韓国で広がる「暴too」芸能人のいじめ「若気の至り」で済まない理由

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韓国の放送・芸能界が大きく揺れている。韓国のアイドルや俳優らが学生時代に行ったとされるいじめ疑惑が次々と浮上し、業界全体を巻き込んだ大騒動に発展。SNSでは、いじめを告発する「暴too(暴力 me too)」運動が急速に広がっている。なぜこれほど大きな社会現象と化したのか、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 韓国のSNSで、「暴too」という学生時代に受けたいじめを告発する動きが広がっている。発端は2月7日、東京五輪のバレーボール女子代表選手、イ・ジェヨンとダヨン姉妹による過去の壮絶ないじめが発覚したこと。CMなどにも出演するスター選手だったこともあり、騒動は拡大。2人は謝罪したものの、代表の資格を剥奪される事態になった。

 だが、世間が受けた衝撃は大きく、「暴too」は芸能界にも飛び火。最も問題となっているのが、韓国公営放送局(KBS)だ。KBSの新ドラマ『DEAR.M』の主演女優パク・ヘスに、学生時代にいじめを受けたと主張する被害者が次々と現れ、同局は2月26日、ドラマの放送開始の延期を発表した。またKBSは、今春から新しく始まるバラエティー番組『カムバックホーム』も、初回放送分の収録直前にレギュラーの出演者を入れ替えた。こちらも理由は、学生時代に行ったとされるいじめ疑惑が浮上している俳優のチョ・ビョンギュが出演者の1人だったからだ。

 このほか、韓国文化放送局(MBC)も、16年目を迎える人気歌番組『ショー!K-POPの中心』の進行役だった8人組男性グループ「Stray Kids」のメンバー・ヒョンジンを、いじめ加害者疑惑で急遽入れ替える事態に。ケーブルテレビのオーディション番組でも、番組の途中で出演者が自発的に降板するケースも見られた。

 これらは全て、出演者が学校暴力の加害者だったというSNS上の告発が引き金だ。韓国の「学校暴力」の予防及び対策に関する法律によると、学校暴力とは「学校内外で学生を対象に発生した障害、暴行、監禁、脅迫、略取・誘拐、名誉棄損・侮辱、恐喝、強要・強制的なお使い及び性暴力、仲間外れ」などのこと。つまりは「いじめ」である。2月に入り、韓国のSNSで有名なK-POPアイドルや新人俳優らを名指しして、「学校暴力の加害者」だったと告発する被害者らの書き込みが相次いでいるのだ。

 名指しされたアイドルや俳優らの多くは加害者疑惑を全面否定しているため、本当に加害者だったか断定できない状況だ。しかし、こうした状況が取り沙汰されている以上、テレビ局としてはそのまま出演させるわけにはいかない。KBSの場合、「視聴者権益センター」という視聴者掲示板に「公共の価値を重視する公営放送として、加害者疑惑が明白になるまで『DEAR.M』の放送を延期すべき」と2100件を超える抗議の書き込みがあったという。もし何事も無かったように放送すれば、「KBSは学校暴力を深刻に受け止めていない」としてさらなる抗議を招く可能性があるが、だからといって疑惑だけで降板させるわけにもいかず、いったん放送延期や出演保留という形で対応せざるを得ないのだ。

実は過去にも、何度か新人アイドルのいじめ加害者疑惑は浮上していた。また、10年ほど前はいじめの加害者だったという告発があっても「若気の至りでした」という謝罪コメントを発表する程度で芸能界に復帰出来ていたが、今はとても考えられない雰囲気だ。学校でも社会でも、いじめは深刻な“犯罪”と認識されるようになった。社会全体の認識が変わると被害者の声に耳を傾ける人も増え、勇気を出して告発する被害者も徐々に増えていった。今回、騒動がここまで大きくなったのは、被害者として名乗り出たのが1人や2人ではなく、事の大きさにファンも背を向け始めたからだろう。

 SNSの影響も大きい。過去の書き込みや写真などを簡単に検索できるようになってから、芸能人に対するファンの要求もだんだん変わり始めている。ネットが無かった時代はテレビやスクリーンに映る姿が全てで、その姿だけを見て好きになったり応援していたが、今は情報が溢れている分、ファンも芸能人の過去を知ることができる。K-POPアイドルファンが集まるコミュニティサイトを見ると、「芸能人は大衆に愛されて成り立つ職業だけに、才能だけでなく人間性も評価されて当然」という意見や、「本人が否定しても、加害者疑惑があるというだけでファン心が覚めてしまう」という書き込みも多く見られた。

 告発により加害者が社会からバッシングを受け、いじめを認め謝罪し自粛することが主なファン層である10代に対し「いじめは犯罪」という強い印象を与え、いじめを減らす効果につながる一方で、こうした流れを問題視する向きもある。告発の中には全くのデマもあり、事実確認がしっかりされないまま騒動がエスカレートしたり、法に則った処罰ではなく大衆が加害者を断罪し懲罰を与えるような流れになってはいけないと報じるメディアも少なくない。

 世間のバッシングを受けてか、『ショー!K-POPの中心』の進行役を交代したヒョンジンは、疑惑を一度は否定したが、その後認めて謝罪した。所属事務所のJYPエンターテインメントは2月26日、ヒョンジンのいじめ加害者疑惑を認め、本人が被害者らと対面し謝罪したと発表。報道資料で、「明白な事実確認は難しかった」としながらも、「ヒョンジンの未成熟で不適切な言動で傷付き被害を受けた方がいらっしゃいます。ヒョンジンもその部分を深く後悔し反省しているため、本人が(ネットに告発文を書いた)掲載者らにお会いして謝罪しました」と説明した。

 ヒョンジンは、2月27日から全ての芸能活動を中断し自粛している。JYPエンターテインメントはどの事務所よりもアーティストの人間性を強調していただけに、がっかりしたファンも多いようで、ヒョンジンのグループ脱退を求める声明文をSNSに掲載するファンもいた。今後は、芸能事務所らがアイドルになる前の練習生を選抜する過程でいじめ加害者だったかどうかの調査も加わることになりそうだ。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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2021. 3.

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韓国版『知ってるワイフ』ヒロインは韓国の「経歴断絶女性」そのもの

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関ジャニ∞の大倉忠義が主演を務め、ヒロインの広瀬アリスとの夫婦役が話題を呼んでいるドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)。原作の韓国版が動画配信サイトで配信されていることもあり、日本版の盛り上がりに比例して韓国版も再注目されているようだ。韓国でも同ドラマが放送された際、視聴率1位を記録するほどヒットしたというが、その理由について、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 韓国で2018年に放送され、同時間帯視聴率1位を記録したヒットドラマ『知ってるワイフ』。『愛の不時着』や『青春の記録』、『ミスター・サンシャイン』などを制作したスタジオドラゴンの作品だけに、面白さはお墨付きである。「もし別の人と結婚していたら自分はどうなっていただろうか」、多くの人が一度は考えたことがある“妄想”がドラマ化されただけに、特に20~40代の共働き世帯や育児真っ只中の視聴者に受け入れられ、「夫婦とは何か」を考えさせられるドラマ」と注目を集めた。また、韓国では男性視聴者が多いドラマとしても話題になった。

 そんな人気ドラマが、リメイクされて現在日本でも放送されている。演出、設定の違いや一部シーンの変更などはあるが、物語の大筋に大きな違いはなく、ある程度原作の韓国版に忠実な印象だ。物語は、母の世話やパートに育児とワンオペで日々を回すヒロイン・ウジンが、夫で主人公・ジュジョクに溜まった怒りを爆発させるところから始まる。ジュジョクも、疲れて帰宅すると毎日のように浴びせられるウジンの罵倒に嫌気がさしていた。そんなある日ジュジョクは、ひょんなことから地下鉄で出会った男にもらった500ウォンコインで偶然過去にタイムスリップする。そこからジュジョクの「人生をリセット」計画が始まるのだが、ウジンと出会う前に戻って過去を変えても、なぜかまたウジンと出会ってしまう。

 ジュヒョクとウジンの共働き育児戦争は、見ているだけで息が詰まりそうなほどリアルに描かれており、その点は日本版でも同様だ。また、愛くるしい女子高生役から、仕事と育児に疲れ果てたワーキングママ役、テキパキ仕事をこなすビジネスウーマン役まで演じ分けるハン・ジミンの演技が光るドラマでもあり、日本版でもヒロインを演じた広瀬アリスの演技力に注目が集まった。

 ドラマ全体も、コミカルな演出の中にしっかりと泣かせるシーンもあり、終始笑いあり涙ありで見ていて飽きることがない。過去に戻ったジュヒョクが運命を変えようとする度に、ウジンをはじめ友人や家族の運命も変わり続けるため、毎回次の展開が気になっていく。韓国ドラマファンには馴染み深い有名俳優らが別の人気ドラマのキャラクターのままドラマにゲスト出演しており、その場面を見つける楽しみもあった。


 その一方で、韓国では批判的な声も少なくなかった。ドラマは、「夫婦は思いやりを忘れてはならない」、「他人を責める前に自分を振り返ろう」というメッセージを投げかけているが、韓国の女性評論家などの間では「男性目線のファンタジードラマで後味が悪い」、「タイトルを『知ってるワイフ』ではなく『バッドハズバンド』に変えるべき」という意見も多かった。「ジュヒョクがウジンとへウォン(ジュヒョクの初恋の相手)を天秤にかけ品定めをするシーンばかりで不快」、「ジュヒョクは優柔不断で無責任で不満ばかり」といった視聴者の厳しい指摘もあった。

 それでも視聴率が高かったのは、ウジンの家事・育児に奮闘する姿が韓国の平均的な既婚女性そのもので、共働きの苦労や女性のワンオペ育児の過酷さなど、韓国社会が抱える問題が序実にドラマに反映されており、そこに共感する人が多かったことも大きな理由だろう。

 韓国女性の大学進学率は高く、行政職公務員の半数以上が女性というほど女性の社会進出は進んでいるが、その一方で女性労働者の4割以上は非正規雇用である。非正規職を選択する理由の多くは育児だ。だが、子供が大きくなって再就職しようとしても、正社員の求人は非常に少なく非正規職しか選択の余地はない。

 OECDによると、韓国の年平均勤労時間は1967時間(OECD平均は1704時間)とOECD加盟国の中で2番目に長く、仕事と育児を両立するのは非常に難しい。加えて、育児休職を「迷惑」と考える韓国社会の風潮も依然として残っているため、子供が生まれると女性が会社を辞めるか、非正規雇用を選択せざるを得ないケースが多いのだ。

 韓国では、結婚して出産・育児のために一度社会から離れた女性が再び社会に復帰しようとしても、復帰前と同条件で働くのは至難の業である。韓国では、そんな女性のことを「経断女(経歴断絶女性)」と呼ぶ。『知ってるワイフ』は、「問題を解消していかないといけない」という社会の認識の変化が起きている中で生まれたドラマであり、ドラマのヒロインの姿は、「経断女」と呼ばれる多くの韓国女性の境遇と重なったことだろう。日本でも同様の問題が取りざたされている今、ヒロインの姿は日本女性の目にどう映ったのだろうか。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

 

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2021. 3.

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韓国 コロナとインフレで中食が急成長

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韓国では日本における中食(弁当など)に該当する「ベバンミル」市場が急成長している。

 デリバリーアプリ大手「配達の民族」の年間取引額は2019年が8・8兆ウォンだったのに対し、20年には15・7兆ウォンに増加。ミールキット大手「フレシージー」は19年の売上高が712億ウォン、20年には1271億ウォンに伸びた。

 韓国ヤクルトのように家庭への宅配ネットワークを保有する企業もベバンミル市場に参入、有名レストランの味を再現しながら価格を抑えた商品に力を入れている。9月20~22日は陰暦8月15日にあたる秋夕(チュソク)の連休だったが、帰省しない人向けに秋夕に必ず食べる料理を入れたお弁当が人気を集めた。

残り235文字(全文536文字)

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2021. 9.

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新型コロナ感染拡大で五輪マーケティングの規模縮小、選手支援に注力

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韓国 五輪出場選手を企業が支援=趙章恩

 韓国でも特需が見込まれていた五輪東京大会だが、長引く新型コロナウイルス感染症で苦しむ人が大勢いることもあり、ほとんどの企業が五輪マーケティングを縮小した。その代わり、企業の多くは大会出場選手を熱心に支援することで宣伝効果を得る戦略に出た。

 大会パートナーのサムスン電子は、出場選手約1万7000人に五輪マークを刻んだ特別仕様のスマートフォン「ギャラクシーS21」などを提供。女子バレーボールのエース、…

残り331文字(全文551文字)

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2021. 8.

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AIで物流を一新した韓国クーパンが日本へやって来る

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韓国クーパンが日本進出へ AIフル活用で物流革新のスゴさ=趙章恩

 韓国ネット通販大手のクーパンが今年6月から、日本でテスト事業を始めている。クーパンは商品を注文後、遅くとも翌日には届く「ロケット配送」のサービスで韓国で急成長し、ソフトバンクグループ(SBG)のファンドからの出資も受け、今年3月には米ニューヨーク証券取引所にも上場した。初の海外進出国として選んだ日本で今後、EC(電子商取引)に旋風を巻き起こす可能性もある。

 クーパンは6月1日から東京都品川区中延地区限定で生鮮食品と生活用品、約320種類の通販テスト事業を始めた。注文が入ると、デリバリーサービスのようにアプリで集めた配達員が短時間で配達する。午前9時から午後11時まで利用でき、手数料は1件当たり200円。クーパンは今年4月、シンガポールにも現地法人を設立したが、海外でサービスを行うのは日本が初めてとなる。

 韓国で2014年に始まったロケット配送は、午前9時までに注文するとその日の午後までに、夕方注文すると翌日までに商品が届くサービスで、生鮮食品は午前0時までに注文すれば翌朝午前7時までに届ける。一度に1万9800ウォン(約2000円)以上(食品は1万5000ウォン以上)を注文するか、月2900ウォンの有料会員「ロケットワウ」に加入すると利用できる。

 昨年10~12月にクーパンで買い物をした人は1485万人にのぼり、人口の3分の1に当たる。韓国統計庁の「20年eコマース市場シェア」によると、クーパンの年間取引額は22兆ウォン(約2兆2000億円)と市場シェアで2位(13%)を占め、トップのNAVER(年間取引額28兆ウォン、市場シェア18%)を猛追する。韓国では、クーパンは近所のスーパーのように気軽に利用できるサービスとして定着している。

SBGの投資が支え

 クーパン創業者の韓国系米国人キム・ボムソク氏が言うように、ロケット配送の競争力はAI(人工知能)にある。クーパンがAIにより売れ筋商品を分析して直接仕入れ、全国に170近くある物流センターに配置。注文が入ると最も近い物流センターから自社の配送員が届けること…

残り1696文字(全文2596文字)

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2021. 7.

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韓国はすでに消費回復の動き 若者中心に高まる消費意欲

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韓国 若者リードで消費回復へ=趙章恩

 韓国銀行が発表した2021年5月の消費者心理指数は105・2で、18年6月(106・3)以来の最高水準を記録した。指数が100を超えると今後の景気を楽観視しているという意味になる。

 韓国政府はワクチン接種完了者を対象にしたマスクなしでの外出を認め、コロナ陽性者数が少ない国同士で協定を結び出入国の際の隔離を免除し観光客を受け入れる「トラベルバブル制度」による海外団体旅行を許可する…

残り316文字(全文526文字)

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2021. 6.

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韓国 米動画配信社の法人税2.1億円

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 フェイスブックコリアなどの外資系インターネット企業が、韓国内での利益を初めて公開した。法律改定により、売り上げまたは資本金が500億ウォン(約49億円)以上の有限会社は外部監査を経て監査報告書を公開しないといけなくなったためだ。注目されたのが、動画サービスの中でもっとも利用者が多い米動画配信大手ネットフリックスの韓国法人だ。同社の20年売上高は前年比124%増の4154・5億ウォンで、韓国で納めた法人税は…

残り308文字(全文513文字)

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2021. 5.

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韓国 配送ロボットの普及に本腰=趙章恩

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韓国政府は3月4日、ソウル市と水原(スウォン)市の一部地域で実証実験中の屋外自動配送ロボットの利用拡大や、ドローンの配送地域拡大などの方策についてまとめた「デジタル流通競争力強化方案」を発表した。

 同方案では、2021年内に自動配送ロボットの歩道走行を許可し、22年までにドローン配送の実証サービスを1000回以上実施する方針だ。配送に必要な流通データは、誰でも利活用できるようオープン・プラットフォーム化する。

 政府の後押しもあってか、同月19日には現代自動車、起亜と、韓国最大のフードデリバリーアプリを運営するウーワ・ブラザーズが、決済機能を搭載した自動配送ロボットの共同開発を発表。現代自動車、起亜がロボット本体、ウーワ・ブラザーズが制御システムを開発する。

残り186文字(全文519文字)

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2021. 4.

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「愛の不時着」に続き、韓国初の宇宙SF映画にも資金 NETFLIXが韓国に大金を投じる理由

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韓国初の宇宙SF映画「スンリ号(スペース・スイーパー)」が、動画配信サイトのネットフリックスで独占公開。

26カ国で最も視聴回数の多い外国映画を記録し、話題になっている。

韓国ではコンピューターグラフィックス技術の高さに驚いたというファンが多く、海外では宇宙のゴミを拾う清掃船を背景にした家族愛という点が評価されていた。

スンリ号は製作費240億ウォン(約23億円)の大作だが、封切りを2度延期した末に、ネットフリックスが310億ウォンで購入。

中国を除く世界配給をネットフリックスが担当する。

ネットフリックスが韓国に投資した金額は2015年から20年まで7億ドル、20年9月には、サービス運営とは別に韓国でのオリジナルコンテンツ制作をサポートする法人も設立している。

分析会社WISEAPPによると、韓国内のネットフリックス決済額は19年の2483億ウォンから、20年には5173億ウォンと108%増加した。

ネットフリックスに販売することで制作側は安定した利益を確保できるが、韓国映画プロデューサー組合からは、「韓国の制作会社はネットフリックスの下請けになるかもしれない」と強すぎる影響力を懸念する声も出ている。

(趙章恩・ソウル在住ジャーナリスト)

(本誌初出 韓国 韓国映画、ネット配信で世界的ヒット=趙章恩 20210309)

 

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2021. 3.

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https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210309/se1/00m/020/062000c

熱愛発覚後も人気冷めぬ『愛の不時着』カップル、“大人の恋愛”に称賛

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 日本でも『愛の不時着展』が開催されるなど、引き続き話題を集めている韓国ドラマ『愛の不時着』。年明け早々飛び込んできたのが、このドラマで主演を務めたヒョンビン(38才)とソン・イェジン(38才)の熱愛ニュース。世界中のドラマ視聴者が2人の恋の行方を見守っていただけに、報道から約1か月経った今も韓国のSNSやテレビを賑わし続け、2人の好感度がさらに上昇する人気ぶりだという。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんがリポートする。

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 ヒョンビンとソン・イェジン、同い年のスターカップルの誕生に、韓国のSNSでは「お似合いカップル!」「やっと2人が熱愛を認めて嬉しい」といった祝福の声で溢れている。筆者も、2人の事務所が発表した熱愛を認めるコメントを読むうち、ドラマのクライマックス、スイスの草原で2人が見つめ合い微笑むシーンを思い出し「なんて素敵なカップルなんだろう」と嬉しい気持ちだ。熱愛報道後、Netflixでは再びドラマの人気が急上昇し、アジア各国で総合ランキング上位になった。

 ヒョンビンとソン・イェジンの熱愛報道は今回で4度目。1度目は2018年9月に映画『ザ・ネゴシエーション』で共演した後、2度目は2019年1月に米ロサンゼルスのスーパーで2人が一緒に買い物している写真がSNSに投稿されたとき、3度目は2020年1月の『愛の不時着』放送開始時だ。度々熱愛が取り沙汰されては、これまで双方とも否定してきたが、4度目となる今回、満を持して交際を認めたのだ。

 2020年1月に熱愛が取り沙汰されたときは、韓国では結婚説や破局説などさまざまな情報が拡散し、ワイドショーやSNSなどではしばらくの間この話題で持ち切りだった。今回も交際を認めたことで、韓国放送局KBSの芸能番組では、「結婚しそうなスターカップル1位」として2人の特集が組まれるなど前回を上回るお祝いムード。スターの熱愛が発覚すると、ファンが離れたり人気が落ちるのが普通だが、2人の場合はそれをものともせず、今回の交際宣言で逆に好感度を上げている印象だ。

 1月23日、熱愛を認めてから初めて、ヒョンビンがファンの前に姿を現した。韓国エンターテインメントマネジメント協会が主催した「2020 APAN STAR AWARDS」で、『愛の不時着』での演技や視聴率、知名度、好感度などが認められ大賞を受賞したのだ。受賞の感想を述べる際、ソン・イェジンのことはあえて触れないまま終わるだろうと予想していたファンが多かったが、ヒョンビンはそれを気持ちよく裏切った。

 ヒョンビンは、『愛の不時着』を視聴した全世界のファンや監督、俳優らに感謝の言葉を述べた後、「ジョンヒョク(ヒョン・ビン)にとってはあまりにも最高のパートナーだったユン・セリ(ソン・イェジン)。イェジンさんが上手に創り上げたユン・セリというキャラクターのおかげで、リ・ジョンヒョクはよりかっこよく息ができました。この場を借りて本当にありがとうと言いたいです」と、淡泊ながらもソン・イェジンの演技を称えるコメントで愛情を表現した。

ありきたりの「サランヘヨ(愛しています)」ではなく、恋人であり役者としてのソン・イェジンの実力を認め尊重するコメントで締めくくったことがかっこよすぎると、韓国メディアやSNSでは称賛の嵐である。このコメントの中に、2人の関係が表れているのではないだろうか。お互いの仕事ぶりを認め相手を思い配慮する大人の恋愛が垣間見えたことで、2人の好感度はますます上昇した。

 2021年は、ソン・イェジンの俳優デビュー20周年でもある。1月11日のソン・イェジンの誕生日には、誕生日とデビュー20周年のお祝いに熱愛報道まで重なり、ファンの愛情が爆発した。ソン・イェジンのインスタグラムには、広いリビングをぎっしり埋め尽くしたファンからの花束やケーキなどの写真が投稿され、ソウルの商業施設「COEXMALL」の大型スクリーンには、ファンによる大々的なお祝い広告も掲載された。ソン・イェジンがいつも寄付している児童施設や病院などにもファンからの寄付が集まるなど、彼女の人気ぶりが改めてうかがえた。

 この20年間、ソン・イェジンと共演者の熱愛報道は何度かあったが、交際を認めたのはヒョンビンが初めて。かつてソン・イェジンがバラエティー番組に出演した際、「(恋人を明かして堂々と交際する)「公開恋愛」をする芸能人が増えているが、自分は負担が大きいのでしたくない」と話していただけに今回交際を認めたのは意外だったが、それだけ2人の思いが真剣ということなのだろう。

 韓国では、2022年に2人は結婚するのではないかと報じるメディアもあった。ヒョンビンは2011年のインタビューで、「芸能人の生活は不規則なのでこの職業を好きになってくれる人はいても隣で理解してくれる人はいないようだ」と話したことがある。また不思議なことに、ソン・イェジンも2011年、「俳優という職業は私の生活の延長線上にある。それを理解して配慮してくれる人がいい」とインタビューで話していた。2人は交際を始めて以降、ヒョンビンの海外の長期滞在など頻繁に会えていたわけではないようだが、それでも2人の絆はとても強いという。お互いを理解してくれる相手に出会ったからかもしれない。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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2021. 1.

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