第16回:2005年最高のドラマはやっぱりキム・サムスン!









第16回 2005年最高のドラマはやっぱりキム・サムスン!

2005年12月21日


 クリスチャンが多くクリスマスが国の公休日である韓国では、この時期になると教会や聖堂の十字架に豆電球が飾られ、募金を求めるボランティアの訪問もぐっと増える。イブの夜は家族と一緒に教会に行くべきか、友達とスキーに行くと嘘をつき恋人と熱い一夜を共にするべきかで揺れる青春男女の煩悩が雪へと変わる時期でもあるのだ。ソウル市庁広場には今年もスケート場が開設され、ルミナリエも一層きれいに輝いている。

 明洞にある聖堂にはロウソクがいっぱい灯され、パイプオルガンが演奏される。誰でも自由に入れるので恋人達が並んで座りお祈りをする冬ソナのような場面があちこちで目立つ。クリスチャンでなくても、クリスマスだけは聖堂でミサに参加してみたい気分になったりするんだよね。

 韓国のお正月は旧暦なので、2006年のお正月は1月29日。だから年末、年明けという雰囲気はまだこれからだけど、TVではもう今年の総決算が始まっている。

 NG名場面や名セリフ集、芸能ニュースTOP10、映画賞、芸能大賞などの授賞式が続々行われているので気分はもうお正月である。結婚する前は、お正月はセベ(韓服を着て礼をするお正月の挨拶)して、お年玉もらって、トックッ(棒のような白く固いもちを斜めにスライスしてスープに入れたもので、お正月の朝必ず食べる)食べて、早速映画やショッピングに繰り出したもの。しかし、結婚した途端、「今年のトックッは一体何人分作るのかな…、皿洗いは…、お年玉は一体いくら用意すればいいんだ!!」と頭を抱えブルーな気持ちになってしまう。イケナイ、イケナイ。今年の名ドラマを思い出して気分転換しなくちゃ!

●「サムスン」からは人気俳優が続出

 あちこちのポータルサイトで年末まで行われる2005年ドラマ人気大賞投票を見ると、
このコラムでも紹介したことのある、視聴率50%超えのMBC「私の名前はキム・サムスン」が他を圧倒して1位になるのではないかと予想される。

 30歳、職もなく恋人もいない、いつもダイエットに失敗してばかりのサムスンが年下社長と出会い恋に仕事に燃える「恋愛奮闘記」とも言えるこのドラマは、サムスンが失恋を予感し、酔っ払うといつの間にか隣に座っている(サムスンの幻想に現れる)亡くなったお父さんに「心臓がかちかちに硬くなっちゃえばいいのに」(そうすれば失恋で胸が痛むこともない)と泣きながら訴える場面や、年下の彼に結婚するまではベッドインできないと拒みながらも、「もう何年も飢えているこの姉さんは血の涙を流したいよ」と、逆に彼を襲いたい気持ちを抑え込む場面が話題になった。

 そして、このドラマがきっかけでブレイクした俳優は数知れず。主人公のサムスンを演じたキム・ソンアはコミカルな演技で映画でもヒットを飛ばしていたが、このドラマで下半期広告モデルとして引っ張りだこに! ベーカリー、フライドチキン、ブロードバンド、コラーゲン飲料、DHCなどに登場している。

 自分勝手で生意気だけどかわいい年下の彼のヒョン・ビンもドラマ以降絶好調で、数々のCMに登場。映画にドラマにと続々と主演が決まっている。

 アイドルグループ出身で、サムスンとは正反対のキャラクターを演じ、視聴者を泣かせる好感の持てる悪役だったリョウォンは、キム・ソンアをしのぐ人気。自動車、化粧品、建設、ファッションなど10本以上のCMに登場している。そして、「リョウォンが番組で身に着けた洋服やアクセサリーは翌日完売する」とまで言われるほどで、“韓国の20代女性がもっとも真似したい女優”にも選ばれている。また、芸能番組の司会までやっているが、実は、主役に抜擢されたドラマ「ガウルソナギ(秋の夕立)」では視聴率が2%という驚異的な(!?)記録を打ち出し、今年最悪のドラマに選ばれそうな雰囲気。リョウォンもがっかりした様子で、「当分は休養して演技の勉強をし直す」と言っている。

 そして、サムスンといえばやっぱりこの人! 今年最高の新人ダニエル・へニーだ。お母さんは韓国人、お父さんはイギリス人でアメリカで生まれ育ったハーフのモデル。サムスンに出演する前は、色んなCMに出ていたにもかかわらずまったく注目されていなかった。

 初めてのドラマで大ブレイクした今では、サムスンの出演者の中で人気NO.1。広告モデルとしてはもちろん、「ただそこにいるだけで癒される~」と幅広い年齢層に支持され、あちこちのトーク番組や芸能番組で特別ゲストとして招かれている。韓国語がほとんど喋れないので広告の仕事が中心だが、もっともっとドラマや映画でも活躍したいと、一生懸命韓国語と演技の勉強をしているとか。


●ハッピーエンドの「グムスン」も外せない

 9か月間も月曜から金曜まで30分間毎日放映された「
グッセオラ・グムスンアVOD・海外からの視聴は1話1,000ウォン、頑張れグムスン、直訳すると「たくましくなれ、グムスン」)も2005年の代表作。








ハッピーエンドはグムスンの再婚
(c)iMBC
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
最初グムスンはこんなにダサかった!
(c)iMBC

 お父さんは事故で亡くなり、お母さんは家出、祖母の元で育てられたグムスンは二十歳そこそこで妊娠し結婚するが、なんと3日後には夫が交通事故で死亡。夫の家族と同居しながら子育てと家事に追われ、嫁という立場に悩み、美容師としての夢を追いかけるという悪戦苦戦が主婦層の涙を誘い、20~30%台の安定した視聴率を維持した。

 最後はグムスンの再婚でもめにもめるが、結局ハッピーエンドで幕を閉じる。その、子連れ美容師アシスタントと独身エリート医者の再婚は現実離れしていて空想ドラマと悪評されたり、夫をひき殺した犯人が再婚相手という設定に「それはひどすぎる」と視聴者からの声が殺到しストーリーが修正されたりと、色んなことがあった。

●ホームドラマ人気のその訳は?

 ここ数年、トレンディードラマよりも家族の絆や夫婦の絆といったホームドラマの方が視聴率が高くなっている。それには、多忙な10~20代の若者にはネットや携帯電話から再放送を利用する人が多く、巷で話題のドラマも視聴率は10~20%そこそこ、その一方で、それほど話題でなくても、TVの前に座りっぱなしの高年齢層をターゲットにしたホームドラマは視聴率だけは30%超える、といった事情がある。広告を考えると視聴率が重要だから、少しでも視聴率が落ちるとシナリオを修正して、登場人物を交通事故や結婚や留学で片付けて早期終映することも多い。

●早期終映の名作ドラマ「ビョルスンゴム」

 個人的にとても残念なのはMBCの「
ビョルスンゴムVOD・海外からの視聴は1話1,000ウォン、別巡検、朝鮮時代の秘密偵察を担当した刑事)」という朝鮮時代を背景にした時代劇風刑事ドラマが、たった5話で早期終映してしまったこと。









4人の刑事が主人公
(c)iMBC
冷静で頭の切れる刑事サユル役のチョン・ユソク。オールインで執拗にイナの人生を狂わせようとした悪役イム・デスを演じた人
(c)iMBC

 「茶母」、「大長今(邦題:宮廷女官チャングムの誓い)」の雰囲気そのままに、何度もどんでん返しを繰り返しながら犯人を追う、昔の警察と法医学者たちのスリリングなストーリーが本当に面白かった。これは実録である朝鮮後期の法医学書に登場する事件をドラマ化したもので、殺人なのか自殺なのかを科学的に実証する方法や死体の検視方法が生々しく登場し、毎回「へぇ~」と口を開けて見入っていた。

 朝鮮時代のことなので専門用語などは漢字と解説が字幕で入り、ちょっとした豆知識にもなった。マニアも多くて視聴者掲示板には始終「とても新鮮!」、「150年も前に科学捜査隊がいたなんてすごい!」、「いつも冷静でクールな刑事とおっちょこちょい刑事のかけひきも見ものだけど、リアルすぎる死体は夢に出てきそうで怖いです」などなど、応援メッセージが絶えなかったのに。早期終映はどうしてなんだ~。

 久しぶりに子供からお年寄りまで楽しめるドラマが始まったと思ったのに、そして特に視聴率がよくないという理由でもないのに、突然やめてしまうなんて。サムスンの成功以降、どのチャンネルも、サムスンのような無鉄砲な明るくちょっととんがった年上彼女と、わがままだけど愛嬌たっぷりのかわいい年下彼氏が登場するドラマばかり作ろうとするから面白くない。

 また、「韓国ではまったく人気がなくても日本で売れればそれでいい」と断言する純愛ドラマも多いのは、ちょっといただけない。「ビョルスンゴム」みたいに、どんどん新しいジャンルを作らないとだめだよ~。

 そのほか、このコラムで紹介したドラマはすべて名ドラマ度上位にランクされているので、見逃した方はぜひダシボギ(VOD再放送)で年末までにじっくり堪能しましょう。来年も、“先が読めてしまうけどつい観てしまう”韓国ドラマのあれこれをお伝えします!

 セへ ボッ マーニ バッウセヨ (新年福がたくさんありますように)

By-
RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情」
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世界トップ級の環境先進国を目指す,新国家戦略は機能するか?


世界トップ級の環境先進を目指す,新略は機能するか?
from 韓



趙 章恩(チョウ・チャンウン)
ITジャーナリスト


 リーマン・ショックに端を発した世界同時不況が韓国経済に大きな影を落とす中,韓国のエレクトロニクス・メーカー各社は将来に向けた投資として環境対策に力を入れている。


 Samsung Electronics Co., Ltd.は2009年2月,スペインで開催された携帯機器関連の展示会「Mobile World Congress(MWC)2009」で,「環境への配慮」を前面に押し出した携帯電話機「Blue Earth」を初公開した。最大の特徴は,筐体背面に太陽電池パネルを搭載することで,電気が開通していない所でも充電できる点。「いつでもどこでも通話するのに十分な電力を太陽電池で生み出せる」(同社)という。



続きは日経エレクトロニクス(2009年3月9日号)で

<韓国リポート>インターネット映画が熱い!ストリーミングでDVD画質動画は当たり前 (過去記事)

筆者はちょくちょく仕事の合間の一休み、という時インターネットで映画を見る。ポータルサイトや映画サイトでは1本100円前後で比較的新しい映画をストリーミングサービスしている。

 だがこのインターネット映画、安いだけがとりえの(画面は小さく、バッファリングのせいでいいところで必ず中断され、きれいな女優の変な表情の停止画面のまま待たされる)、ブロードバンドでありながら「忍」ターネット映画だったのが事実だ。韓国のネットユーザーたちも「パソコンで映画を楽しもう」と言うよりは、「手軽に見られるだけでいいじゃないの」に近かった。でもこの夏以降、インターネット映画が素晴らしく変身し始めているのだ。


大手ポータルサイトが相次ぎ高画質VODサービスに乗り出す


 大手ポータルサイトは今、高画質VOD(Video On Demand)サービスに本格的に乗りだした。VODは 「注文型ビデオ」という意味で、映画館に直接行かず、オンラインで見たい映画を選び、ネット経由で好きな時間に見られるもの。テレビ局のホームページでもドラマやバラエティー番組の再放送がいつでも同じように見られる。最近デジタルTVとホームシアターが脚光を浴び始め、ポータルサイトも負けまいと相次いで各種動画を途切れることなく、DVDレベルのきれいな画質で提供しており、ネット映画の利用者数増加とともに月間売り上げも平均 2倍以上増加する等、新しい収益モデルとして立ち上がっている。


「パソコンで映画を見るなんていらいらするだけ」と思っていた映画マニアのユーザーたちも、高画質ならばと、クリックする回数が増えている。掲示板の感想欄には「これぐらいならお金を出してもいい」、「まだ十分満足とまではいかないが、すごくよくなった」と評価している。


 現在高画質 VOD サービスをネットで提供しているサイトは、ヤフーコリア、コリアドットコム、ハナロドリーム等ほとんど全ての大手ポータルサイトだ。有料だが無料体験できる映画もちゃんと用意してある。KT(旧韓国通信)は子会社である KTHとともに10月よりサイバーアパートを対象にホームVODサービスを始める。これはKTとMS(マイクロソフト)の提携によりMSが進めて来た「eHOME」プロジェクトの前身にあたるもので、世界で初めて「Windows Media Player9」が適用されるサービスでもある。ハリウッドのメジャーな映画社とコンテンツ提供のための提携を進めており、今後KTが運営するポータルサイトでも同じコンテンツを流す予定だ。







ハナロドリームの高画質映画配信サイト


 高画質映画館を 5月より運営しているコリアドットコム(http://vod.korea.com/)の場合、映画 53編、アダルト映画(あのアダルトではなく、あくまでも大人用の映画) 34編、アニメーション 26編を取りそろえている。映画1本、24時間何度も見られて70~130円。今までのネット映画(50~100円)より若干高いが、ユーザー達の反応は爆発的だ。まだコンテンツがそんなに多くないというのに、月間 700万~800万円の売り上げを記録している。1300編程の映画を取りそろえた既存のネット映画サイトの月間売り上げが1200万円程度なので、映画1本あたりの売り上げがかなり出る計算になる。


 ヤフーコリアが 8月からお披露目している、その名も分かりやすい「高画質館」(http://yahoo.cineyes.com/)も、利用者数が既存映画サービスの時より 50% 以上増え、月間売り上げも 2倍以上に成長した。 ヤフーはコミック、アクション、ドラマ、アダルトなど 5つのカテゴリーに60編ぐらいの映画を 1本当たり100~200円でサービスしている。


 このような大手ポータルサイトやネット映画専用サイトを相手に、ソリューションやコンテンツを提供する専門企業も増えている。 ウェッブデ一タバンク(http://www.wdb.co.kr/)が最近オープンした「シネイエス」(http://www.cineyes.com)では、3500編以上の映画を保有しており、現在 100編程の映画をDVD画質で上映中している。1本当たり100~150円。ヤフーコリアはここと技術提携し「高画質館」を運営している。


 セホ情報通信は「VODセンター」(http://www.vodcenter.co.kr)という独立したサイトを運営しながら、映画、アニメーション、バラエティー、文化、テレビ番組、ミュージックビデオ等いろんな動画コンテンツをデパートのように用意し、ポータルサイトを対象にコンテンツの貸し出しをしている。現在韓国最大ポータルサイトである「ダウム」、「ネイバー」にコンテンツを提供している。







ダウムの高画質映画配信サイト


高画質動画サービスを支えるDivXとCDN


 このような高画質インターネット動画サービスの登場は、ネットワークと動画圧縮技術の発展のおかげである。DVD画質に準するMPEG4基盤デジタル圧縮技術「DivX」と、大容量動画コンテンツの安定的な送信を保障する「コンテンツ送信ネットワーク(CDN)」がその主人公。「DivX」は容量を大幅に減らしてくれながらも画質損傷は最小化にとどめることで、リアルタイム送信であるストリーミングサービスでも、DVDのような高画質を維持できるようにしてくれる。特に 「CDN」はインターネット網接続サービスを提供する主なISPにキャッシュサーバーを置き、ここにインターネット映画館が保有している動画コンテンツを分散保存し、振り分けて利用者に送ることで、データ送信の渋滞を画期的に改善したものだ。


 既存の動画データ伝送速度は300-500Kbps(秒当たり50万個のデータ送信)なのに比べ、高画質VOD サービスは 20倍も早い1Mbpsに達する。このデータがブロードバンド網を通じて加入者の PCにたどり着き、動画として再現されるのだ。既存の動画は画面の大きさもまともに見るには手のひらの半分が精一杯だったが、高画質動画はモニターにフル画面で表示してもむらなく楽しむことができる。


 高画質VODサービスを利用するためには、ぺンティアムⅢ、128MBメモリー、16MBグラフィックメモリーレベルのパソコンにADSLやCATV回線レベルのブロードバンドも必要。これぐらいの仕様でないと途切れやすいので、高画質の意味がないのが残念。


 韓国ではもちろん映画館もあればレンタルビデオ店もたくさんあり、ビデオの方がネットより3週程先に登場するので、ネット映画がはやっているからと言って客が物凄く減るなんてことはない。映画館でも新作を3編まとめて見られるオールナイト上映が大人気で、大型PCバンと手を結び24時間繁盛している。ポータルサイトたちは激しいVOD競争の中、KHTは映画会社と契約を結び、映画館の後ビデオではなく自社のサイトに先に載せる方策を打診している。KHTは、「インターネットに先に登場することにより広告効果が上がるので、レンタルビデオ店も喜ぶだろう」と言っているが、韓国はとにかく何でも「まずやってみよう!」主義なので、もうすぐそうなる可能性が高い。


 この間 SF映画、スターウォーズシリーズの最新作「クローンの襲撃」が封切り前からインターネットファイル共有サイト経由で広がり、問題になったことがあった。新作のブロックバスター映画のファイルが封切り前にネットで流れるようなことは、インターネットの登場以来、全世界的規模で日常茶飯事的な事件だが、今回の場合は深刻だった。映画館で隠し撮りしたようなチープな画像ではなく、モニターにフル画像にしても全く遜色のないきれいなDVD画質で、ストリーミングでありながら途切れることもなかった。これを見た製作者のジョージルーカスでさえ驚きを隠せなかったという噂もネットで流れた。これからはやっぱり「ネットで映画を楽しむ」べきなのかも知れない。


 このようにインターネットを利用した高画質映画サービスが続々と登場することにより、インターネットで動画を見せる商売であるインターネット教育サイトやテレビ局のドラマ再放送サービスも影響を受けている。ネットスポーツ生中継や、選挙、教育系動画の品質もどんどんアップグレードされるだろう。


 情報通信部も公共機関が利用する超高速情報通信網(ATM網)の品質を大幅に引き上げるという計画を立ており、ブロードバンド普及だけでなくインターネット高画質動画サービスでも韓国が世界をリードして行くだろうと期待される。


by- 趙 章恩


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<韓国リポート>ブロードバンド先進国の悩み(下) 陽気で礼儀正しいインターネット中毒者達 (過去記事)

インターネット中毒、というと青白い顔に、暗く引きこもりがちな性格を思い浮かべる人が多いと思う。だが最近、韓国のインターネット中毒者達はとにかく明るいのが特徴だ。OFF状態ではごく普通の学生だったり、物静かな会社員だったりする人達が、ONになった途端ハイテンションで個人の意見を強く主張しながらもネチケットを守り、顔の見えない相手のこともちゃんと尊重する、選挙は面倒くさくてしないが政治に詳しく好き嫌いがはっきりしていて、テキストよりは画像を好み意思疎通も簡単明瞭、敵を攻撃する時はハッキングはせず、面白い合成写真を作りネットにばらまき精神的な被害を与える……。このような新しいネティズン集団を韓国では (A HEH HEH) と呼んでいる。 達は自らを「廃人」と呼んでいるが、オフ会に参加した人によるとスーツ姿のサラリーマンが多くてびっくりしたそうだ。

■どんどん意味が広がった


 、この単語はハングルの組み合わせではあり得ない、間違った意味のない言葉になる。韓国人でさえこれをどう読めばいいのか分からないが、笑い声のようだと答える人がほとんどだ。 はデジカメ情報サイトである、DCINSIDEのサイトから始まった新造語だ。このサイトにはユーザーが自分のデジカメで撮った画像を載せられる「ユーザーギャラリー」があるが、ここから  という単語が誕生した。あるユーザーが間違って  と打ったのを他のユーザー達も面白がって使い始め、瞬く間にネットの世界へ広まった。 の使い方は何か返事をしてあげるべきだけと特に言いたいことがない場合、「^^」ぐらいの意味で使われていたが、どんどん意味が広がり、ついにどんな時でも  としか言わなくなったユーザーが激増している。 文字入りのTシャツも大人気で、ワールドカップの赤いTシャツに「BE THE REDS」ではなく、 とプリントされたのをネットで売っている。 


 DCINSIDEのユーザーギャラリーは色々なカテゴリーに分けられていて、その中で一番人気なのが「猟奇」と「合成」だ。(猟奇という言葉は韓国では2000年以降、面白い、斬新、びっくり、という肯定的な意味で使われている。これもネットが生み出した現象。  は猟奇のような意味合いでも使われている。)合成写真はここに集められている。








 


デジカメに凝ったユーザーが普通の画像では満足できず、小便禁止と書いてハサミも描いてある面白い看板を撮ってみたり、自分でコスプレして撮ってみたり、女の人の銅像を抱いて幸せな顔をした演出写真を撮ってみたり、色んなことをやっているうちに合成写真の面白さに目が覚めてしまったのがここの猟奇コーナーの始まりだ。DCINSIDEは他の韓国のウェップサイトとは違い、とにかく写真が好きな人が集まるので、どんな画像を載せてもまじめにコメントしてくれることが多かった。写真に関心のある分、画像に関するあらゆるソフトウェア-を操れる人も多く、一人二人画像に手を加えどんどん新しいものを載せ反応を伺っているうち、猟奇な画像がどんどん増えてきた。


■あやふやな特徴


 ここで芸能人、政治家、映画のポスターに混じって登場回数が多いのが、SMAPのメンバーで韓国でも歌手デビューした「チョナンガン」だった。


 韓国の映画やスターウォーズのポスターにチョナンガンの顔を合成させたり、チョナンガン・ファミリーを作ったり、 達は愛情を込めてチョナンガンを登場させていた。何を言いたいのかよく分からない愛の歌を歌う、真っ赤な頬のやせた男、チョナンガン程韓国でいう猟奇の意味にぴったりな存在はない。 達が狂喜するのも無理はない。


 ポータルサイトDAUMの  特集でも、 のキーワードとしてチョナンガンを取り上げていた。少なくない歳、アイドル、赤いほっぺた、日本人、韓国を愛してる、このように似合わない組み合わせを全て揃えた、ビビンバッ(韓国の混ぜご飯)のようなチョナンガンから漂うあやふやなイメージ、男なのか女なのか、日本なのか韓国なのか、ボーダーラインのない奇妙な魅力が  達に楽しみを与えているのではないだろうか。


  の特徴もこのあやふやなところにある。前のPC通信世代とは違い論争を嫌う。意味のない  のような言葉で掲示板を埋め尽くし、それで終わる。何を意味するのか分からない単語をどんどん作り出す。だが政治や社会的問題にも興味がないわけではなく、合成写真で論評する。


  達がチョナンガンに好感を持つのは、日本の漫画を見て育ち、日本の電化製品も大好き、でも日本は韓国を植民地支配し悲しい歴史を残した国、どう接したらいいのか分からないとういう韓国の若い世代なら誰もが抱える悩みを、「サラウルへヨ~(愛をしてる)」と文法が合ってないような歌を歌いながら登場したチョナンガンほど、好き嫌い論争を飛び越え日本は日本、チョナンガンはチョナンガン、 は 、とあやふやにしてしまう存在もないからだと思う。


■どんどん広がるインターネット中毒の輪


 日本だと合成写真は名誉毀損、肖像権侵害にあたるとして絶対許さないだろう。だが韓国では、悪意のこもった明白な名誉毀損と判断しにくい合成写真がほとんどなので、取り締まる場合、韓国全土が熱くなるだろう。走る政府の上に飛ぶ「ネティズン」と言われている。P2P音楽ファイル共有サイト「ソリバダ」の閉鎖が決まった途端、猛烈な反対運動と共に、止めるどころか外国にサーバーのある他のP2Pサイトにそっくり移ってしまった。「情報の海」を法律で取り締まり、「ネティズン」を刺激するより徐々に有料化やコピー防止をするべきという意見と、取り締まらない限りなくならないという意見が激しくぶつかっている。


 インターネット中毒までいかなくても、ネット利用時間がどんどん増えるに連れ韓国の「ネティズン」、インターネットユーザーは新しいパワー集団として韓国はもちろん全世界を驚かせている。ハッキングではなく、何百万人ものネティズンが同時接続したり、抗議のメールを送ったりすることで意思を表す。インターネット文化を作り出し、支配する主体として、韓国のネティズンは誰一人例外ではないのだ。創造的で他人を楽しませる、絶対引き込まない愉快なインターネット中毒の輪はどんどん広がっている。  の次はどんな「廃人」達が出番を待っているのか、インターネットは奥が深い。






[関連サイト]
http://www.ahehheh.com/

DCINSIDE http://www.dcinside.co.kr/


ユーザーギャラリー http://www.dcinside.com/gallery/usergallery.htm マシマロ(うさぎ)の人形のあるメニューが猟奇、その下が合成。




by- 趙 章恩


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<韓国リポート>ブロードバンド先進国の悩み(上)-家庭でも会社でもインターネット中毒が問題 (過去記事)

韓国のIT業界は日本のモバイル市場を大変羨ましがる。韓国では携帯やモバイルのインターネットユーザーがなかなか伸びない。携帯では電話かそれより安いショートメッセージサービス(SMS)だけを使い、メールやインターネットはそこら中にある無料PCで済ましてしまうからだ。明洞から江南あたりまで人が集まるところには必ず、ハナロ通信やKT、移動通信会社やポータルサイトが運営するプロモーションセンターがあり、無料でインターネット検索はもちろん、映画、ゲーム等のコンテンツも楽しめる。空港から市内どこでも置いてある、モニター付きの公衆電話「IP電話」も10円で5分間、タッチパネルのモニターを利用しインターネットが使え、機種によってはプリンター機能もついており、この上なく便利だ。

■「PCがないといらいらする」が66%


 無線LAN付きのモバイルパソコンを持ち歩いたり、携帯等でわざわざ自分のお金を出してネットを使う必要がない。インターネットに関してはとことん太っ腹なのが、韓国だ。もちろん家庭でもPCとインターネット機能だけは惜しまない。


 韓国統計庁が7月末発表した「2002情報化実態」によると、2002年PC保有世帯比率は60.1%、2台以上保有世帯は5.2%だった。PC利用者は63.0%、前年比4.3%増加した。高速インターネット利用率も76.6%と前年比3倍以上跳ね上がった。だが、実際肌で感じる韓国のPC、高速インターネット利用率はこの程度ではない。子供のいるほとんどの家庭が子供用と親用に2台購入するし、もちろんADSL等の高速通信だ。サイバーアパートでなくても、電話1本で翌日には設置完了。迷う理由がない。会社でも、学校でも、家でも、道端でも気が付けば、だらだらとネットにつながりっぱなしの人が自然と多くなった。この手軽さが韓国の全世代をインターネット中毒に追い込んでいるのかも知れない。








 


三星電子が自社の消費者モニターである「PC品質評価団」を対象に調査した結果、1世帯平均2台のPCを保有し、4分の1以上が一日10時間以上PCを使用していると答えた。また57%がPCを長時間使用することで家族ともめたことがあると答え、63%がPCを使い始め体が弱くなった、66%がPCがないといらいらする、9%以上が自らPCやインターネット中毒と答えた。


 10時間以上も何をやっているのかといえば、10~20代の学生はネットワークゲーム、社会人はメッセンジャーでチャットをしたり、ファイルを交換したり、株の取引をしたり、正直に言って勉強や業務とはあまり関係ないことのためにPCやインターネットを使っているのが事実だ。


■ついに出た「メッセンジャー使用禁止令」


 韓国の企業は今まで社内でのプライベート用のメールやインターネット利用に寛大だった。IT企業では、インセンティブ制度やアイデア提案等を重視していたので、それがいつかは業務につながるだろうと見ていたからだ。でも今は「度を越えた」との意見が多い。IT企業の管理職ほとんどが、「社内インターネット利用の80%が業務と関係ないことに使われていると把握しているが、何度注意しても全く聞かないので、何らかの処置を取るしかない」と嘆いている。社員達がメッセンジャーで頻繁に映画等のファイル交換をやっていたせいでサーバーに負荷がかかり、問題になったという話しは、もうどこの会社も経験済みのトラブルだ。












 また面白いことに、オンラインショッピングモールは月曜日が一番忙しいという。インターパーク、ロッテ、三星の大手3社が発表した資料によると、全体の売上げの約四分の一が月曜に発生する。その理由を、週末デパートやディスカウントショップで実物を見て、月曜日自由にインターネットが使える会社で値段を比べネットで注文をするから、と業界は見ている。


 大手企業ではついに、業務と関係のない株取引やメッセンジャー、チャットを長時間利用した場合、その名簿を公開すると警告したり、「メッセンジャー使用禁止令」、「メール抜き打ち検査」、「模擬ハッキングで保安状態を検査」する等の手を使い始めた。インターネット利用者が増え、オンラインショッピングやコンテンツの有料利用者率も増えているが、それを全部会社で、勤務時間中にやっている人も増えているから困る。


 このような症状を起こさないため、子供の時からPCの使い方だけでまく、道具として上手く使う方法を教育させるべきとの意見も多い。そのせいかこの夏休みには、ソウル警察庁や心理相談室、マスコミが一体となり、小学生を対象とした「インターネット中毒予防&ネチケット教室」、中高校生を対象とした「インターネット中毒治療キャンプ」を開催している。


by- 趙 章恩


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著作権法違反をネタにした「謝罪金請求」が多発、告訴爆弾に歯止めをかけろ!

この頃、著作権保持者と法律事務所が手を結び、ブログやカフェ(同好会サイト)などに音楽ファイルを掲載したネットユーザーを手当たりしだい告訴している。有料で購入した音楽ファイルであっても、ブログのBGM用に販売されているファイル以外の音楽ファイルを添付したり、リンクしたりしていると告訴の対象になる。ちょっとしたことでもすぐ告訴されてしまうので、社会問題にまでなっている。

 作品を批評するため漫画の半ページ分を掲載したのに、ある法律事務所から著作権違反で告訴されたユーザーは、100万ウォンの謝罪金を払わないと告訴は取り下げられといわれ、漫画の作者に事情を説明して告訴を取り下げてもらったという。


 権利を委任されているとはいえ、このケースのように、作者ですらあっさり取り下げに合意するような著作権法違反告訴を法律事務所が実行しているのは、著作権法を守らせるためというより「謝罪金ビジネス」に過ぎないとの批判の声が上がっている。謝罪金をたくさん集めるほど法律事務所がもらえる手数料も増えるからだ。


 すでに、未成年に対する高額な「謝罪金」請求は看過できない状況だ。著作権とは直接の関係はないが、2009年1月には、オンラインゲームをしながらチャットで相手に悪口を言ったとして高校生が告訴された。悪口を言った相手のゲーマーが弁護士だったのだ。この弁護士は高校生を相手に罰金100万ウォン(約6万5000円)と謝罪金として2000万ウォン(約130万円)ほどを要求する損害賠償訴訟を起こした。高校生は裁判に出席した後、貧しい家計で苦労するお母さんに謝罪金まで払ってもらえないと悩んだ末に自殺した。


 2007年11月には著作権法違反で警察への出頭要求を受けた高校生が、貧しくて謝罪金を払えないと悩み、飛び降り自殺をした。


 チャットで人を中傷することは確かに「悪いこと」だし、著作権法を違反してもいいということではない。しかし、法を盾に、著作権法の過度な適用、そしてそれに基づく謝罪金請求によって、貧しい学生たちが自殺を選択するとは悲しいことである。あたかも、謝罪金ビジネスが未成年者を殺しているようにも捉えられる。

ポータルサイトの知識検索(ユーザー同士で質問と答えを書き込む検索)には小学生までも告訴され、保護者に謝罪金を払えと要求しているという。謝罪金の相場も小学生30万ウォン、中学生50万ウォン、高校生60万ウォン、大学生80万ウォン、社会人100万ウォンと決まっているほどで、著作権とは何か、どんなことをすると法律違反になるのかを説明するより、お金さえ払えば告訴しないという態度では、著作権を侵すような行為も見つかりさえしなければいいという認識を植えつけるのではないかという点も心配だ。


 一般市民が投稿するブロガーニュースには小学生の子供がP2Pでダウンロードした小説を他のP2Pサイトに載せてしまい、著作権法違反で出頭要求を受け取ったという主婦の体験記が投稿された。


 「警察から電話があり、ある法律事務所がうちの子供を著作権法違反で告訴したので、和解した方がいいのではないか言われた。告訴を取り下げてもらわないと子供が学校にも行けず警察で調査を受け、裁判所にも出席しないといけないという。警察は小学生なので謝罪金はないだろうと話していたが、法律事務所はうちの謝罪金は小学生であっても70万ウォンだと繰り返すばかり。子供が警察に裁判所に連れまわされ、一生忘れられない恐怖を感じるより謝罪金を払った方がマシだと思った。子供のためには何でもしてしまう親の立場を利用して謝罪金をかき集めている」と憤慨していた。


 警察のサイバー捜査隊の説明によると、著作権法違反で告訴されるネットユーザーのほとんどが未成年者だという。未成年者なので保護者に出頭要求書が届けられるが、子供を守るためほとんどのケースで親が30万~80万ウォンの謝罪金を払って和解する。未成年者に著作権法とは何かを教育し、再発を防止するより、警告もなく謝罪金さえ払えば罪がなくなるとする法律事務所のビジネスには問題があるのではないだろうか。


 著作権を担当する省庁の文化観光体育部と法務部は、著作権とは何かを解説するキャンペーン「Let’s Clean UP!」を開始し、違法ファイルを掲載できないようP2Pやポータルサイトに対する取り締まりも強化している。未成年者が著作権法を初めて違反した際には起訴する代わりに8時間関連教育を受けさせ処罰を免除する「教育条件付起訴猶予制度」を2008年8月にソウル地域に限定して導入。現在は、この制度を全国へ展開すべく、推進している。


 間違いだとは知らず、好きな漫画だから、好きな音楽だからみんなに教えてあげたいとファイルを載せる子供は少なからずいる。未成年者への無差別的な告訴を防止するためにも起訴猶予制は必要だ。


 ポータルサイト側も違法ファイルを摘発して削除するモニタリングを強化している。自主的に表現の自由は最大限保護し、一方でユーザーも自分がしていることに責任を持ってもらうため、「韓国インターネット自律政策機構」も設立した。


 未成年者だから著作権法を違反してもいいということではない。しかし無差別告訴は法律を利用したお金儲けに過ぎない。処罰よりは再発防止を目的にした著作権保護が望ましいのではないだろうか。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年3月6日

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090306/1012908/

韓国で全国軍中隊に有料PCバン設置(2006年6月26日 掲載)

PC5万台、サ1600台と最大規模


  


 


【ソウル】韓人男性なら必ず経験しなくてはならない兵期間中にも、社との絶がないよう全の中隊に有料のPCバン(インタネットカフェ)をオプンし、メルのやりとりや語各種資格証取得のためのeラニングが受けられるようになった。またポタルサイトDAUMに部隊別コミュニティもつくられ軍生活も公開される。


 有料PCバン事業は、防政策の先進兵文化改善作業として軍人共済会DACOMがそれぞれ事業者と基幹通信事業者に選定された。


 


 防部は軍PCバンである「サイバ知識情報バン」のため今年から2008年までに、3062か所にPCバンを設置し、PC5万1125台、サ 1600台を注する予定だ。PCバン事業は防部、育人的資源部など11の中央省が支援する軍の人的資源開発総合事業の一環として進められている。


 


 納品業者に選定されれば、市場シェアを一に高められることは間違いない。第1回目の納品として、PC4万台は02年に倒産した財閥系のデウ電子のモニタ事業部だった「デウルコムズ」が、サは「韓IBM」が選定された。1件の契約でこれだけの規模を納品するのは韓でも初めてのことだ。PCバンにはインタネット電話も1万3810台設置される。


 


 陸軍係者は「入隊兵士の96%以上がインタネット世代のため、入隊後経験する最も難しいのがまさに社との絶感」とし、「家族、友達と自由な意思疎通が可能なサイバ空間を公式につくるということに意味がある」と話している。


 


 防部は04年7月、75の部隊でPCバンを実験した結果、ネットを短い時間でも利用できるだけで新兵たちの部隊生活適の助けになり、休暇中の兵にも告知事項を提供できるため、指揮官を中心にした意思疎通も活になっていることが明らかになった。


 


 しかし、PCバン事業は運用予算が過多になることや設置環境などの問題により、05年3月から事業を防部から民間主導の民間資本投資事業に換した。インタネット網とPC部門は昨年9月に1600億ウォン規模の民間投資方式に代え、事業施行者が施設設置後10年間、運管理しながら資金を回する方式だ。電施設と電代、インタネット回線料金は防部が負担するが、民間事業者の益のため軍のPCバンは無料から有料にわったことが問題となっている。


 


 防部はこのほかにも情報通信部と協力し、RFID、テレマティックス、遠隔診療、知能型ロボットなどを導入する計で、08年まで家通信網高度化のために4000億ウォン、11年までに24のIT力課題推進のため8000億ウォンの予算を執行すると表した。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2006年6月26日 vol.1143 載]  Link


 


 

韓国 Windows98サポート中止で、国家がユーザー保護を担う(2006年6月26日 掲載)


XPのアップグレ動も


 


 


 


【ソウル】マイクロソフト(MS)は今年7月から、Windows98のセキュリティパッチを含むすべてのサポトをすると表した(5月18日Vol.1136で報)。この措置を受けて韓では、家情報院の家サイバ安全センタNCSC)がユ保護のためその役割を担することになった。


 


 NCSCは今年5月に「Windows98セキュリティガイドライン」を表したのにき、6月14日からはWindows98用のセキュリティ脆弱点自動点ル「Win98 PC checker」をネット上で配布している。


 


 このプログラムはパソコン初心者でも簡に活用できるよう項目ごとにセキュリティ設定方法を明したセキュリティガイドラインが含まれている。またWindows98の21の脆弱項目を自動点し、9つの重要脆弱点は自動削除する。


 


 NCSC側はWindows98ユに自分のPC環境を安全に守るためには今回配布された「Win98 PC checker」でセキュリティ設定をもう一度確認し、セキュリティ脆弱点を確かめなければならないと注意している。


 


 MSがテクニカルサポトを中する製品はWindows98、98SE、Meの3種。中に伴い、新しいコンピュタウイルスからOSを守るために供給されるセキュリティパッチサビスもこれ以上提供されなくなってしまう。


 


 NCSCによると韓のパソコンの20%以上(約350万台)がWindows98を使っているため、7月1日からサポトが中されるとハッキングやウイルス感染などサイバテロの被害が後を絶たないのではないかと懸念する。


 


 もちろんWindowsXPやリナックスのような他のOSを使えばいい。しかし韓の政府機MS依存度が高く、Windows98に限らずWindowsの他のバジョンについてもサポトが中されるようなことがあれば、家的なぎになることは間違いない。


 


 MSはさらにWindowsXPのSP1も10月からサポトを中すると表、SP2へのアップグレ動も起きている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2006年6月26日 vol.1143 載]  Link 


 

第14回:念願の悪役に初挑戦! 不精髭が超セクシーなピ(RAIN)が帰ってきた







第14回
念願の悪役に初挑戦!

不精髭が超セクシーなピ(RAIN)が帰ってきた

2005年11月9日


●待望のピ(Rain)新作ドラマ『このろくでなしの愛』







製作発表会、左からピ、シン・ミンア、キム・サラン、イ・ギウ
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
 「いつか、本当にどうしようもない悪役に挑戦してみたかった!」
 「演技するときはピはほかのところに埋めてきます。ピとチョン・ジフンは別人です。歌手としては歌とダンスを研究し、俳優としてはこの役柄にすっかりはまり、この人の人生を歩めるだろうか悩みます。歌とダンスは学べるけど、感情と表現力は学べないからすごく大変です」
(10月27日、製作発表会でピ語る)

 「フルハウス」から約1年、ピ(RAIN)が帰ってきた! でも今回はピとしてではなく、チョン・ジフン(本名)として「今まではどうすればよりカッコよく見えるだろうか自分のイメージを優先してきたが、このドラマでは自分が感じるとおり演技したい」、「いつか本当にどうしようもない悪役に挑戦してみたかった!」と製作発表会でもノリノリだった。

 『このろくでなしの愛』は、2004年に独特の感性がこもったセリフでソ・ジソプを不滅のスターに伸し上げたKBSドラマ『ごめん、愛してる』のイ・ギョンヒ作家とピの組合せというだけで、韓国ではこの夏から「一体どういうドラマなんだ!」と注目されてきた。

●鍛え上げた体で格闘家に挑戦







格闘技試合場面でのピ
(c)KBS
 ピが演じる主人公カン・ボックはかなりの実力を持つ格闘技の選手だが、わざと一度もチャンピオンにならなかった。チャンピオンになると煩わしい、という理由で。

 兄ミング(キム・ヨンジェ)と二人で孤児院で育てられ悪名高い不良少年だった17歳、喧嘩の末倉庫が火事となり、ボックを片思いし続けたハン・ミンジョン(キム・サラン)に助けられる。しかし、彼女は頬と背中にやけどを負い、兄ミングは弟をかばって少年院行きとなる。

 ……それから10年後、ボックは責任を取るために、少しも愛情を感じたことのないミンジョンと同居している。ミンジョンはボックのためなら何でもするタイプで、お金をいっぱい稼いで、整形手術してやけどの痕をなくし、ボックのきれいな奥さんになるのが夢。

 一方有名な女優チャ・ウンソク(シン・ミンア)は路上キャスティングで抜擢されたスターで、家族はみんな彼女の収入だけで豪華な暮らしをしている。父は義理母に操られ、息子のようにかわいがっていたミングに金を渡し、もうウンソクと縁を切ってほしいと言う。

 ウンソクは、5年も付き合ったミングと突然連絡が取れなくなっても彼を想い続けている。しかし、完璧なエリートで財閥2世のキム・ジュンソン(イ・ギウ)とひょんなことでスキャンダルとなり、ジュンソンの父は戦略的に婚約発表をする。でもウンソクは「自分にはミングがいるから婚約はできない」ときっぱり宣言。ますます、ジュンソンはウンソクに勝負欲を燃やすといういつものパターン。


視聴!<プラハの恋人>

 『このろくでなしの愛(原題:イジュギルノメサラン)』(KBS2、毎週月・火夜9時55分から・10月31日放映スタート)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。
 KBSのインターネットでの視聴方法について詳しくは
第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。


●復讐心が愛に…、そして五角関係!?







ボディーガードになったピ
(c)KBS
 少年院に入ってから連絡が取れなくなった兄ミングと、ボックは10年ぶりに再会するが、その日、兄は屋上から墜落し昏睡状態になってしまう。ミングは屋上から、電光板に流れるウンソクの結婚発表ニュースを見て、何かにとりつかれたように足を踏み出し落ちてしまったのだ。

 兄の家を訪ねたボックはウンソクの存在を知り、彼女のせいで兄が自殺を図ったと思い込み、復讐を誓う。ボックはジュンソンがウンソクにボディーガードを付けたがっていることを知り、テストに合格する。一歩一歩ウンソクへ近づき復讐のチャンスを狙うボックだが、徐々にウンソクの純粋な心に惹かれ、ジュンソンも同じようにいつの間にかウンソクを愛する自分に気づく。

●パズルのようなストーリー展開に目が離せない

 三角関係でもなくボック、ミング、ウンソク、ミンジョン、ジュンソン5人の五角関係と復讐がメインストーリだけど、そう単純なドラマではない。映像やストーリーの流れがパズルのようになっていて、これが1話でも見ないと何のことかさっぱりわからなくしまうのだ。

 1話は兄が屋上から落ちるシーンで終わったのに、2話では時間をさかのぼりボックと兄が再会する場面から始まるし、『ごめん、愛してる』のような映像美をかなり追求しているっぽい。それに強烈なキスシーンだけが先に朝の主婦番組で紹介され、今そのシーンが今週3話か4話目で登場するらしい、という情報からみんな身を悶えて放映時間を待っている。もう、私もネットで探して観ました。ウンソク役のシン・ミア、演技とはいえ羨ましい……。

 ピは格闘技選手という設定のため、元々すごい筋肉質なのにさらに毎日6時間以上もトレーニングし、キックボクシング、ボクシング、剣道も練習していたそう。「僕は力運動には強いんですよ。すもう、腕相撲、柔道、合気道とか。ドラマのために毎日朝晩縄跳び500回、二重飛び2,000回、アクションスクール6時間。泡を吹くほど大変でしたが、編集された映像をみるとやりがいがありますね」 と製作発表会でも嬉しそうに話していた。体重も7kg落とした。朝食は鶏の胸肉、夕食はさんまだったそう。

●カッコいい場面の連続でピの虜に!







韓国ではピの不精髭がカッコいいと大騒ぎ
(c)KBS
 ボディガードとしてカッコいい場面連続のようなので、ちょっと心の準備をしてからでないと心臓が危ないかもしれない。ドキッ!グサッ!とピの虜になってしまいますよ。

 ピは今アジアでもっとも注目されている歌手で、日本でも待望の初シングル「Sad Tango」が来年1月25日に発売される予定だ。ピの初めての日本語シングルであり、ドラマ撮影の合間に録音とミュージックビデオの収録を終えた。12月7日にはピのヒット曲だけを集めたベストアルバム「EARLY WORKS」が日本で発売される。武道館コンサートに続いて12月29日は台湾のスーパードームで「Rainy Day-Taipei」コンサートが開かれる。

 10月30日、KBSで放映された「KBSスペシャルー密着取材ピ、アジアを越えて」もすごい反響があった。無名ダンサーからスターになるまでの汗と涙、「努力した分必ず結果がある」と信じるその姿勢が共感を呼び、「社員の精神教育用に」と放送資料の購入問合せが殺到したそう。ちょうど翌31日から『このろくでなしの愛』が放映されたため、「ドキュメンタリー仕立てのドラマ宣伝」と批判する声もあったが、「それにしてもピはすごい、この子は世界のスターになるよ」とおじ様達まで応援し始めている。

 「フルハウス」のアジア平均視聴率は50%、3作目のこのドラマもアジア全域で大ヒットするといいね!

※注) KBSスペシャルのピ放映分は残念ながら著作権の関係でVOD再放送をしていない。

By-
RBB TODAY : 趙章恩の現地直送「韓ドラ事情」 Link

大統領の一言で着手?韓国版ニンテンドーDS Liteを作れ!

2008年末から韓国のIT業界では「韓国版ニンテンドーDS Lite」が台風の目になっている。大統領が非常経済対策会議で「オンラインゲームは韓国がうまくやっているが、ソフトウエアやハードウエアが一緒に開発されたクリエイティブな製品はソニー、ニンテンドーが先を走っているのが現実だ。

 ニンテンドーのゲーム機を小学生達がよく持っているが、我々は何でこういうのを開発できないのか」と話したことをきっかけに、韓国のゲーム、ソフトウエアをはじめ、IT業界が早速「ゲーム機開発」を目標に大騒ぎしている。ブロガーも巻き込んで「この際にオンラインゲームばかり開発しないでゲーム機にも力を入れてみてはどうか」という意見と、「韓国にニンテンドーDS Liteなんて作れるはずがない」という意見がぶつかり論争を巻き起こしている。


 ニンテンドーDS Liteは2007年1月から韓国で正式に販売され、オンラインゲーム一色の韓国で200万台以上も売れた。韓国ではこの不景気の中、ゲーム機が好調で記録的な売上を達成したニンテンドーを見習えと、マスコミも政府も熱心に取材し、ニンテンドーの関係者を招いて講演会を開いたりもしている。


 しかし、韓国の悪いくせは結果しか目に入らないこと。ニンテンドーがどうやってゲーム機を販売するようになったのか、DS Liteがヒットするまでどれだけ苦労したのかといった話には興味がない。韓国の企業だってニンテンドーのように売れるゲーム機を作れるはずという過剰な自信ばかり渦巻いている。

韓国のゲーム企業だってニンテンドーのように成功したい。でもなかなかできない。ゲーム機より大事なのはゲームソフトだからだ。韓国は日本より違法コピーの取り締まりに甘いし、ソフトウエア業界の給与水準は安すぎる。売れるゲームソフトの裏には漫画やアニメやキャラクターといった色んなコンテンツとそれを楽しむ文化、生活環境などが混ざり合っている。韓国のように表現の自由もなく、漫画・アニメ・ゲームは子供の敵と考える国で、アジアでヒットしたオンラインゲームが生まれたことだけでも奇跡に近い。ニンテンドーDS Liteのような世界で売れるゲーム機は作れるかもしれないが、売れるソフトを作るのは大変なことだ。そこへ大統領の「何で日本にはできて韓国にはできないの?」という発言は、IT業界を苛立たせた。


 韓国政府は「韓国版ニンテンドーDS Lite」を作るための支援策をいくつか発表した。しかし韓国の問題は政府の支援が多すぎることかもしれない。ソフトやコンテンツをじっくり時間をかけて作り上げる会社は少なく、政府からお金がもらえそうなコンテンツばかり手を出し、支援が切れると廃業してしまう会社が目立つということが「韓国版ニンテンドーDS Lite」が生まれない原因ではないだろうか。


 今回もご多分に漏れず、大統領の発言に対して、韓国のゲーム業界は「政府の支援がないからゲーム機が作れない」と反発した。おかしな話だ。日本のニンテンドーは日本の政府が支援したから成長したわけではない。なのに韓国のIT業界は新しいことをやるとなるとすぐ「政府の支援がないからできない」、「政府が投資してくれないから困る」と騒ぎ出す。自分の力でできることをこつこつやるという計画を持っている企業ならば、大統領の一言に過敏に反応して怒ったり、忠誠を示すために無理なことに手を出したりもしないだろう。


 今回の騒動で気になったのは、韓国版ニンテンドーDS Liteを開発できる技術力のあるなしではなく、韓国企業の意気込みというか、情熱と信念を持って自分の力で突き進む企業は本当に少ないということ。今のところまだ競争力のあるオンラインゲームでさえ中国や台湾の追跡で危ないというのに、「韓国版ニンテンドーDS Lite」に気をとられてどっちも逃してしまわないといいのだが。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年2月25日

-Original column

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090225/1012592/