きっかけはやっぱり“アレ”? 韓国で普及始まったVRとヘッドマウントディスプレイ [2016年4月22日]

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4月19日、韓国の大手新聞である中央日報で面白い記事を見つけた。ソウル市郊外のある高校で、生徒達が集まってサムスン電子のGearVRのようなヘッドマウントディスプレイでAV動画を観ていたのを教師が見つけ、騒ぎになったというのだ。

 さっそく保護者からは、教育目的以外に学校でヘッドマウントディスプレイの使用を禁じるべきとの声も出ているようだ。市民団体も「教育部(部は省)は学校におけるVR機器類の健全な活用ガイドラインを設けるべき」と主張している。


写真●サムスン電子のGearVR(出所:サムスン電子)
韓国ではサムスン電子がGALAXYS7発売イベントで早期購入者にGearVRを無料贈呈するなど、VRがますます注目されている。高校では学生たちがヘッドマウントディスプレイでAVを視聴し教師に見つかるなどの騒ぎもあった。

 この記事の内容はこうだ。韓国のオークションサイトや中古デバイス販売サイトには、ヘッドマウントディスプレイにVR動画を数十ギガバイト分セットにして販売するという書き込みが増えている。そのVR動画の中身はAVで、青少年たちが「パソコンやスマートフォンと違って、家族に見つかることなく楽しめる」として購入している。

 もちろん、こういう形でAV動画をコピーして販売すること、特に青少年に販売するのは犯罪だ。著作権の有無に関係なく、情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律により、情報通信網を通じて淫乱な符号、文言、音響、画像、映像を配布・販売・レンタルしたり公然に展示した場合、1年以下の懲役または1000万ウォン以下(約100万円)の罰金になる。

 利益を得る目的で青少年に有害媒体物を流布または販売、観覧、利用できるように提供した人は、3年以下の懲役または2000万ウォン(約200万円)以下の罰金になる。韓国の警察は常にモニタリングをして、VRで制作されたわいせつ物の流布を取り締まっている。だが、業者は隠語を使うなど巧妙に取引しているため、とても難しいようだ。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン

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サイバー選挙不正監視団に個人生放送──韓国の選挙運動はインターネット中心 [2016年4月15日]

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 4月13日、韓国全土で国会議員を選出する選挙が行われた。ポータルサイトごとに選挙特設コーナーが作られ、大いに盛り上がった。IT大国韓国の選挙運動は、インターネット、特にSNSの影響力がかなり大きい。Twitter、Instagram、Line、KakaoTalkなどSNSを使った選挙運動は、古典中の古典である。昔は候補者の家族やボランティア支持者らがSNSで支持を訴えたが、最近は専門業者を使いSNS選挙運動を行う候補者もいる。

 投票前日の12日には、不法SNS選挙運動をしたとして、選挙管理委員会が候補者の一人を検察に告発するという前代未聞のケースもあった。2016年1月に、この候補者はオンラインマーケティング会社に約130万円でSNSモニタリングを依頼。オンラインマーケティング会社は、社員数人の名義でTwitter、NAVERなどSNSや検索サイト、ブログのIDを61個作り、この候補を支持する書き込みを3カ月間で1231件残した。検索サイトでこの候補の名前と選挙区を繰り返し検索し、キーワードランキングに登場するようにもした。

 韓国の選挙法では、候補者ごとに選挙事務所以外の場所に組織を置いて選挙運動することを禁じている。選挙管理委員会は、この会社がしたことは選挙事務所以外の組織による選挙運動に当たり、SNSモニタリング業務から大きくかけ離れているため不法選挙運動であると判断し、候補者を告発した。選挙管理委員会は韓国の国家機関で、選挙と投票、政治資金管理に関する業務を担当している。


画面●ポータルサイトDAUMの選挙特設コーナー
選挙関連ニュースや話題の動画、ネットユーザーらは選挙関連でどんなキーワードを検索しているのかなど一目で分かるようになっている

 この摘発は、選挙管理委員会内にある「サイバー選挙犯罪対応センター」が、オンライン上の不法選挙運動を摘発するため開発したオンライン証拠分析システムによるものである。韓国の選挙管理委員会内には、「サイバー公正選挙支援団(サイバー選挙不正監視団)」という組織もある。


次ページ: サイバー公正選挙支援団は、選挙前になると選挙管理委員会が公募する。4カ月ほどの短期雇用であるが、政党に所属し…



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン

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人工知能ショック!?韓国政府が国産スーパーコンピュータ開発プロジェクト開始 [2016年4月8日]

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以前お伝えした人工知能と人間の囲碁対局(AI囲碁・AlphaGoとプロの対局に韓国中が大騒ぎ、インターネット生中継同時接続65万人アクセス)以降、韓国では人工知能に対する関心がますますヒートアップしている。

 プロ棋士イ・セドル九段に勝った人工知能AlphaGoの中身は、CPU1202個、GPU176個を搭載したスーパーコンピュータだとして、韓国メディアは人工知能研究の基礎となるスーパーコンピュータ開発にもっと積極的に取り組むべきだ、と盛り上がっている。

 世界のスーパーコンピュータ業界は、米国、日本、中国が先頭に立っている。スーパーコンピュータの最新ランキングTOP500(2015年11月時点)を見ると、世界1位のスーパーコンピュータは中国の国防科学技術大学が開発した「Tianhe-2 (MilkyWay-2)」、2位は米国Cray Inc.が開発した「Titan」、3位は米国IBMが開発した「Sequoia」、4位は日本の富士通が開発した「K computer(京)」、5位は米国IBMが開発した「Mira」だった。世界スーパーコンピュータ上位500位の内半分近くが、米国内にある。

 4位のK computerは日本の理化学研究所に設置されているもので、韓国メディアは「世界でもっとも高額の開発費を投じた(1120億円)スーパーコンピュータ」として紹介している。

 韓国産スーパーコンピュータは世界トップレベルからは程遠い、まだまだ開発途上の状態である。韓国の気象庁が使っているスーパーコンピュータは、米Crayのものである。2012年に雷という意味の国産スーパーコンピュータ「CHUNDOONG」を開発したことはあるが、ぱっとしない。


写真●米国CRYA社のスーパーコンピュータX30
韓国気象庁が2014年導入したスーパーコンピュータは米国CRYA社のX30。世界スーパーコンピュータ業界は米国、日本、中国がトップで韓国はまだ開発途上段階である。韓国政府は国をあげて国産スーパーコンピュータを開発することにした。

 そこで韓国未来創造科学部(部は省)は2016年4月4日、今後10年間毎年100億ウォン(約10億円)ずつ、国産スーパーコンピュータ開発に投資する計画を発表した。韓国政府が国を挙げて国産スーパーコンピュータの開発に投資するのは、これが初めてである。

 産学連携「超高性能コンピューティング事業団」を上半期中に設立し、人工知能研究とビッグデータ分析に役立つスーパーコンピュータを開発する。同事業団のメンバーは公募で集める。同事業団内にコンソーシアムをいくつも作り、競争させる。


次ページ: このプロジェクトには、大学で育てた人材が研究を続けられる場を求めて海外に行ってしまうことを防ぐ目的もある。韓…



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン

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簡単決済「サムスンペイ」4億人ユーザーがいる中国へ進出、アップルペイやアリペイと本格競争 [2016年4月4日]

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サムスン電子のスマートフォン「GALAXY」でできるモバイルペイメント「サムスンペイ」が、韓国、米国に続いて中国にも進出した。3月29日に、中国最大のクレジットカード会社「ユニオンペイ(銀聯)」と提携して、中国全土で決済サービスを開始した。

 サムスンペイは、ユニオンペイの他に中国工商銀行、中国建設銀行など主要銀行9社のクレジットカードとデビッドカードにも対応している。近いうちに、中国銀行・北京銀行など6社とさらに提携する計画があることも明かした。


写真●サムスンペイのWebサイト
アリババと米アップルがしのぎを削る中国市場に進出した(出所:韓国サムスン)

 サムスンペイは、GALAXY(S7、S7Edge、S6Edge+、Note5)にプリインストールされているアプリに、クレジットカードや銀行口座情報を登録して使う。決済の際は指紋認証を利用するなど、高いレベルのセキュリティを保証する。Magnetic Secure Transmission(MST)という技術を採用しており、支払時は既存のプラスチックカードをスワイプしたり差し込んで使うクレジットカード決済機にGALAXYをタッチするだけ。加盟店側が新しいリーダー機を揃える必要がなく、簡単に導入できる。

 GALAXYの画面を下から上にタッチするだけで、サムスンペイのアプリが立ち上がる。左右にスクロールして、決済に使いたいクレジットカードを選ぶ。すぐ決済画面が出てくるので、財布からクレジットカードを出すより早く決済できてしまうほどだ。NFC方式のATMにも対応しているので、お金を引き出す時も便利である。

 サムスン電子無線事業部のイ・インジョン副社長は、「中国のGALAXYユーザーが、より安全に便利にサムスンペイを利用できるようにしたい。韓国と米国では、サムスンペイの使用頻度、決済金額など、全てにおいて成功している」であるとコメントした。


次ページ: 2015年8月サービスが始まったサムスンペイは、3月24日付で韓国内利用者250万人、米国内利用者250万人…

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン

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iPhone SE公開で火が付いた、サムスン電子・LG電子・アップルの格安スマートフォン競争 [2016年3月25日]

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3月21日、米アップルが格安スマートフォン「iPhone SE」を公開した。韓国のサムスン電子もLG電子も、新興国向け格安スマートフォンに力を入れている。格安スマートフォンでは、1万円台の商品を数多く揃えた中国メーカーが圧倒的に強い。

 スマートフォンの普及率は頭打ち、プレミアムスマートフォンだけでは、販売台数を伸ばすのには限界がある。ハイエンド競争をしていたサムスン電子・LG電子・アップルも格安競争で新興国を狙い、既存ユーザーが複数台使うような需要を生み出さなければならない状況になってしまった。

 iPhone SEの端末価格は、16GBが399ドルと既存のiPhoneに比べ半額程度にまで安くなった。4インチと画面が小さいが、カメラは1200万画素、最新プロセッサーのA9チップ搭載、指紋認識機能搭載、メタルボディーなど、中身とデザインは安っぽくはない。カラーもブラック、シルバー、ゴールド、ローズゴールドと、人気のカラーをすべて揃えた。

 韓国では、「2013年秋に発売して失敗した、値段も中身も格安のiPhone 5Cとは全然違う」と高く評価されている。最近のスマートフォンは画面が大きすぎて逆に不便、と思っていたユーザーを中心に、4インチのiPhone SEの韓国発売を待っている。今のところiPhone SEの韓国発売日は未定だが、iPhone6sと同じく先に発売日が決まった日本に行って買ってくる人がかなりいそうだ。

 iPhone SEの発売により、サムスン電子とLG電子の格安スマートフォン戦略に、再び注目が集まっている。サムスン電子の格安スマートフォンラインアップは、GALAXY AシリーズとJシリーズ、LG電子はXシリーズだ。

 サムスン電子は、格安スマートフォンGALAXY A3を、アップルより一足早い3月8日に発売した。4.7インチ、1300万画素、バッテリーは2300mAh、クアッドコアの Exynos搭載と、中身は格安ではないが端末価格は約3万6000円に抑えた。


写真●GALAXY J1 mini
3月フィリピンで発売したサムスン電子の88ドルスマートフォン。シンプルな機能で最大限値段を抑えた(サムスン電子提供)

 サムスン電子は3月11日に、フィリピンでさらに低価格のスマートフォン「GALAXY J1 mini」を発売した。端末価格は88ドル、4インチの画面に500万画素カメラとシンプルな機能。初めてスマートフォンを購入する人を狙った端末である。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン

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AI囲碁・AlphaGoとプロの対局に韓国中が大騒ぎ、インターネット生中継同時接続65万人アクセス [2016年3月22日]

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「人間VS人工知能の頭脳対決」という見出しで騒がれた囲碁対局が、韓国で大騒ぎになった。3月9日から15日までソウル市内のホテルで行われた「グーグルディープマインドチャレンジ」では、グーグルディープマインドが開発した人工知能のAlphaGoと、韓国人でランキング世界4位の囲碁棋士イ・セドル九段が対局した。勝者には、100万ドルの賞金が贈られる。

 AlphaGoは、自ら学習するディープラーニングという機能を持つ最新人工知能である。1秒当たり10万通りの可能性を検討できるので、無敵ともいえる。それができるのは、AlphaGoにCPU(Central Processing Unit)1202個、GPU(Graphics Processing Unit)176個搭載しているからだ。

 一般にGPUは、CPUより短い時間で大量のデータ処理ができる。大体GPU12個が、CPU2000個を搭載した時とほぼ同じ性能を持つそうだ。GPUはヘルスケア、自動車、金融サービス、ロボットなど幅広い分野で、今の状態からこれから起きることを予測して人間にアドバイスする人工知能に使われている。


グーグルディープマインドが開発したAlphaGo
AlphaGoは囲碁をする人工知能である。ソウル市内のホテルで韓国人棋士イ・セドル九段とAlphaGoの対局が行われ、韓国では人間と人工知能の対決だとして注目された。

 こうした機能から、韓国では「AlphaGoとイ・セドル九段1人が対決するのは公平な勝負ではない。囲碁棋士数十人が対局しないと、対等とはいえない」という声もあったほどだ。

 それでも第4局で、イ・セドル九段はAlphaGoに勝利した。韓国メディアは、「人間が人工知能に勝つのは、これが最初で最後かもしれない」と報道した。AlphaGoは以前、中国出身の欧州チャンピオンの囲碁棋士と対戦したことがあるが、全勝した。なぜ負けたかを自ら分析して学習し終えているはずなので、AlphaGoはもう弱点がないはずという意味である。

 今回の対局期間中驚いたのは、電車やバスの中で年配の人までも「AlphaGoが~」「グーグルが~」と普通に話題にしていたことだ。馴染み深い囲碁対決だったせいか、人工知能に興味がある人だけに限らず、子供からお年寄りまで全国民が対決を見守った。

 3月15日に行われた最終戦の第5局は、イ・セドル九段の負け。人間VS人工知能の対局は、計1勝4敗と人間の負けとなった。しかし、人工知能には勝てないと予想されていたイ・セドル九段が、第4局で見事AlphaGoに勝利したことで、グーグルディープマインドチャレンジの注目度はさらに高まった。

 第4局までは、対局を生中継したのはYoutubeとポータルサイトのインターネット放送、ケーブルテレビの囲碁チャンネルだった。それが第5局は、韓国の地上波放送3社全てが対局を生中継した。

 地上波放送3社は、5時間もかかった第5局を最初から最後までテレビで生中継した。それだけではない。放送局のホームページで、インターネット生中継も行った。テレビとインターネット、それぞれ知名度のあるキャスターと解説者、コメンテーターを用意し、囲碁が分からない人も囲碁がうまい人も楽しめるようにした。

 地上波・ケーブル・インターネット放送の視聴率競争は、凄まじいものだった。例えばケーブルテレビの報道チャンネルの生中継では、美人アマチュア囲碁棋士を解説者として投入した。ケーブルテレビ局の中には、人気のスポーツキャスターと囲碁好きサッカー解説者を登場させ、スポーツ中継のように盛り上げたところもあった。第5局を生中継したのは地上波・ケーブル合わせて10チャンネルで、全チャンネルの視聴率を合わせると9.5%になる。

 韓国の最大手ポータルサイトNAVERの発表によると、NAVERの第5局インターネット生中継は、同時接続だけで65万人を超えたほどの人気だった。NAVERのプロ野球中継が同時接続30~40万人程度なので、どれだけ注目を浴びたかが分かる。

 これほどたくさんのチャンネルが対局を中継できたのは、韓国棋院(韓国の囲碁発展と棋士育成のために設立した財団法人)が、グーグルから韓国語放送中継権と韓国インターネット放送送出権を獲得したからだった。韓国棋院は「どの媒体でも中継できるようにしたので、インターネット上の個人放送局まで入れると中継を行った媒体の数は数えきれない」という。

 イ・セドル九段は5回の対局を終えて、「大いに楽しんだ。この敗北はイ・セドルの敗北であって人類の敗北ではない」とコメントした。韓国では、AlphaGoとイ・セドル九段の対局はAlphaGoが勝っても「人間の勝利」だという声も登場した。人工知能を作ったのも人間で、人工知能に勝つのも人間だからだ。また、イ・セドル九段が1勝したことで、AlphaGoはさらに囲碁の戦略を学んだと言える。イ・セドル九段は、人工知能の研究にも大きな貢献をしたことになる。

 AlphaGoは、韓国に囲碁ブームを巻き起こした。グーグルディープマインドチャレンジが始まる前に比べて、子供向けに囲碁を教えるサイトや囲碁ゲームアプリの利用者数は急増。囲碁の基礎を教える本も、飛ぶように売れているのだとか。



趙 章恩=(ITジャナリスト)

日経パソコン

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http://pc.nikkeibp.co.jp/atcl/NPC/15/262980/031900070/

担任先生のSNSをチェックする韓国の保護者、教師にネット上の自由はない? [2016年3月11日]

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日本より1カ月早い3月が新学期の韓国。最大手新聞である「朝鮮日報」の3月8日付特集によると、新学期早々学校では保護者と教師の間でSNSトラブルが発生したようだ。小中高校生の子を持つ保護者達が、無料メッセージアプリを使って担任教師に始終メッセージを送り、担任先生のSNSもチェック、というかSNSの書き込みや写真を監視してあれこれ文句をいうらしい。たまりかねて、スマートフォンをやめてガラケーに機種変更する教師もいるのだとか。

 韓国の場合、無料メッセンジャーのKAKAO TALKが「国民アプリ」として定着した。プライベートでも仕事でも、メールの代わりにKAKAO TALKを使ってメッセージを送り、KAKAO TALKの無料通話を利用するのが当たり前になった。


写真●KAKAO STORY 韓国の国民的人気アプリである無料メッセージアプリKAKAO TALKが提供する写真投稿型SNS
韓国では担任先生のKAKAO STORYをチェックしてあれこれ文句をいう保護者が少なくなく、学校側が教師のSNS利用を制限する、教師がスマートフォンをやめてガラケーに機種変更するなどの事態が起こっている。

 韓国の場合、学校では担任先生の携帯電話番号を保護者に教えることが多い。子供のことで相談があるときは、学校の教務担当者ではなくダイレクトに担任先生に電話して話すのが一般的だ。

 筆者の周りは教師が多い。保護者からKAKAO TALKのメッセージが送られてくるのは日常茶飯事で、夜11時過ぎに進学相談がしたいとメッセージを送ってきたり、朝6時に電話をかけてきたりする保護者もいるという。彼らは「学生の事だから仕方ない」と嫌がらず対応している。韓国の小中高校生のほとんどがスマートフォンを使っているので、学生からも頻繁にKAKAO TALKのメッセージが届く。


次ページ: 学校によっては家でスマートフォンを使うのはいいが、学校に持って来てはならないというルールを作るところもある。…


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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GREE撤退も韓国モバイルゲーム市場の成長続く、政府はVRゲーム育成計画発表 [2016年3月4日]

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3月2日、韓国メディアは、日本のソーシャルゲーム会社「GREE」が韓国市場から撤退を決めたと報じた。GREEコリアのゲーム配信は、既に終了した。GREEは、2011年10月韓国に進出した。2012年2月頃までは、韓国の新聞はGREEが韓国ゲーム市場を攻略するため、ヘッドハンターに依頼し巨額の年俸で大々的に人材をスカウトしていると報じたものだ。GREEは2011年韓国最大手キャリアSKテレコムと提携、SKテレコムのコンテンツマーケットであるTストア向けにソーシャルゲームを提供していた。

 2012年当時の韓国新聞記事を検索してみると、GREEが韓国市場に興味を持った理由は、ゲームの制作レベルが高く開発人材が多いことと、長期的には日本と中国をつなぐ橋渡し役をするのではないかという期待からだという。

 GREEは韓国から撤退したが、韓国のモバイルゲーム市場は相変わらず成長を続けている。韓国文化体育観光部(部は省にあたる)の「2015大韓民国ゲーム白書」によると、2015年度の韓国ゲーム市場規模は前年比6.1%増の10兆5788億ウォン(約1.6兆円)で、この内オンラインゲームは前年比2.6%増の5兆6847億ウォン(約5700億円)、モバイルゲームは前年比23.3%増の3兆5916億ウォン(約3600億円)を占めている。

 モバイルゲーム市場規模は、2012年まで8009億ウォン(約800億円)程度だったのがここまで成長した。コンソールゲーム、ビデオゲーム市場は伸び悩んでいるものの、モバイルゲーム市場はスマートフォンの普及率が国民の85%を超えたのと新作が出続けていることから、高い成長率を記録した。


「みんなのマーブル」(出所:Netmarble Games)
国民の約85%がスマホユーザーの韓国ではモバイルゲーム市場が成長し続けている。

 韓国のオンラインゲーム市場は、Netmarble Games、Nexon、NCSOFTの3社が握っているといっても過言ではない。3社の内、モバイルゲームに集中したNetmarble GamesとNexonは、2015年度の営業利益がそれぞれ117.7%、37%も増加した。

 Netmarble Games はモバイルゲームだけサービスするようになってから、売上高が1兆ウォン(約1000億円)を超えた。Netmarble Gamesの代表作ともいえる「みんなのマーブル」は、国民的人気ゲームである。Nexonは、2015年秋に公開した新作「HIT」が名前通りに大ヒットした。アップルのAppStoreでもGoogle Playでも、ゲームアプリ人気ランキングはこの2社が上位を埋め尽くしている。


「HIT」スクリーンショット(出所:NEXON)
韓国のモバイルゲーム市場はNetmarble GamesとNEXONが大きな影響力を持つ。両社の2015年度営業利益は、それぞれ前年比117%、37%増加した。

韓国メディアが見たMWC2016、スマホ新機種「G5」絶賛でLGは株価上昇、サムスンはVRで市場開拓 [2016年2月26日]

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韓国でも大注目のMWC2016だが、今年はなんといってもLG電子のスマートフォン新機種「G5」が話題をさらった。

 「G5」が、韓国だけでなく海外メディアにも「新しいスマートフォン」と好評を得たことで、MWC2016開幕後LG電子の株価が上昇したほどだった。2月22日LG電子の株価は前日より2.8%上昇、LG電子の持ち株会社であるLGは6.03%、LG電子にスマートフォンの部品を供給するLGイノテックは2.82%、LGディスプレイ社は1.52%株価が上昇した。LG電子にG5のメタルケースを納品したアイエムテックは、株価が前日より19%も上昇した。

 韓国の証券会社らは、「スマートフォンの中身はもちろん、ハードウエアまでイノベーションしたところが株価を押し上げた。LG電子はスマートフォンの限界を超えてみせた。G5は1060万台は売れ、Gシリーズの歴代最多販売台数を更新するに違いない。モジュール型スマートフォンという、他の会社には真似出来ないビジネスモデルを作った」と高く評価した。

 一方、新機種「S7」を発表したサムスン電子の株価には、あまり変化はなかった。韓国メディアは「S7はS6に比べ、防水機能の他にこれといって斬新な機能がない。期待しすぎた」とまで酷評した。

 韓国のユーザーにとって、LG電子のイメージはいつも控えめ、マーケティングが下手な職人グループという感じである。それが今年のMWCでは、サムスン電子と同日、5時間前に新機種を公開し、話題をさらった。


LG電子「G5」(出所:LG電子)
MWC2016でLG電子が公開したスマートフォン新機種「G5」。モジュール型スマートフォンといって色々な部品を装着して違う機能を楽しめるのが特徴だ。

 驚いたのは、スマートフォンにモジュールを装着させることで、スマートフォンが色々なデバイスに早変わりするところだ。バッテリーの部分を動かして着せ替えるだけで、デジタルカメラの形に変わったり、オーディオになったりする。オーディオは、世界的に有名なBang&OlufsenのカジュアルブランドB&O PLAYとのコラボ。32ビット、384kHzの音源(ハイレゾ)も再生できる。

 G5本体もスマートフォンも素晴らしい。通常の78度画角カメラと135度広角カメラのデュアル搭載。自撮り棒がなくても顔がドアップにならないのはもちろん、より広い風景を写真に収められる。一般に、人の視野は平均120度と言われており、135度の広角というのは自分の目で見るより広い。

 さらに、Pop-out Pictureといって、二つのカメラで同時に撮影をし、写真を重ねて1枚にする機能もある。写真をより立体に見せる効果があるので、アート感覚で自分なりの作品を作ることもできる。スマートフォンで写真を撮ってSNSに載せるのが大好きな人にとって、「G5」はこの上ない端末である。


次ページ: サムスン電子は「S7」が「G5」に押され気味になると、すぐ話題をVR(仮想現実)に変えた。2月23日から、韓…



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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点字が読めるスマートウォッチ登場、MWC2016では韓国のスタートアップに注目 [2016年2月19日]

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今年のMWC2016は、韓国のスタートアップに注目すると面白い発見がありそうだ。

 韓国のキャリアSKテレコムが投資したスタートアップ「DOT」が、点字スマートウォッチをMWC2016(Mobile World Congress)で公開することにした。MWC2016は、2月22日にはスペインで開催される世界最大規模のモバイル展示会である。

 点字スマートウォッチは、SNSやショートメッセージ、メールなど届いたメッセージを点字にして表示する腕時計型端末。SKテレコムとDOTは、「世界初」の点字スマートウォッチと宣伝している。今まで時間を教えてくれる点字時計はあっても、メッセージを点字に変えてくれるスマートウォッチはなかったという。

 点字スマートウォッチには30本のピンが内蔵されていて、このピンが動きテキストメッセージを点字に変える。今までは視覚障碍者のためにSNSのメッセージやメールのテキストを音声で読んでくれる、TTS(Text-to-Speech)が使われていた。

「Dot」の点字スマートウォッチ
韓国のスタートアップ「Dot」が制作した点字スマートウォッチ。30本のピンが動き、点字でメッセージを読んだり電子本を読んだりすることができる

 DOT側の説明によると、視覚障碍者らは「家にいるときはいいが、外でメッセージを確認する場合、他の人にも聞こえてしまうので嫌だ」「いちいち立ち止まって安全な場所を確保してイヤホンを取り出して聴くのが不便」「歩きながらイヤホンでメッセージを聞くのは非常に危険なのでしたくない」という不満を漏らしていたと言う。視覚障碍者がプライバシーを守りながら、電車の中や立ち止まった時にさらっとメッセージを確認できるようにするにはどうしたらいいのか考えた結果、点字スマートウォッチを思いついたのだという。

 点字スマートウォッチには、点字を教育する機能もついている。DOTが調べたところ、世界中で出版された本の内、点字本になっている割合は1%に満たないそうだ。電子本を点字に変えることができれば、点字本がなくても点字で本が読めるので、視覚障碍者には嬉しい機能である。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
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