「韓国スマートヘルスケア最前線」「診療情報を全国の病院で共有」、国は本腰も現場は反発 [2015年09月02日]

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 韓国の保健政策を担当する保健福祉部(部は省)は2015年8月から、全国の医療機関の診療情報を医療機関同士で共有できるプラットフォームの構築に着手した。個人もこのプラットフォームにアクセスすると、全国の医療機関で受診した診療情報を確認できるようになる。

 「国家診療情報共同活用事業」と呼ぶこのプロジェクトは2004年に始まったもの。保健・医療用語の標準化作業や、医院と総合病院間・地域病院間の診療情報共有実証実験を経て、ようやくプラットフォーム構築のスタートラインに立った。準備期間だけで12年に及ぶ一大プロジェクトだ。

 2015年内にシステム設計を終え、2017年中には全国の医療機関が本格的にプラットフォーム上で診療情報を相互利用できるようにする。医療機関が共有できる診療情報は、患者の同意を得た項目だけにする。

 プラットフォーム構築はキャリア大手のKTと名門私立大学である延世(ヨンセ)大学病院の合弁会社である「フーヘルスケア」、およびシステム構築会社の「ティープラス」のコンソーシアムが担当する。

韓国の大邱市に数ある病院の中でも、長い歴史を持つKeimyung University Dongsan Medical Center の外観(この病院は本文とは直接関係ありません)


患者にも医療機関にもメリット見込む

 診療情報の共有とは、地域や規模に関係なくすべての医療機関が患者の診療情報・検査記録などの医療情報を共通プラットフォーム上に保存し、共同活用することを指す。医療機関の間で行う診療依頼や転院手続きもこのプラットフォーム上で行えるため、患者は書類をそろえて別の病院に行く必要がなくなる。転院の際に診療記録のコピーを持参しなくても治療を継続できるので、手数料や診療費を節約することもできる。

 医療機関の間で診療情報などを共有できるようになれば、患者の立場からは、病院を変えるたびに検査し直す必要がなくなり、すぐに専門医の診療を開始できる。重複検査がなくなれば、患者が病院ですごす時間に検査などによる苦痛を減らせるメリットもある。複数の病院に通う患者の場合、薬手帳を持っていなくても、医療機関が確認して同じ薬を重複処方しないよう調整可能だ。

 救急で病院に運ばれた時も、プラットフォーム上の診療情報を参照してすぐに処置してもらえる。例えばMARSのような感染病が発生した場合、プラットフォーム上の診療情報を確認すれば、感染者と同じ病室にいたとか、感染者と同じ病院に通っていたなどの情報がすぐわかり、すばやく対処できる。

 保健福祉部は、国家診療情報共同活用事業によって「患者の基本情報、診断内容、投薬内容、検査内容、予防接種、手術情報、アレルギー情報など患者の状態を把握するために不可欠な情報を共有でき、過剰診療や誤診の危険性が減る。その結果、医療サービスの質が向上する」としている。他にも「医療機関同士の共同診療や協力診療が増えることで医療サービスの地域的不均等を緩和できる」「初期検診を省略できるので国民の医療費を節約できる」「医院から介護施設まで患者を持続的に管理できる」などのメリットを挙げる。

 病院側のメリットについては、保健福祉部は収益性の改善を挙げる。「複数の病院とよりスムーズに協力診療できるため、すべての病院が高額の医療機器を買いそろえる必要がなくなる。医療機器の重複投資を防ぐことで、それぞれの病院が保有している医療機器の活用頻度が高くなり、病院の収益性がよくなる」と分析している。


医療機関側は「必要ない」「収益減る」

 今回の事業は、保健・医療用語の標準化から始まった。保健福祉部は2004年から保健・医療用語標準化の研究に取り組んできた。2012年には韓国保健福祉情報開発院(保健福祉情報化システムの開発や運行のために設立した保健福祉部傘下団体)にこの業務を委託。同院と医師会・専門家グループが2014年7月、医療機関の診療記録作成に必要な用語19万3721を網羅した「保健・医療用語標準案」を公開した。医療界の意見を反映して2014年9月に国家標準として告示済みである。

 保健福祉部は「医療現場で使う手術・検査などの医療用語は、同じ意味でも複数の単語や表現がある。病院間で診療情報を共有するには互換性の問題があった。プラットフォーム上で複数の医療機関が診療情報を共有するためには、違う単語でも同じ意味を持っていることをシステム上でサポートする必要があり、代表語と同意語をまとめる“概念化”の作業が必要だった」と説明する。用語標準化の他にも、検査画像をやりとりするための標準化を行い、医療法や個人情報法に違反しないよう業務ガイドラインを制定した。

 ところが、韓国メディアによると医療機関は診療情報共有を歓迎していない雰囲気だ。総合病院や大学病院は「患者の引っ越しによる転院や、医院から大学病院に転院する場合、診療記録のコピーと診療依頼状などで十分情報を得られる。プラットフォームから他の病院の診療記録を見る必要性はあまりない」「他の病院で行った初期検査をもとに診断するのは不安があり、検査し直すしかない。検査をしないと病院の収益も減る。保険点数の調整も必要だ」といった不満を漏らしているという。



By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
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もう自撮り棒はいらない、LG電子スマホV10の120度レンズが面白い [2015年10月9日]

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 日本より1カ月半遅れて、11月初旬に韓国で発売予定のiPhone6s。アップルが新機種発売を予告すると、サムスン電子とLG電子はそれよりも前に新機種を発売する。今回もiPhone6sを待ちきれず機種変更するユーザーを狙ったのか、サムスン電子は120月にGALAXY NOTE5のシルバーチタンを、LG電子は自信作として大々的に宣伝していた「V10」を発売した。

 LG電子が10月8日発売したV10は、「フロントデュアルカメラ」と「セカンドスクリーン」が話題になっている。


写真1●V10(LG電子提供)
LG電子の新機種スマートフォンV10。80度と120度、2つの画角のレンズがついたフロントデュアルカメラとセカンドスクリーンが特徴。

 V10はスマートフォンでは、初めてフロントカメラを2つ取り付けた。それぞれ500万画素の80度と120度画角のカメラで、80度は既存のフロントカメラだが、120度のフロントカメラを使うと手を伸ばすだけで7~8人が一緒に写真に収まる。

 最近、韓国、中国、日本だけでなく欧米の観光地でも普通に見られるようになったスマートフォン用の自撮り棒。韓国では、特に女性の間で「自撮りは大好きだけど人前で自撮り棒を使うのは恥ずかしい」、「自撮り棒がバッグに入りきらず持ち運びが面倒」という意見も多かった。そのせいか、フロントカメラに「セルフィー(自撮り)レンズ」と呼ばれる広角レンズを付けるのも流行っていた。広角レンズを付ければ画角が広くなるので、自撮りでも顔だけアップになることはない。こうしたフロントカメラの画質だけでなく、自撮りが楽なレンズがいいというニーズに応えたのが、V10のフロントデュアルカメラである。


写真2●レンズの違い(LG電子提供)
80度と120度では自撮りできる画面の大きさがここまで違う。もう自撮り棒はいらない?

 V10のメインカメラは1600万画素(F1.8/OIS 2.0)。LG電子は、一眼カメラのようなきれいな写真が撮れるだけでなく、動画撮影機能も優れているとアピールした。動画撮影時の手ぶれや、風の音のせいで雑音がひどく音声が聞こえない、カメラを早く動かしすぎたとか物体が早く動くので残像が残ってしまった、といった素人撮影の問題を解決する機能もある。


次ページ: iPhone6sにもSNS投稿用に写真をGIFファイルに編集する機能があるが、V10は自動編集で15秒の動画…


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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スマホ悪性アプリ感染拡大を防げ!韓国キャリア3社「モバイル応急サイバー治療サービス」稼働 [2015年10月5日]

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9月27日は、旧暦の8月15日で韓国のお盆である秋夕(チュソク)だった。お盆になると韓国も日本と同じくお中元を贈り合う。ところが、お中元の配送案内を装ったスミッシング(Smishing)被害が後を絶たず、問題になっている。

 スミッシングは、ショートメッセージを使った詐欺だ。政府機関や銀行・キャリアからの案内に見せかけて、URLをクリックするように誘導し、サイトに接続すると課金される仕組みになっている。

 韓国金融監督院はお盆連休の間、配送会社や知人からのお盆挨拶に見せかけたショートメッセージに注意するよう呼びかけた。お盆が近くなると、宅配便会社を名乗り「中元を届きに行ったが不在だったので持ち帰る、問い合わせはこちらへ」という内容のショートメッセージが大量に出回った。例えば、配送案内だと信じてクリックしたところ、アプリケーションのインストールが始まり課金されてしまった、と警察に被害届けを出した人もいたという。

 本物の配送会社の案内ショートメッセージには、問い合わせ番号や配送時間などが書いてあるが、スミッシングにはこうした情報はない。韓国金融監督院と警察は、ショートメッセージにURLが書いてある場合はまず疑え、と注意を促している。さらに、アプリケーションをダウンロードする際には、レビューを読んで信用できる会社のものかどうか確認し、少しでもおかしいと思ったらインストールしないように、とも呼びかけている。

 こうした被害をスマートフォンに、ウイルス退治アプリをインストールすることで防ごうという動きも出ている。韓国のキャリア3社は、10月1日より「モバイル応急サイバー治療サービス」を始めた。自分でも知らないうちにスミッシング被害にあい、悪性アプリケーションがインストールされていた、などということが起こらないようにするのが目的だ。

写真●韓国のシェア1位キャリア、SKテレコムが加入者に提供している無料のアンチウィルスアプリケーション「Tガード」
スミッシングにより悪性アプリケーションがインストールされると加入者に削除するよう注意する。

 個人情報やモバイルバンキングの暗証番号などを抜き取る悪性アプリケーションが、インストールされたのを知らずにスマートフォンを使い続けると、犯人グループによって遠隔操作で自分の端末から他の人にスミッシングのメッセージを送ってしまうこともある。他の人に被害を拡散させないためにも、スミッシング被害にあったスマートフォン端末を早く見つけ、処置をする必要がある。


次ページ: 韓国のキャリア3社は、悪性アプリケーションのアクセス経路やハッカーのサーバーを分析してスミッシング被害にあっ…


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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サムスンとLGの「折りたためるディスプレイ」スマホ競争、iPhoneも後追いする? [2015年9月25日]

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複数の韓国メディアによると、サムスン電子は「Project Valley」という名前で、折りたためるディスプレイを搭載したスマートフォンを開発しているという。早ければ、2016年1月にはどういうスマホなのか公開される予定だそうだ。

 折りたためるディスプレイのデザインは紳士物の財布のような感じで、ディスプレイが内側に曲がるのか外側に曲がるのかはメディアによって意見が違う。折り曲げた状態でもスマホを使えるようにするため、ディスプレイが外側に曲がるようにするのではないか、とも言われている。サムスン電子の関連会社であるサムスンディスプレイは、既に2014年ディスプレイの曲がる部位の留め具に関する特許を米国特許庁に出願したという。2015年6月には、サムスン電子が3面鏡のように2回折りたためるタブレットPCを開発しているとして話題になったことがある。


写真●サムスン電子のGALAXY S6 Edge+
サムスン電子はEdge+よりさらに進んだ、ディスプレイを折り曲げて小さくたためるスマホを開発している。2016年1月にはどんなものか公開する予定だ。

 サムスン電子は、GALAXY 6 Edge+に続く新しいディスプレイを搭載した新機種で心機一転、ハイエンドスマホの販売台数を伸ばしアップルに対抗する計画のようだ。サムスン電子の曲がるディスプレイ搭載したスマホに関しては、2015年に入ってから何度も話題になっている。2015年の年初までも2~3年後にはスマホに曲がるディスプレイを搭載するという話だったが、それが一気に縮まり2016年になった。

 その理由は、サムスン電子のGALAXY S6などの新機種が予想よりも売れなかったからと見られる。

 韓国メディアは連日、「サムスン電子はハイエンドスマホではiPhoneに負け、ローエンドスマホは中国勢に負けている。サムスン電子が世界のスマホ市場をリードすることはもうないのか」と懸念する報道をしていた。サムスン電子のProject Valleyが話題になってから、韓国メディアの雰囲気も変わった。「サムスン電子が折りたためるスマホを発売すれば、スマホ市場は大きく変わる。新しい需要が生まれる。サムスン電子はIT業界に革命を起こすだろう。次のスマホはディスプレイで勝負が決まる」などとサムスン電子の技術に期待すべきという記事が溢れている。


次ページ: 一方、LG電子の関連会社であるLGディスプレイは、数十万回折り曲げても平気なスマホ向けタッチディスプレイを開…



趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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LINEの成長が止まったから?韓国最大ポータルサイトNAVER、ロボット・スマートカーなどへの投資を発表 [2015年9月18日]

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韓国最大のポータルサイト「NAVER」の運営会社であり、日本のLINEの親会社であるNAVERは9月14日、今後5年間ハードウエアに1000億ウォン(約110億円)を投資すると発表した。

 NAVERが投資するのはロボット、スマートカー、スマートホームなど。NAVERがポータルサイト・SNS運営やソフトウェア開発で蓄積した技術をハードウエアに応用し、新しいビジネス分野を探すのが目的である。

 投資計画は、2020年までロボットに400億ウォン(約44億円)、スマートカー・電気自動車に400億ウォン(約44億円)、スマートホームに100億ウォン(約11億円)、ハードウエア基盤ベンチャー投資に100億ウォン(約11億円)、合わせて1000億ウォン(約110億円)である。NAVERは2014年1年間、研究開発に約3400億ウォン(約374億円)を使っている。

 この投資計画を、9月14日開催された韓国最大規模の開発者カンファレンス「第8回DEVIEW」で公開した。基調演説をしたNAVERのソン・チャンヒョンCTOは、「ロボティクス」「モビリティ」「スマートホーム」の3つの分野でハードウエアとソフトウエアの技術コラボレーションをし、韓国や海外の大学と共同研究・開発をするために投資すると発表した。ロボティクス、モビリティ、スマートホームで使えるプラットフォームとソフトウエアを開発し、海外でもサービスを提供したいという。


写真●ソウルの南にあるNAVER本社ビル
NAVERはインターネットビジネスに留まらず、グーグルのようにハードウェア分野にも投資することを発表した。

 NAVERの技術研究所である「Naver labs」が、「プロジェクトBLUE」という名前でこの研究開発を進めるという。現在プロジェクトに参加する外部の専門家は、ロボット研究で有名なUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)デニス・ホン教授が決まっている。Naver labsは韓国に限らず海外から幅広く研究員を採用し、海外の大学にいる研究員らと情報交換できるネットワークを構築するという。技術力のあるベンチャーや中小企業にも投資する。


次ページ: 韓国メディアは、「NAVERもグーグルのようにハードウエアに投資」といった見出しで、NAVERとグーグルと比…


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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[IFA2015]韓国ではサムスン電子GEAR S2の特別なバッテリーとSLEEPsenseに注目 [2015年9月11日]

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9月4日から9日までドイツのベルリンで国際家電展示会(International Consumer Electronics Fair)が開催された。韓国では、やはりサムスン電子とLG電子がどのような新商品を展示したのかに話題が集中した。

 目を引いたのは、サムスン電子の丸いスマートウォッチ「GEAR S2」である。

 韓国で10月2日に発売予定のGEAR S2は、サムスン独自のOS「Tizen」を使用しているが、サムスンのスマートフォンだけでなく、アンドロイドOSのスマートフォンとiPhoneとも連動する方向で調整しているという。値段もApple Watchと同じ程度にする予定。韓国メディアは、サムスン電子がiPhoneユーザーも囲い込むことでGEAR S2の販売台数を増やすのが目的と見ている。

 GEAR S2は、フィットネス機能、遠隔で自宅の家電を動かしたり照明を付けたり消したりできるスマートホーム機能、NFCモバイルペイメントのSamsung Pay機能などを搭載している。


写真●IFA2015 サムスン電子ブース(サムスン電子提供)
サムスン電子は新しいスマートウォッチGEAR S2、人体に接触させなくても睡眠中の脈拍や呼吸を分析してアドバイスしてくれるSLEEPsense、IoTファッションなどを初公開した。

 韓国で注目を浴びたのは、サムスンSDIが開発したGEAR S2のバッテリーである。GEAR S2のディスプレーは、旧版の2インチより2cmほど小さくなった1.2インチ。バッテリーの容量は300mAhから250mAhへとそれほど減っていない。当初韓国メディアは、1.2インチならバッテリーは200mAhぐらいだろうと予測していたが、この予想を上回った。

 サムスンSDIはGEAR S2のために、2014年から「Free Form」バッテリーを開発していた。Free Formとは決まった形ではないという意味で、バッテリーを四角でも丸でもない自由な形に作れば、ウエアラブル端末のスペースを有効に使い、最大限容量の大きいバッテリーを搭載できることから開発を進めた。GEAR S2のバッテリーは、余った空間にぴったり入るように、上は四角で下は丸い形になっている。通常のバッテリーよりも、25%ほど容量が大きくなった。GEAR S2は、一度のフル充電で、3日ほどバッテリーが持つという。


次ページ: 韓国メディアによると、世界中で発売されている腕につけるウエアラブル端末は161あり、2014年に2270万台…\


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
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GALAXY一色の韓国、シャオミー韓国進出で低価格スマホ競争始まる [2015年9月4日]

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今年8月末の段階で、韓国で最も売れたスマホはGALAXY NOTE5だった。キャリア3社の集計によると、8月20~26日のスマホの販売シェアはGALAXY NOTE5が22.3%で1位だった。同じ日に発売したGALAXY S6 Edge+は、3%に過ぎなかった。Sペン(電子ペン)を搭載したGALAXY NOTEシリーズの根強いファンが多いことや、GALAXY NOTE4より端末価格が安くなったことも影響している。

 しかし9月に入ってからは、再び中国メーカーの激安スマホが注目を浴びている。韓国の中小企業も、韓国で企画・設計し中国で製造した激安スマホを発売した。韓国では、端末購入補助金や約定割引といった制度が厳しく規制されているので、月々の通信料金に占める端末価格の負担がかなり大きいため、メーカーに関係なく安くていいスマホを求めるようになった。


写真 キャリアのSKテレコムが激安スマホ「LUNA」を独占販売(SKテレコム提供)
9月4日より、韓国のパソコンメーカーTGアンドカンパニーが企画し、Foxconnが製造した激安スマホ「LUNA」の独占販売を開始。シャオミーの韓国進出計画もあり、激安スマホ競争はますます激しくなっている。

 中国シャオミーの端末は、これまで並行輸入品が韓国のインターネットショッピングモールで販売されていた。9月2日、複数の韓国メディアは、シャオミーが韓国最大のインターネットショッピングモール「Gマーケット」と提携し、公式に韓国でシャオミーのスマホを販売する計画だと報道した。9月1日から、シャオミーとGマーケットの間で交渉が始まっている。

 韓国内でのシャオミ―の評判は悪くない。シャオミ―は「iPhoneのパクリ」というイメージがあるが、韓国ではモバイルバッテリーの販売ランキング1位がシャオミ―で、アクションカメラのYI Camera、リストバンド型のMi Bandも安くて品質がよいと評判だ。


次ページ: シャオミ―が8月16日中国で発売した「Redmi Note 2」は、名前からしてサムスン電子のGALAXY …


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
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サムスン電子の米アップルユーザー対象「1ドル30日間新機種スマホお試し」が大盛況、韓国では不満の嵐! [2015年8月28日]

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サムスン電子米国法人は、米国限定で新機種GALAXY NOTE5とGALAXY6 Edge+の“破格”のプロモーション「Ultimate Test Drive」を行った。このプロモーションは米国だけでなく、韓国や中国のメディアにも取り上げられ大きな話題になった。

 このプロモーションは、米国のiPhoneユーザー限定で、たった1ドル(約120円)で30日間サムスン電子のスマホ(GALAXY NOTE5、GALAXY6 Edge+、GALAXY6 Edge)が使えるというもの。スマホレンタル料に通話料、データ通信費まで、全部1ドルでカバーできる太っ腹なプロモーションである。キャリアもユーザーが選べる。ユーザーは30日間使った後で返却するか、購入するかを選択する(関連サイト)。 

 サムスン電子によると、8月21日スタートしたこのプロモーションは、数時間で用意した端末全ての申し込みが終了したほど大成功だったという(何人申し込んだのかは公開していない)。

 米国メディアの報道を見ると、「サムスン電子はライバルである米アップルのiPhone6Sをけん制し、世界最大スマートフォン市場である米国内での影響力を強化するため、プロモーションを行った」という論調だった。


写真 サムスンの米国向けプロモーションサイト
サムスン電子米国法人は米国のiPhoneユーザー限定、1ドルでサムスンの最新機種を30日間試せるプロモーションを行った。 通話料、データ通信費まで1ドルに含まれている破格のプロモーションとして、大きな話題になった。

 米市場調査会社Strategy Analyticsによると、2015年4~6月の北米スマートフォン市場は、アップルが32%で1位、サムスン電子が26%で2位となっている。2014年10~12月は、アップル44%、サムスン電子21%とかなり差が広がったが、GALAXY6 とGALAXY6 Edgeを発売して差をだいぶ縮めることができた。なお、サムスン電子のスマートフォンの北米シェアは、2014年4~6月には36%あった。

 一方、米ガートナーの発表したスマートフォン世界市場シェアを見ると、2015年4~6月の1位はサムスン電子で21.9% 、2位アップル14.6%、3位中国ファーウェイI7.8%となっている。


次ページ: 2014年4~6月はサムスン電子のシェアが26.2% 、APPLEは12.2%、ファーウェイは6.1%だった…


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
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サムスン電子スマートフォン新機種は、モバイルペイメント「サムスンペイ」で勝負 [2015年8月21日]

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サムスン電子は、8月20日に韓国で新機種GALAXY NOTE5とGALAXY S6 Edge+を発売した。日本での発売開始は、8月28日を予定している。両方とも、5.7インチの大画面を搭載している。サムスン電子側は「世界の流れは大画面化。より画面を大きく、写真を撮りやすく動画を観やすくした」と強調した。

 また、GALAXY NOTE5とGALAXY S6 Edge+は「サムスンペイ」が使える。サムスンペイは、8月20日から韓国内で正式サービスが始まるサムスン電子のモバイルペイメント。同じ日に発売したことで、新機種だけでなくサムスンペイの宣伝も狙っているようだ。

 GALAXY NOTEといえば、大画面スマートフォンに電子ペンが付いていて、イラストを描いたりメモをしたり図面を書いたりできる機能が人気の端末である。2011年に最初のNOTE端末が発売され、画面が5インチを超えるPablet(タブレットのような大画面スマートフォン)ブームを巻き起こした。


左がGALAXY S6 Edge+、右がGALAXY NOTE5。サムスン電子は8月20日、韓国でGALAXY NOTE5とGALAXY S6 Edge+を発売した。5.7インチ高画質で優れたスペックを取りそろえたのはもちろん、サムスンが力を入れているモバイルペイメント「サムスンペイ」を搭載したのが特徴だ。

 今でも、GALAXY Sより同NOTEの方が好きというファンは多く、新機種が出ればたいして宣伝をしなくても売れる人気機種である。GALAXY NOTE5はプッシュボタン式で電子ペンを取り出しやすくし、スマートフォンを取り出したらすぐ手書きのメモができるようにした。筆者が個人的に気に入ったのは、スマートフォンなのにメモリー(RAM)が4GBあること。ブラウザーのタブをたくさん立ち上げたり、添付ファイルをどんどん開けたりしても、画面が凍ったり落ちたりしないのはありがたい。


次ページ: また、最近は「契約書にサインをしてスキャンしてメールで送ってください」という会社が増えている。その場合、書類…



趙 章恩=(ITジャーナリスト)
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中国メーカーに押されたか?サムスン・LGからガラケーのような激安スマホ登場 [2015年8月7日]

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7月末、サムスン電子とLG電子はフィーチャーフォンの形状をしたスマートフォンを発売した。

 日本では、ガラケーと呼ばれるフィーチャーフォンを使うユーザーがまだまだいるが、韓国では全くといっていいほど見かけない。電車や街中でみかける70代以上のシニア層も小学生も、みなスマートフォンを持っていた。フィーチャーフォンを使う人がいたら、写真を撮られてSNSに掲載され、「すごい人がいる」と話題になるかもしれない。

 そんな雰囲気の中、サムスン電子とLG電子が折り畳み式のフィーチャーフォンの形をしたスマートフォンを発売したことに、韓国では驚きの声が上がった。しかもこの折り畳み式スマートフォンは、通常のスマートフォンより断然安く、激安端末として売り出された。

 LG電子の「LGジェントル」は、本体価格が約2万6000円で、キャリアの約定割引を利用すれば1万円ちょっとで買える。韓国の主なスマートフォンの平均価格は8万円台で、一定期間加入することで端末が実質無料になる補助金制度が廃止されたため、約定割引を利用しても5万円以上は負担しないといけない。1万円ちょっとでスマートフォンが買えるのは、破格の安さといえる。


写真1●レトロな感じが漂うLGジェントル

 「LGジェントル」はWi-FiとLTEにつながり、基本的な機能はスマートフォンと変わらない。よく使うアプリをすぐ起動できるように、短縮ボタン設定機能もある。LG電子によると、スマートフォンがあると誘惑も多いという理由で、受験生がよく買っているという。


次ページ: サムスン電子の「ギャラクシーフォルダー」は本体価格が約3万3000円で、キャリアの約定割引を利用すれば2万円…


趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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