KJIBC 는

<소개의 글>

KJIBC 2000 4 한일 인터넷 비즈니스 실무자들의 원활한 정보공유와 교류를 목적으로 설립된 비영리단체입니다.

한국 회원은 일본어가 가능하며 인터넷 관련기업에서 일본사업을 담당하는 실무자로 구성되어 있으며 일본 회원은 일본 인터넷 기업 한국 지사에 근무하는 실무자를 대상으로 모집중입니다.

정부차원의 한일 비즈니스 교류나 기업간 교류, CEO들의 교류는 인터넷기업이 활성화되기 이전부터 존재했으며 꾸준히 이어져오고 있으나 인터넷기업에 근무하는 실무자만을 대상으로 모임은 KJIBC 처음입니다.

KJIBC FORUM 게시판을 매개로 주로 활동해왔으며, 회원간 Q&A, 각종 자료 요청 공유, 한일 인터넷 비즈니스 동향 등에 관한 토론을 벌여왔습니다. 또한 일본에 관한 어떠한 질문에도 회원들이 각자의 Know how Know where 살려 답변을 제공하고 있습니다. 평균 1달에 1, 회원 이외에도 일본 인터넷 비즈니스에 관심있는 여러 실무자들이 자유롭게 참석, 그동안 궁금했던 일본 비즈니스에 관한 이야기를 나눌 있는 오프라인 모임을 마련해왔습니다.

KJIBC 특징은 유일한 일본 인터넷 비즈니스 실무자 모임일뿐 아니라 국내에서 가장 적극적으로 활동하고 있는 전문가들의 모임이란 점입니다. 덕분에 KJIBC에 질문 도움을 요청하는 글이 상당수를 차지하고 있으며 이러한 작은 질문 하나하나에 회원들 모두가 발벗고 나서 도와드리고 있습니다. 흔한 하면서도 정작 원하는 바로 정보는 얻기 힘든게 일본 정보입니다.

KJIBC 회원들은 일본에 거주한 경험이 있으며 최소 3 이상 온라인 오프라인 모두에서 일본관련 사업을 담해온 실무자로서 축적된 다양한 정보를 보유하고 있습니다.

이러한 정보를 앞으로 여러분들과 함께 공유하고자 합니다.

                                                                                        회장 : 조장은 (kjibcmail@gmail.com)

 


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[日本と韓国の交差点]「完全に新しい韓国」、文在寅大統領への期待

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朴槿恵前大統領が弾劾、罷免されたため7カ月前倒しで行われた韓国大統領選挙で、文在寅(ムン・ジェイン)候補が当選した。文氏は「完全に新しい韓国」をスローガンに掲げ、「不正腐敗を繰り返してきた積弊勢力を清算する」「原則と常識が通じる国らしい国を作る」と強調してきた。

 文氏の得票率は41%、朴前大統領を擁護し保守票を集めた自由韓国党のホン・ジュンピョ候補(24%)に558万票の差をつけて勝った。世論調査はずっと、文氏が40%以上の支持を得て当選すると予測していた。1位と2位の票差は歴代最多である。2012年12月の大統領選挙で文氏が朴氏に敗れた時の票差は約108万票差だった。

 今回の大統領選に出馬した候補は15人(2人は途中棄権)。そのうち、主な政党の代表者である5人が票を争ったため票が割れた。今までの大統領選挙は保守派の代表と進歩派の代表、2人のうちどちらかが当選するパターンだった。

20 ~40歳代で強い支持

 中央選挙管理委員会の発表によると投票率は暫定77%。前回(76%)より1.4%ポイント上昇した。史上初の事前投票(身分証さえ持っていれば全国どの投票場でも投票可能。指紋認証も併用する)と補欠選挙のため投票時間を2時間延長したことが投票率を上げた。

 地域別開票結果をみると、朴前大統領の地元である大邱市、慶尚北道はホン候補の得票率の方が高かった。慶尚南道も、わずかではあるがホン候補が優勢だった。ただし、その他の地域では文氏が1位だった。

 地上波放送局3社が共同で実施した出口調査結果によると、全国の20~50代が文氏を支持した。文氏の得票率は、20代(19歳含む)48%、30代57%、40代52%、50代37%、60代25%、70代以上23%。ホン氏は60代46%、70代以上51%とシニア層からは圧倒的に支持された。

 韓国では複数のメディアが「20~30代の若者がろうそく集会と弾劾、今回の大統領選挙を通じて、国民が政治に関心を持って声を出せば国を変えられることを経験した。1987年民主化運動を経験した50代とろうそく集会を経験した20~30代が韓国を変える改革勢力になるだろう」と分析した。

「国民だけを見て正しい道に進みます」

 文氏は9日深夜、当選確定を受けて、以下のあいさつをした。

 「本当にありがとうございます。国らしい国を作るため一緒に歩んできた偉大な国民の偉大な勝利です。新しい大韓民国のため他の候補とも手をつなぎ一緒に前進します。私は国民すべての大統領になります。私を支持しなかった国民も大事にする統合の大統領になります」

 「尊敬する国民の皆様。国民の切実な望みと念願、絶対に忘れません。正義の国、国民が勝つ国を必ず作ります。常識が通じる国らしい国を必ず作ります。渾身の力を込めて新しい国を必ず作ります。国民だけを見て正しい道を進みます。偉大な大韓民国、正義の大韓民国、堂々とした大韓民国、その大韓民国の誇らしい大統領になります」

「何よりも雇用を大事にし、同時に財閥改革もします」

 5月10日午前8時、中央選挙管理委員会は全体会議を開き、文氏の当選確定を公式に発表した。今回の大統領選挙は補欠選挙に当たるため、大統領就任式や大統領間の引き継ぎはない。

 文氏の大統領としての任期は中央選管の発表直後から始まった。8時10分頃には韓国軍の最高位であるイ・スンジン合同参謀議長が文大統領に軍の状態を電話で報告。文大統領は「大統領としてわが軍の力量を信じている。国民の安全のために万全を期してほしい」と応じた。

 午前9時には自宅がある西大門の住民に見送られ家を出た。午前10時には歴代大統領の墓地がある国立ソウル顕忠院(国立墓地)を参拝。その後、国会に到着して国会議長と歓談。野党になった自由韓国党のほか、国民の党、正しい政党、正義党を訪問して党代表と歓談し、「野党と随時議論し、協治する。国政に協力してほしい」と伝えた。

 正午には国会で大統領就任宣誓を行った。その後「国民への言葉」として以下のように述べた。

 「2017年5月10日は真正な国民統合が始まった日として歴史に残るでしょう」

 「旧時代の間違った慣行と決別します。権威的大統領文化を清算します。国民とコミュニケーションします。国民と目線を合わせる大統領になります」

 「安全保障に関わる問題を急いで解決します。必要ならすぐワシントンに飛んでいきます。北京と東京にも行きます。条件が整えば平壌にも行きます。韓米同盟はより強化します。THAAD問題解決のため米国および中国と真摯に交渉します。自主国防力強化のため努力します」

 「分裂と葛藤の政治も変えます。国内外は厳しい経済状況です。何よりも雇用を大事にし、同時に財閥改革もします。文政府の下では政経癒着という言葉が完全に消えてなくなるでしょう。差別のない世の中を作ります。機会は平等に与え、選抜課程は公正に、結果は正義に満ちたものにします」

 「この大統領選挙は前任大統領の弾劾によって行われました。不幸な歴史は終息すべきです。私は大韓民国の大統領の新しい模範になります。清廉な大統領になります。国民の誇りになります。約束を守る正直な大統領になります。公正な大統領になります。特権と反則のない世の中を作ります」

 「2017年5月10日、大韓民国は新たなスタートを切ります。私は命を注いで働きます」

By 趙 章恩

 日経ビジネス

 2017年5月

-Original column

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/051100063/

ICTでイノベーションを育む IoT時代に向けた韓国のスマート教育

人工知能時代を見据えた教育変革へ

韓国の未来創造科学部(日本の総務省に相当)によれば、韓国では2016年4月末時点で国民の9割がスマートフォンを使用している。家電売り場には数年前からIoT家電コーナーが登場し、スマートフォンの位置情報から帰宅時間を予測して稼働するエアコン、必要な食材をネットスーパーに注文してくれる冷蔵庫といった家電製品のほか、ヘルスケアのためのセンサーやウェアラブル端末も数多く販売されている。電気・ガス・水道などもスマートフォンで遠隔制御でき、スマートメーターの普及も進んでいる。韓国ではすでにIoTが人々の生活に浸透し、スマートライフを実現しているのだ。

IoTによる変化は、教育にも及んでいる。韓国の教育界に「変わらなくては」という衝撃を与えたのは、今年4月の『AlphaGo』とイ・セドル九段の囲碁対決だ。人間より優れた人工知能が登場し、多くの職業が人工知能に代わる時代が現実味を帯びる中、子どもの教育をどうすればいいのか。韓国では多くの議論が巻き起こっている。


全国に普及するスマート教室

韓国は世界でも教育熱が高く、幼少期から名門大学に進学するための受験競争が始まる。どの大学を卒業するかでその後の人生が左右されるといっても過言ではなく、教育も大学受験のために存在してきた。

しかし1990年代から、試験でいい点数を取るための一方的な教育が子どもたちの創意力を抑制し、その結果韓国全体の活気が落ち込んでいると懸念する声が大きくなってきた。そこで1997年には教育環境を変えるための「デジタル教科書」「スマート教室」「スマートラーニング」導入の議論が政府内で始まり、長年の実証実験を経て、教育のICT化が進んできた。

現在、韓国の小中高校のほとんどがスマート教室を有している。筆者が2012年に訪問したソウル市内の小学校では、教室の3面が電子黒板となっており、生徒は1人1台タブレットPCを手にし、3D、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)を使ったデジタル教材で理科や社会の授業を行っていた。もちろん、教室の中ではWi-FiまたはLTEでネットワークにアクセスできる。地域の紹介をテーマとした3年生の授業では、教師が自らドローンで撮影した地元の名所を見せると、グループごとにその場でスライドを作って発表し、討論しながら手作りパンフレットを完成させ、それを学級SNSに掲載して保護者にも見せる。学級SNSは児童・生徒と保護者、担任、校長などが参加する教育目的のSNSで、連絡事項の伝達のほか、授業で撮った写真や動画の共有など、韓国の学校では日常的に使われている。タブレットPCのカメラで友達がバドミントンをする姿を連写して先生のお手本との違いを発表する授業や、ARで映し出された恐竜の卵から恐竜の種類を当てるクイズなども行われていた。いまから4年も前のことである。


クラウドの活用でよりスマートに

学校で電子黒板とタブレットPCを使うことだけがスマート教育ではない。韓国政府が2011年から推進するスマート教育の「SMART」は「Self-directed(自ら主導する)」「Motivated(動機づけられた)」「Adaptive(学習者に適合した)」「Resource enriched(充実した教材を使った)」「Technology embedded(技術が埋め込まれた)」の略字である。子どもが楽しみながら、自分の適性とレベルに合わせて、豊富なデジタル教材とITを活用して自ら学習すること、教師と双方向でコミュニケーションしながら積極的に学び、満足できる教育を目指しているのだ。2014年度のスマート教育満足度調査では、児童・生徒も保護者も9割近くが「既存の教育より満足している」と答えた。

韓国では2000年頃から学校の校務と児童・生徒の管理をすべてデジタル化し、現在は全国の教師がNEIS(National Education Information System)と呼ばれるクラウド上のシステムで学生の個人情報や成績などを管理している。登録されたデータを利用していろいろな統計が出せるほか、教育委員会に提出する書類をすぐに作成することもでき、教師の雑務軽減にもつながっている。転校時にはシステム上でデータを移動するだけ。大学入試の際も大学に学生のデータを送信すればいいので、願書を書く必要もなくなった。また、保護者もNEISにログインして自分の子どもの出席や成績などを確認できる。

同じ時期に、「EDUNET」「サイバー家庭学習」など、政府が無償で提供する学習サイトもオープンした。クラウド上に教科書や教材があり、自宅のパソコンからログインすると、地域と学年に合わせて勉強すべきマルチメディア資料が登場し、予習・復習ができる。サイバー担任もいて、チャットで質問し、教えてもらえる。この時期から学校の宿題もインターネットで調べてクラウドに保存するという方式に変わり始め、子どもがいる家庭へのパソコンとブロードバンドの普及が一気に進んだ。

SKテレコムは教科書会社と提携し、教師向けにスマー教室での授業をサポートするアプリ『スマートティーチャー』を開発。マルチメディア教材の検索や学級通信の作成ツールなどがセットになっている。各自治体の教育庁も類似のサービスを提供している


IoT時代に備えプログラミングを必修化

韓国政府は教師の研修も長年行ってきた。電子黒板やタブレットPC、LMS(Learning Management System)の使い方に加え、デジタル教科書やデジタル教材を使いこなし、自ら制作する方法も教えた。ロボットの制御や3Dプリンター向けの簡単なプログラミング体験により、プログラミングがさほど難しくないことを実感させた。スマートフォンに慣れている教師たちは、こうしたICT化にもすぐに順応した。

2018年からは、プログラミングが小中高校で正規科目となる。小学校では決まったコマンドをコピー&ペーストして小型ロボットを動かすプログラムを書いたり、自分で簡単なゲームを作ったりする。すでに2014年から自由選択科目として教えられているが、IoT時代に必要な「Computational Thinking」を育てる一歩として、履修が義務づけられたのだ。

韓国でComputational Thinkingの代表的な事例としてよく取り上げられるのが、2009年に高校2年生が開発した『ソウル・バス』というアプリだ。当時はバス会社のウェブサイトやバス停のデジタル・サイネージにバスの時刻表と到着時間を知らせる機能はあったが、アプリで簡単に時刻表を確認できるサービスがなかった。そこで、高校2年生が一人でネットに散らばっていたバスの時刻表や運行状況がわかる情報を集め、複雑なデータからアルゴリズムを把握し、ソウル市内のすべてのバスの現在位置と各バス停への到着時刻を確認できる『ソウル・バス』アプリを作った。このアプリは人気ランキング1位となり、後に大手ポータル会社に買収されて、いまやソウル市民の生活必需アプリになっている。

SKテレコムは小学生を対象としたプログラミング教室も実施している。ゲーム形式でプログラミング言語をコピー&ペーストして『アルバート』という名前の小型ロボットを動かす体験ができる

プログラミング教育はさらに低年齢化。小学校で必修となることが決まってから、韓国仁川市保育園連合会に所属する保育園では幼児向けプログラミング体験教室を開いている


データ活用に向け個人情報制度も見直し

このように韓国では、ソフトウェアを重視し、すでにあるものをどう組み合わせて新しいものを作るかを考えるイノベーションに注力している。受験偏重型の教育を変えようというチャレンジを積み重ねてきた韓国は、スマート教育を超えてIoT時代に合わせたプログラミング教育へと発展してきたと言えるだろう。

韓国政府は今後、子どもたちのデータをより詳細に分析し、一人ひとりに合わせたカリキュラムを作ることを目指している。そのためには学校中にセンサーを取り付けて行動を観察する、学校と自宅で行われる学習履歴を分析するなど、IoTと人工知能のさらなる活用が必要となる。こうした取り組みに向けて、クラウド・コンピューティングや個人情報の取り扱いに関する制度の見直しも始まっている。「パリパリ(早く早く)」走りながら考えるのが得意な国民性を持つ韓国は、そう遠くない未来に新たな制度を実現するはずだ。


By 趙 章恩

 Huawei

 2016年7月

-Original column

http://www.huawei.com/jp/publications/huawave/22/HW22_Better%20Connected%20Schools%20in%20Korea

[日本と韓国の交差点] 韓国大統領選、安哲秀氏の支持率が上がった理由

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5月9日に行われる第19代・韓国大統領選挙まで、残り1カ月を切った。

 北朝鮮は弾道ミサイルを再び発射。米中首脳会談で、北朝鮮の核・ミサイル開発の解決に向けて協力を強化することに両国首脳が合意した。

 海の上の軍事基地と呼ばれる米海軍の航空母艦カール・ビンソンは4月8日、シンガポールからオーストラリアに向かう計画を変更し、再び朝鮮半島に向かった。北朝鮮に対して存在感を示すためだ。同空母は3月15日から2週間、韓米連合軍事訓練のために釜山港に入港していた。

 韓国内では、大統領不在による外交・安保の停滞が深刻に受け止められている。その影響からか、大統領候補の支持率にも変化が表れ始めた。

 19代大統領選挙には、各党から選ばれた5人が出馬している。進歩派は、共に民主党のムン・ジェイン(文在寅)候補と正義党のシム・サンジョン候補が。保守派からは、自由韓国党のホン・ジュンピョ候補と正しい政党のユ・スンミン候補が。そして進歩と保守の間にある中途派からは国民の党のアン・チョルス(安哲秀)候補が立った。

 各新聞とテレビ局が4月9日に行った世論調査では、文在寅氏と安哲秀氏の支持率がほぼ拮抗。安哲秀氏の支持率の方が高いと報道するメディアもあった。今までは文在寅氏が圧倒的な支持を集めていた。

 複数の韓国メディアは、「20~40代が支持する文在寅氏と50~60代が支持する安哲秀氏の競争になった」と報道している。完全な進歩派か、保守と進歩の間にある中途派か、の選択になった。

 50代以上の根強い保守支持層が安哲秀氏を支持し始めたことから、同氏の支持率が急上昇しているという。保守派支持層は、保守派の候補が当選する可能性はないので、次善の選択として安哲秀氏を支持している。進歩派だけど、文在寅氏は支持しないという人達がこれに加わった。

 文在寅氏は学生時代に民主化運動に参加した。弁護士出身で、故ノ・ムヒョン大統領の秘書室長、共に民主党の党代表を歴任した。安哲秀氏は元医者。パソコンのウィルス退治ソフトを開発しベンチャーを立ち上げた起業家でもある。KAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)・ソウル大学教授、国民の党の元共同代表を歴任した。

 2人とも2012年の大統領選挙には、進歩派の大統領候補として出馬した。進歩派支持層の票が分散するのを避けるため候補を一本化しようと安哲秀氏が選挙前に候補を辞退。朴槿恵前大統領と文在寅氏の一騎打ちとなった。進歩派候補だった2人が今回、ついに大統領選挙でぶつかることになった。

 文在寅氏と安哲秀氏は12年には同じ進歩派の候補だったが、現在は正反対のイメージになった。文在寅氏はセウォル号事件の被害者家族と一緒に断食をしたり、ろうそく集会に熱心に参加したり、庶民の味方というイメージを築いた。

 保守支持層からは「親北で過激な人」と見られている。「財閥改革」「積弊を清算する」「大統領になったら金剛山観光を再開、開城公団を拡大する。北核問題を解決するためには対北経済協力が必要で、これは韓国企業の利益にもなる」などを主張してきたからだ。

 一方の安哲秀氏は成功した起業家で学者、エリートのイメージが強い。保守派の「『正しい政党』とも手をつないで協治する」と発言したことから保守支持層にとって受け入れやすい人物といえる。

By 趙 章恩

 日経ビジネス

 2017年4月

-Original column

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/041100062/

[日本と韓国の交差点] セウォル号が韓国社会に生んだ新たな分断

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3月25日夜9時過ぎ、韓国海洋水産部(韓国の「部」は日本の「省」)はセウォル号の船体引き揚げに事実上成功したと発表した。2014年4月16日、修学旅行に行く高校生325人と教師14人、その他乗客104人、乗組員33人合わせて476人を乗せて済州に向けて仁川港を出たセウォル号は、韓国南西部にある珍島周辺の海で沈没、死亡295人、行方不明9人という大惨事となった。

 それ以来1075日ぶりに船体が海の上に姿を現した。25~26日には、事故現場から最も近い彭木(ペンモク)港を多くの人が訪れた。被害者を追悼するためだ。

 海洋水産部は3月22日からセウォル号の船体引き揚げに取り掛かっていた。依然として明らかになっていない事故の原因究明と、9人の行方不明者の遺体を探すためである。船体引き揚げが決まり業者が選定されたのは2015年8月だが、天候や技術的な問題から準備作業が長引き、実際の引き揚げ作業を開始するまでに時間がかかった。

 船体の引き揚げ作業を担当するのはShanghai Salvage中国交通省が所有する国営企業だ。2015年8月に実施された国際入札で選ばれた。落札後、約350人の作業員が珍島の海上に建てたコンテナーで寝泊まりし1日3交代で作業をしてきた。

 海洋水産部によると、韓国政府がShanghai Salvageに支払う費用は、当初予定の916億ウォン(約92億円)から膨張している。引き揚げが難航したことで作業期間が長くなったからだ。途中で引き揚げ方法も変更。この結果、費用は2000億ウォン(約200億円)に及ぶことになりそうだ。複数の韓国メディアによると、Shanghai Salvageはセウォル号引き揚げによる利益より、「難度の高い引き揚げを成功させた企業」として認知される宣伝効果を重視しているという。

 引き揚げられた船体は海水を抜く作業をしたのち、木浦(モクポ)新港に移動。事故の原因究明と行方不明者の遺体捜索に本格的に着手する。船体調査委員会が10カ月ほどの時間をかけて調査することも決まった。同委員会は、国会が推薦した専門家5人と、遺族が推薦した専門家3人で構成される。

CNNは「national trauma」と位置づけた

 セウォル号の船体引き揚げが始まった3月22日、CNNやAFPなど世界各国のメディアも作業の状況を詳しく報じた。CNNはセウォル号大惨事を以下のように説明しながら、「National trauma」と位置づけた。

 2014年4月16日、セウォル号の中に300人近い高校生たちが残されたまま沈没していくのを、全国民がテレビの生中継で見た。沈没し始めた船内で客室の窓を割ろうと必死になっている人の姿も映っていた。セウォル号の船長と乗組員は「動くな、客室内で待機せよ」と案内放送した後、自分たちは真っ先に逃げた。

 大人の言う通り、客室内にいた高校生らは、危険な状況に気付くことなく、傾き始めた船の中で楽しそうにはしゃぐ動画を残した。それが徐々に、助けを求める動画に変わり、親兄弟に最後のメッセージを残す動画に変わった。「どうして客室に残れと言ったのか」「なぜ助けられなかったのか」と怒りを感じない人はいなかっただろう。

 生存者の証言によって、救助活動が常識的には考えられないほど疎かだったことが判明した。子供たちを「助けられなかった」「何もできなかった」という心の負債が、テレビでセウォル号が沈むのを見た人達にいまでも残っている。セウォル号で犠牲になった子供たちのことは、船体引き揚げに関する記事のコメント欄やSNSだけでなく、日常の会話の中でもよく話題になり、みんな忘れることができないように見える。セウォル号大惨事はまさにナショナルトラウマである。


By 趙 章恩

 日経ビジネス

 20173

-Original column

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/032700061/

[日本と韓国の交差点] 朴氏の「真実は明かされる」発言に怒り沸騰

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韓国の憲法裁判所は3月10日、裁判官8人全員が賛成して弾劾訴追案を「認容」する判決を下した。判決主文には「被請求人である大統領・朴槿恵を罷免する」と書かれた(請求人は国会と国会訴追委員法制司法委員長)

 弾劾の判決は言い渡されると同時に効力が発生するので、3月10日11時20分をもって朴槿恵氏は前大統領になった。朴氏は、自宅の修理が終わっておらず、警護体制もまだ整っていないとの理由で、判決から2日経った3月12日午後7時過ぎに大統領官邸を出た。記者会見をすることも、公式コメントを残すこともなかった。朴氏は韓国で初めて罷免される大統領になってしまったが、自宅前に集まった支持者らには嬉しそうな笑顔を見せた。

 大統領官邸報道官だった自由韓国党(前セヌリ党) のミン・キョンウク議員が取材陣に明かしたところによると、朴氏は自宅前で出迎えた「親朴」と呼ばれる議員らに「時間はかかるが、真実は必ず明かされると信じている」とのメッセージを残したという。主な韓国メディアは朴氏のこの発言を「(朴氏が)憲法裁判所の判決に事実上不服を申し立てた。判決に不満を示した」と大々的に取り上げた。

野党は一斉に批判

 この発言が報道された後、3月12日夜から、野党側は朴氏を一斉に批判した。共に民主党のユン・クァンソン報道官は、「朴氏は最後まで自身の国政壟断(朴氏が、友人であるチェ・スンシル氏の国政介入と不正蓄財を助けたとされること)は認めたくないようだ。憲法裁判所による弾劾認容をいまだに不服としているようで遺憾である」とコメントした。

 国民の党のチャン・ジンヨン報道官は、「朴氏が憲法裁判所の判決を承服し、国民の統合に寄与することに期待した。しかし、やはりむなしい期待だった。最後の最後まで『真実は必ず明かされる』云々と語り、憲法裁判所の決定を不服としたのは遺憾である。自分の過ちをわかっていないのは、朴氏個人にとって不幸であるだけでなく国家にとって不幸だ」と論評した。

 保守派の正しい政党(セヌリ党から脱党した議員らが所属)のチョウ・ヨンヒ報道官は、「(朴氏が)憲法裁判所の判決を尊重し、(弾劾を求める国民とそうでない国民を)統合するようメッセージを残すと期待した。だが、分裂と葛藤が続く余地を残したのは遺憾である。それも、自らの口からではなく、代理人の口からだった。朴氏は憲法裁判所の決定を厳粛に受け止め、その結果を尊重すべきである」と論評した。

 自由韓国党(前セヌリ党)は、特別な論評を残さなかった。イン・ミョンジン非常対策委員長が、判決が下った直後に記者会見を開き、次のように述べるにとどめた。「憲法裁判所が弾劾を認容する決定を下したことに対して、自由韓国党は責任を痛感している。与党としての責務を果たすことも、今まで国民が築いた韓国の国格(国の品格)を守ることもできなかった。国民の皆様に心から謝罪する」

 弾劾裁判の請求人である国会弾劾訴追委員長クォン・ソンドン議員(正しい政党所属)は、「法治主義と国民主権を確認できた判決」と評価した。大韓民国憲法第1条2項には、「大韓民国の主権は国民にあり、全ての権力は国民から生じる」と書いてある。


By 趙 章恩

 日経ビジネス

 20173

-Original column

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/031400060/

車が財布になる!?韓国で「コネクティドカーコマース」登場間近

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 韓国のキャリアであるLGU+とクレジットカード会社の信韓カード、ガソリンスタンドのGSカルテックス、スタートアップのOWiNの4社はこのほど、「コネクティドカーコマースアライアンス」を結成し、下半期からソウル市江南地区でサービスを開始すると発表した。4月20日にはソウル市内でセミナーを開催。コネクティドカーコマースの動向や具体的なサービス内容について説明した。

 コネクティドカーコマースとは、ETC(電子料金収受システム)のようなイメージで、ガソリンスタンドやドライブスルーでの代金をクレジットカードや現金を出さずに、運転手は何もしなくても車の情報を認証して自動決済できるもの。車に登録したクレジットカードから支払われる。

 おサイフケータイのように車そのものが財布になるサービスである。車がインターネットにつながり運転手が安全に運転できるコネクティドカーサービスの一つとして位置づけられるが、韓国ではこのコマースを一足先に実現するわけだ。

 下半期から江南地区で始める計画のコネクティドカーコマースは、フランスの自動車メーカーであるプジョーを対象としている。韓国のハンブルモーターズが2017年下半期に輸入販売するすべてのプジョー車に、コネクティドカーコマースを搭載する。決済はアライアンスの信韓クレジットカードを使う。

 コネクティドカーコマースを利用するにはどうしたらいいのか。運転手は車に乗って、モニター画面からコーヒーや花などを注文し、ドライブスルーのカウンターで商品を受け取る(写真)。スマートフォンを使って、アプリから商品を注文することも可能だ。商品を注文すると、店舗に注文内容と到着予定時刻が届く。顧客の車が1Km先に近づくと、店舗の端末にその情報が表示される。顧客が到着すると、顧客番号と注文内容が表示され、商品を渡すと決済完了になる。


コネクティドカーコマースの利用イメージ
(出所:OWiN)
[画像のクリックで拡大表示]

 ガソリンを入れる時も同じだ。車に搭載されたモニターまたはスマートフォンアプリからガソリンの種類と金額を選択。GSカルテックスのガソリンスタンドに行けば、店員が車から送られた情報を見て、車が到着したらすぐに給油を始める。クレジットカードと一緒にポイントカードもひも付けておけば、ポイントのチャージや割引クーポンの利用も忘れずに済む。

 駐車場の利用も便利になる。駐車場に入って出るだけで時間を自動的にカウントしてクレジットカードから料金が引かれるので、時間の節約になる。

車を財布にするには、スタートアップであるOWiNが提供するビーコンと、車載インフォテインメントシステムまたは専用アプリをインストールしたスマートフォンを連動させる。ビーコンをシガーソケットに差し込むと、店舗に近づいた時に店舗側の端末に信号を送る。決済に必要な情報は暗号化して処理され、約2秒で消去されるなど、セキュリティにも気を使った。決済に必要なネットワークはキャリアのLGU+が担当する。

 韓国でも最近は時間単位で車を利用できるカーシェアリングの利用が増えている。このため今後は、どの車でもスマートフォンとビーコンさえ持ち込めば、車に搭載されたモニターと連動して車の利用代金を含めて決済できるようにするという。

 ソウルは東京に比べて車を利用しないと移動に不便な場所がまだある。また駐車代が安いので、通勤に車を利用する人がとても多い。韓国は車庫証明がなく車を購入しやすいので、日本よりも気軽に車を買う傾向がある。だからこそソウル市内には駐車場も多く、ドライブスルーの店舗も結構ある。コネクティドカーコマースによって、ドライブスルーがさらに増えると見込まれている。

 韓国では、オンラインとオフラインをつなげる「O2Oサービス」が日常に根付いている。賃貸物件はアプリ経由で探し、気に入った物件があれば不動産を訪ねる。出前もアプリ経由でメニューと値段を見て注文。出前アプリで有名な「配達の民族」は、2016年の月平均出前注文件数が1100万件を超え、売上は年間849億ウォン(約85億円)、営業利益25億ウォン(約2.5億円)と黒字になった。

 O2Oの流れから、オンラインで注文・決済してオフラインで商品を受け取ることに慣れている韓国人は、コネクティドカーコマースもすぐに使いこなす可能性が高い。車を財布にしてオフラインの店舗を利用する新しいO2Oに期待が集まっている。


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

日経パソコン

2017.5.

 

-Original column

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/549762/042600145/?itp_leaf_index

韓国MVNOのシェアは11.4%、使わなかったデータ通信料金を割引

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 韓国の通信政策を担当する未来創造科学部の発表によると、2017年3月末時点で韓国のMVNO加入件数は701.7万件で全移動通信加入件数の11.4%を占めている。2011年7月から販売開始した韓国のMVNOは、2015年12月末時点で加入件数592万件(移動通信に占めるシェア10.2%)を突破し、そろそろ頭打ちではないかと言われていたが、料金プランの工夫や格安スマホの登場により、まだ増加し続けていた。

 事業者別シェアは、大手ケーブルテレビ会社CJハロービジョンのMVNOであるCJハローモバイルが86万5354件と最も多く、その次がキャリアSKテレコムの子会社SKテリンクで72万6619件だった。全国の郵便局と郵便局のホームページを販売窓口にしている中小企業も、インスコビ社63万1204件、イージーモバイル社61万3920件、ユニコムズ社57万4385件と、少しずつ加入件数を伸ばしている。この他にもキャリアKTとLGU+の子会社もMVNOサービスを始めた。

 韓国のMVNOは当初、シニアをターゲットにしたプリペイド式激安音声通話を目玉にしていたが、最近は後払い式データ通信の安さを売りにしている。キャリア3社の半分程度の料金でデータ通信が使える。未来創造科学部は、MVNOの加入件数が伸び続けているのは、「データ通信の料金プランが多様化したから」と分析した。

 CJハローモバイルは2017年1月より、韓国で初めて使い切れなかったデータ通信分、1Mバイト当たり10ウォン(約1円)にして料金を割引するペイバッグ料金プランを始めた。

 例えば、月1Gバイト使う料金プランに加入したのに500Mバイトしか使わなかった場合、残った500Mバイト分5000ウォン(約500円)割引する。音声通話とSMS使い放題(韓国では音声通話が1回当たり5分を超えても無料)+データ通信1Gバイトで月26900ウォン(約2700円)のペイバッグ専用料金プランに加入しないといけないが、いつもはWi-fiを使い、データ通信は移動中に無料メッセージアプリを使うぐらいでいいという人にはとても便利だ。データ通信を全く使用しなかった場合は1300円ほど割引されるので、1400円程度で音声通話とSMSが使い放題になる。

 今までは、残ったデータ通信を家族に譲る、友達にプレゼントする、翌月まで1ヵ月だけ繰り越し可能、というプランはあったが、割引という形で返金するプランはなかった。CJハローモバイルによると、加入者の7割がデータ通信を使い切っていないことから、顧客満足度を上げるため残った分割引するプランを始めたという。

 たくさんデータ通信を使う人は10Gバイトプランもある。月3万3000ウォン(約3300円)で音声通話とSMSは使い放題、データ通信は10Gバイト分使え、さらに10Gバイトを使い切ってしまった場合、毎日2Gバイト追加で提供する。追加でもらった2Gバイトも使い切ってしまった場合は、3Mbpsの低速で無制限データ通信が使える。キャリア3社の場合、月10Gバイトのデータ通信プランが月6万5890ウォン(約6600円)なので、ちょうど半額で利用できる。その代わり、半額で使えるのは24カ月だけ、25カ月目からは月1000円ほど高くなる。

音声・SMS使い放題、10Gバイトのデータ通信で月額約3300円
(出所:CJハローモバイル)
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趙章恩=(ITジャーナリスト)

 

日経パソコン

2017.4.

 

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韓国大統領選挙、候補のIT公約は「インダストリー4.0」「起業」が焦点

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韓国では朴槿恵前大統領の弾劾により、次の大統領を選ぶ選挙が7カ月ほど前倒しの2017年5月9日に行われることになった。

 早速、自分の関心事と大統領候補の公約を比較し、どの候補に投票すれば最も望みを叶えられそうかを調べてくれるマッチングサイトも登場した。その名も「ヌード大統領」。各政党のサイトを見て公約を比較するのは時間もかかるし面倒だけど投票するからにはちゃんと選びたい、という人にはぴったりだ。


公約マッチングサイト「nudepresident」
(出所:FiscalNote Korea)
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 利用者が入力した関心事の統計が表示されるので、韓国人の全般的な関心事も分かる。候補者にメッセージを残せるコーナーもある。4月11日時点で34万7000人以上が利用した。

 大統領選挙は進歩派と呼ばれる野党「共に民主党」のムン・ジェイン候補と、進歩派と保守派の間にある野党「国民の党」のアン・チョルス候補の競争になってきた。ムン候補は大学生の頃から民主化運動をした人物で、人権弁護士として活躍。故ノ・ムヒョン元大統領の秘書室長を歴任した。アン候補は日本にも法人があるセキュリティソリューション企業「アンラボ」を立ち上げた人で、韓国では成功した起業家としてとても有名な人物である。自他公認のIT専門家でもある。

 ムン候補とアン候補のIT分野の公約は共通した面が多い。「インダストリー4.0の時代に合わせて人工知能(AI)、自動運転車、IoTといった新産業を積極的に育成する」「理工系科学技術専門家を育成する」「起業しやすい環境を作るだけでなく、連帯保証人制度を廃止して失敗しても再度チャンスがもらえるようにする」といったことに焦点を当てている。

 ただし、ムン候補は国主導で、アン候補は民間主導で、というところが決定的な差である。ムン候補は大統領傘下に「インダストリー4.0革命委員会」を新設し、科学技術政策を総括する省庁を設け、国主導でIT産業を支援するという立場である。

 一方のアン候補は自ら起業してベンチャーを大企業に育てた経験を踏まえ、IT産業の競争力を上げるには政府の関与は最小限にして民間企業の自律に任せるべきという立場を示している。「インダストリー4.0はITだけでなく、すべての産業が融合することなので、以前のように政府主導ではうまくいかない」とも発言した。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

日経パソコン

2017.4.

 

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日韓の楽しいシニア達、ゲームを開発した81歳とYouTubeスターになった71歳

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2017年4月1日、韓国ソウル市で行われた「SOFTWARE EDU FEST 2017」のイベントに、日本の81歳の女性がスピーカーとして登壇した。iPhone向けアプリ「hinadan」(https://itunes.apple.com/jp/app/hinadan/id1199778491)の制作者である若宮正子さんである。

誰も作らないので、プログラミング言語を学び自分で作った

 若宮さんは「I want to be creative and active」のタイトルで、シニアが楽しめる雛壇飾りアプリゲームを開発した経緯を説明した。そして「81歳がアプリを作ったことがこれほど注目されるのは、やはりシニアはITに弱いと思われているから。自分はシニアにインターネットの世界を教えて、若い世代との情報格差を縮める架け橋になりたいと思っている」と話した。

 彼女はアプリ開発のために、プログラミング言語「Swift」を独学でマスターした。知人の開発者にSkypeを通じてアドバイスをもらったり、英語でしかできないアップルのアプリ登録申請書類を「Google翻訳」サービスで乗り越えたり、とても苦労したという。hinadanを開発したのは、「手の動きが若者ほど早くないシニアも楽しめるゲームアプリがあるといいな」と思ったが、誰も作ってくれなかったので自分で作ったとのことだった。

 SOFTWARE EDU FEST 2017は、LINEの親会社であるポータルサイトNAVERが2011年に設立したコネクト財団が毎年開催している。コネクト財団は、小学生からコンピュテーショナル・シンキングが身につくようプログラミング教育を実施しようと後押しする財団である。

 韓国でも、若宮さんのことは話題になっている。同イベントの様子を伝えた韓国メディアの記事のコメント欄には、「年齢は数字にすぎない。本人の意志でなんでもできることを、若宮さんを見て知りました。すごい!」、「かっこいいしすごい。欲しいアプリを自分で作ろうとか、問題を自分で解決してみようとか思わなかった。チャレンジ精神を学びたい」、「韓国もシニア層の多くがIT文化についていけない、パソコンは使いにくいと思っているが、若宮さんのようにチャレンジしてみてほしい」など、彼女の行動力を絶賛する書き込みが多く見られた。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 


日経パソコン

2017. 4.

 

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