韓国とオランダが政府・企業・大学をつなぐ半導体アライアンス、ASMLとパイプ構築

 韓国とオランダが半導体に関するアライアンスを構築する。オランダを国賓訪問した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は2023年12月13日(現地時間)、ハーグでマルク・ルッテ首相と首脳会談を開催し、韓国とオランダは政府・企業・大学をつなぐ半導体アライアンス(Semiconductor Alliance)を構築すると発表した。目標は世界最高の「超格差」を作ることにあり、両国は半導体のサプライチェーンで問題が発生した際には共同対応する。

 韓国とオランダは経済安保に関する対話などを設けて情報を緊密に共有、半導体サプライチェーンの脆弱な要素を補完し、人材養成も協力するという。この他にサイバーセキュリティーや国防分野でも緊密に協力することにした。尹大統領は、「半導体は産業としてだけでなく安保のためにも重要な分野」として、半導体産業のさらなる成長のために政府の支援を惜しまないという立場である。

 尹大統領とサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長はオランダの半導体製造装置大手ASMLの本社も訪問した。この場にはオランダのウィレム・アレキサンダー国王も同席した。ASMLは最先端半導体の生産に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装備を独占製造している会社であり、世界の半導体メーカーはASMLの装備を1台でも多く確保するため親密な関係を築こうとしている。ASML側は半導体技術の難易度が上がり開発費用も急騰しているだけに、政治・経済・人材の全てを含めて国と国との協業が重要になってきたとして韓国との協力を歓迎していた。



 章恩(ITジャナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2023. 12.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00101/

メモリー需要がオンデバイスAIで急増か、Galaxy S24に新型DRAM搭載の予測

沈滞していたメモリー半導体市場が再び上昇を始めた。在庫過剰で値段が下がり続けていたDRAMとNANDの取引価格は2023年10月と11月の2カ月連続で上がった。DRAMとNANDの大手企業である韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と韓国SK hynix(SKハイニックス)のメモリー事業は急回復し、2023年10~12月の決算は大幅に好転すると韓国の証券業界は見込む。

 同証券業界は、サムスン電子とSKハイニックスの好況は一過性ではなく、2024年以降も続くと見込んでいる。人工知能(AI)ブームを受けてAIサーバーに搭載する高性能のHBM(High Bandwidth Memory)やオンデバイスAI向けのDRAM需要が急増するとともに、この需要は今後も旺盛だからだ。

 サムスン電子とSKハイニックスもメモリー半導体が好況サイクルに入るとみて準備は万全だ。サムスン電子はHBMの生産能力を2024年は現在の2.5倍にするために、設備投資を増やすとしている。SKハイニックスは2024年に生産予定のHBMまで売り切れ状態で、HBM設備投資額を2024年は現在の1.5倍に増やすという。

 台湾のリサーチ会社TrendForceが12月5日(現地時間)に発表したデータによると、2023年7~9月グローバル市場のNANDフラッシュ市場規模は前期より2.9%増加した92億2900万米ドルだった。NANDフラッシュメーカー各社が減産を迫られていた状況から一気に様相が変わってきた。NANDフラッシュのグローバルシェアはサムスン電子が依然として1位(31.4%)だが、キオクシアのシェアが減少したことによりSKグループ(SKハイニックスと子会社のSolidigm)が1年ぶりに2位(20.2%)になった。TrendForceによると、DRAMもモバイル向け・PC向け・サーバー向け全てで価格が上昇して出荷量も増えていて、交渉の主導権が半導体企業に戻ってきたという。

 章恩(ITジャナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2023. 12.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00100/

韓国ディスプレー産業の輸出回復、サムスンディスプレイはマイクロOLEDに注力

韓国の科学技術情報通信部(「部」は日本の「省」に当たる)の統計によると、2023年10月のICT(情報通信技術)分野の輸出額は前年同月比4.5%減の170.6億米ドルだった。貿易黒字は暫定44.4億米ドルである。韓国の主力輸出品目であるディスプレーはモバイル向け有機EL(OLED)が好調で、同13.1%増となった。メモリー半導体は同1%増となったものの、他の品目は世界市場の需要減少により軒並みマイナスとなった。システム半導体は同7.4%減、携帯電話が同3.3%減、コンピューター・周辺機器が同26.2%減、通信装置は同23.4%減だった。

 輸出が回復しているディスプレーだが、韓国ディスプレー産業協会によると、ディスプレー世界市場は中国企業が韓国に追い付いている。中国企業を引き離すため韓国は、液晶ディスプレー(LCD)を諦めて有機ELに集中している。

 2023年11月13日、香港では韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の投資フォーラムが開催された。世界の機関投資家を集めてサムスン電子と系列会社の技術を紹介する場である。ここで最も注目されたのがSamsung Display(サムスンディスプレイ)である。同社は投資家に向け「他のディスプレー事業者は赤字だが当社は黒字。モバイル向け有機EL世界市場シェアは70%に達し、革新的な特許を確保した」と説明した。実際、同社の営業利益は過去最高を記録した2022年を超える勢いである。また2013年に1度は撤退したテレビ向け大型有機EL市場に再進出し、マイクロディスプレーと車載ディスプレーの有機EL市場も開拓し、2030年に有機ELだけで売上高500億米ドルの達成を目指している。同社によると、世界の有機EL市場規模は2023年の450億米ドル規模から2030年には1000億米ドル規模になると見込んでおり、その半分を獲得する狙いである。

 サムスンディスプレイが注目するマイクロディスプレーはピクセルの大きさが数十μmと非常に小さい微細なパネルである。小さなパネルでも高い解像度を実現できる。そのため通常のサイズのディスプレーとは異なる半導体の超微細工程が必要とされる。シリコンウエハーに有機ELを蒸着させたOLEDoS(OLED on Silicon)の開発及び製造のため、サムスンディスプレイは2023年11月1日、サムスン電子に391億ウォンを支払って、通常実施権を買い取った。これにより、サムスンディスプレイはOLEDoSの開発に必要なサムスン電子の半導体工程における技術を利用できる権利を得た。

 章恩(ITジャナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2023. 11.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00099/

サムスンとSKハイニックス、GPU特需に伴うHBM需要で復調の兆し

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2023年10月26日、韓国産業通商資源部(部は省に相当)と韓国半導体産業協会は第16回半導体の日の記念式典を開催した。韓国が半導体輸出100億米ドルを達成した1994年10月29日を記念し、2008年より毎年10月最後の木曜を半導体の日に指定、授賞式と半導体展示会を開催している。

 記念式典では、韓国が国を挙げて取り組んでいる「半導体超強大国達成戦略」目標達成のために貢献した関係者を表彰した。韓国Samsung Electronics(サムスン電子)半導体部門 最高経営責任者(CEO)のキョン・ゲヒョン氏が韓国半導体産業の発展に寄与した功績を認められ、大賞に当たる金塔産業勲章を受章した。2013年世界初V-NAND(3D NAND)フラッシュメモリー開発、2028年感性を目標に約20兆ウォンを投資し次世代半導体R&D団地建設を推進していることなどが高く評価された。半導体素材の国産化に貢献した韓国Soulbrainholdings(ソールブレイン・ホールディングス)が銀塔産業勲章、韓国SK hynix(SKハイニックス)のイ・ビョンギ副社長が銅塔産業勲章を受章した。韓国政府は半導体超強大国達成戦略のため、「超格差製造力確保」、「ファブレス・素材・部品・装備の競争力向上」、「グローバル通商環境の不確実性解消」を課題としており、これらの部門で活躍した企業と専門家を表彰している。

 韓国半導体2大企業であるサムスン電子とSKハイニックスの2023年7~9月期決算は赤字が減った。メモリーの価格が約2年ぶりに反騰し始めたこともあり、メモリー半導体の回復の兆しが見え始めたといわれている。サムスン電子の営業損益は前期4兆3600億ウォンの赤字から3兆7500億ウォンの赤字になり、SKハイニックスの連結営業損益は前の四半期2兆8821億ウォンの赤字から1兆7920億ウォンの赤字と、赤字額が減少している。

 章恩(ITジャナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2023. 11.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00098/

LFP系で大幅な成長を見込むLGエナジー、狙いはエネルギー貯蔵システムの北米市場

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 2023年10月25日、韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は2023年7~9月の決算会見を開催し、売上高は前年同期比7.5%増の8兆2235億ウォン、営業利益は同40.1%増の7312億ウォンと増収増益だった。営業利益にはエネルギー安全保障と気候変動対策のために始まった米国インフレ抑制法(Inflation Reduction Act of 2022:IRA)の税額控除分の2155億ウォンが含まれる。北米工場の生産ライン増加により税額控除額も増えた。受注残高は韓国バッテリー3社の中で初めて500兆ウォンを突破した。

 米アリゾナ州に建設中のバッテリー工場については、需要が伸びている次世代円筒型バッテリー46シリーズ(直径46mmの円筒型バッテリーセル)の生産拠点にすることを正式に発表した。2024年下半期の量産開始を目指している。当初予定していた2170型リチウムイオンバッテリーセルから変更した。46シリーズに変更することでエネルギー密度が高くなる。生産能力は27GWhから36GWhに高まる。韓国内の46シリーズのパイロット生産ラインは2024年下半期に量産を開始する。収益性が高いハイニッケルNCMA(ニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム)は熱制御技術の向上など安全性を強化し、ニッケルの割合を80%から90%へ引き上げてエネルギー密度を高めるという。高容量・高効率なシリコン陰極素材を使うことで急速充電時間を15分以下にするとした。ハイニッケルNCMAは2025年からトヨタ自動車に供給する。

 中国勢が得意とするリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー、高電圧Mid-Ni NCMバッテリー、マンガンリッチMn-Richバッテリーなど低価格バッテリーの生産ラインも強化する。このうち電気自動車(EV)向けLFPは2025年の生産開始予定だったが、セル構造の改善と工程イノベーションの推進を実施した後、目標を2026年とした。そこでまず、北米のESS(Energy Storage System:エネルギー貯蔵システム)向けLFPで市場を攻める。

 米国はインフレ抑制法の影響で再生エネルギー関連の支援が増え、再生エネルギーで発電した電力を貯蔵するESS市場の成長が見込まれている。英国のエネルギー・コンサルタント会社Wood Mackenzie(ウッドマッケンジー)によると、北米のESS市場規模は2022年の12GWhから2030年は103GWhへ伸びると見込まれている。

 LGエナジーソリューションは米アリゾナ州に単独でESS向けLFPバッテリー工場を新設する。2026年より年間16GWhのESS向けパウチ型LFPバッテリー量産を開始する。アリゾナ工場は年産43GWh規模のバッテリー工場であり、このうち16GWhがLFP生産分となる。同社は2022年に1.7兆ウォン前後だったESSの売上高を5年後に3倍以上へと増やし、EV向けバッテリー売上高の3割程度にまで成長させる目標を掲げている。

 韓国ではLGエナジーソリューションがESS部門の中途採用を増やしていることも話題になった。同社はEV市場への依存度を弱めるためにも、ESSビジネスを拡大させて、安定した実績を確保しようとしている。日本向けの営業人材や、プロジェクトマネジャー、マーケティング、経営戦略などの分野で幅広く募集している。

 韓国のバッテリー専門調査会社SNE Researchによると、2022年末時点で世界ESS市場シェアは中国の寧徳時代新能源科技(CATL)と比亜迪(BYD)が55%ほどを占めている。LGエナジーソリューションは7.5%、Samsung SDI(サムスンSDI)が7.3%と韓国勢のシェアはまだまだ少ない。しかし中国企業のシェアは中国内の圧倒的なシェアによるものである。中国を除く世界市場では韓国勢が成長する余地がまだあるとして、北米にESS工場を新設し、積極的に攻めていく。

 韓国内ではLGエナジーソリューションのLFPバッテリー性能が、もともと得意としているNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)に匹敵するようになったという報道があった。ESSの充放電エネルギー効率(RTE:Round Trip Efficiency)がNCMの97%に対して、LFPが95%、競合他社のLFPは93%だという。

 LGエナジーソリューションは2023年6月、ドイツで開催された「 EES EUROPE 2023 」において、同国初となるLFPバッテリー搭載住宅向けESS「enblock E」を公開した。北米市場ではまずNCMバッテリーを搭載した住宅向けESS「enblock S」を発売する。拡張可能なバッテリーモジュールで、ユーザーは1人でも必要な分だけ組み立てられるので、時間と費用を節約できるのが特徴である。



 章恩(ITジャナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2023. 10.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00097/

■「CES2024」で注目の韓国大手企業&韓国AIスタートアップ 現地参加ブースツアー参加者募集

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■「CES2024」で注目の韓国大手企業&韓国AIスタートアップ 現地参加ブースツアー参加者募集

ニューメディアツアーでは「CES2024」で米国の次に出展が多い韓国企業の中でもイノベーションアワードを受賞したAI・DX・ロボティクス・先端家電・サステナビリティに焦点をあてて1月9日と1月10日の2日間にわたって、韓国ITジャーナリスト「趙章恩」氏が同行解説するブースツアーを一般向けに参加募集させていただくことになりました。11月26日公開したCESイノベーションアワードでは全310社の内韓国企業が143社と46%を占めています。

●ブースツアープログラム
❶「CES2024」で注目韓国大手企業ブースツアー
日時:1月9日(火)16:00-17:30  ※訪問先の都合により時間延長の可能性もございます。
会場:Las Vegas Convention Center
内容:家電、スマートホーム、生成AI、モビリティ、ロボティクス、サステナビリティに焦点を当てて、韓国ITジャーナリスト「趙章恩」氏が同行解説・通訳します。

❷韓国AIスタートアップブースツアー
日時:1月10日(水)14:00-15:30 ※訪問先の都合により時間延長の可能性もございます。
会場:Venetian Expo Hall G. Eureka Park
内容:生成AI、、コンテンツ技術、ロボティクス、コンテンツ技術、メタバース、ブロックチェーン、セキュリティ、ヘルスケア、人材育成、スタートアップ育成

  
同行解説する「趙恩章」の2日間のブース訪問レポート【レポート提供は詳細をまとめたうえで1月中旬を目安に納品させていただきます。】
・1月中旬以降にオンラインセミナー参加(アーカイブ録画付き)にて解説します。日程決定次第、ご連絡します。セミナーはLIVEで参加できない場合でもアーカイブ視聴していただけます。

※上記プラン以外にもお客様希望によるオーダーメイドブース訪問プランの提案もさせていただいております。別途料金がかかります。

LGエナジーとLG化学がトヨタと組んだ理由、共に北米市場で攻めに出る

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韓国のバッテリー大手であるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)が2023年10月11日に発表した暫定決算によると、2023年7~9月期の営業利益が7312億ウォンとなり、過去最高を更新した。前年同期比で40.1%の増加となる。売上高は8兆2235億ウォンで前年同期比7.5%の増加だったが、前期比では6.3%の減少となり、2022年1~3月期から続いた売上高の記録更新はストップした。それでも2023年1月から9月までの累積売上高(25兆7441億ウォン)と営業利益(1兆8250億ウォン)は過去最高だった2022年の売上高(25兆5986億ウォン)と営業利益(1兆2137億ウォン)を早くも超えた。

 LGエナジーソリューションが好調なのは大きく2つの要因が影響しているとみられている。1つは北米市場における電気自動車(EV)向けバッテリーの販売拡大と気候変動対策、もう1つは4300億ドル規模を投じる米国のインフレ抑制法(Inflation Reduction Act、IRA)に関するものだ。IRAは北米でバッテリーを生産する企業を対象に税額を控除するものだ。

 実際、2023年7~9月期の営業利益には米インフレ抑制法の税額控除に相当する金額2155億ウォンが含まれている。税額控除は北米内で生産・販売したバッテリーセルとモジュールに対する補助金である。セルは35米ドル/kWh、モジュールは10米ドル/kWhがそれぞれ支払われる。LGエナジーソリューションは2026年に北米で年間342GWh規模の生産ラインを完成させる。以降は生産量も伸び、米インフレ抑制法による税額控除が11兆3000億ウォン規模に上ると見込まれている。米インフレ抑制法の恩恵を最も受ける企業がLGエナジーソリューションという報道もあった。

 一方、前期比で売上高が減少した要因は欧州市場におけるEV需要の減少とみられる。LGエナジーソリューションは今後、グローバル市場での工場増設と安定的な運営、生産原価の改善、北米市場の販売拡大で売上高を伸ばしていくとした。北米工場の増設による生産性向上、トヨタ自動車をはじめ完成車メーカーとの協力を拡大するなど、売上高が伸びる要素はいくつもある。

 2023年10月5日、LGエナジーソリューションはトヨタの北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)と年間20GWh規模のバッテリーモジュール供給長期契約を締結したと発表した。LGエナジーソリューションはミシガン工場に約4兆ウォンを新たに投資して、2025年にトヨタ専用のバッテリーセルとモジュールの生産ラインを新設・稼働、年間20GWh規模を供給する。

 LGエナジーソリューションがトヨタとバッテリー供給契約を結んだのは今回が初めてである。これにより、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)、日産自動車とフランスRenault(ルノー)、韓国・現代自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)と世界トップ5の完成車と全て契約を結ぶことになった。中でもトヨタとの契約は、EV用のバッテリー生産会社との合弁契約を除き、単一供給契約としては最大規模となる。LGエナジーソリューションのミシガン工場で製造したハイニッケルNCMAパウチセルを搭載したモジュールをToyota Motor Manufacturing Kentucky工場でパックに組み立て、トヨタが北米で生産する新型EVモデルに搭載する。

NCMA=ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムから成るバッテリーで、ニッケルの割合を90%、コバルトの割合を10%以下にして、アルミニウムを追加して安定性を強化したもの。


 韓国では両社ともに北米のEV市場における競争力が高まったと評価する声がある。世界で最も自動車を販売しているトヨタと契約を結んだことでLGエナジーソリューションは売り上げを確保でき、トヨタは北米で安定的にEV向けバッテリーの供給を受けることで果敢に市場を攻められるからだ。北米は欧米に比べてEVの普及率が低く、政府が積極的になっているため成長が見込める市場である。LGエナジーソリューションは北米に2カ所の単独工場と6カ所の合弁工場を運営している。同社は2023年6月時点で受注累積残高が440兆ウォンと公開したが、韓国証券業界は同年9月時点で600兆ウォンに達したとしていた。

趙 章恩=(ITジャナリスト)

 

(NIKKEI TECH)

2023. 10.

 

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00096/

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激減しつつ変身もし続ける韓国の文具店

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 韓国では激減した文具店が新業態に活路を見いだしている。韓国統計庁によると、1999年に全国で約2.7万店あった文具店が2023年5月には約8000店まで減少した。理由は少子化だけではない。憲法で義務教育は無償と定めているとして、教科書のほかに制服、体操着、給食、学習に必要な文具類なども国が無償で提供するようになったのだ。

 11年からは全国の学校が授業に必要な物を一括購入して生徒に提供する「学習準備物支援制度」が始まった。地域の文具店から購入する学校もあるが、ほとんどは公開入札で最低価格落札方式を採用しているため、大型流通会社の方が有利である。

残り280文字(全文555文字)

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趙 章恩(ITジャーナリスト)

週刊エコノミスト

2023. 5 .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230606/se1/00m/020/062000c

 

韓国Z世代にハイボールブーム

 新型コロナウイルス禍以降、家飲みが定着した韓国で、1990年代半ば以降に生まれたZ世代を中心にハイボールがはやっている。韓国ではよく焼酎とビールを混ぜた「ソメク」を飲むが、ハイボールはそれよりアルコール度数が低く、果汁や紅茶を混ぜて自分で好みの味に仕上げられるところが人気だ。自分のハイボールレシピをSNSに投稿する人も多い。ハイボールはフォトジェニックでおしゃれな、カクテルのような位置付けといえる。

 大手スーパーのEMARTでは今年1~2月、ジンロのような韓国の焼酎の売り上げより洋酒(ウイスキー、ブランデーなど)の方が4%ほど多かった。焼酎より洋酒が売れたのは初めてだ。洋酒を購入した人は30代以下が39.4%、40代24.3%、50代17.1%と若年層が多かった。ハイボール人気を裏付けるように、2022年のウイスキー輸入額は2億6684万ドルで前年比52.2%増加した(関税庁統計)。

 

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2023. 4 .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230418/se1/00m/020/070000c

韓国のペット医療費は病院次第 透明化の動きも

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韓国でペットの増加に伴い動物病院の医療費透明化が課題になっている。農林畜産食品部(部は省に当たる)によると、2022年時点でペットを飼っている家庭は25.4%、平均費用は1頭1カ月当たり約15.4万ウォン(約1万6000円)で3分の1が医療費だった。国会の調査で、動物病院の診療費や検査費、手術費などに最大80倍の差があることもわかった。

 韓国では1999年から動物病院の自由競争が認められ、すべての医療費は獣医が自由に決めている。だが、「病院によって差がありすぎる」「算定基準を明確にすべきだ」という声が長年出ていた。

残り287文字(全文548文字)

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230314/se1/00m/020/060000c

 

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

 

週刊エコノミスト

2023. 3 .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230314/se1/00m/020/060000c