LINEの新規株式公開申請に韓国でも大騒ぎ、上場後は米市場を狙うのか[2014年7月18日]

2014年7月16日、韓国メディアは一斉に「韓国ポータルサイト最大手NAVERが、東京証券取引所に子会社LINEの新規株式公開(IPO)を申請した」と報じた。NAVERを提供するネイバーは16日午前、自社ホームページの「公示情報」を通じて申請したことを認めた(ITproの関連記事:「東証などへの上場を検討中、申請書も提出」、LINEがコメント)。

 ネイバーの公示は、「当社の主な従属会社(子会社)であるLINEは、日本または米国で上場(新規株式公開)を検討しています。その一環として東京証券取引所など関連機関に、上場申請書など一定の書類を提出しました。しかし現在のところ、最終的に上場するかどうか、証券取引所および上場時期に関しては具体的に確定していません。具体的な内容が確定する時点、または1カ月以内に再公示します」という内容だった。

 公示は韓国取引所の要請によるものだった。数日前からLINEが新規株式公開する、しないと色々な報道があったことから、韓国取引所がネイバーに情報を求めたのだ。無料通話・メッセンジャーアプリ「LINE」を提供するLINE株式会社は日本企業だが、韓国ネイバー(旧NHN)の100%子会社である。

 ネイバーの公示は、申請はしたけれど新規株式公開が決まったわけではないという内容だが、韓国のメディアはもちろん、ロイターやブルームバーグなど米メディアも「早ければ11月に日本でLINE上場」「上場すれば時価総額1兆円超」と大々的に報道している。

 韓国の証券会社「東洋証券」は、LINEが株式公開で1兆円を調達できれば、LINEの企業価値は23兆ウォン(約2.3兆円)規模になると展望した。

 東洋証券は、米Facebookと中国の微博(ウェイボー)はSNSバブルと言われながらも、新規株式公開後に株価が着実に上昇しているとして、LINEが株式を公開すれば、LINEはもちろん、ネイバーの企業価値も上昇すること間違いないと見ている。LINEのユーザーが2014年末には6億人を超える勢いで伸びていることや、海外での知名度も高いことから、株式公開でかなりの資金を調達できるとしている。

 韓国経済新聞は16日、「LINEの新規株式公開は去年から何度も話題になっているが、そのたびにネイバー側は否定した。なぜ今のタイミングで株式公開を決めたのか。その理由はLINEの売り上げが急上昇しているから」だと分析した。

 ネイバーのLINE事業売上は、2014年1~3月期で1452億ウォン(約145億円)。前年同期比では115.7%成長した。LINE事業の売上構成は、ゲームが70%、広告が25%、スタンプが15%の割合だった。

 ネイバーの海外事業売上は1813億ウォン(約181億円)で、前年同期比92.6%増。ネイバーの売り上げに占める海外事業売上の割合は28%で、前年同期18%から10ポイント増えた。ネイバーの海外売上が好調なのは、LINEのおかげといえる。LINEの売り上げがぐんぐん伸びているこのタイミングで株式を公開すれば、さらなる利益を見込まれ、株が売れる。

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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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韓国で下り225Mbpsの広帯域LTE-Aがスタート、コンテンツも充実度増す [2014年7月11日]

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韓国のキャリア3社は、LTE-Advanced(LTE-A)をさらに高速化した広帯域LTE-Aを6月から7月にかけて全国で開始した。下り最大225Mbpsのモバイルブロードバンドで、最大75MbpsのLTEより3倍も速い。

 キャリア3社は、最大225Mbpsの広帯域LTE-Aを全国でサービス展開したのは韓国が世界で初めてと大々的に宣伝している。韓国の場合、地下鉄の中でも広帯域LTE-Aを利用できるので、いつでもどこでも途切れることなく高速インターネットを使える。

 高速ネットワークに合わせて、モバイルコンテンツも変わり始めた。今まではトラフィックの負荷を理由に高画質なストリーミングをあまり提供してこなかったが、速度が改善したことでパケットの流れもよくなり、トラフィック問題も改善できた。7月からは、高画質な動画ストリーミングサービスや、スマートフォンで撮影しながら同時に他の人にも見せられる個人放送局、高画質ゲームが続々と登場している。

 キャリア3社中、第3位で加入者拡大と加入者当たりの売上増加を狙うLGユープラスは、月7700ウォン(約770円)で高画質な映画を見放題のストリーミングアプリ「UflixMovie」を始めた。1万2000本もある映画をスマートフォン、タブレット端末、スマートTVから視聴できるサービスだ。映画の途中で端末を変えたい場合、最初から見直さなくても大丈夫。自分が見ていた画面から続きを観られる(スマートTVでも見る場合は月約200円を追加)。

 ケーブルTVを見るようにアクション、コメディ、ロマンス、ドラマなどのチャンネルがあり、ずっと映画が流れる。番組表を見て好きな番組を視聴できるし、好きな映画を選択してVOD(ビデオオンデマンド)で視聴することもできる。「動画もLTE-A時代」になったと宣伝している。映画評論家によるお勧め作品、ジャンル別お勧め作品リストがあるので、何を観たらいいか迷ってしまうときは参考になる。好きなジャンルの新作を真っ先に表示するよう、アプリの見せ方を自分で編集することもできる。

 加入者数トップのSKテレコムは、広帯域LTE-Aならではのコンテンツとして「クラウドゲーム」に力を入れ始めた。

 パズルゲームのような単純ですぐ勝負がつくゲームではなく、パソコン向けのロールプレイングゲームやXboxのようなコンソールゲーム向けのスポーツゲームをスマートフォンでも楽しめるようしたもので、ゲームをスマートフォンにダウンロードもインストールもする必要がない。ゲームそのものはクラウド上のサーバーで実行し、ゲームをプレイしている画面だけスマートフォンに転送する方式のゲームである。

 スマートフォンの性能が向上し、ネットワークもより速くなったことで、ゲームを提供する側もパズルゲームでは物足りなくなったようだ。\



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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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韓国の青少年のスマートフォン中毒対策、全国学校で利用状況調査を実施 [2014年7月4日]

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韓国の教育政策を担当する教育部は2014年6月30日、全国の小学校4年、中学1年、高校1年の156万人を対象に実施した「インターネット・スマートフォン利用習慣診断」調査結果を発表した。

 今回の調査で、日常生活に支障が出るほどのインターネット中毒「高危険状態」と診断された青少年は9541人で、「潜在的危険状態」は9万5516人。小中高校生の中で、最もインターネット中毒が多かったのは中学生だった。

 一方、スマートフォン中毒の「高危険状態」と診断された青少年は、インターネット中毒の3倍近くにも及ぶ2万6296人に達した。「潜在的危険状態」は16万303人。スマートフォン中毒は低年齢化が進んでいて、中高生のスマートフォン中毒は年々減少しているのに対し、小学生は年々増加している。

 中毒状態には男女差もみられた。インターネット中毒は男子が女子の2倍近く多く、逆にスマートフォン中毒は女子の方が2倍近く多かった。インターネット中毒のほとんどはオンラインゲーム中毒なので男子学生が多い。これに対してスマートフォン中毒は、すぐに返事しないといけないからとSNSに執着する女子学生が多かった。

 韓国青少年政策研究院の調査によると、2013年末時点で韓国の小学校4年~高校3年生の90%が携帯電話を所有していて、そのうち81.5%がスマートフォンだった。スマートフォン保有者の77.1%はSNSを利用していた。青少年の多くがスマートフォンとSNSを利用していることから、スマートフォンの長時間使用、SNS上のいじめといったことも問題になっている。スマートフォン中毒の「高危険状態」の青少年ほど、SNS上のいじめを経験した割合が高いことも確認されている。

 インターネット・スマートフォン利用習慣診断は、インターネットやスマートフォン、ゲーム中毒を予防するために学校で行う診断である。子供たちがオンラインアンケートに答えると、アンケート結果から利用習慣を分析してインターネットやスマートフォンに依存しすぎているのではないか、中毒状態ではないかを専門家が診断して、学校を通じて診断結果を保護者に知らせる。

 中毒状態という判断が出た場合は、保護者の同意を得て、全国16カ所にある青少年福祉センターの担当者がより詳細な心理検査を行い、その後、保護者に病院を紹介してカウンセリングを受けさせるようにする。カウンセリング費用は教育部が補助するので、経済的に大きな負担がかかることはない。診断結果やカウンセリングを受けていることも秘密にできる。

 青少年福祉センターによると、インターネット中毒とは、パソコンやインターネットの過度な使用で現実の生活に支障が出るほどの身体的・精神的異常現象を経験することだという。「インターネットをしていると何か楽しいことが起こりそうでやめられない」「インターネットの利用を中断すると不安になる」といった症状から始まり、うつ病や衝動調節障害になる人もいる。

 スマートフォン中毒はインターネット中毒と同じく、スマートフォンの使い過ぎで日常生活に支障が出るほどだが、スマートフォンの使用をやめようと思ってもやめられない状態のことをいう。スマートフォン中毒は青少年の対人関係や社会性に与える影響が強く、インターネット中毒とは若干違う面があるという。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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サムスンGALAXYの独走をLGが止めた!スマホ新機種G3が韓国で人気急上昇 [2014年6月30日]

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平均1年未満でスマートフォンを買い替えるほど新機種に敏感な韓国ユーザーが、2014年上半期のベストスマートフォンとしてLGエレクトロニクスのスマートフォン「LG G3」を選んだ。

 携帯電話専門コミュニティサイト「セティズン」が6月中旬、ネットユーザー2893人に「2014年に発売された新機種の中でもっともお気に入りスマートフォンは何か」を聞いたところ、72.5%がG3を選び1位になった。2位はサムスン電子の「GALAXY S5」で16.5%、3位はパンテックの「VEGA IRON2」で11%だった。

LGエレクトロニクスのスマートフォン「LG G3」が韓国で2014年上半期人気1位になった


 G3の発売は2014年5月28日。韓国では1日1万台ほど売れていて、まさに大ヒットという言葉がぴったりの売れ行きである。海外展開は6月27日に始まったばかりだが、海外メディアも「LGらしい強みを生かしたスマートフォン」とG3を絶賛していることから、LGエレクトロニクスは世界市場で1000万台以上売れるヒット作になると見ている。

 今までサムスン電子のGALAXYに押され気味でスマートフォン市場でぱっとしなかったLGエレクトロニクスだが、社運をかけて開発に挑んだというG3は発売してすぐ口コミで人気に火が付いた。

 G3の人気は、LGエレクトロニクスの株価まで押し上げた。G3発売以降、LGの株価は15%ほど上昇。韓国の証券会社は、LGエレクトロニクスはG3のおかげで実績好調、スマートフォンの販売台数が増え、営業利益も大幅に増加すると見込んでいた。世界100カ国で順次発売する計画で、海外市場でも順調に販売台数を伸ばすことはほぼ間違いない。LGエレクトロニクスの株価はますます上がりそうだ。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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ワールドカップの時差克服のために韓国でモバイル放送が人気急上昇 [2014年6月20日]

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サッカーのワールドカップになると、熱烈な街角応援で海外メディアにもよく紹介される韓国だが、今回のワールドカップは街角応援よりモバイル放送の方が人気を集めている。

 韓国代表のグループリーグ3試合の開始時刻は、午前7時、午前4時、午前5時と朝早い。街角に繰り出して応援するには、とても微妙な時間帯だ。韓国代表の第1戦、ロシアとのゲームは6月18日午前7時のキックオフだった。出勤ラッシュの時間帯だけに、早めに会社に行って社員みんなで応援した人もいたし、電車の中でスマートフォンを使って生中継を見る人も少なくなかった。

 韓国代表戦は、DMB(Digital Multimedia Broadcasting、韓国版ワンセグ)、ポータルサイト「NAVER」と「Daum」のインターネット生放送、地上波放送局3社が共同設立したモバイル放送「pooq tv」(テレビ番組を視聴できるアプリ)で視聴できる。


写真●ポータルサイト「Daum」のワールドカップ生中継ページ。全試合のハイライト場面をまとめた動画も提供している
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 最近は、DMB視聴機能を搭載していないスマートフォンも多く、ほとんどの番組をインターネット経由のVOD(ビデオオンデマンド)で利用できるため、DMBの利用は減少していた。しかしワールドカップのおかげで、久々にDMBを利用したという人も多かった。視聴率調査会社である韓国TNmSのデータによると、韓国代表戦があった18日午前7時から9時までのDMB視聴率は、前日の同時間帯の5.8倍にも上った。

 韓国では、地下鉄の中でもDMBやネット動画が途切れることはほとんどない。走る地下鉄の中でも途切れることなくLTEを利用できるだけでなく、地下鉄の車両ごとにキャリア3社のWi-Fiルーターがあるので、地下鉄の中でも高画質な動画を視聴できる。

 試合動画はVODでも提供されているので、生放送を見逃したとしても好きな時間に何度でも観られる。ただし、これらのサービスは、FIFA(国際サッカー連盟)に対する中継料の関係で韓国内だけでしか利用できない。海外からアクセスしても、「海外ユーザーは利用できません」という案内が表示される。

 モバイル放送には問題も起こった。ポータルサイトの生放送中継動画は、同時接続数90万人前後を予想していたにもかかわらず、視聴者数が250万人を超え、サイトに接続できない人が続出したのだ。ネットでは、不満の書き込みがあふれた。

 DMBでは画質が問題になった。DMBの解像度は640×480ドットとワンセグの最大320×240ドットよりも高画質だが、それでもサッカーのようなスポーツ中継では、今画面に映っている選手が誰なのか、ボールがどこにあるのかがよく分からないといったことが起こる。しかも、最近のスマートフォンはどんどん高画質になっているので、5.5インチ、1920×1080ドットといったスマートフォンでDMBを観ると、どうしても「画質が荒い」と感じざるを得ない。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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売りに出された音楽プレーヤー販売の韓国アイリバー、SKテレコムと日本企業が買収に興味 [2014年6月13日]

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 ハイレゾ音源対応音楽プレーヤーを販売している韓国アイリバーが売りに出された。最大の株主である私募ファンドがアイリバーの株を売却することにしたのだ。

 韓国メディアは、日本の音響関連企業2社(会社名は非公開)がアイリバーの買収に乗り出したと報じた。6月に入ってからは、携帯電話加入者シェアで1位のキャリアである韓国SKテレコムがアイリバー買収に乗り出すことを明らかにし、韓国の新聞には「アイリバー買収めぐり日韓企業が競争」という見出しまで登場した。SKテレコムがアイリバー買収の意向を表明してから、アイリバーの株価は5日ほどで2倍に跳ね上がった。

 アイリバーの設立は1999年。高品質でデザインもかわいいMP3プレーヤーを販売し、韓国だけでなく世界市場でも人気が高かった。iPodが発売されてからはMP3プレーヤーの人気が落ちたため、より高音質の携帯型音楽プレーヤーをはじめ、ナビゲーション、電子辞書、電子書籍端末、Kibot(子供向けロボット、Wi-Fi接続で防犯カメラ機能・電子書籍・アニメなどをダウンロードできる)、スマートフォンなどモバイル端末――といった製品を製造販売している。

 2012年からは24ビット/192kHzのスタジオマスタリング音源(Mastering Quality Sound、ハイレゾ音源、ITproの関連記事)を再生できる高級携帯型音楽プレーヤー「Astell&Kern」シリーズを、2013年には心拍数やGPS移動経路記録、カロリー消費量などを計測するヘッドホン「iriverOn」を発売した。

 Astell&Kernは日本でも販売されており、「AK240」(256GBモデル)には30万円近い値段が付いている。アイリバーはハイレゾ音源販売サイト「groovers+」、世界初の高音質ストリーミングラジオ「sonodoos」を運営する子会社も持っている。

 一方、SKテレコムはアイリバーを買収することで、通信事業以外の収益拡大を目指している。韓国の通信市場は日本と同様に加入者が飽和状態で、キャリア3社は端末購入のための補助金や料金割引で顧客の奪い合いをしているのが現状だ。

 SKテレコムは、既にスマートフォンと連動する携帯型非常ベル(子供や女性向け、保護者のスマートフォンに緊急メッセージを送信して位置を表示する)、携帯型プロジェクター、子供用ロボットなどを発売している。2014年2月には韓国の無人警備会社NSOKを買収し、NSOKが持っている防犯センサーや防犯カメラの技術を生かしたスマートホームサービスにも注力する。

 また、2012年には中国の医療機器ベンチャーである西安天隆科技有限公司の株式を49%取得し、中国のヘルスケア市場にも進出しようとしている。


写真●SKテレコムが販売している子供向けロボット「Albert」。韓国のキャリアは通信以外のビジネスに積極的になっている


趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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iOSとAndroidに対抗できるか?サムスンがTizenを搭載した「Samsung Z」公開 [2014年6月6日]

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2014年6月2日から6日まで(現地時間)、米アップルがサンフランシスコで開発者向けカンファレンス「WWDC(Worldwide Developer Conference)2014」を開催している。その同じサンフランシスコで、サムスン電子が6月2日から4日まで(同)モバイルOS「Tizen」の開発者向けカンファレンス「Tizen Developer Conference 2014」を開催した。

 Tizenは、サムスン電子や米インテルなどが開発に参加しているHTML 5基盤のOSだ。2013年2月の「Mobile World Congress 2013」では、米モジラが推進する「Firefox OS」とともに、iOS、Androidに続く“第3のモバイルOS”として大いに注目された(ITproの関連記事:第3のモバイルOS狙うFirefox OSとTizen、何が違う?)。

 日本では2014年1月にNTTドコモがTizen搭載スマートフォンの導入を当面見送ると発表したことで、逆にTizenの存在が知られるようになった。米マイクロソフトの「Windows Phone」を含めて、モバイルOSは5社が競争するかたちになっている。

 サムスン電子は6月2日(現地時間)に初のTizen搭載スマートフォン「Samsung Z」を発表し、カンファレンス2日目の6月3日(同)にそれを参加者に披露した(ITproの関連記事:Samsung、Tizenスマホ「Samsung Z」をQ3にロシアで発売へ)。



写真●サムスン電子がサンフランシスコで公開したTizen搭載スマートフォン「Samsung Z」(写真提供:サムスン電子)
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 ディスプレイは4.8インチの「HD Super AMOLED」(1280×720ドット)、CPUは2.3GHzクアッドコアプロセッサー、カメラは800万画素/210万画素、メモリーは16GBで、最大64GBのmicroSDスロットを備える。重さは「GALAXY S5」の145グラムより軽い136グラムだが、厚さは8.5mmとGALAXY S5の8.1mmより若干分厚い。バッテリーは2600mAhと平均的だが、ウルトラ節電モードを搭載し、残り10%のバッテリーで丸1日スマートフォンが使えるという。

 ホームボタンには指紋認識センサーがあり、セキュリティも向上した。「Download Booster」といってLTEとWi-Fiを同時に使ってより高速にファイルをダウンロードできる機能もある。ヘルスケアプリ「Sヘルス」をはじめ、GALAXY Sシリーズにプリインストールされているサムスンのアプリも一通り利用できる。カラーはブラックとゴールドの2種類から選べる。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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カカオとポータルサイトのダウムが合併、LINE親会社ネイバーとの競合に注目集まる [2014年5月30日]

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 日本にも進出した韓国内シェア1位のメッセンジャーアプリ「KakaoTalk」を提供する韓国カカオと、韓国内シェア2位のポータルサイト「Daum」を提供する韓国ダウムコミュニケーションが2014年5月26日に合併を発表した。8月の臨時株主総会で承認を得て、合併の手続きを完了する(ITproの関連記事:韓国のモバイルメッセージング大手Kakaoとポータル大手Daumが合併)。



写真●カカオの日本法人、カカオジャパンのホームページ
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 Webサービスに力を入れていたモバイルアプリKakaoTalkの提供会社と、モバイルサービスに力を入れていたポータルサイトDaumの提供会社が合併することにより、市場には大きな変化が起こりそうだ。

 合併後はダウムカカオという社名で、モバイル向けアプリとWebを融合したサービスを展開する。カカオとダウムの両社長は、5月26日の記者会見で「(合併により)IT、モバイルの新しい歴史を築きたい」「ゲーム、ショッピング、金融など多様な商業サービスがモバイルプラットフォームと連動し新しい市場を作っている。(合併後は)コミュニティ、情報、生活プラットフォーム事業者になる」と話した。

 韓国メディアは、カカオとダウムの合併を韓国インターネット業界史上最大の合併として大々的に報じた。両社の時価総額を合わせると、4兆ウォン(約4400億円)規模になる。

 韓国では特に、LINEの親会社で韓国シェア1位のポータルサイト「NAVER」を運営するネイバーとダウムカカオの競合に注目している。元祖メッセンジャーアプリでもあるKakaoTalkは韓国で必須アプリとして定着し、選挙運動や災害時や緊急連絡用にも利用されている。セウォル号沈没事故でも、被害者らは電話がつながらない家族にKakaoTalkで最後のメッセージを残していたりした。

 しかし海外市場ではLINEに先を越されてしまい、LINEが先行したメッセンジャーアプリ市場に割って入るのは非常に難しい状況だ。伸び悩むKakaoTalkは、パソコンからも利用できるWebサービスやモバイル決済といった新サービスを追加しながら、付加価値を付けようとしていた。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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韓国政府も3Dプリンター関連産業支援策を発表、地方自治体では無料教室も開催 [2014年5月26日]

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この5月、日本で3Dプリンターを使って殺傷能力のある銃を作ったとして男性が逮捕される事件があった。これは韓国でも大きく報じられ、「こんなこともできるのか!」と3Dプリンターの注目度を高めるきっかけになった。韓国では、日本より一足遅れて去年から3Dプリンターの活用度や経済効果が紹介されるようなった。

 韓国の経済産業省にあたる産業通商資源部と総務省にあたる未来創造科学部は、「3Dプリンティング産業発展協議会」と官民が協力する「3Dプリンティング発展推進団」を2014年6月に発足することにした。

 協議会は、省庁間の縦割りをなくして協力するための組織で、3Dプリンティング産業を取り巻く経済・社会環境を分析し、韓国ならではの革新的な技術を持つための政策的バックアップや規制緩和、技術開発ロードマップを作成する。一方、推進団は世界の3Dプリンティング産業の動向を研究し、3Dプリンターを使い付加価値を高められる分野は何があるかアイデアを出す役割をする。

 この二つの組織は、産業通商資源部と未来創造科学部が2014年4月末に発表した「3Dプリンティング産業発展戦略」を実現するために新たに組織された。

 日本の場合、経済産業省は既に2013年から3Dプリンターが生み出す付加価値とものづくりの方向性を考察した研究会を開いたり、3Dプリンターの整備などを行う大学または高等専門学校に対して補助金を出したりしている。経済産業省の、2014年度の3Dプリンター開発関連予算は40億円である。

 米国も2012年から3Dプリンターを使った製造業復興のためにと、政府が研究を支援している。中国も2014年の国家科学技術プロジェクトの一つとして3Dプリンティング技術革新センターを全国に設け、開発に乗り出すという。韓国も国を挙げて3Dプリンター関連産業を育成するということだ。

 韓国の産業通商資源部は、世界の3Dプリンティング市場規模は2012年の22億ドルから2021年には109億ドルに急成長すると見込んでいる。韓国でも3Dプリンターを使った成長工程の高度化や製造業のイノベーションにより、自動車・医療・電子分野をさらに発展できると期待はしているものの、韓国では産業用3Dプリンター設備のほとんどを輸入に依存していて、3Dプリンティング関連ソフトウエアのレベルもまだ低い。そのため、国が投資をして関連技術と企業を育てようとしている。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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差すだけでスマートTVになるChromecastが韓国で発売、ユーザーは歓迎もTV業界は懸念 [2014年5月16日]

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グーグルコリアは、2014年5月16日より韓国の量販店で「Chromecast(クロームキャスト)」を正式発売すると発表した。韓国では、Chromecastさえあれば自宅の安価なテレビが色々な機能を持つスマートテレビに大変身すると宣伝している。

 Chromecastは、USBのような形をしたメディアストリーミング機器(写真)。テレビのHDMI端子に差し込むだけでインターネットとスマートフォンやタブレット端末に接続し、各種動画をテレビで視聴できるようにしてくれるものだ。インストールが要らないので、誰でも簡単に使えるメリットがある。


写真●グーグルコリアのChromecast販売案内画面
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 Chromecastがあれば、YouTubeをはじめとしたネット動画サイトはもちろん、Google Playで購入した映画をスマートフォンやタブレット端末ではなくテレビの大画面で視聴できる。コンテンツパートナーとしてグーグルコリアは、モバイル向けにドラマの再放送VODや映画VODを提供している韓国の大手動画配信サイト「TVing」(ケーブルテレビ会社のCJ Hellovisionが運営)と、「Hoppin」(キャリアのSK telecomの関連会社であるSK planetが運営)と提携した。

 スマートフォンやタブレット端末から動画アプリを立ち上げて観たいコンテンツを選択し、Chromecastのアイコンをタッチすると、すぐにテレビにコンテンツが映し出される。同じWi-Fiネットワークにつながっているスマートフォンやタブレット端末がリモコンになる。ユーザーは、IPTV(通信事業者が運営する有料インターネットテレビ)やデジタルケーブルテレビのような有料放送を申し込まなくても、好きなときに好きなドラマや映画を安価な費用でテレビで観られる。

 Chromecastは、接続ケーブルでテレビとスマートフォンをつなげて動画を観るのとどう違うのか。スマートフォンで選択した動画を、Chromecastを使って再生した場合、スマートフォンで他の作業をしても、画面をロックしても、テレビからは動画が流れ続ける。スマートフォンのバッテリーも消耗しない。


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趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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