韓国のSamsung Electronics社とSamsung Advanced Institute of Technology社、Samsung Research社が2023年11月7~8日にフォーラム「Samsung AI Forum 2023」を水原(スウォン)市とソウル市で開催した(図1)。第7回となる今回の目玉は、何と言ってもSamsung Research社が自社開発した生成AI「Samsung Gauss」である。同社はSamsung Electronics社の家電やスマートフォン、ノートパソコンなどの先行研究開発を担う組織である。「Samsungグループも米OpenAI社のChatGPTのような生成AIを発表するだろう」といった声が2023年5月ごろから聞かれていたが、ついに同フォーラムでお披露目された。
まずAI搭載家電として紹介したのは、同社の高級家電「BESPOKE」シリーズである。冷蔵庫などにはエネルギー消費量を削減する「AI Energy Mode」、洗濯機には洗濯物の重さや汚れ具合を検知し最適な洗剤量を自動投入する「AI Wash」、オーブンには調理する料理をリモートでモニタリングする「AI Pro Cooking」などのAI機能を搭載した(図1)。
経済協力開発機構(OECD)のWebサイトでも紹介されている、英ニュースメディアTortoise Media社が2023年6月に発表した「The Global AI Index」1)で韓国は6位となった(図1)。AIに関するこのランキングはAIインフラ、運営環境、研究開発、政府政策、商用化などを点数化したもので、上位5カ国は米国、中国、シンガポール、英国、カナダだった。韓国の科学技術情報通信部(部は省に当たる)によると、自国語の大規模言語モデル(LLM)を保有するのは米国、中国、イスラエル、韓国ぐらいで、これも順位に影響したと見ている。
2023年4月19日から21日にかけて韓国ソウル市のCOEX展示会場で「World IT Show 2023」が開催された。今回で15回目を迎える韓国最大規模のIT展示会であり、韓国のICT政策を担当する科学技術情報通信部(部は省に当たる)が主催し、産業通商資源部が後援する政府肝いりの展示会だ。韓国の大手企業からスタートアップ、研究機関、政府機関に至るまで新技術や新製品を広くアピールする場でもある。