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韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の対米半導体投資に対する米政府からの補助金に対し、韓国内では多くの懸念が渦巻いている。同社の決断に伴い、中国にあるメモリー半導体工場はどうなるのか、韓国内の半導体投資が減るのではないか、といった不安の声が高まっている。
米国商務省は2024年4月15日(米国現地時間)、米CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)†により最大64億米ドル(1米ドル=154円換算で約9800億円)の補助金をサムスン電子に支給する予備的覚書(PMT)に署名したと発表した。補助金の対象になったことで同社は米国防部との協力も可能になった。米バイデン大統領は同社への半導体補助金支給に関して、「米国と韓国の同盟が(ビジネス)チャンスを生み出している」「半導体はAI(人工知能)のような先端技術に欠かせないものであり、米国の国家安保を強化するだろう」とコメントした。
†米CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)=米バイデン大統領が2022年に米国の安全保障を強化するために制定した。2030年まで米国が世界最先端半導体の20%を生産することを目標に、米国内の半導体生産設備投資に520億米ドルの補助金を支給する。半導体の輸入に依存せず、米国内で最先端半導体の設計、生産、パッケージング、購買まで全てが完結するようにし、半導体不足で自動車生産が止まるといったことをなくそうとしている。
サムスン電子が補助金として受け取る64億米ドルという金額は、米Intel(インテル)の85億米ドル、台湾積体電路製造(TSMC)の66億米ドルに続く3番目の大きさとなった。サムスン電子の米国内の生産設備はファウンドリー事業(半導体受託生産会社)の拠点となる。同事業の最大手で好調が続くTSMCや、赤字が続き巻き返しを図るインテルと、米国内の顧客を奪い合う熾烈(しれつ)な競争が米国内で始まることになる。
サムスン電子は2022年から米国テキサス州テイラー市に最先端の半導体生産工場を建設中である。今回、これに加えて半導体パッケージング施設とR&D(研究開発)施設を新築し、2030年まで総額400億米ドル規模の対米投資を行う計画という。現地の新規雇用も2万人を超える見込みである。
韓国からはSK hynix(SKハイニックス)も同社初となる米国生産拠点を計画している。2028年下期の量産を目標に、米国インディアナ州に半導体パッケージング工場を建設する。台湾の調査会社TrendForceによれば、先端半導体(16nm世代以下)の国別生産キャパシティーは、2023年の台湾68%、米国12.2%、韓国11.5%、中国8%に対して、2027年は台湾60%、米国17%、韓国13%、中国6%、日本4%と、米国のシェアが拡大すると見ている。
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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2024. 4.
-Original column
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00107/