韓国でオープンソースの利用が進まない理由は本当に英語? [2007年9月12日]

韓国全土にある2800の郵便局には、誰でも無料でネットが使えるパソコンが置いてある。市内はもちろん、地方でもちょっとしたメールのやり取りや検索は携帯電話ではなく郵便局で済ませられるからとても便利だ。高いパケット代を払わなくても済むし。韓国の郵便局は情報通信部の傘下にあるためか、1999年からデジタルデバイドの解消のため「インターネットプラザ」という名前で無料インターネットカフェを運営していて、全国に3253台のパソコンが設置されてある。このPCのOSを2009年までにすべてLinuxにする計画が発表された。郵便局を皮切りに他の公共機関でもLinuxの導入が拡大されるのではないかとみられている。

 情報通信部郵政事業本部は2005年から、オープンソース・ソフトウエア(OSS)の活性化実証事業およびTCO(Total Cost of Ownership)削減のため、郵便局「インターネットプラザ」に1台以上はLinux PCを置くようにしている。すでに3353台のうち1265台はLinuxになっている。2007年から導入している新規PCにはすべてLinuxを搭載しているので、台数はもっと増えていくだろう。Linux PCを導入したことで導入費用はかなり節約できた。Windows XP Professionalの値段は15万7000ウォン(約2万円)だが、ハングルとコンピューター社の販売するLinuxは4万9000ウォン(約6000円)に過ぎない。


 しかし、いくらコストが割安でも、ユーザーが不便さを感じてはしかたがない。韓国はマイクロソフト依存度がものすごく高いため、2年ほど前までLinuxだと、インターネットバンキングも使えない、電子政府サービスも使えない、ショッピングモールで決済もできないなど、ネット利用を制限されることが多かった。そのせいか、Linuxは不便というのが一般論になってしまっていた。食わず嫌いとはこんなことだろうか。しかし、郵政事業本部の説明によると、郵便局を訪れた人々は「ずっと、これはWindowsのパソコンだと思って使ってました。Linuxって不便だと思っていたけど、ネット検索とかする上では問題ないんですね。」と感想を述べたそうで、OSSの認識を変えるのに役立っているという。


 まだ2007年7月時点で韓国のOSSのシェアは3%未満と言われている。このようにLinuxの利用率はまだまだ低いのだが、郵便局は特殊な例ではなく、韓国全体で少しずつ変化が生じている。政府機関である韓国ソフトウェア振興院も教育機関、医療機関、社会公共機関へのLinux普及に力を入れている。大学を中心に普及しているEラーニングをOSSで実現できないかといったことについてフォーラムも開催された。韓国のLinux関連企業もデスクトップ用OSを発表し、本格的にマーケティングを始めている。OSSの活性化のためには何よりもデスクトップPC市場への拡散が必要だからだ。ほかの取り組みとして、韓国の公共機関ではOSS普及のため、OSSを導入する際に、保守契約を定額で結ばなくてはならない決まりになっている。これまでは、使うのも無料、作るのも無料、みんなが共有するものだから保護されない、という考えから、OSSはお金にならないという理由でビジネス対象としてとらえられていなかった。でも保守ビジネスが成り立てば、OSSも立派なビジネスモデルになれるのではないだろうか。


 このようにOSS市場がにわかに賑やかになっている韓国だが、OSSを消費する人は多いが、開発に関わる人が少なすぎるという大きな問題が立ちはだかっている。OSSが活発な国ほど消費しながら生産もする開発コミュニティーがたくさん存在しており、活性化している。韓国にもいくつかのOSS開発者のコミュニティーが立ち上がっているが、参加率は低いという。アメリカではオープンソース関連コミュニティーが活発なのに韓国にはない、などの話になると必ず、英語ができる開発者が少ないからであり、言葉の問題さえなければもっと参加できるのに……というような話をする人がいる。


 しかし、これはおかしな話。韓国では就職のためにTOEICで900点は必須なのに、英語ができない? 英語ができなくてオープンソースのコミュニティーに入れないとは理由になっていないのではないか。日本だって英語が苦手な人が多いのに、韓国のマスコミの報道によると5000人以上のOSS開発者がいるという。韓国では100人にも満たない。英語がペラペラでないとOSSは開発できないものなのか? Windowsに振り回されたように、オープンソースでも輸入に依存するようなことになるのではないか心配だ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年9月12日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070912/281736/

韓国政府機関が“ようやく” OS非搭載のパソコンを購入可能に [2007年9月5日]

韓国行政自治部をはじめ中央省庁や参加機関は2007年8月からOSが搭載されていない「空PC」を購入できるようになった。「購入できるようになった」というのは、実は今まで「行政業務用多機能事務機器標準規格」により、政府のパソコンはすべてOSが搭載されたパソコンしか購入できないようになっていたのだ。しかし、韓国ではLinuxをOSとしてプリインストールして販売するパソコンメーカーは1社もないので、現実には政府機関はみなWindowsに頼っていたというわけだ。ここにきてOSの自由化を求める声が高まったため、OSをユーザーの自由に任せることにしたという。

 空PCを購入し、好きなOSを選択する。これは組み立てPCを購入するユーザーの間では珍しくもなんともないこと。しかし、「いくらWindowsが標準で搭載されているからといって『Windowsはいらないと言われても値段は同じ』とメーカーが主張するのはおかしい。Windowsがプリインストールされたパソコンであっても、OSが不要なら、OS分の料金をユーザーに払い戻すべきだ」と国会議員らが今年7月あたりから関連規定を作る動きを見せている。実際、ハンナラ党の議員らは公正取引委員会が規定を作成するよう主張している。


 確かにメーカーの言い分にも理解できる点はある。韓国でのWindowsのシェアは99~99.9%とも言われているほど圧倒的だ。1%未満しかいないユーザーのために、OSを別売りするのは面倒であるとメーカーが思うのも仕方ない部分はある。Windows+Internet Explorer環境でのテスト費用の方がLinuxを使ったテストよりも安あがりで、しかも需要が大きいという理由で、Linuxをプリインストールするのに躊躇しているというのも理由の一つだ。しかし、そういう背景はあるにせよ、OSが不要だからその分を払い戻して欲しい、という主張は正当なものだろう。


 韓国でWindows Vistaはネット通販で20万ウォンほどの価格。しかし、Linuxはこれより安く、あるいは手間さえかければ無料で利用できる。Windowsはいりません、ということであれば、ざっくりVistaの市販価格の半分くらい(10万ウォン:約1万3000円)はキャッシュバッグされて良いのではないだろうか。


 ただし、今のところ、韓国政府はOSの払い戻しをするかどうかはパソコンメーカーの自由としている。


 韓国ではパソコンが導入されから今までWindowsに頼りすぎていたのが問題で、国産OSの開発にも投資すべきではないかといった意見も出ている。ともあれ、ユーザーにはOSを選択できる権利がある、Windowsの独占を防止しよう、という点では政府も同意している。


 マイクロソフトが、Windows Vistaの価格を韓国内でだけ高く設定し、Windows離れを加速させたこともあり、こうしたWindows離れの動きは自業自得かもしれない。Windowsを使わないということはWordもExcelもInternet Explorerも使わなくなるということ。マイクロソフトの業績に大きく影響することになる。この勢いがマイクロソフトをちょっとは怖がらせるほど広がるといいのだが。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年9月5日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070905/281179/

韓国のAV家電事情 三星電子 EISAアワードで4年連続受賞製品も(2007年9月10日 掲載)

AV家電事情 三星電子 EISAアワドで4年連受賞製品も


 


 


勢に押され味のデジカメに自信


 



 


 【ソウルEISAアワドで三星電子のホムシアタ、液晶TV、デジタルカメラ、携電話が選ばれた。



 EISA(European Imaging and Sound Association)はヨ
ロッパ映像音響機器協の略。20か門誌50誌が加盟している体で、EISAアワドは1年間に発売された映像音響連機器のなかから製品の技術、デザイン、革新性などを評して部門別に最も優れた製品を選ぶもので、州に限らず米やアジアにも影響をえる威ある賞の一つである。受賞した製品には州地域での販製品に1年間「EISA」マクを付し、品質と製品力、ブランド力を保証される。 


 


 三星電子が今回受賞した製品は、「2007年型ボルド液晶TV」「フルHDホムシアタ」「ウルトラエディション12.1」と、三星テックウィンのデジタルカメラ「VLUU i70」で、ホムシアタ4年連、デジタルカメラは2年連、携電話は初の受賞となった。


 


 三星テックウィンはデジタルカメラ門のグル社で、韓国内でもキヤノンやニコンには押され味だったが、EISAアワド受賞でグロバルブランドとして販が伸びるものと予想されている。


 


 2007年型ボルド液晶TVはやわらかい曲線のデザインが特で、下部をクリスタルワイングラスのような形にした。発売から1年4か月で世界で520万台の販売実績をあげた。


 


 フルHDホムシアタは高光ブラックカラのモダンなデザインが目立つ製品で、HDプログレッシブ技術により鮮明な質を鑑賞できる。


 


 ウルトラエディション12.1は、スリムスライドHSDPA携で、3.6Mbpsの超高速ダウンロドとフルブラウジング、300万素カメラ、Bluetooth2.0、USB2.0、外付けmicroSDカドなど先端機能を備えている。


 


 デジタルカメラの「VLUU i70」は、720万素の高質で3インチワイド液晶面、MP3プレ機能を採用するなど、洗練されたデザインと使いやすい機能を取り揃えた。


 


 三星電子は07年のEISAアワド受賞を契機にして、AV製品のマケティングをより一層化していく計だ。


 


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年9月10日 vol.1202 載]  Link 


 

韓国の携帯コンテンツ事情 携帯電話の新収益モデル(2007年9月3日 掲載)

の携コンテンツ事情 携電話の新益モデル


 


 


新型待ち受け面の開盛んに




 


【ソウル】カラリング(通話連結音、日本では「待ちうた」)、デジタル音いて、韓の移動通信市場では「待ち受け面」が新しいキラアプリケションとして注目されている。今までの待ち受け面とは異なり、世界的に流行しているWidget(ウィジェット)が使える待ち受け面がと登場しているからだ。


 


 韓ではアップルのiPhoneにウィジェットが搭載されてから、モバイルウィジェットにユ心が集中している。ウィジェットとは、特定機能を遂行するアクセサリソフトウェアのことで、時計やカレンダ、メモ帳、ニュスなどユがすぐに使いたいアプリケションを選して待ち受け面に配置できる。ノキアも2007年末までには携電話からウィジェットを正式に利用できるようにすると表した。ベタサビスはすでに昨年10月から開始している。


 


 韓の携電話キャリアもこの夏からとモバイルウィジェットサビスを公開している。最大キャリアのSKテレコムはウィジェット機能が含まれた「T─インタラクティブ」を提供している。これは携電話の待ち受け面からニュ予報などリアルタイムで更新される情報が使用料もデタ通信料もかからずに利用でき、頻繁に使うコンテンツや機能のアイコンを表示できるようになっている。さらに詳しいニュスをむ場合は有料で、デタ通信料も加算される。


 


 SKテレコムの表によると、今年4月に始まったT─インタラクティブの累計加入者7月末で約34万人を突破している。2000万人に近いSKテレコムの加入者に比べ34万人は少ないかもしれないが、T─インタラクティブに似たような待ち受け面にコンテンツを表示するサビス「1mm」は、2年間で22万人にとどまっていた。SKテレコムのT─インタラクティブ対応端末は、56種に及び、ほぼどんな携電話からでも利用できるという点が加入者につながっている。


 


 08年に登場する「T─インタラクティブアップグレドバジョン」では事業者があらかじめ設定しているなかでユが選する方式だったが、これを改善、ユが直接面を構成して利用したいサビスを何でも待ち受け面に表示できるようになる。


 


 携電話社のKTFも「顧客連携型デスクトップサビス」として「Pop─Up」という待ち受け面から、ほしい情報だけをアイコンにして設定できるサビスを開始した。「Pop─Up」は待ち受け面から証券情報交通情報ニュ位置基盤地域情報を利用できる。デタ通信料は無料。モバイルインタネットにつないで索しなくても待ち受け面からすぐに確認できるので、時間と通信料の節約になるということで、加入者がえている。


 


 モバイルソリュション企業も相次いでウィジェットを携電話の待ち受け面に利用できるようにするソリュションを表し、競を繰りげている。モバイルウィジェットの活性化のためには、より多くのウィジェットを作れるようにしなくてはならないと、スクリプトとHTMLなどを導入したりフラッシュのようなベクタ形式のグラフィック技術を活用して制作する方法を業界で討している。またモバイルソリュション企業はウィジェットを開できるソリュションのほかに、より個性的でユの好みに合わせた特別な提案に向けて頭をひねっている。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年9月3日 vol.1201 載]   Link

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>17.今回のテーマ■フォント開発(下)

ネットの時代こそのフォント開


ファッションにも採用


 


 


 韓インタネット振興院が施した「2008年インタネット利用態調査」によると、韓では人口の77.1%、10-30代は98-99.9%がインタネットを利用し、そのうち84.5%がインタネットから新聞記事をんでいるという結果が出ている。ネットの閲覧や文書作成をする際に、少しでも目の疲を和らげてくれるフォントがあればありがたい。


 インタネットを使うのが日常的となっているにもかかわらず、20年近く前に導入されたマイクロソフトのフォントに依存しているのはIT先進として念なことである。みやすく目が疲れないフォント、新聞サイトやポタル自のフォントを望む動きはどんどん高まってくるということで、フォントを門的に開する企業もえてきた。


 


 ファッション業界でも新しいハングルフォントの開に注目している。文字をモチフにしたデザインが流行っているからだ。携電話端末や冷庫にも流れ星のようなハングルフォントで有名な詩を彫刻した限定版が登場している。パリのファッションショでは韓人デザイナのハングルがプリントされたシャツやワンピスが注目された。光地でっているような類いのものではない。鳥や花を描いたようにも見える美しいハングル書体をアレンジした衣装は、東洋的で不思議な記にも見え、韓の芸能人の間でも流行っている。添付画像


 


 ハングルをビジネスとして見直す動きが一時的な流行で終わらず、自分のの言葉を愛し正しく使うことへつながることを願うキャンペンも行われている。チャットやメッセンジャの登場によって、韓でも2ちゃんねる用語のような言葉がたくさん出てきたので、「言語破」や世代間の言語デバイドが問題になっている。それに、韓ではグロバル化の一環として英語育に力を入れており、小校から英語の授業を始めている。英語しか使わないという幼稚園は、妊娠したらすぐ予約しないと生まれたわが子を入園させられないという繁盛ぶりだ。


 


 英語ばかりで韓語は使われなくなり、ハングルフォントはもういらない、なんてことにならないようにしなくては。

(趙 章恩●取材/文)


 


 


 BCN This Week 2008年11月3日 vol.1258 載]  Link

ポータルの無料サービスがセキュリティ産業を滅ぼすか [2007年9月26日]

 1日の訪問者数が1400万人、韓国内のブラウザーの70%でホームページに設定されている最大手のポータル「NAVER」が、ウイルス対策ソフトを10月より無料で提供を開始する。これに対し、韓国セキュリティ対策ソフトの最大手であるアンラボが「市場ルールを守り、産業の活性化に打撃を与えない範囲で無料サービスを提供すべきなのに、NAVERは他の企業と一切協力しない。何でも独占しようとしている」と非難している。


 NAVERが無料サービスのために選択したのはロシアのカスペルスキーのセキュリティ対策ソフトをエンジンに利用した「PCグリーン」。ウイルスやワーム、スパイウエアなど検出・修復・遮断できるプログラムで、フルスキャンだけでなくリアルタイム監視機能や自動アップデート機能も無料で提供される。市販のセキュリティ対策ソフトと同等の機能である。


 これに対しアンラボをはじめとする韓国のセキュリティ業界は、300億ウォン規模のセキュリティ業界が潰れてしまうのではないか、韓国セキュリティ業界の競争力が弱くなるのではないかと反発しているわけだ。


 ポータルサイトが無料でウイルス対策ソフトを提供するのはNAVERが初めてではない。Yahoo!もMSNも提供している。それなのにNAVERだけが攻撃されているのは、NAVERが圧倒的な力を持っていることが背景にある。


 YahooやMSNに比べ、NAVERは韓国で圧倒的1位の影響力を持つポータルである。時価総額8兆ウォン、2007年売上5734億ウォン、営業利益2296億ウォンを記録している。ポータル2位のDAUMの営業利益は102億ウォン。NAVERがどれほど力を持つポータルなのかはお分かりいただけるだろう。そのNAVERが無料でサービスを提供すると、標的となった業界が潰れるのは時間の問題だ。2000年には雨後の竹の子のように存在していた価格比較サイトも、NAVERが知識ショッピングという価格比較と商品レビューを書き込むコーナーをオープンしてから市場が全滅した。映画チケット予約代行サイトも、「NAVER映画サービス」が始まってから跡形もなく消えてしまった。


 例えば、アンラボの売上の30%は個人向け販売が占めている。NAVERのお陰でこの売上が消え去る恐れがあるのだから、神経を尖らせるのも無理はない。すでに、ポータルサイトがツールバーを通じて、無料のウイルス対策ソフトを提供してからセキュリティ対策ソフト市場が大きく低迷し始めているという事実もある。こうしたことから韓国セキュリティ業界の兄貴分であるアンラボが先頭に立ち、NAVERへの反発を強めているわけだ。


 ただ、その論理にはちょっとびっくり。アンラボは、「NAVERが無料でサービスを始めるとユーザーは喜ぶだろう。ただし、それにより、韓国のセキュリティ業界が危なくなり、それは国家のセキュリティの危機につながる」と言うのだ。この意見を代表に、韓国セキュリティ業界は、「国家をまたいだハッキングなどサイバーテロが毎年増加している中で、セキュリティ産業は単純にパソコンのウイルス対策のためだけではなく、国家的次元でセキュリティを考えなければならない」とし、「国内の脆弱性情報は韓国のセキュリティ企業が持つべきだ」という主張を展開している。カスペルスキーはパターン・ファイルを作成する上で最も重要なウイルスやワームの検体をNAVERの無料サービスを通じて入手することになる。この点を問題視しているわけである。


 国家のセキュリティがダメになるという口実で、セキュリティ業界が反対するとは思わなかった。


 あくまで個人的な感想だが、有料で購入したアンラボのセキュリティ対策ソフトをインストールしておいても、頻繁にスパイウエアやウイルスに感染しているので、無料でも良いものがあればそっちに乗り換えたいというのが率直なところ。


 アンラボとNAVERの話し合いは続いている様子だが、「市場の秩序を守るため無料はダメ」というアンラボと、「何が何でもユーザーのために無料で提供したい」と譲らないNAVERが対立しているため、妥協点を探すのは難しそうだ。


 それにしても、韓国のセキュリティ業界の雄であるアンラボがここまで警戒するロシア製のセキュリティ対策ソフト。そんなに優秀なのは、やっぱりアメリカとの冷戦の結果なのかな?


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年9月26日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070926/282986/

待望のヨン様のドラマ「太王四神記」、CGのレベルは? [2007年9月19日]

世界90カ国で同時放映予定だった「ヨン様」が出演する新ファンタジードラマ「太王四神記」が、6回にも及ぶ放映延期の末に、9月10日からようやく韓国で先行放映され始めた。韓国のMBC放送局は10日にスペシャル放送を、11~13日にかけては3話連続放送と、なんとか視聴率を上げるために必死になっている。

 が、そこまでしなくても「太王四神記」は十分見る価値のあるドラマだ。韓国人が尊敬する英雄で、韓国の歴史上最も領土を拡張した高句麗19代目の王様「広開土大王」(グァンゲトデワン、日本では好太王)がドラマの主人公になったのは初めてのこと。しかも、ファンタジードラマというジャンルも珍しい。韓国で人気の高い名優も勢ぞろいしている。ヨン様の相手役を演じる新人女優イ・ジアは、30回にも及ぶオーディションから選ばれた強運の持ち主らしく、チェ・ジウっぽい可憐なイメージとお茶目なイメージを併せ持っていて、とても魅力的だ。姉妹の三角関係や王座を取り巻く野望、誤解が招いた復讐など、物語も時代劇というよりは戦争シーンが多いメロドラマといった感じだろうか。ヨン様抜きでも十分楽しめる。


 韓国でもヨン様の復帰作ということで女性が主な視聴者になるのではないかと思われていたが、ふたを開けてみると、時代劇好きのお父さんからCG好きのオタクまで幅広い視聴者がMBCの視聴者掲示板に意見を残している。視聴率は23%ほどで、まずまずといったところだ。


 ただ、テーマ設定などは別として、番組を見て、正直にいただけないなと感じたのがCGや特殊効果だ。


 第1話目に登場した白虎、青龍、朱雀、玄武の四神を描いたCGや特殊効果は正直言うとしょぼかった。というか、どうやってその場面を作ったのかを前日のスペシャル番組で見せてしまったためだろか。それともオンラインゲームの見事なCGに慣れてしまったせいだろうか。感動が4分の1ぐらいに減ってしまった印象だった。四神が登場する場面で、白虎は古くなって毛が抜けた白いぬいぐるみに見えるし、青龍もうなぎ?怖い顔をしたイルカ?っぽくて、「すごい!」というインパクトはなかった。良いCGとは視聴者が見てCGとは気付かないものだが、太王四神記はいかにもCGです!といった場面が多すぎる。追い討ちをかけるように、キム・ジョンハク監督が「視聴者の愛国心に訴えたい」という一言を口にしてしまい、「プロの製作者が、『今になって出来が悪くても韓国産だから仕方ない。愛国心に訴えると思って見てください』はないだろう~」と言われる始末だ。


 こうなってしまったのにはもちろんわけがある。


 韓国のCG関連会社は中小規模の20社ほどあるのだが、もともと映画市場が小規模なのと給料が割安なため、レベルの高い人材はアメリカで就職するか、オンラインゲーム「リネージュ」で有名なNCSOFT社のようなゲーム業界に流れている。韓国の映画制作関係者も「韓国のCGはハリウッドに比べて技術的な面ではかなり追いついてきた。ハリウッドより極端に少ない給料と制作費、極端に短い制作期間、ある日突然修正される台本、などなど最悪とも言える製作環境の中であれだけやっているということは、実は世界一のレベルを持っているのかもしれない」と皮肉を言うほど、CGや特殊効果の世界は日の当たらない業界だ。


 太王四神記は24話完結で、制作費は430億ウォン(約54億円)、制作期間は3年。制作費と制作期間は多い方だ。しかし、台本作りが遅れに遅れた。太王四神記のCGは制作発表段階では映画「ロードオフザリング」のCGチームが担当することになっていたが、台本作りの遅れが響いて撮影が間に合わなくなり、スタッフが1年も韓国に滞在していたにも関わらず、1コマもCGを作ることなく帰国してしまった。


 そこでピンチヒッターとして登場したのが、モーペックスタジオという韓国の映画業界では有名なCGスタジオ。総勢120人がこのドラマのCG作業に参加しているという。しかし、ここでも問題が。番組はハイビジョンで放送するため、CG作業は映画より難しい。解像度が高いので、CGで合成した画面の境界線が見事なまでに丸見えになってしまうからだ。どんなにスタッフが目に見えないところにまで注意を払って作業をしても、ロードオブザリングのCGスタッフのスキルを補った上で、台本作りにかかってしまった時間を挽回するのは困難であり、「ハリーポッター」や「トランスポーター」などを見て肥えてしまった視聴者の目を欺くことはできなかった。


 と、問題ばかりを羅列したが、番組のCGをよくよく見てみると、細かいところまで計算された背景や色彩はCGにはまったく見えず、韓国の技術もかなりのものだな~と思える部分もあった。それに番組放送をきっかけに「○○の場面のCGは良かったね~。私も勉強してみたいな~。」とか、「あの光が爆発する特殊効果はどうやってやったんだろう?」といった言葉が日常会話にも登場するようになり、CGや特殊効果の世界に日が当たった点は高く評価されるべきだろう。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年9月19日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070919/282355/

「公称100Mbpsならせめて30Mbpsは出てないと」—韓国のインターネット最低速度保障制度を紹介

インターネットサービス事業者の広告を見ると、最大100Mbps光の速度で動画もすいすい、ADSLで下り最大47Mbps、なんて大きく書いてあるけど、よく見ると広告の下に小さい字で「通信速度は技術規格上の最大値であり、お客さま宅内での実使用速度を示すものではありません」、「最大100Mbpsとは、お客さま宅内に設置する弊社回線終端装置から弊社設備までの間における技術規格上の最大値であり、お客さま宅内での実使用速度を示すものではありません。インターネット利用時の速度は、お客さまのご利用環境、回線の混雑状況、集合住宅の場合は当該建物の伝送方式等によって低下する場合があります」と書いてある。

 一体私は何Mbpsの速度のインターネットが使えるの?と突っ込まずにはいられない。100Mbpsと聞いて申し込んだのに、Flashで作られたWebサイトがなかなか表示されずイライラした経験はないだろうか。


 韓国では通信政策を担当する放送通信委員会が、事業者のネットワーク拡大と品質管理、設備増強が適切に行われているかなどの責任を追及するため、ベストエフォートではなく最低保障速度制度を強化することにした。これは世界でも前例がないため、韓国内でも何を基準に最低速度を決めるのか、最低速度を守れなかった場合はどのように規制するのか、議論になっている。政府は専門家のアドバイスから100Mbpsと宣伝する場合は30Mbps、10Mbpsと宣伝する場合は2Mbpsを最低保障速度として提示している。最低保障速度制度があれば事業者も品質を安定させ管理しないといけないため投資が増え、サービスの品質改善とそれによる利用者の権益向上を期待している。


 そもそも最低保障速度制度は今回が初めてではない。2002年8月、政府は「超高速インターネット品質保証制度」の導入により、下りの最低保障速度を約款に明記するよう勧告した。韓国のインターネット事業者は速度がいつも利用している平均速度より目に見えて落ちたり、1日3時間以上インターネットにアクセスできないと1カ月の料金から日割りして1日分の料金を無料にしてくれる。速度が落ちたりアクセスできなくなったら顧客センターに電話して遠隔で確認してもらい、異常があることを確認できれば割引してもらえる。それでも速度低下が続く場合は、約定加入した場合でも違約金なく解約できる。


 しかし、その基準となる最低保障速度は2002年当時のまま。下り最高10Mbpsと宣伝する商品の場合、当時の基準だと、実測0.5Mbps以上であれば最低保障速度を守ったことになるが、これが最高100Mbpsを謳う光LAN商品にもそのまま適用されているのだ。韓国のインターネットの平均速度は各自業者の品質評価発表によると、下りは最高速度の75%以上を保っているが、それに比べ最低保障速度は遅すぎるということである。


 放送通信委員会は事業者の最低保障速度は最近のネットワーク環境と合わないことを指摘し、もっと現実的な制度を導入するため最低速度のアップグレードを事業者に要求したというわけだ。今までは最低速度が最高速度の1~10%だったが、それを5~50%に引き上げるべきということだ。2008年12月からは最高100Mbpsのサービスであれば、最低30Mbps以上は出ないといけないようして、約款に最低保障速度を明記させる。


 最低速度を30Mbpsにした理由は特に基準があるわけではないが、IPTVや広帯域サービスを問題なく受信できるようにするためにはこれぐらいの速度が必要という韓国情報社会振興院の調査結果によるものだ。速度が落ちた場合にはどのように報償するかについても約款に記載し、加入者に告知するようにした。最低保障速度制度はあくまでも勧告事項で強制事項ではないので、守りたくない事業者は守らなくてもいいが、顧客離れを防ぐためには守らないわけにはいかない。
























































●事業者別最低保障速度改善計画 単位:Mbps
事業者 サービス 最高速度 変更前最低保障速度 最低保障速度改善計画 改良時期
KT ライト 50 1 5(FTTH) 2008.12
1(xDSL)
スペシャル 100 5 30 2008.12
SK Broadband(旧Hanaro Telecom) スピード 10 1 1.5 2008.12
2 2009.1
光LAN 100 5 30 2008.12
LG Powercom プライム 10 1 5 2008.12
光LAN 100 30 50 2008.12

 最低速度に満たない場合は、顧客センターに電話して遠隔で速度テストをして異常を確認してもらうか、事業者ごとに運営している速度測定WEBサイトにアクセスして速度をテストした記録すこと。当然かもしれないが、速度が落ちても事業者側からは絶対先に補償を持ち出さないので、利用者がこまめにチェックして補償を要求しなくてはならない。ネットでは速度を問題に解約を要求したら、6ヶ月間料金を無料にしてくれた、利用料を安くしてくれたという経験談も登録されていることから、わざと速度を理由に割引の交渉を持ちかける利用者も少なくないようだ。


 韓国の平均的な光LAN料金はISP料金やモデムレンタル込みで月2000~3000円ほど。所得に比べ決して安いとはいえない。それに韓国では動画投稿やインターネット経由で地上波放送局の番組を有料VODで視聴するパターンが定着しているため、高画質の動画をストリーミングでみたり、アップロードしたりするため、速度にはとても敏感である。最低補償速度制度は品質保証のようなものなのだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年10月29日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20081029/1009261/

韓国 中小企業の知財保護目指し(2007年9月17日 掲載)

 中小企業の知財保護目指し


 


 


特許訴訟の支援


 




【ソウル】韓特許は中小企業の知的財産保護化のため、海外で特許にする利侵害訴訟を起こす場合、2007年9月以降、従来の最高3000万ウォン(約380万円)から最高5000万ウォンにまで費用支援を大することにしたと表した。



 最近、海外で韓
企業の技術力と製品にする認知度が高まるにつれ、知的財産を侵害する事例が加している。だが利侵害に対応するための訴訟費用は莫大で、中小企業では特許をもっていながらも海外での侵害には積極的に対応できずにいた。


 


 特許06年に支援した海外訴訟費用は中小企業9社にして合計2億4000万ウォン、企業は平均して訴訟費用の42%程度の支援を受けている。


 


 こうした績から、特許は規定を改正し、海外審判および訴訟費用の支援を5000万ウォンまでに大、実効性を高めた。


 


 また、これまで支援象に含まれなかった審判および訴訟の前段階で該当国の行政局に侵害救を要請する場合に必要とされる侵害調査費用までも支援象に大し(1件たり500万ウォン)、海外に進出する韓の中小企業にとって質的に役に立つ政策となることを期待している。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年9月17日 vol.1203 載]   Link 


 


 

韓国のAV家電動向 独IFA展示会(2007年9月17日 掲載)

AV家電動向 IFA展示


 


 


三星電子はネットワクを、LG電子はデザインを調


マスコミは韓の優位性を論評


 


 


【ソウル8月31日から9月5日までドイツで開かれた世界最大のコンシュマエレクトロニクスショIFA(Internationale Funk Ausstellung)2007」では、日本のソニ、シャプと並び三星電子とLG電子、大宇エレクトロニクスなど韓の大手メも新製品を表した。展示の開幕に先立ち開催されたマスコミ向けコンファレンスで、三星電子は「シムレスなネットワクのための技術」が重要であると調、LG電子は「優秀デザインを土台にしたプレミアム略」に重点をおくとそれぞれ表し、はっきりとした略の違いを浮き彫りにしていた。


 


 三星電子のパクジョンウデジタルメディア括社長は、TVでしむインタネットサビス、一つのリモコンですべてのAV製品を制御できる「ANYNET Plus」技術、Bluetoothおよび携電話機能を持つMP3プレなどネットワク性を向上した製品を紹介しながら、「家庭、社、モバイルなどに分かれてネットワクが構築され、デジタル機器もそれに合わせて進化してきた。統合ユインタフェス(UI)とネットワク、互換性を化していつでもどこでも使える機器を充させる」と、三星電子のこれからの略を語った。


 


 三星電子は今年の展示には「ホムエンタテインメント」「モバイルエンタテインメント」「オフィスソリュション」「三星スタイル」の4つのジャンルに分けてブスを運した。


 


 ホムエンタテインメントでは120HzフルHD液晶TV、光ダイオドバックライト液晶 TV、2007年型液晶TV、フルHDプラズマTVなど1080pフルHDTVを一に出品。またブルレイとHD DVDのタイトルの方とも再生可能で、フルHD映を視できる「Duo HDプレ」を初公開した。


 


 モバイルエンタテインメント分野では16:9ワイド液晶面で映しめるBluetoothビデオMP3プレYP─P2」をはじめ、新製品を大量に展示した。HDビデオカメラと三星テックウィンのプレミアムデジタルカメラや携電話のウルトラエディション12.1など三星電子が誇る多な新製品も勢揃いさせた。


 


 オフィスソリュションでは高光ブラックカラのデザインとより薄くなった世界最小型超スリム白プリンタおよび複合機を出展し、プリンタのデザインの新境地を開いたと評された。プリンタは「スワン(ML─1631K)」、複合機は「ロガン(SCX─4501K)」という製品名で、薄さはプリンタが12cm、複合機が16.5cmと世界で最も薄くて小さい。


 


 一方、LG電子はヨロッパ地域括のキムジョンウン社長が登場し、優れたデザインを基盤としたプレミアム製品で績を高めたいとした。「2007年ヨロッパ市場で前年比20%となる70億ドルのり上げを達成し、2010年にはり上げ規模を120億ドルまで大させる。ヨロッパ市場でプラダ携やシャイン携(ステンレス製で鏡のような携)の好調ぶりでプレミアムイメジを獲得できた。デジタルTVと家電、AV製品にもプレミアムを大させ、州のデジタル機器市場を席する」と調した。


 


 LG電子はデザインを調したプレミアム携電話を次発売していて、IFA2007をきっかけに「デザインアト液晶TV」を初めて公開し、デジタルTVでもプレミアムマケティングを化する。次世代複合DVDプレ「スブル」なAV製品と冷庫、洗濯機など家電部門でもデザイン重視の高格製品を相次いで発売していく予定だ。


 


 大宇エレクトロニクスも録画再生機能を内蔵したフルHD液晶TVのほか高光カラなど新しいデザインに挑した液晶TVを公開して注目された。特に大宇は今回初めてブルレイプレを展示し、次世代DVD市場に入することを表した。


 


 韓企業が次に野心作を表するなか、韓のマスコミは日本メはこれといった新製品を展示しなかったと報道し、「中企業の韓製品コピは度を越えており、ハイアルによる三星電子のコピはひどすぎる」と酷評している。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年9月17日 vol.1203 載]   Link