サムスンはファーウェイの5G半導体を造るか、米中分離で消えぬ臆測

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米中貿易摩擦で半導体業界が激変している。2020年6月16日、複数の中国メディアは、中国・華為技術(ファーウェイ)が韓国Samsung Electronics(サムスン電子)に対して5G(第5世代移動通信システム)基地局向けプロセッサーの製造を委託する可能性があると報じた。米国の禁輸措置によって、ファーウェイは自社グループで設計した半導体の製造を台湾積体電路製造(TSMC)に委託できなくなったとみられている。そこで、ファーウェイはサムスン電子に協力を求め、ファウンドリー事業の拡大を目指すサムスン電子はそれに応じるのではないかというわけだ。ただし、韓国内では「サムスン電子はファーウェイの要請を受けない」という見方の方が多い。

 サムスン電子にとってファーウェイは、5G基地局やスマートフォンで競合関係にあるが、メモリー半導体の良い顧客でもある。18~19年のサムスン電子の5大取引先にも、米Apple(アップル)や米Best Buy(ベストバイ)などと共にファーウェイの名前が挙がっている。中国メディアの報道を受けた韓国メディアの取材に対し、サムスン電子は「顧客に関することなので何も言うことはない」とノーコメントを貫いた。

メモリーへの飛び火を懸念

 6月16日に韓国で開催された全国経済人連合会(日本経済団体連合会に相当する韓国の経営者団体)の専門家座談会「米中通商戦再点火、韓国企業の対応方案」でも、この報道が話題になった。座談会ではファーウェイがTSMCの代わりに韓国企業に半導体製造を委託してきても、米国との関係を考慮すればそれに応じない方が良いのではないかという話になった。登壇者は「無理にファーウェイとの取引を拡大しようとすれば、米国の規制対象がメモリー半導体にも拡大する恐れがあり、『小利大損』の結果になる」「米国でも中国でも一方の企業と関係が深くなればもう一方の国から圧力がかかる可能性がある」などと発言し、サムスン電子はファーウェイの要請を引き受けないだろうと予測した。

 米国の規制で市場シェアを失うとも思われたファーウェイだが、5G標準技術関連で最も特許を保有しているだけに、規制ばかりでは逆に米国企業への影響も出てきているようだ。6月15日、米商務省は5Gにおける米国企業の競争力を守るためにファーウェイに対する規制を一部緩和した。5Gの国際標準化に関する活動であればファーウェイとの協力を容認するというものである。5Gの標準技術に関する特許保有件数が多いファーウェイとの協力は避けられなかったとみられる。米国政府がファーウェイを規制したことで、米国企業の5Gの競争力を落としたという声もあった。

 ドイツの特許データベース会社であるIPlytics(アイプリティクス)によると、20年2月時点で5G関連特許保有ランキングの1位はファーウェイ(3147件)だった。以下、2位はサムスン電子(2795件)、3位は中国・中興通訊(ZTE、2561件)、4位は韓国LG Electronics(LG電子、2300件)、5位はフィンランドNokia(ノキア、2149件)と続く。また、米国の市場分析会社であるStrategy Analytics(ストラテジー・アナリティクス)が同年3月時点で13社を対象に、5Gの標準仕様である3GPP(Third Generation Partnership Project)のRelease 15/16への貢献度を調べたところ、ここでもファーウェイが1位だった。この調査は「5G論文提出数」「提出した論文が技術標準グループやワーキンググループに承認された数」「3GPPの技術標準グループやワーキンググループの議長職遂行経験」など5項目によって評価したもので、ファーウェイは平均9.6点(満点は10点)を獲得した。2位はスウェーデンEricsson(エリクソン)、3位はノキア、4位は米Qualcomm(クアルコム)、5位は中国移動、6位はサムスン電子だった。

 

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

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2020. 6.

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韓国が狙う「28年に6G商用化一番乗り」、米中分離は追い風か

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 米国と中国の分離が加速する中、2020年6月1日に米国のドナルド・トランプ大統領が電話会談で主要7カ国首脳会議(G7サミット)に韓国を招待し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「喜んで招待に応じ、新型コロナウイルス防疫と経済の両面で韓国にできる役割を果たす」と答えたそうだ。トランプ大統領は、G7に韓国やオーストラリアなどを加えて、G11またはG12に拡大する構想を文大統領に説明したという。

 この構想に対して、韓国内では「韓国の発言力を高め、米中間で葛藤を仲裁できる位置に立つことでアフターコロナ時代の経済危機を克服するためにも、G7の拡大版に参加すべきだ」との声が大きい。G7拡大版への参加は、文大統領のアフターコロナ対策である「デジタルニューディール」「グリーンニューディール」にも良い影響を与えるとみられている。

 デジタルニューディールは、政府や公共機関によるIT・デジタル分野への優先的な投資で経済を回す政策である。以前も取り組んでいた「D・N・A(Data/Network/AI)普及戦略」を中心に、各企業が保有するデータを匿名化した上で売買できるようにする取引仲介プラットフォームを拡大する。現在は金融および流通分野のプラットフォームが稼働中だが、これを15分野に増やす。

 データの蓄積・加工・流通を促すデータ3法(個人情報保護法、情報通信網法、信用情報法)も改正した。豊富なデータからサービスや製品のイノベーションを起こせる環境の整備を目指す。公共データに関しては、新たに14万件を公開した。政府はスタートアップ向けに、AIアルゴリズム開発用の会話音声データや医療映像データなどの学習用データセットを提供しているが、これについても700種類を追加する。「非接触」に重点を置いた支援も実施する。

 さらに、以下の施策も進める。

  • 中央省庁と自治体の業務ネットワークを5Gに切り替える
  • 全国の小中高校38万教室と国立大学39校のサーバーやネットワーク設備を最新製品に切り替える
  • 地方の役場や村会館など4万1000カ所の公共Wi-Fiを高性能なものに交換する
  • 各地域の保健所で慢性疾患者の遠隔健康管理や、画像診療システムを使った呼吸器クリニックを始める
  • 自治体が保有する建物1562カ所に中小企業が共同利用できるテレビ会議室を設ける
  • 中小企業16万社を対象に在宅勤務を支援する
  • 社会間接資本(SOC)のデジタル化を進める

 官民連携のAIプロジェクトも進んでいる。感染病の予後予測や製造業の工程・品質管理、軍病院における医療映像判読、犯人検挙サポート、エネルギー効率化、税関違法コピー商品判読、海岸警備、地雷探知といった分野でAIを活用する。人口20万人以上の都市では5G(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)を利用した交通・防犯・防災の統合管理プラットフォームを早期構築する。自動運転テスト地区を増やすほか、システム半導体設計支援センターを新設し、ファブレスメーカーが起業して軌道に乗るまでを支援するワンストップサービスを提供する。韓国政府とサムスン電子(Samsung Electronics)、LG電子(LG Electronics)が18年から力を注ぐ「6G」投資も進める。

 一方、グリーンニューディールでは、太陽光・風力・水素の3大再生エネルギーの普及や、公共施設のゼロエネルギー化、製造業のエネルギー効率化、スマートグリーンシティー造成を目指す。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

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2020. 6.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00008/

米中分離で中立性問われるサムスン、半導体でTSMCやソニーと激突

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 2020年5月15日、半導体ファウンドリー(受託生産)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が約120億米ドル(約1兆3000億円)を投資して米国アリゾナ州に5nmプロセスの工場を設立すると発表した。2021年に着工、2024年に量産という計画である。5月18日付の日本経済新聞電子版によると、TSMCは中国・華為技術(ファーウェイ)からの新規受注を止めたという。15日に米国政府が発表した、ファーウェイへの追加規制によるものとみられる。

 この追加規制では、米国の装置やソフトウエアを使って製造した半導体をファーウェイに供給する場合、外国企業でも米国政府の承認が必要だという。ただし、メモリー半導体のような汎用品は承認が不要なので、メモリーが中心のサムスン電子(Samsung Electronics)とSKハイニックス(SK hynix)に今のところ大きな打撃はないとみられる。しかし、「TSMCがファーウェイからの新規受注を止めた結果として、アップル(Apple)やクアルコム(Qualcomm)といった米国企業の発注を韓国勢から奪う」「米国がメモリー半導体も規制対象にする」「サムスン電子とSKハイニックスがファーウェイから受注できなくなる」といったことも想定して今後の戦略を立てないといけなくなった。

ファーウェイがダメならOPPOやvivoと取引すればよい?

 韓国のメディアや証券業界では、「TSMCが新設する米国工場は、2018年に稼働開始した南京工場と同じく政治的中立性を装うための投資にすぎず、市場に大きな変化はない」という見方もあれば、「TSMCの米国工場新設は米国政府の圧力によるものなので、サムスン電子にも圧力があったはず。追加規制によるファーウェイの苦戦は、一時的にサムスン電子の5G(第5世代移動通信システム)基地局やスマートフォンのシェア増加につながるかもしれないが、メモリーも規制対象になれば業績への影響は避けられない」と米中貿易摩擦の板挟みを懸念する見方もあった。

 サムスン電子がシステム半導体での世界1位奪取に向けて強化しているファウンドリー事業の最大のライバルはTSMCである。加えて、サムスン電子にとってファーウェイは5G基地局とスマートフォンのライバルである。サムスン電子に前向きな見解としては、「TSMCがファーウェイとの取引を止めている間にサムスン電子が5nmプロセスのファウンドリーで受注を増やし、イメージセンサーのシェアも増やせれば、システム半導体で世界1位という目標に近づける」との分析もあった。韓国半導体協会は「(米国の)ファーウェイ制裁が本格化すれば、OPPO(オッポ)やvivo(ビボ)といった他の中国企業と取引すればよい。短期的には影響を受けるかもしれないが長期的には相殺される」と分析した。

 TSMCが米国工場新設を発表した直後の20年5月17日、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は新型コロナウイルス感染症拡散後としては初めて2泊3日の中国出張に出かけた。李副会長の出張には、5月から韓国と中国の間で適用された企業人入国手続き簡素化制度によって14日間の自宅隔離が免除された。出国時、相手国入国時、帰国時の計3回の検査で陰性であれば、すぐ業務にとりかかれる。

 今回の李副会長の出張は、中国陝西省西安市にあるNAND型フラッシュメモリー工場の訪問が目的だ。そのうち西安第2工場は、17年から累計150億米ドル(約1兆6200億円)規模の投資が行われており、20年4月から5月にかけて同工場増設のために韓国の技術者500人がチャーター便で現地入りした。李副会長は西安工場の社員に「成長の原動力を作るためには迫りくる巨大な変化に先制して備えないといけない」「タイミングを逃してはならない」と強調したそうだ。5月6日に実施した国民への謝罪で李副会長が述べた、新しいサムスンを作るという話にもつながる。

関連記事:不正会計疑惑で窮地のサムスン、半導体受託で「TSMC超え」に本腰

 この出張はもともと予定されていたものだったが、TSMCの米国工場新設発表によって微妙な位置付けになってしまった。サムスン電子の西安第2工場は、2019年10月に中国の李克強(リー・クォーチャン)首相も訪問した場所である。当時、韓国メディアは李首相が「米国ではなく中国と半導体分野で協力しよう」というメッセージを送るためにサムスン電子の半導体工場を視察したのではないかと解説した。サムスン電子が「中国寄り」とみられないためには、米国にも追加で投資して中立性をアピールする必要がありそうだ。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

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2020.5 .

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00007/

不正会計疑惑で窮地のサムスン、半導体受託で「TSMC超え」に本腰

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 2020年5月11日、複数の韓国メディアは、検察がサムスン電子(Samsung Electronics)李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を今週中に召喚し、「特定経済犯罪加重処罰等に関する法律」と「資本市場と金融投資業に関する法律」への違反について調査する方針だと報じた。検察の調査は、李氏が経営権を承継するためにグループ会社のサムスンバイオロジクス(Samsung Biologics)の不正会計を自ら指示したか否かに焦点を合わせている。既に会計資料を隠蔽しようとした同社の副社⻑ら8⼈が有罪になったが、不正会計そのものはまだ調査中であり結論は出ていない。検察の調査を目前に控えた同月6日、李副会長は本社ホールに記者を集めて「対国民謝罪文」を発表した。

 謝罪文には、「経営権承継に関して法に反する行為や“法の抜け道”を探すことはしない」「自分の子供には経営権を承継しない」「労働組合活動を妨害せず権利を保障する」「新しいサムスンに向けて人材を集めて新しい事業に挑戦する」といった内容が盛り込まれていた。具体的には、以下のようなものである。

  • 「今日のサムスンはグローバル一流企業に成長しました。国民の皆様の愛と関心があったからこそ成し遂げられました。しかし、その過程で時に国民の期待に応えられませんでした。むしろ失望させたり心慮を悩ませたりしたこともありました。法と倫理を厳格に順守できなかったからです」

  • 「社会とコミュニケーションし、共感するという面でも足りない点がありました。“技術と製品は一流”と賛辞されていますが、サムスンに向けられた視線は依然と厳しいです。その全ては私どもの至らない点によるものです」

  • 「私は今日、サムスンの懸案について率直な見解を申し上げます。まず、経営権承継問題についてです。これまで私とサムスンは承継問題に関して多くの叱責を受けてきました。特にサムスンエバーランド(Samsung Everland、事実上のグループ持ち株会社といわれている)とサムスンSDSの件で非難を受けました。最近は承継に関する収賄の疑いで裁判が行われています。私とサムスンを巡り提起された多くの議論は根本的にこの問題から始まりました。私はこの場ではっきり約束します。これからは経営権承継問題で議論になるようなことがないようにします。法を犯すことは決してしません。その場しのぎや倫理的に指弾されることもしません。ひたすら会社の価値を高めることだけに集中します」

  • 「私は今、もっと高く飛躍する新しいサムスンを夢見ています。絶えず革新と技術力で最もうまくできる分野に集中しながら新しい事業に果敢に挑戦します。我々の社会がより豊かになるようにしたいです。もっと多くの方々が恩恵を受けられるよう貢献したいです」

  • 「サムスンを取り巻く環境は以前と全く違うものになりました。競争はますます激しくなり、市場のルールは急変しています。危機はいつも我々のそばにあり、未来は予測できなくなりました。特にサムスン電子は、企業の規模からもIT業界の特性からも、専門性と洞察力を備えた最高レベルの経営だけが生存を担保します。これが私の抱く切迫した危機意識です。サムスンはこれからも性別・学閥・国籍を問わず立派な人材を迎え入れなくてはなりません。その人材がオーナーマインドと使命感を持って猛烈に働き、私よりも重要な位置でビジネスを導けるようにする必要があります。それが私に与えられた責任であり、使命だと思います。私がその役割を忠実に遂行すれば、サムスンはずっとサムスンであり続けられるでしょう。私は子供たちに会社の経営権を継承させないつもりです」

  • 「これまでサムスンの労組問題で傷付いた全ての方々に対して心よりおわび申し上げます。サムスン内部で“無労組経営”という言葉が出ないようにします。労使関係法令を徹底的に順守し、労働三権を確実に保障します。労使の和合と相生(共生)を図ります」

  • 「順法は決して妥協できない価値です。私は順法を重ねて誓います。順法がサムスンの文化として確実に根付くようにします」

  • 「ここ2~3カ月、前例のない危機的状況の中で、私は真の“国格”とは何かということを切実に感じました。(中略)1人の企業家として多くのことを振り返るようになり、私の肩の荷はさらに重くなりました。大韓民国の国格にふさわしい新しいサムスンを築きます」

「減刑狙いにすぎない」との見方も

 今回の謝罪文発表は、謝罪文の中にも登場する承継に関する収賄の疑いで行われている裁判と関連がある。2019年10月に裁判の過程で判事はサムスン内部に横領や賄賂犯罪をできなくする実効性のある順法監視制度の設置を求め、2020年1月には法曹界や学界など外部の専門家を招いたサムスン順法監視委員会が設立された。同委員会がサムスンの経営陣に経営権承継と労働組合問題に関して国民への謝罪と再発防止策の策定を勧めたことで、李副会長の謝罪文発表に至った。同委員会の役割はサムスングループの順法監視だが、法的拘束力があるわけではない。

 謝罪文に対する韓国メディアの反応は、「減刑狙いにすぎない」と厳しいところもあれば、「新しいサムスンに期待する」と好意的なところもある。公営放送の韓国放送公社(KBS)や総合編成チャンネル(有料放送)のJTBCは厳しい見方をしており、「李副会長に有利な条件で合併して株主に損害を与えた疑惑があるサムスン物産(Samsung C&T)と第一毛織(Cheil Industries)の問題や、この合併を進めるために朴槿恵(パク・クネ)前大統領とその友人に賄賂を渡した疑惑、サムスンバイオロジクスの不正会計については釈明しなかったこと」「2008年に李健煕(イ・ゴンヒ)会長も検察の捜査で他人名義の口座に4兆ウォン(約3517億円)を超える財産を隠していたのが発覚し、全額寄付すると発表しながら約束を守らなかったこと」を振り返りつつ、「サムスンバイオロジクスの不正会計問題捜査や、サムスン電子サービス労組活動妨害問題捜査、承継に関する収賄の疑いで行われている裁判が続いている中での(李副会長の)謝罪文発表は、減刑狙いのイベントにすぎないという批判もある」とし、サムスン電子本社前で抗議する市民団体の意見を詳しく報道した。

 さらに、KBSは「全ての疑惑の核心は、李副会長が贈与税や相続税をきちんと払わずに先代の財産を引き継ごうとしているという疑惑である。法が求めるのは誰もが法律で定めた税金を払うことであり、経営権を継承するなということではない。財産の相続は、納税の義務を果たして適法に進めるべき。経営権の継承は株主が決めること。わずか数パーセントの株しか持たない1株主が決める問題ではないはず」と指摘した。

 一方、サムスンに好意的なメディアは、謝罪文発表で減刑となる可能性が高いと分析した。懲役3年以上の判決が出た場合、執行猶予が認められないので、李副会長は2017年に前述の朴前大統領への贈賄疑惑で逮捕されたときのように拘束されるしかない。二審では賄賂とみなされた金額が一審よりも増えており、懲役5年以上の判決が下される可能性も出ているが、判事に言われた通りに委員会を設置して謝罪文も発表したことで、情状酌量の余地があるとみなされ減刑となる可能性があるという。

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

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2020.5 .

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00006/

疑わしい社員は休ませてPCR検査、韓国企業の妥協なき新型コロナ対策

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東芝の「全拠点休業」は韓国でも報道され話題になった。生産調整のために工場の操業を停止するのではなく、「感染者の拡大が継続していることを踏まえ、国内グループ全体として最大限の接触削減を目指す」ために休業するという点が、日本の感染状況の深刻さを表しているとして注目された。

 韓国では新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて、1カ月以上にわたり在宅勤務や特別休暇を実施した企業は多かったが、生産現場は防疫をしながら稼働を続けた。中国から部品が届かない、あるいは需要減で一時的に操業を停止することはあったが、感染リスク軽減のために休業するということはなかった。どの企業も、2020年1月20日に韓国を訪問した中国人観光客が新型コロナウイルスで入院したというニュースが出てからは、直ちに国内拠点の緊急防疫体制を取り始めた.

韓国の疾病管理本部によると、新規感染者数は4月22日が11人、23日が8人、24日が6人、25日が10人、26日が10人と推移しており、だいぶ落ち着いてきた。26日時点の状況は、PCR検査者数が累計59万8285人、感染者数が1万728人、隔離解除(完治)者数が8717人、死者数が242人となっている。

 

韓国の防疫モデルを国際標準として提案

 韓国の新型コロナウイルス対策については、欧米のメディアが連日称賛記事を書き、各国政府がベンチマーキングの対象としている。そのような状況を受けて、韓国の保健福祉部と産業通商資源部(韓国の部は日本の省に相当)は4月26日、韓国の防疫モデルを国際標準として提案する準備を始めたと発表した。「検査・確診」「疫学・追跡」「隔離・治療」から成る全ての手続きと手法を「K-防疫モデル」として体系的にまとめ、国際標準化機構(ISO)に提出する。この提案には、医療従事者の感染を防ぎながら大量のPCR検査を実施できるドライブスルー検査やワークスルー検査、院内感染を防止するために感染症指定医療機関や保健所の近くに設置した移動式選別診療所、軽症者を隔離するための生活治療センターの運営方式などを盛り込む。

 韓国では感染者の動線を徹底的に把握し、公表している。具体的には携帯電話の位置情報、クレジットカード使用履歴、交通機関や街中の防犯カメラなどあらゆるデータを分析して感染者の動線から接触者を探し出し、保健所が連絡して検査と隔離を実施する。

 3月にソウル市のコールセンターで社員の半数が感染する集団感染が発生したときには、疾病管理本部はコールセンターが入居している建物に5分以上滞在した人とその接触者を探し出し、計1143人にPCR検査を実施したほどだ。これ以降、他社のコールセンターも在宅勤務に切り替えるようになった。

 動線確認は本人への聞き取り調査が基本だが、記憶が曖昧なところもあるのでそれ以外のデータも利用する。3月に構築された疫学調査支援システムによって、警察や通信事業者3社、クレジットカード会社22社が持つデータを一元的に分析できるようになり、感染者の動線を10分ぐらいで確認できるようになった。これは「検疫法と感染病の予防と管理による法律」に基づいた措置である。これまでは、疫学調査員が関係各社に情報提供を要請し、個別に分析していた。ただし、個人情報保護の観点から、同システムを使えるのは疾病管理本部と自治体の疫学調査員に限定しており、他の政府機関はアクセスできない。システムの運営も新型コロナウイルス感染の終息までとあらかじめ決めている。感染経路を明確化し、感染の疑いがある人は早期隔離することで感染拡大を防いだ。現在、感染経路が不明な事例は4~5%程度にすぎない。

 

趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

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2020.5.

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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00005/

한국콘텐츠진흥원 [KOCCA] 코로나19 특집호(일본)

한국콘텐츠진흥원   

LINK   [KOCCA] 코로나19 특집호(일본)   

코로나 19 특집호 (일본
비즈니스센터)

발 행 인 : 김영준(한국콘텐츠진흥원장)

발 행 처 : 한국콘텐츠진흥원

            전라남도 나주시 교육길 35 (T.1566-1114)

집 필 자 : 조장은(KDDI연구소 특별연구원)

편 집 위 원 : 황선혜(KOCCA 일본 비즈니스센터장)

               한기은(KOCCA 일본 비즈니스센터 주임)

               권순탁(KOCCA 일본 비즈니스센터 주임)

기 획 편 집 : KOCCA 일본 비즈니스센터

내 용 문 의 : KOCCA 일본 비즈니스센터

               E. koccatokyo@kocca.kr

발 행 일 : 2020 10 19

서 명 : 코로나 19 특집호일본편

I S B N : 978-89-6514-944-6(95600)

기 관 번 호 : KOCCA 20-02

LCD撤退で有機ELにすがるサムスンとLG、新型コロナで中国工場投資に遅れも

.韓国の3大輸出品目は「半導体」「携帯電話」「ディスプレー」である。ラインアップ自体は長年変わらないが、その中身は技術の進化に合わせてシフトしている。半導体はメモリーからSoC(System on Chip)へ、携帯電話はフィーチャーフォンからスマートフォンへ、そしてディスプレーは液晶パネル(LCD)から有機EL(OLED)へと主役が移ろうとしている。

 サムスンディスプレー(Samsung Display)は2020年3月31日、テレビ向け大型LCDの生産を2020年末で打ち切ると発表した。韓国の牙山(アサン)市と中国の蘇州市にある大型LCD生産ラインを廃止する計画だ。この発表に先立ち、LGディスプレー(LG Display)も2020年1月に米国ラスベガスで開催された「CES 2020」で、「韓国のテレビ向けLCD生産は2020年を最後に大部分を整理する方針」と発表していた。両社の売り上げに占めるLCDの割合はいまだ高いが、「選択と集中」によってLCDからOLEDへとかじを切った。サムスンディスプレーの発表を受けて、韓国メディア各社は「OLEDで韓日中三国時代の幕開け」「サムスンディスプレーがLCD出口戦略を発表」「サムスンディスプレーは赤字のLCDを見切ってQD-OLED(量子ドットを用いたOLED)で勝負する」などと大きく報道した

新型コロナで早めの見切りか

 LCDからOLEDへの切り替えは、突然の決定ではない。両社共に2018年ごろから準備していた。ただし、市場ではサムスンディスプレーの大型LCD生産ライン廃止は2021年末か2022年とみていた。新型コロナウイルスの影響で全世界が不況に陥っていることから、早めに事業を再編して高付加価値のOLEDで勝負することにしたという印象もある。同社は、LCD事業部に所属している社員約3000人をQD-OLEDに配置換えするなどして雇用を維持する方針である。

 サムスンディスプレーを含むサムスン電子(Samsung Electronics)のディスプレー部門の業績は、2019年の売上高が前年比4.4%減の31兆500億ウォン(約2兆7200億円)、営業利益が同39.7%減の1兆5800億ウォン(約1386億円)だった。LGディスプレーに至っては、2019年の売上高が前年比3.5%減の23兆4755億ウォン(約2兆600億円)、営業損失が1兆3593億ウォン(約1193億円)と、営業赤字に陥っている。2017年には、サムスン電子のディスプレー部門は5兆4000億ウォン(約4736億円)、LGディスプレーは2兆4616億ウォン(約2159億円)の営業利益を稼ぎ出していたが、その後はLCDの在庫が過剰になり、価格が下落したことで業績は悪くなる一方だった。新型コロナウイルスの影響で中国のLCD工場が閉鎖され、一時期は在庫過剰が解消され価格が反騰したものの、それも長くは続かなかった。

 サムスン電子がLCD事業に参入したのは1991年。果敢な投資で日本企業を追い抜き、長年にわたって世界のトップを維持していたが、2017年にその座を中国企業に明け渡した。中国勢は、中国政府の補助金に支えられて低価格攻勢をかけながら設備投資を続けられる体力があった。その結果、大型LCD市場は“チキンレース”が繰り広げられ、売れば売るほど赤字になるという奇妙な構造になってしまった。

 2018年ごろからは、韓国のディスプレー関連人材の中国流出が止まらないという報道が目立つようになった。そして、2019年夏には、サムスンディスプレーやLGディスプレーがOLEDに集中するため、大型LCD事業の整理に向けた動きを見せていた。両社が大型LCDの生産ラインを減らし、LCD生産設備の売却を検討しているという報道が続いた。

章恩=(ITジャーナリスト)

 

 

 

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2020. 4.

 

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00004/

欧米が称賛する韓国の新型コロナ対策、普及進む在宅勤務に若者は大満足

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 韓国疾病管理本部中央防疫対策本部の発表によると、2020年3月29日時点で韓国内の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染確診者(韓国では感染を確実に診断されたという意味で確診者という)は9583人、死亡者は152人である。この時点で隔離解除者(完治者)は5033人、PCR検査を受けた人は累計39万4141人に上る。

 韓国では韓国疾病管理本部が毎日記者会見を行い、新型コロナウイルス感染状況と対策を報告するとともに、世界と韓国の新型コロナウイルス感染状況が一目で分かるようなグラフを作成して韓国語や英語、中国語でも提供している。3月13日からは完治して退院または自宅隔離解除となった人の方が新規感染者数よりも多くなり、さらに3月28日からは完治した人が感染によって治療または隔離されている人よりも多くなった。

欧米主要メディアが韓国の防疫を称賛

 韓国は一時期、中国の次に感染者が多かった。ところが、今となっては欧米の主要メディアがこぞって韓国政府の防疫を取り上げ、称賛している。「感染が広がったのは中国からの入国を禁止しなかったせいだ」と政府を批判していた韓国メディアですら、政府の対策を前向きに評価するようになってきた。

 欧米メディアが韓国の防疫に関して注目したのは以下の点である。

  • 民間企業が人工知能(AI)を使ってPCR検査診断試薬を早期に開発し、政府は緊急使用を承認したことで早期に大量検査が可能になった
  • ドライブスルー検査やウオークスルー検査など医療スタッフの感染を防止しながら大量に検査できる方法で感染者を早期発見・早期治療し完治者を増やした
  • 軽症者は病院ではなく生活治療センター(政府や企業の寮を借りて軽症者を隔離し、医療スタッフがケア)に入所させることで医療崩壊を阻止した
  • 感染者の動線を全て公開し、陰性の接触者も14日間自宅隔離させ地域感染を防止した
  • 政府による透明な情報公開で社会的信頼が形成され買い占めが起きていない
  • 都市封鎖や外出制限といった人々の移動を制限していない

 欧米メディアはこれらの施策によって死亡率が他の国に比べかなり低いと韓国の防疫を称賛していた。何といっても韓国は世界でも他に類に見ないほど累計の検査数が多い。通常、民間企業が開発した診断試薬の承認には1年はかかる。だが、韓国では中東呼吸器症候群(MERS)の経験を基に緊急使用承認制度を整備し、疾病管理本部が検討して使用できるようにした。今回は企業の申請から1週間で緊急使用承認された。治療費も「感染症の予防と管理による法律」に基づいて国が負担することになっているので、本人の負担額はない。外国人であっても、検査と治療のいずれも無料である。

 韓国では、初めて新型コロナウイルス感染者が出た2020年1月20日以降、大勢の人が集まるイベントを控えるようになった。コンサートや展示会などは全て中止、図書館やスポーツジム、プールなども無期限休業している。感染者が出始めた当初、一緒に食事をして感染が広がったケースがあったことから、その後は外食をする人が急減し、出前やテークアウトが繁盛した。人が多いところを避けるため買い物も行かず、ネットスーパーで済ませる人が増えたことでオンラインショッピング業界の売り上げは伸びた。

 韓国では2月16日まで累計感染者は30人止まりだった。完治して退院する人もいた。日曜日だった2月16日は、5日連続で新規感染者が1人も出なかったことや、1カ月も外出を控えた“コロナ疲れ”から、買い物や観光に出かける人が急増した。そこに、日本でも詳しく報道されたように大邱(テグ)市にある新興宗教団体の集会で集団感染が発生し、一気に地域感染が広がった。

章恩(ITジャナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020. 4.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00003/

全固体電池で日中に後れた韓国、サムスンの「画期的技術」で諦めムードが一変

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韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は2020年3月10日、同社の研究所であるサムスン電子総合技術院(Samsung Advanced Institute of Technology、SAIT)が全固体電池(All-Solid-State Battery)に関する画期的な技術を開発したと発表した。寿命と安全性を高めるとともに、大きさを半分にできる技術だという。併せて、研究成果の論文を学術誌「Nature Energy」に投稿し、掲載されたことも明らかにした。

関連記事:サムスンが高い体積エネルギー密度の全固体電池、デンドライトの封じ込めに成功

 これは、サムスン日本研究所(Samsung R&D Institute Japan)との共同研究成果である。論文の著者として名前が載っているのは韓国の研究員8人、日本の研究員8人、計16人に及ぶ。そのことからも、同社において全固体電池の大きな研究プロジェクトが進められていることは間違いないだろう。

Nature Energy誌掲載論文:High-energy long-cycling all-solid-state lithium metal batteries enabled by silver–carbon composite anodes

 全固体電池は、電池の正極と負極の間にある電解質として液体ではなく固体を使うことで、熱や外部の衝撃に対して強くなり、安全性を確保している。将来的にはリチウムイオン電池の性能を上回るともみられ、電気自動車(EV)向け次世代電池として注目されている。そのため、韓国メディアは「サムスン電子が驚異的な技術を開発した」と大々的に報道した。

 SAITは、1987年に開設されたサムスングループの研究開発組織である。未来のための基礎研究と核心技術の開発を手掛けており、頻繁に著名な学術誌に投稿し、研究成果を認められている。全固体電池を巡っては、グループのサムスンSDIが2013年に全固体電池を公開したほか、SAITも2015年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)との共同研究成果を発表している。さらに、2018年6月にはソウル市内でサムスン電子主催の「全固体電池フォーラム(Solid-State Batteries Forum)」も開催した。同フォーラムでは、トヨタ自動車の小谷幸成氏や、米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado Boulder)教授のイ・セヒ(Sehee Lee)氏など著名な専門家が登壇し、次世代電池の研究動向について紹介した。

 全固体電池はまだ技術的な課題が多い。SAITによると、全固体電池では負極にリチウム金属を使うが、リチウム金属には「デンドライト問題」が付きまとう。これは、電池の充放時に電極間を移動するリチウムが負極表面に析出する枝のような結晶体(デンドライト、Dendrite)が電池の分離膜を破壊し、寿命と安全性が低下するという問題である。SAITはこの問題を解決すべく、負極に厚さ5㎛の銀-炭素ナノ粒子複合層(Ag-C Nanocomposite Layer)を設けた「析出型リチウム負極技術」を適用した。これは世界で初めての試みだという。

 前出の論文によれば、この薄いAg-C層はリチウムの析出を効果的に制御できることが示されたそうだ。これによって「EVに搭載したときの航続距離800km、1000回以上充電可能」というような、高性能かつ長寿命の全固体電池を作れるようになったという。

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 章恩(ITジャナリスト)

 

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2020.3

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00002/

初回分完売のサムスン縦折り畳みスマホ、超薄型ガラスへの投資が結実

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韓国では新型コロナウイルス感染拡大の影響で個人消費が落ち込む中、サムスン電子(Samsung Electronics)が2020年2月14日に発売した縦型折り畳みスマートフォン「Galaxy Z Flip」が予想以上の売れ行きを見せている。日本では、KDDIの独占販売で、同月28日に発売された。

 サムスン電子は、Galaxy Z Flipと併せて「Galaxy S20」シリーズも同月11日に公開した。S20シリーズは、韓国で5G(第5世代移動通信システム)対応スマホとして同月27日に販売が開始した。当初は3月6日発売と宣伝していたが、新型コロナウイルスの影響で販売店に足を運ぶ人が激減したため、通信事業者3社は発売を前倒ししてインターネット販売に熱を上げている。

2000年代を思い出させる光景がSNSに

 韓国ではS20シリーズも人気だが、SNS(交流サイト)で話題になっているのはZ Flipのほうである。「Galaxy Fold」に続くサムスン電子にとって2番目の折り畳みスマホであり、手のひらに収まるサイズが特徴だ。米国では、貝殻のように開くデザインから「クラム・シェル・タイプ」に分類されている。韓国や中国では、日本円で約15万円という価格にもかかわらず、初回分が数分で完売し、年間目標の250万台を軽く超えそうな勢いである。

 韓国ではZ Flipは特に女性に人気で、Z Flipにストラップをじゃらじゃらと付けたり、シールを貼ったりと、SNSには2000年代の携帯電話を思い出させる写真がたくさん投稿されている。

 Z Flipのメインディスプレーには、約6.7インチ型のアクティブマトリクス式有機ELディスプレー(AMOLED)「Dynamic AMOLED」を採用した。アスペクト比は約22:9、解像度は2636×1080画素。折り畳み可能で、インカメラ用の穴がある「Infinity-O Flex Display」と呼ばれるものだ。

 Z Flipのディスプレー保護材には、超薄型ガラス素材の「Ultra-thin Glass(UTG)」を採用した。UTGは、厚さが30μm程度のガラスに添加剤を注入し、折り曲げても割れないようにしたものである。第三者検査・認証機関であるフランスのビューローベリタス(Bureau Veritas)によって、「20万回折り曲げても問題ない」という認証を受けた。Foldでは、ディスプレー保護材に透明ポリイミドフィルムを使っていた。

 カバーディスプレーは約1.05インチ型のAMOLED「Super AMOLED」。アウトカメラとしていずれも約1200万画素の超広角カメラと広角カメラを1つずつ計2つ、インカメラとして約1000万画素のカメラを1つ備える。RAMは8Gバイト、ROMは256Gバイト。バッテリー容量(公称)は3300mAh。重さは約183gである。

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趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

<<NIKKEI X TECH>>

2020. 3.

-Original column

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00001/