.
日時:1月9日(火)16:00-17:30 ※訪問先の都合により時間延長の可能性もございます。
会場:Las Vegas Convention Center
内容:家電、スマートホーム、生成AI、モビリティ、ロボティクス、サステナビリティに焦点を当てて、韓国ITジャーナリスト「趙章恩」氏が同行解説・通訳します。
.
韓国のバッテリー大手であるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)が2023年10月11日に発表した暫定決算によると、2023年7~9月期の営業利益が7312億ウォンとなり、過去最高を更新した。前年同期比で40.1%の増加となる。売上高は8兆2235億ウォンで前年同期比7.5%の増加だったが、前期比では6.3%の減少となり、2022年1~3月期から続いた売上高の記録更新はストップした。それでも2023年1月から9月までの累積売上高(25兆7441億ウォン)と営業利益(1兆8250億ウォン)は過去最高だった2022年の売上高(25兆5986億ウォン)と営業利益(1兆2137億ウォン)を早くも超えた。
LGエナジーソリューションが好調なのは大きく2つの要因が影響しているとみられている。1つは北米市場における電気自動車(EV)向けバッテリーの販売拡大と気候変動対策、もう1つは4300億ドル規模を投じる米国のインフレ抑制法(Inflation Reduction Act、IRA)に関するものだ。IRAは北米でバッテリーを生産する企業を対象に税額を控除するものだ。
実際、2023年7~9月期の営業利益には米インフレ抑制法の税額控除に相当する金額2155億ウォンが含まれている。税額控除は北米内で生産・販売したバッテリーセルとモジュールに対する補助金である。セルは35米ドル/kWh、モジュールは10米ドル/kWhがそれぞれ支払われる。LGエナジーソリューションは2026年に北米で年間342GWh規模の生産ラインを完成させる。以降は生産量も伸び、米インフレ抑制法による税額控除が11兆3000億ウォン規模に上ると見込まれている。米インフレ抑制法の恩恵を最も受ける企業がLGエナジーソリューションという報道もあった。
一方、前期比で売上高が減少した要因は欧州市場におけるEV需要の減少とみられる。LGエナジーソリューションは今後、グローバル市場での工場増設と安定的な運営、生産原価の改善、北米市場の販売拡大で売上高を伸ばしていくとした。北米工場の増設による生産性向上、トヨタ自動車をはじめ完成車メーカーとの協力を拡大するなど、売上高が伸びる要素はいくつもある。
2023年10月5日、LGエナジーソリューションはトヨタの北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)と年間20GWh規模のバッテリーモジュール供給長期契約を締結したと発表した。LGエナジーソリューションはミシガン工場に約4兆ウォンを新たに投資して、2025年にトヨタ専用のバッテリーセルとモジュールの生産ラインを新設・稼働、年間20GWh規模を供給する。
LGエナジーソリューションがトヨタとバッテリー供給契約を結んだのは今回が初めてである。これにより、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)、日産自動車とフランスRenault(ルノー)、韓国・現代自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)と世界トップ5の完成車と全て契約を結ぶことになった。中でもトヨタとの契約は、EV用のバッテリー生産会社との合弁契約を除き、単一供給契約としては最大規模となる。LGエナジーソリューションのミシガン工場で製造したハイニッケルNCMA†パウチセルを搭載したモジュールをToyota Motor Manufacturing Kentucky工場でパックに組み立て、トヨタが北米で生産する新型EVモデルに搭載する。
韓国では両社ともに北米のEV市場における競争力が高まったと評価する声がある。世界で最も自動車を販売しているトヨタと契約を結んだことでLGエナジーソリューションは売り上げを確保でき、トヨタは北米で安定的にEV向けバッテリーの供給を受けることで果敢に市場を攻められるからだ。北米は欧米に比べてEVの普及率が低く、政府が積極的になっているため成長が見込める市場である。LGエナジーソリューションは北米に2カ所の単独工場と6カ所の合弁工場を運営している。同社は2023年6月時点で受注累積残高が440兆ウォンと公開したが、韓国証券業界は同年9月時点で600兆ウォンに達したとしていた。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2023. 10.
-Original column
.
韓国では激減した文具店が新業態に活路を見いだしている。韓国統計庁によると、1999年に全国で約2.7万店あった文具店が2023年5月には約8000店まで減少した。理由は少子化だけではない。憲法で義務教育は無償と定めているとして、教科書のほかに制服、体操着、給食、学習に必要な文具類なども国が無償で提供するようになったのだ。
11年からは全国の学校が授業に必要な物を一括購入して生徒に提供する「学習準備物支援制度」が始まった。地域の文具店から購入する学校もあるが、ほとんどは公開入札で最低価格落札方式を採用しているため、大型流通会社の方が有利である。
残り280文字(全文555文字)
今すぐ登録して続きを読む
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
週刊エコノミスト
2023. 5 .
-Original column
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230606/se1/00m/020/062000c
新型コロナウイルス禍以降、家飲みが定着した韓国で、1990年代半ば以降に生まれたZ世代を中心にハイボールがはやっている。韓国ではよく焼酎とビールを混ぜた「ソメク」を飲むが、ハイボールはそれよりアルコール度数が低く、果汁や紅茶を混ぜて自分で好みの味に仕上げられるところが人気だ。自分のハイボールレシピをSNSに投稿する人も多い。ハイボールはフォトジェニックでおしゃれな、カクテルのような位置付けといえる。
大手スーパーのEMARTでは今年1~2月、ジンロのような韓国の焼酎の売り上げより洋酒(ウイスキー、ブランデーなど)の方が4%ほど多かった。焼酎より洋酒が売れたのは初めてだ。洋酒を購入した人は30代以下が39.4%、40代24.3%、50代17.1%と若年層が多かった。ハイボール人気を裏付けるように、2022年のウイスキー輸入額は2億6684万ドルで前年比52.2%増加した(関税庁統計)。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
週刊エコノミスト
2023. 4 .
-Original column
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230418/se1/00m/020/070000c
.
韓国でペットの増加に伴い動物病院の医療費透明化が課題になっている。農林畜産食品部(部は省に当たる)によると、2022年時点でペットを飼っている家庭は25.4%、平均費用は1頭1カ月当たり約15.4万ウォン(約1万6000円)で3分の1が医療費だった。国会の調査で、動物病院の診療費や検査費、手術費などに最大80倍の差があることもわかった。
韓国では1999年から動物病院の自由競争が認められ、すべての医療費は獣医が自由に決めている。だが、「病院によって差がありすぎる」「算定基準を明確にすべきだ」という声が長年出ていた。
残り287文字(全文548文字)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230314/se1/00m/020/060000c
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
週刊エコノミスト
2023. 3 .
-Original column
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230314/se1/00m/020/060000c
.
米商務省は2023年9月22日(現地時間)、米CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)により米国の補助金を受け取る企業に対する国家安全保障ガードレールの最終規定を公表した。
米国の半導体支援補助金を受け取る場合、今後10年間、懸念国(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)での半導体の設備投資や実質的な増産、技術協力を制限する。ガードレール規定に違反すると受け取った補助金の返却を迫られる。韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は米テキサス州オースティン市に半導体工場があり、テキサス州テイラー市にも半導体工場を新設しているため、米半導体補助金を申請済みである。韓国SK Hynix(SKハイニックス)は米国工場建設のための敷地を探している段階である。
ガードレールの最終規定は(1)生産能力制限と(2)技術協力制限の大きく2つがある。
(1)補助金を受け取った時点から10年間、ウエハーの投入量ベースで5%まで生産能力(設備)拡大は認める。旧世代(28nmプロセス以前)のレガシー半導体設備は10%まで生産能力拡大を認める。これらの設備で生産した半導体の85%が最終的に中国内需品として使われる場合は制限しない。
(2)懸念国との国家安全保障上でセンシティブな技術・品目の共同研究および技術ライセンシングを制限する。国家安全保障に脅威を与えない範囲で、既存の事業運営に必要な活動は対象外である。既に進行中の研究は米商務省と協議した上で継続できる。
産業通商資源部(「部」は日本の「省」に当たる)の半導体課は2023年9月22日付けの報道資料を通じて次のように説明した。「ガードレールはあるが、国家安全保障上で問題のない正常な経営活動は保障される見通しである」「(韓国)企業が中国で運営する生産設備の維持と部分的な拡張を保障し、技術アップグレードも持続的に認められた。ウエハー投入量ベースが月単位ではなく年単位に変更され、当初は重大な取引制限としていた10万米ドル以上の設備投資が制限される件についても、米商務省と企業と協約で決めるよう変更できた」「これからもグローバル半導体の供給網強化と企業の投資・経営活動保障のため政府は米国と緊密な協議を続ける」というのが主なコメントだった。
このように産業通商資源部はガードレール規定があっても企業の正常な経営活動は保障されるので問題ないという立場だが、韓国メディアや産業界の反応は少し違っていた。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
(NIKKEI TECH)
2023. 9.
-Original column
.
1月21日から24日は韓国のソルラル(正月)の連休だった。韓国も年末年始には親戚にお歳暮を贈るが、今年もスマートフォン経由で送信し、受け取った人がお店で商品と引き換えできるモバイルギフト券が人気だった。コンビニで使える少額ギフトからホテル宿泊券やブランド商品まで幅広くそろい、電話番号かメッセンジャーアプリのIDさえ知っていれば気軽に贈れる。以前は、お歳暮は直接会って渡すものだとモバイルギフトを嫌がる人もいたが、非接触型社会が続き文化が変わ…
残り335文字(全文557文字)
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
週刊エコノミスト
2023. 2.
-Original column
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230221/se1/00m/020/062000c
.
2022年のサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で、韓国はグループリーグを突破してベスト16入りした。それだけでなく、米経済誌『フォーチュン』が選定したW杯のソフトパワー・ランキングで、フランスに次ぐ2位になったことが話題を呼んでいる。
ソフトパワーは外交政策の概念で、軍事力などのハードパワーに対し、文化などの魅力によって世界に訴えかける力を指す。今回のW杯では、開会式で韓国のアイドルグループBTSのJungKook(ジョングク)さんが、公式…
残り342文字(全文570文字)
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
週刊エコノミスト
2023. 1.
-Original column
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230124/se1/00m/020/066000c
.
韓国の冬はキムチで始まる。気温が5度以下になると1年間食べるキムチを大量に漬ける「キムジャン」をする。全国各地の福祉団体や大手企業もキムジャンをし、一人暮らしの高齢者や低所得層におすそ分けするのが毎年の恒例行事だ。
ところが、韓国農村経済研究院の調査では、家でキムチを漬ける家庭は6割程度、キムチを食べる量も1人当たり1日平均112.4グラム(2008年)から89.2グラム(18年)に減少した。
食生活の変化で韓国内の消費量は減る一方、輸出は好調だ。農林畜産食品部(部は省に当たる)によると、キムチを含む農産品と農産物加工品の輸出総額は過去最高を更新する勢いで、22年1~11月は80.8億ドル(同4.0%増)。年末には90億ドルを見込んでいる。キムチ輸出対象国は12年の62カ国から22年には89カ国に増加した。22年は特に対米キムチ輸出が伸び、1~11月は輸出量7991トン(前年同期比9.…
残り192文字(全文591文字)
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
週刊エコノミスト
2022. 12 .
-Original column
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230103/se1/00m/020/072000c
.
ソウルの梨泰院(イテウォン)で150人以上が亡くなった転倒事故後、韓国内では心肺蘇生法と自動体外式除細動器(AED)の使い方を学ぶ人が増えている。学校や公共機関、大手企業などでは年に数回応急処置の講習を実施しているものの、実際にできるかどうか不安という人が多く、ユーチューブにアップされたの韓国消防庁の動画の再生回数も伸びている。
梨泰院転倒事故の際、市民らが救急隊員を手伝い、心肺蘇生を行ったが、一命を取りとめることができた人は少なかった。AEDを同時に使うことで蘇生の可能性が高まるというが、現場で使えたAEDは地下鉄の梨泰院駅と警察の派出所にあった2台のみ。近くの学校などにもAEDはあったが、事故発生時は夜で建物が閉まっていたため使えなかった。
残り229文字(全文556文字)
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
趙 章恩=(ITジャーナリスト)
週刊エコノミスト
2022. 11 .
-Original column
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221206/se1/00m/020/062000c