電池や半導体で激化する日韓特許紛争、韓国は政府が企業支援

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 2次電池などの先端技術分野で、日韓企業の特許紛争が増えている。今後は、韓国が国産化を推進する半導体製造用材料でも同様の争いが広がるとの見方も出てきた。韓国は、主に中小企業を対象とした支援機関を新設し、将来的な特許紛争の激化に備えようとしている。

輸出管理厳格化がきっかけ

 韓国特許庁(KIPO)は2020年11月27日、ソウル市江南区の韓国知識財産保護院内に「知識財産権紛争対応センター」を開所した。KIPOは、「日本など海外企業の特許攻撃に備えて韓国の輸出企業を支援する知識財産権の紛争専門組織を発足させた」「素材・部品・設備の国産化を進める過程において源泉となる特許を多数保有する日本企業と韓国企業の間で特許紛争が起こる恐れがある」「紛争対応に脆弱な中小企業への支援が必要であることを認識した上でセンターを運営しなければならない」などのコメントを発表した。

 同センターは、韓国Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST)の諮問団と協業し、主に中小企業の特許紛争を積極的に支援する。諮問団は、KAISTの教授ら約100人が素材・部品・設備の国産化に向けて中小企業の技術開発を促進するために設立した組織である。19年夏に日本政府が半導体製造用材料3品目(レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド)の輸出管理を厳格化したことが、設立のきっかけになっている。

 KIPOは同年8月に「輸出規制対応知識財産権支援団」を発足し、日本の輸出管理厳格化による素材・部品・設備関連の中小企業への影響を調査し続けてきた。そして、20年7月に産業通商資源部(韓国の部は日本の省に相当)と「知識財産権基盤産業政策樹立のための民官協議会」を共同で開催し、素材・部品・装備に関連した特許を活用した技術開発の成果を共有するともに、知識財産の活用で成長している中小企業のニーズに応えるべく、特許のビッグデータ分析で研究開発の方向性を助言するなど、技術開発を促進してきた。中小企業の研究開発は、従来の実績や社内専門家の経験に依拠していることが多いが、ビッグデータ分析によって思いがけない方向性を見つけるのに役立っているという。他にも、中小企業が特許を担保に融資できる金額を拡大するなど、知的財産権重視の施策を取ってきた。

 新設の知識財産権紛争対応センターは、こうした支援体制をさらに強化する施策である。主な業務は(1)素材・部品・設備に関連した特許紛争へのワンストップ支援、(2)KAIST諮問団との協業による特許紛争支援、(3)海外での韓国ブランド侵害の防衛支援、の3つである。

 特許紛争に関しては、これまで主に米国企業によるものが監視対象だったが、その対象を日本や欧州、中国にも拡大する。さらに、紛争の内容についても特許侵害訴訟に限定せず、無効審判や異議申し立ての情報も収集する。

 韓国の中小企業に対する特許侵害訴訟や無効審判、異議申し立てがあった場合、各企業に合わせたプログラムに基づいて支援する。対象企業は、素材・部品・設備関連を優先する。従来は監視組織と支援組織が分かれていたことから連携に時間がかかっていたが、新設の知識財産権紛争対応センターでは、監視から戦略策定まで一連の支援策をワンストップで提供する。支援期間は最大3年。費用は年間1億ウォン(約950万円)以下とすることで、中小企業の負担を軽減する。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020.12 .

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00022/


Samsungは「人間中心AI」「オンデバイスAI」に注力、SK Telecomはデータセンター向けAI半導体を公開

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2020年11月、韓国ではAIやロボットに関連したイベントが目白押しだった。

 同月2、3日にSamsung Electronics社の研究開発組織が開催した「Samsung AI Forum 2020」では、主に海外のAI専門家が研究成果を発表(図1)。新型コロナウイルスの感染拡大で急変した人々の生活をAIが助けられるかを議論する交流の場となった。


趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

《日経Robo

2020. 12.

 

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00067/


GMのEVもリコール、電池大手のLG化学が迎えた試練

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電気自動車(EV)用電池で高シェアの韓国LG Chem(LG化学)が試練を迎えている。同社製電池を搭載するEVが相次いでリコールとなり、さらに顧客の米Tesla(テスラ)が電池の内製化に本腰を入れ始めた。電池需要は増加が見込めるものの、戦略の見直しが必要になるかもしれない。

充電率を90%に制限

 米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)は2020年11月13日、17~19年モデルの5ドアハッチバックEV「Chevrolet Bolt EV」のリコールを発表した。火災事故防止のために、電池の充電率を90%以下に制限するソフトウエアを配布する。対象車両は、LG化学の梧倉(オチャン)工場で生産した電池を搭載していた。

 Chevrolet Bolt EVでは、20年11月までに米国で火災事故が5件発生していた。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が調査を進めており、原因はまだ明らかになっていない。ただし、電池がある後部座席から発火したと推定する報道もあり、事故防止の観点からGMは自主的にリコールを決めたようだ。

 LG化学はGMのリコールに合意しており、両社は21年1月までの事故原因究明を目標としている。充電率を90%以下に制限するのはあくまで一時的な処置であり、原因究明後に所有者に対して最終的な解決策を提示するという。

 GMとLG化学は合弁で米国オハイオ州に世界最大級のEV用電池工場を建設している関係でもある。そのため、今回の問題についても積極的に協力して解決していくとみられる。

 LG化学の電池を搭載するEVでは、韓国Hyundai Motor(現代自動車)の「Kona Electric」も20年10月にリコールとなった。同車でも複数件の火災事故が起きていた。対象は17年9月~20年3月に製造したモデルで、電池管理システム(BMS:Battery Management System)をアップデートする処置を取った。アップデート後もセル間電圧の過度な偏差や急激な温度変化が認められれば、電池を交換するという。20年11月22日時点で、対象の約9割がアップデートを完了した。Kona Electricの火災事故も原因は調査中であり、火災の原因が電池であるという結論は出ていない。

 11月12日、Kona Electricの所有者173人は、現代自動車を相手に代金払い戻しまたは電池パックを含めた電池システム全体の無償交換を求める訴訟を起こした。原告は、「BMSアップデートはリコールといえない」と主張している。

 こうした苦境にありながら、LG化学の株価は最高値を更新した。11月13日に70万5000ウォンだった株価は、GMがリコールを発表した後の同月16日に67万7000ウォンまで下がったものの、同月26日には81万6000ウォンと、終値基準では初めて80万ウォンを超えた。時価総額も、韓国企業ではSamsung Electronics(サムスン電子)、SK hynix(SKハイニックス)に続く3位となった。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020. 12.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00020/


現代自にボストン・ダイナミクスは操縦可能か、交わる期待と不安

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ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の米Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)を韓国Hyundai Motor(現代自動車)に売却するために協議中であると、米Bloomberg(ブルームバーグ)が2020年11月9日に報じた。この報道を受けて韓国では期待が高まる一方、現代自動車がボストン・ダイナミクスを本当に“操縦”できるのか不安視する声も上がっている。

 ブルームバーグの報道によれば、ボストン・ダイナミクスの売却額は最大で10億米ドル(約1050億円)だという。売却条件はまだ確定しておらず、交渉が決裂する可能性もある。現代自動車は韓国メディアに向けて「グローバル企業として常に多様な戦略的投資と提携の機会を模索している。しかし、(本件に関しては)何も決まっていない」とのコメントを発表した。

 ボストン・ダイナミクスは、SBG傘下のロボットメーカー。1992年に米Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)発のベンチャーとして設立された。2013年に米Google(グーグル)が買収し、18年にSBGが買収した。現在はSBGの完全子会社である。2足歩行ロボット「Atlas」や4足歩行ロボット「Spot」を開発した会社として知られている。

 現代自動車の株主が参加するコミュニティーサイトでは、「ボストン・ダイナミクス買収は現代自動車にとってチャンス」「スマートモビリティーを目指す現代自動車とボストン・ダイナミクスの技術は相性がよい」という意見が多い。一方で、「グーグルもSBGも収益化できなかった会社を買収して大丈夫なのか」「ボストン・ダイナミクスの技術移転も含む契約内容なのか気になる」といった意見もあった。

自動車メーカーからの脱却を急ぐ

 現代自動車は最近、ロボティクスへの投資を進めている。ボストン・ダイナミクスの買収が現実となれば、Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)会長であるEui-sun Chung(チョン・ウィソン)氏が就任してから最初の大型買収となる。同氏は20年10月14日に首席副会長から会長に昇格した。現代自動車グループのトップ交代は、20年ぶりのことである。

 なぜ現代自動車によるボストン・ダイナミクス買収の話が浮上したのか。実は、チョン氏が会長に就任したときのあいさつに、その兆候があった。同氏は以下のように述べていた。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

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2020. 11.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00019/

韓国の自動運転モビリティーイベント「PAMS」、技術開発の“聖地”に配膳ロボや自動運転車が集結

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2020年10月15~17日、韓国で自動運転モビリティーのイベント「Pangyo Autonomous Mobility Show(PAMS)」が開催された。会場は京畿道城南市のPangyo(パンギョ、板橋)駅やスタートアップが入居しているPangyo Techno Valleyなどで、自動運転車やドローン、ロボットの展示と体験、自動運転配達レース、自動運転アイデア公募などが行われた。

 PAMSは、2017年に韓国初の自動運転モビリティーのイベントとして始まった。未来をいち早く体験し、ビジネスのアイデアが生まれる場にする狙いがある。第4回となる今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で現地会場の参加者数を制限するとともに、展示内容を全てオンライン中継した。

配膳ロボットや消毒ロボットが集結

 米国シリコンバレーに本社を置くスタートアップのBear Robotics社は、自律走行型配膳ロボット「Servi」を展示した。同社はもともと「Penny」という配膳ロボットを手掛けていたが、ソフトバンクロボティクスとの協業開始に伴いPennyをServiとして改良した。ServiのSLAM技術は、Bear Robotics社が独自に開発したもの。本体にLIDARと3つの3Dカメラを搭載しており、人や物などの障害物を回避しながら走行できる。配膳だけではなく使い終わった食器類の回収も可能だ。同社は、2020年1月にはソフトバンクグループなどから3200万米ドルの資金を調達した。

 韓国VD Company社は、配膳ロボット「PuduBot」と消毒ロボット「Puductor」を展示した(図1)。いずれも中国Shenzhen Pudu Technology社の製品であり、VD Companyはこれらに独自開発のソフトウエアを搭載し、販売している。例えば、韓国では熱い汁物料理が多いので、その運搬に適した動作を行えるようにしている。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

《日経Robo

2020. 11.

 

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00065/


次世代はリチウム硫黄電池か全固体電池か、EV火災で安全性に脚光

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2020年10月21~23日、韓国最大の電池関連の展示会「InterBattery 2020」がソウル市内のSeoul COEXで開催された。新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、過去最多の198社が出展した。電気自動車(EV)を巡って電池の重要性がますます高まる中、「ビッグ3」と呼ばれるLG Chem(LG化学)、Samsung SDI(サムスンSDI)、SK innovation(SKイノベーション)の3社が展示や技術戦略発表でも激しい争いを繰り広げていた。

 EV用電池で世界シェア1位のLG化学は、冷却機構一体型電池モジュールや安全性強化分離膜「SRS」の技術について展示した。前者は、電池モジュール全体の構造が簡素になり、電池容量を増やせるという。韓国では、Hyundai Motor(現代自動車)のEV「Kona Electric」の火災事故を意識した展示ではないかと見る人が多かった。

 LG化学は、SRSの米国特許3件と正極材の米国特許2件をSKイノベーションが侵害したとして米International Trade Commission(国際貿易委員会、ITC)と米国デラウェア州の連邦地方裁判所に訴訟を起こした。20年12月10日に最終判決が下される予定である。韓国企業同士の特許訴訟だけに韓国ではとても注目されており、韓国メディアはLG化学とSKイノベーションの展示内容の比較や、SKイノベーションの役員がLG化学のブースを見学したことなどを大きく報じていた。

 LG化学は、重量エネルギー密度が410Wh/kgのリチウム硫黄電池2種類、高分子固体電解質、硫化物系固体電解質も公開した。同社によると、リチウム硫黄電池は25年に量産予定で、20年8月には韓国航空宇宙研究院の高高度長時間滞空太陽光無人機「EAV-3」に搭載され、テスト飛行に成功した。

27年に全固体電池セル量産へ

 一方、サムスンSDIの展示で最も注目されたのは、全固体電池の開発ロードマップだ。具体的には、20年に素材開発完了、23年に小型セル検証、25年に大容量セル検証、27年以降にセル量産という目標を掲げている。同社は、全固体電池の技術に関して20年3月にNature Energy誌に論文が掲載された。

 SKイノベーションは、自社ブースで「SKイノベーションの電池火災事故0件」を強調した。これは、SKイノベーションを特許侵害で提訴したLG化学への対抗を狙ったものとみられている。同社のブースには、同社の電池を採用した韓国Kia Motors(起亜自動車)のEV「Niro EV」も展示されていた。Niro EVは、Kona Electricと同格のEVである。SKイノベーションのブース担当者は「10年からエネルギー貯蔵システム(ESS)やEVに向けてバッテリーを供給しているが1度も火災は起きていない」と、火災に焦点を合わせた説明をしていた。

 SKイノベーションは、次世代電池として「Ultra Long Multi-tab Cell」も公開した。各極に1つずつだったタブをもう1つずつ追加したもので、タブを2つずつにすると性能低下を引き起こす内部抵抗を減殺する効果があるという。実用化は未定である。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020. 11.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00018/


世界で相次ぐEVリコール、電池は本当に火災事故の原因か

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 最近、世界で電気自動車(EV)のリコールが相次いでいる。その原因としてやり玉に挙がっているのは、電池や電池管理システム(BMS:Battery Management System)だ。韓国では、自動車メーカーと電池メーカー、政府機関が責任の所在を巡って争う事態に発展した。EV用電池は韓国企業が大きなシェアを占めている分野だが、世界的なリコールによって中・長期でのシェア低下を懸念する声が上がっている。

BMSアップデートがリコールなのか

 論争の引き金となったのは、韓国Hyundai Motor(現代自動車)のEV「Kona Electric」のリコールだ。同社は2020年10月16日に対象車両の回収を開始。韓国国土交通部(MOLIT、韓国の部は日本の省に相当)や米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)に同車のリコールを届け出ていた。対象は、17年9月~20年3月に生産した車両。台数は、韓国販売分が2万5564台、海外販売分(北米、欧州、中国など)が約5万1000台である。

 Kona Electricでは、18年の発売以降、14件の火災事故が発生した。リコール対象車両はBMSをアップデートするほか、電池そのものについても電池セル間の過度な電圧差や急激な温度変化といった異常の兆候があれば交換するという。

 だが、Kona Electricのユーザーはこの対応に満足していないようだ。ユーザーが開設した掲示板サイトでは、「BMSのアップデートを果たしてリコールと呼べるのか」という声が大きくなっている。

 その理由は、現代自動車がリコールを開始するよりも前の20年10月8日にMOLITが発表した報道資料にある。MOLITはKona Electricの火災事故原因について、「電池セル製造過程で正極と負極の間にある分離膜が損傷したことによって、完全充電した際に正極と負極の端子が接触して内部短絡(ショート)を引き起こし、火災が発生する可能性があると認められた」と発表していた。そのため、ユーザーは火災事故の原因が電池にあると認識し、「なぜすぐに電池を交換しないのか」と反発しているのだ。

 こうしたユーザーの声に、Kona Electricの電池を供給する韓国LG Chem(LG化学)は直ちに反応した。MOLITの報道発表と同日にLG化学は「現代自動車と共同実施した再現実験では火災が発生しなかった。火災事故の原因は、電池セルの不良とはいえない。MOLITは正確な原因が究明されていないのに発表した」と反論。LG化学は、現代自動車と協力して徹底的に原因を究明するという。

 報道によれば、Kona Electricの電池モジュールには、たくさんの企業が関わっている。電池セルはLG化学製だが、セルを組み合わせて電池パックにしているのはLG化学と韓国Hyundai Mobis(現代モービス、現代自動車系列の部品メーカー)の合弁会社である韓国HL Green Power(HLグリーンパワー)であり、BMSの開発元は同じく現代自動車系列の韓国Hyundai Kefico(現代ケフィコ)である。そして、Hyundai Mobisがこれらを組み合わせた電池モジュールの形で現代自動車に納品している。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020. 10.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00017/


SLAMのThrun氏など著名研究者が登壇、ソウルで自動運転やAIのカンファレンス開催

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韓国政府が力を注いでいるD・N・A(Data・5G Network・AI)政策の2021年予算案が確定した。予算額は約3兆1000億ウォン(約2800億円)と、前年よりも1兆2000億ウォン(約1100億円)増加した。

 用途は、「AI学習用データの追加構築」「公共データ4万4000件の追加公開」、「データ構築から公開、活用までのエコシステム強化」「官民共同研究支援(ディープラーニング高度化など)」「5Gを基盤とする政府業務ネットワークの高度化およびクラウドへの移行」「全産業における5GとAIの融合・普及」など多岐にわたる。

 韓国ではデータ・AI産業への関心と期待が高いことから、新型コロナウイルス禍でもAI関連カンファレンスは中止せず、オンラインで開催している。2020年9月23、24日には韓国科学技術情報通信部(韓国の部は日本の省に相当)とソウル市が主催する「Smart Cloud Show 2020」が開催された。

 基調講演にはSLAM技術で著名なSebastian Thrun氏が登壇した(図1)。同氏は、米グーグルの次世代技術開発を担うGoogle X Lab(現X社)や、コンピュータ科学分野のオンライン学習プラットフォーム「Udacity」の創設者などとしても知られ、韓国では「自動運転の父」として尊敬されている。

 現在は空飛ぶ自動車を手掛ける米Kitty Hawk社を創業しCEOを務めている。同氏は米国にいながら韓国の時間に合わせてオンラインでライブ講演した。主な発言は以下の通りである。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

《日経Robo

2020. 10.

 

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/rob/18/00006/00063/

テスラに翻弄される電池メーカー、低コバルト電極で反撃へ

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2020年9月22日に米Tesla(テスラ)が開催した電池事業の説明会「Battery Day」の発表内容は、電池メーカー各社に衝撃を与えた。これまで、電池メーカーにとってのテスラは、電気自動車(EV)で電池の市場を拡大してくれる存在だった。ところが一転、テスラが電池内製化の方針を打ち出したことで、電池メーカーはシェアや主導権を失うリスクが浮上した。

 テスラの主な発表内容は、以下の通りである。

  • 電池の生産能力を、22年中に100GWh/年、30年までに3TWh/年に高める
  • EV用電池パックの単位容量当たりのコスト(米ドル/kWh)を56%下げる
  • コスト削減した電池を使って価格を2万5000米ドル(約264万円)に抑えた新型EVを23年までに発売する(同社のEVで最も安価な「Model 3」よりも1万米ドル以上安い)
  • EVの生産能力を、30年までに2000万台/年に高める(20年の出荷目標は50万台)

 テスラ最高経営責任者(CEO)のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、電池を内製化できるまではパナソニックや韓国LG Chem(LG化学)、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)からの調達を増やすと語るが、生産能力の強化は着々と進んでいる。複数の欧州メディアの報道によると、テスラは、ドイツのBMWやDaimler(ダイムラー)との取引実績がある同国の生産エンジニアリング会社Assembly & Test Europe(ATW)を買収することで合意したという。

 Battery Dayの開催前は、全固体電池や、エネルギー密度が500Wh/kgを超えるような電池など画期的な技術に関する発表が期待されていた。だが、テスラが実際に公開したのは「4680」と呼ぶリチウムイオン電池セルだった。直径46mm×長さ80mmと、既存の電池セル「18650」(同18mm×65mm)や「2170」(同21mm×70mm)よりも大きなこの円筒形セルを使うことで、14%のコスト低減効果が見込めるという。

LG化学に打撃

 度肝を抜くような発表こそなかったものの、韓国ではテスラの発表がEV用電池で世界市場シェア1位(20年1~8月、容量ベース、韓国SNE Researchの調査)のLG化学にとって打撃になったとみている。EV市場の拡大は電池メーカーにとってもチャンスだが、テスラが内製化を進めれば電池メーカーが主導権を奪われるからだ。

 テスラは20年10月1日、中国で生産するModel 3の価格を、従来の27万1550人民元(約422万円、中国政府の補助金を受けた額)から24万9900人民元(約389万円、同)に下げると発表した。米Bloomberg(ブルームバーグ)の報道によると、値下げしたモデルでは、新たにCATLのリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP正極)を採用したという。正極にコバルトを含まないのが特徴である。コバルトは埋蔵量や児童労働といった問題が指摘されており、各社はコバルトフリー化の技術開発に取り組んでいる。これまでのモデルでは、パナソニックのニッケル-コバルト-アルミニウム酸リチウムイオン電池(NCA正極)や、LG化学のニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムイオン電池(NMC正極)を採用していた。テスラとCATLの関係が密接になっていることも、CATLとシェアを争うLG化学にとっては脅威である。

 LG化学は、正極におけるニッケル比率を90%に増やしてコバルト比率を5%以下に抑えたニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム酸リチウムイオン電池(NCMA正極)に力を注いでおり、米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)が21年に発売する新型EVピックアップトラックに同電池を供給するための量産準備を始めた。当初は22年までに同電池の開発を完了し、GMに供給する予定だったが、GMの計画が前倒しになったことでLG化学も量産を急いでいる。

 両社は19年12月、同電池の生産に向けた合弁会社の米Ultium Cells(アルティウム・セルズ)の設立を発表していた。出資比率は、50対50である。現在、2兆7000億ウォン(約2460億円)を投資し、30GWhの年間生産能力を持つ工場を建設中である。21年発売予定の新型EVピックアップトラックには、まずLG化学の工場で生産した電池を供給し、その後は合弁会社の工場で量産した電池を供給する計画である。

 この他、LG化学は20年6月、韓国Hyundai Motor(現代自動車)とEV用電池を生産する合弁会社をインドネシアに設立することを検討しているとも報じられた。

 

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020. 10.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00016/


半導体売れないなら「打倒ファーウェイ」、したたかなサムスン

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  米国政府の輸出規制強化に合わせて、韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)とSK hynix(SKハイニックス)は2020年9月15日から中国・華為技術(ファーウェイ)へのメモリー半導体の供給を停止した。加えて、ファーウェイにスマートフォン向け有機ELディスプレーを供給しているSamsung Display(サムスンディスプレー)とLG Display(LGディスプレー)もディスプレードライバーICに米国の技術が使われていることから、ディスプレーの供給を停止した。LGディスプレーは、ファーウェイにテレビ向け有機ELディスプレーも供給していた。

 韓国各社はファーウェイとの取引を維持するため、米商務省に輸出ライセンスを申請した。輸出ライセンスがなければファーウェイに半導体やパネルを供給できない。だが、世界シェアでトップ5のサムスン電子とSKハイニックスに輸出ライセンスを発行すると規制の意味がなくなるので、韓国勢の申請が受け入れられる可能性は非常に低いとされている。

 Kora International Trade Association(韓国貿易協会)の統計によると、20年1~7月の韓国の半導体輸出額は547億4000万米ドル(約5兆7200億円)。そのうち、中国向けは41.1%の224億8900万ドル(約2兆3500億円)、それとは別に集計している香港向けは20.8%の113億7500万ドル(約1兆1900億円)だった。香港経由で中国の各地に送られる半導体が多いとされており、韓国の半導体輸出先として中国の占める割合が非常に大きいことが分かる。

 その中でも、ファーウェイは特に大口の顧客だ。2019年のサムスン電子の売上高全体に占めるファーウェイ向けの割合は3.2%の約7兆3700億ウォン(約6600億円)、同じくSKハイニックスでは11.4%の約3兆ウォン(約2700億円)だった。ファーウェイに供給できなくなったことで在庫負担が大きくなり、メモリー半導体の価格が下落するとの懸念もある。

 スマホ市場では、ファーウェイの出荷が減ると、OPPO(オッポ)やvivo(ビボ)、小米(シャオミ)といった中国勢のシェアが増えると見込まれており、3社がメモリー半導体やディスプレーの新たな顧客になるという展望もある。しかし、米国政府が新たな規制対象にする可能性もある。

 ファーウェイへの輸出規制は今に始まったことではなく、前々から進められていたことである。そのため、韓国各社はファーウェイに代わる取引先を見つけるなど影響を最小限に抑える準備をしてきたという。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020. 9.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00015/