地上波を全国へ再送信 いよいよ始まる韓国IPTVの全貌

 放送通信融合によるしいビジネスとしてでも注目されけたIPTVがついに「商用化」されることになった。これまでも番組単位のVOD(ビデオオンデマンド)などはあったが、地上波放送をリアルタイムで再送信するIPTVが11月中旬以降国規模まる予定だ。


 


 IPTV通信なのか放送なのか――地上波放送電波ではなくIPネットワクでリアルタイムで送信するための最大障壁は、伝統的通信・放送法制存在だった。IPTVを「放送法」と「情報通信網利用促進及情報保護等する」のどちらで規制するべきか。ではこの問題解決するために、2004から議論けた20071228IPTV特別法といわれる「インタネットマルチメディア放送事業法」が制定された。


 


 現政20083庁再編情報通信部放送委員統合したことでわかるように放送・通信融合には積極的で、そのであるIPTV商用化れている。6には「インタネットマルチメディア放送事業法施行令」も制定され、具体的なサビスガイドラインもまった。



 


  


SK BroadbandIPTVビスを視察する国国会議員


 


 


■「Pre-IPTV」から本格商用化


 


 ここでいう商用化とは、地上波放送のリアルタイム再送信IPTVである。までも通信大手KTSK BroadbandHanaro Telecom)は、テレビとセットトップボックス、インタネットをつなげてドラマやVODできるサビスを提供してきたが、これは地上波放送再送信まない「Pre-IPTV」だった。今回IPTV特別法という第三法律をつくることで、いよいよ本格的なIPTV時代まる。


 


 IPTV特別法施行令内容は、(1)IPTV事業者IP経由地上波放送をリアルタイム再送信できるようにし放送事業者にその対価う、(2)IPTVつの事業圏域にする、(3)気通信設備開放とコンテンツ同等アクセスをる、(4)資産総額10ウォン以上企業グルプはIPTV事業者になれない、(5)新聞社・外国法人・外国人IPTV事業者49%以上所有できない、(6)150チャンネル以上する――などである。


 


 現行法ではしかった部分をうまくまとめたようにえる特別法だが、既存放送業界枠組みをきくえるだけに、法制定以降まっていない。


 


 


 


 


対価決まらないまま見切発車


 


 CATV場合地上波放送をリアルタイムで再送信していても対価っていない。これにし、IPTV事業者対価うと特別法めたのはいいが、その金額については事業者放送局個別交ねたため、なかなか決着がつかないのだ。


 


 放送局側はここぞとばかり強気て、IPTV事業者年間規模よりも金額要求している。KTのように資金力のある事業者新規ビジネスへの投資としてじられるかもしれないが、中小IPTV事業者がネットワクをたずにチャンネルサビスだけをめようとしても、かないことは十分考えられる。


 


 対価ってのがなかなかまとまらないため、得意とする「まずやってみて、からかいことはめる」方式となった。まず3カ月間地上波放送のリアルタイム再送信提供し、聴率加入者推移対価再開するという。


 


 しかし3カ月後決裂した場合はどうなるのか。いきなり放送中ということにでもなれば、ではすまない。Pre-IPTV3年契約基本料8000ウォン(通信料別)ほどだが、IPTVになれば地上波放送聴料まれるため2倍近料金になるみだ。結果IPTV利用料くなりすぎると、会問題にもなっている所得格差によるデジタルデバイドがさらに深刻化するのではないかと懸念されている。


 


 


番組プロバイダばさみ


 


 一方、CATVとの競合問題もくすぶっている。現在取りざたされているのは、番組プロバイダCATVとの関係気遣い、コンテンツ同等アクセスの規定があるにもかかわらず、IPTVにコンテンツを提供するのを躊躇っているという問題だ。IPTVはチャンネルを最低50以上確保しないといけないが、CATV衛星放送でチャンネルをしている番組プロバイダ協力なしにめるのは不可能だ。


 


 では全世84%が難視などを理由CATV衛星放送加入している。しかしIPTVまれば、加入者らがより費用でもっとたくさんのチャンネルをできるIPTVえることはけられないと予想されている。CATV当然IPTVにしている。


 


 CATV事業者もデジタル対応め、テレビとインタネットをつなげて地上波放送VOD利用できるようにしている。ユからればIPTVもデジタルCATVじサビスにえる。しかしIPTV国事業で、CATV77地域けて、当地域でしかサビスできないよう規制されている。CATVは、「IPTV特別法CATVすためにできたようなもの」とし、番組プロバイダいのあるCATV裏切ることもできずばさみの状態にある。


 


自前ネットワクでみの気配


 


 


  


われたIPTV展示


 


 


 IPTV事業者間でも、特別法ってあつれきがじそうな気配だ。IPTV特別法では、えばKT加入者SK BroadbandIPTVしたり、ネットワクをたない事業者IPTVビスに参入したりといったことができるよう、気通信設備開放明記している。ところが、KTはこれをれないという発言をやんわりとしている。通信事業者争力投資効率とすことになるというのだ。


 


 現在認可がおりたIPTV事業者KTSK BroadbandLG Dacomの3で、てネットワクを保有している通信会社である。しかし、はもう1自前のネットワクをたずにIPTVのチャンネルサビスだけを提供することをめざした「オプンIPTV」というがあった。KTSK Broadbandなどの回線加入しているユIPTV択権やすという意味期待されていたのだが、ネットワ同等アクセスの不安資金確保問題から、結局法人解散するにった。


 


 政府はネットワクをたなくてもIPTV事業者なれるようにして、インタネットビジネスをより様化活性化させることにある。だが、くも自前のネットワ設備なしではしいということが既成事実化されつつある。


 


 


 


 


■なししの規制緩和対論


 


 特別法きなこしたのは、IPTV事業者になれる企業基準である。放送法施行令では資産総額ウォン企業だけが放送事業者になれるとしているが、IPTV特別法はこれを10ウォンに緩和し、IPTV基準わせて放送法施行令改定しようとしている。


 


 これにしては言論界中心に、大手財閥企業放送まで掌握する可能性があると上限緩和している。特別法制定して規制緩和し、法律をそれにわせて改定するという方法しても、「黙認してはならない」とている。


 


 


■ネットワ品質保証普及狙


 


 法律でも変化があった。安定したIPTVビス提供のため、政府最高100Mbpsするブロドバンドサビスにしては最低保証速度15Mbpsから30Mbps以上げるよう勧告した。事業者らも約款最低実測30Mbps以上速度ない場合利用料すこと、または長期契約した場合でも違約金なしで解約できることを明記する方向いている。


 


 日本では通信回線速度はベストエフォ方式だが、では2002から最低保証速度制度まった。日本NGN次世代ネットワク)があるようにBcNBroadband Convergence Network)とがある。電話・放送・インタネットを統合した広帯域マルチメディアサビスを安心して使える品質保証ネットワクで、有線でも無線でも50Mbps以上速度提供することを目標としている。政府はネットワ高度化への投資促進IPTV普及めるうえで、ネットワ品質保証制度重要えているようだ。


 


 IPTV商用化11月中旬以降にスタトする予定だが、当初くとも10にはまるといわれていた。法律制定から10経過したでもまだありありの状態というわけだ。


 


双方向通信ビス


 


 ただし、聴者にとってはそんな裏側事情はどうでもよく、IPTV加入したらどんなしいサビスをしめるかにしか関心はない。KTSK BroadbandLG Dacomの3もこれは熟知していて、最近IPTV広告面白双方向ビスと操作しやすいリモコンに焦点かれている。


 


 インタネットサビス事業者提携した検索、テレビから帯電話へのショトメッセ送信・交通・ニュ情報提供といったビスやコンテンツはもどんどんえている。IPTV事業者今後5年間のコンテンツ投資規模KT4700ウォン、SK Broadband5000ウォン、LG Dacom2433ウォンと12000ウォン(800億円)をえる規模まれている。


 


 


 


KTのユー参加型コンテンツの画面


 


 


最大手KTは「双方向ドラマ」も


 


 KTUCCUser Created Contents)、ユー投稿型動画利用した芸能人ディション、ユるニュス、マイストなどを放送する「チャンネルU」をめる。提携先番組制作会社オリブナインの協力て、「チャンネルU」で主人公は、俳優やレポとしてデビュできるようバックアップするという。


 


 またIPTVとしてはめて、画制作にもす。双方向ドラマの制作計もあり、リモコンでドラマのBGMしたり、ストー展開結末えられるという。テレビとリモコンを使った検索にもをいれ、ドラマをながら主人公ている衣装購入したり、BGM撮影ロケ地情報検索して関連商品購入したりできるようにするサビスも2009から商用化する。


 


 IPTV使った山間離島地域学校での教育実験ビス「Tスクル」もめる。教育けるチャンスがない過疎地域子供たちにIPTV双方向教育提供する実験で、2009まで1年間予定されている。


 


 ボタンがくてしたらいいのかからないとかったリモコンも改良めている。動作認識採用してリモコンをったままかすだけでメニュできる機能やテレビの画面にカソルを表示してリモコンをマウスのようにかせる機能などをみ、ボタンのらす努力をしている。



 


  


IPTVを使ったEラニング番組画面


 


 


Eニング方式模擬試


 


 SK Broadband双方向教育れている。Eニングサイトと提携して学生向けの模擬試提供している。まった時間にリモコンを利用して問題くと、すぐ採点問題解をしてくれる。


 


 英語字幕字幕なしをできる提供する。SK BroadbandPre-IPTVからディズニ20世紀FOXなどハリウッド7メジャー映画会社地上波放送4番組放映24時間後有料VOD公開放映から7日後再放送VOD無料視)をはじめ430契約し、9万本以上VODコンテンツを確保している。LG Dacomもリモコンでできるオンラインゲム、カラオケ、検索などの有料双方向ビスをめた。


 


 


 


 


収益育成大規模投資


 


 よりもコンテンツが大事といわれけているIPTVだが、予想しなかった問題として最近浮上しているのが、IPTVDRM(デジタル著作権管理)をにするハッキングソフトの流通だ。IPTV提供されている画質VODがコピされP2Pサイトに出回っているという。どんな高度最新技術DRMしても、数日られてしまう。コンテンツをるためにはハッキングとのいも覚悟しなくてはならない。


 


 四方だらけ、からへとちはだかるなか、通信事業者IPTV商用化するため投資しまずんできた理由はただつ。新規加入頭打ち、料金割引競による収益悪化から会社ってくれる新規ビジネスはIPTV以外にないからだ。


 


 LG Dacom200712Pre-IPTVビスをめ、料金割引競しいにもかかわらず200879月期売上高前年同期比178増加している。20089月時点IPTV加入世帯数KT80SK Broadband76LG Dacom4である。国電子通信研究院2012にはIPTV事業者売上高12000ウォン(800億円)をえるだろうと予測している。とはいえ、通信最大手KT資金力武器価格競争仕掛ければ、共倒れになるというリスクはある。


 


 地上波放送のリアルタイム再送信かにキラコンテンツではあるが、それだけにってはずしもIPTV順調離陸するとはらない。テレビれという最近傾向だけでなく、放送局自社ムペジから「On air」サビスとしてテレビと画面をそのままリアルタイムでしているという国独自事情がある。「ダシボギ」という有料VODんで、ほぼすべての番組VOD流通している。


 


 VOD購入してパソコンや帯型端末からたい時間たい場所るというスタイルがえるなか、公正IPTV商用化してほしい。


 



– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
2008年10月30日
 


ネットショッピングで大ブレイク、10万ウォンの組み立てPC [2007年10月10日]


日本に秋葉原があれば韓国には竜山(ヨンサン)がある。秋葉原と竜山は、ほぼ同じ時期に都市再開発によって周辺に超高層ビルが建ち並んだ。竜山には立派な駅ビルがオープンし、デパートや映画館、大型スーパーが入店したのをきっかけに、怪しげな男くさい街から、主婦や家族連れが集まるおしゃれなショッピング街に変わってきた。

 秋葉原がフィギュアやメイドといった「萌え」の世界になりつつあるのに対して、韓国の竜山は依然としてパソコン部品や家電、何に使うのかよく分らない電子部品が山積みにされた小さい店舗が迷路のように続く電化街ブロックや、強引な客引きがまだ残っている。


 竜山は、インターネットがなかった時代には「家電やパソコンを買うなら竜山が一番安い」というイメージがあった。しかし、ネットの時代になってからはちょっと検索しただけで竜山よりも安くて親切で無料配送までしてくれるショッピングモールをいくらでも探せるようになり、竜山の客は減る一方だった。竜山の不親切さは韓国でも有名。値段だけ聞いて買わずに帰る、なんてことをするのはかなりの勇気が必要だ。客引きのときはとっても親切なのに、お店の中に足を踏み入れた途端、監禁されたような気分になるというのが竜山スタイル。もちろん、親切なお店もあるにはあるが、素人にはふっかけて、プロには安くするという、客によって言い値がばらばらな。女性には怖すぎて近づけなかった。


 そんな竜山の部品ショップが不況対策に力を合わせてネットショッピングへ進出している。テレホンショッピングやオークションに10万ウォン台(1万3000~2万6000円)で買える組み立てパソコンを出品し、メーカーパソコンの7分の1から10分の1の値段で買える激安パソコンの流行に火を付けた。これにキーボードとマウス、19インチのLCDモニターを付けても30万ウォン以下(約3万7000円)でフルセットがそろってしまう。





































組み立てパソコン本体のサンプル
CPU AMD SEMPRON 3400 3万ウォン
メモリー SAMSUNG DDR2 1GB 2万3000ウォン
HDD HITACHI SATA2 80GB 3万9000ウォン
マザーボード ECS 761GXM-M 4万ウォン
光学ドライブ SAMSUNG CD-ROM 52倍速 1万3000ウォン
電源 A1 350HW 1万7000ウォン
ケース 3Rシステム K400 1万3000ウォン
合計 17万5000ウォン(日本円で約2万2000円)



夏休みや冬休みの特価セールとして提供した10万ウォン台のパソコンは、インターネットを始めたばかりの子供向けに売れることを予想していた。しかしふたを開けてみると、ショップの会員管理用、銀行の顧客センター用など、パソコンの用途はネット検索と文書作成だけというような企業からの発注の方が多かったという。

 10万ウォン台のパソコン本体が登場してから韓国では、「一体いくらぐらいのパソコンを買えばいいの?」と悩む人が増えている。メーカーのパソコンよりも安いのは確かなのだが、選ぶ部品によって値段がものすごく変わってくるので、素人は何を選べばいいのかまったく見当がつかない。結局は予算に応じてお任せで買ってしまうしかないのだが、そうすると竜山式に騙されるのではないか心配してしまう。


 また一部では「CPU にIntelではなくAMDのものを使うと、パソコンが頻繁にフリーズするから使い物にならない。10万ウォン台のパソコンを買っても、安物買いの銭失いになる」と主張しているが、「このごろのAMDのCPUはかなり改善されたので、パソコンの用途がネット検索や文書の作成ぐらいなら十分使える」とアドバイスする専門家も多い。IntelのCore 2 Duoの値段もかなり安くなってきたので、組み立てパソコンの本体は30万ウォン以下(3万~3万8000円)で立派なものが買える。


 パソコンのことは全然分らないので、ネットで組み立てパソコンを買うのは怖いという人のために、1年間無料の訪問修理サービスを提供するショッピングモールも増えている。激安の組み立てパソコンでも、メモリーを1GBも搭載すればWindows Vistaを十分使えるし、オンラインゲームも楽しめる。近頃、社会的現象にまでなっているUCC(User created contents)や動画投稿を利用するための編集機能、3Dのゲームを使うのは厳しいかもしれないが、家庭やSOHOででネット閲覧、メール、文書作成をする程度の用途なら十分使える。パソコンの知識がなくても知識検索(ユーザー同士が質問して答える検索)を利用してアドバイスを得て、プラモデルをいじるみたいに楽々パソコンを組み立てたという人も増えてきた。


 筆者も知識検索から親切なパソコンオタクたちの協力を得てテレホンショッピングで販売している組み立てパソコンを発注したばかり。動画撮影やオンラインゲームがしたいので最上級のものをピックアップしてみたが、それでも40万ウォン(約5万円)ほどと、三星電子やトライジェムといったメーカーパソコンに比べて30万ウォン近くも安く買えた。竜山のショップですべて組み立ててから出荷されるパソコンで、1年間無料の訪問修理サービス付き、OSもプリインストール、クレジットカードで買うと6カ月間無利子の月賦払いなので、1カ月当たり約8000円ちょっとでパソコンを手に入れた。


 これで家のパソコンはノートパソコンも含めて5台になる。2台は処分したいのだが捨てるのもお金がかかるし、何となくいつかは出番があるのではないかという気がして机の上に置きっぱなしになっているが、毎日たっぷり電磁波を浴びるのも体に悪いし、何とかしないといけないかな~。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年10月10日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20071005/283895/

Yahoo!KoreaがNo1から忘れられたサイトになるまで [2007年10月3日]

韓国初のインターネット検索ポータルサイトとして1997年9月オープンしたYahoo! Koreaがサイト開設から10周年を迎えた。アメリカの進んだ検索サービスを韓国に展開し、訪問者数も圧倒的1位を誇り、人気絶頂のYahoo! Koreaは、1999年には韓国で初めて1日当たり2000万PVを突破。韓国では初となる無料メールサービスや子供向けポータル「Yahooクロギ」を提供した。2003年に開始したYahoo! Blogも韓国初のブログだった。競合ポータルは「Yahoo! で探せなかったらEMPAL」、「外国産Yahoo! をやっつけるDAUM」といった感じで打倒Yahoo! Koreaを前面に打ち出していた。ブラウザーの初期画面は当然ながらYahoo! Koreaだった。

 ところがYahoo! Koreaは、この10年で利用者が激減し、忘れられたポータルとまで言われるほどに落ちぶれてしまった。下り坂となった境目は2001年。訪問者数でみると2001年にDAUMに追い越され、2002年にはNAVERに追い越され、2004年にはCyworldに、2005年にはNATEに越された。1日平均訪問者数も2002年557万人だったのが2004年には362万人、2007年8月には243万人と、全盛期の3分の1以下に減ってしまうほどの凋落ぶり。


 日本でポータルと言えば未だにYahoo! Japanを超えられるサイトはないが、どうして韓国ではパっとしないのか。Yahoo! Koreaは米Yahoo! が管理している。このため、新しいサービスが追加されるのがどうしても遅くなってしまうのが最も大きな弱点だった。毎日のように目まぐるしく変わる韓国のネットトレンドに追いつけなかったのだ。


 無料メールと検索がすべてだった90年代は、韓国でもYahoo! Koreaに勝てるサイトは存在しなかった。しかし、1999年にDAUMとNAVERが登場してから、ポータルの役割は広がり、ニュース、音楽、ゲーム、同好会、ブログ、ブログの発展系のHOMPY、SNS、動画検索、知識検索など、新しいサービスが毎日のように追加された。


 DAUMは誰でも簡単に作れる同好会と大容量のWebメールで1位になったが、その後NAVERがオンラインゲームとブログ、動画検索、知識検索、知識ショッピングなどどんどん新しいコンテンツと検索を開発して不動のナンバー1の地位に上り詰めた。韓国では、ブラウザーの初期画面の74%がNAVERになっていると言われている。


 Yahoo! Koreaは何をするにも米国本社の許可が必要だったため、競合サイトに負けない新サービスが追加されたころには、もうすっかりブームは終わっていたということを何度も経験してきた。米国本社のサービスを韓国にいち早く導入したのはいいが、動画投稿にしてもモバイル検索にしても、時代を先走りすぎてユーザーが追いつけず、後からほかのポータルが真似たサービスを打ち出してヒットさせる、というもったいないこともよくあった。検索結果もNAVERやGoogleに比べるとパっとしないYahoo! Koreaを利用する人は当然のように減るばかり。


 しかし今では本社とのコミュニケーション方法が変わり、韓国法人が80%ほど決定権を持つようになった。今、Yahoo! Koreaでそこそこ人気があるのはユーザー投稿型の地域情報。ミスコンのように女子大生をキャンペーンガール(Yahooガールズ)に選び、TV番組とタイアップしたり、Yahooガールズがお薦めするスポットやショップなどをまとめた単行本を出したりしている。検索とYahoo! Koreaだけの口コミ情報が上手く噛み合い、NAVERよりも優れたコンテンツとして認められている。このサービスは韓国法人のアイデアで2004年に導入された。その後、ドイツやイギリスでも導入されて、人気のコーナーになったという。


 これをきっかけにYahoo! Koreaは、ネット大国で、変化の激しい韓国をテスト市場にしては、最先端ネットサービスの動向とアイデアを全世界のYahoo! に向けて発信する役割もしている。代表的なのがYahoo! Answersだ。韓国で2001年からブームになったNAVERの知識検索を応用したサービスで、Yahoo! Koreaが提案し、全世界のYahoo! でサービスが提供されるようになった。


 Yahoo! Koreaは韓国の今を築き上げた張本人でもある。ポータルやインターネットサービスも立派な産業であるということを認識させ、DAUMやNAVERをはじめとするオンラインゲームサイトがどんどん成長できる環境を作った。NAVERの役員らも「インターネット業界に人材とお金が集まるようになったのはYahoo! Koreaが早期からがんばってくれたお陰」と感謝していた。それを証明するかのように、韓国のIT業界にはYahoo! Korea出身のCEOが実に多い。ITマーケティング関係者の間ではYahoo! にいるとスカウトの依頼がよく来るので「中途採用でYahoo! Koreaに入社すると必ず出世する」という伝説があるほど。最大のライバルとも言えるNAVERのチェ・フィヨンCEOは、Yahoo! Koreaのオンラインニュースサービスの企画担当者だった人。オンラインゲーム市場で勢力を拡大しているCJインターネットのCEOもYahoo! Koreaの役員だった。Yahoo! Koreaの元社長らも、三星電子の専務や財閥グループの副社長にスカウトされている。サイトの人気は落ちてもYahoo! Korea出身人材に対する人気は落ちていない。


 Yahoo! Koreaは10年前の初心に戻り、ブラウザーの初期画面にしたくなるポータルにもう一度なることを目指すと宣言した。これからも韓国インターネット産業の先輩として、もう一花咲かせてほしいものだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
 2007年10月3日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20071003/283689/

韓国のネット事情 「.tv」ドメインの申請急増(2007年10月1日 掲載)

のネット事情 「.tv」ドメインの申請急


 


 


URLで判別できる”が要因に


投稿サイトの人が後押し


 


 


【ソウル】韓2006年夏から大ブムとなっているUCC(User Created Contents)動投稿サイト。歌ったり踊ったりする動から社系動、政治連動に至るまで、個人が投稿した動を鑑賞するのが日常のしみとなってきた。代表的なサイトとしてPANDORA.TV、MNCAST、AFREECAなどがある。この手のサイトはすべてドメインを「.tv」にし、URLだけで動サイトと分かる印象的なサイトにしようと、新規動サイトが相次いで「.tv」ドメインを申請している。


 


 07年1月から7月末までの韓企業の「.tv」ドメイン申請件1460件で、前年同期の483件に比べ3倍にも加している。動投稿サイトに限らずeラニングやショッピングサイトも動を利用していることから「.tv」ドメインを申請するケスがえている。通常の.comや.co.krの年間ドメイン登費用は2-3万ウォンほどだが、「.tv」ドメインの年間登費用は約6万ウォンと2倍に跳ね上がる。それでもえやすいドメインを選するため「.tv」を選する企業はえていて、ドメイン管理業者のベリサインの統計によると、「.tv」の登延長率は07年1月時点で約70%となっており、.comや.netに比べ10%ほど高いそうだ。


 


 「.tv」は太平洋の島トゥバルに割りてられたドメインだ。韓kr、日本jp、中cnといった家別ドメインの一つで、米のドットティポレションが00年に5000万ドルで所有を獲得した。時は全世界の放送局から申請が殺到すると予想されていたが、はそれほど人はなかった。


 


 それが今になって注目されている理由は「TV=動サイト」というインパクトもあるが、動投稿サイトのビジネスモデルがそれなりの益をあげているためでもある。


 


 入や連動の個人間買斡旋といったポタルやeラニングサイトに似たようなビジネスモデルが動投稿サイトでも定着しつつある。


 


 日本では面白いけれど益にならないのが動投稿と思われているが、韓では個人が製作した動を利用したサビスはビジネスの可能性が高いとみられている。


 


 韓YouTubeともいわれている最大手のPANDORA.TVはデタセンタを日本に移し、世界に向けサビスするとも表した。オンラインゲムにく韓国発世界のインタネットビジネスとして動投稿サイトが成長するのではないかと期待されている。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


 


 BCN This Week 2007年10月1日 vol.1205 載] Link


 

韓国のIT貿易事情 パネル輸出が史上最高を更新(2007年9月24日 掲載)

IT貿易事情 パネル輸出が史上最高を更新


 


 核になる材料の海外依存が課題


 


  


【ソウル】韓の産業資源部(日本の経済産業省に該)の表によると、8月の輸出は好調がき、19か月連2ケタの加率をみせた。8月の輸出は312億3000万ドルで前年同月より14.4%えた。輸入は9.8%296億9000万ドルだった。輸出が好調な主な原因は自動車、一般機械、鋼など主力輸出品目が順調だったためだ。


 


 8月のIT輸出は13.6%111億4000万ドル、2006年11月の108億8000万ドルを9か月ぶりに更新し、最高記を塗り替えた。8月は休暇が多いオフシズンであることを勘案すれば、IT輸出が上半期の調傾向から下半期に回復傾向へとじたのは間違いないと情報通信部は解している。


 


 IT品目のなかでは、特に液晶を中心とするディスプレイの輸出が注目されている。パネル輸出は格下落傾向が落ち着いているなか、下半期特需を狙ったTV用パネルの注文が加、ワイドモニタ用パネルが成長を遂げていることから前年比31.5%20億7000万ドルを記、初めて20億ドルを突破した。パネルの輸出好調とともにモニタの輸出も前年比26.1%6億6000万ドルを記07年4月以降、加傾向にある。


 


 市場調査機のディスプレチ社によると、三星電子は4-6月期におけるワイド液晶のり上げ績が約38億ドルで、四半期ベスで8期連1位を占めた。 LGフィリップスLCDは4-6月期にワイド液晶を1984万台出荷、4期けて1位となった。これで三星電子は世界市場で8期連上高1位を、LGフィリップスLCDは4期連で出荷量1位を記したことになる。


 


 最の技術力を備えた韓のディスプレイ産業だが、液晶部門は04年以後大規模設備投資に伴う供給過により、益構造は化している。プラズマディスプレイパネル部門も競による格下落で赤字をけ出せずにいる。生産設備の産化率は50%、部品材料の産化率は66%といわれているが、中核の設備や材料の海外依存度を勘案すると産化率は30%を若干越える程度ではないだろうかといわれている。


 


 カラフィルタ材料、ガラス基盤など中核となる材料は日本、米、ドイツが占している態で、ディスプレイ最強国として成長をけるためにはパネルと設備と材料のすべてが循環する産業の輪を作らなければならない。韓産業資源部は設備、材料の海外依存度はディスプレイ産業の根本的な競力を阻害する要因であると認めている。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)



BCN This Week 2007年9月24日 vol.1204 載]  Link 

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>16.今回のテーマ■フォント開発(上)

自のフォント開がブム ブログの流行が後押し


  


 


 韓10月9日は「ハングルの日」だ。その昔、文字は漢字だけで、貴族しかみ書きできないことを不憫に思い、平民も文字のみ書きができるようにしたいと、李氏朝鮮時代4代目の王「世宗大王(セジョンデワン)」によって1443年に創製されたのが訓民正音(フンミンジョンウム)。これは母音10字、子音14字で構成されており、一字一音素の音素文字だから、外語も本音に近く表記できる。この訓民正音の現代的名が、ハングルなのである。



 ハングルのフォントは1995年、Windowsが
く使われるようになってからWebでも文書でもマイクロソフトが開したGulim、Dotumフォントが使われている。しかし、これはハングルが持つ文字の美しさを表現できないだけでなく、非常に目が疲れるフォントだそうだ。そのせいか、韓のポタルサイトや新聞社のネット版では、文字をよりみやすいように工夫された自のフォントを開し、無償で提供している。


 


 サイトにアクセスするだけで、自に開されたフォントで表示される。新聞社のサイトは文字のサイズによって自動的に最もみやすいフォントにわるよう設定されている。分量の長い特集記事だとどうしても紙にプリントしたほうがみやすかったが、フォント開が始まってからは面上に文字が鮮明に見えるので、みやすくなりプリンタの使用が減った。フォント開は資源保護にもつながるというわけか。添付画像


 


 ソシャルネットワクサイトやブログの流行もフォント開を煽っている。個性をアピルするため、BGMや背景面、さまざまな飾りつけアイテムの一つとして特なフォントを使いたがる人がえてきたからだ。最近のブログを見ると、みやすいフォントもある一方で筆な手書きのようなものもある。何が書いてあるのかまったく理解できない暗のようなフォントもあったりする。


 


 韓最大のポタルサイトであるNAVERはWeb面をみやすくするというナヌムゴシック体とナヌム明朝体の二つのフォントをネットで無償提供している。NAVERはフォントを一つ作るのに1億円はかかったとしながらも、Webの展のため今後4年ほどかけて多なハングルフォントを開していきたいとしている。

(趙
章恩●取材/文)


 


 


 BCN This Week 2008年10月27日 vol.1257 載]  Link


 


「おまけ」に弱い韓国ユーザー(下) [2007年10月24日]

韓国のオンラインショッピングや量販店、ディスカウントショップのパソコン売場に行くと、ノートパソコン単体で販売するのはあまり目にしない。日本ではほとんどがオプションになっている、専用バッグ、マウス、キーボード、液晶保護シールなどをセットにした「パッケージ」として販売されている。

 ウォン高の影響から東芝や富士通のノートパソコンが三星電子やLG電子よりも安く買えるようになってからは、韓国メーカーはますますパッケージ販売に精を出している。パッケージにしてしまえばパソコンの値段に少しプラスするだけで周辺機器が付いてくるのでお得感があるからだ。2007年に入ってからは、ノートパソコンをデスクトップのモニターのように使える設置台と無線キーボード、マウスをパッケージにしたり、デジカメやUSBメモリー、ナビゲーション、複合機までもパッケージにしたりして売り出している。


 韓国ではパソコンに限らず、何にでも「おまけ」が付かないと売れない。


 雑誌の付録が豪華なのは周知の通り。女性ファッション誌には毎月、化粧品やポーチ、醤油、お酢、タオル、ネックレスなど「こんな物までくれるのか!」というほど付録が付いてくる。本屋さんの入口にはその月の雑誌付録が雑誌よりも前面にディスプレイされ、「今月は何をもらおうかな~」と付録を見て雑誌を選ぶ。


 スーパーに行けば加工食品や調味料、洗剤、シャンプーといった生活用品にも新製品のサンプルや自社製品のミニチュアがおまけとしてガムテープでぐるぐる巻きにしてある。今日なんて、牛乳やヨーグルトに本体とは違う味のミニチュア版が、オレンジジュースにはウェットティッシュが、インスタントコーヒーにはガラスの小皿4枚が付いていた。洗濯機にはミキサーが、テレビには食器洗い機がおまけとして付いてくる。「どうせならおまけが付いている方を選んでしまおう」というのは、子供や主婦に限った話しではないようだ。


 どこよりもパッケージ販売に積極的なのは三星電子だ。2004年から、カルティエに似たゴージャスなデザインが売りの革製品ファッションブランド「ルイカトズ」と提携している。ルイカトズは、三星電子のノートパソコンを購入した人だけが買える専用バッグを発売している。豊富なカラーとデザインを備えたノートパソコンやUMPCの専用バッグをパッケージで販売して女性ユーザーから大好評を得ている。バッグとノートパソコンが登場するファッションショーまで開催したほどだ。


 ちなみにノートパソコンの外観の色は、以前はシンプルなブラックやシルバーが主流だったが、最近は光沢のあるワインカラーやラメ入り、イラスト入りなどが登場して大学生や女性に大人気。メガネをかけてキャリアウーマンっぽく自分を演出するように、おしゃれの一部としておしゃれな外観のノートパソコンを、カラフルな専用バッグに入れて持ち歩く傾向も見られる。




 ノートパソコンの販売台数が増えてから、ノートパソコンを持ち歩かずにデスクトップの代わりに使っているユーザー用に、バッグの代わりに周辺機器が付いてくるパッケージが増えてきた。何よりも人気なのはノートパソコンを縦に立ててモニターのように使うための、設置台の機能を兼ねる発熱抑止用クーリングスタンドと、無線ルーターがセットになったパッケージだ。


 東芝は90万ウォン前後(約12万円)のノートパソコンを購入すると無線ルーターと、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスをパッケージで提供し、大ヒットを記録した。富士通は同じ値段でマイクロソフトのワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスと設置台を、LG電子は設置台型のドッキングステーションを提供して売り上げを伸ばした。


 オンラインショッピングモールの担当者の話によると、「パッケージの構成によって、同じ値段で同じモデルのノートでも売り上げに20%ほども差が生じる」と口をそろえる。新しいデザインのノートパソコンを次々と発売している三星電子は「パソコンの性能はどこも似たり寄ったりなので、これからはどんなアクセサリーをパッケージにするか、イラストやカラーといったデザインをどのようにするか、といったことが売り上げを左右するのではないか」と予想した。




 パッケージの他にも、パソコンメーカーとその他企業がタッグを組んだ共同の販促も増えている。例えば2007年10月からは三星電子と移動通信キャリアのSKT、インテルの3社による共同マーケティングが始まった。SKTの下り7.2MbpsのHSDPAサービスに三星電子の量販店で加入すると、モバイルWiMaxの一部である高速無線通信技術「Wibro」とHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)の両方が使える約2万円相当のUSB型モデムを無料でもらえる。また、WibroとHSDPAを使えるモデムが内蔵された三星電子のノートパソコンを三星電子の量販店で購入すると、8万ウォンが現金でキャッシュバッグされるというものだ。


 ネットのノートパソコン同好会やショッピングモールのコミュニティには、パッケージ販売に含まれるアクセサリーの値段を調べて、どのブランドがどれぐらいお得なのかを分析して価格比較表を掲載するユーザーもいる。ノートパソコンのように高い買い物は細かく比べて買うのはもっともなこと。だが、思い切って一目で気に入ったものを買うのが意外といい買い物だったりもする。韓国製のノートパソコンは日本でも問題なく使えるので、韓国のお土産にブランドバッグ付き韓国語OSのノートパソコン、なんていうのも悪くないかもよ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年10月24日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20071017/284773/

ウォン高?個人主義?ノートPCの需要が急増(上) [2007年10月17日]

今回は、今週と来週の2回にわたり、韓国のノートパソコン事情をご紹介しよう。

 韓国では首都圏に人口の2分の1が住んでいるが、一戸建てよりも4人家族を基準に平均42坪4LDKほどの高層マンションを好む傾向が強い。この広々とした住居環境のおかげで置く場所に困らないことや、オンラインゲームやEラーニングを使う子供のために高性能なパソコンが必要になることから、小さいノートパソコンよりは22~24型の大型LCDモニターが付いたデスクトップパソコンを購入する人が圧倒的に多かった。しかも、全国郵便局や市役所、区役所など街中に無料でインターネットを使えるパソコンがある。日本のように、ノートパソコンを持ち歩きながら無線LANを使ってインターネットにアクセスする、なんて光景にはあまり目にかかることがなかった。


 韓国でノートパソコンは高級品で、経済的にゆとりがある人でないと手が出せなかった。同じ仕様のノートパソコンなら日本で買ったほうが3~4割ほど安いため、安いパックツアーで福岡や大阪、東京へノートパソコンを買いに行く人も少なくない。日本で買ってきたノートパソコンのOSを韓国語のものに入れ替え、電気街の竜山で流通されている。例えば日本でヒューレット・パッカード(HP)が発売している約7万5000円のモデルとほぼ同じ仕様で、しかも同じメーカーのHPから発売されているノートパソコンなのに、韓国では1万5000円ほど高く販売されていた。


 それが2006年あたりから、デスクトップとノートパソコンの販売割合の差がだいぶ縮まってきた。ウォン高の影響で日本製ノートパソコンの値段が安くなり、それに伴い韓国メーカーも値下げを行っていることや、デスクトップと比べてそん色ない機能、性能向上などが影響したことが背景にある。2006年からは100万ウォン(約13万円)以下でも買えるノートパソコンが登場。今なら、15型液晶、Core Duo T2350、メモリー512MB、HDD 80GBという程度の仕様の韓国の中小メーカーが発売するノートパソコンなら8万円以下で買えてしまう。しかし、それでもまだデスクトップとの価格差は3~4倍もある。


 ただし、ノートパソコンが売れるようになったのは、安価になってきたからというだけではなく、ユーザーの使い方が変わってきたからかもしれないと考えている。


 韓国のネットユーザーはオンラインゲームばかりしているようなイメージが強いが、近ごろはそうでもない。各種アンケート調査によると、大学生や一人暮らしのサラリーマンの間では、テレビ、DVDプレーヤー、オーディオ、固定電話などは一切買わず、代わりに小型ノートパソコンを1台購入するだけで済ませているという人が多くなっているという。PDAやPMP(Portable Multimedia Player)、携帯型ゲーム機の代わりに、その小型ノートパソコンに、動画やFlashで作られたゲームをダウンロードしておいて、出勤時間に電車の中で利用する人が増えているというのだ。


 大学でもそうだ。Eラーニングを受講するという目的もあるが、紙のノートではなくノートパソコンに講義内容を筆記したり、教授の授業内容をデジカメで画撮影してノートパソコンに保存し、何度も繰り返し見ながら試験勉強をしたりと、就職難により大学での成績が書類選考の重要な判断材料となっている競争社会で生き残るための道具としてうまく活用されている。

調査会社の韓国IDCの資料によると、韓国内でのノートパソコンの販売量は2006年末時点で116万8000台(デスクトップは313万9000台)。2005年の89万7000台より29.9%も増加し、初めて100万台を突破した。2006年10~12月のノートパソコン販売量は28万台で、個人向けパソコン販売量105万3000台のうち、26.6%を占めた。2006年の年間パソコン販売量から見ると、ノートパソコンのシェアは27.1%で、2005年の23.9%より3.2%増加した数字となっている。2011年にはノートパソコンが194万台、デスクトップが331万台販売され、ノートパソコンがパソコン販売全体の37%を占めると予想されている。売り上げベースではデスクトップ本体2兆3000億ウォンにせまる2兆2000億ウォンに成長すると見込まれている。

 一方、同じIDCの資料でメーカー別のシェアを見ると、人気があるのは12型液晶を備える小型のノートパソコン。中国産や東芝など安さを武器にしているメーカーもよく売れてはいるが、アフターサービスやパッケージ販売による効果の大きさから、三星電子の「SENSE」シリーズとLG電子の「Xノート」シリーズの占める割合が大きく、2社のシェアは2007年1~3月が46.3%、4~6月が60.6%と大幅に増えている。(「パッケージ販売」については次回紹介)


 7型ディスプレイ以下のUMPC(Ultra Mobile PC)も徐々に売れてきている。三星電子のWindows Vista搭載、最大8時間30分まで連続使用できる「Q1ウルトラ」は、月に2000台ほど売れるベストセラーになった。これは予想をはるかに超える売れ行きだという。「Q1ウルトラ」は、CPUの動作クロックが800MHz、液晶の解像度が1024×600、メモリー1GB、HDD 60GBなどの性能を誇っており“第2世代のUMPC”と宣伝している。









三星電子の「Q1ウルトラ」

 パソコンメーカーはそれぞれ2007年下半期からは高級仕様のノートパソコンをより安く販売するという戦略を打ち出している。プラットフォームにCentrino Duo(開発コード名Santa Rosa)を搭載し、液晶は横長12型。それに、既存DVDの2倍ほど鮮明に再生できるHD-DVD、地上波DMB(韓国式ワンセグ)受信機能、重さ1Kg程度、バッテリー駆動時間が12時間以上といった、AV機能が強化され、携帯性に優れた機種が、17万円前後で販売されている。


 とまあ、韓国ではノートパソコンが絶好調なわけだが、次回は、三星電子とLG電子が12型ノートで大きくシェアを稼いだ仕掛けである「パッケージ販売」を紹介する。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年10月17日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20071016/284735/

韓国の大学生の15.7%が「悪プル」を残した経験あり、その対処方法は [2008年10月22日]

この頃、韓国ではまたネットでの悪質なコメントの書き込みに耐え切れず、芸能人が自殺する事件が続いた。悪プル(悪質なコメント)は主にインターネットポータルサイトのニュースコーナーに掲載される記事の下に付けられる。1カ月300億ページビューを超えるインターネットポータルサイトには全国の新聞と放送局のニュースが提供され、全ての記事の下にはコメントを付けられるようになっている。コメントを書き込むにはもちろん実名で会員登録をしないといけないが、画面には実名ではなくIDで表示されるため、ユーザー同士においては匿名と変わらない。

 実名で会員登録までして、他人を攻撃する悪質な書き込みを書きたくなるだろうか。ある就職サイトが大学生1476人を対象にアンケート調査した結果によると、15.7%が悪プルを書いたことがあると答えた。その理由は40.7%が「深刻な問題になるとは思わなかったから」、35.9%が「実名で会員登録してもIDでコメントを残せるので匿名性が守られるから」。3%が「面白いから」と答えた。


 性別では男性の23.2%、女性の8.8%が経験ありということで、男性の方が他人を攻撃する書き込みを残しているという調査結果となった。悪プルへの対処方法としては、47.1%が処罰は規制よりインターネット内での自浄が大事と答え、18.8%は実名制度を強化するべき、13.5%は強力な処罰をするべきと答えた。その他には悪プルを残さないようにする個人の努力が大事、インターネット利用教育実施、正しいインターネット文化定着のためのキャンペーン実施などの答えがあった。


 一方で「芸能人の相次ぐ自殺の原因は悪プルにある」という質問には90%がそうだと答えていることから、他人の悪プルは問題でも自分の悪プルは問題にならないと考える面もあるようだ。

韓国のオンラインコミュニティサイトやポータルサイトでは、悪プルの逆「善プル」を書き込もうというキャンペーンが行われている。他人を攻撃する書き込みではなく、励まし、褒めあうコメントを残しましょうというキャンペーンだが、幼稚園で教えるようなことを大々的にキャンペーンしなければならないほど、ネット文化が廃退してしまったのかと思うと悲しくなる。


 韓国ではネット人口の裾(すそ)が広がったことから、小学生による悪プル問題も深刻な状態である。悪プルを数万件も書き込んだ人を警察のサイバー捜査隊が追跡して捕まえてみたら小学校3年生だったとか、小学校の夏休み、冬休みの間は悪プルの数が10倍以上増えるとか、子供たちが大人の真似をして、何の罪悪感もなく悪プルを書き込んでいるのが社会問題でもある。


 小学生向けのネチケット教育や善プルキャンペーンはもう何年も前から大々的に行われているが、効果はそれほど高くないようだ。日本でもプロフや学校裏サイトなど、小中学生が被害者でもあり加害者でもあるネット問題が起きていて、芸能人の自殺はなくても高校生がネットでの悪質な書き込みに耐え切れず自殺する事件は起きている。どうすればネットを平和に維持できるのだろうか。


 韓国では悪プルや名誉毀損と思われる書き込みを見つけるとポータル側に簡単に届け出ができる。ポータル側は届け出があったコメントや書き込みはまずブラインドにして見えなくし、内部審議によって削除している。情報通信網法により、「情報の削除要請があったにも関わらず権利の侵害を判断するのが難しく利害当事者の争いが予想される場合は、該当情報に対するアクセスを臨時的に遮断する処置ができる」とされているからだ。


 コメントの場合は、削除されて当然としか思えない誹謗中傷の内容がほとんどなので特に問題になることはないが、ブログやコミュニティの書き込みとなると判断は難しく、届け出があったとはいえポータル側が勝手に判断して掲示物を削除していいのかと反論する人も後を絶たない。ポータル側も判断が難しい内容については政府省庁の放送通信委員会に問い合わせをするが、上半期だけで5万件近い届け出があっただけに、手に負えずどんどん削除するしかないのが現実だ。


 しかし、同じような内容でもポータルサイト1位のNAVERは積極的に削除するが、2位のDAUMはあまり削除しないといった差もある。書き込みが明白に誰かを攻撃する内容であっても、法律機関でもないポータル側が削除すべき内容と判断していいのだろうかという疑問もある。ここで必ず登場するのが「表現の自由」だ。


 これは今制定されようとしている「サイバー侮辱罪」にもつながることだ。今までは親告罪だった悪プルや名誉毀損に当たる書き込みを、警察や検察が非親告罪で捜査できるようにするという法律だが、何を根拠にして侮辱かどうかを決めるのか、本当に客観的に判断できるのか、政府の痛いところを突いただけで侮辱罪で逮捕されるのではないか、色んな疑問が解決されないまま法律だけが制定されようとしている。


 ネットは韓国人にとってとても重要な情報源であり、コミュニケーション手段でもある。韓国政府機関の調査でも、10~30代は既存のマスコミよりネットに掲載される情報を信用すると答えた人の方が多い。悪プルが問題ではあるが、ニュースコーナーのコメントを利用してニュースの裏側を伝える人もいるし、記者に反論したり答えたり、討論が繰り広げられることもある。コメントの書き込みそのものを禁止するようなことにならず、悪プルだけ防止するには、時間がかかっても自浄されるまで待つしかないのだろうか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年10月22日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20081022/1009013/

韓国 三星電子の携帯電話 ギネスブックに掲載(2007年10月8日 掲載)

薄さとで世界一を


 


  


【ソウル】三星電子の携電話端末プレミアムラインアップ「ウルトラエディション5.9」「ウルトラエディション8.4」「1000素カメラ付き携」の3種が、2008年版ギネスブックに新しく載された。



 079月に
行された「2008年版ギネスブック」に、世界で最も薄い携電話(world slimmest phone)部門に5.9mmの極薄端末「ウルトラエディション5.9」(SGHU100)が載った。三星電子を代表する機種でもある極薄端末の「ウルトラエディション5.9」は高素カメラとBluetoothなど先端機能をすべて搭載しながら、ハドウェア設計技術である「SSMT」を使して5.9mmという驚くべき薄さを現した。携電話端末の素材にはマグネシウムとガラス化プラスチックを使い、薄くても丈夫なところが特長だ。ギネスブックは製品の薄さを調するために物と同じ厚さの側面写真載した。


 


 これとともに「1000素カメラ付き携」(SCHB600)が世界最高素携電話部門に、「ウルトラエディション8.4」(SGHZ370)が世界で最も薄い3G電話にそれぞれ載された。


 


 三星電子の携電話端末は以前にもギネスブックに載ったことがある。99年に開された世界初のモバイルテレビ付き携電話(SCHM220)は01年の世界最小テレビ携電話部門に選ばれ、ギネスブックに紹介された。これを含めると三星電子の携電話端末は合計4種がギネスブックに登載されている。


 


 三星電子の係者は「極薄デザインや高素カメラフォンは、世界の携電話業界のメガトレンドである」としたうえで、「薄さを競う部門で三星の携電話端末がギネスブックに記されたのは世界携電話市場のトレンドを主導する社の技術が優れていることの証しである」と、嬉しさをせない子である。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2007年10月8 vol.1206 載]  Link