動画大国・韓国で急務のユニバーサルデザイン対応

韓国では今年4月、障害を持つ人もウェブサイトを平等に利用できるよう、公共機関や企業のサイトにユニバーサルデザイン対応を義務付ける法律が施行された。様々なランキングで「韓国の電子行政・電子政府は世界一」との評価を受けているが、ユニバーサルデザインへの対応は後れていた。法律の施行後、福祉団体などからは堰を切ったように使いやすいサイト作りについての要望が寄せられている。(IT先進国・韓国の素顔)



■ユニバーサル対応が後れていた韓国のサイト


 この法律は障害を持つ人が日常で差別を受けていると感じないようにするためのもので、情報化に関する規定が盛り込まれている。公共機関、医療機関、福祉施設、従業員300人以上の企業のウェブサイトは2009年4月までに、そのほかのサイトは5年以内に、ユニバーサルデザインによるアクセシビリティーを順守するよう義務付けている。違反行為があった場合、3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金が科される厳しいものだ。


 現在の韓国のサイトはフラッシュや画像がふんだんに使われている。フラッシュや画像などはテキストで説明を入れられる仕様になっているが、ほとんどのサイトは手間がかかることを理由に省略しているため、読み上げソフトが役に立たない。


 法律が施行されて以降、画像ファイルを分析して音声で読み上げるというソフトも発売されたが、サイトの制作時点でウェブの標準が守られていないため大半の画像はまだ読むことができない。結果として、目が不自由な人がインターネットショッピングや検索をすることは夢のまた夢といった状況になっている。


 また韓国ではウェブの機能を付加する「ActiveX」対応のサイトが多く、いまだに特定のプログラムをインストールしないとトップページが利用できないというケースが多い。インターネットバンキングや動画サイトで特に多く実装されており、目が不自由な人にとってはやっかいな存在だ。








放送局MBCの視覚障害者用ページ。音声で読み上げられるように配慮されているが、コンテンツは減っている


 一部公共サイトでは視覚障害を持った人用、聴覚障害を持った人用のサイトを別途制作しているが、これも元のサイトにあった内容がほとんど省略されていたり、3~4年以上アップデートもなく放置されていたりするサイトが多い。


 北京五輪の間、放送局は韓国選手の全競技をネットで再放送し、競技場の外の様子を取材した特別番組をネットで流して盛り上げた。ポータルサイトも通信会社も、サポーターとして選ばれた大学生たちにカメラを持たせ、動画を投稿させた。ブロードバンド大国らしく、ネットで動画を見るのも投稿するのも大好きだ。しかし、目が不自由な人のためにコンテンツを音声認識で読み上げられるようにしたり、音声を字幕にしたりと配慮したものはごく一部にすぎなかった。



■電子政府は1位でもアクセシビリティーの評価は低い

 韓国の行政の情報化は以前から高い評価を得ている。韓国の電子政府への取り組みは、欧米の研究機関が発表する世界電子政府ランキングで2008年も1位を獲得した。しかし国民の誰もが利用できるようになっているかという評価項目は点数が低い。米ブラウン大学の2007年の電子政府調査では、韓国は総合評価では1位だが、アクセシビリティーの順守率は0%という極端な結果だった。







 アクセシビリティーの国際規格にはウェブの標準化団体であるW3Cが定めた「WCAG 1.0」があるが、韓国でもこれを参考にして2005年10月から、「KWCAG 1.0(Korean Web Contents Accessibility Guideline 1.0)」が国家標準として指定されている。ウェブ構築に関わる人たちが標準を守ろうと活発にフォーラムを結成したり情報交換したりしているので、アクセシビリティー問題も早晩落ち着くだろう。


■IPTVも新法に対応

 テレビ放送もアクセシビリティーの側面から変化している。放送局4社は2012年までに地上波放送の90%以上を字幕放送にすると発表した。地上波放送のリアルタイム再送信ができるようになったIPTVも新法の施行後、誰でも利用できるサービスにするため、使いやすいリモコンの開発を急いでいる。IPTVや地上波デジタル放送に関しては、デジタルデバイド解消のための受信機の普及も重要だが、誰でもアクセスできるような画面、利用方法が大前提になるからだ。


 見やすく分かりやすく、誰でも見たいコンテンツにすぐたどり着ける画面構成にするほか、ニュース報道や選挙関連の放送に関しては、字幕や音声での画面解説を選択できるようにし、災害時に目や耳が不自由な人が利用できることを条件としている。


 IPTV向けのリモコンは機能が多すぎて、情報端末に慣れている若い人でさえ使い方が把握しにくいといわれていたため、単純な機能で誰でも簡単に利用できるものも開発されている。リモコンをマウスのように動かしてテレビ画面に映し出されたメニューを選択できるタイプも登場した。



■韓国の変化の第一歩


 政府は音声バーコードをどんどん導入している。日本のQRコードのようなものをウェブ画面や行政書類、医薬品に付け、専用の端末にかざすと音声で書類の内容や医薬品情報を読み上げてくれるというものだ。今のところはバーコードに600字まで情報を書き込めるようになっていて、視覚障害を持つ人を対象に専用端末の購入費約70万ウォンの80%を政府が補助している。


 音声認識にこだわる理由は、視覚障害を持つ人で点字を判読できる人が2.4%と少ないという現実にある。事故や病気などで後天的に失明した人の場合、点字を勉強するのにとても時間がかかるからだ。携帯電話の場合はSMS(ショートメッセージ)やコンテンツの中身を音声で読み上げてくれるサービスが定着している。


 韓国では障害を持つ人や低所得家庭には携帯電話加入料やテレビ受信料の免除、電気代や鉄道料金の割引などの制度がある(割引率は障害の重度やどのような障害なのかによって違う)。もちろんこうした制度も大切だが、そもそも障害の有無に関係なく平等に暮らせるための環境整備も重要のはずだ。ウェブのアクセシビリティーを真剣に考えるようになったことは、韓国にとって大きな変化の一歩といえるかもしれない。

– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
2008年9月2日


「3アウトでサイト封鎖」韓国に吹き荒れるネット規制旋風



 韓国では、米国産牛肉の輸入再開をめぐる抗議デモの拡大を契機に、インターネットの規制を強化するための法改正や新法の検討が次々に進んでいる。その多くは表現の自由にかかわりかねない内容だけに、ネット業界やネットユーザーに「過去への逆戻りか」と危機感が広がっている。

■規制強化はポータルサイトへの報復か


 国家安全とセキュリティーを担当する行政安全部、インターネット政策を担当する放送通信委員会、コンテンツ産業と著作権を担当する文化体育観光部などが6月以降、相次いで新しいネット規制法案を発表した。内容は、インターネット上の情報保護を目的とした総合対策法案、ポータルサイトを言論として規制する新聞法改正案、違法コピーファイルの掲載で3回以上の処分を受けたサイトを強制閉鎖できる「スリーアウト制度」を導入する著作権法改正案、名誉毀損や虚偽の事実への対応を強化するサイバー侮辱罪など。これらはいずれも表現の自由より規制の強化を優先したと受け取れる内容となっている。









 行政機関がこのように一致団結してインターネットを規制しようとしているのは、米国産牛肉問題でデモに参加するよう扇動するような書き込みを自由にさせていたポータルサイトへの仕返しではないかと受け止める人が少なくない。ネットの書き込みで政府批判に火がつき、輸入反対集会が反政府集会に拡大して大統領の支持率まで下落したことと、今回のネット規制が無関係とは誰が見ても考えにくいだろう。


 例えば新聞法改正案では、ポータルサイトがトップ画面で50%以上の割合でニュースを掲載している場合は言論機関としての義務と責任を負うことになる。逆にそれが50%未満の場合は、サイト内でニュースはおろか検索やコメント機能も提供できなくなる。つまりポータルサイトが今までどおりニュースを提供して多くの読者のコメントを集めるには、初期画面に50%以上ニュースを掲載し、新聞法の規制を受け入れるしかない。事業者にとって選択の余地がない厳しい改正案である。


■著作権法の罰則をさらに強化

 7月16日に文化体育観光部がまとめた改正著作権法案では、スリーアウト制度の条項をめぐってインターネットサービス業界との間で対立が起きている。


政府の説明によれば、今回の著作権法改正は既存の著作権法にコンピュータープログラム保護法を吸収し、著作権委員会とコンピュータープログラム保護委員会を統合して韓国著作権委員会を設立することが主な目的とされている。しかし昨年の改正で罰則規定が強化されたばかりにもかかわらず、今回さらに罰則を強化しようとしており、政府の説明を言い分どおりに受け止める人は少ない。







 現行の著作権法では、違法コピーファイルを掲載すると5年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金が科される。改正法案では、さらに、繰り返し違法ファイルを転送・登録する利用者に対する利用停止及び解約、違法ファイルを掲載するサービス提供者(P2P、ストレージサービス、ポータルサイトなど)のアクセス遮断などの罰則が盛り込まれた。ユーザーが著作権侵害にあたるファイルの転送や流通の中止命令に従わない場合、行政機関はユーザーのID停止または解約をサービス提供者に命じ、これに従わない場合は罰金が科される。


 文化体育観光部の調査によると、インターネット上の違法コピーファイル流通による著作権侵害は、全著作権侵害の94.5%、映画、音楽、出版だけで約2000億円近い金額となっている。ここにソフトウエアの違法コピーを含めると大変な数字になる。著作権保護という観点でいえば、こうした罰則強化の流れもやむをえないと考えられる。

■罰金3回でサイトを強制閉鎖







 だが、問題はここから先だ。改正案では違法コピーファイルの掲載により罰金を3回科されたサイトに対しては、審議を経てサイトを強制的に閉鎖できるようにするという。サイト内の掲示物の70%以上が違法コピーファイルである場合は、直ちにサイトを閉鎖できる。


 審議と閉鎖命令は著作権委員会と文化体育観光部長官が下す。日本ではプロバイダ責任制限法で、サイトの運営者には一定の免責が認められている。しかし韓国は今回、違法を野放しにすればサイト閉鎖、つまり廃業に追い込むことも辞さない処罰へと踏み込んだ形だ。


 これに対して、インターネット企業協会など事業者団体は、「サイトの閉鎖といった処罰を強化する法律は正当なコンテンツ流通の促進にはつながらない」「著作権者とインターネット事業者の間でうまく協議できるよう奨励する法律を作らなければならない」と反発している。


 ネット業界が危惧しているのは、サイトの閉鎖命令を裁判所が下すのではなく、著作権委員会が判断して個人のネット利用停止、サイト閉鎖まで命令できるという点だ。「著作権保護という名目でインターネットを政府の規制下に置こうとしている」という指摘はもっともで、慎重に対応しなければ行政の権力乱用につながりかねない。

 強制的にサイトを閉鎖した場合、そのサイトを正当に利用していたその他大勢のユーザーはどうなるのかという問題もある。その点については、まだ明確な説明がなされていない。


 企業側は「著作権を侵害せず動画投稿やコンテンツを利用させるための方法は何かを考えるべきだ」と主張する。そのために、コピーを制限できる技術やコンテンツ利用料の策定、手軽な決済方法の開発などが必要であって、処罰を強化するよりは、コンテンツ流通活性化を前提にした著作権法改正が重要であるという意見を示している。


 著作権侵害の問題については、CDを友達に貸してあげるような感覚で「共有」してしまう一般ユーザーの教育も含めて、より腰を据えた対策が欠かせないだろう。今回の改正法案は著作権者側からすれば一歩前進だが、改正が実現すればサイト閉鎖と表現の自由のバランスをどうとるかという新たな難題を抱えることになるのは間違いない。

■わかりにくい「虚偽の事実」の基準


 ネット規制強化の一環として法務部が検討しているのは、ネット上の本人確認制度の拡充とサイバー侮辱罪の新設だ。本人確認制度は現在1日訪問者30万人以上の動画投稿サイトとポータル、同20万人以上のインターネット新聞で実施されているが、これを訪問者数10万人以上のすべてのサイトに拡大しようとしている。インターネットに虚偽の事実を書き込み、誹謗中傷したり他人の名誉を毀損したりした人の処罰をよりスムーズにできるようにする狙いだ。


 これまでは誹謗中傷した人の身元を割り出して訴訟を起こすのが困難だったため、ネットの嘘の書き込みのせいで会社を辞めさせられ社会生活ができなくなっても泣き寝入りするしかないといった被害者が後を絶たなかった。侮辱罪が追加されれば警察に届け出をするだけで解決の糸口が見つかるかもしれない。


 しかし、明らかに誰が見ても分かる音楽や映画といった著作物の違法コピーファイルならともかく、虚偽の事実に関しては表現の自由に抵触する部分もある。政府の気に入らない内容を書き込めばすべて虚偽の事実として処罰されるといった可能性もある。言論統制以上の世論封鎖になりかねない。


 与党ハンナラ党は「情報通信網利用促進及び情報保護法改正案」をまとめ、インターネットの書き込みによって名誉を毀損され被害を受けた人が該当掲示物の削除をインターネットサービス業者に要請した場合、事業者側は直ちにブラインド状態(サーバー上には残っているがサイトには表示されない)にして、ほかのユーザーからは見えないようにしなくてはならないとする「ブラインド制度」の導入をもくろむ。要請を受け入れず誹謗中傷の書き込みを野放しにするサイトを処罰できるようにする法規定も新設しようとしている。


 青少年保護のために夜10時から朝5時まで未成年者のIDではオンラインゲームを利用できなくするシャットダウン法案も新設される予定だ。これも青少年の保護につながるという意見と、結局他人の名義を盗みIDを作る問題が起こるだろうと反対する意見が衝突している。

■韓国ユーザーが2ちゃんねるに「亡命」?


 ネットユーザーの間では、「インターネットを浄化しようとする意図は分かるが、行政機関がインターネット事業者を廃業にまで追い込めるので官民の癒着関係が生まれやすい」「著作権侵害以外に政府の気に入らない掲示物も次々と消される危険性がある」「韓国にはもう表現の自由はないかもしれない」と、海外サイトへの「ネット亡命」を選択する人も増えている。長い軍事政権や言論統制を経て、韓国人はインターネットを通してやっと言いたいことを少しは自由に言えるようになったのに、また逆戻りしてしまうという懸念からだ。


 韓国政府がどんなに強力な法律を作ろうとも、世界中のインターネットを規制することはできない。ネット亡命はこれからも増え続けるしかないだろう。インターネット新聞などは「政府がインターネットに絨毯爆撃を準備している」とまで批判していた。2ちゃんねるなど、日本のウェブサイトに亡命してくる韓国ユーザーも出てくるかもしれない。



– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
2008年8月19日

Original Source (NIKKEI NET)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000019082008

「世界初」はもういらない――韓国イ・ミョンバク政権の新IT戦略

韓国知識経済部は2008年7月10日、イ・ミョンバク新政権のIT産業政策である「New-IT戦略」を発表した。その目標は「ITの拡散による産業構造の先進化と社会問題解決」で、3大戦略分野として「全産業と融合するIT産業」「経済社会問題を解決するIT産業」「高度化するIT産業」が選定された。2012年まで韓国IT産業では「融合」がキーワードになる。

■ITの恩恵をすべての産業に


 知識経済部は「新しい時代精神に立脚して3つの戦略分野を導出した。IT産業そのものだけでなく、全産業と経済社会の当面の課題を解決する方向でIT政策を変化させる必要がある」としている。この戦略をとりまとめた知識経済部は2008年の再編により情報通信部と産業資源部が一つになった省庁で、日本で言えば総務省のIT政策部門と経済産業省が一つになったようなところだ(通信と放送に関しては通信放送委員会が別途設立された)。24日には新戦略の具体的な実行計画として「ITイノベーション2012」も発表した。









国会開会式で演説する韓国の李明博大統領=11日、ソウル〔共同〕


 新政権は、ノ・ムヒョン大統領時代の「IT839戦略」に対して「政府の関与が大きすぎる」と批判的だった。Wibro(モバイルWiMAX)やDMB(モバイルデジタル放送)といった「世界初」を目指した技術開発は進んだものの企業や市場の需要を反映しておらず、名ばかりの政策も多かったという主張である。それだけに、今回の新戦略で何がどれだけ変わるかが注目を集めていた。


 イ・ミョンバク大統領の在任期間にあたる2008年から2012年まで実施される新しい戦略は、今まで何度も新政権が強調してきたように市場主義、自由競争が基本となる。政府と公共機関は需要がまだ少ない最新分野に投資し、需要を拡大させる役割を担うという。

 知識経済部の資料を見ると、2007年の韓国IT産業の輸出動向は、携帯電話端末、半導体、ディスプレーの3品目だけで全体の約77%を占めている。IT業界は中小企業の占める割合が約99%と高いのに対し、生産に占める割合は約29%、輸出は約13%に過ぎない。しかも携帯電話やディスプレーは海外から部品の多くを輸入しており、IT輸出が増加すればその分だけ輸入や海外へのロイヤルティー支出も増える。


 韓国はサムスン電子、LG電子など一部企業がグローバル化を果たし、インターネットの利用率も高い。しかし、今の産業構造を変えていき、全産業のIT化により経済全体を活性化させていかなければ、「IT強国」とはいえなくなるという危機感は多くの人に共通している。New-IT戦略は何よりも企業と市場の活性化が重要であるとして、大手企業はもちろん、中小企業が希望をもってビジネスに取り組めるような戦略作りに苦心した様子が伺える。

■RFIDやグリーンITに集中投資


 New-IT戦略によると、政府は2012年までの5年間に3兆5000億ウォンを投資する。一方、民間企業の投資額は110兆ウォンを見込み、民間主導で財政支出を抑制する方針だ。


 数値目標では、2012年までに国内生産1兆ウォン以上のIT融合産業分野を10以上創出し、製造業の成長率を2%以上引き上げる。また2012年にはIT産業輸出品目の多様化で輸出金額2000億ドルを達成し、売上高500億ウォン以上の企業を2007年の607社から2012年には1000社に増やす。そのほか、グローバルソフトウエア企業を10社育成し、専門教育を受けた2万人のNew-IT人材を養成することなどが挙げられている。







 「全産業と融合するIT産業」の具体的な計画としては、製品のIT化、プロセスのIT化、サービス業のIT化、組み込みソフトウエア開発を推進する。造船・自動車・機械・繊維・医療機器といった韓国を代表する5つの既存産業でITの融合に取り組み、2012年には融合技術を12分野に拡大させる。


 中でもRFIDには力を入れる方針だ。自動車や繊維(衣類)、流通産業にRFIDやユビキタス・センサー・ネットワーク(USN)を導入したテスト事業を立ち上げるなど、RFID普及だけで2008年に60億ウォンを投資する。既存産業のIT融合を促進するための「産業IT融合センター」も2012年までに10カ所に設立する。


 「経済社会問題を解決するIT産業」では、グリーンIT実現のためIT製品の省エネ効率を2012年までに20%向上するという目標を掲げる。このための関連技術開発に5年間で2000億ウォンを投資し、LED(発光ダイオード)産業の世界シェア3位を目指すという。郵便局や公共機関が率先してLED照明などを導入し、民間の需要も掘り起こせるように500億ウォン規模のLED共同ファンドも組成する。

 さらに高齢化に伴う医療問題解決のためユビキタスヘルスケアにも力を入れる。ユビキタス病院を3カ所程度設けるという計画があるほか、デジタル・レントゲン・ディテクター(Digital X-ray detector)といった先端医療機器開発に5年間で2500億ウォンを投資し、これを支援するためのセンター設立に1071億ウォンを充てる。医療機器のIT融合化では世界シェア5位が目標だ。


 「高度化するIT産業」としては、半導体やディスプレー産業育成、ネットワーク・無線通信、IT部品とソフトウエア産業の育成が含まれる。戦略分野としては電子情報デバイス、情報通信メディア、次世代通信ネットワーク、ロボット、ソフトウエアコンピューティング、知識サービス、USN、産業技術融合、バイオ医療機器が選定された。


 半導体やディスプレー、携帯電話端末などに使われるIT部品やコア技術の国産化のためには2008年だけで3204億ウォンが使われる。内訳は半導体が1081億ウォンでもっとも多く、IT部品802億ウォン、ネットワーク(次世代ネットワーク)540億ウォン、移動通信524億ウォン、ディスプレー320億ウォンとなっている。ディスプレー産業基盤センター協議会の設立、携帯電話端末の産業成長のためのモバイルテストフィールド拡大など、中核的なIT産業の基盤をより確固たるものにする。知能型ホームネットワーク産業発展戦略と知識情報セキュリティー産業発展戦略も2008年末までに立案し、このための予算として81億ウォンを補助する。

■人材育ててベンチャーに投入









サムスンの携帯「Anycall」の看板=ソウル〔AP Photo〕


 New-IT戦略では企業の需要を反映した人材養成も重要な課題となっている。


 人材養成については、大卒クラスの人材が余剰となる一方、博士クラスの高い教育を受けた高度人材が不足しているという課題がある。このため、「融合・複合」に対応して新市場を切り開くプロジェクトリーダーになりうる人材養成のため、2012年までに2800億ウォンを投資して2万人を養成する。


 韓国では失業率が上昇し求職難となっている。しかし、中小ベンチャー企業からは「我々には有望な人材が回ってこず、依然として求人難」と、長期的な人材養成を要求する声が絶えなかった。そのため、2009年にはまず全国5カ所で企業、大学、研究所が共同参加する「IT融複合人材養成センター」を設立運営する計画だ。

 政府の支援を受けた人材と政府の研究機関の研究員には中小企業やベンチャー企業での勤務を義務付けるという制度も検討されている。生涯のキャリアを管理してもらえる「高級IT人材全生涯キャリアパス管理体制」が導入され、海外に離れていく人材を呼び戻す戦略も立てている。


 さらに、世界で初めてIT教育認証制度「ソウル・アコード」を2009年に始める。技術者教育の分野では国際的な同等性を相互承認するための国際協議体としてワシントン・アコード(Washington Accord)がある。しかしワシントン・アコードではIT分野の教育特性を十分反映できないため、韓国主導でIT教育国際認証の枠組みであるソウル・アコードを推進するということだ。


 法制も変更する。現在はいくつもの法律に分かれている情報通信関連法を一つにまとめ、IT製造業とサービス業が並行発展できる制度的基盤作りとして「情報通信産業振興法(仮称)」を2008年12月には国会に提出する計画だ。


 このほか、New-IT戦略には国内の知的財産権管理を強化して海外企業との特許紛争に対応できるよう専門性を高めること、IT研究開発基金として大手通信企業が売上高の0.1%ほどを政府に拠出していた制度を5年後に廃止し料金競争を高めること、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)と韓国情報通信国際協力振興院(KIICA)に分かれていた韓国企業の海外進出支援組織を一本化し窓口を大韓貿易投資振興公社に絞るといったことも盛り込まれている。

■「世界初」より実質的な支援に転換


 政府関係者らはNew-IT戦略について、IT839戦略をはじめとする過去のIT戦略といかに異なるかをしきりに強調している。ただ、重点事業としている8大課題も、IT839時代に選定された産業資源部の7大戦略技術と情報通信部の14大IT革新技術をまとめて8つにしただけといえないこともない。既存産業とITの融合や部品の国産化も前々から課題とされてきたことだ。


 変化があるとすれば、やはり情報通信部と産業資源部に分かれていたIT産業政策が、2008年からすべて知識経済部の担当となり、省庁間の縄張り争いがなくなりスムーズにことが運ぶようになったという面だろうか。これにより企業も楽になった。







 今までのIT戦略はサービス、ネットワーク、機器といったIT産業そのものの発展に焦点が当てられていた。それに対し、New-IT戦略はIT利活用による社会問題の解決や、産業全般の高度化など範囲が広く、「ITそのものの戦略というより国家発展戦略に近い」と政府は説明している。しかし、いまのところ大きな差は感じられない。ソフトウエアやSIといった業界からは「融合ばかり強調してIT産業自体の成長支援策については触れていない」という批判の声もあがっている。


 ただ、これまでのスローガンであった「世界初で何かをする」という目標は一転して影を潜めた。世界初という記録を求めて政府が旗を振るよりは、企業の意見を優先し、企業が望む人材を養成したり、ファンドや協議会を設立したりすることで間接的に企業を支援する。省庁間の無用なアピール合戦の必要がなくなったため、実質的な成果を追求しやすくなったという側面もあるだろう。こうした政策の転換はこれからの産業発展に影響を与えるはずだ。


 経済大統領として期待されたイ・ミョンバク大統領が就任し、真っ先に政府組織再編が行われた。小さな政府、ビジネスがしやすい最小限の規制が新政権のキャッチフレーズでもある。IT産業に関しても省庁再編により業務の改廃や公務員リストラが噂されたりし、落ち着かない雰囲気が続いていた。

 New-IT戦略の発表で、IT産業全体がようやく今年度の仕事を始められるようになったといわれている。それは結局、韓国はまだ企業が政府の支援に頼りすぎているということの裏返しだろう。新政権の狙い通り、民間主導の経済が実現するにはもう少し時間がかかりそうだ。

– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
2008年7月30日


キャリアとコンテンツプロバイダーとの主従関係は改善する?

例えば日本のiモードの公式サイトになった場合、キャリアとコンテンツプロバイダー(CP)との利用料配分はキャリアが9%でCPが91%と配分率が公開されている。携帯電話キャリアはヒットコンテンツを見つけて利用させて通信費で儲ける(今はそうもいかなくなったが)というのが基本的なビジネスの仕組みだった。韓国ではCPとの契約なんてキャリアの勝手。利用料の60%をキャリアが持っていくなんていう契約もあれば、30%しか持っていかない契約もある。どことどのような契約をするかは、キャリアの勝手なのだ。韓国の放送通信委員会はこれは不公正取引行為として、キャリアとCPとの契約関係を改善すべく制度改善のために調査に着手した。

 韓国ではほとんどのコンテンツ契約がCPや製作した人は4割未満の配分となっている。キャリアやポータルサイトはいつも「本の印税は10%。それに比べたら40%ももらえるなんてステキな契約じゃないですか」という。日本のキャリアは手数料として9%ほどしか取らないと聞いてびっくりしてしまった。アップルのApp Storeだって手数料は30%だというのに。当然のことだが、iPhoneが韓国に入ってきたらCPはみんなApp Storeを狙うだろう。


 今はまだ端末に韓国標準プラットフォームWIPIを搭載しない限りiPhoneは韓国で販売できないと止めてはいるものの、端末ラインアップを豊富にして顧客の離脱を防止したいキャリアの要請から、WIPI搭載義務の廃止は時間の問題といわれるようになった。iPhoneとApp Storeが押し寄せてきたとき、韓国のキャリアは今のままで大丈夫なのだろうか。

韓国は日本と違ったビジネス環境でもある。韓国のモバイルコンテンツはマスターCP(キャリアの子会社になっている場合が多い)と呼ばれる大型CP経由で納品される。キャリアとの直接交渉ではなくマスターCPと交渉しなければならないし、経由点が多いから手数料として取られるのも大きいかもしれない。また日本ではキャリアは場所を提供し、コンテンツはCPが担当するという立場だが、韓国はキャリアがコンテンツ開発に積極的で、映画会社やレコード会社を買収してコンテンツ勢力を拡大させている。


 放送通信委員会の通信利用制度課は、モバイルインターネット・コンテンツの活性化と有望新規事業者発掘のための公正競争環境を作ろうとしている。キャリアとCPの契約から端末会社とCPの契約へ変わっていこうとしている中、新しいモバイルコンテンツ事業者がどんどん市場に出てくるようにするためには、キャリアとCPとの取引や契約関係が明確でないといけないという考えからだ。


 それに今までの政府の支援策といえば、海外展示会に参加する費用を補助するとか、コンテンツ開発費を補助するとか、お金をあげて生き延びられるようにする支援が多かった。それを市場の中で生きていけるように、公正な環境を作り、国内市場で積極的にコンテンツサービスを展開して競争できるようにすることで、海外でも通用するコンテンツにさせていくということ。Wibro(モバイルWiMAX)普及により、モバイルコンテンツの需要増加が見込まれているため、今のうちに明朗会計な市場に整えておきたいということなのかもしれない。


 韓国は日本より携帯電話、モバイルでは遅れを取っているようにみえる。確かに利用率の面では携帯電話からネットにアクセスすることはあまりしない(高校生や大学生の利用率はぐんぐん伸びているが)。それでも、韓国が発祥の世界的モバイルコンテンツだってある。韓国ではカラリング、日本ではメロディコールや街うたといわれる、電話がつながるときになる信号音の代わりに音楽が流れるというあれだ。


 ゲーム好きの韓国だけに、パケット通信費が高いといってもモバイルゲームは好調で海外へもわんさか輸出されている。キャリアに利用料の50から70%を持っていかれながらも、次々に新しいアイデアでコンテンツを披露している。キャリアの取り分が10%でCPが90%もらえるようになったら、もっと意欲的になってすごいことになるのではないかと期待してしまう。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年9月3日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080903/1007634/

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>8.今回のテーマ■IT活用の健康管理

ユビキタスで健康管理 韓初の試みが09年末から


 


 


 


添付画像 2009年末に完成入居予定のユビキタスシティ。その住民全員に、ユビキタスヘルスケアを提供する公共福祉サビスが開始されることになった。韓初の試みである。ソウルから車で約1時間の距離にある坡州市交河新都市開がその象地域で、05年11月から489万坪の敷地に約100億円の事業費をかけて、ユビキタスシティの建設が始まっている。ユビキタス連技術を利用して、「トタルライフケアシティ」「スマト交通シティ」「かい福祉シティ」の3つのテマを現するのが目標で、自治体と大韓住宅公社、通信社のKTなどが加している。



 ユビキタス
ヘルスケアは実験として一人暮らしの老人や離島を象に行われたことがあるものの、一つの都市の入居者全員を象に提供するのは初めてだ。坡州市のユビキタスヘルスケアは約8000世21万8000人を象に自治体の保健福祉サビスとして提供される予定で、市民の健康運動バイオ情報を時測定し、個態に適した健康管理情報を提供し、慢性疾患を事前に予防することで健康な都市を作るというもの。そのために遠隔体力測定、個人別の健康促進のための運動方、住民用フィットネスセンタの運、訪問看護サビス、療スタッフからサビスを受けられるヘルスケアポタルサイト運などが予定されている。KTは「事業討をませ、すでにシステム設計を終えた段階」としており、09年末から10年の初めにはユビキタス環境で健康管理サビスを受けられることになる。添付画像


 


 坡州市は韓初のユビキタスシティ建設を記念するため、07年10月から未都市を紹介するショム「ユビパク」を運している。15万坪の敷地に約23億円をかけて建設されたユビキタスシティが体できるショムで、世界最大規模のユビキタス体空間として知られている。みたい本をテブルに置くと音み上げてくれたり、バスルムの鏡に今日のニュスと象情報が表示されたり、その日の分によって色や柄をえられる壁紙など家の中の化や都市統合ネットワクによって住民の生活がどのように快適になるのかといったことが展示されている。(趙 章恩●取材/文)


 


 BCN This Week 2008年9月1日 vol.1249 載]Link


 

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>7.今回のテーマ■新政権のIT戦略

新政IT表「IT Innovationフォラム」も


 


 


 


添付画像 2008年7月10日、李明博(イミョンバク)政府のIT略が表された。IT産業展のための政策というより、存産業とITを融合させ、さらなる経済発展を成し遂げることを最大の目標としている。



 「NEW-IT
略」と名づけられた08-12年の韓IT略の骨子は、「全産業とIT融合」「経済問題解決とIT」「核心IT産業の高度化」の3つのテマに分けられる。


 


 グリIT、部品産化、法律整備、人材養成など今までの略とあまりわらない容となっている。ただ、政府組織の再編により、情報通信部と産業資源部に分かれていた省が知識経済部にまとまったことで、省間の無駄ないがなくなり予算の配分や執行をしやすくなったことは高く評されている。また、何でも政府が支援して育てるという方針ではなく、ユビキタスセンサネットワク、ロボット、ソフトウェア、バイオなど、需要を掘り起せるところに集中的に政府の予算を投入するという市場主義も調されている。


 


 韓政府はNEW-IT略のために08年6800億ウォン、12年までの5年間に3兆5000億ウォンを投資する計を立てている。添付画像


 


 しかし、IT業界からは不も聞こえる。韓の問題点とされているのが、大企業に偏った支援策だ。半導体電話ディスプレの三大産業がIT生産や輸出の大部分を占めている現皮し、中小企業が成長できる解決策はまだ見えていないという指摘がなされている。


 


 そのため、IT略を率的に推進するため産官IT活用の成功事例を共有し、IT活用政策を討する「IT Innovationフォラム」も新設された。ITインフラの普及や個人のインタネットの利用率は高くても、企業のIT利活用は世界レベルに達していないのではないかという反省から、非IT企業のIT利活用やIT導入による競化を目的としている。


 


 7月24日に開催された第1回目のフォラムでは現代自動車と協力工場でのRFID導入事例が紹介された。最近は企業と企業の競というより企業群同士の競になっていて、大手企業と密接なかかわりを持つ中小企業のIT化なしでは企業群の競力も高められないため政府の支援が必要であるということが議論された。


 


 今後の展開に中小企業の注目が集まっている。(趙章恩●取材/文)  


 


 BCN This Week 2008年8月25日 vol.1248 載] Link


<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>6.今回のテーマ■LED産業支援

LEDでグリIT現 「技術」から「エコ」の競


 


 


 


添付画像 韓政府は、省エネやグリITのために略としてLED(光ダイオド)産業をサポトすることを表した。2012年までに家電やIT機器の省エネ20%達成を目標に、連技術開のため今後5年間2000億ウォンを投資する。電力消費が少ないLED照明産業を新成長動力として育成するため500億ウォン規模のLED共同ファンドもつくる。12年までにLED産業の世界シェア3位を獲得、15年までにLED照明の割合を30%に大するという目標もある。



 今回の政府の政策がなくても、原油高による電
代の値上がりから、家電やパソコン業界では低電力CPUチップをはじめノトパソコンやテレビの面にLEDを使うといったグリIT競き起こっている。LEDは環境に有害な物質を含まず、消費電力も低いのでグリITをアピルするにはもってこいというわけだ。韓も世界の流れと軌を一にして、質やデザインといった技術競から「エコ」競へと化している。


 


 LG電子は07年12月にLEDバックライトLCD(液晶)ノトパソコンを発売した。CCFL式LCDよりも格は高くなるが、少ない電力でより明るく鮮明な質が得られる。CCFL式LCDに比べ電力率も30-50%ほど向上する。添付画像


 


 サムスン電子は52インチLCDテレビに、映像にあわせて自動的に明るさを調整する機能を搭載。06年からは州向けに、LEDバックライトLCD40インチテレビを発売している。07年には50インチと70インチのLEDバックライトLCDテレビを発売した。今年2月には24インチと30インチLEDバックライトLCDモニタも発売した。


 


 韓政府は屋外照明も電力消費の少ないLEDにえるため、20億ウォンを支援して、首都20か所の前の光灯やネオンサインを利用した屋外告をLEDに切り替える。全体の電力消費量の18%を占めている照明の3割をLEDにえると、年間1万6021GWhの電力を節約できるという。LEDの需要を掘り起こすため、まず公共機の照明からLEDにえて行く予定で、公務員の省エネ意識を高めるための育も施された。


 


 いったんやると決まれば、げてを繰りげる韓だけに、LEDへの切り替えも早期に達成できるようにみえる。24時間業の店が多いので、照明に使われる電力を節約するのはにとっての重要な課題である。(趙 章恩●取材/文)


 


BCN This Week 2008年8月11日 vol.1247 載]Link 


 

国が始めた炭素キャッシュバック!省エネ商品を買うとポイントが貯まる

韓国のIT産業政策を担当する省庁の知識経済部は、2008年10月より炭素キャッシュバック制度(Carbon Cashback)を導入すると発表した。

 地球温暖化防止のための活動に市民をより積極的に参加させる方法として、省エネまたは二酸化炭素ガス低排出製品を購入すると炭素キャッシュバックポイントが貯まり、交通費や行政関連手数料納付、自動車購入、商品券などに変えられ、現金のように使えるようにするという内容である。


 クレジットカードのマイレージポイントと同じ使い方で、このキャッシュバック制度のために、政府は現在韓国で人口の約8割、3000万人以上が加入している「OKキャッシュバッグ」の運営会社(株)SKマーケティングアンドカンパニーと提携することにした。既存のOKキャッシュバッグカードに炭素キャッシュバックポイントを別途貯められる。OKキャッシュバッグはSKグループが経営するガソリンスタンド「Enclean」や、携帯電話キャリア「SKテレコム」を利用するとポイントが貯まり、その他にも大手スーパーやチェーン店、本屋など全国4万5000店以上の加盟店でポイントを貯めたり使ったりできる。


 エコ、省エネは韓国でも国家課題になっているほどで、テレビや新聞で毎日何度も耳にする。「ゴミの分別をしっかりしましょう」や「電気を節約するためにエアコンの温度を高めに設定しましょう」というレベルではもう間に合わない、画期的な二酸化炭素排出削減方はないかということで思いついたのがキャッシュバック制度、というわけだ。


 まずは何よりも二酸化炭素を発生させている家電がターゲットになっている。韓国の家電と車には全てエネルギーの効率性を評価し、その結果を表すシールを付着しているが、省エネ1等級または待機電力1W未満の家電製品から優先的にキャッシュバックの対象となる。


 テレビ、オーディオ、DVDプレーヤー、洗濯機、冷蔵庫、電気炊飯器、キムチ冷蔵庫(韓国の家庭にキムチ冷蔵庫は必需品だ)、エアコン、掃除機、扇風機、食器洗い機、電話機など33品目が選ばれた。


 炭素キャッシュバック制度の参加企業はまだ募集中とのことで、当分は販売価格の1~5%をポイントに貯めてあげる方針だという。OKキャッシュバッグの加盟店で購入した場合には重複積立も可能とのこと。


 参加企業はキャッシュバック運営に関する広告宣伝費と運営手数料が免除され、エネルギー管理公団が色々なインセンティブを提供するとしている。キャッシュバックされる金額の部分については基本的に企業が負担するが、政府予算で一部費用を補充する方案も検討されている。今後は二酸化炭素排出情報表示制度とも連携し、炭素排出量によってポイントを提供する制度へと発展させたいとしている。


 韓国では2012年末までにはアナログ放送が中断されデジタルに切り替わるため、日本と同じくデジタルテレビへの買い替え需要が大きく動いている。炭素キャッシュバック制度の導入で、省エネデジタルテレビの普及が促進されることは間違いないようだ。


 韓国では家庭の消費電力の約11%が待機電力によるものであるとして、使わない電気機器類のプラグはこまめに抜きましょうというCMが流れている。待機電力の少ない家電を使うのも省エネであり環境保護につながる。


 しかしエコ以前に切実なのが電気代の節約。韓国も日本以上に物価高騰が問題になっていて、電気代に水道代に光熱費の値上がりも時間の問題だ。電気代も節約してキャッシュバックもしてもらって一石二鳥なのは確かだが、政府が特定企業1社と手をつないでキャッシュバック制度を運営することを懸念する声もなくはない。このまま問題なく始められるのだろうか、10月になったらまた報告します。




(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年8月27日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080827/1007364/

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>5.今回のテーマ■ETRI

シンクタンクの中小企業支援 技術支援派遣や諮問など



 


 添付画像


 韓政府の技術系シンクタンクであるETRI(韓電子通信究院)は、2008年からすべての究員が中小企業の技術イノベションのための活動に加し、究開のための技術を支援したり問題を解決するといった「お助け制度」を運することにした。



 中小企業の育成
支援のために政府系シンクタンクの人材を積極的に活用するこの制度は、市場とフレンドリな政府になるという李明博政の政府組織改編によって施されることになった。「政府の技術系シンクタンクは技術を開することだけが目的なので市場でれない技術ばかり開している」といった批判があったことも制度足の背景にある。


 


 この制度により、ETRIのすべての究員は勤務時間の10%以上を中小企業支援の究に使わなくてはならなくなった。中小企業の役に立つシンクタンクになることを目指し、イノベション型中小企業向けの究開支援策としてプロセス段階別改善方向と短期、中期、長期に分けた行項目を作成している。添付画像


 


 具体的な支援としては、(1)大企業と中小企業との共同究開事業によって生産する部品の競力を高める、(2)品質保証制度を施して開された技術の完成度を向上させることで事業化成功率を高める、(3)中小企業への技術移を円滑にするため、企業ごとに担者を決めて製品化までのプロセスを支援することで要求事項を適時に把握する、(4)技術移後に人材不足で事業化できない技術イノベション型中小企業のために、アフタビスとして支援を大する、(5)技術移によって製品化を現するだけでなく、中小企業の足度を高めた究員には破格的なインセンティブを支給する、(6)中小企業向けETRI技術お助けセンタの運、(7)開技術の事業化と資金調達やインキュベションセンタなどのためのETRI技術持ち株社設立など。


 


 ETRIは中小企業と密接な係を築くことで市場需要とのギャップをなくし、市場が要求する技術の需要化を究計時反映、製品化の成功率を高めるのが狙いである。中小企業のみである究開要員の不足についても、ETRI究員の派遣や出向で解決できるのではないかと期待されている。(趙 章恩●取材/文)


 


 BCN This Week 2008年8月4日 vol.1246 載] Link


 



 

[東京留学生活]iPhone3Gが日本に与える影響

iPhone3G買っちゃいました~なんていう人が本当に多い。


テレビを観てたらお昼のワイドショーにまでiPhoneが登場して使い方を教えてたよ。


iPhone3Gはそんなにすごいの?特に、「日本」でそんなにすごい影響を与える端末なのか?
あっちこっちでiPhone3Gがモバイル業界を変えるって話すのを聞くけど、「日本」でiPhone3Gはそれほどインパクトのある端末には思えないのだ。


iPhoneはコンテンツが充実している、タッチパネルで使いやすい、持っていて自慢になる、こういった理由から画期的で買いたくなると思うんだけど、この理由は日本では当てはまらないのではないかと思うのだ。(ところで、携帯電話ってもう機能とかデザインとかより、持っていて自慢になるかならないかで決まっちゃうような気がするよね)


自慢になるからたくさんの人が買って、ソフトバンクの加入者がぶわ~っと増えて、街中iPhone3Gだらけになったら、日本変わるよ。でもそこまではいかない。メール打ちにくいとか、微妙なところで日本人の携帯の使い方に合ってないところもあるし。


日本人の携帯の使い方は世界でも希だよ。携帯でメールやりとりして、携帯でちょっとコンテンツ見てSNS利用して、それでインターネットをフル活用している気分になっている人が結構いる。これはまた日本人の中でも所得とか職業とかによって違ってくるけど、若い人ほど携帯だけでOKだよね。不思議だ~


韓国のように端末には国内標準プラットフォーム搭載義務化で携帯電話端末鎖国状態、勝手サイトは存在しない、閉鎖的なモバイルインターネット(フルブラウザーでURLを入力するようになっているけど、キャリアと契約しているサイトにしかアクセスできない)、キャリアの子会社であるマスターCPがモバイルコンテンツを牛耳る、キャリアとCPの配分は時と場合によってまちまち(日本はキャリア手数料9%だよね)、端末価格は補助金もらってもまともなものを買うには4~5万円必要、などなど・・・・こんなところにぽんとiPhoneが登場してこそ、すごいことになるのではないか?私だってiPhone3G買っちゃうよ。


でも韓国ではiPhoneの販売予定はまだない。


さっきも話したように、韓国ではモバイルインターネットが使える携帯電話端末には全て、WIPIという韓国独自のプラットフォームというかOSというか、とにかくこれの搭載が義務付けられている。海外のメーカーからすれば、たかが韓国市場のためだけに開発費をかけないといけないし、その分端末価格に上乗せされて価格的なメリットもなくなって結局売れない、という危険があるから、あきらめちゃうんだよね。


韓国で早くiPhone3G販売してほしい。2年約定でアメリカでは199ドル。
うわ~こんな値段でこれぐらいの端末が手に入るんだったらみんなiPhoneに買い替えするね。


韓国では高飛車の(ブランド価値を守るために高く売るのだ!もちろん、サムスンの端末がかっこいいから買うという人もいるけど)サムスン電子が、アメリカではスマートフォンの「Instinct」をiPhone3G より安い129.99ドルで売り出しているのだ!(2年約定)韓国でもそれぐらい安くしてよ・・・


韓国はモバイルインターネットの定額制が始まったばかりで(これもやっかい。定額制はプロモーション料金だからころころ料金や条件が変わるんだよね)、携帯電話でインターネットやメールはほぼ使わない。音声通話とSMSとカメラばっかりだから、タッチパネルで十分。というか、タッチパネルの方が使いやすい。


日本は勝手サイトがある。なのに、アップルから直接モバイルコンテンツが買えることがコンテンツの流通構造を変えるだの、キャリアとベンダーの関係が変わるだの(これは変わるかも。日本はベンダーよりキャリアが強いよね)、すごく新しい物が登場したかのような騒ぐのがよくわからない。


日本のようにモバイルインターネットが盛んでモバイルコンテンツも豊富な国では、iPhoneなんて大した影響力を持てないと思うんだけど。iPhoneが何故「日本」ですごいすごいと言われているのか、すごさを教えてください!


– BY  趙章恩

Link
http://www.kddi-ri.jp/blog/cho/