードバンドをメインに使いながら、携帯電話を子会社の移動通信キャリアKTFの3Gに変えると利用する全商品の基本料が割り引きされるというキャンペーンを実施しているが、長期割引や家族割引の影響からナンバーポータビリティを利用しても、ユーザーに携帯電話のキャリアを移動させるのはそう簡単にはいかない。この手のキャンペーンを実施してからセット割引に加入した人は全加入者の数パーセント、9カ月間で30万人しかいなかった。
セット販売による加入者増加が思うようにいかないことが明らかになってくると、KTはついに固定電話の基本料まで割引の対象に含めた。3年契約で固定電話の基本料が5%割引される。シェア90.3%とほぼ独占状態の固定電話まで割引対象にしなくてはならないほどKTは追い込まれているのかもしれない。この4月からインターネット電話も固定電話の番号をナンバーポータビリティで利用できるようになったため、料金の安いLGデイコムのインターネット電話へと顧客が流れている。これらの影響で、KTの固定電話シェアは毎年1.7%~2%ほど減り続けているのだ。
KTは有線ブロードバンドでも5割以上のシェアを占めてドミナント規制の対象になっているが、2008年9月以降の商用化が予想されるIPTVの前身であるTVポータルに関してはすでに1位の座を通信2位業者のHanaroTelecomに奪われている。KTは地上波放送の再送信を含む本格的なIPTVが始まる前に、TVとセットトップボックスを利用したTVポータルのシェアを奪い、放送と通信の融合でも1位業者になりたがっているようだが、豊富なVODコンテンツで既に市場を先占してしまったHanaroTelecomから顧客を奪ってくるのはそう簡単にいかない。
とまあ、現状は、電話、ブロードバンド、IPTV各市場でKTとSKテレコムが激突している構図だ。
携帯通話にもインターネットの波、行き着く先は消耗戦?
LGグループもキャリアのLGテレコムとブロードバンドのLGパワーコム、インターネット電話のLGデイコムを持っている、LGテレコムは加入者が最も少ないキャリアだけに安さで勝負している。どこよりも先に家庭向けインターネット電話サービスを開始し、電話代を大幅に節約できるとアピールした。加入者間無料通話、国際電話も1分50ウォン(約5円)の安さから60万人以上が加入している。パケット定額もどこよりも安い。
このような料金競争にさらに追い討ちをかけるのはWibro(モバイルWiMAX)の音声通話機能搭載だ。まだ方針が決まったわけではないが、技術的には今すぐにだってできるという。携帯端末にWibroを搭載して高速で移動しながらも安くて早いインターネットにつなぎ、さらに携帯電話よりはるかに料金の安いインターネット電話を使えば移動しながら通話もできるとなれば、もう携帯電話なんていらないんじゃない?とまで考えられる。
インターネット電話を移動しながらも使う、これはもうすぐ現実になるだろう。携帯電話は料金の安さに負けない何か特別な魅力を打ち出さなくてはならない。でもその差別化された魅力とは携帯電話だけの課題ではなく通信業界全体が探し求めていることでもある。となると、技術革新によって、携帯、ブロードバンド、固定電話の境界が消えていく結果は、料金競争に陥るしかない。韓国ではパケット定額も最近始まったばかりだが、携帯電話の音声定額も登場するかもしれない。貧困対策として基礎生活保護者に指定されている世帯の携帯電話基本料免除案も登場する中、通信会社はもう通信費の売り上げだけでは食べていくのは難しくなるかもしれない。消耗戦が激化する前に料金競争の次に何が来るものを見つけ出さなくてはならないはずなのだが、それはまだ誰にも見つかっていないように思える。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2008年6月18日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080617/1005103/
スペックダウン問題に揺れる韓国携帯電話市場
LG電子の「PRADA Phone by LG(L852i)」の発売ニュースをきっかけに韓国端末メーカーの日本進出が話題になっているが、韓国内では海外市場ばかり大事にして韓国では値段は高く機能は少ない端末しか売ってくれないという不満の声も漏れている。サムスン電子やLG電子は欧米を中心に世界初という機能が付いた先端端末をよく発売している。新機種は欧米市場で先に発売するのはかまわない。韓国ユーザーが不満に思うのは世界で絶賛される端末が韓国市場で発売される際には大事な機能がかなり除かれ、平凡な端末になってしまう点だ。これは韓国の携帯電話キャリアの要請からというが、ユーザーの立場からは残念なことだ。
例えば、LG電子の「Viewtyフォン」は、ヨーロッパではDiVXと呼ばれる圧縮映像コーデックを内蔵して動画再生機能を強化し、大型3インチ液晶で色々な映像を楽しめる機能が話題となった。現に、5週間で30万台以上が売れたヒット商品だ。しかし韓国では動画再生機能もなくなりFMラジオもなくなり地上波DMB(ワンセグ)も搭載されず、500万画素という高画素カメラだけが売りの端末になってしまった。
2007年夏の戦略モデルだったサムスン電子の「ミニスカートフォン」もしかり。ヨーロッパではウルトラエディション?として320万画素カメラを内蔵し高級オーディオ機器メーカーのバング・アンド・オルフセンのアイスパワーアンプが搭載していた。それが、韓国で発売された時はカメラは200万画素、バング・アンド・オルフセンのアンプも使われていない平凡な端末になっていた。中には、海外向けは厚みが12.1mmなのに韓国では12.9mmと少し分厚くなったことを指摘するユーザーもいたほどだ。
米モトローラの音楽携帯「Z6m」もUSBでつなげて音楽ファイルを端末に保存して再生できる機能を持っていたが、韓国ではモトローラはSKテレコムの加入者専用となっているため、SKテレコムの音楽サービス「Melon」に加入して専用ドライバーとプログラムをインストールしないと音楽再生機能が利用できないようにした。この対応は無料ファイルを利用されるよりコンテンツの売上を伸ばしたいからだろうから、キャリアの立場からすれば当然。かもしれないが、端末に元々付いていた機能までなくしてしまうことはないのにというのがユーザーの率直な感想だ。
かといって、韓国での携帯電話端末の価格が安いかというとそうではない。韓国国内の新規端末の価格は60~80万ウォン(約6万2千~8万5千円)。先に紹介したViewtyフォンは韓国で73万ウォン前後で販売されたが、ヨーロッパでは550ユーロ(約76万ウォン)、ミニスカートフォンは韓国で55万ウォン前後、ヨーロッパでは400ユーロ(約51万ウォン)と、機能は韓国の方が断然少ないのに価格はヨーロッパとたいして変わらないか韓国の方が高いくらいだ。この状況をメーカーやキャリアはどう説明するのか。
機能が削られていることについて、メーカーはあくまでもスペックダウンではなくスペック変更であるとしている。その証拠に、Viewtyは動画再生機能の代わりに電子辞書を搭載、ミニスカートフォンはGPS機能とデータ速度をアップしたという。モバイル同好会の掲示板には「海外でヒットしたあのモデルが韓国でも販売されることになったと宣伝しておきながら、スペックダウンしたことを隠すことが何度もあった。他の機能に置き換えたというが2、3の機能が削除されて電子辞書ひとつ、GPSひとつが追加されただけで端末の価格は変わらないのは納得いかない。ユーザーが望む機能は何か考えて現地化してほしい」といった書き込みが後を絶たず、スペックダウンしておきながら端末価格はもっと高くするのはやめてほしいとネット署名運動も起こっている。韓国市場の内需より海外市場の方が断然マーケットが大きいので海外に力を入れるしかないのは分かるが、韓国の携帯電話市場はサムスン電子、LG電子、パンテックと韓国産端末ばかりで海外の端末はモトローラとカシオのCanUぐらいしか販売されていない。韓国の携帯ユーザーはいやでも国産端末を買うしかないのだ。
海外にばかり目を取られ内需は後回しにされているという不満からか、同じスペックで値段は安い海外メーカーの端末を買いたがるユーザーも増えてきた。欧米の端末はキーパッドが使いづらいという不評からモトローラ以外は韓国市場に根付けなかったが、2008年夏には台湾HTCのスマートフォンがSKテレコムから発売される予定だ。iPhoneに匹敵するほど高性能なのに値段は安いということで発売前から期待を集めている。ブラックベリーやノキアも入ってくる予定だ。韓国メーカーも日本進出もいいが、お膝元の韓国市場にも少しは気を使ってほしいものだ。
(趙 章恩=ITジャーナリスト)
日経パソコン
2008年6月11日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080611/1004680/
Google Chrome、韓国ブロガー達の反応は
グーグルの新しいWebブラウザー「Chrome」は韓国でも話題騒然、ブログにはChromeを使用した感想があふれかえっている。もともと検索の王者グーグルが開発しているだけに、マイクロソフトのExplorerよりも使いやすいブラウザーになるだろう、画期的なブラウザーでない限り公開しなかったはずであると、期待されていた。
韓国のブロガーたちは初印象はとにかく邪魔な機能もなくすっきり整頓されている、Webサイトを見やすくすることに注力したブラウザーという評価をしている。Web画面が表示されるスペースを最大限確保するためタブを左上に表示させ、メニューも一行にするなど無駄をなくしたのも好評だ。何よりも満足されているのはスピード。Webサーフィンの体感速度がとにかく速い、すいすい画面が表示され移動できる、メモリーも少ししか使わないのでストレスがない、アドレスの代わりにキーワードを入れるだけで該当するサイトがどんどん出てくるので楽、などと世界のユーザーと同じようにその利便性に驚き、使ってみた人はみんな絶賛している。
個人的にはChromeでは一つのタブがエラーになった時に、シャットダウンするのがそのタブだけに限定されることが何よりも気に入っている。Explorerだと一つの画面にエラーが発生すると、全てのタブやブラウザーがシャットダウンしてしまうので、書きかけのメールなどが吹っ飛ぶことがよくあった。こういう時に限って、自動的に下書き保存されるはずが何も残っていなくて、髪を引き抜きながら悲鳴をあげたくなる悲惨な状況になってしまうので本当に困っていた。
しかし予想通りの問題もあった。以前、Firefox 3が使えない理由で紹介したのと同じように、IE以外ではサイトが表示されない、SNSでは音楽再生ができない、インターネットバンキングや電子政府が使えない、サイトにログインでいないといった問題がChromeでも繰り返されている。
グーグルは、Chrome韓国語正式バージョンではActiveXが使えるようプラグインを追加する方式で調整すると話している。現在、ActiveXに対応しないと使えなくなるサイトをリストアップしているとのこと。有名な話だが、韓国のWebサイトはWeb標準ではなくIEに合わせられているため、世界的に話題になっているブラウザーであっても韓国では使えない。グーグルはWeb標準を守らない韓国市場に合わせたブラウザーを公開するとしている。そこまでするほど、韓国って大きな市場なのかな?
韓国のWeb標準化団体であるオープンウェブは、「グーグルがActiveXをサポートすることによって、やっとWeb標準化を守ろうとする動きが出始めた韓国が逆戻りする可能性もある、ActiveXによるセキュリティ問題がChromeでも発生する可能性がある。グーグルのこの決定にはがっかりした」と反対している。
さらにグーグルのプライバシー侵害が気になるので使いたくないという人も少なくない。Chromeを通してユーザーのWebサーフィンの履歴が全てグーグルに報告されているからだ。グーグルはユーザーの訪問履歴を収集しているというのだ。GoogleのWebアプリケーションを使っていたりすると、さらにGoogleに提供する情報の種類は増える。
Googleに集約されている情報をつなぎ合わせれば、理論上、どこの誰がどんな情報に興味を持っているのかも把握できるので、世界各国の動きをグーグルは予測できるというわけだ。私のような一個人の情報など使い物にならないかもしれないが、政府機関に勤める重要人物がどんなサイトを訪問し、どんなキーワードで検索しているのかといった情報を集められたら、これはかなりすごいことにつながるのではないだろうか。こう考えると、グーグルは新しいブラウザーを公開したのではなく、個人情報収集ツールを広めようとしているのかもしれないという怖さもある。
日経パソコン
2008年9月10日
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080910/1007829/