PrayForJapanに PrayFromKoreaを添えて~日本に届け韓国からのTwitterエール

.東北地方太平洋沖地震(東日本巨大地震)の発生を韓国の人々が知ったのは、やはりTwitterからだった。携帯電話が通じない中、スマートフォンのメッセンジャーを利用して被害状況は刻々と伝わった。東京に住む韓国人のほとんどは地震で怖かったというより「日本はすごい!」というメッセージをTwitterに残した。

 津波の被害は甚大だが、地震そのものでは建物が崩れたりする被害が少ないことにまず日本はすごい!とつぶやく。交通が麻痺して家に帰れないかもしれないというのにパニックになるどころかみんながバス停で並び運行再開を待ち、至る所に椅子が置いてあって休めるようにしたりトイレを使えるよう開放したりすることに日本はすごい!とつぶやいている。


 また、日本では英語だけでなくいろんな国の言葉で災害情報を流すボランティアが多いことにも驚いていた。韓国語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、ロシア語、ルーマニア語などありとあらゆる言語で災害情報が提供されている。家族と一緒に日本に来たものの、日本語も英語も分からない主婦や子どもにとって、自分の国の言葉で迅速で正確な災害情報を得られることは何よりも心強いだろう。


 地震発生時、ドラマのプロモーションやアルバム発売記念イベントなどで東京を訪れていた韓国の人気芸能人が10人以上もいた。


 その芸能人らはTwitterで、地震が発生したと同時にテキパキと対処するテレビ局やホテルの社員達の姿に感動したとつぶやいている。地震は初めてでおろおろしてしまった韓国からの一行を安全な場所へ避難させてくれ、帰国するまで「私達は地震に慣れているからいいけど、韓国は地震がないから驚いたでしょう?」と逆に励ましてくれたそうだ。


 韓国企業の東北支社に勤める人からは、自宅の被害が大きいにもかかわらず会社に残り取引先の安否を確認したり、工場の生産や物流の調整を行う日本人社員の強い責任感に感動したというつぶやきが続いている。日本人社員らへの恩返しのためにも、被災地にできるだけ多くの物資を送るとしている。東京から東北地方へ商談に来ていた韓国人のために、余震が続く中、ほぼ1日かけて車を運転し東京まで連れてきてくれたという話が新聞で紹介され、どんなに大変なときでも他人を配慮してくれる日本人の心を韓国人は忘れてはならないというコメントが数百件も書き込まれた。


 福島の原子力発電所に関しても、「とても危険な状況だと知っていながらも、黙々と仕事を続ける職員のみなさんはすごい。韓国だったら…」と日本人の強い精神力を称賛する書き込みもどんどん増えている。東日本巨大地震をきっかけに、日本を見直した、日本が好きになったという人も数知れない。


 日本で活躍している韓流スターらの寄付リレーも始まった。ヨン様ことペ・ヨンジュンは日本内閣府傘下政府基金に10億ウォン(約7000万円)を寄付した。茨城空港でイベントを開催したばかりだったチャン・グンソクは日本赤十字に1000万円、リュ・シウォンは2億ウォン(約1400万円)の寄付だけでなくボランティア活動を始めると公表した。ソン・スンホンは韓国で行われている被災地復旧募金に2億ウォンを寄付した。KARAは新アルバムの収益全額を寄付するとしている。韓流スターのファンクラブも賛同し、寄付金を集めている。ネットで行われている募金には半日で3000人近くが参加している。


 サッカーのパク・チソン選手は、「日本で選手生活を送りながら情を感じていた私としては非常に驚き、残念な気持ちでいっぱいです。私たちは人間だからこそ自然の前では無力で仕方ありませんが、人間だからこそ互いに助け合い、頼り合い、力付くことができると思います」と、本人の財団ホームページに直接日本語で応援のメッセージを残している。日本で選手生活をし、それをバネにして韓国代表となりイングランドプレミアリーグにも進出できただけに、力になりたいと思う気持ちも人一倍のようだ。


そんな中、日本の大学生が立ち上げたという「pray for japan」は韓国中を泣かせている。全てのつぶやきが韓国語で翻訳されていて、リツイート(RT)する人は数え切れないほど増えている。

「感動した。日本のためにできることを探そう」、「どんな最悪な状況でも未来を語る日本はやっぱり強い」、「涙が止まらなくなった、胸が痛くて何もできない」、「がんばれ日本。世界中が見守っているから元気出してほしい」、「日本人、カッコよすぎるじゃないか。韓国でこのような災難が起きたとしたらこんな行動はできなかったかも」、「先進国というのは経済規模だけじゃない。こういう精神力を持っているから日本は先進国なんだ」、「行方不明者が多いけど、家族が元気な姿で再会できることを祈ります」、「災難時には我先にとなりやすいのに、他人を配慮する日本人はすごい」、「他人事と思えない。地震のニュースを聞いてから食事をするのも申し訳ない気分になってしまう」などなど。今回の災害は日本だけの苦しみではない、韓国は日本から最も近い隣国だけに他の国よりもっと積極的に支援するべきだと口をそろえている。


 韓国でも韓国語で書いたメッセージが日本人の目に留まるよう自動翻訳を利用して日本語に直し、#prayforjapanと#prayfromkoreaのハッシュタグを付けてつぶやいている。自動翻訳サイトには「史上最悪の地震で苦しんでいる日本の友達に励ましと慰労のメッセージを送りましょう」と書かれてある。






Twitterだけでなく、明洞をはじめソウル市内のあちこちで「Pray for Japan」のメッセージボードが立てられ、市民らがみんな足を止めて日本へのメッセージを書き込んでいる。

 毎週水曜日、ソウルの日本大使館の前で従軍慰安婦被害に抗議するための集会が開かれているが、今週は抗議集会ではなく地震で亡くなった方々を追悼する集いにすることが決まった。集会をまとめている協会は、「東日本巨大地震は日本だけの苦しみではない。この惨事は国境と民族を越え世界みんなの悲しみであり、一人でも多くの人が救助され、一日でも早く復旧されるよう祈っています」と発表した。


 韓国政府はどの国よりも先に救助団を派遣した。医療支援団も非常待機させている。日本から要請があった場合、いつでもすぐ派遣できるよう体制を整えている。社会福祉団体や宗教団体からも65万米ドルを超える寄付金が集まり、被災地の子どものための救護活動を準備している。


 韓国のことわざには十匙一飯(シプシイルバン)という言葉がある。韓国はご飯をスプーンで食べるので、ご飯10スプーンが集まれば一人分のご飯になるという意味を持つ。どんな苦しみもみんなで分け合い助け合えば軽くなる、一人の小さい力でも集まれば大きな力になるという思いが込められている。韓国では十匙一飯で東日本巨大地震の再建を助けたいと願っている。他人に迷惑をかけてはならないという日本式の考えは韓国には通用しない。必要なことがあればなんでも言ってほしい。どんどん要求してほしい。韓国は日本の最も近い隣国だから。チング(友達)だから。



趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2011年3月16日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20110316/1030799/

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