BTSを侮辱する“風刺画”騒動 米メディアはグラミー賞を猛批判

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音楽界の最高栄誉とされる第63回グラミー賞にノミネートされながらも、受賞を逃した韓国の人気アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」。授賞式の余韻に浸る間もなく、BTSに対する人種差別的な風刺画騒動が勃発したことで、SNSなどで抗議が殺到するなど全米で波紋を呼んでいる。騒動の影響やARMY(BTSファンの呼称)の反応について、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんがリポートする。

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 3月14日に行われた今年のグラミー賞授賞式で、韓国人歌手として初めて「最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス部門」にノミネートされながらも、惜しくも受賞を逃したBTS。授賞式ではノミネート曲『Dynamite』の単独パフォーマンスを見事に披露し、改めてその存在感を世界に轟かせたものの、同部門を受賞したのはレディー・ガガとアリアナ・グランデの『Rain On Me』だった。

 BTSは、いまや世界を股にかけたグローバル・アイドルだ。米音楽界の主要アワードの一つである2020年「American Music Award」のポップ/ロック部門で2年連続「Favorite Duo or Group」を受賞し、「Favorite Social Artist」も3年連続で受賞、2020年の「Billboard Music Awards」でも4年連続「Top Social Artist」に選ばれ、いよいよグラミー賞受賞かと注目されていた。それだけに、今回のグラミー賞の結果にARMYたちはさぞ落胆しているかと思いきや、想像とは少し違ったようだ。

 受賞は逃したが、BTSが以前から目標にしていたグラミー賞で単独パフォーマンスができたことにARMYたちは大喜び。SNSでは、「韓国の歌手がグラミー賞で単独公演なんて信じられない。言葉にならない!」、「安定の歌声にダンスや舞台セットも素晴らしく、最高の公演だった」、「今年は受賞を逃したけど、来年こそはファンの声援に包まれながら受賞しなさいということだと思う」といった喜びの声で溢れている。韓国メディアも、「BTSの次の挑戦が楽しみ」、「アジア初の米国3大音楽賞受賞にはならなかったが時期が遅れただけ」「BTSはK-POPの跳躍に大きく貢献した」など、グラミー賞ノミネート自体快挙だとして、BTSの働きを高く評価した。

 アメリカでも、BTSのグラミー賞でのパフォーマンスは大きく取り上げられた。米大衆紙のUSA TODAYは、「残酷なほど正直なグラミー賞のパフォーマンスレビュー」というタイトルで、「BTSは壮大なソウルのスカイラインを背景に踊りながら、紛れもないカリスマ性と気を失いそうなほど素晴らしい歌声を持っていた」と絶賛。米PEOPLE誌も、BTSが2018年から一歩ずつグラミー賞に近づいていることや、「受賞を逃したことを失敗と考えていない」というメンバーのRMの言葉を紹介。「象徴的なダンスとファッションの才能を見せた」とし、BTSの前向きな姿勢とレベルの高いパフォーマンスを評価した。

米メディアが相次ぎグラミー賞を批判

 しかし、そんな祝福ムードに水を差すような騒動が起きた。授賞式から2日後、米トレーディングカード大手「Topps」がBTSを侮辱するような風刺調のカードを販売したことで、世界中から非難が殺到。カードには、「K-POPをぶっ叩く」という文言とともに、傷だらけのメンバー7人を“もぐらたたき”に見立て、怯えた表情で穴から顔を出しているメンバーのイラストが描かれていた。Twitterでは、抗議の意を示すハッシュタグ「#RacismIsNotComedy」がトレンド入りし、Topps社は謝罪する事態となった。

 人種差別的な描写に当然ながらARMYたちは怒り心頭だ。「いつから人種差別を“風刺”と呼ぶようになったのか。これは差別であり暴力だ」、「“カードの販売を中止したのだから良いだろう”というTopps社の態度も深刻な問題」、「嫌悪、差別、暴力を前提したイラストを描いておいて、“冗談が通じない”と言ってうやむやにするのはおかしい」、「“表現の自由”という言葉で人種差別をするのは止めてほしい」。SNSでは、「#RacismIsNotComedy」、「#StopAsianHate」というハッシュタグとともにこんなコメントが並んだ。

 怒りの矛先は、Topps社だけでなくグラミー賞を運営するレコーディングアカデミーにも及んだ。米CNNは、グラミー賞が放送されている時間帯のTwitterのハッシュタグを分析し、グラミー賞とBTSの両方を含むツイートは440万件以上あったのに対し、BTSを除いた「#Grammys」は150万件に過ぎなかったことを指摘しながら、「BTSがいたからグラミー賞に関心を持つ人が多かったのに、運営側はそれに気付いていないようだ」と批判。「多様なクリエイターと観客がグラミー賞を必要とする以上に、グラミー賞が多様なクリエイターと観客を必要としている」、「(有名アーティストがグラミー賞でのパフォーマンスを断る中)BTSは義務ではなく愛情を持ってパフォーマンスを行い、純粋な喜びで歌い踊った。人種や言語、文化、アイデンティティが違っても、音楽が国境を越えて私たちを結びつけることをはっきりと思わせてくれるパフォーマンスだった」と報じた。

 米TIME誌も似た論調だった。授賞式の放送中、視聴率のために「次はBTSが登場(BTS COMING UP NEXT)」と繰り返し告知しながら4時間も引っ張ったことを皮肉り、「BTSは手ぶらで帰ったが、今後さらに(視聴者に)歓迎されるグラミー賞パフォーマーになるだろう。次のグラミー賞のステージでは韓国語で歌うかもしれない」と伝えた。

米Forbesも、「BTSは2020年驚くほど多くの曲を作り、クリエイティブな面でも商業的な面でも成功したことから、グラミー賞の全ての部門で受賞しても遜色なかったが、結果は違った。人種差別問題が何度も起きたグラミー賞の歴史に改めて目を向けよう」、「グラミー賞は、恥ずかしげもなく視聴率のためにBTSのパフォーマンスを利用した」、「グラミー賞のためにもBTSをもっと認めるべきだが、そうならなかったとしてもBTSとBTSのファンはがっかりしなくていい。グラミー賞が損をするだけなのだから」と、グラミー賞を厳しく批判した。

 2019年にも、米ローリングストーンズ誌をはじめ多くの米国メディアが、「ツアーを成功させ、米国で最も売れているアーティストであるBTSを、グラミー賞は(音楽で)ノミネートすらしなかった」と批判している。

 全米で波紋を呼びARMYを憤慨させた風刺画騒動だが、一方のBTSは落ち着いている。メンバーはこれまでずっとそうして来たように、1日も欠かさずダンスの練習に励み、曲を作っているよう。独自制作しているバラエティー番組『走れバンタン』でも、いつものように可愛くて面白い一面を見せてくれている。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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2021. 3.

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韓国でBLドラマが大ヒット コロナ禍で「癒し」求める人が増加

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『愛の不時着』や『梨泰院クラス』など、コロナ禍で一大ブームを巻き起こした韓国ドラマ。そんな中、「次の韓流ブーム」の火付け役として韓国が力を入れているのがウェブドラマだ。特に、男性同士の恋愛を描いた「BL」が予想を超える人気を博しているという。その理由について、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 韓国で累計再生回数2億回という異例の大ヒットを記録したウェブドラマ『A-TEEN』と『A-TEEN2』が、今年2月から日本でも放送開始した。高校生の恋や友情、受験の悩みなどを描いた青春学園ドラマで、韓国では2018年7月の放送開始から大ブームを巻き起こした作品だ。韓国の6人組ガールズグループ「April」のイ・ナウンと韓国の10人組ボーイズグループ「Golden Child」のボミンを「演技ドル(演技上手なアイドル)」に成長させた作品であり、ドラマ『梨泰院クラス』で主要キャストのチャン・グンス役を演じたキム・ドンヒのデビュー作でもある(イ・ナウンとキム・ドンヒは、Twitterで過去のいじめを告発する『暴too』疑惑が浮上し一時問題になったものの、ドラマは配信中)。

 韓国ウェブドラマは、スマートフォンの普及と共に2010年頃から始まった。1話当たり10~15分程度の短いドラマで、ポータルサイトや動画配信サービスで放送されている。初恋や受験、就活、婚活の悩みなどを描いた作品が多く、移動中や休み時間に気軽に視聴できることから10~30代まで幅広く愛されている。再生回数が多いウェブドラマは地上波の深夜帯で放送されることもあり、K-POPアイドルや新人俳優などがウェブドラマで演技力を磨き、地上波のゴールデン帯やケーブルテレビの長編ドラマにキャスティングされるケースが増えている。以前は地上波の1話完結スペシャルドラマなどが新人の登竜門だったが、今はウェブドラマがその役割を担っていると言えるだろう。

『A-TEEN』シリーズの大成功によりウェブドラマの制作本数もどんどん増え、ジャンルも幅広くなっている。2020年夏から特に注目を集めているのが男性同士の恋を描いた「BL」だ。初のBLウェブドラマ『君の視線が止まる先に』を筆頭に、『Mr.ハート』、『Wish You~僕の心の中、君のメロディー』、『To My Star』の4作品は韓国で予想を超えるヒットを記録、日本をはじめアジア各国でも放送されている。

 BL初の音楽をテーマにした『Wish You~僕の心の中、君のメロディー』と最新作『To My Star』はウェブドラマ版と映画版があり、映画版はNetflixが版権を買うほどの話題作である。『To My Star』は、いつも笑顔で優しく財力もあるトップスター・カン・ソジュンがスキャンダルから身を隠そうと、内気で自己評価の低いシェフ、ハン・ジウと同居するところから始まる。性格も職業も全く違う2人が、「相手が自分を好きになるはずがない」と思いながらもお互いに惹かれていくトキメキを表現し、普段BLドラマを見ない層にまで話題になり火が付いた。

BLドラマといえば、これまで台湾やタイ、日本の作品が動画配信サービス経由で放送されてはいたが、韓国では一部の女性にしか受け入れられないジャンルだと思われていた。それがコロナ禍以降、人間性や人との繋がりを失いたくないという人々の気持ちが強くなったからか、優しい世界を描いた癒し系の作品としてBLドラマが注目されているようだ。

 BLドラマの内容自体も、BLに拒否反応を示すような人物が登場しない傾向に変わってきているように思う。これまでは、BLの登場人物が自分のアイデンティティーについて悩むような物語や展開が多く描かれていたが、今は一生懸命に相手を想う恋そのものがテーマとなっており、その主人公が男性同士だったというだけ、という印象だ。『To My Star』の制作会社代表は韓国メディアのインタビューで、「今までなかった新しいジャンルへの期待と多様な形の愛を尊重する社会の雰囲気がBLドラマの拡散を促進したのではないか」と話していた。

 そうは言っても、BLというジャンルを韓国の地上波で大々的に放送するにはまだ時間がかかるかもしれない。韓国の民間放送局SBSは2月、旧正月の連休特選映画として、イギリスのロックバンド・クイーンの伝記『ボヘミアン・ラプソディ』を放送したが、男性同士のキスシーンをカットし、映画ファンらが反発するという騒ぎもあった。

 低予算ではあるものの、地上波放送に比べ表現が自由なウェブドラマ市場では、BLドラマの制作が当分続くようだ。2月末には現代舞踊家と消費者金融業者の恋愛を描いた『You make me Dance』がアジア同時公開予定で、2018年に電子本サイトのBLウェブ小説部門で大賞を受賞した『Semantic Error』のウェブドラマ制作も決まった。BLは中国や東南アジアで特に人気が高いようで、韓国では「次にヒットする韓流」として力を入れているようだ。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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2021. 3.

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韓国で広がる「暴too」芸能人のいじめ「若気の至り」で済まない理由

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韓国の放送・芸能界が大きく揺れている。韓国のアイドルや俳優らが学生時代に行ったとされるいじめ疑惑が次々と浮上し、業界全体を巻き込んだ大騒動に発展。SNSでは、いじめを告発する「暴too(暴力 me too)」運動が急速に広がっている。なぜこれほど大きな社会現象と化したのか、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 韓国のSNSで、「暴too」という学生時代に受けたいじめを告発する動きが広がっている。発端は2月7日、東京五輪のバレーボール女子代表選手、イ・ジェヨンとダヨン姉妹による過去の壮絶ないじめが発覚したこと。CMなどにも出演するスター選手だったこともあり、騒動は拡大。2人は謝罪したものの、代表の資格を剥奪される事態になった。

 だが、世間が受けた衝撃は大きく、「暴too」は芸能界にも飛び火。最も問題となっているのが、韓国公営放送局(KBS)だ。KBSの新ドラマ『DEAR.M』の主演女優パク・ヘスに、学生時代にいじめを受けたと主張する被害者が次々と現れ、同局は2月26日、ドラマの放送開始の延期を発表した。またKBSは、今春から新しく始まるバラエティー番組『カムバックホーム』も、初回放送分の収録直前にレギュラーの出演者を入れ替えた。こちらも理由は、学生時代に行ったとされるいじめ疑惑が浮上している俳優のチョ・ビョンギュが出演者の1人だったからだ。

 このほか、韓国文化放送局(MBC)も、16年目を迎える人気歌番組『ショー!K-POPの中心』の進行役だった8人組男性グループ「Stray Kids」のメンバー・ヒョンジンを、いじめ加害者疑惑で急遽入れ替える事態に。ケーブルテレビのオーディション番組でも、番組の途中で出演者が自発的に降板するケースも見られた。

 これらは全て、出演者が学校暴力の加害者だったというSNS上の告発が引き金だ。韓国の「学校暴力」の予防及び対策に関する法律によると、学校暴力とは「学校内外で学生を対象に発生した障害、暴行、監禁、脅迫、略取・誘拐、名誉棄損・侮辱、恐喝、強要・強制的なお使い及び性暴力、仲間外れ」などのこと。つまりは「いじめ」である。2月に入り、韓国のSNSで有名なK-POPアイドルや新人俳優らを名指しして、「学校暴力の加害者」だったと告発する被害者らの書き込みが相次いでいるのだ。

 名指しされたアイドルや俳優らの多くは加害者疑惑を全面否定しているため、本当に加害者だったか断定できない状況だ。しかし、こうした状況が取り沙汰されている以上、テレビ局としてはそのまま出演させるわけにはいかない。KBSの場合、「視聴者権益センター」という視聴者掲示板に「公共の価値を重視する公営放送として、加害者疑惑が明白になるまで『DEAR.M』の放送を延期すべき」と2100件を超える抗議の書き込みがあったという。もし何事も無かったように放送すれば、「KBSは学校暴力を深刻に受け止めていない」としてさらなる抗議を招く可能性があるが、だからといって疑惑だけで降板させるわけにもいかず、いったん放送延期や出演保留という形で対応せざるを得ないのだ。

実は過去にも、何度か新人アイドルのいじめ加害者疑惑は浮上していた。また、10年ほど前はいじめの加害者だったという告発があっても「若気の至りでした」という謝罪コメントを発表する程度で芸能界に復帰出来ていたが、今はとても考えられない雰囲気だ。学校でも社会でも、いじめは深刻な“犯罪”と認識されるようになった。社会全体の認識が変わると被害者の声に耳を傾ける人も増え、勇気を出して告発する被害者も徐々に増えていった。今回、騒動がここまで大きくなったのは、被害者として名乗り出たのが1人や2人ではなく、事の大きさにファンも背を向け始めたからだろう。

 SNSの影響も大きい。過去の書き込みや写真などを簡単に検索できるようになってから、芸能人に対するファンの要求もだんだん変わり始めている。ネットが無かった時代はテレビやスクリーンに映る姿が全てで、その姿だけを見て好きになったり応援していたが、今は情報が溢れている分、ファンも芸能人の過去を知ることができる。K-POPアイドルファンが集まるコミュニティサイトを見ると、「芸能人は大衆に愛されて成り立つ職業だけに、才能だけでなく人間性も評価されて当然」という意見や、「本人が否定しても、加害者疑惑があるというだけでファン心が覚めてしまう」という書き込みも多く見られた。

 告発により加害者が社会からバッシングを受け、いじめを認め謝罪し自粛することが主なファン層である10代に対し「いじめは犯罪」という強い印象を与え、いじめを減らす効果につながる一方で、こうした流れを問題視する向きもある。告発の中には全くのデマもあり、事実確認がしっかりされないまま騒動がエスカレートしたり、法に則った処罰ではなく大衆が加害者を断罪し懲罰を与えるような流れになってはいけないと報じるメディアも少なくない。

 世間のバッシングを受けてか、『ショー!K-POPの中心』の進行役を交代したヒョンジンは、疑惑を一度は否定したが、その後認めて謝罪した。所属事務所のJYPエンターテインメントは2月26日、ヒョンジンのいじめ加害者疑惑を認め、本人が被害者らと対面し謝罪したと発表。報道資料で、「明白な事実確認は難しかった」としながらも、「ヒョンジンの未成熟で不適切な言動で傷付き被害を受けた方がいらっしゃいます。ヒョンジンもその部分を深く後悔し反省しているため、本人が(ネットに告発文を書いた)掲載者らにお会いして謝罪しました」と説明した。

 ヒョンジンは、2月27日から全ての芸能活動を中断し自粛している。JYPエンターテインメントはどの事務所よりもアーティストの人間性を強調していただけに、がっかりしたファンも多いようで、ヒョンジンのグループ脱退を求める声明文をSNSに掲載するファンもいた。今後は、芸能事務所らがアイドルになる前の練習生を選抜する過程でいじめ加害者だったかどうかの調査も加わることになりそうだ。

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2021. 3.

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韓国版『知ってるワイフ』ヒロインは韓国の「経歴断絶女性」そのもの

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関ジャニ∞の大倉忠義が主演を務め、ヒロインの広瀬アリスとの夫婦役が話題を呼んでいるドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)。原作の韓国版が動画配信サイトで配信されていることもあり、日本版の盛り上がりに比例して韓国版も再注目されているようだ。韓国でも同ドラマが放送された際、視聴率1位を記録するほどヒットしたというが、その理由について、ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 韓国で2018年に放送され、同時間帯視聴率1位を記録したヒットドラマ『知ってるワイフ』。『愛の不時着』や『青春の記録』、『ミスター・サンシャイン』などを制作したスタジオドラゴンの作品だけに、面白さはお墨付きである。「もし別の人と結婚していたら自分はどうなっていただろうか」、多くの人が一度は考えたことがある“妄想”がドラマ化されただけに、特に20~40代の共働き世帯や育児真っ只中の視聴者に受け入れられ、「夫婦とは何か」を考えさせられるドラマ」と注目を集めた。また、韓国では男性視聴者が多いドラマとしても話題になった。

 そんな人気ドラマが、リメイクされて現在日本でも放送されている。演出、設定の違いや一部シーンの変更などはあるが、物語の大筋に大きな違いはなく、ある程度原作の韓国版に忠実な印象だ。物語は、母の世話やパートに育児とワンオペで日々を回すヒロイン・ウジンが、夫で主人公・ジュジョクに溜まった怒りを爆発させるところから始まる。ジュジョクも、疲れて帰宅すると毎日のように浴びせられるウジンの罵倒に嫌気がさしていた。そんなある日ジュジョクは、ひょんなことから地下鉄で出会った男にもらった500ウォンコインで偶然過去にタイムスリップする。そこからジュジョクの「人生をリセット」計画が始まるのだが、ウジンと出会う前に戻って過去を変えても、なぜかまたウジンと出会ってしまう。

 ジュヒョクとウジンの共働き育児戦争は、見ているだけで息が詰まりそうなほどリアルに描かれており、その点は日本版でも同様だ。また、愛くるしい女子高生役から、仕事と育児に疲れ果てたワーキングママ役、テキパキ仕事をこなすビジネスウーマン役まで演じ分けるハン・ジミンの演技が光るドラマでもあり、日本版でもヒロインを演じた広瀬アリスの演技力に注目が集まった。

 ドラマ全体も、コミカルな演出の中にしっかりと泣かせるシーンもあり、終始笑いあり涙ありで見ていて飽きることがない。過去に戻ったジュヒョクが運命を変えようとする度に、ウジンをはじめ友人や家族の運命も変わり続けるため、毎回次の展開が気になっていく。韓国ドラマファンには馴染み深い有名俳優らが別の人気ドラマのキャラクターのままドラマにゲスト出演しており、その場面を見つける楽しみもあった。


 その一方で、韓国では批判的な声も少なくなかった。ドラマは、「夫婦は思いやりを忘れてはならない」、「他人を責める前に自分を振り返ろう」というメッセージを投げかけているが、韓国の女性評論家などの間では「男性目線のファンタジードラマで後味が悪い」、「タイトルを『知ってるワイフ』ではなく『バッドハズバンド』に変えるべき」という意見も多かった。「ジュヒョクがウジンとへウォン(ジュヒョクの初恋の相手)を天秤にかけ品定めをするシーンばかりで不快」、「ジュヒョクは優柔不断で無責任で不満ばかり」といった視聴者の厳しい指摘もあった。

 それでも視聴率が高かったのは、ウジンの家事・育児に奮闘する姿が韓国の平均的な既婚女性そのもので、共働きの苦労や女性のワンオペ育児の過酷さなど、韓国社会が抱える問題が序実にドラマに反映されており、そこに共感する人が多かったことも大きな理由だろう。

 韓国女性の大学進学率は高く、行政職公務員の半数以上が女性というほど女性の社会進出は進んでいるが、その一方で女性労働者の4割以上は非正規雇用である。非正規職を選択する理由の多くは育児だ。だが、子供が大きくなって再就職しようとしても、正社員の求人は非常に少なく非正規職しか選択の余地はない。

 OECDによると、韓国の年平均勤労時間は1967時間(OECD平均は1704時間)とOECD加盟国の中で2番目に長く、仕事と育児を両立するのは非常に難しい。加えて、育児休職を「迷惑」と考える韓国社会の風潮も依然として残っているため、子供が生まれると女性が会社を辞めるか、非正規雇用を選択せざるを得ないケースが多いのだ。

 韓国では、結婚して出産・育児のために一度社会から離れた女性が再び社会に復帰しようとしても、復帰前と同条件で働くのは至難の業である。韓国では、そんな女性のことを「経断女(経歴断絶女性)」と呼ぶ。『知ってるワイフ』は、「問題を解消していかないといけない」という社会の認識の変化が起きている中で生まれたドラマであり、ドラマのヒロインの姿は、「経断女」と呼ばれる多くの韓国女性の境遇と重なったことだろう。日本でも同様の問題が取りざたされている今、ヒロインの姿は日本女性の目にどう映ったのだろうか。

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2021. 3.

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韓国 コロナとインフレで中食が急成長

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韓国では日本における中食(弁当など)に該当する「ベバンミル」市場が急成長している。

 デリバリーアプリ大手「配達の民族」の年間取引額は2019年が8・8兆ウォンだったのに対し、20年には15・7兆ウォンに増加。ミールキット大手「フレシージー」は19年の売上高が712億ウォン、20年には1271億ウォンに伸びた。

 韓国ヤクルトのように家庭への宅配ネットワークを保有する企業もベバンミル市場に参入、有名レストランの味を再現しながら価格を抑えた商品に力を入れている。9月20~22日は陰暦8月15日にあたる秋夕(チュソク)の連休だったが、帰省しない人向けに秋夕に必ず食べる料理を入れたお弁当が人気を集めた。

残り235文字(全文536文字)

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2021. 9.

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新型コロナ感染拡大で五輪マーケティングの規模縮小、選手支援に注力

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韓国 五輪出場選手を企業が支援=趙章恩

 韓国でも特需が見込まれていた五輪東京大会だが、長引く新型コロナウイルス感染症で苦しむ人が大勢いることもあり、ほとんどの企業が五輪マーケティングを縮小した。その代わり、企業の多くは大会出場選手を熱心に支援することで宣伝効果を得る戦略に出た。

 大会パートナーのサムスン電子は、出場選手約1万7000人に五輪マークを刻んだ特別仕様のスマートフォン「ギャラクシーS21」などを提供。女子バレーボールのエース、…

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2021. 8.

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https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210831/se1/00m/020/060000c

AIで物流を一新した韓国クーパンが日本へやって来る

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韓国クーパンが日本進出へ AIフル活用で物流革新のスゴさ=趙章恩

 韓国ネット通販大手のクーパンが今年6月から、日本でテスト事業を始めている。クーパンは商品を注文後、遅くとも翌日には届く「ロケット配送」のサービスで韓国で急成長し、ソフトバンクグループ(SBG)のファンドからの出資も受け、今年3月には米ニューヨーク証券取引所にも上場した。初の海外進出国として選んだ日本で今後、EC(電子商取引)に旋風を巻き起こす可能性もある。

 クーパンは6月1日から東京都品川区中延地区限定で生鮮食品と生活用品、約320種類の通販テスト事業を始めた。注文が入ると、デリバリーサービスのようにアプリで集めた配達員が短時間で配達する。午前9時から午後11時まで利用でき、手数料は1件当たり200円。クーパンは今年4月、シンガポールにも現地法人を設立したが、海外でサービスを行うのは日本が初めてとなる。

 韓国で2014年に始まったロケット配送は、午前9時までに注文するとその日の午後までに、夕方注文すると翌日までに商品が届くサービスで、生鮮食品は午前0時までに注文すれば翌朝午前7時までに届ける。一度に1万9800ウォン(約2000円)以上(食品は1万5000ウォン以上)を注文するか、月2900ウォンの有料会員「ロケットワウ」に加入すると利用できる。

 昨年10~12月にクーパンで買い物をした人は1485万人にのぼり、人口の3分の1に当たる。韓国統計庁の「20年eコマース市場シェア」によると、クーパンの年間取引額は22兆ウォン(約2兆2000億円)と市場シェアで2位(13%)を占め、トップのNAVER(年間取引額28兆ウォン、市場シェア18%)を猛追する。韓国では、クーパンは近所のスーパーのように気軽に利用できるサービスとして定着している。

SBGの投資が支え

 クーパン創業者の韓国系米国人キム・ボムソク氏が言うように、ロケット配送の競争力はAI(人工知能)にある。クーパンがAIにより売れ筋商品を分析して直接仕入れ、全国に170近くある物流センターに配置。注文が入ると最も近い物流センターから自社の配送員が届けること…

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2021. 7.

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韓国はすでに消費回復の動き 若者中心に高まる消費意欲

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韓国 若者リードで消費回復へ=趙章恩

 韓国銀行が発表した2021年5月の消費者心理指数は105・2で、18年6月(106・3)以来の最高水準を記録した。指数が100を超えると今後の景気を楽観視しているという意味になる。

 韓国政府はワクチン接種完了者を対象にしたマスクなしでの外出を認め、コロナ陽性者数が少ない国同士で協定を結び出入国の際の隔離を免除し観光客を受け入れる「トラベルバブル制度」による海外団体旅行を許可する…

残り316文字(全文526文字)

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2021. 6.

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韓国 米動画配信社の法人税2.1億円

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 フェイスブックコリアなどの外資系インターネット企業が、韓国内での利益を初めて公開した。法律改定により、売り上げまたは資本金が500億ウォン(約49億円)以上の有限会社は外部監査を経て監査報告書を公開しないといけなくなったためだ。注目されたのが、動画サービスの中でもっとも利用者が多い米動画配信大手ネットフリックスの韓国法人だ。同社の20年売上高は前年比124%増の4154・5億ウォンで、韓国で納めた法人税は…

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2021. 5.

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https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210525/se1/00m/020/064000c

韓国 配送ロボットの普及に本腰=趙章恩

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韓国政府は3月4日、ソウル市と水原(スウォン)市の一部地域で実証実験中の屋外自動配送ロボットの利用拡大や、ドローンの配送地域拡大などの方策についてまとめた「デジタル流通競争力強化方案」を発表した。

 同方案では、2021年内に自動配送ロボットの歩道走行を許可し、22年までにドローン配送の実証サービスを1000回以上実施する方針だ。配送に必要な流通データは、誰でも利活用できるようオープン・プラットフォーム化する。

 政府の後押しもあってか、同月19日には現代自動車、起亜と、韓国最大のフードデリバリーアプリを運営するウーワ・ブラザーズが、決済機能を搭載した自動配送ロボットの共同開発を発表。現代自動車、起亜がロボット本体、ウーワ・ブラザーズが制御システムを開発する。

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趙 章恩(ITジャーナリスト)

 

週刊エコノミスト

2021. 4.

-Original column

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210413/se1/00m/020/069000c