iPhone 4のデザインは韓国の“あるもの”のパクり?

ワールドカップで盛り上がっている韓国では、雨にもかかわらず12日のギリシャ戦ではソウル市役所前の広場に4万8000人、江南のCOEX展示場周辺に5万人、そのほか主な駅前広場に数千人ずつ集まった。ソウルだけでも20万人以上の人が街角応援に参加。家族や友達を呼んで家で応援する人も多く、ゴールの度にベランダ越しにあちこちの家から歓声が聞こえるので、サッカーに興味がない人でも気になってしょうがないだろう。韓国では夜食として出前でビールとフライドチキン1羽を注文することが多い。韓国戦のある日は注文が殺到して、何軒もお店に電話しても断られてしまったというTwitterのつぶやきも多かった。



「えごまの缶詰」の会社のWebサイト。よく見ると、確かに缶の形がiPhoneに似ているような…


つぶやき、といえば、最近ワールドカップに負けないほどネタになっているのがiPhone 4。予約開始で日本でも話題が絶えないと思う。韓国では7月に発売予定である。それでもアメリカや日本に住む友達に頼んで予約を入れるほど、1日でも早くと端末を手にしたアーリーアダプターでここはあふれている。

 そんな中、韓国ではiPhone 4と並んである商品が目下キーワード検索上位を占めている。それはなんと「えごまの缶詰」。えごまの葉っぱを一枚一枚蒸して、唐辛子とにんにく、ねぎ、醤油などに漬け込んだえごまキムチの缶詰である。焼肉を食べるときサンチュと一緒に出てくるあのえごま!日本人観光客のお土産としても人気があるあのえごま!なぜえごまの缶詰とiPhone 4がセットでキーワード検索上位を占めているのだろうか。


 6月9日、「iPhone 4のデザインって、えごまの缶詰に似てない?」というTwitterのつぶやきが発端だ。みんなが次々に「そういえば、サイズといい形といい似ている」、「そういえば、グリップ感が似てそう」などと盛り上がり、それがあちこちのブログやソーシャルネットワークを経由して一気に広まった。比較写真が登場し、スティーブン・ジョブスがえごまの缶詰を誇らしく手にしている合成写真まで出回り、愉快な騒動に発展したのだ。


 通常、缶詰といえばシーチキンのように丸いか、スパムのように四角で大きいかのどっちか。えごまの缶詰は縦に長い四角で薄い。iPhone 4と並べた写真をみるとなんとなくそれっぽいのだ。その調子で比べるなら、さばの味噌煮とか、さんまの蒲焼とか、100円ショップで売っているようなおかずの缶詰とも似ているけど。


 面白いのはここから。えごまの缶詰を製造している食品会社が喜んで、11日、早速イベントを始めたのだ。えごまの缶詰と一緒に撮った写真を自社のホームページに投稿すると、抽選で一人にiPhone 4を、100人に自社の缶詰セットをプレゼントする。普通企業のイベントは企画から実行までかなりの時間をかけて仕込むものだが、さすが「パリパリ(早く早く)」が身についた韓国企業。ネットの盛り上がりが頂点に達しているところ、イベントを仕掛けたのだ。食品会社の人は、「えごまの缶詰なんてキャンプか登山用、留学生や海外観光客がお手ごろな韓国の味を求めて買っていくぐらいだったのが、ここまで注目されてうれしい!」と素直に喜んでいる。


 ネットとリアルの連携が密接なのも韓国らしいが、フィーバーをすかさず自分のものにしてしまう食品会社のしたたかさもたまげたものだ。


趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年6月18日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100617/1025568/

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