.
2013年12月10日に韓国情報通信政策研究院が発表した調査結果によると、13年の韓国人のネット利用形態が初めて、パソコンからスマートフォンへ移行した。デスクトップのパソコンよりスマホの利用時間の方が長いというのは韓国でも意外だったようで、テレビのニュースにまでなった。
12年と13年にそれぞれ1万319人と1万464人を対象にプライベート時間のメディア利用状況を調査したところ、スマホの1日あたりの平均利用時間は、12年の約46分から13年は66分と40%ほど増えた。パソコンの利用時間は12年の61分から13年は55分に減少した(タブレットやノートパソコンは調査対象に含まれていない)。
韓国情報通信政策研究院は、韓国でスマホの利用時間が大きく伸びたのは、ゲームアプリを利用する人が増えたことが影響しているようだ、と見ている。LTE対応のスマホの保有率が12年の11.5%から13年は37.2%と3倍以上増加したことで、スマホから途切れることなく高画質動画を視聴できるようになったのも影響している、と分析した。スマホはテレビを見ながら同時に利用することが多いことも、利用時間が伸びた一因のようだ。
スマホからメッセンジャーアプリを利用する人が増えたことから、スマホから音声通話を利用する時間は1年間で17.6%減、SMS(ショートメッセージ)の利用時間も61%減少した。
スマホさえあれば何でもできる社会に
韓国ではゲームといえばパソコンを利用するネットワーク対戦ゲーム、動画といえばパソコンから利用するテレビ局の再放送VODサイトと、パソコンがネット利用の中心にあった。家庭に子供の数だけパソコンがあって当たり前だった。ところがスマホが急激に普及し始めた11年以降、WindowsOS以外は使えなかった韓国のインターネットバンキングや電子政府サイトもスマホ向けサイトを作るようになり、Windowsパソコンが使わなくなったのもパソコン減少に影響したとみられる。
表●韓国人のメディア利用状況(韓国情報通信政策研究院)
---------------------------------------------------
2012年 2013年
---------------------------------------------------
スマートフォン 46分 66分
家庭用TV 183分 185分
デスクトップパソコン 61分 55分
フィーチャーフォン 22分 11分
(紙)新聞・本・雑誌 53分 52分
---------------------------------------------------
情報通信政策研究院の別の調査では、韓国20代がもっとも重要だと答えたメディアは「スマートフォン」で、続いて「デスクトップPC・ノートPC」31.2%、テレビ15.9%の順だった。韓国の20代は93.5%がスマートフォンを持っていて、その内57%は移動中にスマーホからテレビを観ていると答えた。さらにその内の26.5%は家の中にいる時もテレビではなくスマホからテレビを観ていると答えた。
韓国では、スマホが家庭の全ての家電を動かすリモコンになったり、健康管理をしてくれるヘルスケア端末になったり、財布を忘れた時に携帯電話料金を合算請求で決済できるポストペイのおサイフケータイになったり、スマホさえあれば何でもできてしまう社会になりつつある。スマホの利用時間は今後、もっと伸びることは間違いなさそうだ。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
日経パソコン
-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20131213/1115203/