韓国CM REPORT – ロッテ – ヒョンビン


ヒョンビン プロフィール


1982年9月25日生まれ。


184cm74kg。本名はキム・テピョン(金太平)。ドラマ『アイルランド』、『私の名前はキムサムスン』で大ブレイクした美少年キャラで、映画『100万長者の初恋』では、いつものやさしい雰囲気とは全然違う役に挑戦、遺産を相続するため祖父の遺言に従い田舎の高校へ転校、初恋に目覚める不良息子を演じて話題になった。趣味は水泳で、特技はスノーボードというスポーツマン。


 





チリサン生緑茶



出演




ヒョンビン

放映日




2006年2月

エクボが魅力的な美少年といえばヒョンビン! この頃はお茶飲料の広告モデルに選ばれてこそ人気芸能人といわれているほど、お茶広告が注目されています。その始まりとなったのがヒョンビンの「チリサン生緑茶」CMです。飾り気のないさっぱりしたヒョンビンのイメージと、澄んだ緑の緑茶ってすごく似合いますよね。驚いたことに都会的なヒョンビンの本名は、なんともクラシックなキム・テヒョン(太平)。韓国ではのん気な人を「この人は太平だな~」と表現しますが、人の名前に使われるのは珍しいです。そのせいか韓国でもヒョンビンの本名はすごく話題になりました。本名の方が芸名みたい、とよくいわれています。


CMでは、コンビ二でずらっと並んでいるペットボトルの中から、ヒョンビンが迷わず「チリサン生緑茶」を選択。「山が育てた緑茶と人が育てた緑茶。私達のような人は、山が育てた生緑茶を飲まないとね!」と彼女に力説しています。一口飲めば「あ~さっぱり!」と感動するほど、本物志向の緑茶です。


韓国で最も野生が残されている智異山(チリサン)は、高さ1916.77m。ヨン様のドラマ『太王四神記』の背景でもある三国時代から名山として知られ、「愚かな人が上ると知恵を持った人に生まれ変わるほどすごい山」ということで智異山と名付けられました。智異山は韓国緑茶の発祥地でもあります。


「チリサン生緑茶」は純粋な野生に近い環境で育った、採れたての最上級緑茶を100%使った飲料で、低温でゆっくり淹れているため渋みが少なく、緑茶本来の味を最大限活かした香り豊かなお茶に仕上がりました。ヒョンビンと一緒にこのさっぱりした味わいを楽しんでみてはいかがですか?

   – BY  趙章恩

Original story
http://ni-korea.jp/lottecm/details.php?id=200602&dr=drink

韓国CM REPORT – ロッテ – ペ・ヨンジュン



ペ・ヨンジュン プロフィール


1972年8月29日生まれ。


高校卒業後、映画会社の制作部で働いていたところ、トレードマークでもある「どんな人でも清々しい気持ちにさせる」あのスマイルに惚れたユン・ソクホ監督に抜擢され、1994年KBS青春ドラマ『愛の挨拶』でデビュー。その後『若者のひなた』、『初恋』で国民的韓流スターになった。映画監督を目指す繊細でやさしい性格の青年役をよく演じてきたが、映画では全然違うキャラクターにも挑戦している。2002年ドラマ『冬のソナタ』をきっかけに「ヨン様」として韓流ブームの主人公となった。2007年韓国代表ブランド大賞特別賞受賞。2007年9月ドラマ『太王四神記』が日韓で放映される予定。



ロッテ免税店





出演

ペ・ヨンジュン
放映日

2004年9月

心がフニャっとなごむヨン様の笑顔だけでもドキドキしてしまうのに、「ロッテで会いましょう」のナレーションに手招きまでされてしまうともう「今すぐ行きます! ええ、行きますとも!」と叫んでしまいたくなります。


2004年9月に公開された初期の広告で、韓国ファンが選んだベストCMらしく最高のスマイルばかりしっかり収められています。礼儀正しく貴族のようなイメージを持つヨン様ですが、当時はロッテ免税店が初めて韓国人をモデルに起用したと韓国でも大変話題になりました。ロッテ免税店は1980年からホテル店、デパート本店、ワールド店、釜山(プサン)店、仁川(インチョン)空港店を次々にオープンし、売上1位をキープしている韓国を代表する免税店です。2004年1月から2007年4月まで、ロッテ免税店とペ・ヨンジュンという韓国代表同士の出会いにより、ロッテに限らず韓国免税店全体の売上が24%も増加したそうです。


デパート本店とホテルの間にあるヨン様の広告写真パネルが観光名所になったほど、ぺ・ヨンジュンはどんな有名な観光地や文化財より韓国を象徴する貴重な存在として尊敬される韓流スター。広告撮影に立ち会ったスタッフの証言によると、ヨン様がスタジオに到着した瞬間、空気の流れが変わるほど存在感があって、毎回スタッフ一人ひとりに「今日は大変だったでしょう? ありがとう」と挨拶をしてくれるので大感動だったそうです。歴史に残る! といっても過言ではない名CMをご覧ください。

   – BY  趙章恩

Original story
http://ni-korea.jp/lottecm/details.php?id=200409&dr=facilities


韓国CM REPORT – ロッテ – イ・ヒョリ




イ・ヒョリ プロフィール


1979年5月10日生まれ。


167cm48kg。アイドルグループ「フィンクル」出身で、現在はソロ歌手として活動中。同世代の女性からもファッションからヘアースタイルまで、何でも真似したいといわれるカリスマ的存在として人気を集めている。バラエティーの司会者や女優としても活躍している。



デジバー





出演




イ・ヒョリ

放映日




2003年10月

1個500Wで楽しめるおいしいアイス「デジバー」。チョコクランチをまぶしたバニラアイスの真ん中には、ストロベリーシロップが! デジは豚の意味。だからパッケージに豚が描いてあります。デジは「~を上手にできる」という意味の単語にも聞こえるので、これをもじっているのです。「セクシー」という面では、韓国で右に出るものはいないほど「セクシー」&「キュート」な存在の歌手イ・ヒョリが「私って歌もちょっとできるし~踊りもできるし~スタイルもいいし~」とぶりっ子のように話しかけながら、最後には思いっきりデジバーにかぶりつくというコメディータッチのCMになってます。


韓国ではよくイ・ヒョリと倖田來未を日韓の「セクシー歌姫」として紹介します。時には上着しか着ていないんじゃないかとドキッとしてしまうような衣装だったり、時にはボーイッシュなジーンズでお茶目に変身したり……。2006年には、ある日突然、ロングのストレートヘアからショートカットになり、韓国中の女の子たちが美容院で「ヒョリカットにしてください」と叫んだほど、女の子達の憧れの的になっています。笑うと三日月型になる目がチャームポイントで、子供からお年寄りまでファンになりました。こんなスタイリッシュなイ・ヒョリと昔からのアイス「デジバー」って、似合わなさそうで似合っているところが不思議です。ミュージックビデオを兼ねたドラマ『愛するなら彼らのように』は日本でも公開され、中国や東南アジアでもシングルがヒットしていることから、これからはアジアのスターとして活躍しそうな予感がします。

   – BY  趙章恩

Original story
http://ni-korea.jp/lottecm/details.php?id=200310&dr=food

ニュースは誰のもの?韓国ポータル大手と3大新聞の戦い


 韓国ポータルサイトDAUMと3大新聞である朝鮮日報、中央日報、東亜日報との対立がDAUMへのニュース提供中断という事態にまで及んだ。朝鮮、中央、東亜の3紙は2008年7月7日よりDAUMへの新聞記事と自社の週刊誌、女性ファッション誌のニュース配信をストップした。

 今回の3紙の決定は、米国産牛肉の輸入再開を巡って一般読者がDAUMのコミュニティーサイトやニュースのコメント欄に書き込んだ3紙に対する誹謗中傷をDAUMが放置したことへの報復措置といえる。DAUMには、「公正な報道をしない朝鮮日報、中央日報、東亜日報の購読を中止するべきだ」「この3紙に広告を出している企業の商品を買ってはいけない」などと3紙を攻撃するコメントがあふれていた。

■不買運動の影響で広告出稿が大幅減


 朝鮮日報は「DAUMが一部新聞社とその新聞に広告を出している企業に対して営業妨害等不法行為空間を提供し、根拠のない誹謗と悪口で朝鮮日報の名誉を毀損する行為を持続的に放置したことに対する処置」と説明する。中央日報も「DAUMは放送通信委員会が違法と判定したオンライン広告主不買運動を放置し、不法を黙認した」ことを、ニュース提供中断の理由に挙げている。


 DAUMは韓国ポータルのなかでは唯一、ブロガーニュースを既存マスコミのニュースと同じ重みで掲載している(前回のコラム参照)。ブロガー達は韓国の3大新聞が米牛肉輸入問題を公正に報道せず政府の言いなりになっていると批判する記事を何本も書いた。DAUMはこれを抗議デモのろうそく集会や牛肉問題の他のニュースと並べて掲載した。







 <拡大>


<朝鮮日報、中央日報、東亜日報のニュース供給中断を知らせるDAUMの告知文>


 これが意図したことかどうかはともかく、ろうそく集会の焦点は次第に牛肉問題から現政権批判に移り、さらに3大新聞の購読中止の呼びかけ、3紙に広告を出している企業の商品不買運動へと広がっていった。記者協会によると、広告主不買運動の影響で3紙の新規広告出稿は大幅に減少し、なかには60~70%も減ったという説もある。3紙への広告掲載を見合わせた食品メーカーは株価が上昇し、DAUMコミュニティーを中心にそのメーカーの商品をオンラインで共同購入する運動まで起きている。3紙にとって広告主不買運動の発生源であるDAUMを容認できない段階まで事態が深刻化したのである。


■主婦コミュニティーが運動をリード







 保守的といわれる3大新聞と市民運動団体との論争は過去にも何度もあったが、今回は普通の主婦やサラリーマンの行動が目立つ。不買運動は料理コミュニティー、主婦コミュニティーでも活発に行われていて、会員らは毎日「今日はどこどこに電話をかけた。相手の反応はどうだった」といったことを書き込んでいる。


 企業側は、主な消費者である主婦達に目を付けられ不買運動のターゲットになっては経営が危うくなる。一部の中小企業は自社のホームページに「広告を掲載したことをお詫びします」「これからは広告を出しません」といった謝罪文を掲載し、事態が収まるのを待っている。


 一方、ある企業は「広告を中止せよという抗議電話が毎日数百件もかかってきて営業を妨害された」として、ネットユーザーを告訴した。検察は3紙への広告掲載に抗議する電話を企業にかけたり、広告主の電話番号リストをコミュニティーサイトに掲載して抗議電話をかけるよう仕向けたとされるネットユーザーに対する取り調べを始める予定で、既に身元が判明した20人に対しては出国禁止令を出している。


 放送通信員会の審議会では、不満を単純に書き込んだ掲示物は表現の自由に当たるが、広告主の電話番号リストと電話をして何を話せばいいのかまで具体的に提示している掲示物は消費者運動の範囲を超えた違法行為であると解釈している。しかしネットユーザーらはDAUMへの書き込みが違法と判断され削除されるようになると、匿名が保たれ放送通信委員会の手が届かないGoogleに場所を移して不買運動を続けている。

■著作権侵害やリンクにも神経とがらす新聞社







 <拡大>


<DAUMのウェブサイト>


 大手ポータルと3大新聞の戦いはさらに拡大する気配だが、一方で今回のできごとはインターネットにおけるニュースの扱い方を巡る論議も巻き起こしている。


 3紙は今回、ポータルサイト対策として記事の不正コピーによる著作権侵害も問題視している。いうまでもなく、ポータルに掲載されたニュース記事をブログやコミュニティーサイトに全文転載すれば著作権の侵害に当たる。しかしポータルサイトではクリックするだけで新聞の記事はもちろん新聞に掲載された写真までも自分のブログに掲載し、誰でも見られるようにする機能を提供している。新聞社側はこれまで、個人が非商業目的で記事をコピーする場合は放置してきたが、姿勢を転換した。


 新聞社側はポータルサイトのニュース編成やリンクによる誘導にも神経をとがらせ始めた。今回、3紙はDAUMが牛肉問題を批判するブロガーニュースと政権批判コミュニティーや購読中止コミュニティーのアドレスをリンクさせ、記事を読んだユーザーをコミュニティーへ誘導するよう仕向けたのではないかとも批判している。


 牛肉問題に関してさまざまな記事が登場するなか、DAUMは特に警察がろうそく集会参加者を暴行している写真などをメイン画面に表示して強調した。さらに、機動隊の鎮圧によって女子高生が失明したといったデマまでも本当のニュースかのように編集し、これがデモ拡大の一因になったともいわれている。ニュースを生産するマスコミではなく、リンクと検索を提供するはずのポータルが記事の並べ方や編成の力で世論を動かし、クリック率を高めて広告収入を増やす--これがマスコミ側の主な批判内容である。


■3紙が抜けても影響はほとんどなし







 では3大新聞のニュースが提供されないことでDAUMはどれほどの打撃を受けるのだろうか。


 インターネットトラフィック測定サイトのコリアンクリックの調査では、2008年5月末時点でのDAUMのトラフィックに占める朝鮮・中央・東亜日報の記事閲覧の割合は1.7%、ページビューでは0.4%にとどまるという。DAUMは全国70社ほどの新聞社と週刊誌、放送局からニュースの提供を受けているので、3紙が抜けてもニュースサービスに穴が開くわけではない。


 ネットユーザー側から見ても、クリックするのは新聞社の名前ではなく見出しなので、ニュース提供が中断されても今のところあまり支障はないようだ。現状では逆に、DAUMから3紙が消えたことを歓迎するコメントすらある。3紙は他の新聞社にもDAUMへのニュース提供中断を求めているというが、これがDAUMと3紙だけの問題で終わるのか、ポータル対新聞の問題になるのかはまだ予測できない状況だ。


 ニュースメディアとしてのインターネットの優位、新聞の地位低下は各種の調査でも明らかだ。韓国言論財団が国民5000人を対象にした「2008言論受容者意識調査」結果によると、媒体別信頼度は地上波テレビがもっとも高く、その次がインターネット、ラジオ、ケーブルテレビ、総合新聞という順だった。


 韓国広告主協会が15~70歳の2000人を対象にしたアンケート調査でも似たような結果が出ており、ニュースの利用はテレビ放送から見ることがもっとも多く、その次がインターネットだった。インターネットでは77%が新聞社のサイトではなくポータルサイトのメイン画面に登場するニュースだけを読んでいると答えた。


 新聞の1面よりポータルのメイン画面に登場するニュースの方が影響力を持ち、そのメイン画面に登場するニュースに優先順位をつけるのはポータルサイトのスタッフである。この調査結果からすると、ポータルサイト側もニュースの取り扱いに対し、重い責任を負わざるを得ないことになるだろう。

■最大手ポータルは編集権を放棄







 <拡大>


<NAVERのウェブサイト。中央にニュースの見出しが掲載されている>


 3大新聞とDAUMの攻防戦が始まる前の7月1日、韓国最大手ポータルサイトのNAVERは自社サイトのメイン画面に登場する「今日の主なニュース」を「オープンキャスト」方式に変えると発表した。メディアとしての中立を守るため、NAVERがニュースを選択して表示するのではなく、ユーザーまたはニュースを提供する新聞社が編集できるようにするという方式である。


 NAVERは150を超える媒体のニュースが毎日1万件以上更新されていて、1日1億ページビューを記録している。一方新聞社サイトは1日250~300件のニュースが更新され、1日500万ページビューもあれば多い方だ。大量の記事とその下につけられるユーザーのコメントに責任を求められることに対し、NAVERはメイン画面のニュース編集を放棄するという形で難を逃れようとしている。


 ポータルサイトはページビューや利用者数では立派なメディアである。しかし、クリック率を上げるためにニュースの見出しを勝手に変えたり恣意的に編成したりして、社会的責任は負わずに影響力だけを手にし、安く購入したニュースで何百倍もの広告収入を上げていると批判されてきた。NAVERはニュースを流通させる役割に満足し、編集権は一切持たないと発表することで、DAUMとは違うということを強調している。

 公正でない報道をすると批判される新聞と、ニュースを生産しないポータルでありながら巧みにニュースを編集することで世論を動かしていると批判されるポータルが繰り広げるニュースの権力争いは今後、どう展開していくのか。忘れてはならないのは、言論・報道のあり方やマスコミの影響力といったきれいごとの裏に、広告料配分やニュース使用料といったお金の問題でこじれた両者の関係があるという事実である。


 韓国の新聞はすべての記事と写真をリアルタイムでポータルに提供し、1997年以降の全記事をポータルから検索できるようにしている。その時点で、すでに権力はポータルに渡ってしまったのかもしれない。ユーザーは新聞社1社の記事だけでなく、すべての記事を見比べることができるポータルが断然利用しやすいからポータルでニュースを見るのだ。


 時代が変われば、ニュースの消費の仕方も変わる。こうしたユーザーの視点に立たない限り、こじれた問題はきっと解決しないだろう。


– 趙 章恩  

NIKKEI NET  
インターネット:連載・コラム  
2008/07/15  


韓国CM REPORT – ロッテ – チョン・ジヒョン




チョン・ジヒョン  プロフィール


1981年10月30日生まれ。


172cm48kg。本名はワン・ジヒョン。ワン(王)という苗字から中国系韓国人であると噂されたこともある。1997年ファッション誌モデルとしてデビュー。韓国男性の理想の女性像といわれる伝統美人。ツヤツヤの長い髪がトレードマーク。映画『猟奇的な彼女』のヒットで日本、中国でも有名スターになった。特に中国での知名度や影響力は韓流スターの中でも最上級で、中国に進出したい韓国企業がこぞってCMモデルとして起用していることから、化粧品やファッション、シャンプー、飲料、携帯電話など、CMだけでも長者番付の上位にランクインするほど。根強い人気のファッションアイコンとして重宝されている。


ジアナ・ジョンという名前でハリウッドに進出することが決まり、2008年公開予定の出演作『ブラッド・ザ・ラスト・ヴァンパイア』の撮影のため、2007年はほとんど中国とアルゼンチンに滞在していたが、2008年からは韓国での活躍幅を広げる計画。





2%足りない時



出演




チョン・ジヒョン 

放映日




2003年4月

チョ・インソンも登場する「2%足りない時」のラブストーリー編は、映画のようなCMとして有名です。ナンセンスなCMシリーズとしても有名で、今回も「お前は恋愛なんてする資格もない!」と叫ぶ彼に、「錯覚しないで。愛だけで食べていけると思ってるの?」と泣き叫ぶ彼女、そして「愛を100%信じるのはバカだ。愛はいつものどが渇く。2%足りない時」というナレーションという、不思議な展開に。実はこれ、「続きはインターネットで」というドラマ仕立てのCMシリーズの「誤解編」なんです。このストーリーの全貌は、以下のようなものです。社会人の彼女(チョン・ジヒョン)と就職に失敗した無職の彼。彼は、花束を買って電話で彼女にデートを申し込みますが、彼女は残業があるからと断ります。落胆し振り返るとそこには、背の高い男性と一緒に歩いている彼女。しかも背の高い男性は「彼はまた就職できなかったのかい?」と優しく慰めます。そして次の日、彼は心変わりした彼女に裏切られたと激怒し、彼女は愛だけでは食べていけない、何もできないと反撃します。そのシーンが、今回紹介するCMですね。


「愛はいつものどが渇く」というキャッチフレーズは、韓国人なら誰でも「あ~あのCMね!」と今でも覚えているほどインパクトがありました。もちろん、チョン・ジヒョン効果も無視できません。彼女がCMに出演してヒットしなかった製品はないとまで言われているのですから。


チョン・ジヒョンは、ジアナ・ジョンという名前でハリウッドに進出することが決まり、出演作の『ブラッド・ザ・ラスト・ヴァンパイア』の撮影のため2007年はほとんど中国に滞在していました。バラエティーやドラマには一切出演せず、私生活を公開しない秘密主義のため出演作が限られてしまってますが、インタビューでは「ハリウッド映画出演をきっかけに演技の楽しさに目覚めました。これからはもっとたくさんの映画に出演したいです」と話していました。CM以外でも、いろんなところで会えると嬉しいですね~。

   – BY  趙章恩

Original story
http://ni-korea.jp/lottecm/details.php?id=200304&dr=drink

韓国CM REPORT – ロッテ – キム・スンウ



キム・スンウ プロフィール


1969年2月24日生まれ。


180cm70kg。1990年映画『将軍の息子』でデビュー。ドラマ『ホテリアー』で共演したのをきっかけにペ・ヨンジュンとは仲良しに。無名時代、大物女優イ・ミヨンと結婚したが離婚。女優キム・ナムジュと再婚し娘が生まれた。大の野球好きでもあり、芸能人野球団「プレイボーイズ」の団長でもある。スポーツ経営学の修士学位も獲得したエリート。2007年映画『素敵な夜をボクにください』に出演。歌手のRain(ピ)が隣の家に住んでいるが、Rain(ピ)より彼のお父さんともっと仲良しだそう。いつまでも20代にしか見えないハンサムなところも人気の秘訣。





茶ウリン



出演




キム・スンウ

放映日




2001年7月

つき合い始めてまだ3ヵ月のカップルが、ベンチに座ってぎこちなくおにぎりを食べています。甘えるソン・ユンアと、どうしていいかわからないといった感じのウブなキム・スンウが微笑ましいですね。『ホテリアー』が放映されていた頃の広告なので、ドラマの中での二人の関係を重ねてみるとよりおもしろいです。


「おにぎりはわきから食べた方がおいしいっていいますよ」と彼。「ところで、わき腹が寒くありません?(韓国では”彼氏or彼女が欲しくありませんか?”という表現です)」と攻撃する彼女を見ていると、韓国の女性って積極的だな~とつくづく感心してしまいます。いい男を見つけたら、モジモジしていないで自分からアプローチしてゲットする。それが韓国流の恋なのかもしれません。女性から食事に誘うなんてことも珍しくないですからね。その時は、食後に公園のベンチで「チャウリン」を飲みながら口説き倒しましょう。


キム・スンウはデビュー当時はかなり体格もよくぽっちゃりしていましたが、いつの間にかスレンダーに痩せて大変身しました。『ホテリアー』をきっかけにアジアで大ブレイクした人気俳優でもあり、深刻なメロドラマからユーモア溢れる役柄まで幅広くこなせる安定した演技力の持ち主でもあります。実は温かかくて人情のある性格だった、というような役をよく演じているせいか、親しみやすいキャラとして男性にも女性にも好感度が高い韓流スターです。

   – BY  趙章恩

Original story
http://ni-korea.jp/lottecm/details.php?id=200107&dr=drink

韓国CM REPORT – ロッテ – リュ・シウォン






リュ・シウォン プロフィール


1972年10月6日生まれ。


180cm70kg。もはや説明はいらない韓流スター。韓国文化観光広報大使、ソウル市広報大使、「慶尚北道(キョンサンプクド)訪問の年」広報大使など、数々の広報大使を務めている。1994年青春ドラマでデビュー、バラード歌手としても高い人気を誇っている。王子様のようなやさしい眼差しと笑顔が魅力的。スーツでもシャツでも、何でも袖をまくって着るのが彼流の着こなし。1999年4月、イギリスのエリザベス女王が訪韓した際に、安東(アンドン)の自宅(先祖から続く文化財)でバースデーパーティーを開き、案内役を務めた。芸能人カーレーシングチームR-Stars所属。趣味で始めたレーシングは、第二の人生といえるほど重要な存在になっているとか。料理本も出版するほどのグルメとしても有名で、趣味は写真。2007年秋には初めての映画が公開される。


レッツビー





出演
リュ・シウォン
放映日
1998年12月

1998年放映されたCMなので、初々しいリュ・シウォンの姿に、つい「キャ~」と叫びたくなりますが、その隣にいる女性は映画『猟奇的な彼女』に出演して日本でも男性ファンが多いチョン・ジヒョンです。”プリンス”ことリュ・シウォンはそのまんま、今と何にも変わらないのが驚きです。由緒ある家柄のお坊ちゃまは、歳をとっても老けない秘法も代々受け継いでいるんでしょうか。その秘訣を教えてもらいたいですよね。


CMの内容はバスの中で出会った二人。気に入った男性に向かって堂々と「私ここで降ります」と逆ナンパします。一緒にバスを降りた二人は自動販売機の前で恥ずかしそうに「レッツビー」缶コーヒーを手に見つめ合います。そしてリュ・シウォンのセリフは「僕は二駅も乗り越しました」……羨ましい限りです。広告を真似て、バスで気に入った相手を女性から誘うのが当時流行ったりもしました。


韓国で最も売れている缶コーヒーは、1998年に発売された、この「レッツビー」です。日本では缶コーヒーの主な消費者は男性といわれてますが、韓国では女性も好んで飲みます。ほどよい甘さのミルクコーヒーで、冬は暖かく夏は冷たく、どっちにしても人気で、自動販売機でもすぐ売り切れになる飲み物です。韓国のコーヒーはおいしくないという方もいますが、レッツビーのまろやかな味は、国籍に関係なく飲みやすいコーヒーと評価されています。ロッテは、缶コーヒーの他に天使が目印のカフェ「アンジェリナス」もソウル市内各地に展開しているほど、コーヒーにはこだわっています。「アンジェリナス」は明洞(ミョンドン)にもあるので、ぜひ、足を運んで見ませんか? ロッテ百貨店の向かい側にあるクリスピークリームドーナツの角を曲がると天使の看板が見えるはずです。

   – BY  趙章恩

Original story
http://ni-korea.jp/lottecm/details.php?id=199812&dr=drink

第16回:『太王四神記』歴代視聴率記録更新なるか?


予習してさらにハマる太王四神記

【第十六回】

『太王四神記』歴代視聴率記録更新なるか?






社会的ブームになった『太王四神記』



2007年9月、韓国MBCでついに放映開始となったドラマ『太王四神記』。世界90ヵ国同時公開の予定でしたが、完璧を求める監督の意向と丹念なコンピューターグラフィックの作業で、製作時間が予想以上にかかってしまったため、日本では12月から公開されることになりました。


2007年最高の期待作と言われ、春から待ち焦がれたファンのために、9月10日に予告スペシャルとしてドラマの解説からスタート。11日~13日にかけて3話連続放映という大サービスぶり。その後は毎週2回、水・木曜日夜9時55分からの放映で、早くも水木ドラマの中では視聴率1位をキープしているこの『太王四神記(テワンサシンギ)』は、今では「テサギ」というニックネームで親しまれてます。


韓国で初めての歴史ファンタジードラマのせいか、コンピューターグラフィックスを駆使した映像に慣れないせいもあってか、最初の1話、2話までは、「これは時代劇? ファンタジー? メロドラマ?」、「期待しすぎたせいか、想像していたのと全然違う!」などと戸惑うファンが多かったのは事実です。しかし、ストーリーの展開が速く、ヨン様を中心に登場人物のキャラクターがはっきりしていることから、「次はどうなるの?」とハラハラしたり、「あの子の性格からして派手に暴れるのかな?」と次の展開を予想してみたり……。ファンの間では「あのセリフは複線で、実はこうなるのかもしれない」などと、論文のように細かく分析したレポートや、自分で考えたシナリオをブログに掲載しては、ファン同士で盛り上がる傾向もみられます。


キム・ジョンハク監督が得意とする史実+架空の人物の組み合わせが魅力的な「テサギ」は、映画に負けない迫力あるアクションシーンが多いほか、剣が光ったり、青龍や朱雀が空を舞ったりするCGシーンがアニメやオンラインゲームのようで、韓国では主婦はもちろん、10~20代の熱烈なファンも獲得しています。


MBCの視聴者掲示板には、「試験なのに勉強もせず、今週もしっかり観ちゃいました。ヨンジュンオッパ(オッパはお兄さんという意味。韓国では、彼氏や先輩など目上の男性と親しくなるとオッパと呼びます)最高です」といった書き込みも多く見られます。


韓国の一部のドラマファンは、「『太王四神記』って、どうせ日本に輸出するのが目的なんでしょ? 中身なんてどうでもいいヨン様ドラマなんでしょうね」と、冷えた目で見ていました。それが2話、3話と回を重ねるにつれて、「これはおもしろいぞ。2007年の一番見ごたえのあるドラマだ」と、社会的ブームにもなってきたのです。





建国神話をモチーフにした物語



『太王四神記』は、神話の時代から物語がスタートします。予告編にも登場する、あの白髪のヨン様は、神話時代の神様という設定なんです。その姿が映画『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフっぽかったことから、「ヨンダルフ」なんて呼ばれ、茶化されたりもしましたが、ドラマが始ってみるとヨンダルフから一転、「優しいまなざしの中にカリスマ性が光る」と絶賛されました。


『太王四神記』は、予備知識なくドラマを見てもおもしろいのですが、韓国の建国神話や歴史的な背景を知っていると、「そういうことか! なるほど~」と、ドラマの仕掛けが見えてきて、もっとおもしろくなります。たとえば、タムドクを間にはさみ対立する熊族のセオと虎族のカジンの因縁の始まりは、「韓国人のルーツは熊」という建国神話をモチーフにしているんです。


その建国神話は、次のようなもの。天から降りてきた神の息子・タングンのところに、人間になりたいと願う熊と虎がやってきました。タングンは洞窟の中に100日間閉じこもり、にんにくとよもぎだけで生きられれば人間になれると教えます。結局、我慢しきれなかった虎は洞窟を飛び出し、100日を耐えた熊は、人間の女性に生まれ代わり、タングンの妻になります。タングンと熊女は古朝鮮という国を作り、これが今の韓国、韓国人となったというわけです。ドラマでは、ストーリーがどのように展開するのか、楽しみにしていてくださいね。


そして『太王四神記』の主人公は、もちろんヨン様ことペ・ヨンジュン。彼の存在感は「冬ソナ」以上で、毎話少しずつ逞しく強く磨かれていく太陽のようなオーラは、「太王」そのもの。今までの出演作の中でも、最高の演技を見せてくれます。そしてもうひとりの主人公は、なんといってスジニ役のイ・ジア。キム・ジョンハク監督がまったくの新人がいいということで、30回以上もオーディションをくり返し選び出した真珠のような女優です。米国でグラフィックデザインを勉強していた学生で、演技経験がまったくなかったイ・ジアは、今や検索サイトの検索キーワードランキングの上位の常連。「一体彼女は誰? なんてきれいなの~」と騒がれています。ヨン様と同じBOF所属だそうで、本人の手で作ったホームページも話題騒然。独特なデザインは本人によるものだそうで、忙しい撮影の合間をぬっては、毎日写真を更新してファンを喜ばせています。


日本では、12月4日から、全国8つの映画館で上映する予定がありますが、韓国でも「テサギ」をぜひ映画館の大きなスクリーンで上映してほしいと、ネットで「テサギ映画館上映を促進する会」を結成して、MBCとプロダクションにリクエストしている人もいます。あのドラマをテレビで観るのはもったいない! もっと迫力のある大きな画面と音質で、この物語を楽しみたいですからね。





済州島でヨン様に会えるかも?



ドラマの撮影は2007年11月現在も続いていて、済州島(チェジュド)を中心に、韓国全土にセット場が作られています。ヨン様は撮影中の落馬事故でひざを怪我し、剣を使う戦闘シーンでは親指の付け根の靭帯が切れるといった負傷が続いてますが、自分のせいで撮影がストップしてはいけないという責任感と精神力で困難を乗り越えているとか。だからヨン様は、同僚からも先輩からも一目置かれる、尊敬される俳優なんですね。これ以上怪我なく無事撮影が終了するよう、応援に行ってみませんか? 今ならまだ、済州島でヨン様本人に会える可能性は大きいですよ。


『太王四神記』のセット場ができたおかげで、海外はもちろん韓国全土から観光客が増えた済州島には、ロッテホテル済州があります。『太王四神記』の公式ホテルに指定されていて、ホテルの韓国料理レストラン「無窮花(ムグンファ)」では、「太王四神記特選メニュー」を楽しむことができます。また、館内にある免税店では、ポスターも贈呈中です。


ところで、ホテルのロビーにある噴水をよ~く見ると、龍や孔雀が……。あれ? これは「四神」ではありませんか! 噴水は『太王四神記』の撮影より前にできたものですが、これを見ると、ロッテホテル済州は公式ホテルになることを運命づけられていたのかもしれないと思ってしまいます。ニッコリアでも太王四神記の聖地・済州島の知られざる魅力をたっぷりお届けするため、特集を準備中です。済州島に行くなら絶対今が旬ですよ!


貯金から融資まで。金融業界も大注目のサイバーマネーマーケティング

会員数1900万人、韓国では前例のないネットベンチャー成功神話として日常生活の一部になっているCyworld。日本では苦戦しているようだが、韓国では10~30代の中でCyworldに加入していない人を見つける方が大変なほど根付いている。このCyworldの中でBGMやアバタ、背景画面などを購入する際に使われるサイバーマネー「ドトリ」(どんぐり)。1個100ウォンで一日平均2億5千万個売れているそうだ。すごすぎる!

利用額に応じて電子マネーを発行するクレジットカードも登場


 CyworldでかっこよくSNSサイトを作るためには最低50~100個のドトリが必要だ。これぐらい投資しないと、下着のままがらんとした部屋で私を待っているミニミー(アバタ)がかわいそうでたまらなくなってしまうのだ。またドトリはCyworld内のショッピングモールでも使えるし、映画や海外ドラマVOD、電子ブック、オンライン音楽などのデジタルコンテンツ購入にも使える。ドトリを寄付して東南アジアの貧しい国に学校を建てたり、養護施設を援助したりもできる。


 ドトリはB2Bモデルも成功している。特定商品や映画、ドラマなどの宣伝用Cyworldにアクセスしてイルチョン(一寸、親と子の関係、 Cyworldでは友達より濃いネット上で縁組みした仲という意味で使われる)になるとドトリがもらえるイベントがよく開催されている。企業は顧客を集められるので満足、顧客はドトリがもらえるので満足、というわけだ。そのため韓国でサイバーマネーといえばドトリなしでは話にならない。


 リアルの札束にしか興味がないはずの金融業界も、このドトリに目をつけマーケティング競争を始めた。それぞれ銀行とまだあまり縁がない10代を早期に顧客として確保することに加えて、ネットでの口コミ効果を狙っている。


 大手クレジットカード会社であるLGカードと現代カードは「ドトリカード」を発行している。新規に加入するとカード発行記念としてドトリが100 個、毎月20個ずつもらえる。カードの利用額に応じて0.3~3%のマイレージの代わり、ドトリが貯まる。ドトリは自分のお金で買うのはもったいないけど、あればあるほど嬉しいものなので、20代女性を中心に契約が増えている。


 今まではガソリンスタンド、デパート、大手スーパーなどが主な提携カード発行元だったが、インターネットが生活に溶け込んでいる韓国ではサイバーマネーやポータルサイト、デジタルコンテンツと提携したカードが続々と登場している。カード会社にとっては初めてクレジットカードを申請する20代をターゲットにした新しい収益モデルなわけなので、加入者がそれほど多くなくても損はしない。


外換銀行はドトリの融資も実施


 仁川空港にも入店している外換銀行は2006年10月、金融業界では初めてネットでしか運営されないCyworld支店をオープンし、話題になった。


 Cyworldのサイバーマネーである「ドトリ」を貯金すると訪問者数に応じてドトリで20~100%の利息が付き、ドトリの融資もしている。融資は抽選で選ばれた40人にドトリ500個を貸出、外換銀行のニュースや広告を自分のSNSサイトに掲載したりコミュニティ活動で返済する方式だ。サイトそのものは身近なドトリを利用して金融商品を分りやすく説明するのが目的だが、予想以上の反響があったため、今後SNSサイトの利用頻度や人気度に応じて利息率が違うドトリ貯金も発売するそう。企業銀行では冬休みの間、500ドル以上両替した顧客を対象に毎日先着30人にドトリ30個をプレゼントしている。


 韓国にはサイバーマネーを商品券や携帯電話料金決済、保険料納付などオフラインで使えるようにしてくれる仲介サイトがある。ドトリやオンラインゲームでのサイバーマネーがいっぱい貯まれば仲介サイトを利用して映画チケット、図書券に交換する人も少なくない。ちょっとしたプレゼントや誕生日プレゼント、お年玉もサイバーマネーで済ませることが多く、筆者も去年に続いて今年もお年玉はドトリやゲームマネーが買える図書券にするつもりだ(韓国のお正月は旧暦)。この頃はネット利用人口の裾が広がっていることから、Eラーニングやドラマ再放送VODのためサイバーマネーを購入する50~60代も増えている。上司がドトリをチーム員達にプレゼントしたとか、遠くに住む友達にちょっとしたプレゼントがしたくてドトリを買ってあげたという話もよく聞く。


 韓国信用回復委員会が高校生810人を対象に調査した結果、63.7%がサイバーマネーを定期的に購入していると答えた。韓国のサイバーマネー流通額は年間1兆ウォンを遥かに超えるものと推定されている。


 サイバーマネーは単にゲームのため、自分のSNSをかわいくするためのサイバー上の貨幣というより、オフラインからオンラインへ移行している 10~20代の交友活動にはなくてはならない存在となってきた。サイバーマネーとリアルマネーの区分がなくなる日ももうすぐなのかも知れない。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年1月9日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070109/258227/

韓国大手企業の2006年成績表・サムスンとLGの極端な差はどうして?

12月が年度末の韓国ではちょうど今頃、企業の推定実績発表と人事異動がマスコミを賑わす。朝鮮日報の報道によると、韓国企業ランキング100位までの大手企業の2006年度実績は、売上高が前年比7.07%増加した547兆576億ウォン(注)だが、営業利益と純利益はそれぞれ1.45%減、5.94%減の48兆3757億ウォンと43兆6523億ウォンだった。

 円安の影響から、海外市場でノートパソコンやHDTVなどの家電や自動車は、日本製の方が韓国製より安いという現象が発生した。韓国製品は価格競争力が落ち、輸出への依存度が高い企業は売れるけど儲からないという問題を抱えている。


韓国でも貧富の差は開く


 韓国を代表する自動車メーカーといえば現代自動車だが、不正資金工作・横領問題で会長が逮捕されたことに加えて、組合のリストラ、円・ドル安ウォン高と内外から締め付けられ純利益は32%も減りそうだ。日本市場には、ヨン様をモデルに起用し、韓国の国民車として愛される「ソナタ」を投入したが販売は苦戦し、ネットでは「日本の主婦向けにセダンを売り込むのは日韓の差を認識せずヨン様だけに頼った戦略の間違い」と指摘されてもいた。


 一方で、輸入車を扱う現代自動車の子会社はウォン高から外車の値下げ効果があり、売上高、純利益とも40%ほど成長した。景気が悪いといっても韓国国内での貧富の差は広がっている。実際には余裕資金の多い個人は増えていて高級外車と輸入食材、輸入赤ちゃん用品は飛ぶように売れている。今年のファッションはあまり寒くもないのに毛皮がトレンドだそうで、通勤の満員電車に毛皮で乗り込むOLが増えていて、私としてはくしゃみが止まらなくなるから困るくらいだ。


 大手企業の動向の中でも特に注目されているのは韓国の2大財閥系企業、サムスンとLG。2社の2006年の実績は極端な差が出た。時価総額韓国国内1位のサムスンはまずまずの実績を達成したのに比べ、LGは悪夢の1年というほど実績が落ち、グループ内の中核会社であるLG電子のCEO交代まで断行したほどだ。


 LGは今年グループ全社が大幅の純利益減少となった。主力事業の家電は純利益が54.5%減少した。LG電子製の携帯電話の人気が落ち、前々回紹介した「チョコレート」携帯が唯一の救いとなった。2005年純利益5170億ウォンでお祭り騒ぎだったLGフィリップスはLCDの価格急落で8000億ウォンの赤字、通信キャリアのLGテレコムも純利益11.74%減少、化粧品や洗剤などのLG生活健康は12%減少、LG化学は24.03%減少、持ち株会社のLGも26.49%減少した。


 LGは責任を追及するかたちで大規模な人事異動を断行し、グループ内の代表理事(日本でいうところの代表取締役)8人が新しく入れ替わった。今まで「和」を重視した人事から一変して、徹底した成果主義と未来志向的、グローバル経営強化の3つの原則に沿って行ったと発表した。LG電子の代表理事にはナム・ヨン前LGテレコムの社長が抜擢された。30年間LGに勤めた戦略通と呼ばれる人物で、攻撃的マーケティングでLGテレコムの加入者を増やし雨後の竹の子ように成長させたのが高く評価された。オーナーである会長の秘書室長でもあった人物だ。


 サムスンは営業利益は減ったものの純利益は4.44%増えた8兆ウォンと予想されている。サムスン物産や子会社の純利益も100%以上の成長が見込まれていることから「やっぱりサムスンは危機に強い、賢い企業」と評価されている。毎年年末になるとサムスン電子やキャリアのSKテレコム、LGテレコムは基本給の700~1000%がインセンティブで支給されると報道され、サラリーマン達を憂鬱にさせていたが、今年はどこも大規模なインセンティブは支給されない様子。でもサムスンは会社別の実績に応じて基本給の150%以内で支給し、1月には事業部別の目標を超過した利益を年俸として支給する制度があるため、事業部によっては年俸の50%近い金額をボーナスでもらえる人もいるということだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2006年12月26日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20061226/257737/