CES2014で韓国勢は4KテレビやInternet of Thingsに注力、高解像度12.2型タブレットも [2014年1月10日]

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2014年1月7日から10日まで、米ラスベガスで世界の家電やデバイスのトレンドを把握できる2014 International CES(Consumer Electronics Show)が開催された。今年のCESはウエアラブル端末やスマートカーの展示が増えたこともあり、展示面積が歴代最大の200万平方メートルを超え、来場者数も歴代最大を記録しそうだという。

 韓国からはサムスン電子とLG電子を筆頭に、KIA自動車、サムスン電機、ヘルスケアや小型家電を得意とする中小企業など約40社が参加・出展した。

サムスンは超大型4Kテレビで壁を形成

 サムスン電子は「Smart Living & Beyond」をテーマに、スマートフォンやウエアラブル端末にインストールしたアプリで家の中の家電を操作するスマートホーム、サムスンの技術力を象徴する世界初の105インチの曲面(Curved)4KTV、85インチの曲面にも平面にもなる(Bendable)4KTVを目玉として展示した。

 リモコン1つでテレビの両側が曲面になったり平面になったり、映像や視聴環境に合わせて角度を調整できる。サムスン電子は大型4KTVを並べて、グランドキャニオンをイメージしたウォールを作ったりもした(写真)。


サムスン電子のブース。大型4KTVを並べグランドキャニオンをイメージしたウォールを作った。(写真提供:サムスン電子)

 4KTVは日本メーカーとサムスン・LGが激しく競争する分野であるが、今年は中国勢も4KTVを展示するようになった。韓国勢は少しでも気を緩めると日本には先を越され中国には追いつかれてしまう状況で、緊張している様子だ。

サムスンはIoT時代にも備え

 サムスン電子米国法人のティム・ベクスター副社長は、「2014年はすべてのものがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の時代になる」としている。サムスンの「スマートホーム」は、サムスンが持つ半導体とディスプレイの技術、幅広い家電ラインアップを生かしたサービスであり、IoTで便利になる未来の家庭を一足先に実現したものだと説明した。サムスンのスマートホームは、家電の制御、管理(家電が自ら不具合をチェックしてどこを修理すればいいのか教える)、家中の防犯、という3つの機能を提供する。

 サムスンのウエアラブル端末「GALAXY Gear」とBMWとのコラボも登場した。GALAXY Gear専用アプリ「iRemote」から、BMWの電気自動車i3のバッテリー充電状況確認や車内の温度調節を行い、GALAXY Gearに行きたい場所の住所を言うと音声認識で車内のナビゲーションが自動的に道案内を始めるといったことができる。


サムスン電子とBMWが提携し、GALAXY GearからBMWの電気自動車の充電状況を確認したり、空調を制御できるようにした。(写真提供:サムスン電子)

12.2型高解像度タブレットも投入

 サムスン電子はCESでタブレットPCの新機種4種も公開した。世界最大12.2インチで鮮明なディスプレイ(解像度2560×1600ドット)が売りの「GALAXY NOTE Pro」は、Quad Viewと呼ぶ機能で、画面を4分割して同時に4つの機能を使えるようにした。「GALAXY Tab Pro」は12.2インチ、10.1インチ、8.4インチの3種で、スペックはGALAXY NOTE Proそのまま。Sペン(電子ペン)を外してより薄く軽くなった。サムスン電子米国法人は、2014年は特にタブレットPCの販売に力をいれると強調した。

 今年はサムスン電機が初めて部品ではなく完成品としてワイヤレス充電パッドを展示したことも話題になった。A4WP(Alliance for Wireless Power)が公式認証した磁気共鳴方式のワイヤレス充電方式を採用している。1つの充電パッドで2台のスマートフォンを同時に充電でき、充電パッドの上にコインや鍵など金属物質を置いても安定的に充電できる。この他に厚さ3mmの超薄型充電パッドも展示した。

LGはヘルスケアに注力

 LG電子もサムスン電子と同じように105インチの曲面4KTVと77インチのBendable(OLED)4KTVを目玉にした。その一方で、ヘルスケア機能があるウエアラブル端末「LifeBand」と「心拍イヤホン」を初公開した。

 LifeBandを腕にはめ心拍イヤホンを耳に付けると、運動量と耳の血流をチェックしてカロリー消費量、心拍数、血圧を測ってくれるという。LG電子のLifeBandは、サムスン電子のGALAXY Gearとは違って腕にはめても邪魔にならないおしゃれなデザインを追及したという。ソニーの「SmartBand」に近いかもしれない。

自動車とスマホの連動にも注目

 KIA自動車は、電気自動車用向けのスマートフォンアプリ「UVO EV eService」を体験できるようにした。
 


KIA自動車は電気自動車向け安全走行や自動車制御・管理を行えるアプリを体験できるようにした。(写真提供:KIA自動車)

 北米地域限定のサービスになるが、目的地を入力すると衛星データを分析して車の充電状態と現在の道路状況から車で走れる距離を示し、どこでどのタイミングで充電すればいいのか充電所を案内してくれるのはとても便利だ。安全な走行をサポートする車両・道路インフラ間通信機能(事故・渋滞確認・道路表示案内認識)、道路状況とドライバーの感情を分析してそれに合わせた音楽を流す機能、秘書機能(日程確認や情報検索)、音声認識・指を使う動作認識機能、ドライバーの健康チェック機能まである。スマートカーらしいサービスを利用できるように仕上がっている。

韓国勢のスマートフォン新製品は2月のMWCに持ち越し

 中国勢と違い、サムスン・LGはスマートフォンの新機種をCESでは公開しなかった。米ガートナーによると、2014年スマートフォンは新興国での需要は大きく伸びるため華為(ファーウェイ)、Lenovo(レノボ)、ZTEなど中国勢が得意とするローエンド市場は成長し、サムスン・LGが得意とするハイエンド市場は減少すると見込まれている。

 韓国勢のサムスン・LGは、新興市場向け機種も含めて、スマートフォンは全て2月の展示会MWC(Mobile World Congress)で公開するとしている。スマホ市場で人気が復活しつつあるソニーも加わって、日中韓の競争がどの分野よりも激しくなりそうだ。

趙 章恩=(ITジャーナリスト)

日経パソコン
 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20140110/1117368/