「やられた!」とつぶやき続々、Androidを狙う詐欺が横行 [2013年2月22日]

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人口5000万人の韓国で3000万人がスマートフォンユーザーというほど、幅広い世代に愛用されているスマホだが、スマホユーザーを狙った詐欺が後を絶たない。事態を受けて、振り込み詐欺キャンペーンのように、警察庁とマスコミが一体になって「騙されるな!」と詐欺手法を公開し、キャリアも被害者の救済に乗り出した。

 スマホ詐欺はAndroid OSユーザーをターゲットにした、悪性コードによるものだ。キャリアのカスタマーセンターから届いた請求書や、商品と交換できる無料商品券のように見せかけたリンクを貼ったSMSをハッカーが送信。受信した人がリンクをクリックすると悪性コードによってハッカーにスマホを乗っ取られてしまう。ハッカーは乗っ取ったスマホを使って「携帯電話小額決済」を利用。被害者は1~2カ月後、キャリアから届いた本当の明細を見て詐欺にあったことに気付くというパターンである。


 携帯電話小額決済は、オンラインゲームサイトやデジタルコンテンツのように小額商品を決済するための決済方法だ。Webの決済画面に携帯電話番号と住民登録番号を入力し、携帯電話にSMSで送られてくる6桁の認証数字をもう一度Web画面に入力する。最大30万ウォン(約2万7000円)まで決済可能で、決済金額は携帯電話料金に合算請求される。


 ハッカーは住民登録番号と携帯電話番号を手に入れてからハッキングするために悪性コードを送信、スマホを乗っ取ってSMSを自分のスマホで受信するよう操作する。認証数字はハッカーのスマホに届くので、被害者はスマホが乗っ取られたことも、小額決済が行われていることも請求書が届くまで気付かない。ハッカーは被害者の電話番号と個人情報を利用して仮想マネーサイトで小額決済、その後、仮想マネーをポイント統合サイト経由で現金化する。


 この詐欺手法を「SMS」+「Phishing(フィッシング)」を合成して「smishing(スミッシング)」と呼ぶ。


 ポータルサイトのQ&A掲示板にはスマホsmishing詐欺被害の救済方法を問い合わせる書き込みが後を絶たず、SNSでも「やられた!」というつぶやきが絶えず書き込まれる。加入者数が最も多いSKテレコムの場合、2013年1月だけでsmishing被害の届出件数は16万件を超え、前月比4倍になった。


 スマホのsmishing詐欺が社会問題にまで発展する中、キャリアも動き出した。従来キャリアは、ユーザーが詐欺にあったとしても、実際に決済をした仮想マネー会社に問い合わせろというだけで、取り合うことはなかった。もちろん、個人情報と認証番号が合致していれば手続き上に問題がないとして請求を取り消すこともなかった。


 増える詐欺事件に、キャリアは、ユーザーから被害届があった小額決済に対しては請求を留保し、詐欺によるものなのかを確認してから決済を取り消すことにした。また、6桁の認証番号のうち3桁をユーザーがあからじめ登録しておくように制度を変えた。スマホを乗っ取ったハッカーが認証番号を受信しても、ユーザーが設定した3桁の数字が分からなければ小額決済はできない。smishing詐欺に使われたURLをスパム登録してアクセスできないように遮断する対策も講じている。









韓国警察庁が公開した、smishing詐欺に実際に使われたSMSの内容。キャリアのカスタマーセンターから送信した請求書のように電話番号まで偽装している。請求書だと思ってURLをクリックすると悪性コードに感染し、スマホを乗っ取られてしまう



 ところが、スマホ詐欺はsmishingだけではなかった。スパイアプリを使えば盗聴、位置追跡はもちろん、スマホでやっていること全てをハッカーが盗み見ることができて、そのスマホをハッカーが自由自在に遠隔操作できる。こうなると、自分のスマホが自分のものではなくなる。スマホからモバイルバンキングを利用する人も増えている中、バンキング用のIDと暗証番号もハッカーが盗み見してお金を引き出すことができるのだ。これも被害が発生するまで自分のスマホにスパイアプリが仕組まれていることに気付かない。


 警察庁サイバーテロ対応センターは、スマホ詐欺はAndroid OSのスマホがターゲットになっていると分析した。Androidアプリは「.apk」ファイルなので、ハッカーは「.apk」の中にスパイアプリを仕組んで人気有料アプリを無料でインストールできると宣伝してばら撒く。ファイル名で悪性コードなのか正常のアプリなのか区別がつかない。Google Playではなく、違法なルートで有料アプリを無料でインストールしようとするユーザーは悪性コードに感染する可能性が非常に高い。


 ユーザーがまず気を付けることは、Google Playからアプリをインストールする際、アプリの権限を確認して、例えばゲームアプリなのにカメラ・位置・連絡先・オーディオ・SMSなどをアプリ会社が制御できるよう過度な権限を求める場合は疑うことだ。知らない間にアプリが勝手にインストールされることがないよう、スマホのセキュリティ設定を強化することが重要になる。


 Android OSのスマホを狙った悪性コードの場合、日本のユーザーも安心してはいられない。スマートフォンを盗聴できるスパイアプリや悪性コード問題は、スマホが普及し始めた2010年から存在した。韓国では、「悪性コードの存在は知っていたけど、まさか自分が狙われるとは思っていなかった」という雰囲気である。日本でも被害が広がる前に気を付けてもらいたい。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130222/1080883/

SamsungがX線CT装置専門の米医療機器メーカーを買収、医療機器事業強化に向けた組織改変の直後に

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韓国Samsung Electronics社の米国法人、Samsung Electronics America社は2013年1月28日、医療機器メーカーである米NeuroLogica社の株を100%買収し、米国法人の子会社にすることを明らかにした。

 米国マサチューセッツ州にあるNeuroLogica社は、2004年に設立されたX線CT装置専門の企業。2011年3月には、移動型の全身X線CT装置の販売許可をFDA(米食品医薬品局)から世界で初めて取得した。患者がCT撮影のために移動するのではなく、患者のいる場所にCT装置を持ってきて撮影できるのが特徴である。


 Samsung Electronics社は今回の買収に関して、「Samsung Electronics社の技術力、ブランド力、グローバル競争力などを生かし、差異化した先端医療機器を開発し、世界市場をリードする医療機器メーカーに跳躍する」などとコメントしている。



4社目の買収



 Samsung Electronics社が医療機器メーカーを買収するのは、NeuroLogica社が4社目となる。2010年には韓国の歯科用CTメーカー「レイ」、2011年には韓国の超音波診断装置メーカー「メディソン」(現在はサムスンメディソン)、さらに同年に米国の心臓検査機器メーカー「ネクサス」をそれぞれ買収した。Samsung Electronics社は、医療機器の中でも特に画像診断装置の分野に力を入れていることがうかがえる。


 2010年6月には、Samsung Electronics社が自ら血液検査装置を発売している。同様の機能を備える従来の機器に比べて大きさが1/10程度と小さいのが特徴だ。加えて、これまで採血から検査結果が出るまで2~3日掛かっていたところを、少量の血液から12分以内に19項目(糖尿・コレステロール・心臓・腎臓疾患など)を検査できる。



「ラインアップがそろった」



 実はSamsung Electronics社は2012年12月に組織改編を実施し、医療機器事業チームを医療機器事業部に格上げした。超音波診断装置を専門とするサムスンメディソンの代表も、専務クラスから社長クラスに格上げした。こうした医療機器事業強化に向けた組織改変後に、早速買収を発表したのがNeuroLogica社ということになる。韓国では、「NeuroLogica社を買収したことでSamsung Electronics社は画像診断装置のラインアップを一通りそろえた」「これはSamsung Electronics社が本格的に世界市場をリードする医療機器メーカーになるという意気込みではないか」といった声が挙がっている。


 韓国のマスコミは、「2013年の医療機器の世界市場規模は3380億米ドル規模。先進国の高齢化により、病気の予防にお金を使う人がますます増えている。こうした中、Samsung Electronics社がこの“おいしい”市場を放っておくわけがない」と分析する。韓国の医療機器業界では、Samsung Electronics社が医療機器の営業、研究開発の中途採用を国内外で大幅に増やしているという噂が絶えない。Samsung Electronics社は医療機器メーカーを買収し、中途採用によって専門家も増やした上で、得意とする半導体・ディスプレイ・IT技術との融合を図ることで、グローバル競争力を高めようとしているようだ。


 医療機器(画像診断装置)はこれまで、米GE Healthcare社、ドイツSiemens社、オランダRoyal Philips Electronics社の3強が世界市場で高いシェアを誇っていた。しかし、ここ数年の間に、医療機器はデジタル家電のように色々な技術が集約する産業になり始めている。Samsung Electronics社のような家電メーカーにも、医療機器で事業を拡大するチャンスがめぐってきた。2013年1月に開催された家電見本市「2013 International CES」の会場では、スマートテレビなどに並び、スマートな医療機器、データ共有による複数のデバイスを使ったヘルスケア・サービスが注目を浴びた。こうした光景を見ると、医療機器市場に大きな変化が到来しているのは確かだ。




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http://www.nikkeibp.co.jp/article/dho/20130226/341669/

北朝鮮の核実験で高まるサイバー攻撃の不安 [2013年2月15日]

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2013年2月12日、北朝鮮が3回目の核実験を強行した。韓国放送通信委員会、行政安全部、国防部、国家情報院などの政府省庁は「サイバー危機評価会議」を開催し、同日17時にサイバー危機警報を発令した。この会議で、北朝鮮が韓国の国家機関をハッキングするといったサイバー攻撃の可能性があると判断したことから、韓国のサイバー危機状態を「正常」から「関心」へ1段階レベルを上げた。サイバー危機警報は、正常→関心→注意→警戒→深刻の5段階である。

 サイバー危機警報が発令したことで、ネットワーク関係の民間企業、政府機関、軍が共同で対応チームを組み、ハッキングとDDoS攻撃といったサイバー攻撃を24時間監視し、主要施設を特別点検する非常勤務体制を維持する。全公務員がOSとアンチウイルスのプログラムを最新バージョンにアップデートし、送信先が不明の電子メールは見ないといった基本的な対策も徹底して行った。









インターネット振興院のサイバーセキュリティサイト。左上のアイコンはサイバー危機警報が「関心」段階であることを見せている



 韓国が北朝鮮のサイバーテロを心配するのは理由がある。北朝鮮は2009年7月、韓国の大統領官邸や国会のWebサイトにDDoS攻撃をしかけた。2011年3月にも国家機関とマスコミサイトをDDoS攻撃した。2011年4月には農協のサーバーに悪性コードを植え込み、農協の金融関係で使っているパソコン270台が悪性コードに感染してパソコンが使えなくなり大騒ぎになった。2011年11月には高麗大学の大学院生らに悪性コードを添付したメールを送ったこともある。


 警察のサイバーテロ専門家らがメールの発送経路を追跡した結果、北朝鮮逓信省のIPだということが分かった。北朝鮮のハッカーは世界60~70カ国のサーバーを経由して韓国や米のWebサイトを攻撃していたという。2012年6月にはマスコミ関係のWebサイトが北朝鮮のハッカーによって荒らされる事件や、パソコンをゾンビパソコンにさせる北朝鮮製のウイルスを仕込んだゲームプログラムを韓国内に流通させた男が、国家保安法違反容疑で逮捕されるという事件もあった。ゾンビパソコンとは、遠隔操作によって自分でも知らないうちにDDoS攻撃に使われるパソコンのことである。


韓国の情報セキュリティ専門家らは、北朝鮮は「1980年代後半からハッカー部隊を養成していてサイバー戦争に備えている」、「米、ロシアに続いて世界3位のサイバー戦争強国」と見ている。韓国のセキュリティ関連のセミナーでは、北朝鮮から韓国に亡命した脱北者たちによる証言も度々紹介されている。北朝鮮では、サイバー戦争に備えて技術将校を養成するという名目で、中学生からパソコン教育をして素質のある学生を選び、ハッカーに育てているそうだ。

 韓国軍や警察が把握したところによると、北朝鮮は2009年、人民武力部偵察局と労働党傘下にある偵察総局にサイバー戦争部隊を設置し、そこでサイバーテロを計画、海外にサーバーを持つ逓信省傘下の朝鮮逓信会社を窓口にしてサイバーテロを実行している可能性があるという。北朝鮮のサイバーテロに関わっているハッカーは3000人以上いるのではないかとも見られている。韓国の国家機関をハッキングして情報を手に入れるのも目的だが、韓国社会を混乱させる心理戦も目的の一つである。また、韓国がサイバーテロにどのように対応するのかを試すために、北朝鮮は小規模の攻撃を繰り返しているという。


 韓国では警察庁の傘下にあるサイバーテロ対応センターを国家安保室所属に格上げすることも検討している。また韓国インターネット振興院とインターネット侵害対応センターは、ソフトウエアの脆弱点を見つけて申告した人には、技術の難易度や市場に及ぼす波及度などを審査して、最高500万ウォン(約43万円)の報奨金を出すことにした。





趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130215/1079962/

主婦の関心がっちり、韓国スマート教育展示会 [2013年2月8日]

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2013年1月23日から25日まで、教育科学技術部(日本の文部科学省にあたる)が主催したSmart Edu Week(Education Fair)が盛大に開催された。Education Fair は今年で10年目を迎える韓国最大規模の学校教育専門展示会である。今年は131社が参加し、スマートデバイス、スマート教育ソリューション、スマート学習アプリを展示した。英語教育、放課後教室プログラム、体育・芸術教育教材の展示も同時開催した。

 展示会は大きく学校向けと保護者向けに分かれていた。学校で使えるスマートラーニング用電子黒板とタブレットPC・電子教卓のセットと各種ソリューションは、もう何年も前から展示している。今年は端末そのものの新しさより、学校現場や家庭でどのように活用しているのか、事例発表や模擬授業に力を入れていた。保護者向け子ども安全アプリと0歳から使えるという英語学習アプリの展示が増えた印象だった。


 韓国のスマート教育は、製品を作る企業側も、政策を担当する省庁も、利用する学校や保護者側も積極的に関心を持っている。製品に焦点を当てるのではなく、それをどう使えば子どもためになるのか、学校現場の活用事例を見せる展示会というところが面白い。スマート教育を利用する環境が整いハードウエアもある程度普及したので、デジタル教材を作成し共有する教育クラウド、先生のスマートな授業法開発、といったところが今後の課題になっている。


 サムスン電子はスマート教育用の端末やソリューションを、学校現場でどのように活用すれば先生も学生も楽しく授業できるのかを提案する展示構成だった。65型スマートTV、75型LEDモニター、GALAXY Note10.1とWindows 8搭載ATIVスマートPCを活用して、先生の端末から学生の端末画面を確認し、随時添削できること、先生がその場でクイズ問題を作って学生の画面に送信し、その日学習したことをちゃんと理解したかテストできることなどを実演した。自動出欠管理、先生が授業中使うデジタル教材を簡単に作れるようにするSペン機能、タブレットPCを使った動画撮影と編集機能も紹介した。






サムスンのブースで。GALAXY Note10.1と65型スマートTVを使ったスマート教育(学校での活用法)を中心に紹介した



 GALAXY Note10.1を実際に導入した小学校の先生を展示場に招待して、「私はスマート教育をこのように行っている」という実例を見せる時間もあった。スマート教育というと、タブレットPCばかり見て教育的効果があるのか? といった疑問を持つ人もまだいる。しかし実際にスマート教育を実践する先生は、「韓国のスマート教育は最初から最後までタブレットPCを使うのではなく、授業中に先生と学生のコミュニケーションを助けるため、またいろいろなマルチメディア資料を使って子どもの理解力を高めるため、より子どもたちを楽しく授業に参加させるための道具として使っている」、「先生も学生もタブレットPCに縛られているわけではない」という。


 サムスン電子は韓国だけでなく、世界市場も狙う。同社は2012年11月、EU参加国の教育省ネットワークであるEuropean School Netと提携し、教育とICTの融合について共同研究や端末提供を始めた。中国、米国の学校にも同社製電子黒板とタブレットPC、スマート教育ソリューションを提供して、新しい教育環境を作る実証実験を行っている。







趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130207/1079072/

アップルのラッキーバッグで燃えた1日、日本と比べて中身は… [2013年2月4日]

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2013年1月31日、アップルのラッキーバッグ(福袋)に韓国のTwitterユーザーが燃えた。1月8日にはスターバックスのラッキーバッグで燃えていたので、韓国人って結構福袋好きなのかもしれない。スターバックスのラッキーバッグは4万5000ウォン(約3800円)。タンブラーのサイズ別に3個、飲み物チケット(どのメニューもトールサイズで注文できる)7枚、キーホルダーのようなノベルティ、ダイアリー手帳などが入っていて、かなりお得だった。

 2007年から始まったスターバックスのラッキーバッグは韓国ではほぼ初めての福袋。最近は「ラッキーバッグ」という名前で福袋がかなり広がり、在庫処理用によく使われている。韓国では、福袋は日本が元祖で、江戸時代に始まったものとして知られている。


 今度はアップルのラッキーバッグだ。1月31日午後12時から販売開始するラッキーバッグ目当てに、ソウル市内明洞と江南にあるアップルのリセラー「Frisbee」前には久々に徹夜組が登場し、早朝からテレビのニュース番組が取材に来るほどの大騒ぎとなった。このラッキーバッグ、韓国のリセラー側が店舗オープン4周年記念イベントとして企画したものである。正規Apple Storeの福袋は世界中で日本にしかないようだ。






ラッキーバッグ販売告知ポスター。リセラーの4周年記念イベントとしてラッキーバッグが販売された



 韓国のラッキーバッグは3万ウォン(約2500円)で、中身はアップルのアクセサリーやバッグ、ヘッドフォンがメインだという。MacBook AirやiPad miniも入っているといううわさがTwitterで広がり、この騒ぎになったのだ。30日まで羅老号ロケットの打ち上げ成功で盛り上がっていたTwitterは、31日にはもうすっかりアップルのラッキーバッグに何が入っていたのかに話題が移った。スターバックスのラッキーバッグは外れなし、どれもお得だったのでアップルもそうだろうと期待した。


 アップルのラッキーバッグは先着500人限定で、受け付けで番号が書いてあるUSBをくじ引きし、USBに書いてある番号のラッキーバッグを買うという仕組み。徹夜で早く並んだ人がいいものをもらえるというわけでもなかった。どのラッキーバッグにしようかな~と重さを量ったり、触ってみたりする楽しみはなく、本当にラッキーなのかどうか運試しのような福袋だった。


ラッキーバッグは家に帰って開けるのかと思ったら、その場で店員と一緒に福袋をオープンして中身を確認し、MacBook air やiPad miniに当たったのは誰かを公開した。MacBook Airに当たった人は感激でぶるぶる震えながらテレビのニュースに出た。

 「アップルの在庫処分品をお金払って買う人がいるなんて」と冷ややかなつぶやきも多いが、徹夜組は「ラッキーバッグ=おみくじのようなもので、どきどきする」と楽しそうだ。


 しかし袋を開けてみると、MacBook AirやiPad miniに当たったという人は500人の中に2~3人。アクセサリーやバッグが当たったという人すらあまり見かけない。ほとんどがApple Storeで使える3万ウォン分のプリペイドカードとボールペンという残念な中身だった。


 「3万ウォンの福袋に3万ウォン分しか入っていないなんてひどい…」、「アップルのラッキーバッグなのに、スタークラフトゲームCD(Blizzard社のネットワークゲーム)が入っているとは、どういうこと?」と怒りのつぶやきをFrisbeeのTwitter宛に残す人もいた。韓国のTwitterでは、日本のアップルのラッキーバッグが話題だ。3万3000円と値段は韓国の10倍以上するが、ちゃんとアップルの製品が7万円分以上は入っていたとかで、「さすが福袋の元祖の国は違うね!」と羨ましがっている。


 アップルのラッキーバッグ、一晩の思い出で終わるかと思ったら、韓国のマスコミは、福袋マーケティングは良くないという方向へ話を持っていき始めた。経済的に不安なほど人は運に任せようとする傾向があるので、福袋が人気なのは社会や経済が不安だからなんだとか。福袋マーケティングは一獲千金を狙うギャンブルに近いので青少年に悪いという話まで出始めた。そこまで深刻に考えなくてもいいんじゃないかな~。




趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20130203/1078363/

ユーザー団結でスマホ通信料を安く~“組合”入って基本料大幅値下げ [2013年1月25日]

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消費者が団結してキャリアと交渉してケータイ料金を値下げしよう、という動きが韓国で本格化している。2013年1月8日、「全国通信消費者協同組合」は記者会見を行い、キャリアの基本料が月1万1000ウォン(約930円)のところ、協同組合の料金制度に加入すると基本料が70%引きの月3300ウォン(約280円)になると発表した。

 協同組合の回線はKTのMVNOであるエバーグリーンモバイルのもの。エバーグリーンの料金制度の中の一つに「協同組合料金」がある。組合加入費1万ウォン(約840円)を納めて会員になってから、料金制に加入する。KTやSKT、LGU+から協同組合に乗り換えるような仕組みになる。通話は10秒18ウォン、SMS送信は15ウォンとキャリアの料金に比べ30%ほど安い。データ通信は500MB分が1万ウォンで、街中や地下鉄の中ではKTのWi-Fiを無料で使える。携帯電話の端末はSIMを差し替えるだけなので、本人の端末をそのまま使うか、組合のWebサイトから中古端末を購入する。キズのほとんどないきれいなAクラス中古だけを販売していて、Galaxy Sが13万ウォン(約1万1000円)、S2は24万ウォン(約2万円)と新品の4分の1ほどの値段だ。


 「KTのMVNOなので音質もデータ通信も安定している、しかも安い」、が売りの協同組合だが、キャリアとの契約期間がまだ残っている人は対象外。契約期間が終わり、“自由の身”になった人だけが加入できる。1月20日までに1万8000人が組合員になった。


 協同組合は事務手数料(韓国では加入費という)も無料だ。キャリア3社は新規加入やキャリアを乗り換えると、通常2万4000ウォン(約2000円。LGU+のみ3万ウォン)の事務手数料を徴収する。


 協同組合というと韓国でも生協ぐらいしかなじみがない。全国通信消費者協同組合は2010年から組合設立準備を始めた。韓国の協同組合基本法が2012年12月に改訂し、発起人5人以上であれば誰でも自由に協同組合を設立できるようにしたことで(保険、金融、医療を除く)、2012年12月、正式に仁川市に設立届けを提出した。


 MVNOの中には、基本料無料、通話150分、300分あたりいくらという協同組合よりも安い料金制度のところもある。しかし共同組合は消費者団体であり、携帯電話料金構造や端末の流通が「消費者に有利になるようにするための存在」というところが違う。


 協同組合側は、「消費者はキャリアの利益のために存在するのではない。キャリアは過度なマーケティング費用を使い、その分通信費を高くして消費者に負担させている。合理的な通信料金で、消費者には家計の負担なく携帯電話を使えるようにし、キャリアは適正な利益を上げるべき」と主張する。

携帯電話普及率が人口の107%を超えている中、家計の通信費負担は月15万ウォン(約1万2600円)を超えた。家計消費の6%が通信費である。OECD加盟国の平均は2.7%なので、家計消費に占める通信費の割合が韓国では高すぎるともいえる。

 日本円で6~8万円はする高いスマートフォンも、家計を圧迫している。安いスマートフォンを使いたくても売っていない。だからといってフィーチャーフォンを使うのは不便なので、高くてもスマートフォンを買うしかない。協同組合は、組合員の共同購入という形でスマートフォンを安く販売することも計画している。今後は月1万ウォンで使える固定ブロードバンドも発売する予定だ。
 







放送通信委員会が提供する携帯電話料金制度案内ページ。「スマートチョイス」という名前で、自分の通話パターンを入力すると、キャリア3社の中からおすすめの料金制度を案内する



 携帯電話通信費値下げは国民的関心事である。新しく大統領に就任する朴勤槿氏は、キャリアの事務手数料廃止を検討している。無料の公共Wi-Fiを増設して、データ通信費も節約できるようにする。キャリアはもちろん反対している。事務手数料がなくなると、キャリア3社合わせて年間3000億ウォン(約250億円)近い売り上げが消えてしまうからだ。キャリアは、「通信費は高くない。端末分割払い料金が含まれるから高く見えるだけ」と主張する。


 筆者はまだ契約期間が終わらずKTに縛られた身であるが、満了したら協同組合に加入したくなった。全国通信消費者協同組合の登場は、携帯電話の流通/構造や料金体系を大きく変えられるのか、楽しみだ。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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2013年はPhone+Tablet の「Pablet」に注目 [2013年1月18日]

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米ラスベガスで毎年1月に開催される恒例の家電トレードショー「CES」は韓国でも大きな話題だった。

 2013 International CESでは、サムスンとLGの55型Curved OLED TV、サムスンの110型UHD TVが注目を浴びた。会場にはサムスンとLGの役員らも駆け付け、どちらも「2015年、家電世界市場シェア1位を達成する」と自信満々のところを見せた。







2013 International CESでのサムスンのブース。UHD TVの展示コーナーで(サムスン提供)



 Curved OLED TVは曲がっているディスプレイ。Curved OLED TVは平面よりも立体感があるので、パノラマ効果で映画館にいるような気分にさせてくれるだけでなく、目の疲労も減るという。しかし平面の55型OLEDTVでも1100万ウォン(約90万円)はするので、Curved OLED TVはとんでもなく高い値段がつきそうだ。そのせいで量産は難しいのではないかと見られている。あくまでも、うちはこんな技術を持っていますよ~と自慢しただけで、実際に売り出されるわけではないようだ。さらに、サムスンは薄いプラスチックで割れないフレキシブルディスプレイ「YOUM」を、LGは折りたたみディスプレイを公開した。


 韓国のマスコミ報道によると、サムスンとLGは当初、Curved OLED TVを展示する予定はなかったという。ソニーが展示会開幕前日に56型4K OLED TVを公開、サムスンとLGは負けるものかと展示品目になかったCurved OLED TVを引っ張り出して展示をしたそうだ。大型展示会にはいつもVIPだけに公開する新技術や万が一のために持っていく新製品があるそうで、Curved OLED TVもその1つだったとか。ソニーの56型4Kというのは、サムスンとLGが発表した55型フルHD OLED TVよりもサイズが1インチ大きく画質は4倍もきれいなんだとか。


 2013 International CESにはサムスンとLGだけ参加したわけではない。現代自動車や中小企業も展示に参加した。韓国のモニュエル社は、「タッチテーブルPC」で、中小企業としては初めて「Best of Innovation Award」を受賞した。テーブルとタブレットPCが1つになったもので、タブレットPCを使って注文、NFCカード決済、コンテンツ利用、ネット検索などを利用できる。保険代理店、自動車代理店、カフェ、レストランなどBtoB向けに販売している。








中小企業としては初めてBest of Innovation Awardを受賞したモニュエル社のタッチテーブルPC(モニュエル社ホームページより)






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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LINEとカカオトークに負けるか! キャリア3社、合同サービス開始の本気 [2013年1月11日]

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韓国のキャリア3社、KT、SKテレコム、LGU+は、2012年12月26日より合同で「JOYN」という統合メッセージサービス(RCS:Rich Communication Suite)を始めた。

 JOYNは、加入者同士でチャット、LTE基盤音声通話(VoLTE)、テレビ電話を利用できるアプリである。グループチャットに加え、位置情報、映像、写真が共有できる。スマートフォンとPCの両方から使えるので、外回り中に会社からスマートフォンやタブレットPC宛に大容量(100MBまで可能)のファイルを送ってもらうとか、スマートフォンで撮影した動画をPCに送信して一緒に見ながら通話するといった機能はとても便利だ。しかし、ここまではLINE、カカオトークと同じサービスで、JOYNに乗り換える必要性が全く見えない。


 違いがあるとすれば、既存のアプリ経由の音声通話は音質が不安定で、通話の途中で切れたり時々つながらなかったりすることがあるが、JOYNはキャリアが提供するアプリなので、いつでも安定的に高音質で通話ができることだろうか。また、韓国のユーザーは「知らない人を友達として推薦されるのは不愉快」という人が多いので、JOYNはあえて友達をおすすめしないことにした。セキュリティとプライバシーを守りながら利用できるメッセージアプリ兼SNSを目指している。
 






キャリア3社合同でサービスを開始した「JOYN」の利用イメージ。LINEとカカオトークに対抗するためだが、無料でない限り勝ち目はないとみられている



 しかしLINEとカカオトークは無料で利用できるが、JOYNは2013年5月までの6カ月間のお試し期間だけ無料で、その後は有料になる。定額ではなく、メッセージ送信1件ごとにいくら、といった課金にしようとしている。JOYNがどんなに音質がきれいで便利だろうが、「有料ならいらない」というユーザーがほとんど。ネットでは評判がよろしくない。


 さらに、キャリア3社がLINEとカカオトークに対抗するためJOYNを始めたというニュースのコメントには、「やっと軌道に乗ったベンチャー企業のアプリを大手企業が乗っ取ろうとしている。JOYNは新しいサービスというより中小企業つぶしにすぎない」、「大手企業は大手らしくもっと技術開発に投資して、新しいことをすればいいのに。キャリアがどんなことをしても、無料のLINEとカカオには勝てない」と批判的な意見が多数書き込まれている。


キャリアのSMS送受信量は2010年の1人当たり月平均603件から、2012年上半期には347件にまで減った。日本と同様、韓国は違うキャリアに加入している人でも、メールではなく携帯電話番号宛にSMSを送受信できる。SMS送信は1件(80バイト)20ウォン(約1.6円)、受信は無料だ。SMSは短文をチャットのように送り合うので、中高生向けのSMSは月1000件定額料金なんていうプランもあるほどだ。それでも1000件をあっという間に使い終え、追加決済する中高生が多く、「SMS利用件数を追加できない料金制度」というのまで登場した。これほど頻繁に利用しているSMSなので、1回20ウォンと激安でも、月平均603件も送れば結構な料金になる。そのため韓国ではスマートフォンに加入したら、真っ先にカカオトークをインストールし、無料SMSとチャット、音声通話を利用するようになった。当然のことだが、カカオトークにユーザーが流れた分、キャリアは重要な収益源を失ってしまった。

 韓国ではLINEよりカカオトークの方が、圧倒的に加入者が多い。スマートフォン加入者のほぼ全員にあたる3500万人あまりが利用しているほどだ。カカオトークは韓国初の無料メッセージ+無料通話アプリである。海外のユーザーを合わせると、7000万人近くがカカオトークをインストールしている。海外にいる家族や友人と国際電話の代わりにカカオトークを利用する人がとても多い。カカオトークを経由したメッセージ送信は1日30億件を超えるという。カカオトークはメッセージアプリとしての機能だけでなく、モバイルプラットフォームとして、面白いゲームもたくさん提供している。国民的人気を誇るパズルゲームの「Anipang」(参照記事)も、カカオトークと連動したソーシャルネットワークゲームである。


 キャリア3社がJOYNを始めたのは、SMS収益を取り戻したいこともあるが、モバイルプラットフォームとしての役割をカカオトークに奪われるかもしれない恐怖からだというのが業界の定説だ。キャリアはコンテンツプロバイダーとユーザーをつなげ、決済代行を行うプラットフォームだった。しかしスマートフォンが登場してからは、アプリストアがプラットフォームの役割を担う。さらに、最近はカカオトーク、Twitter、FacebookのようなメッセージアプリとSNS、サムスン電子やLG電子のようなメーカーまでもがアプリストアを作り、ユーザーとコンテンツをつなげる役割をしている。


 キャリアはモバイル産業の主役から、ネットワークを提供するだけの脇役に転落するかもしれない瀬戸際なのだ。キャリア3社のJOYNはLINEとカカオトークに奪われたプラットフォームの役割を取り戻せるだろうか。2013年は「キャリアの役割」が問われる1年になりそうだ。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

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SNS選挙運動効果なし? ネット世論と投票結果に差:大統領選 [2012年12月28日]

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2012年12月19日に行われた第18代目大統領選挙は、スマートフォンが普及してから初めて行われる大統領選挙でもあり、モバイル/SNSで燃えた選挙だった。

 ポータルサイトのNAVERによると、大統領選挙特集ページの1日平均ページビューは、パソコン向けページが6300万件、モバイルページはPCの3倍ほど多い2億件を突破した。モバイルページの1日当たりのページビューは4月の総選挙の時よりも多く、最高記録を更新した。


 ポータルサイトのDAUMもモバイルページの利用の方が多かった。選挙特集ページの選挙当日ページビューはPC向けページが1億3000万件、モバイルページが2億1300万件だった。モバイルページのアクセスは前月比3倍も伸びた。特に政治討論ができるネット掲示板は、スマートフォンモバイルからの書き込みと閲覧の方が多かったほどである。
 







NAVERのモバイル向け大統領選挙運動特集ページ。2012年の大統領選挙はPCよりモバイルページのページビューの方が圧倒的に多かった



 NAVERとDAUMは、大統領選挙はオフライン選挙運動からオンライン選挙運動へ、さらにモバイル選挙運動に変わったと評価した。その理由はやはりスマートフォンの普及と選挙法の改訂にある。SNS選挙運動が合法となり、誰でも自由にTwitterやFacebookから「私は○○の理由で○○候補を支持します。あなたも投票してね」と選挙運動ができるようになった。またネット上の掲示板に書き込む際には、国民IDである住民登録番号を入力して本人確認をするインターネット実名制度というのがあったが、それも廃止されたため、匿名でも自由に選挙や政治についてつぶやけるようになった。以前は選挙陣営の担当者、政党担当者、候補本人以外の一般人が選挙に関してネットに書き込むと、すぐ選挙法違反だとして本人を突き止めて捜査をするので、怖くて何も書けないというほどだった。今回の大統領選挙では表現の自由が最大限守られた。


 SNSで自由に発言してもよくなったことで、ポータルサイトのニュースをSNSにリンクして意見をつぶやいたり、自分が支持する候補の情報をRTしたり、友達に教えてあげたり、選挙に関して積極的に意見をいう20~30代がとても多かった。Twitterでも、韓国ではLINEよりユーザーが多いカカオトークでも、タイムラインから大統領選挙の話題が消えることがなかったほど盛り上がった。韓国のリサーチ会社DMCの調査によると、有権者の40.4%が「大統領選挙関連ニュースや公約などの情報をスマートフォンから得た」と答えた。


スマートフォンの普及がSNS選挙運動を後押し


 韓国のスマートフォン利用者動向を見ると、全体の普及率は約65%、50~60代のスマートフォン利用率も25%ほどある。スマートフォンは若い人の専有物とはいえないほど広く使われるようになった。スマートフォンの高い普及率は、SNS選挙運動、モバイル選挙運動が盛り上がった理由のひとつである。


 大統領候補はSNSの公式IDを通じて公約を発表し、その日のスケジュールを公開した。候補らは動画投稿も積極的で、街角演説をリアルタイムで中継したり、候補の1日のスケジュールをずっと追いかけるストリーミング放送を流したり、いつでもどこでも候補の情報をスマートフォンから手に入れられるようにした。SNSでは有権者からの質問や声援に答え、フレンドリーなイメージを作ろうとがんばった。


 各政党の選挙対策本部は、SNS専門チームを結成し、SNSでデマが広がらないよう対応した。SNS競争が激化しすぎて、与党のセヌリ党と野党の民主統合党は、違法なSNS選挙運動をしているとお互いを攻撃した。アルバイトを大量に雇い、Twitterやネットの掲示板にお互いの候補の悪口を書き込んで落選させようとしたというのだ。SNSの世論操作はなかなか証拠がつかめないため、うやむやになってしまったが、大統領候補らのSNSのフォロワー数やつぶやき内容をめぐる神経戦もすごかった。


 盛り上がったSNSだったが、選挙結果にどう反映したのか。米ツイッターが韓国の大統領選挙関連つぶやきを分析したところ、Twitterの中では改革勢力の候補が圧倒的に支持されていた。米の大統領選挙では、Twitterでオバマ大統領に関するつぶやきの方が多く人気で、実際にオバマ大統領は再選に成功した。


 ところが、韓国はTwitterで支持された候補は落選し、人口ボリュームの最も多い50代以上が支持する保守派候補が当選した。SNS選挙運動がどんなに盛り上がろうと、高齢化には勝てなかったようである。SNS選挙運動によって選挙への関心は高まり、投票率は伸びたものの、SNSで人気の候補が当選するには至らなかった。


 2002年と2012年を比べると、この10年で20~30代の有権者数は10%減り、50代以上の有権者数は10%以上増えた。SNSよりはテレビ討論、街角演説、紙の新聞記事を信頼する高齢者が選択した候補が大統領になったことで、SNS選挙運動は意味がないのではないかという分析まであった。しかし今は過渡期で、韓国のスマートフォン普及率が90%近くなる5年後の大統領選挙では、手軽で瞬時に情報が広がるSNS選挙運動が何よりも影響を与えるのではないか、という見方もある。


 今回の選挙結果はシニアの勝利に見えるが、スマートフォンに慣れている40代が50代になる5年後、10年後には、街角演説がなくなりSNS選挙運動が当たり前になるのではないだろうか。






趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20121228/1075422/

サムスンとアップル、意外な展開を見せる特許戦争 [2012年12月25日]

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2012年8月にアップルの勝利で終わったように見えたサムスン電子とアップルの米カルフォルニア州における連邦地方裁判所での特許訴訟だが、その後意外な展開を見せている。

 8月当時、米の陪審員はアップルが主張する7件の特許侵害の内6件をサムスン電子が侵害したと認めた。賠償額は10億4900万ドル。「サムスン電子が、アップルの特許であることを知りながら故意に侵害した」として賠償額をもっと増やすべきだという話もあり、サムスン電子絶体絶命のピンチ!と注目を浴びた。


 アップルは同裁判所に、サムスン電子のスマートフォンとタブレットPCを米国内で永久に販売できないようにする販売禁止可処分申請をしたが、これは棄却された。さらに、米の特許庁(USPTO)がアップルだけの技術と主張していた「Pinch to zoom」と「Bounce back」を次々に「特許ではない」と判断したことから、訴訟の争点は端末のデザインのみとなっている。Pinch to zoomは指2本でタッチして画面を大きくしたり小さくしたりする技術、Bounce backは画面をタッチして下に思いっきり下げると画面が弾けるようにして元に戻る技術だ。


 韓国のマスコミが12月20日付で一斉に報道した内容を見ると、米特許庁は10月にBounce backを、12月にPinch to zoomの特許を再審し、「既に先行技術が存在する」という理由で特許暫定無効の判定を下した。アップルのiPhoneが発売される前から、タッチスクリーン製品は指2本タッチして画面を大きくしたり小さくしたりする機能があったということである。


 指で2回連続タッチすると画面が大きくなったり小さくなったりする「Tab to Zoom」も、同裁判所が特許を認めるにはあいまいなところがあると指摘しているので、特許が無効になる可能性もある。


 アップルが特許侵害を理由にサムスン電子を訴えたが、それが実は特許ではなかったとなると、裁判の判決も変わる。同裁判所の陪審員が認めた侵害は、iPhoneのデザイン特許だけ残った。これによりサムスン電子の賠償金も調整される見込みである。とはいっても、欧米はデザイン特許をもっと重要視しているので、賠償額はそれほど変わらないだろうという分析もある。サムスン電子の訴訟関係者は「陪審員の評決に対する我々の再審査要請は適切であった」と喜んでいる様子だ。





趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

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