韓国ドラマにCMへのつなぎ画面がない理由 [2007年1月23日]

 2005年12月から始まった 韓国のワンセグ「地上波DMB」。2006年はDMBの年といえるほど、DMB受信に対応した携帯電話がよく売れた。2006年末現在、地上波DMB端末の出荷台数は282万6000台、衛星DMB端末(日本のモバイル放送)の出荷台数も101万8000台を突破し、2007年には1000万人以上がDMBを視聴する見込みだ。


テレビ広告は公社が大枠を決定


 首都圏限定だった地上波DMBは2007年3月からは公営放送のKBSが、6月からは民放やその他事業者が全国放送を始める。これまで、地上波DMBはTVと同じく端末や受信機さえ購入すれば無料で見られる放送だというほかに、移動しながら利用したくなるこれといった目玉コンテンツもないまま、収益性で苦戦していた。それが、全国放送をきっかけに有料データ放送開始、中間広告導入に向けて政府情報通信部と放送委員会(放送事業に関する規制を管理する事業者団体)での話し合いが本格化している。


 日本のTV広告は広告代理店の影響が強いが、韓国のTV広告は韓国放送広告公社という政府機関が審議をし、広告の種類や単価、流せる時間もきっちり決めているので代理店のパワーはそれほど強くない。地上波DMBの広告単価は端末500万台普及を基準にTV広告の10分の1に当たる15秒当たり24万ウォンが基本だが、現在はその半分しか普及していないので12万ウォン、15秒約16,000円とかなり安い。事業者側はまだまだ投資が必要なだけに中間広告を開始して収益を上げたがっている。


 中間広告とは番組の合間に15分ごとに流れる広告のこと。韓国では1974年から放送法で広告は番組の前後にだけ許され番組の間に入るのは禁じられている。


 2000年3月改定された放送法では、TVの広告時間は全放送時間の10%以内、60~90分未満の番組は1回、90~120分未満の番組は2回、120分以上の番組は3回以内、1回当たり1分以内4件の広告までとなっている。ドラマの途中に広告が入らないので集中して見られるし、ネットで有料VOD再放送販売する際にも広告をカットするかどうかの問題はなく、ネット専用の広告をVODが始まる前に入れるだけで済むというメリットはあるがTV局の収益には問題がある。


広告に頼れないテレビ局のあの手この手


 中間広告を禁止した理由は「視聴者の見る権利を侵害する」、「広告が始まるとどうせチャンネルを変えるから意味がない」など。でも広告収入がすべてのTV局にとっては厳しい規制だ。その影響で制作費にお金をかけられなくなったTV局は製作会社に費用を転嫁し、製作会社は PPL(Product Placement、間接広告)広告としてスポンサー企業の商品をそれとなく映したり、番組の最後に「制作協賛000社」と字幕を入れたりしている。PPLのため主人公の名前をスポンサー企業名にすることもあった。


 例えば建設会社のテヨンがスポンサーだからと主人公の名前をテヨンにしたドラマもあった。ドラマの70%以上を撮影する条件でロケ地となった地域の自治体から数億ウォンの制作費を出してもらうこともある。韓流の影響でドラマのロケ地観光で収益を上げられるから、自治体はどこもロケ地に選んでもらおうと必死になっている。


 でも韓国ではドラマや番組の中に特定商品のラベルが映るのも禁じられている。ほとんどのドラマが無謀なまでのPPLのせいでプロデューサーが謹慎処分になったり、謝罪放送を余儀なくされたりしている。まだ一度も適用された事例はないが、放送委員会はTV局に営業停止や課徴金を付加することもできる。


韓国版ワンセグが番組中間広告解禁の糸口に?


 政府は2006年12月「サービス産業の競争力強化総合対策」を発表し、TV広告規制合理化方案として地上派DMBでは中間広告を許容するべきと提案した。全体の広告時間は規制しても広告をどの時間にどれぐらい流すのかはTV局の自由に任すべきという広告業界の要求を受け入れそうな雰囲気だ。


 でもケーブルTVは「今でも地上波TVにばかり広告が集中しているのに、規制を緩和するとTVには広告があふれケーブルTVは広告の受注がますます難しくなる」と猛反発している。また、韓国の地上波DMBでは、サイマルでTVの画像がそのまま流れている。今後、中間広告を地上波放送では禁止し、DMBでだけ許すとなると、どうやって番組の時間編成を調整するのかという問題もある。いや、ひょっとしたらこの先、地上波への中間広告規制撤廃もありうるかもしれない。


 日本では当たり前の中間広告。安定的なサービスを実現するためには中間広告が必要という業界側の意見は理解できるが、視聴者の立場からすると広告が増えるのはあまり嬉しくない。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070122/259270/

<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>25.今回のテーマ■アナログ停波(下)

地デジが抱える大問題


放送局が危ない!?


 


 


 2012年末をもって、韓ではアナログ放送から地上デジタル放送に切り替わるという日程が組まれている。だが、地デジをよく知らない民が多く、大混が起きる恐れがあることを前で報じた。



 しかし問題は視
者よりも放送局なのだというもある。放送局側の地デジ対応が予算の問題で予定通り進んでいないからだ。


 


 韓政府は地デジの環境に合わせたデジタル放送コンテンツの制作と流通を振興するための「デジタル放送コンテンツ振興法」制定の準備を急いでいる。放送コンテンツ振興委員を結成し、財源は放送展基金、情報化促進基金、政府予算などでまかなう計だ。


 


 放送通信委員の調査によると、放送局4社のデジタル換費用は1兆7000億ウォン(約1160億円)と見まれている。放送局はインタネットに視者を奪われ、入が減っていることからすでに赤字経営っているため、地デジへの投資まで手が回らないと主張している。公放送であるKBSは、アナログの難視問題すらまだ解決できていない。添付画像


 


 なんとか特別法の勢いで地デジブムをき起こしたい放送通信委員は、KBSの受信料を値上げする一方、政府がコントロルしていたテレビCMを全面的に自由化して、CM業や流せる時間などの規制を緩和することで地デジ連予算を確保できるようにする方針である。とはいえ、不況でテレビCMが減ったというのは、視者の生活に余裕がなくなってきたということでもある。地デジのためとはいえ、視料値上げなど反されるに決まっている。た方策は、CMの規制緩和だろうか。


 


 アナログ放送が中される2012年は韓の大統領選の年、そしてロンドンオリンピック開催の年でもある。オリンピック特需も考えられるが、2008年秋から世界を襲っている金融不安や不況がどれほどくかも影響するだろう。韓は放送の史が長く、韓より1年半ほど前にアナログ放送を中する日本に注目している。日本を手本にして、よりスムズに地デジへ換したいと思っているのだが、聞こえてくるのは「地デジ詐欺」。困ったものだ。韓には「紙一枚も二人で持てばなおい」ということわざがある。日韓で一に知を絞ればうまくいくかもしれない。

(趙
章恩●取材/文)


 


 BCN This Week 2009年1月5日 vol.1266 載] Link 


 

韓国のIT輸出事情 黒字だが円安の影響深刻(2007年2月19日 掲載)

1月の輸出は98.4億ドルに


 




【ソウル】情報通信部の表によると円安ウォン高、季節的な要因にもかかわらず、1月の韓IT輸出は前年同月比11.6%加し98.4億ドルを記した。IT輸出加率が2ケタ成長したのは4か月ぶりのこと。特にIT支は47.8億ドル字で、全産業の2.1億ドルを大幅に上回っている。


 


 IT輸出を品目別でみるとWindows Vista発売の影響から半導体とパネルがけん引した。半導体のなかではメモリが好調で、全体では31.4%アップの36.2億ドルとなった。パネルは大型LCDTV用とモニタ用を中心に16.8%13.7億ドルとなった。


 


 特に携電話と連部品は2.1%22.1億ドルと4か月ぶりにマイナス成長から立ち直り、前月比では27%も加しているため、今後の輸出回復にする期待も高まっている。


 


 輸出地域別には、景好調の影響から15.1%36.6億ドル、33.2%36.6億ドルを記した。州連合と日輸出は小幅のマイナスで、それぞれ4.0%減の15.2億ドルと7.8%減の7.0億ドルとなった。


 


 韓2007年IT輸出は、ウォン高のうえに主な輸出製品の格下落から、あまり期待できないともいわれているが、情報通信部は「Vista果から半導体と大型モニタ3G携電話、デジタルTVとパネルの輸出大でマイナスにはならない」と展望している。


 


 だが問題がないわけではない。貿易字が1年ぶりに最低値となったことと、ウォン高の影響から格競力をなくした携電話と家電の輸出はそれぞれ7.8%、9.5%減少していることだ。また米、日といった巨大市場への輸出がどんどん減っているのも韓経済しくしている。


 


 円安の影響で、輸出すればするほど損をする企業がえている。一方では円安を背景に日本からの輸入がえ、日本へ向かう韓光客のは倍しているため、日貿易赤字は06年には史上最高額を記した。


 


 韓は自動車、家電など日本と世界市場で競する製品も多いので、このまま円安がけば韓製品の格のほうが高くなってしまい、居場所がなくなるのではないかと懸念されている。韓政府が円安ウォン高に関与する動きはなく、今年もこの況はくのではないかと予想されている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2007年2月19日 vol.1175 載] Link


 

韓国IPTV 省庁間の縄張り争いで商用化空振り(2007年2月12日 掲載)

テストサビスの繰り返しで予算食う




 


【ソウル】情報通信部と放送委員1月31日、第4次IPTV共同推進協議を開催し、IPTVテストサビスの結果、技術的な問題はないので早期に商用化することで合意した。



 IPTVテストサ
ビスは昨年11月から2か月間、Cキュブコンソシアム(KT)、DAUMコンソシアム(Daumコミュニケション)の2つのコンソシアムが施し、放送委員と情報通信部からの予算を含め273億ウォン(約35億円)が投入された。


 


 Cキュブコンソシアムはソウルと郊外の239世象にTバンキング、Tコマス、VODといったインタラクティブなサビスをTVでサビスした。KTのほかに地上波4社とSKテレコム、ハナロテレコム、CNNなど52社が加し、事業費だけで240億ウォンを投入した。


 


 DAUMコンソシアムはポタルサイトのDAUMが中心となり、TV局のKBSや中小企業など10社が加した。33億ウォンの事業費をかけてソウル江南100世象にオンラインポタル、ゲム、VODサビスを提供した。


 


 テストサビスの結果、ネットワク、サビスプラットホム、セットトップボックス、電子プログラムガイド、セキュリティなど技術的な面では商用化に向け大きな問題はないことが確認された。


 


 テストサビスに加したユ71%が、いつでも見たい時に見たい番組が選べるのでIPTVを利用したいと回答、47%は質に足と答えた。また、放送委員が「IPTVはケブルTVと同じなので放送委員が規制するべき」と主張しているのとは異なり、ユ72%はIPTVは地上波やケブルTVとは違うサビスと捉えていることがわかった。


 


 しかし、テストサビスが無事終了したにもかかわらず、いまだにIPTVの商用化のめどはたっていない。


 


 情報通信部は商用化を早期に開始するため放送法を緩和し、IPTVのための法制度を整備すると表したが、具体的な計表はれている。IPTVの商用化には同意しながらも省間の張り問題が解決しないため、商用化の予定もれている。


 


 国会が中心となるIPTV特別委員1月から活動を始める予定だったが、12月の大統領選を前に議員らの離党が相次ぎ、誰を委員にするかさえも決まらない況がいている。


 


 IPTVに最も力を入れているKTは「IT大であるはずの韓が、技術は持っているのに政府の問題で世界にれてIPTVを始めなければならないとは恥ずかしい」と主張し、ついに法律や政府の意思に係なくIPTVの商用サビスを始めると表するにまでに至った。


 


 KTやDAUMのほかにポタルのNaverやLGパワコムもIPTVに進出する計を立てていることもあり、KTとしてはこれまでに投資した費用の回のためにも、市場占という意味でもこれ以上待てない況だ。


 


 韓IPTVの商用化は大統領選の後、つまり2008年に商用化されるというもあり、IT業界はを揉んでいる。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年2月12日 vol.1174 載] Link 


 


 

韓国が頼れるのはサムスン電子より日本人観光客?

年末になると、恒例の授賞式が始まる。映画祭や歌番組だけでなく、政府が企業を慰労するための授賞式も数多く行われる。輸出をたくさんしたり、新技術、世界ナンバーワンと評価される技術を開発したりした企業、企業人を表彰している。

 今年の輸出塔賞(輸出を多くした企業に与えられる)はサムスン電子だった。サムスン電子は2008年543億ドルを輸出して、韓国史上初めて「500億ドル輸出塔」を受賞した。韓国の3大輸出品目である半導体、液晶パネル、携帯電話は全てサムスン電子が得意とする分野である。サムスン電子は液晶TVを目標通り年間2000万台売り、携帯電話も2008年8月まで、しかも北米市場だけで1060万台を売ってシェア22.4%と1位を占めた。北米でのシェアはこの2年で2倍に跳ね上がっている。新興市場でも売れ行きは悪くない。


 韓国政府が選定した「2008大韓民国10大新技術」の大賞である大統領賞にもサムスン電子が選ばれた。サムスン電子が世界で初めて開発した超節電1GB DDR2 SDRAMは、商用化されたDRAM分野では初めて50nm(ナノメーター) 工程時代を切り開いた省エネ・エコ製品として2008年上半期より量産化、今後世界のメモリー半導体市場をリードするだろうと評価されている。回路の幅を50nmにしたことで、半導体そのものは小さく、容量は大きくできた。既存製品に比べ電力は50%少なく、生産単価は15%安くなった。


 サムスン電子は半導体DRAMとFLASHメモリー分野で世界1位のシェアを占めている。世界半導体市場全体ではインテルに続いての2位である。80年代になって半導体に投資するようになってから、サムスン電子は家電やLCD、携帯電話でも最先端の製品を次々に発売し、最先端企業というブランドイメージを築けた。HPやDellといった世界のパソコンメーカーの製品にもサムスンのDRAMが入っているため、サムスンの半導体輸出は2002年10兆ウォン規模から17兆5000億ウォン規模に成長している。輸出も新技術もサムスン電子だけに頼りすぎているのではないかとちょっと心配になってくる。


 輸出依存度70%という韓国経済であるだけに、世界的不況の影響はどこよりも大きい。輸出は2008年11月に、7年ぶりに最大の落ち込みを見せた。貿易収支も11年ぶりの赤字となった。半導体も携帯電話も2009年はもっと落ち込みが激しくなると予想されている。


 年間輸出規模は4400億ドルで2007年より18.4%増加したにも関わらず、輸入が25.3%増加した4469億ドルを記録したため赤字となった。輸出の原因は原油価格の急騰と輸出に合わせて部品の輸入も増えたからだ。韓国の根本的な問題はIT製品の輸出は増えても基本的な部品は輸入に依存していることだ。対日貿易赤字は300億ドルを突破している。韓国が輸出をがんばればがんばるほど、日本の企業は何もしなくても売り上げがぐんぐん伸びるというわけ。


 唯一希望的なのは新興国への輸出が25.7%増加していること。原油を握り資金が潤っている中近東への輸出も順調に増加している。欧米や中国向け輸出が減った分を新興国でカバーしないと韓国経済は底なしに落ち込むしかない。


 輸出は減っても少し期待してしまうのは観光。ウォン安円高から、韓国で買うと何でも半額違い割引効果があるのだ。日本のビジネスホテルに泊まる値段で高級ホテルに泊まれるし、免税店やショッピングセンターでは年末のセールまでしているのでさらに安い。ソウル市内はショッピングに来た日本人観光客のおかげで大賑わいを見せている。


 ソウルの地元セレブが集まる江南地域はクリスマスキャロルすら流れなくなったというほど落ち込みを見せているのに、観光客に知名度の高い明洞はすごいことになっている。就職難が続く中でも、日本語が話せる店員急募のお店は増えている。ホテルの稼働率も90~100%と嬉しい悲鳴をあげている。本当にありがたいことである。2009年は輸出でサムスンに頼れなくなったら日本人観光客に頼ってみる?


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年12月24日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20081224/1010778/

10年で1万倍に成長・韓国オンラインショッピングモールを支える消費 [2007年2月13日]

韓国も日本と同じくお正月にはお歳暮を、秋夕(チュソク、お盆)にはお中元を贈り合う習慣がある。日本のように徹底してあちこちに送るわけではなく、取引先、上司、両親や親類に感謝の気持ちを込めてプレゼントするという意味を持つので、本当に色んなものが売れている。

デパートでは試着だけ、買うのはオンライン


 家族への贈り物は衣類や肌着が多い。社会人になって初めての給料日には家族に肌着や下着をプレゼント、お正月とお盆には「ソルビム」、「チュソクビム」といって新しく洋服を新調してもらう慣習がある。


 昔は母の手作り韓服がプレゼントの定番だったのだが、時代の変化と共に、年に2回、親に思い切って高いブランド服をおねだりできるチャンスと勘違いされるようになってきてしまった。この時期はデパートのセールと冬休みが重なり、普段は滅多に親とショッピングなんてしない子供達がお母さんと仲良く腕を組んでデパートやショッピングセンターに出かける。


 お正月の後はお年玉を使う小中高校生を目当てに新製品が登場するので1年のうちに最も消費が活発になる時期でもある。だがここ数年、子供達も賢くなったというかデパートでは試着するだけ、購入するのはオンラインショッピングモールというパターンが増えてきた。同じブランドの同じ洋服でもデパート直営や大手ショッピングモールで購入すれば割引もしてくれるし、ポイントも貯まる。


 統計庁の発表によると、2006年韓国のオンラインショッピングモール全体で最も売れたのは衣類・ファッション商品だ。2006年市場規模13兆 4600億ウォンの17.6%を占めた。続いて旅行・予約サービス、家電・通信機器、生活用品・自動車用品の順でネットで売れている。


「地場もの」もネットで直販


 お歳暮に人気なのはやはり韓国らしく「韓牛カルビセット」や「グルビ(イシモチ、韓国では高級魚)セット」、「アワビ」、「高麗人参」、「韓菓(伝統菓子で穀物を蜂蜜で練って揚げたりする、色んな種類があり高価)、お手頃な「オリーブオイルセット」、「タオルセット」、「靴下セット」、「石鹸セット」も人気が高い。狂牛病や重金属、農薬問題から日本以上に韓国も自国の農水産物の方が好まれていて値段も2倍ほど高い。それでもお歳暮にはやっぱり信頼できる韓国産のものを、ということで自治体が運営するオンラインショッピングを利用するユーザーが増えてきた。


 2002年自治体のオンラインショッピングモール「インターネット江原マート」をオープンした江原道(ガンウォンド、道は日本でいう県にあたる)はドラマ「冬ソナ」を始め数々の名作のロケ地があるとして日本でも有名だが、韓国ではきれいな海と険しい山間地域なので水産物や高冷地野菜が有名だ。江原マートは2003年売上が3600万ウォン(約460万円)しかなく、このまま続けるべきなのかという議論もあったが、2004年4億7千万ウォン(約 6000万円)、2005年7億ウォン(約9000万円)、2006年12億ウォン(約1億6000万円)とぐんぐん成長している。今年は17億ウォン(約2億2000万円)が目標だ。


 行政自治部(日本の総務省に近い中央省庁)は2001年からITを活用した未来農漁村発展モデルを適用し国家の均等な発展を促進するため全国 306の村を「情報化村」に指定し、インターネットで農産物を販売したり、民宿の予約を受け付けたりできるよう地域の情報化を支援している。村に会館も建て高速ネットが使えるパソコンも十数台設置し、住民は誰でも使えるようにしている。この情報化村の内97の村人が生産したものを販売するショッピングモールが「インビル」だ。


 ショッピングサイトは中央協議会という名前の社団法人が運営しているが、いかにも自治体がやってますという素人っぽさというか田舎っぽいところは全くない。デザインも見やすく商品も2000種類以上、7日以内であれば返品も可能だ。購入金額に応じて10%引きしてくれる割引クーポンも付く。


 1996年に韓国にオンラインショッピングモールが初めて登場してから10年間、市場規模は1万倍にまで成長した。2006年には13兆4600 億ウォンの市場規模が、3年後の2009年には20兆ウォンに上る見込みだ。2006年末時点で登録されているオンラインショッピングモールの数は 4531社にのぼる。


 既に韓国では町の商店街が没落している。その一方でオンラインショッピングの小売り流通シェアは2000年2%から2005年15%に急成長し、大型ディスカウントショップ、デパートに続いてオンラインショッピングが3強体制の一角に陣取っている。オンラインショッピングモールは価格競争力、購入の利便性からユーザーが増え続け、2008年には小売流通シェア1位になるのではと予測されているほどだ。


 オンラインショッピングが日常になるにつれ、お年玉やプレゼントにオンラインショッピングやオンラインゲームサイトで使えるサイバーマネーにもなる図書券をプレゼントすることが増えているが、企業もボーナスにサイバーマネーを利用している。現代自動車は去年の秋夕に続いて今年のお正月も、ボーナスに追加して自社オンラインショッピングモールで使えるサイバーマネー15万ウォン分を支給し話題になっている。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070213/261783/?P=2

Vista登場でも苦戦の韓国パソコン市場で、売れ始めた意外なもの [2007年2月6日]

1月31日、ついにVistaが発売されたが、Vistaがどうのこうのと盛り上がったのは当日ぐらい。マイクロソフトは人気アナウンサーの司会に、人気プロゲーマーまで招待したVista発表会を盛大に開催したが、その現場ですらVistaにアップグレードするとサムスン電子やアイリバーのMP3プレーヤーが使えなくなった、iPodが使えなくなった、このサイトが立ち上がらなくなったと苦情ばかり目立っていた。そんな中でVistaで盛り上がろうと必死になっているのはマイクロソフトよりもパソコンメーカー。当のマイクロソフトは「10カ月後にはほとんどのパソコンでVistaが使われるはず」と自身満々の様子なのだが。

新入学商戦、「子供のため」も通用せず


 パソコンメーカーが必死になるのも仕方がない。2006年末からパソコンメーカーは「今購入してもWindows Vista無償アップグレードお付けします!」と騒ぎ、韓国人の最大の弱みである「みんな買い換えているのに古いパソコンのままではあなたの子供が恥をかく、仲間はずれにされる」と口説いているが、どうもぱっとしないのだ。


 韓国では何でも「プレミアム」、「子供の教育のため」というと売れる。他人の目に映る自分をとても意識しているうえに、少子化を背景とした教育熱が重なり、子供のためなら多少の出費は惜しまないからだ。現に、いまや一般の家庭でも、子供の数だけパソコンを持つのが当たり前になってきている。


 また韓国は2月が卒業式、3月が入学式なので卒業・入学祝いという名目で今が最もパソコンが売れる時期だ。2月18日はお正月(以前も書いたとおり、韓国では重要なイベントは旧暦で行う)なので、お年玉でオンラインゲームがすいすい利用できるパソコンを買いたがる子供も多い。


 そんなこんなでこの時期は、パソコンメーカーごとに新製品を発売し、懸賞イベントやおまけ合戦も過熱される。テレホンショッピングやオンラインショッピングでも、どこもかしこもパソコンとノートパソコンだらけになっているが、売れ行きは期待を下回っている。最も大きな顧客である企業と役所でのVistaアップグレードがまだ躊躇(ちゅうちょ)されている状況のため、パソコン買い替え需要は、3月以降にずれ込むと見られている。


 メーカーは「Vista対応だとどうしても高性能・高価格になっていまうので、100万ウォン(約13万円)ちょっとで買える普及型パソコンも発売する予定」だそう。ところが、パソコンの周辺市場では、Vistaのおかげで、意外なところが活気を取り戻している。


 大型液晶ディスプレイ市場だ。



市場の4分の1は20インチ以上に


 大型液晶ディスプレイ市場では、20インチ以上の製品が占める割合は2006年では11%ほどだったのが、2007年は25%に拡大すると予想されている。既に市場に出回っている50種類ほどのディスプレイ製品のうち、約6割が20インチ以上となっている。


 その理由は、マイクロソフトがVistaは22インチ以上の液晶ディスプレイに最適化されていると発表したことにある。それを受けて、中小メーカーが大型ディスプレイ製造に飛び込んできた結果、サムスン電子、LG電子など大手メーカーの大型液晶ディスプレイの価格は急落した。一部中小メーカーではWindows Vista認定ロゴの取得を急ぐ一方、20インチモニターを19インチモニターより安く販売しているほどだ。22インチ、24インチも同じように大幅の値下げが行われ、20インチは20万ウォン台(約2万4千円台)、22インチは40万ウォン台(約5万円台)にまで落ちた。


 低価格攻勢にさらされているサムスン電子は20、22、24インチそれぞれの大型液晶ディスプレイのプレミアムモデルを2006年12月と2007年1月に発売し、性能はもちろんデザインも優れた製品であることをアピール、Vistaにはサムスン電子のモニターが最も相性がいいと宣伝している。LG電子も19、20、22、24インチLCDモニターの新モデルを一挙発売し、コントラスト比3000:1、応答速度2ミリ秒と、群を抜く高性能をアピールしている。そのほか、大手ではHPのタッチスクリーンや回転できるモニターも注目されている。


 オンラインゲームやVOD(ビデオ・オン・デマンド)鑑賞のため利用することが多いパソコン用ディスプレイの需要には火がついたようで19インチから22インチへ買い替えが進んでいる。ソウルの秋葉原といわれる竜山(ヨンサン)では一度に50~60台の大量注文が全国から届いている。本体も部品も売れない中、唯一の救いになっているようだ。


 さらに、パソコン用ディスプレイを買い替えるついでにテレビも大型液晶のものに買い換える家庭も増えているようで、40インチのテレビは前年比40%、32インチは30%ほど安くなっている。50インチの値段も下がり始めた。市場で人気の高い40インチが42インチより値段が高くなる怪現象も起きている。現時点では、Vistaも話題だが、ブロードバンドでの動画配信やデジタル放送への出費を優先する家庭の方が実際には多いようだ。


 携帯電話よりもパソコンでネットを使う方が便利と思っている人が大半を占めるだけに、韓国でパソコンが売れなくなることはないだろうけど、Vistaの登場をきっかけとしたパソコン市場の動揺はまだ当分続きそうだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070206/260864/

韓国政府が開設したWiki方式の政策提案サイトは「実名制」 

Wikipediaの創始者であるジミー・ウェルズ氏が2008年11月に韓を訪問した際に、「インタネット名制度は民主主義に適さない。韓政府はこれを見直した方がいい」と話したことがある。


 


 ウェルズ氏は、名の登要する規制は果を得られず、逆に別の問題が生するという可能性を指摘し、「誰かを攻するためではなく、な理由で名で意見を述べることを嫌がる人が多い。問題を起こす何人かをてるために匿名性をすべてなくしてしまおうとするのは危だ」と述べた。そのうえで、「オンラインもオフラインも社的責任は同じ。オンラインだけ別する必要はない」と忠告したのが印象的だった。


 


 


民の直接加を謳う「ドリムコリア」


 


 韓政府はウェルズ氏からこんな言が出るのを知ってか知らずかWikiと名登制度を組み合わせた「ドリムコリア」(http://www.dreamkorea.org/wiki/main/index.php)というサイトを10月初めに開設した。の政策についてのアイデアや提案をWiki方式でだれもが自由に追加して書きむことができ、民が政策立案過程に直接加できるサイトというみである。


 


 Wiki方式の加サイトというが、やはり韓民背番である「住民登」をはじめ、個人認証なしでは加できない。名を登してどれほど自由に意見がいえるだろうか。「ミネルバ事件」以、韓ネットユはネットへの書きみに重になっている。


 


 


■「ミネルバ事件」で萎縮するネットユ


 


 「ミネルバ事件」のことは、以前もコラムでれたことがある。ミネルバというIDの人物が2008年3月からポタルサイトDAUMの示板に登場し、政府の経済成長展望とは正反に株暴落やウォン安を警告、政府の予測は外れミネルバのいう通りになった。経済問題が深刻化した9月ごろからは政府の経済政策にする批判を書きむようになった。それに同するユにより、ミネルバはネット世界で「インタネット経済大統領」とまでえられるほど有名になった。そんななか、政府係者がマスコミのインタビュで「ミネルバが誰なのかに把握している。彼は間違った情報で政府を非難している。正しい情報をえたい」と語ったのである。


 


 遠まわしながらも、これ以上書きんだら何か手を打つというメッセジを送ったのだろう。ミネルバは「身の危を感じている、政府が沈を命令した」という言葉を最後に、11月になってからは書きみを停止し、ネットは大ぎになった。


 


 示板を運しているポタルサイトは登された名をむやみに外部に明かすことはできないにもかかわらず、なぜ犯罪者でもないミネルバの個人情報を政府に渡したのか。政府を非難する書きみをしたら、いつでも捕まえられるように身元を調査されてしまうのか。その恐怖からネットの書きみ意欲は減るばかりだ。ニュスの下に付けられたデッグル(コメント)も控えめで、ストレトに意見をぶつけるよりは、逃げ道のある書きみがえている。


 


 


  


「ドリムコリア」のトップペ


 


 


加メンバには員証や補助金も


 


 韓政府が民の加で政策を決定したいと意欲的に宣している「ドリムコリア」は、大きく2つのメニュに分かれる。


 


 一つは、政府が表した100大政課題に含まれた未来関連課題を中心に、環境問題や経済問題で民と政府が一に知を振り絞りましょうという「未ビジョン百科」。もう一つが、地元の写真テキスト情報を投稿しながら地域展にする政策を提案していく「私の地元生活共感百科」だ。


 


 サイトが公開された10月初めから約2カ月つが、12月現在まだペジ編集に加する一般ユは少なく、各省表した政策にして一行ずつ意見を書きむ形での加にとどまっている。ペジの下にはコメントを付けられるコがあり、ペジにはあくまでも事を、コメント欄には自分の意見を書きむように別されている。


 


 になったのは、韓政府が目指す「低炭素、色成長」を象する活動として、自車レポを募集したこと。自車にって街の情報を投稿しましょうと、市民記者のような活動をさせている。Wikiは自的な加、ボランティアが基本精神だが、自車レポには員証が行され、特別なイベントは費を補助するとしている。


 


 


 


 


■問題ある書きみに政府はどう対応する?


 


 政府は、「Wiki方式を導入することで、意見や経験に基づく主張ではなく事を基盤した知識が共有され、消耗的論ではなく生産的討論ができる。これが政策にも反映される」としている。


 


 しかし、ここに書きまれたことが本民の意かどうか、どう別するのだろうか。名登制度だから安心できると思っているのだろうか。わざと集でおかしなことを書きんだり、特定企業が社員を動員して自分たちに有利な政策を要望したりすることだってできなくはない。そうなったら、また個人情報を手にして脅したり逮捕したりするのだろうか。削除するのだろうか。それともWikiらしくユの手で修正されるのを待つのだろうか。


 


 加といっても、この手の自治体サイトや政策ポタルサイトは今までもたくさんあった。わざわざWiki方式で新しいサイトを作ったということ自体、話題作りの方が目的なのではないかと勘ぐってしまうのである。とはいっても、韓ネットユWiki方式に慣れていないため、誰も加しない寂しいサイトになってしまう可能性の方が高いかもしれないが。


 


 


■「やってみよう」精神は理解できるが・・・


 


 韓では、示板やコメント、像、動といった投稿型のUCC(User created cntent)では、ネット利用者の8割が経験を持っている(2008年インタネット利用態調査)というほど、よく利用されている。しかし、Wikiのように一つのペジをみんなで一に書き上げていくという仕組みにはあまり慣れていない。


 


 英語版のWikipediaには2008年12月12日現在で265万件の項目が登されているが、韓Wikipediaはまだ8万2件しかない。ポタルサイト最大手のNaverが2003年からユー参加型の「オプン百科事典」を運していて、そちらのサイトを利用してしまう習慣の影響もあるかもしれない。


 


 似合わないように見えるWikiと名制度の組み合わせではあるが、民の意見を受け止めたい、どんな方法でもまずはやってみよう、という政府のチャレンジ精神は理解できる。「ドリムコリア」が本民のを政府にける窓になるのか、しばらくは見守っていきたい。


 


 


 – 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  


[2008年12月22日]


韓国のIT事情 三星電子製半導体のコピー出回る(2007年2月26日 掲載)

 



の模造品が脅威に


  


 


【ソウル】三星電子が世界で初めて開した1Gナンドフラッシュメモリのコピ品が中で製造され、韓国経由で第三に輸出されていたことが発覚し、察が査にり出した。仁川空港税関で摘されたこのコピ品は三星電子製メモリの製品番を消してから、その上に新型製品の製造番を表記する方式で流通していた。



 今回摘
されたコピ品は、三星電子の本物と別が難しいほど精巧に造されていた。しかし、仁川空港の税関は、製造元が三星電子になっているのに確認印章がないだけでなく、外部包装態にも違和感があったため、調査をしてみたら中製のコピ品であることが発覚したと明している。


 


 ナンドフラッシュメモリは電源が切れても情報がる記憶装置で、デジタル機器の中核部品として脚光を浴びている三星電子の主力製品だ。


 


 今回の事件が深刻なのは、三星電子の中核技術までコピされている疑いがあるからだ。三星電子の社員とのつながりも疑われている。三星電子やハイニックス半導体は中、インドで安いコピ品が出回っているため対応を急いでいるところだった。


 


 半導体のコピ品による損害は短期的に10億ドル以上、コピければ三星電子のブランドイメジにも打え、100億ドル以上の損害に大すると予想されている。


 


 コピ品は韓の主な輸出品目である自動車、携電話、鋼など、さまざまな分野にがっている。三星電子はSAMSONG、SANSING、SIMSUNGなどのコピブランドが中がっているため、対応を急いでいる。1月には、三星のマンション「美安(レミアン)」のブランド名、設計、分方式などを無使用した中の建設社が摘され、中政府によって1060万元の罰金が課されるという事件もあった。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)






BCN This Week 2007年2月26日 vol.1176 載] Link

韓国のPC商戦 最需要期のノートは(2007年2月19日 掲載)

プレミアム激安の激突




 


【ソウル】韓では2月に正月と校の卒業時期を迎えるのでお年玉と卒業祝いが子供たちのを潤し、3月は入ズンなので今が最もパソコンがれる時期だ。



 だが、話題のWindows Vistaに問題が
生している。VistaにアップグレドするとActiveXの問題からインタネットバンキングが使えない、MP3プレともつながらない、ショッピングサイトがつながらない、Vistaの格が米1.5倍もするなどなどだ。こんな事情から、メは、高性能プレミアム製品か激安製品かの極端な製品展開で競している。


 


 ハイアルコリアは、オンラインショッピング最大手GSeストアから先着で50台、合計300台を39万9000ウォン(約5万1000円)と携電話より安い格で販する。


 


 円安の影響から日本製ノトパソコンの値段が下落し、その影響でノト全体の値段が下がり始めてはいたが、30万ウォン台の登場は初めてだ。


 


 韓HPは多彩なイベントを準備している。「全世界販1位のHPパビリオンと全世界販1位HPプリンタが提供するワルドスタフェスティバル」を3月31日まで開催する。


 


 一方、三星電子LG電子といった韓の主要ノトパソコンメは高性能マシンで勝負する。Vista、インテルコア2デュオを搭載した製品ラインアップが大幅にえている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年2月19日 vol.1175 載]  Link