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米ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」(2025年1月7~10日)で印象的だったことの1つが、スタートアップのブースを集めた展示会場のEureka Parkが、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や韓国LG Electronics(LG電子)、ソニー、パナソニックなどエレクトロニクス大手が集まる展示会場と比較して混雑度に差がないほど人が集まっていたことだ(図1)。

図1 Eureka Parkの入り口
Eureka Parkには世界各国からスタートアップが集結した。そのうち、かなりの面積を韓国勢が占めた(写真:趙章恩)
そしてCES 2025のスタートアップ展示は、かなりの面積を韓国勢が占めた。Eureka Parkには韓国産業通商資源部(部は省に当たる)が支援するスタートアップの展示をまとめたKoreaパビリオン、中小ベンチャー企業部が支援するK-Startupパビリオン、ソウル市が支援するSeoulパビリオンの他に、自治体別、大学別展示ブース、さらにサムスン電子・LGグループ・Hyundai(現代)グループが支援するスタートアップのブースなどがあった(図2)。

図2 ソウル市が支援するSeoulパビリオン
Eureka Parkにはこのほか、Koreaパビリオン、K-Startupパビリオンなど韓国のスタートアップが大挙して出展した(写真:趙章恩)
K-Startupパビリオンの開館式にはネバダ州のStavros Anthony副知事が出席した。「米国の同盟国である韓国と、スタートアップのエコシステムにおいて持続的に協力関係を続けたい」と話し、ネバダ州が表彰することを伝えた。韓国がCESで熱心にスタートアップを展示したことで他の国も刺激され、Eureka Parkへの出展数が増えていること、韓国のスタートアップがCESをきっかけに米国へ進出して活発にビジネスを展開していること、などが評価されたようだ。
他国のパビリオンが一般参加者向けのイベントを開催して人を集めようとする中、Koreaパビリオン、K-Startupパビリオン、Seoulパビリオンは事前に投資家をCES 2025に招待してスタートアップとマッチングしたり、米Microsoft(マイクロソフト)や米Apple(アップル)などビッグテックの役員をブースに招待して説明したりしていた。CESを製品や技術の展示だけでなく、投資や輸出契約の場として活用していた。
韓国内では、「毎年過去最多を更新しながら、なぜ韓国政府や自治体がスタートアップのCES出展を支援するのか」「税金の無駄使いではないか」という疑問の声も出ていた。しかし、中小ベンチャー企業部の説明によると、CESはスタートアップにとってグローバル投資家に出会う重要なチャンスだという。「Best of Innovation Award」を受賞すると技術力が認められた証拠になり、米国で営業しやすくなるだけでなく韓国内でも売り上げが一気に増える。スタートアップの利益が増えることは国の経済にとってもプラスであるため、支援を続けるという。
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趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2025. 1.
-Original column