2G対応スマートフォン魅力向上でWi-Fi競争が激烈に

韓国の移動通信事業者であるKTとSKテレコムは第3世代(3G)に限らず、第2世代(2G)対応スマートフォンからも無線LANを利用して自由にインターネットにアクセスできるようにすると発表した。

 SKテレコムは、米グーグルが開発した携帯電話向けOS「Android」を搭載するモトローラのスマートフォンを2G向けにも発売するとしている。中国で2008年12月に発売されたXT800と同じモデルで、3.7型WVGAタッチスクリーン、Android 2.0、GPS、500万画素カメラ、LEDフラッシュ、Wi-Fi機能を搭載する。これに地上波DMB(韓国のワンセグ)が追加される予定。KTも3G対応スマートフォン10種のほかに、無線LANを利用できる2Gスマートフォンを15種発売するとしている。


 データ通信サービスを利用する3Gは「高仕様」、音声通話中心の2Gは「低仕様」、という区別はなくなってきている。2Gでもタッチスクリーン、大画面、高画素カメラを搭載する“プレミアム携帯電話”としてスマートフォンが人気だ。代表的な機種はサムスンのHapticシリーズである。


 韓国では3Gに機種変更すると電話番号を変えないといけない理由から(局番は011、017、016、018、019から010へ、3桁+4桁の電話番号が4桁+4桁になる)、2Gに固執するユーザーが根強くいる。2G対応の高仕様・高価格端末は3Gに比べ奨励金が少ないので端末価格は高くなってしまうが、それでも番号を変えたくないユーザーに受け入れられている。



問題はWi-Fi接続の未整備



 3Gのスマートフォンに限らず、2G端末からも無線LANが利用できるようになったことで、通信事業者の間では端末やコンテンツ競争以上に、「無線LANサービスエリア競争」が始まっている。


 韓国の通信事業者は家庭向け有線ブロードバンドとW-CDMAにばかり集中していたため、屋外の無線LANのアクセスポイントは増えるどころか減少していた。2004年まで首都圏のどこでもKTの無線LAN電波が届いたが、加入者の伸び悩みを理由にだんだんとアクセスポイントが減り、2008年ころになるとすっかり自宅でしか使えない無線LANサービスになってしまった。そのため、街中でノートパソコンやiPodからインターネットにアクセスしたい場合は、パスワードを設定していない誰かの無線LANモデムに接続するしかなかった。


 無線LANスポットが少ない分、無線LAN対応の良しあしがスマートフォンの選択条件の大きな一つ。KTが独占販売するiPhoneに加入すればKTの無線LANを利用できる(無料)。一方、SKテレコムのOMNIA2(サムスンのスマートフォン)に加入すると利用できる無線LANスポットがKTより少ない。スマートフォンは移動通信事業者3社から発売されているため、無線LANのスポットが多く使えるスマートフォンが当然便利である。



KTは「ただ乗りやめて」



 KTは現在1万3000ある無線LANスポットを2010年内に2万7000に増やす計画だ。SKテレコムはカフェやレストランなどを中心にフリースポットを増やす方針である。同社は無線LANスポットを持っていないため、提携先の無線LANモデムをフリースポットにしてもらうことで、スマートフォンやノートパソコンを使う人は誰でも無料でインターネットにアクセスできるようにするという。


 一方、ほかの通信事業者より早くインターネット電話サービスを始めたLGテレコム。約200万世帯がLG系列のブロードバンドと無線LANを使ったインターネット電話サービスを利用している。加入者宅にある無線LANモデムにパスワードを設定しない方法でフリースポットとして利用できるのではないかという話もあったが、個人が利用料を支払う無線LANを、スマートフォンへのサービスのために通信事業者がフリースポットにしてしまっていいのか、議論がある。接続速度が落ちるだけでなく、同じネットワーク上に知らない人がつながることでデータハッキングの可能性もある。


 KTの無線LANに加入するカフェやレストランが、モデムにパスワードを設定しないことでフリースポットとして無線LANを使えるようにすると、当然、KTの無線LAN加入者数は伸びていかない。自社の投資にSKテレコムやLGテレコムが便乗することになるため、KTは、「ただ乗りするなんて許せない」、「セキュリティのためにも家庭や企業の無線LANモデムにパスワードを設定してほしい」と訴える。


 スマートフォンのほかにも無線LANを利用できる電子ブックリーダーが次々に発売され、iPadのようなタブレット、無線LANを利用するモバイルVoIPも続々登場している。韓国通信事業者による、無線LANのアクセススポット数増加やサービス向上競争の激化は免れず、4G商用化まで続くとみられる。



(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年2月4日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100204/1022688/

ヨン様が愛する街、三清洞を歩いてみませんか?

 
三清洞の街並み。韓屋が続く細い路地が印象的です。











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    韓屋を改造したおしゃれなショップやレストランも、三清洞ならではの風景です。











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    典型的な韓屋の門。門を開けると庭があります。庭を囲むように凹形に家を建てるんです。











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    三清洞に多いのは韓服デザイナーショップ。伝統的なデザインからモダンなドレス風韓服までとさまざまです。











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    三清洞のあちこちに、手作りのアクセサリーや帽子、洋服を販売する小さなショップがあります。











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    かわいいインテリアのデザイナーショップ。


    明洞からのちょっとした散歩にちょうどいい距離にある朝鮮時代の宮殿「景福宮(キョンボックン)」。宮殿を左にして大統領官邸のある方向へ。そこからさらに右奥へ歩いて行くと、突然タイムスリップしたかのような錯覚に陥ってしまいます。

  • 韓国の伝統家屋である「韓屋(ハノク)」がずらりと並ぶ狭い坂道に一歩足を踏み入れると、胸がドキドキ! 映画のセットに迷い込んでしまったかのようですが、ここにあるのは、ちゃんと人が住んでいる普通の住宅なんです。


    道のどちらに曲がっても同じような家が続くので、迷路の中をぐるぐる歩いているような気分になってしまいますが、家と家の間には何十年もこの土地を守ってきた理髪店や餅屋、韓屋をそのまま活かした陶器ショップやギャラリー、カフェ、レストラン、ワインバー、若手デザイナーの小さな手作りショップなどがあります。小さな公園もいくつかあって、なんと飲み水として使えるというほど澄んだ水が流れる渓谷まであるからびっくり! お店をのぞいたり、韓屋を眺めながらブラブラしているだけで、あっという間に1日が過ぎてしまうほどおもしろいんですよ。


    そう、ここがヨン様の本にも紹介された伝統と芸術とトレンドが共存する街、あの有名な三清洞(サムチョンドン)です。「冬のソナタ」のファンの方なら、すでに一度は訪問したことがあるのでは? ロケ地だった中央高校は三清洞の坂の上にあります。


    百科事典によると、三清という名前の由来は、道敎の太清、上清、玉清の三位を祭った「三清殿」があったからということですが、もうひとつ、山と水と人情が清くて素晴らしい街だということで三清(山清・水清・人清)という名前がつけられたという説もあります。ステキ!


    三清洞はギャラリーが密集している仁寺洞から近く、ほかの地域より家賃が安かったので、若い芸術家達が集まるようになりました。彼らは韓屋に住みながら、その家をギャラリーとして公開したり、生計を立てるために手作りの品物を販売したり、お茶を出したりしていたのが口コミで広がり、今やソウルでもっともおしゃれなスポット、必須デートコースにまでになったのです。


    三清洞の隣は北村(プクチョン)。ここも大統領官邸に近いことから大規模な工事ができなかったため、昔ながらの韓屋がそのまま残っています。北村はわざわざ伝統を守るというよりも、伝統をそのまま生活に取り入れている地域で、外国人にも人気が高く、韓屋ホームステイは数ヵ月先まで予約が埋まっているそうです。韓国の下町生活を体験できる韓屋ホームステイは、宿泊費もオンドル部屋でひとり2~4万ウォンほどとホテルより安いのでおすすめです。


    三清洞の散歩コースは、明洞から光化門と景福宮を経由したり、地下鉄3号線安国駅からスタートしたり、大学路からソンギュンクァン大学を通って裏山から坂を下ったりと、いろいろなルートがあります。何度も足を運んで、自分だけのオリジナル散歩ルートを開拓するのもいいですね。


    お腹が空いたら、三清洞の名物を食べてみましょう。おいしいところはたくさんありますが、誰と行ってもおいしいと言ってくれるのが「三清洞スジェビ(すいとん)」。40年近くスジェビ専門店として栄えている食堂です。


    お店は見るからに古くて、メニューは煮干のダシのスープに野菜が少し入ったスジェビに、キムチとナムルのおかずという素朴なものでしたが、通の人に言わせると「そこがいい!」のだとか。スジェビ1人前5000Wで、お店は景福宮から安国駅方面に歩いて最初の左側の路地を入ったところにあります。


    食事が済んだら韓屋でお茶にしませんか? 伝統茶室のようなところもいいですが、ゴージャスな韓屋のお屋敷でハーブティーやコーヒーはいかがでしょう。「もっとも美しい家」という名前のお店「ドゥガホン(斗佳軒)」はいかがですか?


    お店として使っているのは1910年に建てられた韓屋で、王族のために造られたというだけあって、とにかくすごい! 大きな伝統屋敷がいくつもあり、広い庭にはロシア様式の洋館まであるんですよ。結婚式場として貸し出されることもあるというほど、話題のスポットなんです。


    午前11時から午後4時まではカフェ、午後6時からはレストラン営業です。コーヒーやハーブティーを頼むとクッキーやチョコを一緒に出してくれます。コーヒーはちょっと薄めのアメリカンが6000W、ハーブティーは9000Wで、大きなポットごとサーブされるんです。ディナーはイタリアンと韓国料理をミックスした創作料理で、75000Wから(全メニューで10%の付加価値税が加算されます)。場所は景福宮を左にして三清洞へ向かう道の入口、現代ギャラリーの裏です。


    もうひとつおすすめしたい名物・名所はミンガダホン(閔家茶軒)です! ここは三清洞というより仁寺洞ですが、ソウルで特別な体験をしたいと思ったら、ここしかありません! サムジキルの角にある薬局から路地に入ってずっと奥の方にあります。


    ミンガダホンは、1930年代に建てられたソウル市民俗文化財15号に指定されている韓屋を利用したお店。王妃の親族が住んでいたお屋敷が、フレンチやイタリアンを韓国風にアレンジした料理とおいしいワインが評判の高級レストランになりました。東洋と西洋の住宅様式をうまく活用した特別な作りになっているため、訪れる人はみんな、「あ~私もこんな家に一度でいいから住んでみたい!」と感嘆するそうですよ。ランチの予算はひとり1万9000W、ディナーは 5万8000W~です(10%付加価値税が上乗せされます)。※値段は2009年11月現在のものです。


    by: 趙章恩

    2010年1月5日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!

    困ったら「118」へ――ネット利用何でも相談電話が開始

    韓国政府機関の一つであるインターネット振興院が、インターネットのことなら何でも相談できるコールセンター「118」を2010年1月に開設した。局番なしで「118」に電話すれば、スパムメールやウイルス、個人情報盗用、ハッキングなどの被害相談はもちろん、パソコンの電源の入れ方、ウェブサイトにアクセスする方法、会員登録方法といった基本的な利用方法から実名制度の仕組みとは何か、という情報に関することまで、何でも相談できる。通話料のみで利用料はない。

     スパムメールやウイルス・ハッキングなどによる被害を警察に届けるべきなのか、判断するための相談窓口にもなる。


     韓国のインターネット利用者は人口の8割を超えており、乳児と超高齢者以外の国民のほとんどが利用している計算だ。インターネットは韓国人にとって最も身近で重要なメディアであり、コミュニケーションツールでもある。そのためインターネットを介したトラブルが増え、実名制度による本人確認もややこしくなっている。トラブルや被害にあったとき、まずどこへ相談すればいいのか、ぱっと思い浮かぶ相談窓口はこれまでなかった。


     今まではインターネット利用に関する相談窓口は、犯罪ならサイバー捜査隊、セキュリティなら韓国情報保護振興院、利用方法なら各サイト、ネットワークのことは通信会社、パソコンのことは製造会社と、ばらばらだった。118はこれらすべての窓口を統合。365日24時間対応で、国民の利便性向上を図る。


     韓国インターネット振興院によると、118のようなコールセンターは世界初という。火事は119、犯罪は112(韓国の110番は行政苦情窓口)といったように、「インターネットは118」と覚えてもらいたいと話す。特に子供やお年寄りの利用を見込み、118を覚えてもらうためのキャンペーンも実施している。


     118に期待されているのは、インターネット利用者のセキュリティ意識向上である。インターネットを始めたばかりの子供やお年寄りに利用方法を説明すると同時に、このような初心者がセキュリティ対策の重要性を認識し、ウイルス退治プログラムを使ったり、個人情報をしっかり管理したりするよう啓蒙する役を担う。


     韓国ではセキュリティ対策をしていないパソコンが多く、それを踏み台にしたDDoS攻撃(複数のコンピューターから大量のパケットを送りつけるなどして、特定のコンピューターを利用不可能な状態に追い込むこと)も頻繁に起きている。スパムメールや偽ウイルス退治ソフトによって感染し、ゾンビーパソコンとなって、ユーザーは知らないうちに攻撃に加担することになる。


     韓国では2003年1月と2009年7月、全国でインターネットが利用できなくなるほどのDDoS攻撃を受けた。DDoS攻撃による企業のシステム・ネットワーク復旧費用、サイトへのアクセス不能に起因したサービス提供停止による被害額は、年間約300億円前後と言われている。


     2009年にはメッセンジャーをハッキングした振り込み詐欺が多発した。ある端末から送付されるメッセンジャーをハッキングして、その端末所有者が登録する友人らに「お金を貸してほしい」と本人になりすましてメッセージを送り、振り込ませる手法だった。オンラインゲームやSNSでも、ハッキングによるサイバーマネー盗難が増えている。このような被害があったときに、警察よりも早く実情を把握して、適切な対処を促すのが118である。


     iPhoneをきっかけにスマートフォンの利用が急増していることから、2010年、118にはスマートフォンからインターネット利用の問い合わせが増えることが予想される。


     スマートフォンから主に利用する無線LANの場合、面倒という理由でモデムにパスワードを設定しない家庭が多い。誰でも自由に電波を拾って使えるのでハッキングの危険性が指摘されているが、街中ではフリースポットがなくても、こうした無線LAN電波をいくらでも拾える状態だ。スマートフォンからこのようなパスワード設定なしの無線LANを利用した場合、ハッキングされる可能性もある。スマートフォンや携帯電話を狙ったウイルスの中には、有料サイトに勝手にアクセスして料金を発生するように動作するものがあるので、注意が必要だ。


     スマートフォン向けのウイルス退治ソフトの開発は活発で、すでに、スマートフォンからのインターネットバンキングに対応したセキュリティソフトを銀行が提供し始めている。ただ、こういう情報を利用者が知らなければソフトは当然使われず、開発する意味もなくなる。


     インターネット何でも相談窓口「118」は、韓国のインターネット利用をより便利にし、人々のセキュリティ意識を高められるだろうか。「世界初のサービスとして、他の国からも注目されるようになる」(インターネット振興院)か、今後の活動が注目される。

    (趙 章恩=ITジャーナリスト)

    日経パソコン
    2010年1月28日

    -Original column
    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100128/1022529/

    ソウルで味わう異国の味!


    安山駅前。多文化村特区グルメガイド地図。


    安山駅前公園。多文化村特区らしく、アジア各国首脳の壁画があります。



    安山駅近くのウズベキスタン料理専門店「サマルカント」のサムサ。韓国で味わう安くておいしいアジア料理もおすすめです。



    中国朝鮮族名物料理の羊肉串焼き。




    韓国料理とはひと味違う辛さが病みつきになります。





    ニッコリアスタッフにも評判が高い、革と毛皮のオーダーメイドで有名な「ノースビーチ」があるソウルの梨泰院(イテウォン)。IKKOさんのお気に入りの場所として、日本でもよくテレビで紹介されていますね。


    イテウォンは、アメリカに輸出される韓国製の革製品や有名ブランドのラベルをつける前の洋服を売っているショップがたくさんあるので、おしゃれ好きにはたまらない街です。今ではソウルの中でもっとも外国人が多い観光名所として賑わっています。


    イテウォンには、本場のイタリアンやフレンチレストランのほか、インド、東南アジア、東ヨーロッパ、中近東、南米、アフリカなど、日本でもあまり見かけないような異国のレストランが密集しているんです。週末ともなれば、フレンチレストランのテラスでブランチを楽しむ女性グループや、あちこちのレストランで写真を撮っているブロガーたちに出会えます。


    イテウォンよりもっとディープで不思議なアジアの街、東大門市場の裏道と安山(アンサン)もおすすめです。個人的に月に1回は通っているほど、大好きな街です。


    東大門運動場駅5番出口のうしろには、中央アジアの素朴なレストランが密集しています。東大門市場に買い付けに来たロシア商人がおもなお客さんですが、最近は異国の味に惹かれて通う韓国の人も増えています。


    この裏道で私が一番好きなお店は「パン屋さん」です。韓国のスーパーでは売っていない羊肉が入ったコロッケのようなパンや、じゃがいもやかぼちゃが入った、「いかにも遊牧民!」という感じの大きなパンが1個1000~2000W。ひとつ食べただけでお腹がいっぱいになるんですよ。東大門市場でショッピングする前に何か食べたくなったら、まず屋台のトッポッキを食べて、次にここでパンを買って歩きながら食べるのが定番コースになりました!


    もうひとつのおすすめスポット安山は、ソウル駅から地下鉄で1時間ほどのところ。遠いといえば遠いのですが、「ソウルにはもう10回は行った! もっと斬新な場所はないの!?」というリピーターのみなさんにおすすめです。ちょうどいい半日旅行になりますよ。


    安山は町工場の多いところで、東南アジアや中国からやってきた人たちが自然と集まりました。その人たちが自分の故郷の料理が恋しくて料理店をひとつふたつとオープンしはじめたのが、「安山多文化村特区」の始まりでもあります。そのため、おしゃれにアレンジされたイテウォンのレストランとは全然違って、その国の素朴な家庭の味がそのまま再現されています。


    自治体も「安山多文化村特区」には力を入れていて、「国境のない街」としてガイドブックやマップ作りにも積極的です(安山には外国人用の無料保健所や韓国語教室、テコンドー教室、アジア各国の本を集めた図書館もあるんです)。


    そのガイドブックに掲載されている安山市おすすめグルメのひとつが、ウズベキスタン料理専門店「サマルカント」。安山駅を出ると石畳の歩道が続くメインストリートに入って、2番目の道を左に曲がります。


    薄くパリッと焼いた生地の中に、牛肉とたまねぎをこしょうで炒めたものが、「これでもか!」と迫力満点に入っていた「サムサ」の味は忘れられません。シンプルな味なのにサクサクのパンと温かい肉汁が混ざり合い、噛むたびに香ばしいんです。メンチカツやコロッケパンとは全然違う風味でした。値段は1個2000W。ほかにもプレーンヨーグルトの風味がさっぱりしておいしい餃子や牛肉煮込みスープなどがあり、いずれもふたりでシェアできるほどの量なのにひと皿5000ウォン以下で、「え~ウソ~」と叫んでしまったほど激安です。


    安山でもうひとつ絶対にはずせないレストランがあります。唐辛子や山椒などのスパイス漬けにした羊肉を提供する串焼き専門店「胖子串店」! 長い串1本が600W程度でした。串に刺したにんにくと一緒に羊肉を炭火で焼くと、脂がジュージュー音を立てて、もうたまりません!


    羊肉独特の匂いがありますが、スパイスのほどよい辛さのおかげでまったく臭いとは感じませんでした。肉と脂身のバランスが絶妙で、噛むたびに「これはすごい!」と唸ってしまいました。サムギョプサルカルビとはぜんぜん違うけれど、スパイシーなものが大好きな韓国人の口にはピッタリでした。スパイスも独特の香りがあって、これがビールを誘うんですよね。


    安山駅からメインストリートをまっすぐ歩くと、つきあたりに外換銀行安山支店があります。その向かい側にある真っ赤な看板のお店なので、すぐ見つけられるはずです!


    アジアンレストランは、どこも韓国語がペラペラの外国の方が経営しています。メニューはほとんど写真付きなので「これ!」と指差せばいいし、注文に困ることはないでしょう。


    ぜひとも韓国のもっとディープなところを体験して、韓国の新しい顔を見つけてください。



    by: 趙章恩

    2009年12月16日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!

    韓国の美容院でセレブ気分を味わってみませんか?


    明洞ロッテアヴェニュエル10階のチョンセンムルインスピレーション入口。営業時間は10:30~20:00。出典:アヴェニュエルホームページ


    チョンセンムルインスピレーション内部。出典:アヴェニュエルホームページ



    島山公園前のヨン様レストラン「ゴリラ・イン・ザ・キッチン」と超有名美容院「パーククロエ」は、同じ建物にあります。




    韓国のトレンドをリードする清譚洞マダムに出会えるギャラリア百貨店。この周辺におしゃれなカフェと海外ブランドのブティック、芸能人御用達の美容院が密集しています。





    韓国に何度となく通いつめているリピーターのみなさん、韓国でエステはしたことがあっても、美容院にはまだ脚を踏み入れていない方が多いのでは?


    韓国の美容院は日本より安くてゴージャス! ぜひ利用していただきたいです。


    おすすめは清譚洞(チョンダムドン)にある韓流スター御用達の美容院。韓国のセレブ達が通うところだけに、ロンドンや東京で修行したアーティストが多く、英語や日本語もばっちり通じます。イメージ写真を持参しても、写真のとおりにそのままカットするのではなく、顔や頭の形に合わせてお手入れしやすいスタイルにアレンジしてくれるので、とても助かります。


    料金はシャンプー、カット、ブローに頭から肩までのマッサージまでついて4000~5000円。お客さんがあまり多くない午前の時間帯だと、眉毛カットやネイルまで無料でサービスしてくれるから、お得ですよね。私は日本からお友達が来ると、必ず連れて行くようにしています。


    個人的にはお庭付き美容院や屋上のテラス付き美容院など、緑が多いお店がお気に入りです。それに、韓流スターに出会えるかもしれないし。楽しそうでしょう?


    BoAさんやヨン様、キム・テヒさんが愛用する美容院として有名な「チョンセンムル・インスピレーション」は、日本の雑誌にもよく紹介されていますよね。院長のチョン・センムル先生は韓国の女優なら誰もが太鼓判を押す実力派で、BoAさんがアメリカ進出したときのスタイルやメイクを考案した方でもあります。ウェディングメイクも評判が高く、女性の純粋な美しさを引き出すのがとても上手な先生なんです。


    ギャラリア百貨店を左にして清譚駅の方向へまっすぐ歩いていくと、いつも女の子達に囲まれているSMエンターテインメント(ジャニーズ事務所のような芸能プロダクション)が見えてきます。そこで左の路地裏に入ると小学校があります。その小学校の前にある大きなビルがまるまる美容院です。明洞のアヴェニュエルの10階にも支店があります。


    島山公園前のゴリラ・イン・ザ・キッチンの上にある「パーク・クロエ」は、200坪も面積がある広~いカフェのような美容院です。「そこに行けば必ずスターに会える!」といわれるほど芸能人が通う美容院としても有名ですが、それよりも実力あるアーティストをたくさん抱えていることが自慢なんですよ。


    ドラマ『エデンの東』の悪役シン・テファンを演じたチョ・ミンギさんの奥様であるキム・ソンジン先生が院長で、彼女の名前をブランドにしたメイク用品も発売されていて、メイクが上手な美容院としても名高いんです。


    10年前まで韓国のおばさんといえば、短いカットにチリチリのパーマが定番でしたが、今はそんなことは全然ありません。波打つツヤツヤの太いウェイブや、美しいストレートのロングヘアのおばさんもたくさん見かけます。


    チョンセムルインスピレーションやパーク・クロエのお客さんは、みんな雑誌から抜け出してきたかのようにおしゃれなので、ついつい横目でじっ~と観察してしまいます。韓国のトレンドをリードする清譚洞マダムの日常に飛び込めるという意味でも、これらの美容院を訪れるのはドキドキ探検のようでおもしろいですよ。


    韓国の友達と話していると、美意識の高さにいつも驚かされます。「いつまでも女性は美しくあるべき。家事は手抜きしても美容には手抜きなし!」、「毎日スポーツジムで汗をかき、チムジルバンで週に1度は垢すりと全身マッサージとネイルケア、月1回は美容院でトリートメントとカットやパーマをするのが常識」と言われてしまいました。トホホ。私はそこまでできません~。


    みなさんの旦那さんを韓国に連れて行って、美容院で韓流スターのように変身させてみるのはいかがですか? 男らしくもやわらかい印象のヨン様やイ・ビョンホンさんのようなヘアスタイルにしてもらえば、夫への愛情が200万倍増えるかも?

    by: 趙章恩

    2009年12月15日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!

    「ゲームマネーの現金売買は合法」韓国最高裁判断への賛否両論

    韓国では、ソウルが観測開始以来の大雪や寒波を記録するほどの異常気象で、外出を控えオンラインゲームやデジタルコンテンツを利用する人が増えている。「Hangame」「NCSoft」「Nexon」「Netmarble」「Pmang」といったオンラインゲームの1月のユーザー平均滞在時間は前年同月比で3割も増加しているという。証券会社は2010年の株価展望で、不況ほど利用者が増えるオンラインゲーム株をさかんに推奨している。

     寒波以上にオンラインゲーム業界で話題になっているのがNCSoftの多人数参加型オンライン・ロールプレイング・ゲーム(MMORPG)「リネージュ」内で使われる仮想のゲームマネー「アーデン」の現金売買を巡る最高裁判断である。



    ■「ユーザーが努力して得た労働の対価」


     事件の始まりは08年12月、ゲームマネー売買を専門に行う個人2人が「ゲーム振興法32条1項7号違反」の容疑で起訴された。同法はゲームマネーの現金売買を禁じており、2人はゲームマネー2億3400万ウォン(約1900万円)相当を安く手に入れ、2000人に転売し2000万ウォンの利益を上げたとされた。


     地方裁判所は2人に罰金200万~400万ウォンの判決を下したが、2審ではリネージュのようなMMORPGのゲームマネーは同法の規制対象にならないと判断。検察が上告したが、最高裁判所は09年12月24日に2審判決を支持し、上告を棄却した。


     最高裁は、法律で現金売買を禁止されているゲームマネーは「一定の金額を賭けてゲームの結果によって配当が決まるもの、または偶然手に入れたもの」であるとし、2人が転売したリネージュのゲームマネーは「偶然ではなく利用者の行為によって得られたものである」と認定した。さらに「リネージュのゲームマネーはすでに現金売買が活発に行われており、転売して利益を得たことは同法違反に当たらない」との判断を示した。


     ゲーム会社は、オンラインゲームのゲームマネーやアイテムはプログラムで所有権は開発者にあり、ユーザーや仲介サイトで現金売買をしてはならないという約款を設けている。しかし、今回の最高裁判断はゲームユーザーの間では、「リネージュのようなゲームの仮想通貨はユーザーが努力して得た労働の対価であり、約款に関係なく売買することができる」と解釈されている。



    ■ゲームマネーの売買市場は約1200億円


     今回の判断が出る以前から、ゲームマネーやアイテムの売買を仲介するサイトは多数存在していた。もともとはユーザー同士がゲーム内のチャットや掲示板に売りたいアイテム、買いたいアイテムを書き込み、「PCバン」と呼ばれるネットカフェなどでアイテムと現金を直接受け渡していたが、詐欺などのトラブルが増え、01年ごろから仲介サイトが登場し始めた。


     仲介サイトは、決済代行手数料として販売金額の4~5%を徴収する。仲介サイトの登場で、本格的にゲームマネーやアイテム売買を職業とする人も現れた。韓国コンテンツ振興院や文化体育観光部によると、ゲームマネー売買の仲介サイトは10社以上あり、会員数800万人、年間換金(現金売買)規模は1兆5000億ウォン(約1200億円)にものぼるという。


     同時に数十万人がアクセスしてRPGを楽しむリネージュのようなゲームは、ゲーム内にもう1つの人間世界が繰り広げられているようなもので、ゲームマネーは必須となる。ゲーム会社側は、加入者を長期間足止めできるよう、キャラクターの育成や獲得できるアイテムを調整している。一方、ユーザーにしてみれば、ゲーム料金を数カ月分払うのと現金でゲームマネーを購入してアイテムに変えるのとでは金額的には大きな差がない。山の1合目から登り始めるか、それとも5合目から登り始めるかといった差だろうか。



    ■IDの詐取が増える? トラブル増加の懸念も


     今回のゲームマネー現金売買を合法とした最高裁判断に対しては、ゲーム市場の活性化につながるとの見方が多い。ただ、ゲーム業界内にも賛否両論はある。


     ゲーム振興法では、ゲームマネーを売買して利益を得るために他人の個人情報を盗んだり、ハッキングプログラムを使ってキャラクターのレベルを上げたりすることを禁止している。こうした違法行為を行うグループの拠点は「作業場」と呼ばれ、主に人件費の安い中国や地方都市にある。作業場では、数百台のパソコンを24時間フル稼働させ、ゲームマネーやアイテムを獲得しては仲介サイトに売り出して現金化しているとされる。


     大量のゲームマネーやアイテムを獲得するには、その分大量の会員IDが必要となる。作業場の人たちは電子商取引サイトやウェブメールサービスなどをハッキングして韓国人の住民登録番号を手に入れ、その個人情報を使いオンラインゲームサイトに会員登録する。韓国人の個人情報のハッキング事件が絶えないのは、このようにお金になるからである。


     今回の最高裁判断はこうした行為まで合法としたわけではないが、ユーザーがそれを区別するのは難しい。 ゲームマネー売買を悪用した不正資金問題や課税問題、ゲームマネーと企業ポイントや電子マネーとの連携にかかわる問題が起きる可能性もある。



    ■世界に輸出 海外対応も必要に


     ゲーム内のアイテムがお金で簡単に手に入るものになれば、ユーザーにとっての希少性は低下する。ゲーム会社はユーザーを引きつけるため、絶えず次に獲得したくなるような強い武器、強力な魔法アイテムといった新規アイテムを開発していかなければならなくなる。


     しかし、アイテムを開発するにはゲームのストーリー変更やキャラクター設定なども必要だ。これらはそう簡単に継ぎ足せるものではなく開発負担は少なくない。そもそもゲーム中毒やゲーム過労死が社会的問題になっているなか、アイテムを増やして売買規模を大きくすることには批判もあるだろう。


     ゲームマネーやアイテムの現金売買は韓国だけの問題ではない。韓国のオンラインゲームは世界60カ国以上に輸出され、その輸出規模は08年10億ドル、09年15億ドルと推定されている。世界のユーザーが韓国のオンラインゲームマネーを売買することで換金レートや取引方法などでトラブルが発生した場合、矛先はゲーム会社に向けられる可能性が高い。


     今回の判断により、職のない人たちがゲームマネーで生活費をかせごうとオンラインゲームに集まることでゲーム市場が成長するという予測もあるが、それでは悲しすぎるだろう。アイテム売買よりも、ゲームをきっかけにアニメ、映画、漫画といった文化コンテンツのすそ野を広げて市場を共有することの方が経済活性化につながるのではないだろうか。ゲームはゲームとして楽しめるよう、文化として育ててほしいものだ。


    – 趙 章恩  

    NIKKEI NET  
    インターネット:連載・コラム  
    [2010年1月26日]
    Original Source (NIKKEI NET)
    http://it.nikkei.co.jp/internet/column/korea.aspx?n=MMIT13000025012010

    仁川空港の免税店やラウンジ、使いこなしてますか?


    仁川空港。空港はいつも気分をわくわくさせてくれます。



    ANAやJALを利用する場合、出国審査を終えると搭乗棟へ移動するためのシャトルに乗ります。





    搭乗棟にも免税店はあります。より静かにショッピングしたい人はこちらがお勧めです。




    ロッテ免税店の場所です(赤で示したところ)。空港店といっても、こんなにたくさんあるんです!



    新羅免税店の前にあったベストセラー、雪花秀の「チンソル」。通常よりもワンランク上のスキンケアです。



    新しい搭乗棟にある無料ネットカフェ「NAVER SQUARE」。ポータルサイト「NAVER」の協賛で運営されています。





    仁川空港はとにかく面積が広い! 免税店も多い!


    右の4番目の写真を見てください! ロッテ免税店だけでこんなにたくさんあるんですよ。2008年の夏、仁川空港に「搭乗棟」という大韓航空とアシアナ航空以外の航空会社専用の搭乗ゲートビルが新しくオープンしました。空港の面積が広くなったぶん、免税店が占める面積も1.5倍になりました。ただでさえ走っても走っても果てしないように感じるほど広い空港なのに、さらに広くなり免税店も増えたとあっては、ショッピング好きの血が騒ぎますね。


    SBSのニュースによると、仁川空港の免税店はロンドンのヒースロー空港の次に売上げが多く、世界第2位なのだそうです。テレビ番組を観ていたら、世界中の免税店の値段を比較する場面があり、韓国の免税店がやっぱり安いということがわかりました。


    私も東南アジアのほうが何でも安いと思って遠征ショッピングに出かけたことがありますが、ウォンのレートや合計金額に応じたプレゼント、ネット注文でさらに安くなるディスカウントクーポンなどを考えると、「やっぱり韓国で買ったほうが得だった~」と後悔したことが何度もありました。


    日本の免税店でも特定のクレジットカードを持っていると5%割引になったりマイルが貯まったりするサービスがありますが、韓国の免税店は激戦地らしく、数え切れないほど提携サービスと割引があるので、知らないと損をします! 必ず「今、割り引きイベントを実施していますか?」と聞いてからショッピングしましょう。


    その前に、仁川空港の免税店には特徴があることをご存知ですか? 実は、免税店によって販売できる品目が決まっているんです。これは5年ごとに運営権の入札があるためなんです。


    市内の免税店ではどこも品揃えが似ていますが、空港内では注意が必要です。お酒とタバコ、ブティックやお土産などはロッテ免税店が担当するなど、それぞれ分かれているんです。「市内のロッテ免税店で買いそびれたけど、空港で買えばいいよね」なんてことができないんです。もちろん、ほかの免税店で買える場合もありますが……せっかくポイントカードを作ったのに、もったいないじゃないですか。


    ロッテ免税店のいいところは、なんといってもロッテポイントが貯まることです。ロッテ百貨店、ロッテマート、そのほかスーパーやセブンイレブンでもポイントが貯まるので、これは加入するしかないでしょう! ポイントは有効期限がありませんので、今度いつ韓国に行くかわからないという場合でも安心なのでおすすめです。


    さらに、ロッテ免税店では、2010年1月31日までVISAカードで決済すれば5~15%追加割引になるイベントを開催しています。毎月イベントは変わるので、店員さんに聞いてみましょう(30%以上割引されている商品は追加割引が適用されませんのでご注意ください)。


    ロッテ免税店は過去2年間の累積購入額が2000USドル以上だった場合、メンバーシップのシルバーのVIPカードがもらえて、次から5%~10%の割引が適用されるんですが、年に数回、蚕室(チャムシル)にあるロッテワールド免税店で会員登録すると誰でもシルバーカードがもらえるイベントを開催しています。私もこれを利用してVIPシルバー会員になりました。「イベント期間に行けないわ!」という方もご安心を。何とニッコリアのスペシャルクーポンなら、いつでも無料でシルバー会員になれます!


    「市内の免税店でショッピングを済ませてしまったので、空港でやることがない!」という方は、搭乗棟にある無料ネットカフェ「NAVER SQUARE」はどうでしょう。ノートパソコンがずらりと設置されていて、誰でも自由にネットが使えるんです。パソコンは日本語も使えるようにセットされているので、「これから飛行機に乗りま~す」なんてメールを家族に送ったりもできます。


    免税店巡りだけでも時間が足りない仁川空港、飛行機には乗り遅れないようにしてくださいね! 免税店で空港のスタッフに捕獲され、そのままカートに乗せられ猛スピードで搭乗口まで移送された経験者(私)からのアドバイスです。


    by: 趙章恩

    2009年11月1日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!

    MNPと奨励金が携帯キャリアをだめにする

    日本ではメールアドレスを変更しなくてはならないので面倒、手数料が高いといったことから利用はあまりないと言われているモバイルナンバーポータビリティ(MNP)だが、韓国では加入者の85%が経験しているというデータが発表された。

     韓国通信事業者連合会によると、2009年12月時点で韓国のMNP利用者は約4020万人。
    2004年1月に韓国でMNPが始まってから6年間で、携帯電話加入者の85%が1度は移動通信キャリアを変更したことになる。


     韓国ではMNPでないと奨励金がもらえない、キャリアに関係なくショートメッセージを送受信できるので携帯電話からメールを使うことがなくメールアドレスの変更による負担がないことが理由としてあげられる。


     MNPは移動通信キャリアを変更する心理的負担を軽くすることで競争を促進するのが目的であったが、韓国では奨励金競争と重なり、加入者を奪い、そして奪い返す争奪戦になってしまった。家族割りや学生割りといった加入者間通話の無料競争が始まると、ネットワークの外部性によりシェア1位のSK Telecomに加入者が集まり始め、移動通信キャリア3社の市場シェアは10年近く5対3対2のままである。


     韓国の移動通信キャリアの平均解約率は3.5~4%。1%前後である日本に比べるとかなり高い。加入者の移動が激しいため奨励金が増えるのか、奨励金があるから加入者の移動が増えるのか。当然、移動通信キャリアの売上は伸びても利益率は急落している。2008年の場合、SK Telecomは営業利益2兆599億ウォンに対してマーケティング費用は3兆635億ウォンと、1兆36億ウォンも超過支出している。


     2009年11月にiPhoneが発売されてからは、MNPによって加入者が流れていくのを防止するため、3社の奨励金に加えて端末ベンダーからの奨励金まで上乗せされている。単価90万ウォンほどのスマートフォンが移動通信キャリアとベンダーの奨励金により20万ウォンほどで買えるようになった。スマートフォンの値段は奨励金競争によって毎日最安値が更新されている。2~3日の間に40万ウォン近くした端末が、奨励金の増加で半額の20万ウォンにまで安くなり、その恩恵を受けられなかった加入者の反発で差額を返金する騒動まであった。

    MNPで奨励金をもらうと、最低1年以上契約が拘束される約定加入となるが、代理店によっては「(その)違約金を代わりに払います」という張り紙まで出している。


     移動通信キャリアが研究開発に使う費用より、マーケティング費用の方が多いことから移動通信サービスの質低下を招くのではないかという指摘があり、2008年3月に解禁された奨励金をまた規制すべきという意見も出始めた。


     国会では奨励金の差等支給が問題になった。キャリアごとにA社からMNPした20代の場合は20万ウォン、B社からの移動でスマートフォンに加入した場合は55万ウォン、C社からのMNPは10万ウォン、という具合に、年齢や加入していたキャリアに応じて支給額を変えていたことが判明した。


     通信政策を担当する放送通信委員会では、奨励金を支給するならば平等に、全加入者にそのメリットが行き渡るようにとガイドラインを制定した。併せて差等支給をなくすため、奨励金がどれぐらいもらえるのか、加入者にはっきりと情報を公開することも求められている。通信キャリアが放送通信委員会に提出する営業報告書の会計基準を変え、マーケティング費用の明細を販売営業と顧客サービスに分けて細かく出費の内訳を明記するようにした。


     移動通信キャリアもMNPと奨励金による過剰な競争に負担を感じている。それでも市場シェアを守るためには仕方ないとしている。奨励金競争は結局端末買い替えを促進する競争でしかない。キャリアのARPUは日本ほど減っていないからだ。


     5~6年前までも韓国のキャリアは、毎月のように「世界初」のモバイル放送や、モバイルホームネットワーク、モバイルヘルスケア、モバイルペイメントなどを登場させていた。それが今ではスマートフォンの話題ぐらいしかない。奨励金競争よりも、移動通信ならではの面白いサービスで顧客をつかまえて離さない競争をしてほしい。


    (趙 章恩=ITジャーナリスト)

    日経パソコン
    2010年1月21日

    -Original column
    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100113/1022154/

    水分クリーム、水分エッセンスにこだわるのは韓国女性だけ?


    顔に塗ると水玉ができる水分美容液。エチュードハウス スブンガドゥクエッセンス(水分いっぱいエッセンス)。40mlで1万1000W。


    しっとりさらさらする水分クリーム。Mamongde(マモンド) トータルソリューション。高保湿クリーム(赤色)と高水分クリーム(水色)。いずれも50mlで3万2000W。ARITAUMで販売しています。




    この秋大人気の水分エッセンスはヒマラヤ氷河水から作られた涙エッセンスです。Laneigeハイドラソリューションエッセンス。40mlで4万W。こちらもARITAUMで販売しています。



    季節の変わり目になると、韓国のファッション誌は一斉に「スブン(水分)クリーム」、「スブン(水分)エッセンス(美容液)」の特集を組みます。これらは乾燥した肌に水分を補給することに重点を置いた、お風呂上りの肌をしっとりツルツルの状態にしてくれる、脂っぽくない美容液やクリームのことです。


    日本では「水分クリーム」、「水分美容液」という表現を聞いたことがないように思いますが、韓国ではスキンケアのカテゴリーを、アンチエイジング、美白、水分、毛穴、しわ、弾力といったように細かく分け、それぞれのスキンケア商品がこれまた細かく販売されているのです。さらに乾燥肌用、混合肌用、オイリー肌用にも分かれるので、韓国では毎日のように新発売の化粧品が登場します! 美容大国らしい現象ですよね。


    そんなコスメ好きの韓国女性のあいだで、この秋に大流行しているのは涙エッセンス。Laneige(ラネージュ)から新たに発売された、「ソン・へギョの涙エッセンス」です。ミネラルが豊富に含まれているヒマラヤの氷河水を使った水分エッセンスですが、なぜ「涙」なのかというと、「女の武器は涙ときれいなお肌」ということで、「涙エッセンス」と呼ばれているのです。顔に伸ばすと涙のように水玉が弾けて、みずみずしい感触が長持ちするところも、このように呼ばれる理由のひとつです。


    私が愛用している水分エッセンスは、お手頃価格のETUDE HOUSE(エチュードハウス)の「スブンガドゥク(水分いっぱい)エッセンス」です。これも顔に伸ばすとジェルから水玉に変わる不思議な美容液です。ETUDE HOUSEからは「水分メイク」という、水で濡れているかのようにツヤツヤに輝く肌に仕上げてくれるコラーゲンファンデーションや下地も新発売されました。


    Mamongde(マモンド)のトータルソリューションも数え切れないほどリピートしています。トータルソリューションは、1ヵ月10万個以上売れているベストセラーです。パッケージが赤色のものは美白と小じわ対策に有効な濃厚クリーム、水色は美白と保湿に重点を置いたやさしい水分クリームです。肌の状態に応じて使い分けます。


    ロッテ免税店でも人気のDr.Jart(ドクタージャルト)からは、水分BBクリームとして「デュードロップBBクリーム」が発売され、これもベストセラーになりました。水玉ができるBBクリームで、肌にどんどん水分を補給してくれます。


    韓国コスメは、今や珍しいお土産ではなく、日本でもすっかり定着した定番のコスメになったようです。明洞のコスメショップはどこも日本の女性で大混雑しています。


    ETUDE HOUSEも、THE FACE SHOP(ザ・フェイスショップ)も、MISSHA(ミシャ)も、開店と同時に夜までお客さんでぎっしり! 店員さんと顔なじみになったリピーターも多く、メモを片手に指名買いされる方もたくさん見かけました。


    先日、明洞の化粧品専門店ARITAUM(アリタウム)を取材しましたが、ここも韓国ナンバーワンのナショナルブランドAmorepacific(アモーレパシフィック)の人気商品を扱うショップだけに、韓国と海外のお客さんの割合が半々なのだとか。2階にある韓律スパ「韓律停(ハンユルジョン)」は、なんと6割が日本人女性。化粧品は中国の団体ツアー客にとても人気が高く、Laneige(ラネージュ)の化粧水や美容液、ウォータースリーピングパックなどを山のように買って帰るそうですよ。日本の女性には韓律(ハンユル)のクリーム、IOPE(アイオペ)のクリームやレチノールセラムがもっとも売れているそうです。


    取材の中でおもしろかったのは、スキンケアにも日韓の違いがあることでした。日本の女性はベトベトするのがいやだからと化粧水しか使わない人が結構いるそうですが、韓国の女性はブースター、化粧水、乳液、美容液、セラム、クリーム、スリーピングパックと、いくつも重ねてしっかりケアするのが好きなのだそうです。


    CMの影響ではありますが、今、韓国では「きれいな肌は女の武器!」、「女の力は肌に現われる!」が合言葉になっています。この秋・冬は、韓国の水分エッセンス、水分クリームでじっくりケアしてみませんか?






    by: 趙章恩

    2009年10月31日

    「ニッコリア」: ダイナマイト・コリア 今日もドキドキ探検に出かけよう!

    アプリ配信サイトの利用デバイスが増え競争が始まる

    iPhoneによって触発された韓国のスマートフォン競争により、直近2カ月間でスマートフォンが46万台近く売れた。

     これは携帯電話加入者の1%が動いたことになる。KTのiPhone契約数は1カ月ちょっとで24万件、サムスン電子のT-OMNIA2は2カ月ちょっとで22万件を超えたという。韓国で20万台以上売れたスマートフォンはiPhoneとT-OMNIA2が初めてある。既に移動通信キャリアには30万台を納品しているので、1月中に30万台販売突破可能性も高い。


     スマートフォンはモバイルインターネットを頻繁に使う会社員や若い学生向けと思われていたが、韓国ではファッションの一部として裕福層の主婦の間でも人気が高いことから、予想を上回る売れ行きとなっている。もちろん奨励金競争により端末価格が安くなったことも影響している。


     サムスン電子はiPhoneがここまで売れるとは思わなかったという反応を見せている。韓国のマスコミは、米国での展示会「CES 2010」の記者懇談会での発言を引用し、「サムスン電子はiPhoneが韓国で爆発的な人気を得ていることを衝撃的なこととして受け止めている」「iPhoneはサムスン電子の競争力をテストした製品」といった記事を大々的に報道している。


     韓国の携帯電話端末市場の約50%、世界市場でもシェア2位のサムスン電子であるが、世界市場のスマートフォンシェアはノキアやアップルのiPhone、リサーチ・イン・モーションのBlackBerry、HTCが上位を占めている。サムスン電子やLG電子は2009年秋ごろからスマートフォンのラインアップ強化をしきりに発表している。サムスンはアプリ配信サイト「Samsung Apps(APP Store)」に続いて「BADA」というモバイルOSも発表している。


     韓国勢は携帯電話やスマートフォンだけの競争では勝ち目がないと見たのか、家電でも世界市場の上位にある点をいかしてスマートフォン、パソコン、MID(モバイルインターネットデバイス、スマートフォンとネットブックの間にある携帯型端末)、テレビ、プリンター、DVDプレーヤー、デジタルカメラなどで共通して使えるアプリ配信サイトに力を入れている。一度コンテンツを購入すれば、スマートフォンからもテレビからでも利用可能になる。スマートフォンにインストールした天気情報、交通案内、ゲームなどがテレビと連動してリモコンで使えるようになる。コンテンツを確保するため、オンライン映画レンタル事業者やオンラインゲーム、動画投稿サイトとの提携も強化している。

     CES 2010では3Dやブロードバンド対応のテレビ、スマートフォンなどが続々と展示されたが、端末機能そのものは大きな差がなくなりつつある。いつものことだが、デザイン、ユーザーインターフェース、アプリケーションといったユーザー向け利便性の勝負になるしかない。


      CES 2010の基調演説でも、モバイルインターネットが各種端末に搭載され、端末間の連結性や機能の融合がより一層強まることがテーマであった。このような現象は人々の生活に影響を与え、エンターテインメント分野のビジネスチャンスを広げると期待されている。


     韓国では民放のSBSが、自社番組の宣伝部隊として、ドラマごとに動画投稿をしてくれるユーザーを募集している。ユーザーがドラマの映像を編集し、動画投稿サイトやBlogに掲載してドラマの話題性を高めることが、視聴率を高め本編VODの有料販売も増加させたことから、公式に宣伝部隊を募集するようになった。


     このように作られた動画がパソコンだけでなくスマートフォンや家電からも利用されることで、より高い宣伝効果を得られると見込んでいる。他の放送局もユーザーが自由に編集していい動画を特別に公開するようになった。


     どんなデバイスからも利用できるアプリ配信サイトの登場は、コンテンツホルダーの著作権管理の変化によって相乗効果を発揮できるものと見られる。2010年もスマートフォン関連のニュースで盛り上がりそうだ。

    (趙 章恩=ITジャーナリスト)

    日経パソコン
    2010年1月14日

    -Original column
    http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100113/1022182/