CHIPS法の国家安全保障ガードレールが最終規定に、分かれる韓国政府と民間の反応

.

米商務省は2023年9月22日(現地時間)、米CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)により米国の補助金を受け取る企業に対する国家安全保障ガードレールの最終規定を公表した。

関連ニュースリリース:https://www.federalregister.gov/documents/2023/09/25/2023-20471/preventing-the-improper-use-of-chips-act-funding

 米国の半導体支援補助金を受け取る場合、今後10年間、懸念国(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)での半導体の設備投資や実質的な増産、技術協力を制限する。ガードレール規定に違反すると受け取った補助金の返却を迫られる。韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は米テキサス州オースティン市に半導体工場があり、テキサス州テイラー市にも半導体工場を新設しているため、米半導体補助金を申請済みである。韓国SK Hynix(SKハイニックス)は米国工場建設のための敷地を探している段階である。

 ガードレールの最終規定は(1)生産能力制限と(2)技術協力制限の大きく2つがある。

(1)補助金を受け取った時点から10年間、ウエハーの投入量ベースで5%まで生産能力(設備)拡大は認める。旧世代(28nmプロセス以前)のレガシー半導体設備は10%まで生産能力拡大を認める。これらの設備で生産した半導体の85%が最終的に中国内需品として使われる場合は制限しない。

(2)懸念国との国家安全保障上でセンシティブな技術・品目の共同研究および技術ライセンシングを制限する。国家安全保障に脅威を与えない範囲で、既存の事業運営に必要な活動は対象外である。既に進行中の研究は米商務省と協議した上で継続できる。

 産業通商資源部(「部」は日本の「省」に当たる)の半導体課は2023年9月22日付けの報道資料を通じて次のように説明した。「ガードレールはあるが、国家安全保障上で問題のない正常な経営活動は保障される見通しである」「(韓国)企業が中国で運営する生産設備の維持と部分的な拡張を保障し、技術アップグレードも持続的に認められた。ウエハー投入量ベースが月単位ではなく年単位に変更され、当初は重大な取引制限としていた10万米ドル以上の設備投資が制限される件についても、米商務省と企業と協約で決めるよう変更できた」「これからもグローバル半導体の供給網強化と企業の投資・経営活動保障のため政府は米国と緊密な協議を続ける」というのが主なコメントだった。

 このように産業通商資源部はガードレール規定があっても企業の正常な経営活動は保障されるので問題ないという立場だが、韓国メディアや産業界の反応は少し違っていた。



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

 

 

(NIKKEI TECH)

 

2023. 9.

 

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00095/

韓国のお歳暮はモバイルギフト券が人気

.

 1月21日から24日は韓国のソルラル(正月)の連休だった。韓国も年末年始には親戚にお歳暮を贈るが、今年もスマートフォン経由で送信し、受け取った人がお店で商品と引き換えできるモバイルギフト券が人気だった。コンビニで使える少額ギフトからホテル宿泊券やブランド商品まで幅広くそろい、電話番号かメッセンジャーアプリのIDさえ知っていれば気軽に贈れる。以前は、お歳暮は直接会って渡すものだとモバイルギフトを嫌がる人もいたが、非接触型社会が続き文化が変わ…

残り335文字(全文557文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)


趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2023. 2.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230221/se1/00m/020/062000c

韓国がW杯“ソフトパワー部門”で準優勝

.

 2022年のサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で、韓国はグループリーグを突破してベスト16入りした。それだけでなく、米経済誌『フォーチュン』が選定したW杯のソフトパワー・ランキングで、フランスに次ぐ2位になったことが話題を呼んでいる。

 ソフトパワーは外交政策の概念で、軍事力などのハードパワーに対し、文化などの魅力によって世界に訴えかける力を指す。今回のW杯では、開会式で韓国のアイドルグループBTSのJungKook(ジョングク)さんが、公式…

残り342文字(全文570文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)


趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2023. 1.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230124/se1/00m/020/066000c

韓国のキムチ輸出が絶好調 対米出荷は過去最高

.

 韓国の冬はキムチで始まる。気温が5度以下になると1年間食べるキムチを大量に漬ける「キムジャン」をする。全国各地の福祉団体や大手企業もキムジャンをし、一人暮らしの高齢者や低所得層におすそ分けするのが毎年の恒例行事だ。

 ところが、韓国農村経済研究院の調査では、家でキムチを漬ける家庭は6割程度、キムチを食べる量も1人当たり1日平均112.4グラム(2008年)から89.2グラム(18年)に減少した。

 食生活の変化で韓国内の消費量は減る一方、輸出は好調だ。農林畜産食品部(部は省に当たる)によると、キムチを含む農産品と農産物加工品の輸出総額は過去最高を更新する勢いで、22年1~11月は80.8億ドル(同4.0%増)。年末には90億ドルを見込んでいる。キムチ輸出対象国は12年の62カ国から22年には89カ国に増加した。22年は特に対米キムチ輸出が伸び、1~11月は輸出量7991トン(前年同期比9.…

残り192文字(全文591文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)



趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2022. 12 .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230103/se1/00m/020/072000c

韓国のAEDは8割が夜間閉鎖の建物内だった

.

ソウルの梨泰院(イテウォン)で150人以上が亡くなった転倒事故後、韓国内では心肺蘇生法と自動体外式除細動器(AED)の使い方を学ぶ人が増えている。学校や公共機関、大手企業などでは年に数回応急処置の講習を実施しているものの、実際にできるかどうか不安という人が多く、ユーチューブにアップされたの韓国消防庁の動画の再生回数も伸びている。

 梨泰院転倒事故の際、市民らが救急隊員を手伝い、心肺蘇生を行ったが、一命を取りとめることができた人は少なかった。AEDを同時に使うことで蘇生の可能性が高まるというが、現場で使えたAEDは地下鉄の梨泰院駅と警察の派出所にあった2台のみ。近くの学校などにもAEDはあったが、事故発生時は夜で建物が閉まっていたため使えなかった。

残り229文字(全文556文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)


趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2022. 11 .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221206/se1/00m/020/062000c

韓国で初めて、声も人工のAIヒューマン

.

 最近韓国のテレビで見ない日はないほど出番が増えているAI(人工知能)ヒューマン。CMなどでも活躍している。企業がCMにAIヒューマンを起用するのは人と違い不祥事がないなどの理由もあるが、AI技術の進歩により、不気味さを払拭(ふっしょく)できたことも影響している。

 韓国の通信キャリアSKテレコムのCMには、アイドルと一緒にAIヒューマンのナ・スアが登場する。SKテレコムが投資するコンテンツ会社が外見を制作し、SKテレコムのAI音声合…

残り327文字(全文545文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)



趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2022. 11 .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221129/se1/00m/020/064000c

韓国は物価高でも高級品の売れ行き好調

.

 10月6日に韓国統計庁が公開した「9月の消費者物価動向」によると、調査した458品目で前年同月比平均5.6%値上がりした。加工食品は同平均8.7%、外食物価は同平均9%値上がりし、30年ぶりの高水準となった。

 野菜や果物、食用油などの116品目は同10%以上値上がりした。10%以上値上がりした品目は2022年1月の61品目から9月には116品目と急増しており、年末には更に増える見込みだ。値段が変わらないのは地下鉄やバスなどの交通費ぐらいだ。所得より物価…

残り344文字(全文573文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)



趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2022. 10.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221101/se1/00m/020/061000c

秋のソウル観光は夜の王宮観覧が人気

.

 屋外でのマスク着用義務がなくなり人出が増えているソウル。外国人観光客も再び増え、観光産業は活気を取り戻し始めた。ソウルの夜といえば東大門市場が有名だが、今秋は夜の観光イベントが特に人気を集めている。

 韓国観光公社の調査によると、夜のイベントは観光客の宿泊や飲食消費の増加、観光地の雇用増加に貢献したという。通信キャリアは、データ通信利用量や道案内アプリのビッグデータから人の流れを分析し、夜間観光のお…

残り303文字(全文504文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)


趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2022. .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221011/se1/00m/020/069000c

韓国企業でAI・オンライン面接が加速 ソウル市が就活生に面接練習設備を無料開放

.

 2020年以降、非接触型社会が定着した韓国では企業の採用活動に人工知能(AI)面接とオンライン面接が追加された。最終面接は対面で行い、書類審査と対面面接の間にAIとオンライン面接を挟む企業が多い。AI面接は求職者の基本的な性格を把握するために簡単な質問などを行い、オンライン面接では意思表現能力や表情の変化などをAIで分析するため、5分以上カメラに向かって話す方式で行う。

 韓国でAI面接が登場したのは19年。AI面接の関連機能を開発している企業らによると、22年8月時点で大手企業630社が導入済み、93%が継続して利用しているという。一方、求職者側からは不満の声も聞かれる。対面面接の場合は相手の反応をみながら質問に答えられるが、AI面接は一人でしゃべり続けないといけないので、どのように答えれば良い評価を得られるのかが分からないというのだ。

残り112文字(全文486文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)



趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2022. .

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220913/se1/00m/020/063000c

韓国で若者中心に菜食ブーム VCも代替肉スタートアップに熱視線

.

 韓国では動物性食材を使用しない料理がブームとなっている。「MZ世代」と呼ばれる20~30代では、気候問題や動物福祉などを考慮し、使い捨てプラスチック製品を使わず、肉を極力食べないライフスタイルが流行。それが健康志向の40代以上にも広がった。

 ソウルでは完全菜食向けの飲食店が増え、スーパーでも動物性材料を一切使わない冷凍食品が増えた。韓国の食品メーカー、CJ第一精糖によると、韓国の菜食人口は2020年の200万人…

残り313文字(全文521文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

 

2022.  7 .

 

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220816/se1/00m/020/072000c