「これからの時代ソフトウエアは基礎教養」、韓国の小中学校でソフトの義務教育を実施へ [2014年8月1日]

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韓国政府は2014年7月23日、国家経済成長のために「ソフトウエア中心社会を作る」と発表した。2015年3月の新学期から中学校の、2017年3月から小学校の正規教育課程としてソフトウエアを教えることにした。高校では2018年3月から選択科目としてソフトウエアを教える。韓国政府が言うソフトウエアとは、ハードウエアを除いた全て。ソリューション、アプリケーション、コンテンツなどである。

 韓国政府は、「スマートフォンの登場以降、ソフトウエアとサービスが商品の価値を決める時代になった」として、「子供たちがソフトウエアを理解して扱える能力を養うことで、全産業で既存産業とソフトウエアを融合した新しいアイデアが生まれるだろう」と期待している。

 今までのソフトウエア教育は、ソフトウエアを作ることやソフトウエア産業そのものの市場規模を大きくすることに焦点を当てていた。これからは、ソフトウエアに関する基礎知識を義務教育を通じて身に付けることで応用力を養い、ソフトウエア+他産業の融合で新しいビジネスを開拓するようにする。

 ソフトウエア教育は、主にICT政策を担当する未来創造科学部(部は省に相当)と教育部が担当する。未来創造科学部は、「短期間で成果が出る研究開発ではなく、リスクは大きいが教育をして、ソフトウエアと他の産業を融合した製品やサービスを作れるまでサポートする」としている。

 未来創造科学部が期待するのは、「医学とソフトウエア」「建築とソフトウエア」「ウエアラブル端末とソフトウエア」「3Dプリンティング活用のためのソフトウエア」「センサー活用のためのソフトウエア」といった分野である。政府のソフトウエア研究開発予算も、果敢に世界初・世界最高に挑戦する研究所を優先することにした。

 一方、教育部は「ソフトウエア教育はクリエイティブな思考と論理的に問題を分析する能力を養えるので、小さいうちから始めるべきである。デジタル経済時代を生きることになる今の子供達にソフトウエアは基礎教養として必要になる。米国、英国、中国の子供たちもソフトウエアを学んでいる」として、小学校からの義務教育として行うことにした。

 2014年の2学期から全国72の小中学校のソフトウエア教育モデル学校に指定し、放課後にプログラムとしてソフトウエアを教える。小中学校で行うソフトウエア教育は、アルゴリズム原理の理解とプログラミングの活用といった基礎教育である。

 教育部はこの夏、教員を対象にしたソフトウエア教育も行う。ソフトウエア科目自体は専門の講師を派遣して教えることになるが、学校教育として教えるからには、担任の先生や校長先生も教育内容を熟知していないといけないという理由からだ。




チョンアン市内になる中学校で行っているソフトウエア教育。プログラミングで簡単なゲームを作り、ソフトウエアとは何かを体験することから始める。想像力と論理的思考力を身に付けることを目標としている


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

日経パソコン

 

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パソコンが売れないのはオンラインゲームの影響? 韓国でパソコンの新規需要はあるのか [2014年7月25日]

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IDCによると、2014年4~6月世界市場のパソコン出荷量は前年同期比1.7%減の7440万台だった。韓国の場合は、2014年は前年比3.5%ほど減少すると見込まれている。

 世界的にパソコンの売れ行きが減少し続けているが、4~6月はWindows XPのサポート終了による買い替え需要があり、前年同期比7%減と見込まれたところ1.7%減にとどまった。韓国も企業のパソコン買い替え需要があり、小幅に減少するだけにとどまったようだ。

 ソウル市の龍山(ヨンサン)には、かつて、自作デスクトップパソコンのパーツショップが数えきれないほどズラりと並んでいた。オンラインゲーム好きならこの仕様、ビジネス用にはこの仕様などと、ユーザー同士で情報を公開し合い、パーツショップもどこよりも早く最新のパーツを仕入れようと競争したものだ。

 龍山は「韓国の秋葉原」とも呼ばれたが、今ではパソコンを組み立てようとする人が急減し、値段競争では店舗を持たないオンラインショッピングに負けてしまったことで衰退してしまった。地方からもパソコンを買うなら龍山しかないとわざわざ来ていたものだが、龍山は今や再開発で超高層マンション地域に変わろうとしている。

 韓国では、デスクトップパソコンの代わりにノートパソコンかタブレットPCを使うユーザーや、スマートフォンさえあれば自宅にパソコンは要らないというユーザーが増えてきた。自作パソコンが減った分、サムスン電子やLGエレクトロニクスのノートパソコンが売れるようになっている。

 ノートパソコンは日本メーカーの輸入品ばかりだった時期もあったが、最近はサムスン電子やLGエレクトロニクスからも軽くて安いノートパソコンがたくさん出ている。

 韓国メディアは、パソコン、特にデスクトップパソコンが売れないのはスマートフォンのせいではないと見ている。韓国ユーザーが熱狂したオンラインゲームの衰退が、パソコン市場の衰退につながったのではないかという記事がとても多い。

 韓国でブロードバンドが普及し、ハイエンドパソコンが売れるようになったのはオンラインゲームの影響が大きかった。1998年から2000年代半ばまで、オンラインゲームをプレイしたいがために、値段は高くても高性能なパソコンを買い、超高速インターネットを申し込んだものだった。

 オンラインゲームの新作が出ると、パソコンを買ったりPCパーツをアップグレードしたりする需要が生まれるので、オンラインゲームとパソコンメーカーが組んでバンドル割引もよくしていた。7月になるとオンラインゲームの夏休み商戦が始まり、春の新学期やクリスマスの時期よりもパソコンが売れたものだ。

 オンラインゲームがけん引してきた韓国のパソコン市場は、オンラインゲームからモバイルゲームへと流行が移り変わったことで大きな影響を受けるしかなかった。新しい需要を作るため、今年、パソコンメーカーが強調しているのは「動画が観やすいディスプレイ」「ノートパソコンのようなタブレットPC」である。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

 

日経パソコン

 

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「韓国スマートヘルスケア最前線」スマホの次を急ぐSamsung、医療機器に集中する布石か?――Samsung Medison社の合併を検討 [2014年09月08日]

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Samsung Electronics社は2014年9月2日、超音波診断装置などを手掛ける医療機器メーカーで子会社のSamsung Medison社と合併を検討していると発表した。韓国メディアが2社の合併について報道したことから韓国証券取引所がSamsung Electronics社に事実確認を要請し、同社が「当社はSamsung Medison社との合併などについて検討中だが、まだ確定していない」と正式に公示した格好である。

 Samsung Electronics社がSamsung Medison社との合併を否定しなかったのは、合併に向けた話し合いがかなり進んでいるためと見られる。一部のメディアは、2014年内にSamsung Electronics社がSamsung Medison社を吸収合併するか、あるいはSamsung Electronics社内の医療機器事業部に加え、Samsung Medison社などこれまでに買収した医療機器メーカーをすべて合併した別の子会社を作るようだと報道している。

 Samsungグループは現在、組織再編の真っただ中。例えば、サムスン重工業とサムスンエンジニアリングを合併するなど、似たようなビジネスをしている系列社を次々に合併している。

Samsung Electronics社は2010年5月、新規事業として2020年までに医療機器に集中投資すると発表し、2011年にMedison社を買収した。Medison社はSamsung Medison社に社名が変わり、Samsungグループの会社となった。

 Samsung Electronics社内には医療機器事業チームがあったので、2011年の買収当時からSamsung Electronics社とSamsung Medison社が合併するという話があったが、Samsung Electronics社は否定し続けてきた。しかし2012年末、Samsung Electronics社の医療機器事業チームは医療機器事業部に昇格し、医療機器事業部の代表がSamsung Medison社の社長を兼任することになった。Samsung Electronics社はこの時から既に、Samsung Medison社との合併を念頭に置いていたのかもしれない。

Samsung Medison社の超音波診断装置の例
[画像のクリックで拡大表示]

 Samsung Electronics社は合併が確定したわけではないというが、既にSamsung Medison社の海外販売法人はSamsung Electronics社の海外法人と統合している。2014年6月に発売した新製品からは、Samsung Medison社の独自ブランド「UGEO」ではなく、「Samsung」ブランドで販売している。

合併は時間の問題

 韓国の証券街では、Samsung Electronics社がSamsung Medison社と合併しようとしたのは2013年11月からではないかと推測している。当時、Samsung Electronics社の副会長(クォン・オヒョン氏)は、「Samsung Electronics社の技術力を医療機器に適用すれば素晴らしい製品を作れる。10年以内に医療機器市場のリーダーになる」と発言した。これを受け、Samsung Electronics社がSamsung Medison社と合併してシナジー効果を出すという意味ではないかと話題になった。

 調査会社Espicomの「Medistat Worldwide Medical Market Forecasts To 2017」によると、世界医療機器市場規模は毎年10%ずつ成長し、2017年には4344億米ドルになる見込みだ。高成長が期待されている医療機器市場だが、GEやSiemens、Philips、Johnson & Johnsonなど、欧米企業が市場をリードしている。Samsung Medison社の売上高はこれら欧米大手企業の1/10程度に過ぎない。Samsung Medison社が単体でこれら欧米企業と競争するのは難しい状況である。

 Samsung Medison社としては、スマートフォンや家電市場で世界1位をキープしているSamsung Electronics社と合併すれば、同社の高度な技術と営業ネットワークなどのノウハウを活用できるようになる。一方、スマートフォンなどの事業が下降気味のSamsung Electronics社としても、早く次の戦略を見つけないといけない。こうした中、韓国ではSamsung Electronics社とSamsung Medison社の合併は時間の問題で、この合併をきっかけにSamsungグループが医療機器事業にさらなる巨額の投資をする可能性も高いと見られている。


By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
 2014年9月8
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LINEの新規株式公開申請に韓国でも大騒ぎ、上場後は米市場を狙うのか[2014年7月18日]

2014年7月16日、韓国メディアは一斉に「韓国ポータルサイト最大手NAVERが、東京証券取引所に子会社LINEの新規株式公開(IPO)を申請した」と報じた。NAVERを提供するネイバーは16日午前、自社ホームページの「公示情報」を通じて申請したことを認めた(ITproの関連記事:「東証などへの上場を検討中、申請書も提出」、LINEがコメント)。

 ネイバーの公示は、「当社の主な従属会社(子会社)であるLINEは、日本または米国で上場(新規株式公開)を検討しています。その一環として東京証券取引所など関連機関に、上場申請書など一定の書類を提出しました。しかし現在のところ、最終的に上場するかどうか、証券取引所および上場時期に関しては具体的に確定していません。具体的な内容が確定する時点、または1カ月以内に再公示します」という内容だった。

 公示は韓国取引所の要請によるものだった。数日前からLINEが新規株式公開する、しないと色々な報道があったことから、韓国取引所がネイバーに情報を求めたのだ。無料通話・メッセンジャーアプリ「LINE」を提供するLINE株式会社は日本企業だが、韓国ネイバー(旧NHN)の100%子会社である。

 ネイバーの公示は、申請はしたけれど新規株式公開が決まったわけではないという内容だが、韓国のメディアはもちろん、ロイターやブルームバーグなど米メディアも「早ければ11月に日本でLINE上場」「上場すれば時価総額1兆円超」と大々的に報道している。

 韓国の証券会社「東洋証券」は、LINEが株式公開で1兆円を調達できれば、LINEの企業価値は23兆ウォン(約2.3兆円)規模になると展望した。

 東洋証券は、米Facebookと中国の微博(ウェイボー)はSNSバブルと言われながらも、新規株式公開後に株価が着実に上昇しているとして、LINEが株式を公開すれば、LINEはもちろん、ネイバーの企業価値も上昇すること間違いないと見ている。LINEのユーザーが2014年末には6億人を超える勢いで伸びていることや、海外での知名度も高いことから、株式公開でかなりの資金を調達できるとしている。

 韓国経済新聞は16日、「LINEの新規株式公開は去年から何度も話題になっているが、そのたびにネイバー側は否定した。なぜ今のタイミングで株式公開を決めたのか。その理由はLINEの売り上げが急上昇しているから」だと分析した。

 ネイバーのLINE事業売上は、2014年1~3月期で1452億ウォン(約145億円)。前年同期比では115.7%成長した。LINE事業の売上構成は、ゲームが70%、広告が25%、スタンプが15%の割合だった。

 ネイバーの海外事業売上は1813億ウォン(約181億円)で、前年同期比92.6%増。ネイバーの売り上げに占める海外事業売上の割合は28%で、前年同期18%から10ポイント増えた。ネイバーの海外売上が好調なのは、LINEのおかげといえる。LINEの売り上げがぐんぐん伸びているこのタイミングで株式を公開すれば、さらなる利益を見込まれ、株が売れる。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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韓国で下り225Mbpsの広帯域LTE-Aがスタート、コンテンツも充実度増す [2014年7月11日]

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韓国のキャリア3社は、LTE-Advanced(LTE-A)をさらに高速化した広帯域LTE-Aを6月から7月にかけて全国で開始した。下り最大225Mbpsのモバイルブロードバンドで、最大75MbpsのLTEより3倍も速い。

 キャリア3社は、最大225Mbpsの広帯域LTE-Aを全国でサービス展開したのは韓国が世界で初めてと大々的に宣伝している。韓国の場合、地下鉄の中でも広帯域LTE-Aを利用できるので、いつでもどこでも途切れることなく高速インターネットを使える。

 高速ネットワークに合わせて、モバイルコンテンツも変わり始めた。今まではトラフィックの負荷を理由に高画質なストリーミングをあまり提供してこなかったが、速度が改善したことでパケットの流れもよくなり、トラフィック問題も改善できた。7月からは、高画質な動画ストリーミングサービスや、スマートフォンで撮影しながら同時に他の人にも見せられる個人放送局、高画質ゲームが続々と登場している。

 キャリア3社中、第3位で加入者拡大と加入者当たりの売上増加を狙うLGユープラスは、月7700ウォン(約770円)で高画質な映画を見放題のストリーミングアプリ「UflixMovie」を始めた。1万2000本もある映画をスマートフォン、タブレット端末、スマートTVから視聴できるサービスだ。映画の途中で端末を変えたい場合、最初から見直さなくても大丈夫。自分が見ていた画面から続きを観られる(スマートTVでも見る場合は月約200円を追加)。

 ケーブルTVを見るようにアクション、コメディ、ロマンス、ドラマなどのチャンネルがあり、ずっと映画が流れる。番組表を見て好きな番組を視聴できるし、好きな映画を選択してVOD(ビデオオンデマンド)で視聴することもできる。「動画もLTE-A時代」になったと宣伝している。映画評論家によるお勧め作品、ジャンル別お勧め作品リストがあるので、何を観たらいいか迷ってしまうときは参考になる。好きなジャンルの新作を真っ先に表示するよう、アプリの見せ方を自分で編集することもできる。

 加入者数トップのSKテレコムは、広帯域LTE-Aならではのコンテンツとして「クラウドゲーム」に力を入れ始めた。

 パズルゲームのような単純ですぐ勝負がつくゲームではなく、パソコン向けのロールプレイングゲームやXboxのようなコンソールゲーム向けのスポーツゲームをスマートフォンでも楽しめるようしたもので、ゲームをスマートフォンにダウンロードもインストールもする必要がない。ゲームそのものはクラウド上のサーバーで実行し、ゲームをプレイしている画面だけスマートフォンに転送する方式のゲームである。

 スマートフォンの性能が向上し、ネットワークもより速くなったことで、ゲームを提供する側もパズルゲームでは物足りなくなったようだ。\



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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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韓国の青少年のスマートフォン中毒対策、全国学校で利用状況調査を実施 [2014年7月4日]

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韓国の教育政策を担当する教育部は2014年6月30日、全国の小学校4年、中学1年、高校1年の156万人を対象に実施した「インターネット・スマートフォン利用習慣診断」調査結果を発表した。

 今回の調査で、日常生活に支障が出るほどのインターネット中毒「高危険状態」と診断された青少年は9541人で、「潜在的危険状態」は9万5516人。小中高校生の中で、最もインターネット中毒が多かったのは中学生だった。

 一方、スマートフォン中毒の「高危険状態」と診断された青少年は、インターネット中毒の3倍近くにも及ぶ2万6296人に達した。「潜在的危険状態」は16万303人。スマートフォン中毒は低年齢化が進んでいて、中高生のスマートフォン中毒は年々減少しているのに対し、小学生は年々増加している。

 中毒状態には男女差もみられた。インターネット中毒は男子が女子の2倍近く多く、逆にスマートフォン中毒は女子の方が2倍近く多かった。インターネット中毒のほとんどはオンラインゲーム中毒なので男子学生が多い。これに対してスマートフォン中毒は、すぐに返事しないといけないからとSNSに執着する女子学生が多かった。

 韓国青少年政策研究院の調査によると、2013年末時点で韓国の小学校4年~高校3年生の90%が携帯電話を所有していて、そのうち81.5%がスマートフォンだった。スマートフォン保有者の77.1%はSNSを利用していた。青少年の多くがスマートフォンとSNSを利用していることから、スマートフォンの長時間使用、SNS上のいじめといったことも問題になっている。スマートフォン中毒の「高危険状態」の青少年ほど、SNS上のいじめを経験した割合が高いことも確認されている。

 インターネット・スマートフォン利用習慣診断は、インターネットやスマートフォン、ゲーム中毒を予防するために学校で行う診断である。子供たちがオンラインアンケートに答えると、アンケート結果から利用習慣を分析してインターネットやスマートフォンに依存しすぎているのではないか、中毒状態ではないかを専門家が診断して、学校を通じて診断結果を保護者に知らせる。

 中毒状態という判断が出た場合は、保護者の同意を得て、全国16カ所にある青少年福祉センターの担当者がより詳細な心理検査を行い、その後、保護者に病院を紹介してカウンセリングを受けさせるようにする。カウンセリング費用は教育部が補助するので、経済的に大きな負担がかかることはない。診断結果やカウンセリングを受けていることも秘密にできる。

 青少年福祉センターによると、インターネット中毒とは、パソコンやインターネットの過度な使用で現実の生活に支障が出るほどの身体的・精神的異常現象を経験することだという。「インターネットをしていると何か楽しいことが起こりそうでやめられない」「インターネットの利用を中断すると不安になる」といった症状から始まり、うつ病や衝動調節障害になる人もいる。

 スマートフォン中毒はインターネット中毒と同じく、スマートフォンの使い過ぎで日常生活に支障が出るほどだが、スマートフォンの使用をやめようと思ってもやめられない状態のことをいう。スマートフォン中毒は青少年の対人関係や社会性に与える影響が強く、インターネット中毒とは若干違う面があるという。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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サムスンGALAXYの独走をLGが止めた!スマホ新機種G3が韓国で人気急上昇 [2014年6月30日]

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平均1年未満でスマートフォンを買い替えるほど新機種に敏感な韓国ユーザーが、2014年上半期のベストスマートフォンとしてLGエレクトロニクスのスマートフォン「LG G3」を選んだ。

 携帯電話専門コミュニティサイト「セティズン」が6月中旬、ネットユーザー2893人に「2014年に発売された新機種の中でもっともお気に入りスマートフォンは何か」を聞いたところ、72.5%がG3を選び1位になった。2位はサムスン電子の「GALAXY S5」で16.5%、3位はパンテックの「VEGA IRON2」で11%だった。

LGエレクトロニクスのスマートフォン「LG G3」が韓国で2014年上半期人気1位になった


 G3の発売は2014年5月28日。韓国では1日1万台ほど売れていて、まさに大ヒットという言葉がぴったりの売れ行きである。海外展開は6月27日に始まったばかりだが、海外メディアも「LGらしい強みを生かしたスマートフォン」とG3を絶賛していることから、LGエレクトロニクスは世界市場で1000万台以上売れるヒット作になると見ている。

 今までサムスン電子のGALAXYに押され気味でスマートフォン市場でぱっとしなかったLGエレクトロニクスだが、社運をかけて開発に挑んだというG3は発売してすぐ口コミで人気に火が付いた。

 G3の人気は、LGエレクトロニクスの株価まで押し上げた。G3発売以降、LGの株価は15%ほど上昇。韓国の証券会社は、LGエレクトロニクスはG3のおかげで実績好調、スマートフォンの販売台数が増え、営業利益も大幅に増加すると見込んでいた。世界100カ国で順次発売する計画で、海外市場でも順調に販売台数を伸ばすことはほぼ間違いない。LGエレクトロニクスの株価はますます上がりそうだ。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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ワールドカップの時差克服のために韓国でモバイル放送が人気急上昇 [2014年6月20日]

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サッカーのワールドカップになると、熱烈な街角応援で海外メディアにもよく紹介される韓国だが、今回のワールドカップは街角応援よりモバイル放送の方が人気を集めている。

 韓国代表のグループリーグ3試合の開始時刻は、午前7時、午前4時、午前5時と朝早い。街角に繰り出して応援するには、とても微妙な時間帯だ。韓国代表の第1戦、ロシアとのゲームは6月18日午前7時のキックオフだった。出勤ラッシュの時間帯だけに、早めに会社に行って社員みんなで応援した人もいたし、電車の中でスマートフォンを使って生中継を見る人も少なくなかった。

 韓国代表戦は、DMB(Digital Multimedia Broadcasting、韓国版ワンセグ)、ポータルサイト「NAVER」と「Daum」のインターネット生放送、地上波放送局3社が共同設立したモバイル放送「pooq tv」(テレビ番組を視聴できるアプリ)で視聴できる。


写真●ポータルサイト「Daum」のワールドカップ生中継ページ。全試合のハイライト場面をまとめた動画も提供している
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 最近は、DMB視聴機能を搭載していないスマートフォンも多く、ほとんどの番組をインターネット経由のVOD(ビデオオンデマンド)で利用できるため、DMBの利用は減少していた。しかしワールドカップのおかげで、久々にDMBを利用したという人も多かった。視聴率調査会社である韓国TNmSのデータによると、韓国代表戦があった18日午前7時から9時までのDMB視聴率は、前日の同時間帯の5.8倍にも上った。

 韓国では、地下鉄の中でもDMBやネット動画が途切れることはほとんどない。走る地下鉄の中でも途切れることなくLTEを利用できるだけでなく、地下鉄の車両ごとにキャリア3社のWi-Fiルーターがあるので、地下鉄の中でも高画質な動画を視聴できる。

 試合動画はVODでも提供されているので、生放送を見逃したとしても好きな時間に何度でも観られる。ただし、これらのサービスは、FIFA(国際サッカー連盟)に対する中継料の関係で韓国内だけでしか利用できない。海外からアクセスしても、「海外ユーザーは利用できません」という案内が表示される。

 モバイル放送には問題も起こった。ポータルサイトの生放送中継動画は、同時接続数90万人前後を予想していたにもかかわらず、視聴者数が250万人を超え、サイトに接続できない人が続出したのだ。ネットでは、不満の書き込みがあふれた。

 DMBでは画質が問題になった。DMBの解像度は640×480ドットとワンセグの最大320×240ドットよりも高画質だが、それでもサッカーのようなスポーツ中継では、今画面に映っている選手が誰なのか、ボールがどこにあるのかがよく分からないといったことが起こる。しかも、最近のスマートフォンはどんどん高画質になっているので、5.5インチ、1920×1080ドットといったスマートフォンでDMBを観ると、どうしても「画質が荒い」と感じざるを得ない。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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売りに出された音楽プレーヤー販売の韓国アイリバー、SKテレコムと日本企業が買収に興味 [2014年6月13日]

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 ハイレゾ音源対応音楽プレーヤーを販売している韓国アイリバーが売りに出された。最大の株主である私募ファンドがアイリバーの株を売却することにしたのだ。

 韓国メディアは、日本の音響関連企業2社(会社名は非公開)がアイリバーの買収に乗り出したと報じた。6月に入ってからは、携帯電話加入者シェアで1位のキャリアである韓国SKテレコムがアイリバー買収に乗り出すことを明らかにし、韓国の新聞には「アイリバー買収めぐり日韓企業が競争」という見出しまで登場した。SKテレコムがアイリバー買収の意向を表明してから、アイリバーの株価は5日ほどで2倍に跳ね上がった。

 アイリバーの設立は1999年。高品質でデザインもかわいいMP3プレーヤーを販売し、韓国だけでなく世界市場でも人気が高かった。iPodが発売されてからはMP3プレーヤーの人気が落ちたため、より高音質の携帯型音楽プレーヤーをはじめ、ナビゲーション、電子辞書、電子書籍端末、Kibot(子供向けロボット、Wi-Fi接続で防犯カメラ機能・電子書籍・アニメなどをダウンロードできる)、スマートフォンなどモバイル端末――といった製品を製造販売している。

 2012年からは24ビット/192kHzのスタジオマスタリング音源(Mastering Quality Sound、ハイレゾ音源、ITproの関連記事)を再生できる高級携帯型音楽プレーヤー「Astell&Kern」シリーズを、2013年には心拍数やGPS移動経路記録、カロリー消費量などを計測するヘッドホン「iriverOn」を発売した。

 Astell&Kernは日本でも販売されており、「AK240」(256GBモデル)には30万円近い値段が付いている。アイリバーはハイレゾ音源販売サイト「groovers+」、世界初の高音質ストリーミングラジオ「sonodoos」を運営する子会社も持っている。

 一方、SKテレコムはアイリバーを買収することで、通信事業以外の収益拡大を目指している。韓国の通信市場は日本と同様に加入者が飽和状態で、キャリア3社は端末購入のための補助金や料金割引で顧客の奪い合いをしているのが現状だ。

 SKテレコムは、既にスマートフォンと連動する携帯型非常ベル(子供や女性向け、保護者のスマートフォンに緊急メッセージを送信して位置を表示する)、携帯型プロジェクター、子供用ロボットなどを発売している。2014年2月には韓国の無人警備会社NSOKを買収し、NSOKが持っている防犯センサーや防犯カメラの技術を生かしたスマートホームサービスにも注力する。

 また、2012年には中国の医療機器ベンチャーである西安天隆科技有限公司の株式を49%取得し、中国のヘルスケア市場にも進出しようとしている。


写真●SKテレコムが販売している子供向けロボット「Albert」。韓国のキャリアは通信以外のビジネスに積極的になっている


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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iOSとAndroidに対抗できるか?サムスンがTizenを搭載した「Samsung Z」公開 [2014年6月6日]

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2014年6月2日から6日まで(現地時間)、米アップルがサンフランシスコで開発者向けカンファレンス「WWDC(Worldwide Developer Conference)2014」を開催している。その同じサンフランシスコで、サムスン電子が6月2日から4日まで(同)モバイルOS「Tizen」の開発者向けカンファレンス「Tizen Developer Conference 2014」を開催した。

 Tizenは、サムスン電子や米インテルなどが開発に参加しているHTML 5基盤のOSだ。2013年2月の「Mobile World Congress 2013」では、米モジラが推進する「Firefox OS」とともに、iOS、Androidに続く“第3のモバイルOS”として大いに注目された(ITproの関連記事:第3のモバイルOS狙うFirefox OSとTizen、何が違う?)。

 日本では2014年1月にNTTドコモがTizen搭載スマートフォンの導入を当面見送ると発表したことで、逆にTizenの存在が知られるようになった。米マイクロソフトの「Windows Phone」を含めて、モバイルOSは5社が競争するかたちになっている。

 サムスン電子は6月2日(現地時間)に初のTizen搭載スマートフォン「Samsung Z」を発表し、カンファレンス2日目の6月3日(同)にそれを参加者に披露した(ITproの関連記事:Samsung、Tizenスマホ「Samsung Z」をQ3にロシアで発売へ)。



写真●サムスン電子がサンフランシスコで公開したTizen搭載スマートフォン「Samsung Z」(写真提供:サムスン電子)
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 ディスプレイは4.8インチの「HD Super AMOLED」(1280×720ドット)、CPUは2.3GHzクアッドコアプロセッサー、カメラは800万画素/210万画素、メモリーは16GBで、最大64GBのmicroSDスロットを備える。重さは「GALAXY S5」の145グラムより軽い136グラムだが、厚さは8.5mmとGALAXY S5の8.1mmより若干分厚い。バッテリーは2600mAhと平均的だが、ウルトラ節電モードを搭載し、残り10%のバッテリーで丸1日スマートフォンが使えるという。

 ホームボタンには指紋認識センサーがあり、セキュリティも向上した。「Download Booster」といってLTEとWi-Fiを同時に使ってより高速にファイルをダウンロードできる機能もある。ヘルスケアプリ「Sヘルス」をはじめ、GALAXY Sシリーズにプリインストールされているサムスンのアプリも一通り利用できる。カラーはブラックとゴールドの2種類から選べる。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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