新発売の「GALAXY S5」、韓国メディアは日本で売れるかに注目 [2014年4月18日]

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 2014年4月11日、韓国サムスン電子のスマートフォン新機種「GALAXY S5」が世界125カ国で同時発売された(写真、日本は未発売)。韓国では一足早い3月27日、キャリア3社の長期加入者向け機種変更モデルとして登場。韓国での端末価格は、32GBモデルが86万6800ウォン(約83000円)となっている。








写真●GALAXY S5を販売している韓国のキャリアLGU+の代理店
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 GALAXY S5は、逆光でもきれいに撮れてシャッター速度が速くなった1600万画素カメラ、指紋認識、防水・防埃機能、心拍数測定センサー、LTEとWi-Fiを同時に使ってネットワーク速度を早くする「ダウンロードブースター」、バッテリーの持ちを長くする「ウルトラ省電力モード」搭載など、最新技術を搭載したプレミアムスマートフォンである。カラーもホワイト、ブラックのほか、エレクトリックブルー、カッパーゴールドという独特なブルーとゴールドもそろえた。

 心拍数測定センサーを搭載したことで、韓国では「GALAXY S5はスマートフォンなのか医療機器なのか」という議論も巻き起こったが、医療機器審査を担当する韓国の行政機関である食品医薬品安全処が「GALAXY S5は医療目的ではなく運動・レジャー目的で心拍数を測定するので医療機器でない」と判断したことで無事販売できた。食品医薬品安全処が医療機器と判断した場合、GALAXY S5はキャリアの代理店ではなく、医療機器ショップで販売することになったかもしれない。

 韓国のGALAXYファンの間では、「GALAXY S5は5.1インチなのでGALAXY Note3より画面が小さいのが気になったが、カメラ機能が素晴らしく画面もとてもきれい。ネットワーク速度が速くなる機能が気に入った」と好評を得ている。韓国人はスマートフォンで自分撮りしてSNSに書き込み、動画サイトを頻繁に利用するので、カメラ機能とネットワーク速度を重視するからだ。


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章恩(ITジャナリスト)

 

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2016年に未来学校開校、進化したスマート教育で未来に向けた人材育成 [2014年4月11日]

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ソウル市教育庁は「未来学校」を2016年に開校するための準備を進めている。

 未来学校とは、未来社会で活躍する人材を育てるための学校である。ソウル市教育庁が考える未来社会が求める人材とは、「創意性」のある人。問題を自由でクリエイティブな想像力で解決できる人だという。今の学校教育や入試制度では想像力豊かな人を育てられないので、教える方法、評価する方法を全てひっくり返してみようという実証実験だ。


 未来学校は、さらに進化したスマート教育を行う学校でもある。(1)教師・学生・保護者はクラウドコンピューティングを活用してつながり紙は使わない、(2)タブレットPCをはじめ各種モバイル端末を使ってプロジェクト単位の研究・発表・討論を行う授業方式を導入する、(3)従来の中間・期末テストは一切行わない――といった特徴を持つ。


 授業中に何をしたのか、宿題で何を研究したのかといった子供の学びの過程がクラウドコンピューティングに蓄積され、それを分析してうまくできたところと補うところを評価するので、いつも学校でやっているようなテストは要らなくなるということだ。


 ソウル市教育庁は、今年から2年間20人の教師を選抜して未来学校教師研修を行い、カリキュラムの開発に集中している。電子黒板、無線LAN(Wi-Fi)、タブレットPCといったハードウエアばかり気にしたスマート教育を脱皮し、先生と教育の中身をスマートにするための研究を行っている。教室のインテリアをはじめ、授業設計、教える方法など全てを未来学校ならではの方式に変える計画だ。


 ソウル市教育庁は未来学校について、「教育のパラダイムを変え、子供達の創意力と想像力を育てる学校を作る」と表現している。2016年には、まずソウル市内に未来学校(中学校)を開校する。2014~2015年の研究予算は、69億ウォン(約6.7億円)だ。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)



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「韓国スマートヘルスケア最前線」2020年に世界7大医療機器国を目指す韓国、「ITと医療を融合した機器に集中投資」 [2014年05月20]

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「保健産業を未来成長産業に育成する」――。

 朴槿恵政府が掲げた国政課題に従い、韓国では2014年4月から新たな医療機器産業育成政策として「2014~2018医療機器産業中長期発展計画」がスタートした。この計画は、医療機器産業を韓国経済をリードする主力産業に育成し、2020年までに韓国が世界7大医療機器国になることを目標にしている。

 保健福祉部(部は省)のデータによると、2013年末時点で韓国の医療機器生産額は前年比8.9%増の4兆2242億ウォン(約4647億円)、輸出額は前年比19.8%増の2.5兆ウォン(約2750億円)、世界市場に占めるシェアは1.2%、医療機器関連雇用は3.7万人に過ぎない。医療機器市場の貿易赤字は4074億ウォン(約448億円)で、輸出より輸入の方が多い。2020年までに世界7大医療機器国になるためには、医療機器輸出額13.5兆ウォン(約1兆4850億円)、世界市場シェア3.8%、医療機器関連雇用13万人以上を達成しないといけない。

病院を中心とした研究プラットフォームも

 2014~2018医療機器産業中長期発展計画における4大戦略は以下の通りである。

■中小企業も医療機器市場に進出しやすいよう規制緩和を行う
■韓国産医療機器の輸出を拡大するため、信頼とブランド価値を向上させる
■世界医療機器市場に進出するため戦略的にR&Dに投資する
■アイデアがあれば市場に参加できるオープンイノベーション・エコシステムを構築する

 規制緩和と輸出拡大のためには、医療機器政策を担当する保健福祉部(部は省)と産業通商資源部だけでなく、幅広い省庁の協力が必要となる。複数の省庁が縦割りをなくして協力できるよう、同中長期発展計画では保健福祉部・企画財政部・未来創造科学部(通信産業担当)・産業通商資源部・食品医薬品安全処・中小企業庁・特許庁が関わっている。2014年の上半期中に省庁合同で細部実行企画を決めることにした。

 韓国の医療機器業界が支援を求めていた臨床試験に関しても改善の兆しが見え始めた。韓国政府は、医療機器メーカーが病院のインフラを活用して研究や臨床試験ができるよう支援し、アイデア発掘から知的財産保護・臨床試験・認可・医療機器販売に至るまで専門的に医療機器メーカーをコンサルティングする「医療機器仲介・臨床試験支援システム」を構築することにした。2013年にインドネシアとベトナムにオープンした「海外医療機器総合支援センター」を通じて、海外輸出のための海外臨床試験費用支援、海外で認可をもらうためのコンサルティング提供、海外でのPR活動を強化することにした。

 さらに、病院を中心に医療機器メーカー、研究所、大学などが連携して共同研究できる「融合研究プラットフォーム」を作り、これをオープンイノベーション型に発展させようとしている。医療機器メーカーが良いアイデアと要素技術を持っていても、これを臨床試験にまでつなげられず途中であきらめてしまうケースが多かったことから、臨床試験までたどり着けるようにする仲介研究と臨床試験の費用も支援額を増やすことにした。

Samsung社に“追い風”の政策

 規制緩和に関しては、医療機器の品目許可(認可)と医療技術評価にかかる時間を最大限短縮することにした。2014年4月8日には食品医薬品安全処が「医療機器品目及び品目別等級に関する規定」を改訂し、運動・レジャー目的の心拍数計測機能があるスマートフォンは医療機器ではないと規定した。

 Samsung Electronics社が韓国で2014年4月に発売したスマートフォン新機種「GALAXY S5」は、この規制緩和のおかげで無事、心拍数計測機能付きで発売できた。今までは心拍数計測機能付きモバイル端末は医療機器に分類され、キャリアの代理店ではなく医療機器専門店でしか販売できなかった。

 この規制緩和に関しては、一部のメディアが「これはSamsung Electronics社のための改訂ではないか」「Samsung Electronics社が国のルールを牛耳る」、と報道したことから議論になっている。

 この影響で、保健福祉部が医療機器融合人材を養成するために、Samsungグループが財団のソンギュンクァン大学を医療機器特性化大学院に指定し、4年間で約20億ウォン(約2.2億円)を支援することにしたことも、「政府がSamsung社の肩を持つ」と見られてしまった。

 Samsung Electronics社は、病院や医療機器、モバイル端末製造、IT技術開発などのグループ会社を持ち、そのシナジー効果で韓国の医療機器とヘルスケア産業をリードしている。しかし、「韓国政府の医療機器育成政策=Samsung社支援」と反発があるのも事実だ。保健福祉部は、「韓国はITに強みを持っているだけに、ITと医療を融合した医療機器に集中投資する。医療機器を韓国経済の軸になる産業に育てる」としている。今後、中小企業やベンチャーの支援もさらに拡大する必要がある


By 趙章恩の「韓国スマートヘルスケア最前線」
日経デジタルヘルス
 2014年5月19
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サムスンとアップルの訴訟第2幕、グーグル対アップルという側面も [2014年4月7日]

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先週韓国で最も話題になったのは、なんといっても米カルフォルニア連邦地方裁判所で韓国サムスン電子と米アップルの2回目の訴訟が始まったことである(
関連記事)。

 現地時間2014年3月31日に陪審員選定からはじまったサムスン電子とアップルの2回目の訴訟では、アップルがサムスン電子に対し、20億ドル(約2060億円)の損害賠償を要求している。サムスン電子のGALAXY NEXUS、GALAXY S IIIといった10種類のスマートフォンとタブレット端末がアップルの特許を侵害したとして、1台当たり33~40ドルの賠償金を要求したものだ。


 1回目の訴訟はサムスン電子の負けだった。9億2900万ドル(約956億8700万円)をアップルに損害賠償すべきという判決が出た。今回アップルは2倍以上の賠償金を求めている。


 今回、サムスン電子が侵害したとアップル側が主張する特許は、「テキスト自動完成機能」「メールやテキストに書いてある電話番号をタップするだけで電話をかけられる機能」「指を横にスライスして画面のロックを解除する機能」「音声認識機能Siri」「データ同期化」の5種である。


 アップルはサムスン電子に対して損害賠償のほかに、GALAXY NEXUS、GALAXY S IIIといった10種類の端末の米国内での販売を禁じることも求めている。ただ、端末は2年以上前の古い機種なので、仮に販売禁止という判決が下ったとしても販売面に対する影響はほとんどなさそうだ。






アップルが自社の特許を侵害したとして米国内での販売禁止を求めているサムスン電子のGALAXY NEXUS(左)とGALAXY S III(右)



 サムスン電子もアップルのiPhone 5とiPad miniがサムスン電子の特許2種、「デジタル画像と音声を記録・再生する方法」と「遠隔画像転送システム」を侵害したとして694万ドル(約7億1482万円)の損害賠償を求めている。







趙 章恩=(ITジャーナリスト)



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Windows XPサポート終了で銀行ATMが危ない!韓国金融監督院が注意 [2014年3月31日]

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2014年3月26日、韓国金融監督院はWindows XPのサポートが終了する4月9日以降、銀行をはじめ金融業界の業務用PCの使用を制限するとした。Windows XPを搭載したままのPCは、インターネットに接続できなくするよう注意したのだ。Windows XPを使い続けたことでハッキング事件が起きた場合、銀行にはいつも以上に厳しい処罰を下すことにした。

 金融業界で特に問題となっているのが、Windows XPを搭載したATM(現金自動預け払い機)である。韓国金融監督院の調査によると、ATMの94.1%がWindows XPのままだという。銀行、保険、証券会社内で使っている業務用PCの場合は、23.6%がまだWindows XPを使っている。韓国の複数のメディアによると、メキシコではWindows XPを搭載したATMにウイルスを埋め込み、携帯電話で攻撃するとシステムに異常をきたして現金が出てくるようハッキングを仕掛けた事件があったという。


 韓国金融監督院も、2017年までにATMのOSを全て入れ替えるようにするとしている。しかしポータルサイトのコメント欄には、「Windows XPのサポート終了について何年も前から知っていたはずなのに、なぜいまだにOSをアップグレードしないで銀行利用者を不安にさせるのか」と批判的なコメントが並んでいる。


 韓国では、店頭のレジにあるPOS(販売時点情報管理)端末もWindows XPを使っているものが多い。これらについても、Windows XPのサポート終了によってセキュリティ脆弱性が顕在化し、ハッキングが起こる可能性があると見られている。POS端末のOSアップグレードも急がなくてはならない。


 一般のパソコンユーザーに関しても、韓国ではいまだにWindows XPを使っている人が多いため、IT政策を担当する省庁の未来創造科学部は、Windows XPのセキュリティ脆弱性を補うためのプログラムを開発して無料で提供することになった。一般ユーザーにもWindows XPを使う場合は、セキュリティ対策をしっかりするよう注意を呼び掛けている。







趙 章恩=(ITジャーナリスト)



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LINEのおかげで韓国NAVERの株価が上昇、サムスンを超えるという声まで [2014年3月20日]

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韓国で今話題なのは、「NAVER」という韓国最大のポータルサイトを運営するNAVERの株価である。2014年3月19日の終値は1株83万3000ウォン(約8万3000円)。NAVERの株価は1年前ぐらいは1株40万ウォン(約4万円)前後だったが、2014年に入ってからじりじり上がり続けている。

 時価総額では、NAVERは財閥系大手企業と肩を並べるほどにまで成長した。サムスン電子、現代自動車、現代モービス(自動車部品)、SKハイニックス(半導体)に続いて5位になっている。


 韓国メディアは、NAVERの株価が上がり続けている理由を「LINEのおかげ」と断言している。世界で3億7000万人が利用している「LINE」を提供するLINEはNAVERの子会社。韓国メディアは「LINEのおかげでNAVERの株価が1株100万ウォン(約10万円)を突破するのは時間の問題になった」「LINEが大成功したことで、NAVERの株価がサムスン電子を超える可能性もある」と騒いでいる。


 外国人投資家もNAVER株買いに走り、韓国全体の株価が下落してもNAVERだけは上がっているほどだ。


 




NAVERの本社ビル「Green Factory」

 


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)



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2014年は“4K元年”に、韓国で高画質4Kコンテンツへの投資が盛んに [2014年3月14日]

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ソニーの「Xperia Z2」、韓国サムスン電子の「GALAXY Note3」、韓国LGエレクトロニクスの「LG G Pro2」など、4K(3840×2160)動画の撮影機能を売りにしたスマートフォンが登場している。韓国では、従来のフルHD(1920×1080)よりも4倍鮮明な4K動画撮影機能を女性が喜んで使う。日常生活や子供の成長を手軽に高画質で記録できるからだ。スマートフォンでも4K動画を撮影できるようになったことで、4Kという言葉も一層身近になってきた。

 4月以降に発売予定の「GALAXY 5」も、4K動画の撮影機能を搭載している。サムスン電子は投資家向け説明会で、2015年になればテレビのように4Kのディスプレイを搭載したスマートフォンが登場するだろうと話したこともある。韓国では4Kと言わずUHD(Ultra High Definition)という。サムスン電子やLGエレクトロニクスは、2014年が「UHD大衆化元年」になると見ている。


 韓国では、日本より遅れてこの4月から地上波テレビが4K実験放送を始める。3月11日、未来創造科学部(IT政策を担当する省庁)が地上波放送局に対し、700MHz帯域の4K実験放送を許可した。これでやっと6月のサッカー ブラジルワールドカップを4Kで中継できるようになった。9月19日から10月4日まで韓国仁川市で開催される、2014年アジア競技大会も4Kで中継する予定だ。


 ケーブルTVは4月から4K放送を商用化する。4K映像専用チャンネルを作り、4Kで撮影したドキュメンタリー番組や映画、スポーツ中継を24時間流すという。IPTVや衛星放送よりも早く、有料放送の中ではケーブルTVが初めて4Kを常時放送する形になった。


 ソウル市内の量販店に行くと、一番目立つ場所に、必ずサムスン電子とLGエレクトロニクスの4Kテレビが置いてある。4Kテレビは画面がくっきり鮮明すぎて3Dに見えてしまうほどだ。韓国ではやっと4K試験放送が始まったこともあり、ブラジルワールドカップを前にして買い替え需要を狙った4Kテレビの値下げ競争も始まった。


 まだまだ一般庶民が気軽に買える値段ではないが、LGエレクトロニクスの49インチ4Kテレビは290万ウォン(約29万円)にまで安くなった。昨年までは、55インチの4Kテレビが600万ウォン(約60万円)程度だったことを考えると、画面は少し小さいものの半額近くにまで値下がりしたことになる。









趙 章恩=(ITジャーナリスト)



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Bitcoinは大丈夫? 韓国ではまだビジネスチャンスありという雰囲気 [2014年3月7日]

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韓国でも日本のBitcoin取引所「Mt.GOX」の経営破綻や、日本政府がBitcoinを通貨ではなく貴金属のような「モノ」とみて、Bitcoinを売却して利益を得た場合に所得税を課税する方針を検討していることが大きな話題になっている。

 韓国では、2013年末にBitcoinが急激に値上がりしたあたりから、マスコミが頻繁に「Bitcoinとは何か」を取り上げ始めた。中国ではネットサービスの決済手段としてBitcoinを使えるようになった、世界各国に取引所があって匿名で取引できるので人知れずお金を貯められる、といったニュースも報じられ、人々のBitcoinへの関心を高めた。また、「Bitcoinはどうやったら手に入るのか」を解説するブログも増えた。

 それまでBitcoinは一般的にあまり知られていなかったものの、その後、たった4カ月で世界最大の取引所がハッキングによって経営破綻するとは、誰も想像していなかっただろう。








Bitcoinの相場は4カ月で半額以下に

 韓国にも、Bitcoinの取引所「Korbit」がある。2013年11月時点の相場は1Bitcoin当たり155万ウォン(約15万円)。それが、3月6日時点では70万ウォン(約7万円)まで値下がりした。海外の取引所が次々と経営破綻していることから不安が広がり、たった4カ月で半額以下にまで暴落した格好だ。

韓国の取引所Korbitでは2万人近い人が取引をしていて、2014年1月には米シリコンバレーの個人投資家から40万ドル(約4200万円)の投資を誘致した。個人投資家らは投資の理由として、「韓国でもBitcoin取引が活発になり、金融業界にも影響を与えるほど成長することを期待している」と明かしていた。

 日本や米国では「Bitcoinは大丈夫なのか?」と不安に思う声が広がっているが、韓国のKorbitは「Mt.GOXの経営破綻はMt.GOXの問題であり、Bitcoinに問題があるわけではない。銀行が破産したからといって貨幣に問題があるとは言わない。当分は混乱すると思うが、逆にBitcoinの投機がなくなり安定した決済手段になれる。Mt.GOXの破綻をきっかけに、Bitcoin関連業界が顧客資産を守るシステムに力をいれるようになる」と前向きにとらえていた。

Bitcoin専用のATMが登場

 ソウル市の大型コンベンションセンター「COEX」にあるコーヒーショップには、3月9日にBitcoin取引用のATMが取り付けられる予定だ。このATMは、韓国のコインプラグというベンチャー企業が開発したものだ。

 スマートフォン用アプリ「Bitcoin Wallet」をインストールするとQRコードが生成され、ATMのカメラにQRコードをかざすことでBitcoinを売ったり買ったりできる。ATMにお金を入れると「Bitcoin Wallet」にBitcoinが入り、Bitcoinを売るとATMからお金が出てくる。Bitcoinの無人取引所といった感じだ。

 1日3回まで取引できるという。COEXの周辺には大型ホテル、カジノ、空港ターミナル、高層ビル、商業施設が密集していて外国人も多い。IT関連展示会も頻繁に開催される場所なので、Bitcoin ATMを設置するにはぴったりの場所と言える。

 コインプラグは、「Bitcoin Wallet」を使ったオフラインでの支払いもBitcoinでできるようにしている。加盟店はまだほんのわずかだが、COEX近くのビジネスホテルやカフェで使えるようになった。


Bitcoin専用のオンラインショップも

 韓国では、Bitcoin専用オンラインショッピングモール「コインマーケット」も登場した。まだ品数が少なく、あまり人が利用しているようには見えないが、コインマーケットによると、Bitcoinを決済手段として利用すると加盟店にメリットがあるという。

 例えば、顧客がクレジットカードで支払うと加盟店にお金が入るまでの時間がかかるが、Bitcoinで支払ってもらうとすぐに現金に換金できるうえ手数料がない。また、クレジットカード決済加盟店になるには審査に時間がかかるが、Bitcoinはシステムをインストールするだけなのでクレジットカードより楽といった具合だ。

 Mt.GOXの経営破綻後も、韓国のベンチャー業界はBitcoinからビジネスチャンスが生まれることは間違いないと信じている様子だった。ただ問題は、日本や米国でこんな騒ぎになっているにも関わらず、Bitcoinを取引する個人が増えるかどうかだ。もう少し慎重になってもいいのでは?と余計な心配をしたくなった。



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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MWC2014でサムスンは“コピー”警戒、Xperia Z2は動画好きの注目浴びる [2014年2月28日]

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2014年2月24日から27日までスペインのバルセロナで世界最大のモバイル展示会「Mobile World Congress 2014(MWC2014)」が開催された。今年は展示場の面積がさらに広くなり、1800社あまりが参加した。

 毎年MWCのメインブースを飾るのがサムスン電子。2014年はZTE、Huawei(ファーウエイ)など中国勢の展示面積がかなり大きく、韓国では「サムスンが中国に包囲された」と報じた記事もあった。MWC2014には、サムスン、LG電子、大手キャリアのKT、SKテレコムなどに加えて、アプリケーションを開発する中小企業も、韓国政府未来創造科学部(IT政策担当省庁)の支援で出展した。


「MWC2014」のサムスン電子ブース(同社提供)

3位争いを演じるソニーの「Xperia Z2」が注目集める

 韓国内の注目はソニーの展示内容にも集まっている。韓国メディアは新作スマートフォン「Xperia Z2」を詳しく紹介していた。ソニーとLGは共にスマートフォンの世界シェア3位を争うライバル同士。そのせいか、韓国ではサムスンとアップルの競争、LG電子・ソニー・中国勢の競争とグループ分けする見方が多いようだ。

 韓国メディアは、Xperiaの画質とカメラが優れている点、ソニーピクチャーズの映画6本を無料で視聴できる点を魅力と見ていた。未来創造科学部の調査によると、韓国スマホユーザーが最も利用するコンテンツは動画で、モバイルデータトラフィックの45.1%を動画が占めるほどだ。

 動画好きユーザーが多い韓国では、やはり大画面スマホが人気だ。だが最近のスマホはどれもそこそこディスプレイが大きいので、今後は画面の鮮明さや、ソニーのような映画無料試聴などのコンテンツが新たな争点になると見られる。


サムスンの「GALAXY S5」がひっそり“登場”

 MWC2014の目玉として報じられたのは、やはりサムスンの「GALAXY S5」だ。

 海外のメディアからは「すごいインパクトのある機能はない」と評価されたものの、サムスン側は「スマホ本来の機能を充実させた」と説明した。心拍センサー搭載でウエアラブル端末と連動して健康管理できる機能、白黒画面に切り替えてバッテリーを最大限長持ちさせる機能、既存より0.3秒早いオートフォーカスでシャッターチャンスを逃さないカメラ、Wi-Fi(無線LAN)とLTEを組み合わせてダウンロード速度を向上できる機能など、「スマホがさらに便利になった」と言える機能が付いている。

 サムスンはウエアラブル端末の「GALAXY Gear 2」と「GALAXY Gear Fit」も公開した。GALAXY Gear Fitは前作のGALAXY Gearより小さく薄くなり違和感なく着けられる。GALAXY S5と連動したメール・スケジュール確認、ヘルスケア機能を持つ。OSはAndroidではなくTizen(タイゼン)を採用したというのも特徴だ。

 GALAXY S5と新しいGALAXY Gearの発売日は4月11日の予定だ。発売までまだ時間があるため、競合他社が製品を“コピー”できないようGALAXY S5はMWC2014の一般展示場には公開せず、メディアとパートナー会社にだけ公開する慎重ぶりだった。韓国メーカーも先進国メーカーの製品を“コピー”しながら技術開発を進めたが、今では“コピー”されないよう守る側になった。GALAXY Gear 2とFitは一般公開された。

KTはNFCサイネージ、SKテレコムは「状況認知」訴求

 大手キャリアのKTはMWC2014会場内に「NFCメディアポール」を設置した。NFCメディアポールは会場案内をするデジタルサイネージで、スマホをかざすと展示場内のイベントやコンファレンスの日程と資料、マップを自分のスマホに取り入れることができる。

 NFCメディアポールを設置したおかげで、MWC会場内では前回に比べて紙のパンフレットやイベントチラシが減った。来場者から「荷物が増えないので楽になった」という良い評判を得たそうだ。

 一方、SKテレコムは「状況認知プラットフォーム(Context Platform)」という機能を展示した。スマホのセンサー、カメラ、GPS、Wi-Fiなどの機能を活用して、ユーザーが置かれた状況を把握して今何をすればいいかスマホが提案をするというもの。今日何をしたかを記録するライフログ機能もある。


IoTから「Internet of Everything」へ

 SKテレコムの「状況認知プラットフォーム」を使えば、誰と最も頻繁に電話をしたか、モバイルペイメントを使ってどこで何を買ったのか、どんなアプリケーションを利用したか、今日はどんな予定が入っているか、といったことを分析してくれる。地下鉄に乗るとその人が好みそうな音楽を薦めてくれたり、出張先に到着するとすぐ道案内が始まったり、「今月はお金の使い過ぎだ」と警告したり、といったことができるという。

 SKテレコムは「これからはスマート2.0時代」「IoT(Internet of Things)からIoE(Internet of Everything)になった。状況認知プラットフォームはビッグデータと並んで重要なインテリジェンス機能だ」だと説明した。スマホがあれば生活が楽になることを実感できるようにしたいという。

 「誰よりも先にスマホの新機種を買って自慢したい」「新しいアプリを試したい」という人が多いお国柄の韓国だけに、例年、MWCのニュースは日本と同等かそれ以上に話題になる。MWC2014では新機種だけでなく、スマホを使って新しい体験ができる基盤技術にも注目が集まったようだ。


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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電気代が日本の半額以下の韓国・釜山、マイクロソフトが1兆円規模の大型データセンター建設 [2014年2月21日]

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マイクロソフトは韓国南部の釜山地域に10兆ウォン(約1兆円)以上を投資し、2016年に敷地面積33万平方メートルのインターネットデータセンターを建設する計画だという。複数の韓国メディアが報じた。建設に関する指揮は米マイクロソフト本社が、投資はマイクロソフト中国法人が担当するという。

 マイクロソフトが韓国にデータセンターを置くのは、何といっても電気代が安いからだ。2012年時点でのOECD加盟国の産業用電気代比較を見ると(国際エネルギー機構調査)、米国67ドル/MWh、カナダ69.9ドル/MWh、オーストラリア60.9ドル/MWh、日本194.3ドル/MWh、韓国は82.4ドル/MWhだった。韓国の電気代は米・カナダ・オーストラリアよりは高いが、日本の半額以下である。

東南アジア域内でも韓国の電気代は格安

 韓国電力の調査では、韓国の産業用電気代は台湾やマレーシアよりも安かった。さらに、韓国ではソウル首都圏以外の地方都市にあるデータセンターには「知識サービス産業特例料金」を適用し、電気代を3%割引する制度がある。他国にデータセンターを置くより断然費用を節約できる。

 それに釜山地域は韓国第2の大都市なのでIT系の人材を雇いやすい。ソウル首都圏より地価が安いので大規模なデータセンターを建てても地代を抑えられる。

 マイクロソフトはすでに香港とシンガポールにデータセンターを持っている。「中国向けサービスを強化するために、電気代が安く地理的に中国と近く、規制もあまりない韓国にデータセンターを新設するようだ」と韓国メディアは分析している。米Facebookも、電気代の安さからアジア向けサービスを担当するデータセンターを韓国に建設することを検討しているという報道がある。


ソフトバンク進出で脚光浴びる

 釜山という立地は2011年12月ソフトバンクテレコムが韓国の大手通信事業者KTと合弁でデータセンターを置いたことで有名になった(関連記事)。当時のソフトバンクテレコムのプレスリリースには「日本と同等の高い品質のデータセンターサービスを日本の提供価格よりも約50%安価な価格設定で提供する」とある。

 釜山には32万平方メートルの広さで韓国最大規模の「釜山グローバルクラウドデータセンター」もある。2013年1月からLGCNS社が運営していて、7万2000台のサーバーを同時に運用できる。韓国は地震が少ない国ではあるが、万が一のため大地震にも耐えられる免震設備を用意し、津波や洪水被害を受けないように6mの高台の上に建てられた。

 韓国では企業がソウル一極集中しているため、地方都市は公務員か自営業ぐらいしか仕事がない。大規模データセンターが新しくできるとIT設備関連会社もデータセンター周辺にやってくるので、雇用が増える効果も期待される。

五輪開催地付近にもデータセンター誘致計画

 電気代の安さを売りに外資系データセンターを誘致しようと動き出した自治体もある。ソチ五輪の次の2018年平昌(ピョンチャン)五輪を開催する江原道庁(道は日本の県相当)はデータセンターを道内5カ所に建設し、データセンターとIT企業を集めたクラスターを作ると発表した。江原道には経済自由区域があり、法人税を減免してもらえる。江原道の経済自由区域にインターネットデータセンターを作れば、法人税減免と電気代3%追加割引の特典がある。

 江原道は韓国の北東部にありソウルに比べて平均気温が低い。年平均水温が5~6度と低い川もある。この川を冷却装置として活用することで電気代をさらに節約できると宣伝している。

 データセンターのエネルギー効率はPUE(Power Usage Effectiveness)という数値で表すが、これが1に近いほどエネルギー効率が高いとされる。韓国にあるデータセンターの平均PUEは2.3である。江原道は気候条件を生かしてPUEを限りなく1に近づけられるとして、データセンター誘致に積極的だ。釜山もアジアのデータセンターハブを目指しているので、韓国内での誘致競争が激しさを増しそうだ。



趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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