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2023年2月27日から3月2日にかけてスペインのバルセロナで世界最大級のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2023」が開催された。韓国内では、中国の華為技術(ファーウェイ)が韓国Samsung Electronics(サムスン電子)より5倍以上も大きなブースを構えた点や、今年のMWCの主役の1つであった様々なベンダーの基地局製品を相互接続できるようにする技術「Open RAN」関連の展示が目立った点などが話題になっている。
Open RAN は、5G(第5世代移動通信システム)から6Gに向けて進展するモバイルネットワーク市場で注目されている技術だ。Open RANを導入することで、通信事業者は適材適所で必要な製品を選べるようになる。既存の基地局は同じ会社の製品をそろえないと通信を確立できないという問題があった。通信キャリアはOpen RANによって特定のベンダーに依存せずに、最新の技術をいち早く導入できるほか、柔軟で効率のよい運用によって設備投資と運用コストを抑えられるという期待がある。
韓国でも、韓国KTと韓国SK Telecom(SKテレコム)、韓国LG U+という通信大手3社がOpen RANに準拠した基地局のテストを進めている。ベンダー側もサムスン電子が、NTTドコモやKDDI、米Dish Network(DISH)、英Vodafone Group(ボーダフォン・グループ)などに対し、Open RAN対応の5G基地局や仮想化基地局(vRAN)製品を提供している。
韓国科学技術情報通信部の調べによると、韓国の大手3社の全加入者に占める5G加入者の割合は、いずれも半数を超えた。
加入者の増加に合わせて韓国通信大手は5G基地局数を増やす必要がある。韓国政府は電波が飛びにくいミリ波28GHz帯の基地局について、展開がなかなか進まなかったことでKTとLG U+の免許を取り消している。韓国ではより電波が飛びやすいSub6帯の5G基地局展開が中心だ。Open RANで5G基地局のマルチベンダー化や設備投資と運用コストの削減を見込めることは、5Gサービスの拡大において重要な要素となる。
韓国政府は中小ベンダー育成にも本腰
韓国通信大手3社は、Open RAN導入に向けて活発的に動き出している。
KTは今回のMWCに合わせて、NTTドコモと仮想化基地局を含めてOpen RANのエコシステムを世界に広げていくために協力関係を強化すると発表した。KTとNTTドコモは長く協力関係にある。2022年1月にはNTTドコモや富士通と共に、Open RANの技術仕様に準拠した5G基地局の動作確認を完了。2022年10月には、5Gスマホから発信した信号がOpen RAN対応5G基地局を経由し、コアネットワークに届くまでの相互接続試験に成功していた。
KTは、Open RANの仕様を策定する業界団体「O-RAN ALLIANCE」にも積極的に仕様を提案している。2022年7月には、KTがO-RAN ALLIANCEに提案した仕様が標準として承認されている。
ファーウェイ排除を世界で加速するためにOpen RANを後押しする米国政府も、KTのOpen RAN導入に期待する。米国のフェルナンデス国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)は2023年1月、訪韓した際にKTを訪問し、中国勢をけん制するためにもOpen RANの導入を広げてほしいと要請したという。
SKテレコムも2023年1月、フィンランドの通信機器大手Nokia(ノキア)と協力し、韓国で初めてOpen RANに対応した仮想化基地局を商用ネットワーク内に設置し、安定した5Gサービスとカバレッジ性能を確認できたと発表した。同社は韓国ソウル市郊外にOpen RANテストラボをオープンし、国内外の企業の研究チームと幅広く協力を進めている。2022年12月にはSKテレコムとLG U+がO-RAN ALLIANCEが主催するOpen RAN対応機器の相互接続イベント「PlugFest」で基地局接続テストの結果を公開した。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2023. 3.
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