PCモニターもテレビも売れず「TVモニター」だけ売れる状況で、サムスンとLGの対応は? [2015年7月3日]

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調査会社IDCによると、世界のモニター出荷台数に占める「TVモニター」の割合は、2014年の5.8%から2015年は6.5%に11%ほど成長する見込みである。TVモニターとはTV受信チューナーを内蔵したモニターのことで、テレビとしてもPCのモニターとしても使える。IDCのデータによると、TVモニターが売れる一方で、パソコン用のモニターとテレビの販売台数は減少し続けている。

 特に、韓国でその傾向が強く表れている。韓国最大手ディスカウントショップEMARTでは、2015年上半期TVモニターの売れ行きが好調で、前年同期比30%ほど販売台数が増えたという。一方でテレビの販売台数は前年同期比17%ほど減少、パソコン用のモニターは3月の新学期ですらあまり売れなかったそうだ。オンラインショッピングモールの「11番街」や「オークション」では、大手ディスカウントショップには置いていない中小企業の安いTVモニターを販売しているが、2015年上半期の販売台数は前年比1.5倍になっているという。

 EMART関係者によると、韓国では景気沈滞により消費減少でテレビの買い替え需要がなかなか生まれない中、セカンドテレビとしてTVモニターを購入する人が増えているそうだ。


写真●サムスン電子のTVモニター。消費沈滞、独身世帯の増加などからテレビより安いTVチューナー内蔵モニターがよく売れている。

 また、一人暮らし世帯の増加により、色々な用途で使えてテレビの半額程度で画質は変わらないTVモニターを買う人が増えているようだ。韓国統計庁によると、全世帯に占める一人暮らし世帯の割合は、2012年で25.3%と4分の1を超え、2015年には27.1%、2025年には31.3%になる見込みである。スマートフォンの影響もある。2013年あたりから、韓国のシンクタンクはスマートフォン利用率の増加に伴い、テレビの視聴時間が減少している、テレビの保有率が減っている、という調査結果を何度も発表している。



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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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スマートフォン連絡帳で園と保護者がリアルタイムコミュニケーション、政府への報告も便利に [2015年6月26日]

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子供がオリニジプ(保育園)・幼稚園に到着してから家に帰るまで、園の中で何をどうしているのか、親は気になるものだ。共働き家庭が多い韓国では、園から届く紙の連絡帳は不便だった。夜遅く帰ってきた親は、連絡帳をちゃんと読み先生に返事を書く時間すらなかった。翌日までに準備する物が書いてあっても、親が連絡帳を手にした時点でもうほとんどのお店は閉まっている。

 今韓国では、園と保護者をリアルタイムでつなぐ「スマート連絡帳」が人気だ。こうした不便がなくなるためだ。

 スマート連絡帳とは文字通り、園内での子供の一日の生活記録と園から保護者への連絡事項を、スマートフォン・タブレットPC・パソコンで確認できるようにしたサービスである。スマート連絡帳は、園と保護者だけが利用できるようになっていて、園は子供の状態や写真、連絡事項を随時アプリに掲載する。保護者は会社にいながら子供の様子を確認し、準備する物があれば帰宅途中に用意できる。

 「スマート連絡帳」が登場したのは、2013年あたりから。園児の健康状態を5段階で表示し、写真を投稿したり保育士がコメントを書いたりできるシンプルなものだった。最近は、NFCタグを使った子供の位置確認サービス、園が保護者に送った子供の写真をまとめて紙のフォトアルバムに制作できるサービス、保護者が教育専門家に育児相談できる付加コンテンツサービスなど、差異化するスマート連絡帳が増えている。


写真●スマート連絡帳「Kidsmentory」。保護者はリアルタイムで子供の写真や園内の活動内容を確認でき、保育士は時間をかけずに連絡帳を作成できるようにしたアプリ。韓国では私立幼稚園の6割がスマート連絡帳を利用している。

MERS拡散で生活にも変化が、Googlemaps・SNSで情報共有盛んに [2015年6月19日]

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韓国で、MERS(中東呼吸器症候群)感染者が増え続けている。韓国政府が感染者の情報を隠したことで初期防疫に失敗し、2次・3次・4次感染が発生したこと。政府が情報を隠したため、自分が感染者と接触したとは知らず風邪だと思い込み、病院をはしごして他の患者に感染させたこと。韓国は入院患者を看護師ではなく家族が面倒をみないといけないため、何人もの家族が付き添いとして病室にいたことで大量感染したこと。集団で病院にお見舞いに行く習慣によってまたまた大量感染──。この悪循環が止まらない。

 最初の感染者が発生したのが5月20日、MERSによる死亡者が発生したのが6月1日。しかし韓国政府がMERS感染者のいる病院名や感染者の移動経路などを全て公開したのは、6月7日になってからだった。

 5月20日から6月7日までは、市民の力でMERSの2次・3次感染が発生した病院を突き止め、SNSで情報を共有するしかなかった。韓国政府はSNS上のMERS関連情報はデマであり書き込んだ人を処罰するとしたが、市民の不安は止められなかった。

 6月3日には、Google Mapsに2次感染・3次感染が発生した病院の位置と感染者の移動経路を表示した情報共有サイトが登場した。実際に院内感染が発生した病院にいた人らが、情報を提供した。1週間で約340件の情報提供があり、500万人が閲覧した。市民によるMERSサイトは、ソウル市や保健福祉部(部は省)がMERS対策サイトをオープンしたことで、6月10日に閉鎖した。



写真●地上波テレビ局のKBSは、自社サイトでMERS感染経路を分析したデータを公開した。一目でわかりやすく予防に役立つとしてSNSでリンクする人が増えている。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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アプリのおかげで自営業者、タクシー運転手の売上も増加、O2Oの効果実感 [2015年6月12日]

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 韓国ではすっかり生活の一部として根付いたアプリの中に「出前アプリ」と「タクシー配車アプリ」がある。文字通り電話ではなくアプリ経由でいろいろな料理を出前できるアプリ、自分の居場所と目的地を入力してタクシーを配車してもらうアプリである。ユーザーの立場からすると、電話より自分の好みや現在位置を正確に伝えられるので、より満足度の高いサービスを利用できるメリットがある。

 お店の立場からすると、アプリを利用することでチラシを配らなくてもアプリを見てお店にオーダーしてくれるので、営業費用を節約できる効果があるという。最近韓国のテレビ番組では、オンラインのユーザーをオフラインに引き寄せるO2O(Online 2 Offline)戦略の効果を実感したお店をよく紹介している。

 路地裏の小さい鶏料理専門店が、出前アプリを使ったことで出前注文が6倍増え、アプリ会社に手数料を払っても月々の売上が4倍も増えたといった事例が紹介されていた。アプリ会社側も手数料を取るだけでなく、どうすればアプリ上で注文を増やせるかコンサルティングをしてくれるので、リストラで行き場のない中高年が自営業者として再出発するのに助かっているという内容だった。

 タクシーアプリに関しても、ユーザーもタクシー運転手も無料で使える配車アプリのおかげで、タクシー運転手は短時間に効率良くたくさんの客を乗せられるようになり、アプリを使う前に比べ1日の売上が3000円ほど伸びたという事例もテレビで紹介していた。今までは電話でタクシー会社に連絡をして予約していたが、「カカオタクシー」の方が運転手会員数が多く、すぐタクシーが来るので便利だという。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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「韓国スマートヘルスケア最前線」「肥満率3割」のペット向けヘルスケアに脚光 [2015年07月24日]

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韓国の大手通信キャリアが2015年に入って力を入れている事業の1つに、「伴侶動物(ペット)」市場の開拓がある。各社が提供するIPTV(インターネット経由で視聴する有料放送)には、ペット専用のテレビチャンネルやラジオチャンネルがある。家族が出かけ、ペットだけが家に残されることが多い韓国の事情に合わせて、“ペットのストレスを軽減する”内容となっている。2015年3月には、韓国Samsung Electronics社が英国のドッグショーで犬のための“スマートホーム”として、約370万円の「ドリームドッグハウス」を出展して話題を集めた(ITproの関連記事)。

 韓国では日本とは異なり、全国どのマンションでも、犬や猫などのペットを飼うことが基本的に許されている。少子化の影響で、ペットを子供代わりに大事に育てる人も増加中だ。

 韓国愛犬協会の統計によれば、犬や猫を飼っている世帯は2014年末時点で全世帯の約20%。そしてペットを飼っている人の多くにとって、悩みの種はペットの「肥満」であるという。

 ソウルに住んでいると、犬を散歩させている人をあまり見かけない。一戸建てよりもマンションが多いため、マンションの団地内をちょっと歩かせるぐらいだ。月に何回かは犬のためのプールやテーマパークに連れて行って遊ばせる飼い主もいるが、韓国愛犬協会によれば、韓国のペット(犬・猫)の3割は肥満で健康管理が必要な状態という。


ペットの健康を管理


GPSにWiFi、測位モジュールまで

 こうした背景から、韓国の通信キャリアはペットのヘルスケア市場に着目している。例えば業界最大手のSK Telecom社は、ペットを肥満にさせないためのヘルスケアサービスとして、「Tペット」を提供中だ。

 これまでも、首輪にGPS機能を搭載し、ペットの位置情報や散歩経路を記録するサービスはいくつか存在した。これに対しTペットは、GPSにWiFi、携帯電話基地局の測位モジュールの3つを組み合わせ、位置と移動経路をより詳細に表示・把握できる。GPSに動作認識センサーと通信モジュール機能を加えたデバイス(3.7cm×3.7cm、18g)を首輪に付け、アプリケーションと連動させて使う。

 インターネットにつながるため、ペットと飼い主が互いに離れていても、ペットの状態や運動した時間、消費カロリー、睡眠時間などの行動パターンを1日中チェック可能だ。そして、もっと運動させるべきか休ませるべきか、この時期にペットの健康管理で気を付けることは何か、といったことをアドバイスしてもらえる。ペットの動きや運動量はすべてアプリケーションに自動で記録される。ペットの運動データを蓄積することで、アドバイスの精度はさらに高まっていく


留守番中のペットを家族の声で安心させる

 Tペットで利用するデバイスは、欧米のペットヘルスケアサービスが提供するデバイスよりも小さく軽いため、小型犬にも利用できる。防水機能を備えており、デバイスを付けたままペットが雨などに濡れても大丈夫だ。1回の充電で約36時間の連続使用が可能。バッテリー残量に応じて飼い主のスマートフォンにメッセージを送信する。

 このデバイスはスピーカーも内蔵しており、家族の声を録音してアプリケーションから送信すると、首輪から声が聞こえる仕組みとなっている。ペットだけを家に残して外出した時や、ペットが迷子になってしまった時などに、家族の声を聞かせて安心させる効果があるという。音声は1回20秒まで録音でき、4件まで登録できる。

 デバイス価格は約7000円で、毎月約650円のペット専用インターネット料金プランへの加入が必要だ。加入した飼い主は、SK Telecom社のグループ会社が運営するインターネットショッピングモールで、ペットフードやペット用品を割引で購入できる。

 Tペットを紹介する韓国メディアの記事のコメント欄には、「ペットまでインターネットに加入させてヘルスケアをする時代が来るとは!」といった、驚きの声が数多く書き込まれている。



By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
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「韓国スマートヘルスケア最前線」いよいよ本腰? Samsungがモバイルヘルスで相次ぎ提携 [2015年07月22日]

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2015年7月9日、WIPO(World Intellectual Property Organization)のウェブサイトに、韓国Samsung Electronics社の「モバイルデバイスを使った体脂肪測定方法及び装置」に関する特許出願のドキュメントや図版が公開された。特許は2014年3月に出願されたものである(関連サイト)。

 「METHOD AND APPARATUS FOR MEASURING BODY FAT USING MOBILE DEVICE」と題するこの特許は、モバイルデバイス(スマートフォン)のケースが備える4つの電極を手で握ると、身体に電流を流し、インピーダンス(交流における電圧/電流比)から体脂肪率を測るというものである。体重計のような形をした通常の体脂肪計は、手や足裏部分に電極がついており、ここから身体に電流を流して体脂肪率を測る。今回の技術はこの機能をスマートフォンで提供する。

糖尿病管理アプリを年内に

 Samsung社は2015年6月、米医療機器大手のMedtronic社と長期協業契約を結び、「モバイル糖尿病管理アプリ」を開発中であることも発表している。Medtronic社は、血糖値をリアルタイムにモニタリングできるインシュリンポンプのメーカーとして知られる。国際糖尿病連合(IDF)によれば、糖尿病患者は全世界に約3億8700万人。「糖尿病と共に生きる人々が日常をもっと楽しめるようにするために提携した」と、両社はプレスリリースでコメントしている。

 この協業では、Medtronic社のインシュリポンプとSamsung社のスマートフォンやウエアラブル端末をつなげ、患者が自分の血糖値を常に確認できるようにする。血糖値が高すぎたり低すぎたりといった危険な状態になるとアラートを表示し、医師にも患者の状態を伝える。患者は血糖値を毎日測って自ら記録しなくても、血糖値のデータを自動的に蓄積可能だ。このデータを医師と共有し、正確な診断と処方をできるようにする。

 開発する糖尿病管理アプリは、Android OS向けに2015年内に米国でサービスを開始する予定だ。Medtronic社は、iOS向けの糖尿病管理アプリを公開済み。血糖値を測るべき時刻をアラームで教え、海外にいる時は時差を自動的に計算して血糖値測定時間や薬を飲む時刻を教えてくれる。

WIPOのウェブサイトの該当特許
[クリックすると拡大した画像が開きます]
測定方法(WIPOウェブサイトから)


イスラエルや中国の企業とも

 Samsung社は2015年に入ってから、モバイルヘルスケア関連の企業と相次ぎ提携または出資している。1月にはイスラエルEarlySense社に1000万米ドル(約12億円)を出資。EarlySense社は非接触のバイタルセンシング技術を持ち、Samsung社はこの技術を高く評価して出資を決めたという。

 同年4月には、イスラエルMybitat社との協業を発表。家の中で高齢者の動きをモニタリングし、異常があれば家族などの関係者に知らせるIoTヘルスケアプラットフォームを開発する。

 6月には8000万人の顧客を持つ中国最大手の保険会社、平安保険と提携。スマートフォンとウエアラブル端末を使ったヘルスケアソリューションとヘルスケアアプリを開発し、中国でサービスを提供する計画だ。

 Samsung社はかねてモバイルヘルスケアに力を入れていながら、これといった成果がないと韓国メディアは評価してきた。今回の特許申請やMedtronic社との提携を受け、各社は「いよいよSamsungが動きだした」、「Samsungは自前主義を捨て、世界中の企業と手を結んでモバイルヘルスケア事業を拡大しようとしている」などと大きく報じた。Samsung社の姿勢の変化に、高い注目が集まっている。



By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
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韓国ICT展示会「World IT Show 2015」、今年は「IoT」「5G」で変わるライフスタイルが話題に [2015年6月5日]

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2015年5月27日から30日まで、ソウル市のCOEX展示場で韓国最大のICT展示会「World IT Show 2015」が開催された。今年のテーマである「Connect Everything」に合わせてキャリアのKTとSKテレコムはIoTと5Gネットワークを中心に、家電メーカーのサムスン電子とLG電子はスマートデバイスを中心に展示を行った。



写真●World IT Show 2015に参加したLG電子ブース。超高画質スマートテレビやスマートフォンG4、スマートウォッチUrbainなどを展示した

 キャリアのKTは、「全てのものがつながる5G、GiGAtopia」をキャッチフレーズに、IoTを体験できるようにした。ブースを野球場のように仕上げ、入り口ではスマートフォンとNFCを使い野球場のチケット発売から入場までを迅速にできるようにしたアプリを体験できるようにした。

 野球団を経営しているKTは、NFCを使うことで入場者数を正確に把握し、入場客の移動経路と場所別滞在時間を分析することで、より快適な野球場作りに役立てようとしている。この技術はほかのイベント会場や大型ショッピングモールなどにも適用できる。

 KTが力を入れている5Gネットワークの体験ブースも目立っていた。無線LAN(Wi-Fi)とLTEを同時に使うことで1Gbpsの速度を提供する「異種ネットワーク融合技術」、KTとサムスン電子が共同開発した5Gネットワークの核心技術「Millimeterwave」と「Massive MIMO」などを説明しながら、速度の違いを体験できるようにした。


次ページ: Millimeterwaveは超高周波帯域の周波数を活用してデータの伝送速度を上げる技術である。Massiv…



趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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韓国企業が見た日本のスマート教育、EDIX(教育ITソリューションEXPO)に参加して [2015年5月29日]

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 5月20日から22日まで、東京ビッグサイトで開催されたEDIX(教育ITソリューションEXPO)に、韓国のスマートラーニング会社も4社出展した。中でも教育SNSを展示した「クラスティング(Classting)」とタブレットPCを使った英語学習システムを展示した「チョンダムラーニング」は、韓国の小中高校なら誰もが知っている有名な会社である。




EDIXに出展したクラスティングとチョンダムラーニング。韓国の小中高校生なら誰もが知っている有名な教育SNSと英語塾である

 クラスティングは、担任の教師による招待制の教育SNS。無料だが、クラスの生徒と保護者しか参加できない。学級通信、テストや校内イベントなどスケジュール、子供たちの写真や映像、宿題、授業で使った資料などをクラスティングに載せると、パソコン・タブレットPC・スマートフォンなどどのデバイスからも確認できる。

 韓国の小学校では、社会や理科など一部の科目はタブレットPCを使って、デジタル教材で授業をすることが多い。その時間に子供達が作成した資料をクラスティングに保存し、他の子供達と共有することもある。保護者は、クラスティングを見て、明日子供が学校に持っていくものをチェック。子供が学校から帰る前に、知ることができるので、前もって用意できる。

 子供が作成した資料や書き込みを見て、学校生活や学習状況を把握することもできる。担任先生にダイレクトメッセージを送ることもできるので、「子供のことで相談したいことがあるが、学校まで訪ねて行ったり電話したりするのは気が引ける」という保護者に喜ばれている。

 韓国では、2012年3月からサービスを開始、2015年5月22日時点で全国約1万1000ある小中高校のうち、92%に当たる約1万100校、約13万人の小中高校教師が自分のクラスのクラスティングを開設。生徒と保護者を合わせて、約158万人が利用している。

 実はクラスティングは、日本法人を設立して日本語サービスを開始している。今回は、その宣伝のためにEDIXに出展した。クラスティング日本法人でマネージャーを務めるイ・ダヒ氏は、「日本語サービスを始めたばかりなのに、クラスティングをニュースで見たことがある、知っていると声をかけてくれる方が多くて驚いた。クラスティングが反転授業にも役立つというところに、日本人は魅力を感じるようだ。日本語サービスは、日本の小学校教師と一緒に日本の学校に合わせて作ったので、安心して使っていただきたい」とアピールした。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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音声通話とモバイルIPTVを無料にする料金プラン導入するも、ユーザーの反応は厳しい [2015年5月22日]

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このごろ、韓国のポータルサイトの検索キーワード上位には「データ料金制」がランクインしている。5月から、韓国のキャリア3社が次々に、音声通話使い放題でデータ通信使用量で月々の料金が決まるプランを投入しているからだ。

 料金はキャリア3社ともほぼ同じ。携帯電話間の音声通話は無料、月2万9900ウォン(約3300円)でデータ通信300MB、月3万4900ウォン(約3800円)でデータ通信1GBまで利用できる。

 キャリア3社が提供するモバイルIPTVも、無料で利用できる。IPTVをスマートフォンから視聴できるサービスで、キャリアごとに60~80チャンネルある。最新映画のVODや地上波テレビ番組の再放送VODは、別途コンテンツ料が必要だ。

 最も高い料金はSKテレコムの月10万ウォン(約1万1000円)プランで、国内固定電話にかける音声通話も無料、データ通信は35GBを提供する。35GB分を使い終わった場合、1日2GB分ずつ無料で提供する。1日2GBも使い終わった場合は、3Mbps程度の低速だがデータ通信を無制限利用できる。





写真●韓国キャリア3社は5月から、音声通話とモバイルIPTVは無料、データ通信だけ料金を賦課する新しい料金プランを導入した(KT提供)。

 キャリア3社は、月々6万ウォン(約6600円)以上の料金プランを選択すれば、データ通信分を使い切ったあとでも無料で毎日2GB分追加利用できるようにしているので、実質約月6600円でデータ使い放題といえる。データテザリングでノートパソコンや他のデバイスからもデータ通信を利用できるので、固定通信に加入する必要もない。

 KTの場合は、料金プランに応じて提供されるデータ通信の使い残り分を翌月に移行できる。一方、データ通信が規定量をオーバーした場合は、翌月分を先食いして使える制度も導入した。

 SKテレコムは、「データ通信プレゼント」と「データおかわり」を導入した。1回1GBずつ月2GBまで、自分のデータ通信分を他のユーザーにプレゼントできる。「データおかわり」は長期加入者向けの特典で、年に1~2回クーポンを発行し、ユーザーが加入している料金プランのデータ通信分を無料で提供する。例えば、月300MBまで使える料金プランのユーザーがお代わりクーポンを利用すると、600MBまで無料で利用できる。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
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え~ホントにそうなの?GalaxyS6が日本で売れない理由を韓国メディアが分析 [2015年5月15日]

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ドコモ、auに続いて、ソフトバンクも販売することになったGalaxyS6と同Edge。ソフトバンクがサムスン電子の端末を販売するのは、4年半ぶりだそうだ。キャリア3社が揃ったことで、GalaxyS6と同Edgeの日本内の販売台数に変化が出ると期待される。韓国メディアは、「アップル伝道師」のソフトバンクがGalaxyS6と同Edgeを販売することにしたのは、スマートフォンのラインアップを増やして市場シェアを維持するためであると報じている。

サムスンの「サムスン消し」戦略

 サムスン電子は、日本で「サムスン」のロゴを消してGalaxyS6と同Edgeを販売する作戦に出た。「サムスンのサムスン消し戦略」は、韓国でも注目を浴びている。サムスンを消すことが、日本でどれほどの効果を上げているのか、よく記事になる。

 ところが、まだその戦略は効果を発揮してしないようだ。GalaxyS6と同Edgeの日本での販売状況を報じる記事のコメント欄には、「日本人をバカにしてないか?サムスンのロゴを消せば、日本人はGalaxyS6を日本製に間違えて買うと思ったのかな」など、ロゴを消す意味が分からないという内容の書き込みが多かった。

 韓国メディアも、サムスン電子の日本での苦戦を伝えている。5月12日付けの韓国デジタルタイムズは、日本のスマートフォン市場に関して独特の分析を掲載した。世界市場で絶好調のGalaxyS6と同Edgeが日本ではぱっとしない理由として、「嫌韓ムード」と「マッカーサーシンドローム」を紹介した。「日本は1945年から1952年まで米軍が占領した影響で、欧米最高、アジアはだめ、というマッカーサーシンドロームを経験した。アップルが日本市場で善戦しているのも(マッカーサーシンドロームと)関係なくはない」と報じた。




写真●サムスン電子は4月末、ソウル市内のカフェやデパートなど200店舗に無料で利用できるGalaxyS6と同Edgeのワイアレス充電パッドを設置した。10分充電で4時間使える便利さを体験できる。
サムスン電子提供





趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
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