低俗ドラマ人気も「表現の自由」? 韓国テレビ放送事情

韓国言論財団の「2008年言論受容者意識調査」によると、韓国人がもっとも信頼するメディアは地上波放送(60.7%)で、2位以下に圧倒的な差をつけてトップだった。今回は韓国の最新テレビ番組事情とIPTVの商用化で変わり始めた視聴者動向を報告しよう。(趙章恩)

 なお、この意識調査によると、信頼するメディアの2位はインターネットで20.0%、新聞が3位で16.0%だった。ネットが新聞を上回ったのは2008年が初めてのことである。一日平均媒体利用時間も地上波放送、インターネット、ケーブル放送・衛星放送、ラジオ、新聞、雑誌、IPTVの順となっていて、広い意味での「放送」が占める時間は非常に長い。


■最近のヒットは「妻の誘惑」


 韓国では放送の中でも「ドラマ」と「9時のニュース」が非常に強い影響力を持つ。ネットの普及によってテレビ離れが進んだといっても、未だに視聴率40%を超えるお化けドラマが存在する(歴代最高視聴率ドラマは1996年にヨン様が出演した「初恋」で65.8%。ドラマが始まると水道の使用量が急減する現象まで起きた)。


 ドラマの放送時間帯は韓国独特で、平日朝の「朝ドラマ」と午後9時のニュースが始まる前に放映される30分の「1日ドラマ」、週2回放映される1時間の「月火ドラマ」「水木ドラマ」「週末ドラマ」、週1回の「金曜ドラマ」などがある。ケーブルテレビが独自に制作するドラマもある。


 人気ドラマに登場した商品やファッションは大流行し、主人公の職業やセリフのなかで何気なく登場する豆知識がよく社会現象になる。


 民放のSBSがニュースの前に放映している1日ドラマ「妻の誘惑」は、2008年から2009年にかけて最もヒットしたドラマだ。ストーリーは、幼なじみと夫が浮気→妻を自殺にみせかけ川に落とす→同じ日に川で自殺した女性の家族に助けられその女性になりすます→夫は妻が死んだと思っている→他人のふりをして夫を誘惑→幼なじみに復讐、というありそうにない内容。


しかし、復讐する→反撃される→また復讐→また反撃される→また復讐、というパターンを40話分ほどもひたすら繰り返し、ついに夫の家族を破滅させるという分かりやすい展開が人気を呼んだ。



■再放送VOD「ダシボギ」が収益に


 このドラマは主婦はもちろん中年男性までも熱狂し、番組名をもじった「帰宅の誘惑」という言葉が流行語になっている。韓国には姦通罪が存在するにも関わらず、人気ドラマのほとんどは、夫が浮気→妻と離婚するためにいじめ→嫁より浮気相手をかわいがる姑登場→妻の復讐開始、という筋書きである。


 復讐がエスカレートするほど視聴者も熱中し、放送局のサイトやIPTVの利用も急増する。ドラマは放送局のサイトやIPTVの再放送VODサービスにより1本1000ウォン(約70円)で視聴することができる。これは「ダシボギ」(もう一度観る)と呼ばれ、放送局の映像コンテンツ販売収益はかなりの金額になっている。


 ダシボギはDVDクラスの画質なので、IPTVのセット・トップ・ボックス経由で大画面テレビで観てもきれいな映像を楽しめる。以前は著作権が問題になったが、今ではドラマ制作契約の際にダシボギに関する契約も同時に行われる。制作プロダクションも俳優も地上波の番組はVODで再放送されるのが当たり前と認識するようになった。


 「妻の誘惑」がヒットしたおかげで、その後すぐ始まるSBSのニュースまで視聴率が上がっている。1日を締めくくる夜9時のニュース(SBSだけは8時開始)は、もっとも広告が付く時間帯である。放送局にとって、ニュースの視聴率を上げてくれるドラマはとても大事な存在なのだ。


 SBSのサイトではドラマのキャプチャー画像を利用したパロディ写真の投稿ギャラリーも人気を集めている。視聴者が新たなストーリーを作ったり、ドラマのポスターを作ったりして投稿する。日本だったら肖像権の侵害で訴えられそうだが、韓国ではこのユーザー投稿のおかげで口コミが広がり、さらに視聴率が高くなることを経験しているため、あまりきついことは言わない。



■放送途中で内容が突然変身


 こうした視聴率の高いドラマのほとんどは「マクジャンドラマ」と呼ばれ軽蔑されているが、それでも高視聴率をキープしているのは不思議としかいいようがない。マクジャンとは「炭鉱の坑道の終わり」「これ以上落ちるところがない最悪な状況」を意味する。「不倫」「復讐」「出生の秘密」「不治の病」「奇跡としか思えない偶然」を繰り返し、「こんなの絶対あり得ない!」というようなストーリーで視聴者を刺激する。


 韓国は地上波放送の番組の規制が厳しく、全ての番組は全年齢視聴可、7歳以上視聴可、12歳以上視聴可、15歳以上視聴可、19歳以上視聴可の5等級の年齢制限がつけられる。この年齢制限は、テレビ画面の20分の1以上の大きさで番組が始まる前30秒以上、放映中10分ごとに30秒以上表示しないといけない。19歳以上視聴可の番組は平日13時~22時、休日10時~22時は放送できない。


 問題は、最初は12歳以上視聴可のほのぼのホームドラマでスタートしたのに、視聴率が出ないとその瞬間マクジャンドラマに路線を変える番組があることだ。韓国のドラマはその日撮影してその日放映するほど、タイトな制作期間の中で作られる。俳優の人気がないと突然留学に行かせたり、交通事故で死なせて登場人物を入れ替えたり、愛する男性の出世のために隠れて子供を産んで姿を消したりと、最初の企画案とは全く違うドラマに変身するのである。


■「花より男子」も人気だが・・・


 小学生に人気の高いドラマ「花より男子」(日本の「花より男子」の韓国版)もマクジャンドラマと呼ばれ、子供への悪影響が心配されている。制服のスカート丈が短すぎる、高校生のキスシーンが登場するとは何事だ、学校の中で暴力を振るうシーンが放映されていいのか、お金持ちは偉いという思想を植えつける、などなど、視聴率が上がれば上がるほど、苦情も多くなっている。


 花より男子は民放ではなく公営放送のKBSで放映されているが、KBSは視聴率が高いのをいいことに、ドラマの予告編VODまで有料で配信し始めた。通常、1~3分ほどの予告編VODは無料なのだが、KBSは8~9分に伸ばしてダシボギと同じ料金を取っている。これには、ドラマ放映を待ちきれない小中学生のお小遣いを吸い上げている、公営放送の役割を忘れて金儲けに目がくらんでいると、非難が沸き起こっている。



■IPTVで「我が家だけの番組編成」


 最近はマクジャンドラマを子供たちに見せないため、「我が家だけの番組編成」を作る家庭も増えてきた。2008年11月に地上波デジタル放送の再送信を含むIPTVが商用化されてからの現象である。IPTVの加入世帯は2008年末で160万を超えた。


 IPTVはパソコンの小さな画面でなく、テレビで好きな時間に好きな番組を観ることができる。そこで、番組表の通りではなく子供たちが宿題を終えてからアニメを観たり、子供たちが寝た後でドラマを観るといったように、家族の生活に合わせた視聴パターンに切り替える家庭が徐々に出てきたのだ。


 地上波放送のドラマだけでなくケーブル放送局が制作したドラマのVOD利用も増えている。また視聴率は1桁どまりなのにVODの利用が20万件近くに達し、広告より有料販売で収益を上げるドラマも少なくない。


 映画でじわじわと観客数を伸ばしているのは、農村に住む80代の老夫婦と30年を一緒に生きてきた40歳の老牛の1年を追ったインディ映画「ウォナンソリ(Old Partner)」だ。公開から1カ月で観客数が90万人を突破し、もうすぐ100万人を超える。これはインディ映画としては異例の記録で、人口4900万人の韓国でインディ映画100万人突破は商業映画の1000万人と同じぐらいの大ヒットなのだそうだ。






キム・ヨナ選手を特集したSBSニュースサイト




■実態に合わなくなってきた視聴率調査


 「胸が痛む泣ける映画」というネットの口コミだけで広がり、2008年1月には7スクリーンしか確保できなかったのが、2月には217スクリーンに拡大され、国会でも上映された。制作費2億ウォンの低予算で既に22億ウォンの収入を上げている。デジタル映画で制作されたため、スクリーンが増えてもフィルム代がかからないのも収益につながっている。


 映画もテレビ番組と同じように、映画館で公開された後はDVDではなく1件2000~3500ウォン(約140円~230円)のVODで販売される。韓国ではDVDのパッケージ販売はもちろんレンタル市場までもしぼんでしまい、VODが収益源になっている。映画館での上映が終わるころにはIPTVでVODが有料公開され、その次に映画サイトで有料公開される。


 VODの利用増加から視聴率の計算方式を変えようという案も検討され始めた。韓国の視聴率調査は4050世帯を対象に、地上波、ケーブル、衛星放送など200チャンネル分を集計している。しかし、IPTVやモバイル放送が産業として成り立つためにはVODの視聴率も広告単価の計算に入れ、家庭以外での視聴、ワンセグやパソコンからの視聴も視聴率に入れるべき時代なのかもしれない。


 キム・ヨナ選手のフィギュアスケート大会も時差のため視聴率は高くなかったが、演技やインタビュー、会場の様子を動画で観られるSBSニュースサイトのページビューは4日間で1100万を突破し、史上最高を記録した。こうみるとテレビで番組を観るという行為だけを視聴率と考えるのはおかしいというのがよく分かる。





■マクジャンドラマも「表現の自由」?


 日本でも韓国でもネット普及によってテレビの利用が落ち込んでいると分析されることが多いが、韓国では利用形態が変わっただけで依然として地上波放送の番組が絶対的な影響力を持ち続けている。マクジャンドラマが増えていることに関しても、表現に自由という観点から見れば多彩なジャンルのドラマが登場するようになったのはいい現象ではないかと評価する意見もある。


 マクジャンドラマが氾濫する一方で、視聴率が低くてもVODで収益を上げられるという自信をつけたプロダクションがいろいろな冒険をし始めた。マクジャンドラマは「表現の自由」や「メディアの選択の幅が広がった」ことの裏返し、なのかもしれない。


 – 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  


[2009年2月25日]


<韓国リポート>韓国のネット被害拡大の原因はセキュリティ-不感症とIT依存症 (過去記事)

週末韓国を襲った「1・25インターネット通信障害」はネットワーク担当者がいながらも、パッチが発表された時にすぐインストールする等の、基礎的なことをせずに起きた「人災」と断定できる。韓国人のほとんどがこのような事件を「いつでもまた繰り返し起こり得る問題」と指摘している。分かっていながらも治せない、IT強国を作り上げた国民性が今、IT強国の座を危機にさらしている。

「IT先進国のはずが」


 国家の全体インターネット網が麻痺したこの大混乱の影響で、「もう韓国はIT強国と言えないのではないか」、「今まで韓国が積み上げてきたIT先進国としての努力が水の泡になった」とIT関係者たちは嘆いている。


 個人情報保護、DB保護と言った政策面では気を使っており、担当者の名前をWEB上に明記する等、万全を期しているように見えたが、情報保護を集客、マーケティングの手段としか思っていなかった企業が多かったのも事実だろう。面倒だから、費用がかさばるから、といった理由でセキュリティーを後回しにしたオンライン企業も多い。


IT依存度の高さが混乱広げる


 IT依存度が高すぎるのも原因だ。他の国、例えば日本や米国の場合は、既存の産業にインターネットというもう一つのチャンネルが追加されたに過ぎないが、韓国ではオンラインバンキング、ショッピング、教育、電子政府、ホームネットワーク、コミュニケーションほとんどの生活がインターネットを中心にしており、オンラインから先に動いている。すべての産業がインターネット、ITが中心だったため、混乱が加速された面もある。


 全国2万余りのPCバンはインターネット通信障害の2日間で225億ウォン(1000ウォンが約100円)もの被害を受けたとし、KTなど主要ISPと問題になったMS社を相手に集団で損害賠償を求める動きを見せている。オンラインゲームは正確な集計は出せないが、4時間ほど決済システムが使えなかった結果、業界全体で少なくとも数十億ウォン台の被害を記録したと推定している。オンラインショッピングの方は電話で対応し大きな問題にはならなかったが、販売機会を失った損失と管理上の損失として企業当たり5億ウォン以上の損失を主張している。


 韓国内オンラインバンキング加入者数は2002年末現在1770万人、経済活動人口の70%が利用している。銀行業務のオンラインバンキングの割合は20%を超す(資料:韓国銀行)。株のオンライントレードの割合は2002年11末現在53.2%、口座数は530万を超えた。去年11月1ヵ月間のオンライン取引額は299兆9000万ウォン、1日平均10兆ウォンほどがオンラインで取引されている。もし平日このような事態が起きていれば、韓国は国中が電算障害による金融被害の損害賠償請求訴訟に巻き込まれ、ネットだけでなく国自体が麻痺してしまっただろう。不幸中の幸いだった。


 韓国のネッティズンたちは、何よりもネットが使えず無駄に過ごした自分の時間を弁償してほしい、と主張している。たった週末の何時間ではあるが、ショッピングもできず、ゲームもできず、何もすることがなかったその空白をお金で計算すると一体いくらになるのだろう。平凡なネットユーザーに過ぎないと思っていた筆者自信も、ネットなしでは本当に何もやることがないことに気付いた。仕事も趣味も(ゲームと懸賞応募、この事態に気付いたのも懸賞応募の真っ最中だった!)ネットにつながっていないとできない、しかもたった数時間であるが、断水や停電と同じぐらい苦痛な時間であったのはびっくりした。


今回の事態を教訓に


 これをきっかけに、今度こそは「ゲンチャナヨ」(大丈夫)精神を改めてほしい。2001年7月、2ヵ月以上も続き3万台以上のサーバーが感染され個人の被害も大きかったコードレッドワームウィルスの被害にあれほど悩まされたにもかかわらず、再びウィルス感染で大事態を引き起こしてしまった。


 また誰の責任でもないとする、罪だけを憎む人情もこの際には忘れてほしい。ネット障害が起きる直前、DAUMのドメイン管理を代行している米国ネットワークソリューションズ社の問題で一時サイトにつながらない騒ぎが起きた。1日ページビュー1億以上を誇り、国内外の韓国人ほとんどが会員になっている国家代表サイトがドメイン管理をおろそかにし、会社がなくなる危機に陥りながらも「弊社の責任ではないのでゲンチャナヨ」状態だった。ユーザーも何日もサイトを利用できず不便ではあったが、サイトが元に戻ったときには「ゲンチャナヨ」と何も追求しなかった。


 IT大統領とも、デジタル大統領とも公言した政権なので、2月就任するノ・ムヒョン大統領への期待が高まっている。「大統領職引受委員会」では情報保安関連業務が国家情報院、情報通信省、警察庁等に分散しており、インターネット障害が収拾できないため、情報保安システムを一元化する方案を出し、情報通信省の綜合状況室を補完、常設運営すると発表した。情報通信部も非常連絡網を作り、道路交通法と同じようにネット道路法の制定を急ぐと発表したが、そのうち、また忘れてしまうのではないかと心配である。

by- 趙 章恩


 デジタルコア連載  Link

<韓国リポート>PCバンとPS2、仲良く同居でシナジー効果大(下) (過去記事)

メガウェップステーションはソウル市内で一番ホットな場所である三成洞COEX地下モールにある。約3600㎡、1日平均8000人が訪れる大人気スポットで、映画館、移動通信社の会員専用ネットカフェ、PCバンが一つになった複合施設だ。派手なインテリア、タバコの煙の無いきれいな空気、カップル席、会場貸し出し、ネットワークゲーム対戦生中継のためのスタジオ、新ゲームテストプレイ・ショールーム等、韓国を代表する「ゲーム」の最新基地的な役割をしている。ここのスタジオで繰り広げられる有名ゲーマーの対戦は毎週「オンネットゲーム」というゲーム専用インターネット放送局で中継され、当日は足の踏み場がないほど若者が集まる。







オンラインゲーム生中継に使われるスタジオ


デジタルテーマパーク目指す


 メガウェップはデジタルテーマパークを目指し上海にPCバン支店を持ち、2003年には東京にもオープンする予定。PCバン業界のリーダー「メガウェップ」は今年生き残りをかけて大変身した。PCバンスペースの3分の1はKT広報館(韓国通信)に、また3分の1はPS2ショールームとして貸し出し、PCバンの機能は縮小した。メガウェップの中にオープンしたこのPS2ショールームはこの秋オープンしたばかり、韓国初のゲームショールムだ。








メガウェップステーションの中にあるPS2ショールーム、いつも満員
 韓国には元々「TVゲーム機」というのは存在しない。80年代からゲームはパソコンでするものか、ゲームセンターのアーケードゲームか、そのどっちかだった。パソコンを買う理由もゲーム、インターネット、TV、ラジオと色々な機能が使えるからだ。新婚家庭ではTVやビデオといった家電よりはパソコンとADSLをどこのものにしようかをもっと悩む。思い切ってAV系の家電はパソコンだけにしてしまう家庭も(筆者のように)珍しくない。PCバンはインターネットよりはネットワークゲームのための場所だった。


 韓国で正式販売されたPS2がその人気に比べ売れ行きはあまり芳しくないらしい。すでにゲーム好きな人たちは日本での発売と同時にソウルの龍山(ヨンサン)電気街で個人輸入された物を買ってしまっているからだ。他のゲーム機も同じような状況だ。メガウェップはPS2の楽しさを知ってもらうため、無料で色んなソフトを直接試せてその場で買える「プレイステーション・バン」なるものを考え、ソニーにアプローチしたという。


 韓国のPCバンの文化は日本のインターネットカフェや漫画喫茶とは全然違う。始発待ちや仕事のためではなく、本当にゲームを楽しんだり、友達とのコミュニケーション、外の世界とのコミュニケーションのために行く。PCバンとオンラインゲームが切っても切れない関係なのは日本でもよく知られている。でもゲーマーたちは消耗的にPCバン通いをしているわけではないのだ。ゲームを楽しむだけでなく、ゲーム機能や素材を提案したり、バグやエラーを探し出したり、消費者でありながら生産もするプロシューマー(Prosumer)になっている。


PCバンで人気高まるPS2


 PCバンはゲームプロシューマーのたまり場、自然と集まる場所になり始めた。そこに入り込み始めたのがPS2ということになる。韓国ではだめ、と言われたコンソールゲーム、特にPS2がPCバン化しながらゲーマーとの距離が縮まっている。PCバン化することで、98年PCバンブーム、ADSLブームを起こしたPCゲームのような存在になろうとしている。


 COEX1階太平洋ホールで12月12日~15日、韓国唯一のゲームショー「大韓民国ゲーム大展2002」 (KoreaAmuseWorldGameExpo2002、以下KAMEX)が「ダイナミック・コリア!ワンダフル・ゲーム!」をモットーに開かれた。


 世界3大ゲーム市場、米国のE3、日本の東京ゲームショウ、イギリスのECTSと共に世界4大ゲームショーとの広報にもかかわらず、PS2やXBOXのようなコンソールゲームは参加しなかった。主催側の韓国ゲーム製作協会は「PS2は参加すると言っていたのに、最後の最後で突然ショールームを理由に不参加発表した」と不満そうだった。


 PS2側はKAMEX開催中、先着順にカレンダーを配ったり、抽選で記念品をあげたりと、展示は参加しないものの、その観客を確実に吸い寄せていた。何もしなくても人の多いメガウェップの中がKAMEX帰りのPS2観客でごった返し、KAMEXより込んでいたのは言うまでも無い。


 どんなに個人のIT化が進み家庭で色んなコンテンツが楽しめても、誰かと一緒が好きな韓国人の性格が変わらない限り、まだまだPCバンは健在だろう。オンラインゲームからPS2のようなTVゲーム(コンソールゲーム)へとすぐ流れが変わるとは思えないが、大衆文化開放と共に韓国ゲーム文化の産室PCバンは、2003年日本のゲームにその場を譲ろうとしている。PCバンの再起とPS2の市場拡大を目指すメガウェップには、今日もゲーマーたちでごった返している。

by- 趙 章恩


 デジタルコア連載  Link

<韓国リポート>PCバンとPS2、仲良く同居でシナジー効果大(上) (過去記事)

韓国の街並みを象徴するもの、それは「PCバン」ではないだろうか。街の至る所にPCバンの看板が目立ち、ど田舎の駅前にもコンビニは無くても必ずあったのが「PCバン」だった。つい先日もPCバンで3日も眠らずオンラインゲームに没頭した無職の20代青年が過労で亡くなった。99~2000年あたりならみんな他人事ではないと一騒ぎなっただろうが、今は、「まだそんな人がいたのか、珍しい」に変わっている。

PCバンブーム 


 PCバンはインターネットカフェとも言える場所で、「バン」は「房」、韓国語で部屋を意味する。PCがたくさん並び、超高速インターネットを利用しオンラインゲームや多様なコンテンツを楽しめる部屋と言える。韓国で生まれ、日本、中国、米国、東南アジア等、全世界に広がっている。








ゲームを楽しむ人々。PCバンはゲームの世界を現したインテリアが多く、大体このような雰囲気
 PCバンは97年年末韓国を襲ったIMF経済危機以降、韓国経済再生を語るに欠かせない存在である。名誉退職の名前で働き盛りの30~40代の若さで職を失ったサラリーマンたちが家族に言えず、スーツ姿で時間つぶしに山に登ったり公園で日なたぼっこしたりする様子がよくニュースに出ていたものだ。そのサラリーマンたちは当時荒れ吹く「IT」の風に乗り「PCバン」創業で家計を支え、就職口のない若い世代は連日PCバンでオンライン・ネットワークゲームに没頭し「プロゲーマー」という職業が芸能人並みの人気を誇ったりもした。1時間150円~200円と、カフェで待ち合わせするよりお得だったし、自分より断然うまい上級ゲーマーの手さばきを眺めたい、プロゲーマーと対戦してみたい、といったこともPCバンに集まる理由になった。


「スター」にはまり3、4時間


 「PCバン」と言えば筆者に思い出がたくさんある。連日友達と、会社仲間とPCバンに寄りネットワークゲームの火付け役である米国ブリザード社の「STARCRAFT」に夢中になったものだ。スターと呼ばれるこのゲームは3種類の部族から自分に合ったものを選び、最大4対4でネットワークでつなぎ、勝つまで延々とやる戦争ゲームの一種で、徴兵制の残る韓国では自分の軍隊経験を自慢したいサラリーマンたちに大いに受け、200勝180敗とか、ついに400勝を達成したとか、物すごい成績を誇る友達がまわりに結構いた。








大型PCバンの場合、コーナーによってインテリアが違う
 筆者も当時は毎日3~4時間スターにはまり、かなりの上級者としていつもPCバンで1戦頼まれたりしたものだ。ゲームの中に登場する種族に追いかけられたりする夢もよく見た。どこのPCバンの回線がよくてサービスがいいのか教え合ったり、プロのゲーマーになってみようかと冗談交じりに言う友達等、色んな場面があったものだ。今でも当時のスター仲間が集まれば、「あの時あの情熱とPCバンに注ぎ込んだお金をビジネスに向けてれば、今頃は億万長者になったかもね」等と昔話(!)に花を咲かせたりもする。それぐらいスターに注いだ時間や情熱は普通じゃなかったかもしれない。


 韓国でPCバンを含めネットがはやっているのは娯楽が少ないせいかもしれない。TVは平日昼間は放送なし、週末だけ朝6時頃から夜1時頃までやっている。雑誌や漫画も少なく、特に主婦や学生の友はラジオ番組しかないようなものだった。暇つぶしの娯楽がないため、とりあえずインターネットでもやるか、のような雰囲気があるのも事実だ。今でもその状況は変わらない。


 なのに、この頃「PCバン」の人気が今ひとつだ。


ブロードバンド普及で人気にかげり


 去年までPCバン専用ADSLやLAN、PCバン仕様パソコンの広告で埋め尽くされていたIT雑誌には「PCバンのパソコン買い取ります」、「PCバン廃業処理専門」とかの広告の方が目立つようになってしまった。

 PCバンの人気が下り坂なのはやっぱりブロードバンド普及率にある。2002年9月末現在、人口4700万、ブロードバンド契約数は1004万、1430万世帯の70%に達する。1000万世帯を超えた記念式典は大統領まで出席し生中継される等、大騒ぎだった。ブロードバンド普及率は全国98%をカバーし、99~2002年の4年間ブロードバンドインフラに投資された金額は約11兆ウォン(約1兆1000億円)、これを元に23兆ウォン(2兆3000円)の生産効果や付加価値が生まれた。


 2003年情報通信部傘下機関が主導し、光ファイバーを導入したデジタルTV、ホームネットワーク実験サービスが開始され、実速度20MBの光ファイバーを2005年まで1350万加入者が利用できるようにする計画を発表した。このための予算は2002~2005年の4年間約13兆3000億ウォン(約1兆3300億円)とみている。家庭内での光ファイバーとなれば、PCバンは早い回線や高級仕様のパソコンだけではもう顧客を集められない。


 このような環境の変化の中、PCバンもどんどん変わり始めた。韓国全土に2万店以上あったPCバンが1万店以下に減っている。もうPCバンはだめなのか、この疑問に韓国最大PCバンフランチャイズであり、上海にも支店を持つ「メガウェップステーション」が答える。



by- 趙 章恩

 デジタルコア連載  Link

三星電子 携帯関連で特許紛争に巻き込まれる(2006年7月3日 掲載)

敗訴すれば900億ウォンの使用料


 


 


 


【ソウル】「チョンジイン方式」といわれる携電話キパッド入力方式をめぐる三星電子と個人の特許紛2002年からいている。6月5日、これまでの判決をくつがえして個人の特許を認める判決が出た。


 特許審判院は95年5月に三星電子が特許出願し、98年8月登された「文字入力コ生装置および方法(チョンジイン方式)」の明を無にすると決定した。個人のチョウクァンヒョン氏は三星電子と自分の特許は方式が違うため自分の特許を無とした特許審判院の決定を取り消すよう訴訟を起こし、審判院は「二つの明は携電話のキパッドの三つのキに母音を一つずつ割りて、りのキに子音を割りてる。母音コドを生させる構成は同じだが、子音と母音を出力理する方法に差があるため同じではないと判し、三星電子の特許は技術記載不備により無とする」と明らかにした。


 


 記載不備による特許無は、「技術の公開を少なくし、一方で特許の申請範くしようとしたため認められない」と判されたもので、通常、他の特許者の被害を最小限にするため訂正申請はほとんど受け入れない。このため三星電子の携パッド技術は個人の特許を侵害したことになる。三星電子は控訴する計だ。


 


 チョウクァンヒョン氏は「96年にチョンジイン方式で特許出願、99年特許を得たが、98年三星電子がこれを無で使用した携電話端末を発売02年まで3000万台を生産、1台3000ウォンで合計900億ウォンの使用料をわずにいる。三星電子は自分たちも特許を持っているというが、三星の携パッドは三星電子の特許ではなく私のアイデアを模倣したもの」と主張し、02年から訴訟を起こしている。従来の判決は三星電子とチョウクァンヒョン氏の特許は同じものであるとし、チョウ氏の利を認めない判決ばかりだったが、今回初めて特許が認められた。チョウ氏は、ソウル高等裁判所には損害賠償訴訟の控訴審、特許裁判所には別の特許訴訟を起こしている。


 


 また昨年12月にはKTが端末キパッド入力方式の一つである「ナラッグル」の特許を買、ベンダを緊張させている。


 


 韓の携電話の文字入力方式は三星電子がチョンジイン、LG電子がezハングル、ペンタックがハングルサラン、VKがスンリハングルと、ベンダごとに違う方式を採用している。特に韓ではSMSがキャリアに係なく送受信できるため、携ルに代わって一般的に利用されてきた。文字入力方式がわるとSMSが使いづらいという理由で、キャリアはえてもベンダえないユが多い。KTは固定電話を携電話のように使えるワンフォンなどに自社の入力方式を採用し、ベンダしての主導を握りたい子だ。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2006年7月3日 vol.1144 載] Link


 


 

三星SDIとLGPD ブラウン管のスリム化競争展開(2006年6月26日 掲載)

(ソウル発)三星SDIとLGフィリップスディスプレLGPD)は21インチブラウン管の厚さを世界初の30センチ未にスリム化することに成功し、ブラウン管の需要は落ちていないことを積極的にアピルしている。


 6月7日には三星SDIが29.9センチのブラウン管を開し、14日にはLGPDが3ミリ薄い29.6センチのブラウン管開に成功した。存のブラウン管の厚さは43.6センチだから3割以上も薄いことになる。社は今年下半期からウルトラスリムブラウン管の量産に入る。LGPDは中南京工場にも量産体制を敷く方針だ。


 


 三星SDIとLGPDの「ウルトラスリム競」がおきているのは、ブラウン管テレビにする世界市場の需要が相らず大きいためだ。先進ではすでにブラウン管テレビを新しく購入する人は珍しくなってきたが、それ以外の世界市場では相らずブラウン管テレビが主流だからだ。


 


 特に東南アジアではブラウン管テレビのシェアが99%に達している。また先進市場でも液晶プラズマは主に30インチ以上の大型が中心なので、30インチ以下の中小型テレビに限れば依然、競力がある。


 


 LGPDの係者は、ブラウン管テレビの世界需要は昨年の200万台から今年は1400万台にえると予想したうえで、「ウルトラスリムテレビを開し、値段は安くデザインは液晶プラズマと遜色ない人商品にしたい」と話している。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)



BCN This Week 2006年6月26日 vol.1143 載]  Link 


 


 

オンラインゲームではなくeスポーツ!韓流スターより売れっ子のプロゲーマー

のプロゲは全員、韓eスポツ協に登されている。


2008年11月末時点での登435人、準プロゲ477人にのぼる。韓eスポツ協は韓のプロゲの登管理、リが行われるゲムの選定、リ継権、その他コンテンツ事業を一手に受けている。


プロゲは韓人だけではない。米のリで好成績をした選手がスカウトされることもあり、外人選手も珍しくない。


また芸能人野球があるように、ゲにも名選手監督として有名芸能人が加して場を盛り上げている。 


 プロゲは他のプロスポツ同、チム移籍やトレドも行われる。契約金として日本円で千万円が取り交わされるのは日常的。添付画像


3回優勝すると「ゴルデンマウス」が送られ、名の殿堂入りを成した人スタとしてテレビやCMにひっぱりだことなる。


 


家電量販店のパソコンり場や携電話り場では、入、卒業、夏休み、冬休みなどのシズンともなればプロゲのサインが開かれるほどだ。


サムスン電子やSKテレコム、KTFなど大手企業の製品を買うと、その所プロゲの選手たちにサインを貰えるというわけ。優勝を重ねた有名選手ともなれば、アイドル歌手に負けないほどの長蛇の列となる。 


オンラインゲム中継専用スタジオの出入り口では、熱心な女性ファンが「オッパ、サランへヨ~」(オッパはお兄さん、サランへヨは愛してます、韓では先輩や彼氏やアイドルなどをオッパと呼び親しんでいる)とをかけ、花束やプレゼントを渡そうと大ぎになるシンもしばしば。


F1レのようなユニフォムを着たイケメンのプロゲに夢中になるのも納得だが、事情を知らない人から見ると、オンラインゲムスタジオって何?これは一体何事?と驚くしかない。 


 先日は、ソウルから車で2時間ほど離れた韓空軍本部前が大ぎになった。韓オンラインゲムの伝説、皇帝イムヨファンが2年あまりの兵を終えて民間人に復したの添付画像だ。


は北朝鮮と休戦状態であるため、兵制がっている。韓籍を持つ健康な男性は、誰もが1930の間の24ヶ月、軍に服務しなければならない。


 


皇帝イムヨファンの除隊を取材するため韓の主な合新聞誌、放送局から70人を越えるマスコミ係者がけつけた。


彼が除隊する子は合日刊紙からテレビ、誌、インタネットまで、あらゆるメディアで一に報じられた。年間ニュスランキングベスト10にも入るほどの取材体制である。


 


56万人ものファンクラブ員を保有しているプロゲらしく、ファンの出迎えも大なことに。


韓流スタとちやほやされる芸能人たちが、兵を逃れるためりの診書を提出するといった問題があっただけに、きっぱり兵をませたイムヨファンの好感度はますます上昇している。


日はファンクラブから抽選で選ばれたファン40人とのファンミティングも開催され、いつから所ムであるSKテレコムのT1に復するのか、結婚の予定はあるのか、年末年始の休暇はどこで何をするのかといった質問が飛び交っていた。 


イムヨファンは、韓では知らない人はいないほど最も有名で最も成功したプロゲである。


彼の対戦の中で印象的な場面を集めたDVDや自が出版され、彼の行動一つ一つがマスコミに報道される。視率を稼げるスタとしてトク番組やバラエティでも出演依が止まない。


 


彼のカリスマやスタ性は「逆境にい」というドラマがあったからこそ印象深いものになったのかもしれない。


どう考えても勝ち目のない試合で、ぎりぎりまで追い詰められてもあきらめず、裏の裏を攻める術で敵を倒していく。


2アウト満塁で逆ムランを打つようなプレイに感銘され、ファンになった人も少なくない。 


またイムヨファンは1998年IMF経済危機以降、韓経済をリドしたブロドバンドを成長を象するアイコンでもある。韓がアナログからデジタルへ、開途上からIT強国へと成長したここ10年の史と彼の活躍は重なっているのだ


オンラインゲムの対戦がスポ観戦のように面白いこと、閥や門職が優遇される社の中ゲムで、者や弁護士よりも多い億位の年俸を稼げること、ゲも立派な職業になれることをえてくれ、想像を絶する術に頭の良さがみ出ていることから、プロゲという職業を小生が選ぶ憧れの職業にのし上げた。


彼の兵を無駄にさせまいと空軍がわざわざゲを作ったのも納得できる。 


イムヨファンは韓に新しい風を吹きんだ張本人なのだ。


eスポツの活性化と展に寄した功績が認められ、韓政府より「新知識人大賞」も受賞している。


そして今、彼はまた新たな境地を切り開こうとしている。プロゲは頭の回やマウスの動き、反射神がもっとも優れている10代後半から20代前半に何年かやって引退するという世間の常識を破り、初めて30代現役プロゲを目指しているのだ。


これから先も、彼にする社の注目が減ることはなさそうである。


By.趙章恩



Original report (@niftyゲム)
http://game.nifty.com/cs/column/detail/090115122226/1.htm

韓国政府、2012年ネットが10倍速くなるインフラ高度化計画発表

韓国政府は放送通信ネットワーク中長期計画として2013年までの5年間で34兆1000億ウォン(約2兆3000億円)を投資して、今より10倍早い有線1Gbps、無線100MbpsのALL-IP基盤超広帯域融合ネットワーク(UBcN : Ultra Broadband convergence Network)を構築すると発表した。

 UBcNはより低い電力で通信、放送、インターネットなどを統合した大量のデジタルデータを安全に提供するネットワークである。これは日本の次世代ネットワークや新世代ネットワークと変わらない計画で、速度を高めるだけでなく、より安全なインターネットを使えるようにするためのインフラ高度化である。この計画は1995年から始まった超高速インターネット構築1段階、2004年から始まった広帯域通信ネットワーク構築2段階に続く3段階めの政策となる。


 UBcNの構築によって放送ネットワークは2010年までにIPTVや地上波放送からも双方向ショッピングなどを利用できるインフラを構築し、2012年までで地上波デジタル放送のカバー率87%から96%へと高める。固定電話ネットワークも2012年までに60%をIP電話に切り替える。


 これにより、2008年11月から商用化されたIPTVやインターネット電話のサービスを円滑にするだけでなく、多様な融合サービスで現在のHDTVより4~16倍鮮明なUDTV(Ultra high Definition TV)を提供できる。携帯電話やノートパソコンを利用して移動しながら高速無線LANにアクセスしてHDクラスの動画を受信できる。


 この超広帯域融合ネットワークによって、5年間で17兆ウォンの付加価値と12万の新規雇用が生まれると見込まれている。韓国でも「派遣切り」が問題になっているだけに、政府の政策も雇用に焦点が当てられている。


 しかし、そんなにうまくいくか疑問を呈する動きもある。まず、この予算の90%以上を民間から集めるという点だが、どれほどの企業が参加するか。さらに、ネットワークの高度化という事業で本当に雇用を生み出せるのかという点も不透明。


 いまや高速道路があれば車は通るだろうという安易な考え方で投資を決める企業はない。政府の言うことにほいほいと企業が付いて来るような時代ではなくなっているので、無謀な投資ではないかという意見もある。インフラにばかり投資しないで、韓国が弱いソフトウエアやコンテンツの企画に投資をした方が付加価値をつけられるのではないかとも思える。


 この不景気下、果たして、32兆ウォンもの金額を企業から集められるだろうか。インフラ高度化で新規サービスが活性化され、ユーザーの増加、収益の増加を見込めるといういうが、思うとおりになるとは限らない。李明博政府は通信費の家計負担20%節減を公約としているだけに、通信企業は嫌でも値下げをしなくてはならない。そこに政府のインフラ投資計画(実態はほぼ無理やり企業に投資を要求するような計画)まで登場すると、企業も耐えられないだろう。


 それにユーザーは、現在のVDSLレベルの速度でも十分VODやネットワークオンラインゲーム、ショッピングを楽しんでいる。費用が高くなるよりは今の速度で十分満足というユーザーが大半だろう。100MbpsのFTTHですら、そこまでの速度はいらないと考えているのに1Gbpsに速度を早くするといわれてもピンとこない。そこでインフラを高度化させ政府施策を満足させながら顧客も満足させる妙案として、登場したのが新しいインターネット電話だ。


韓国の固定電話はKTが約92%のシェアを持っているが、加入件数は2008年には81万件減少した一方、インターネット電話は2009年には500万加入を突破すると見込まれている。KTは固定電話の加入者が他社のインターネット電話に流れるのを防止するため、VoIPより進化したSoIP(Service over IP)で対応している。


 2009年3月より発売されるKTのSoIP電話「STYLE」はインターネット電話と7インチのタッチパネルのパソコンが一つになったようなデザインをしている。MP3プレーヤーで有名なレインコムが開発に参加し、電話+デジタルフォトフレーム、映像留守電、カードリーダー機付きホームバンキング、ネット検索、動画再生、FMラジオ、インターネットラジオ、リアルタイム交通情報、市内監視カメラ映像送信などを利用できる。情報を検索してタッチするだけで電話がつながる機能もついている。パソコンのように好きなメニューを待ち受け画面に使うウィジェット機能も使える。







KTの「STYLE」。操作はタッチパネルで行う

 端末価格は約2万円を予想しているが、約定契約とバンドル割引を利用すれば7000円ほどで購入できる。KTは固定電話契約数が2000万件を下回ると、費用の負担からサービスを維持できないとしている。そのため他社に顧客を奪われる前に自らより優れたインターネット電話を提供しようとしているわけだ。


 KTは、今後電話を利用したインターネットショッピングを追加し、アップルのiPhoneのように中小企業のアプリを自由に購入して使えるようにプラットフォームをオープンするという。ネット電話1台あれば、プライベート用にパソコンはいらなくなるかもしれない。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年2月19日

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090219/1012407/

韓国のオンラインゲーム業界 大規模な名義盗用事件で(2006年7月24日 掲載)

NCソフト副社長を刑事立件


 




【ソウル120万人分の住民登用し員登する事件を傍助した疑いで、連オンラインゲム社の役員が刑事立件された。韓で初めての事例である。


 警察サイバテロ対応センタはオンラインゲム「リネジュ」で問題になった大規模名義用事件の傍助責任を問い、NCソフトの個人情報保護責任者である副社長を住民登法および情報通信網法違反などの疑いで非拘束立件した。


 


 NCソフトの副社長は昨年10月から今年2月にかけてゲムアイテム買仲介サイト運7人が120万人分のうち約28万人分の名義を用し、リネジュに員登したのを傍助した疑いを受けている。


 


 警察は昨年9月、アイテム仲介サイトの作業場を摘し、用された住民登5万6000件をNCソフトに通知し、名義用遮のために同一IPからの大量接VPN接などを要請したが、社は何の措置もとらなかった。警察はまた、名義用で28万人分のIDをつくり、ゲムアイテムを獲得して買した疑いでアイテム仲介サイト運7人も非拘束立件した。この仲介サイトがアルバイト約100人を動員し違法買したゲムアイテムは142億ウォンにのぼる。


 


 ゲムアイテムはオンラインゲムをプレイしながら獲得するサイバマネや武器、魔法の指輪など、ゲムのキャラクタを成長させるための道具である。


 


 警察係者は、「NCソフトは千、万人分の使用料が同じ口座番からいっぺんに振りまれ、同じIPアドレスから大量のIDでゲムにアクセスしているなど明白な名義用証を把握していながら、また警察から通知があったにもかかわらず措置を取らなかった」と立件の背景を明した。


 


 もし傍助の疑いが事と確定した場合、NCソフトは名義用被害者1万1000人が起こした集損害賠償請求訴訟で不利な立場に置かれることになる。


 


 NCソフトの係者は「私たちも名義用防止のために最大限努力してきたが、善意の被害者が出ることを恐れ力な遮断処置はとれなかった」と明している。


 


 これまでは用された本人がけ出ても犯罪に用されるか物質的な損害をえていない限り罰するのは難しかった。しかし、9月からは改定住民登法が施され、他人の住民登用して員登をしただけでも3年以下の懲役または1000万ウォン以下の罰金となる。


 


 警察は今回の査をきっかけに、これからオンラインゲム社の個人情報流出防止と、大量の個人情報を取り扱う企業の情報流出防止のためのより具体的な策を講じると表した。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2006年7月24日 vol.1147 載]  Link 


 


 

ハナロテレコム 韓国初のTVポータル商用化(2006年7月17日 掲載)

7000ウォンで注文型ビデオを提供



 


 


【ソウル】ハナロテレコムは7月10日からTVポタル「ハナロTV」の商用サビスを開始した。TVポタルサビスを自社の超高速インタネットおよび電話サビスとセットで利用している加入者にはセットトップボックスのレンタル料を無料にし、存料金に月7000ウォンをプラスするだけでTVポタルを利用できるようにする。


 TVポタルとはTVにセットトップボックスをつけてインタネットにつなげ、映ドラマスポツなどの動コンテンツをリモコンで注文しTVで視する、一種の注文型ビデオ(VOD)サビスのこと。ハナロテレコムは地上波やCATV、衛星放送と競するのではなく全く新しい市場をつくりたいと話している。


 


 ハナロテレコムはTVポタルを商用化するため韓国経済TV、SBS(ソウル放送)、EBS(育放送)、YTN(ニュCATV)、Daum、ナショナルジオグラフィック、Jゴルフ、BBCなど30社とコンテンツで提携し、VOD約2万件を確保した。年末までに25万人、年末では100万人の加入者誘致を目標としている。加入者が100万人を超えれば字化できると見まれている。


 


 同社はTVポタルサビスの事業初年度である今年は50億ウォン、IP由で地上波の放送も視できるIPTVが商用化されれば、2007年には700-800億ウォンの上高が達成できると予想している。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2006年7月17日 vol.1146 載]  Link