第18回:『太王四神記』のストーリーがわからない人のために 7

【第十八回】

『太王四神記』のストーリーがわからない人のために 7







自分の運命に気付いたスジニ



我らの「ペハ」ことヨン様は、ニューヨークでひとり暮らしを満喫? かと思いきや、「LAのコリアンタウンで目撃しました!」という情報がどんどんネットに投稿されていました。「美容院にいた(?)」、「皮膚科にいた(?)」などの出没情報が寄せられていますが、LAにいる知人と会ったり、楽しい時間をお過ごしになったのは確かなようです。またもや妄想モードですが、異国の地でヨン様とバッタリ! なんてことになったら、あ~私は自信がありません。間違いなく、その場で何も言えず失神です。^^


今日はスジニ役で今や韓国で最も輝いている期待の星となった、イ・ジアさんのニュースから。


『太王四神記』で女優デビューしたなんて信じられないほど安定した演技を見せてくれた、ジアさん。もうキム監督ったら、どこからこんなすごい新人を見つけたのかしらと、生意気にも感嘆するばかりです。グラフィックデザインを勉強していた学生だったのに、初のドラマ出演でいきなり準主役を勝ち得たシンデレラガールと見られがちですが、30回のオーディションを勝ち抜いてきただけに、タフな面もあります。厳冬の中、セオを演じるため薄い衣装一枚で山を走り回り、馬に蹴られ、蜂に刺され、それでも撮影を休むことのなかった根性の持ち主ですよ。そのタフさは、2008年秋公開予定の作品でも活かされています。


次回作はイ・ジアさんにとっては2度目のドラマ出演で、もちろん主役。日本の『のだめカンタービレ』とよく似たオーケストラと音楽を軸にしたドラマで、その名も『ベートーベンバイラス(ベートーベンウィルス)』。イ・ジアさんは天才的なバイオリニストの役なのですが、このドラマの出演が決まるまで、バイオリンに触ったことすらなかったといいます。なのに!! なんと!! 最初の撮影で、プロ並の腕前でベートーベンの「ロマンス」を淡々と弾き、監督とスタッフなど、その場にいた人全員の度肝を抜かせたそうです。プレミアムイベントで大阪に来ているあいだも、バイオリンを離さず練習を続けていたそうで、一度やると決めたことは、何がなんでもやってみせるという精神の持ち主。やっぱり凡人ではないのですね・・・。


さてさて、ついに今回のストーリー紹介はあの名場面! イ・ジアさんが感情を抑えきれず涙を流しすぎてNGになってしまったという、19話のあのシーンをご紹介します。


スジニがチョロと一緒にキハを訪ね、キハがチョロに火を放ち、苦しむチョロを目にしたスジニがチョロの胸に手を当てると火が消えました。スジニは正気を失い、刀に火をつけてキハを攻撃しました。その瞬間、キハのお腹の中にいた赤ん坊の力で、スジニは吹き飛ばされ、気を失ってしまいます。その衝撃でキハは火天会に操られるようになる前の記憶が蘇り、スジニが妹であることを自覚しましたね。


そのあいだタムドクは、ホゲが目の色を変えて神物を探すあまり、善良な村人を次々に虐殺した契丹の地(ゴラン、高句麗とはまた違う民族が住む中国寄りの場所)へ行き、兄弟国になるためのプレゼントを渡すべく遠征に出かけようとします。ホゲの父であるヨン・ガリョは、タムドクが契丹と手を結べば、ホゲも彼について行った4万人の兵士も見殺しにされるかもしれないと手紙を送ります(でも本当はホゲを助けるためなのに……)。


ところで、スジニはその後ずっと気を失ったままでした。セオがそうだったように、怒りのため自分を抑えきれなくなったのです。眠りから覚めたスジニは言います。


「覚えてはいるんです。私が何をしたのか。でも自分で自分を抑えることができなかったんです。ただ、自分の意思とは無関係に怒り狂い、火の玉を消して、人を殴って・・・そして殺そうと襲いかかって。こういうことでしょ? 朱雀の主人が正気を失うって、こういうことなのでしょ?つまりは・・私が朱雀の主人だっていうことだよね。参ったな、もう。これ、やらなくちゃいけないのかな? 私、こんなのやりたくないって言ったらダメなのかな?」。


「昔の記録によると、朱雀の主人が正気を失ってチュシンの王を殺そうとしたんだってね。だから、私がいつまた正気を失うかわからないし、この世を燃やしてしまうかもしれないし、それで王様の手で殺されるかもしれないんだよね」。


「最後に一度だけ会わせて。本当にもう一度だけ。一度だけならいいでしょう?師匠が私を殺すことなんてできないじゃない。だって師匠が自分の手で私を殺せば、師匠は一生泣いて暮らすから。私を赤ちゃんの頃から育てて、汚いおむつも取り替えてくれたのに、今、私が知っていることもすべて師匠が教えてくれたことなのに・・・恩をあだで返すわけにはいかないよ。師匠、私、どうも師匠に負った借金、返せそうにないよ。許してね」……。








    あの名場面をじっくり噛みしめましょう!



    涙を浮かべたスジニの白い顔、小さい肩、強がっているけど心細くて、すがりつきたいような気持ちをかろうじて押し殺しているあの表情を見ると、「なんでスジニが黒朱雀なの!!」と、こっちが暴走したくなります。スジニなら、黒朱雀だとしても運命を変えられるはずですよね。


    火を使ったことは覚えているものの、怒りでそれを抑えることができなかったということは、やはりスジニは黒朱雀だったのです。いつ爆発して、この世を火の海にしてしまうかわからない。そうなったら王様の手で殺されるかもしれない・・・その前に黒朱雀になったら、父のような師匠であるヒョンゴが自分を殺すことになっている。そんな一生立ち直れない傷を師匠に負わせたくない。だから自分の足でここを出て行く。好きで好きでしょうがないタムドクの手で殺されるしかない運命だなんて……その時スジニは、どういう思いだったのでしょう。


    スジニはコムル村の元老達に、ひとりで遠くへ立ち去ると申し出ます。最後の頼みとして、自分を助けるためにケガをしたチョロを必ず生き返らせてくださいとお願いします。面倒見がいいのも大地の母、朱雀の性格なのです。


    チンダルレ(韓国の山でしか咲かないツツジの一種。春になると、葉より先に花が咲きます)のようなきれいなピンク色の服を着たスジニは、最後にタムドクに会いに行きます。あ~もう、このシーンを思い出すだけで涙が・・・。


    恥ずかしそうに、そ~っと部屋に入るスジニ。鎧を着ようとしているタムドクに、もじもじと話しかけます。


    「私がやっちゃいけません?」、「何だ、お前」、「何がですか?」、「何をひろって着てるんだ。どこ行くんだ。今度はちゃんとやれよ。前みたいに穴一個抜けたまま縛ったりするな。それに、どこをそんなにほっつき歩いているんだ。うしろにピッタリくっついているのが見えないから、気になるじゃないか。コムル村に何かあったのか? 先生たちが昨日の夜、急いで出て行ったけど。喋れよ」、「何をですか?」、「怪しいだろう。お前が静かだからさ。何かしでかしたのか?」、「ちょっと待って。ちょっとだけ、このままいてください。考えごとしているんです」、「お前泣いているのか? 王様のうしろから抱きつくヤツがいるか? 顔を見せろ」、「私まだ酔いがさめなくて。今度の酒は飲むと泣くって言ってたけど、本当だ・・・。これ(タムドクが託した母の遺品、香水)を返しに来たんです。いつか貸してくださったもの。返せっておっしゃらないから、ずっと持ってました。戦でも傷が付かないようにすっごく気を使ったんですよ。きれいなままでしょう? ・・・私も一度はこういうことが聞きたかったんです。お前もちょっとはきれいなところがあるんだねって。それでこんな服を着てきたんです。私もこういう服を着れば、少しはきれいに見えるんじゃないかって。どうせなら、こういう姿で覚えていてもらいたくて。あ~恥ずかしい。じゃ、これで」、「何を覚えてもらいたいんだ。話したいことがあるならちゃんと言え」、「酔っぱらいがどうやってちゃんと話せますか」、「お前は元々きれいだ。こんな服と関係なく、お前がきれいなんだ。気がすんだか?」、「あとで変なこと言わないでくださいよ」、「こんなことは二度言えない」、「それじゃ。行かせてください」、「早く酔いをさまして遅れずに来い。すぐ訓練が始まる。弓手部隊員がみんなお前を待っているぞ」、「わかりました・・・イムグムニム(王様)、イムグムニムの背中から、すっごくいい匂いがするんです。知らなかったでしょう?」。


    冗談っぽく、泣き笑いをしながら部屋を出てきたところに、ヒョンゴが立っていました。顔をぐちゃぐちゃにして、涙をこらえてヒョンゴは言います。「ノ、ウッキョ」(お前、笑えるぞ、おかしいぞ、という意味)。


    きれいな姿を見せたかった。酔っ払ったふりをして、タムドクをぎゅっと抱きしめて、息をいっぱい吸い込んで、自分の全身全霊をかけてタムドクの匂いを吹き込んで、その思い出だけで一生、生きていける……スジニはそう覚悟したのですね。男勝りでツンツンしているように見えて、実は誰よりも繊細だったんだ、スジニ。それを忠実に演じてくれたイ・ジアさんもすごい!








      今後は変化する衣装にも注目!



      私はこのシーンが大好きで、何度も何度も繰り返し観ては泣いて、観ては泣いて・・・みなさんも、ぜひDVDで観てじっくり噛みしめてくださいね。思いっきり泣くのもストレス解消にはいいそうですよ。DVDはニッコリアストアでも販売中です。


      この場面では「きれい」という表現として「イェプダ」、「アルムダプダ」ではなく、古風な「ゴプダ」という言葉が使われています。「ノド チョグムン ゴプグナ(お前も、ちょっとはきれいなところがあるんだ)」、「ノン ウォンレ ゴワ(お前は元々きれいだ)」という感じで使われました。


      「ゴプダ」はなんというか、ずば抜けて美しいというよりは、柔らかくてやさしくて、清楚で清潔感があって澄んでいて……といったいろんな意味が込められた「きれい」なんです。だから、とても心にぐっと来るセリフなんです。スジニと会えるのがこれで最後なんて夢にも思っていないタムドク。いつも手を伸ばせば届く場所……。昔キハに、「振り返ったら見える場所にいてほしい」と頼んだときのように、今はスジニが視界の中にいないと気になってしまうのに、それが愛だとまだ気付かないのか、それとも気付かないふりをしているのか・・・。


      一方、「もうどうなっちゃたの~~~」と突っ込まずにはいられないホゲは、ついにパソンの兄の居場所を突き止め、神物を手に入れます。


      タムドクと太王軍は、契丹の村から村へとゆっくり移動します。ホゲが無残に殺した村人の死体を火葬し(中には赤ん坊も・・・)、生き残った家畜の世話をしながら、契丹軍に見せつけるかのように無防備な姿をさらしながら移動します。


      しかし偵察隊が契丹軍に襲撃され全滅、かろうじて生き残ったひとりが、タムドクに契丹軍がどんどん勢力を増やしているという知らせをもたらしました。戦争だけはしたくなかったのに、太王軍と契丹軍の戦争が始まるのでしょうか! またもや、どうなるの~~。


      ストーリーからは外れますが、ひとつ気になることが……。国内城に戻ったころからでしょうか、タムドクの衣装の雰囲気が変わっていませんか? 太子から王になったので当然といえば当然ですが、前はしなやかな印象のデザインやカラーだったのに、チョロと一緒に国内城に戻り王様になってからは、すごくしっかりした仕立ての衣装で登場します。


      契丹に向かい、出発してからは鎧のデザインも変化がありました。胸の辺りに王の象徴であるボンファン(鳳凰)が描かれた鎧を着ています。コ・ウチュン将軍の胸にあった「井」マークもなくなっていますし。これにも何か深い意味があるのでしょうか? それとも考えすぎ?


      次回もお楽しみに!



       – BY  趙章恩

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      第17回:『太王四神記』のストーリーがわからない人のために 6

      【第十七回】

      『太王四神記』のストーリーがわからない人のために 6







      今、ヨン様はニューヨークの空の下



      みなさん! 『太王四神記』に関する新しいニュースです。ヨン様とヨンベアがガイド役をしてくれる脳トレーニングオンラインゲームが登場するそうですよ。これは絶対買っちゃいますよね。四神も一緒に登場してゲームを盛り上げてくれると、さらにおもしろくなりそうですよね。タムドクと四神にまた会える日が来るといいですね~。


      さて、大阪で行なわれたプレミアムイベントのとき、ヨン様は3年ぶりに韓国の記者達のインタビューに応えました。インタビュー嫌いで有名なヨン様が、日本では10時間以上もリレーインタビューに応えたのに、地元の韓国では取材に応じてくれないと拗ねている韓国のメディアも多いんです。でも、誤解を招くような記事ばかりで、ヨン様の発言を心で受け止めて記事を書く記者がいない、どうしようもない記事を記者が拡大解釈して、さらに変な記事を書くという、その繰り返しだったから、もう何も話さないほうがいいと取材嫌いになってしまうヨン様の気持ちもわかります。確かに、韓国ではヨン様を妬み、過少評価して適当なことを書く媒体が目立ちますね。ヨン様が築き上げた世界のヨン家族ネットワークを知らない人も多いんです。


      でも今回の『太王四神記』とプレミアムイベントで、韓国でもヨン様のすごいパワーを認め、彼を尊敬する雰囲気へと変わってきているようです。個人的に韓国のマスコミにお願いしたいのですが、いまだに「ヨン様の前恋人」というようなタイトルをつけて、どうでもいいことを報道するのはやめてもらいたいものですね。本人は何も言っていないのに、その女性の父親にインタビューまでして、今もヨン様と関連があるように見せかけるなんて……。部数を稼ぐためにそんなことにヨン様の名前を使うなんて、ヨン様家族として不愉快な気分になってしまいますが、みなさんはいかがですか?


      一方、ニューヨークでオフを楽しんでいるヨン様。毎日3時間ほどのスポーツジム通いは、国が変わっても続けているようで、ひとりで過ごす時間を大事にされているそうです。コミュニティサイトには、ニューヨークでのヨン様目撃写真が投稿されています。


      ヨン様はプレミアムイベント後のインタビューで、「アジアの家族のみなさんの身に余る愛に、いつも感謝しています。ドラマや映画を通さずに想いを伝えられる方法をずっと探しています」と話し、自分が生まれ育った韓国の美しさを伝えられるような写真集を作りたいという計画を明らかにしました。『太王四神記』のロケ地だった済州(チェジュ)島や丹陽(タンヤン)は、韓国の景勝地としてとっても有名なところ! 「どこを撮影するのか、これ以上ネタバレするとほかの人に先を越されるから秘密~」と笑っておられました。世界の家族がヨン様を通して韓国という国に興味を持ち、韓国に行ってみたいと思っていることを知っているからこそ、韓国を紹介するヨン様ならではの写真集を作ってみたいと思われたのでしょうね。大阪と東京、そして鎌倉でもカメラを手放しませんでしたが、ニューヨークでもあちこちで写真を撮ったり(またパパラッチに撮られたり)楽しんでいらっしゃるようです。








        切なく甘く、悲しすぎる場面の連続!



        そしてドラマのほうは、大阪のプレミアムイベント以来、いつになったらその美しい姿が見れるのだろうかと、首を長くして待っていたチョロこと、イ・フィリップさんがついに登場されましたね! 鉄仮面が結構怖くて、最初は「うわ~っ」なんて思っていたんですが、タムドクが神物を取り出したことで、見る見るうちに美男子に戻っていく場面は必見です。韓国ではイ・フィリップさんよりも、チョロの鉄仮面写真が先に公開されましたが、あまりにも巧みな特殊メイクだったので、「その中にこんな美男子が隠れていたなんて」と、そのギャップの大きさからいっそう話題になりました。


        さて、国内城に戻り重臣との誤解も解けたタムドクと、ちょっと平和を取り戻したようなフッケ将軍とヒョンゴ、チュムチ、チョロ、スジニ。スジニは城に戻るや否や、王様専用の酒蔵から、こっそりお酒を取り出します。その瞬間、フッケ将軍に見つかってしまうスジニ。フッケ将軍はスジニが孤児だと知り、自分の養女にしようとします。代々高句麗の王妃はフッケ将軍の家系から出ていて、先代の王様からも娘をタムドクの王妃にしてほしいと頼まれていました。しかしタムドクのセリフからすると、フッケ将軍の娘はすでに嫁いでしまったようです(フッケ将軍のセリフでは、「私には娘がいないから養女にならないか」と言っていますが……)。


        スジニは、フッケ将軍が率いる北軍には高句麗一の酒蔵があるということだけで喜んで! 張り切って! 娘になる気まんまんです。その夜はなんと!!! ミニにロングブーツという、とってもかわいい衣装で登場し、「今日はお父さんができる日なのに、こんな服でいいのかな~」なんて悩みますが、それがかわいくてかわいくて!


        スジニとタルグ、ヒョンミョンなどが集まり、フッケ将軍がスジニを養女にするのはタムドクの王妃にさせるためなんだと盛り上がっている頃、ヒョンゴはフッケ将軍を呼び出します。そして「スジニは百済の朱雀の神物を守っていた家で生まれた娘で、キハとスジニのどちらかが朱雀なのだが、まだわからない。スジニは赤ちゃんの頃、額に朱雀のマークが浮かび上がっていたことから四神のひとりである朱雀の可能性があり、朱雀は暴走すると黒朱雀になってこの世を火の海にしてしまうため、王妃にはできない」という出生の秘密を明かします。しかし! それをスジニが聞いてしまったのです。孤児で酒飲みでドンチャン騒ぎが好きで、ちょっと変わっているけれど、タムドクに恋をして仲間に囲まれて幸せな、平凡な女の子だと思っていたのに、自分は朱雀の運命を持っていて、いつ黒朱雀になるかわからないだなんて。過酷な運命を突然知らされることになったスジニは、ショックで涙を流します。火を操る力があり、子どもの頃、ヒョンゴに火遊びは絶対するなと念を押されていたのも、そのせいだったのかと嘆きます。


        そしてヒョンゴにこう聞きます。「私が朱雀の、そのなんたらになったらどうするの?」……ヒョンゴは苦しい表情で語ります。「そのような様子が見えたら、手遅れになる前にお前を殺さなくてはならない。だからこうやっていつも…お前を見守っているんだよ」。あ~なんてことを!!


        スジニはひとりでお酒を飲みながらぼーっとしています。そこへタムドクが現れたため、急いで隠れるスジニ。「出て来い。ここまで酒臭いぞ」と言うタムドク。ここからはタムドクの胸キュン! 心がジーンとするセリフが連発なので、注意深く観ないといけません!


        タムドクはスジニに、なぜフッケ将軍の養女にならなかったのかと聞きながら、「君は酒を飲み出すと最後まで止まらないくせがあって、僕は夜眠れないくせがあるから、いいじゃなか。こうやって夜な夜な一緒に過すのも」と言います。キャ~毎晩一緒にいようよっていうのは、もしかしてプロポーズなんでしょうか。しかもスジニの肩に手を回して、スジニが寄りかかれるように胸をかしてあげるところ!! ここはもう忘れられない名場面です。


        スジニは「養女になるという話を聞いて困ったでしょう。でも、ウソでもいいから、そうじゃなかったと言ってくれませんかと」聞きます。養女=王妃だからです。タムドクは「申し訳ないという気持ちになるかもしれない。残念と思うかもしれない。僕の最高の友達を失うから」と言います。ふたりの心が少しずつ距離を縮め、正直になろうとしています。スジニは何かを決意したような表情で、寂しそうな表情でこう言います。「私の名前の意味をご存知ですか? 人に飼われているけれど、空を飛ぶ鷹だって。それで無理やり捕まえて縛っておくと、長く生きられないそうです。おかしいですよね」。タムドクは聞いているのかいないのか、「あ~ジョッタ!(良い、気持ちいいという意味)」としか言いません。タムドクにとっては、こうやってスジニの隣に座り、スジニの体温を感じながらおしゃべりするこの時間が、何にも代えがたい平和で幸せなものだからでしょうか……。








          スジニは黒朱雀なの? その運命は!?



          心臓に刺さっていた神物から解放されたチョロは、スジニに特別な感情を抱きます。「百回も千回も同じ夢を見た。いつも空から見える世界、遠くにいる人たち、そしてその人がいた。その人に出会った。だから、神物はもういらない」。チョロはファヌン時代のセオの姿を夢の中で何度も見ていました。青龍でありながらセオに深い愛を感じていた、前世の記憶がよみがえったのです。


          一方チュムチは、さらわれたタルビとパソンを助けるため、北へ向かいます。殺して復讐されてまた殺して……タムドクは、そんなことを繰り返す戦争はもうしたくないと宣言します。戦争をしないで、百済や新羅と仲良くし、チュシンの領土を取り戻す方法を探します。ホゲにも今すぐ高句麗に戻ってこない場合は、反乱軍として扱うとメッセージを送ります。ホゲは白虎の神物を手に入れて来いというキハの囁きを聞いてから、人が変わったように残酷になりました。それが北にあるパソンの兄の手にあるという情報を手に入れると、すべての村で人々を虐殺し、パソンの兄を探します。そのためにタルビとパソンを拉致したのです。


          火天会の長老はキハが妊娠したことを知り、女の子だったら火天会の跡継ぎとし、男の子だったらその心臓を箱に入れて持ってくるようにサリャンに命令します。四神の神物を手に入れても、天の血を引くものの血がないと四神の封印は解けないからです。ヒョンゴとフッケ将軍は、火天会の者であると自分の口で告白したキハを天地新堂に置いてはならない、朱雀はファヌンの心を奪い、この世を火の海にしたと騒ぎます。つまり、タムドクがキハに未練があり、キハをそのままにしておくのではないか、それは危ないという忠告だったのです。タムドクは冷静に聞き、こう言い返します。「今私に、父である先代王を殺して母のような大神官を殺し、高句麗を揺さぶろうとした女人を心においているのかと聞いているのですか?」。それをまたまた偶然聞いてしまったのがスジニ。スジニは、タムドクの代わりにキハと対決してやろうと思いました。


          チョロと一緒にキハを訪ねたスジニは、火天会が朱雀の神物を盗むために私の両親を殺した、その罪の対価をもらいに来たと話します。そして爆発するスジニの力。そこでキハの記憶が戻り、スジニは自分の妹であると気付きます。そして亡き母の遺言を思い出します。「キハ、あなたはこの子のお姉さんよ。だからどんなことがあってもあなたの妹を守ってあげて! できるでしょう!」。キハは、これで正気に戻ってくれるでしょうか? タムドクへの愛憎、そしてお腹の中の赤ちゃんを守るために、火天会ともタムドクとも対立しているキハにとって、守るべき人がもうひとり現れたのです。重すぎるわ…。


          一方でスジニはその白く小さな体で、タムドクのために、タムドクの邪魔になるものはすべて自分の手でやっつけてあげたいと思い、キハに立ち向かったのです。そう、邪魔になるものすべてをやっつけたい…。タムドクを想うあまり、スジニはある決断を下すのでした。スジニのチャーミングな笑顔と心を決めた悲壮な顔のギャップが大きくて、もうスジニがかわいそうでかわいそうで、スジニと一緒に泣きっぱなしです。私の周りでは、ニッコリアオリジナル太王四神記ストラップの赤い朱雀を握り締め、一心同体でスジニを応援してしまったという家族(ファン)もいました。私もストラップを見るたびに、タムドクとスジニが肩を並べていたあの夜のシーンやスジニの笑顔、タムドクのスジニを見つめる眼差しを思い出してしまいます。


          スジニとキハ、そしてタムドクの運命は? タルビとパソンは無事に戻ってこれるのでしょうか? ホゲはタムドクの真意をわかってくれるのでしょうか? 火天会はどこまでキハとタムドクを苦しめるのでしょうか? ここまでまったく先が読めないドラマも珍しいですよね。ここからは1話たりとも見逃しては、物語についていけません。ニッコリアストアでは『太王四神記』のDVDも販売しています。忙しくてテレビの放映時間に合わせられなかったという家族の皆様は、所蔵版のDVDでじっくり見直すのもおすすめです! 次回もお楽しみに~

           – BY  趙章恩

          Original column
          http://ni-korea.jp/entertainment/essay2/index.php?id=17

          韓国CM REPORT – ロッテ – ペ・ヨンジュン



          ペ・ヨンジュン プロフィール


          1972年8月29日生まれ。


          高校卒業後、映画会社の制作部で働いていたところ、トレードマークでもある「どんな人でも清々しい気持ちにさせる」あのスマイルに惚れたユン・ソクホ監督に抜擢され、1994年KBS青春ドラマ『愛の挨拶』でデビュー。その後『若者のひなた』、『初恋』で国民的韓流スターになった。映画監督を目指す繊細でやさしい性格の青年役をよく演じてきたが、映画では全然違うキャラクターにも挑戦している。2002年ドラマ『冬のソナタ』をきっかけに「ヨン様」として韓流ブームの主人公となった。2007年韓国代表ブランド大賞特別賞受賞。2007年9月ドラマ『太王四神記』が日韓で放映される予定。



          ロッテ免税店





          出演

          ペ・ヨンジュン
          放映日

          2004年9月

          心がフニャっとなごむヨン様の笑顔だけでもドキドキしてしまうのに、「ロッテで会いましょう」のナレーションに手招きまでされてしまうともう「今すぐ行きます! ええ、行きますとも!」と叫んでしまいたくなります。


          2004年9月に公開された初期の広告で、韓国ファンが選んだベストCMらしく最高のスマイルばかりしっかり収められています。礼儀正しく貴族のようなイメージを持つヨン様ですが、当時はロッテ免税店が初めて韓国人をモデルに起用したと韓国でも大変話題になりました。ロッテ免税店は1980年からホテル店、デパート本店、ワールド店、釜山(プサン)店、仁川(インチョン)空港店を次々にオープンし、売上1位をキープしている韓国を代表する免税店です。2004年1月から2007年4月まで、ロッテ免税店とペ・ヨンジュンという韓国代表同士の出会いにより、ロッテに限らず韓国免税店全体の売上が24%も増加したそうです。


          デパート本店とホテルの間にあるヨン様の広告写真パネルが観光名所になったほど、ぺ・ヨンジュンはどんな有名な観光地や文化財より韓国を象徴する貴重な存在として尊敬される韓流スター。広告撮影に立ち会ったスタッフの証言によると、ヨン様がスタジオに到着した瞬間、空気の流れが変わるほど存在感があって、毎回スタッフ一人ひとりに「今日は大変だったでしょう? ありがとう」と挨拶をしてくれるので大感動だったそうです。歴史に残る! といっても過言ではない名CMをご覧ください。

             – BY  趙章恩

          Original story
          http://ni-korea.jp/lottecm/details.php?id=200409&dr=facilities


          第16回:『太王四神記』歴代視聴率記録更新なるか?


          予習してさらにハマる太王四神記

          【第十六回】

          『太王四神記』歴代視聴率記録更新なるか?






          社会的ブームになった『太王四神記』



          2007年9月、韓国MBCでついに放映開始となったドラマ『太王四神記』。世界90ヵ国同時公開の予定でしたが、完璧を求める監督の意向と丹念なコンピューターグラフィックの作業で、製作時間が予想以上にかかってしまったため、日本では12月から公開されることになりました。


          2007年最高の期待作と言われ、春から待ち焦がれたファンのために、9月10日に予告スペシャルとしてドラマの解説からスタート。11日~13日にかけて3話連続放映という大サービスぶり。その後は毎週2回、水・木曜日夜9時55分からの放映で、早くも水木ドラマの中では視聴率1位をキープしているこの『太王四神記(テワンサシンギ)』は、今では「テサギ」というニックネームで親しまれてます。


          韓国で初めての歴史ファンタジードラマのせいか、コンピューターグラフィックスを駆使した映像に慣れないせいもあってか、最初の1話、2話までは、「これは時代劇? ファンタジー? メロドラマ?」、「期待しすぎたせいか、想像していたのと全然違う!」などと戸惑うファンが多かったのは事実です。しかし、ストーリーの展開が速く、ヨン様を中心に登場人物のキャラクターがはっきりしていることから、「次はどうなるの?」とハラハラしたり、「あの子の性格からして派手に暴れるのかな?」と次の展開を予想してみたり……。ファンの間では「あのセリフは複線で、実はこうなるのかもしれない」などと、論文のように細かく分析したレポートや、自分で考えたシナリオをブログに掲載しては、ファン同士で盛り上がる傾向もみられます。


          キム・ジョンハク監督が得意とする史実+架空の人物の組み合わせが魅力的な「テサギ」は、映画に負けない迫力あるアクションシーンが多いほか、剣が光ったり、青龍や朱雀が空を舞ったりするCGシーンがアニメやオンラインゲームのようで、韓国では主婦はもちろん、10~20代の熱烈なファンも獲得しています。


          MBCの視聴者掲示板には、「試験なのに勉強もせず、今週もしっかり観ちゃいました。ヨンジュンオッパ(オッパはお兄さんという意味。韓国では、彼氏や先輩など目上の男性と親しくなるとオッパと呼びます)最高です」といった書き込みも多く見られます。


          韓国の一部のドラマファンは、「『太王四神記』って、どうせ日本に輸出するのが目的なんでしょ? 中身なんてどうでもいいヨン様ドラマなんでしょうね」と、冷えた目で見ていました。それが2話、3話と回を重ねるにつれて、「これはおもしろいぞ。2007年の一番見ごたえのあるドラマだ」と、社会的ブームにもなってきたのです。





          建国神話をモチーフにした物語



          『太王四神記』は、神話の時代から物語がスタートします。予告編にも登場する、あの白髪のヨン様は、神話時代の神様という設定なんです。その姿が映画『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフっぽかったことから、「ヨンダルフ」なんて呼ばれ、茶化されたりもしましたが、ドラマが始ってみるとヨンダルフから一転、「優しいまなざしの中にカリスマ性が光る」と絶賛されました。


          『太王四神記』は、予備知識なくドラマを見てもおもしろいのですが、韓国の建国神話や歴史的な背景を知っていると、「そういうことか! なるほど~」と、ドラマの仕掛けが見えてきて、もっとおもしろくなります。たとえば、タムドクを間にはさみ対立する熊族のセオと虎族のカジンの因縁の始まりは、「韓国人のルーツは熊」という建国神話をモチーフにしているんです。


          その建国神話は、次のようなもの。天から降りてきた神の息子・タングンのところに、人間になりたいと願う熊と虎がやってきました。タングンは洞窟の中に100日間閉じこもり、にんにくとよもぎだけで生きられれば人間になれると教えます。結局、我慢しきれなかった虎は洞窟を飛び出し、100日を耐えた熊は、人間の女性に生まれ代わり、タングンの妻になります。タングンと熊女は古朝鮮という国を作り、これが今の韓国、韓国人となったというわけです。ドラマでは、ストーリーがどのように展開するのか、楽しみにしていてくださいね。


          そして『太王四神記』の主人公は、もちろんヨン様ことペ・ヨンジュン。彼の存在感は「冬ソナ」以上で、毎話少しずつ逞しく強く磨かれていく太陽のようなオーラは、「太王」そのもの。今までの出演作の中でも、最高の演技を見せてくれます。そしてもうひとりの主人公は、なんといってスジニ役のイ・ジア。キム・ジョンハク監督がまったくの新人がいいということで、30回以上もオーディションをくり返し選び出した真珠のような女優です。米国でグラフィックデザインを勉強していた学生で、演技経験がまったくなかったイ・ジアは、今や検索サイトの検索キーワードランキングの上位の常連。「一体彼女は誰? なんてきれいなの~」と騒がれています。ヨン様と同じBOF所属だそうで、本人の手で作ったホームページも話題騒然。独特なデザインは本人によるものだそうで、忙しい撮影の合間をぬっては、毎日写真を更新してファンを喜ばせています。


          日本では、12月4日から、全国8つの映画館で上映する予定がありますが、韓国でも「テサギ」をぜひ映画館の大きなスクリーンで上映してほしいと、ネットで「テサギ映画館上映を促進する会」を結成して、MBCとプロダクションにリクエストしている人もいます。あのドラマをテレビで観るのはもったいない! もっと迫力のある大きな画面と音質で、この物語を楽しみたいですからね。





          済州島でヨン様に会えるかも?



          ドラマの撮影は2007年11月現在も続いていて、済州島(チェジュド)を中心に、韓国全土にセット場が作られています。ヨン様は撮影中の落馬事故でひざを怪我し、剣を使う戦闘シーンでは親指の付け根の靭帯が切れるといった負傷が続いてますが、自分のせいで撮影がストップしてはいけないという責任感と精神力で困難を乗り越えているとか。だからヨン様は、同僚からも先輩からも一目置かれる、尊敬される俳優なんですね。これ以上怪我なく無事撮影が終了するよう、応援に行ってみませんか? 今ならまだ、済州島でヨン様本人に会える可能性は大きいですよ。


          『太王四神記』のセット場ができたおかげで、海外はもちろん韓国全土から観光客が増えた済州島には、ロッテホテル済州があります。『太王四神記』の公式ホテルに指定されていて、ホテルの韓国料理レストラン「無窮花(ムグンファ)」では、「太王四神記特選メニュー」を楽しむことができます。また、館内にある免税店では、ポスターも贈呈中です。


          ところで、ホテルのロビーにある噴水をよ~く見ると、龍や孔雀が……。あれ? これは「四神」ではありませんか! 噴水は『太王四神記』の撮影より前にできたものですが、これを見ると、ロッテホテル済州は公式ホテルになることを運命づけられていたのかもしれないと思ってしまいます。ニッコリアでも太王四神記の聖地・済州島の知られざる魅力をたっぷりお届けするため、特集を準備中です。済州島に行くなら絶対今が旬ですよ!


          第15回:ペ・ヨンジュン以外の顔ぶれも豪華です! 悪役編


          予習してさらにハマる太王四神記

          【第十五回】

          ペ・ヨンジュン以外の顔ぶれも豪華です! 悪役編






          ペ・ヨンジュン演じる主人公のライバルは?



          前回の四神に続いて、ドラマ『太王四神記』の主人公・タムドクに対抗する悪役のご紹介です。悪役といっても「悪」というよりは、タムドクに勝る実力の持ち主で、王の座を競争し合うヨン・ホゲを中心としたキャストです。韓国人なら誰もが知っている国民的俳優と言える俳優が、悪役で脇役というのもすごいですよ。


          ヨン・ホゲ
          高句麗の貴族で、知略と勇猛さを備えたタムドクのライバル。子供時代はタムドクを「王子様」と呼び慕っていた。ヨン・ホゲを王様にしようと母親が王を毒殺しようとしたのがタムドクにばれ、母親は自殺。それをタムドクが殺したと誤解してから、彼を憎むようになり、王の座を狙う。キハを愛しタムドクが王になってからは、当時の唐に亡命し、将軍となってタムドクに脅威を与える人物。
          ユン・テヨン(ヨン・ホゲ役)
          1974年、10月9日生まれ。父は三星(サムスン)電子の副会長。韓国財界の大物のひとり息子であることから、デビュー当時から何かと話題になりました。2007年2月14日ドラマ『あの緑の草原の上に』で妹役を演じたイム・ユジンと結婚。日本ではネットでよく配信されているドラマ『明朗少女成功記』でおなじみですね。招待客は4000人というものすごい規模の結婚式でした。『太王四神記』の撮影のため新婚旅行はおあずけ状態だそうです。
          ユン・テヨンは、アメリカに留学中、どうしても俳優になりたくて帰国。1996年にドラマ『美しい彼女』でデビュー、1999年のドラマ『ワンチョ』で、ドジな「メンバル(裸足)」役で人気を得ました。8年経った今でもユン・テヨン=「メンバル」と記憶している視聴者が多く、新聞にも「メンバル結婚する!」と書いてあったぐらい強烈な印象を残しました。『ワンチョ』では、『太王四神記』のチュムチ役のパク・サンミョンと共演してます。元祖モムチャン(筋肉質な鍛えられた体つき)でもあり、刑事役がとても似合う男性的な俳優です。


          ファチョン(火天会)の首長
          虎族の後継で、四神の力を妨害しようとする牽制勢力であるファチョンの首長。タムドクとヨン・ホゲが生まれたジュシンの星が輝いた夜に目を覚ます四神の力を封印した神物を狙って、朱雀の神物を持つキハとスジニの家を襲い、キハを連れてきて育てる。ヨン・ホゲをジュシンの王であると勘違いし、キハとホゲを近づかせようと宮の神女にさせる。ヨン・ホゲの父、ヨン・ガリョと協力しタムドクに対抗する。
          チェ・ミンス(ファチョンの首長役)
          1962年、5月1日生まれ。父は60年代に一世を風靡した俳優チェ・ムリョン。いわゆる2世俳優ですが、幼い頃に両親が離婚したため、父の影響ではなく、自力で俳優として大成功しました。
          韓国最高のカリスマ俳優といっても過言ではないほど、芸能界の後輩から慕われている。1992年ホームドラマでデビュー、1995年『砂時計』で大ブレイクしました。『砂時計』では、激動の時代だった70~80年代の民主化運動の荒波に揉まれながら、愛する女性のために政治の裏世界に巻き込まれ、親友だった検事により死刑になるテス役を演じました。ちなみに検事のウソク役は、『太王四神記』でヨン・ガリョ役を演じるパク・サンウォンです。
          このドラマの監督と作家が、『太王四神記』のキム・ジョンハク監督と作家のソン・ジナです。『砂時計』の縁があってか、キム・ジョンハク監督とチェ・ミンスは大の仲良しだそうです。ミスコリア大会のプレゼンターとして出演した時に、カナダ代表だったガン・ジュウンと出会いその場でプロポーズ! おしどり夫婦として有名です。ジャッキー・チェンの映画『THE MYTH 神話』には将軍役で特別出演、1997年に公開された映画『インシャラ』ではイ・ヨンエとも共演しました。剣道とバイク好きで、キザなセリフがとても似合うステキな俳優です。


          ヨン・ガリョ
          ヨン・ホゲの父で高句麗貴族会議の最高指導者。ファチョンの力を借りて息子であるホゲを高句麗の王にさせるためタムドクの王位を脅威する人物。知略家で冷静な人物。
          パク・サンウォン(ヨン・ガリョ役)
          1959年、4月5日生まれ。ドラマ『砂時計』で、チェ・ミンスの親友でありながら、対抗する検事になる役で有名になりました。ドラマではよく検事やまじめでやさしい家庭的な夫、誠実で熱心で心優しいサラリーマン役などを演じているせいか、信頼できる人物のイメージが強く、CMモデルとして大人気。ルポ番組や教養番組の司会も務めました。雑誌のアンケート調査では、10年以上も「結婚したい男性」、「婿にしたい男性」として上位にランクされてます。





          『太王四神記』は「韓国を代表する大作ドラマ」



          どうですか? 『太王四神記』を「ヨン様が出演するドラマ」と言うだけでは、もったいなくありませんか? 韓国では「ペ・ヨンジュンが主人公のドラマ」だから注目されましたが、フタをあけてみると、これは「韓国を代表する大作ドラマ」であると言われ、視聴率がどんどん上昇してます。あの有名なドラマ『砂時計』の黄金コンビ、キム・ジョンハク監督と作家のソン・ジナの作品でもあり、韓国の名俳優が勢揃いしてますからね。それに新人達の活躍も期待大です。


          キム・ジョンハク監督の出世作ともいえる『砂時計』は、主人公の愛と友情を中心に、韓国現代史の裏を描いた作品。当時は、ソウルと首都圏でしか放送していなかったSBS(ソウル放送)で放映されたにも関わらず、64.5%の最高視聴率を記録。放映時間になれば道に人影がなくなるため「帰宅時計」と呼ばれ、社会現象にまでなったドラマです。週4回放映という、破格の編成でも話題になりました。『太王四神記』を観る前に『砂時計』を楽しみ、キム・ジョンハク監督のスタイルにハマってみるのもいいですね。


          回を追うごとに、ますますハマりそうな『太王四神記』。今年は、『太王四神記』とそのロケ地めぐりで、忘れられない年になりそうです。

             – BY  趙章恩

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          http://ni-korea.jp/entertainment/essay/index.php?id=15

          第14回:ペ・ヨンジュン以外の顔ぶれも豪華です! 四神編


          予習してさらにハマる太王四神記

          【第十四回】

          ペ・ヨンジュン以外の顔ぶれも豪華です! 四神編






          史上最強の豪華キャスティング



          ドラマ『太王四神記』の主人公、タムドク役を演じるペ・ヨンジュンについてのニュースは、韓国より日本のほうが詳しく報道されているほどなので、いろいろと情報は入ってくるかと思いますが、その他のキャストについては、これまで韓国でもあまり情報がなく、誰がどんな役を演じるのかなどについて、放映が決まってからやっと公開されたほどでした。


          『太王四神記』の主人公・タムドクの師匠のような役のヒョンゴは、当初チョン・ジニョンが演じる予定でしたが、スケジュールが合わず、演劇俳優のオ・グァンロクに変更されました。しかし、7月に出た『太王四神記』関連記事にさえ、チョン・ジニョンが出演すると書かれていたのです。それほど去年の制作発表記者会見以降、キャスティングや撮影状況について公式なコメントがなく、途切れ途切れに漏れてくる情報を収集しての報道だったので、混乱があったようです。


          『太王四神記』ではペ・ヨンジュンばかり注目されてますが、そのほかのキャストも韓国を代表する俳優が勢揃いし、史上最強の豪華キャスティングだと騒がれています。実際、ドラマが放映されてからは、これは「ヨン様ドラマの代表作」ではなく、「韓国ドラマの代表作」になるな! と感動したほど、キャスティングが最高なんです。今回は、今まで謎に包まれていたペ・ヨンジュン以外の出演俳優について、詳しくご紹介しましょう。





          物語の核となる登場人物をご紹介!



          主人公のタムドクを支える「四神」は、高句麗時代の壁画からヒントを得たものです。南を守る「朱雀」の生まれ変わりはスジニ、北を守る「玄武」の生まれ変わりはヒョンゴ、西を守る「白虎」の生まれ変わりはチュムチ、東を守る「青龍」の生まれ変わりはチョロ……この4人が「四神」です。ドラマの中で朱雀は、火、玄武は水、白虎は鉄、青龍は木の神という設定になっています。


          一方、四神に対抗する悪役は、ジュシン(肅愼、元々高句麗の先祖が住んでいた中国まで及ぶ広闊な領土)の王の座をめぐってタムドクとライバル関係にあるヨンホゲとその父のヨンガリョ、タムドクの初恋の相手・キハを育てたデファチョンフェ(大和天会)の首長の3人。この3人については、次回にご紹介します。それでは、物語の中の「四神」を中心に、それぞれの役を演じる俳優たちのプロフィールをご紹介します。


          スジニ
          朱雀で南を守る神。前世ではライバルで恋敵だったカジンの姉妹として生まれ変わり、タムドクを間にした三角関係になる。
          イ・ジア(スジニ役)
          1981年生まれ。ヨン様と同じBOF所属の新人女優。30回以上オーディションを繰り返した結果、『太王四神記』にキャスティングされた幸運の持ち主です。グラフィックデザインを専攻した美大生で、英語もペラペラ。演技は初めてという彼女ですが、素直で淡々としているところがスジニらしいということで、監督の目にとまったそうです。自分らしい芸術世界を具現したいという夢もあり、俳優として成功したいという欲もある新人です。監督はイ・ジアを評して「シム・ウンハの美貌とコ・ヒョンジョンの堂々とした姿の両方を持つ俳優」、「台本のキャラクターをよく理解する明晰な頭脳の持ち主であることも、破格のキャスティングの理由」とベタ惚れ。


          キハ
          タムドクの初恋の相手で親友、クールで理知的な女性。スジニの生き別れの姉で、タムドクの初恋の相手でもあるキハは、スジニと四神のひとつである朱雀の運命を分かち合いながらも、タムドクを間にした三角関係に。育ての親同士がライバル関係でもある。
          ムン・ソリ(キハ役)
          1974年7月2日生まれ。役作りが素晴らしい映画女優として名声が高く、『太王四神記』が初めてのドラマ出演。デビューは1999年映画「ペパーミント・キャンディー」、韓国映画業界キャスティング候補1位という名声を手に入れたのは、指折りの演技派女優みんなが断ったという、重症脳性麻痺の女性役に挑んだ映画「オアシス」から。
          大学では教育学を専攻し教員資格を取得。労働問題に興味を持ち学生運動にも熱心だったそうですよ。女優になってからも韓国映画業界の成長のため、スクリーンクォーター縮小反対デモの先頭に立ったり、社会に貢献できることに関心を持っている人です。2006年12月には、同じ大学出身で奇抜なアイデアがてんこ盛りの映画を作ることで有名な映画監督チャン・ジュンファンと秘密の電撃結婚。ファンはもちろん、同僚である俳優達をも驚かせました。
          今後は、ハンドボール映画の撮影も控えています。2004年、アテネオリンピックで銀メダルに輝く闘魂を見せた韓国女子ハンドボール国家代表選手の感動物語で、「人気女優が勢ぞろい!」と制作前から注目されています。


          チュムチ
          没落した貴族の生き残り。物凄い力持ちで、斧を自由に操る。ちゃらんぽらんな性格に見えるけれど、タムドクの人柄に惚れて勇名な部下となる。
          パク・ソンウン(チュムチ役)
          1973年1月9日生まれ。1997年映画「ナンバー3」でデビュー。長年、暴力団や殺し屋といった悪役ばかり演じたためか、クセのある助演俳優という印象が強い。187cmもある長身で、アクションスクール1期生でもあり、スタントマンを使わないアクション演技が得意。下積み生活が長かったぶん、演技に対する情熱は人一倍。ドラマ「幸せな女」、映画「ミスターソクラテス」、「ひまわり」、「反則王」、「女、ジョンへ」などに出演。大学では法学を専攻したものの、「歳をとっても幸せでいられるか?」と悩んだ末に俳優へと転身、公務員だった父の反対を乗り越えて、舞台俳優を経て映画デビューしました。


          ヒョンゴ
          タムドクの師匠ともいえる人物で、高句麗が建国された時から大王となる人物を求め続け、何百年も生まれ変わり、ついにタムドクを見つける。タムドクが大王になるよう、手を尽くして彼を助ける。
          オ・グァンロク(ヒョンゴ役)
          1962年8月28日生まれ。低音のボイスでゆっくりゆっくり喋るのが特徴で、一度見ると忘れられないインパクトの強い俳優。映画「親切なクムジャさん」、「私たちの幸せな時間」に出演しました。短い出番でも彼を記憶している観客が多いのも、その素敵な声のせいかも。演劇や映画がメインで、初めてのドラマ出演はハン・ガイン、ヤン・ドングン主演の「ドクター・ケン」。ちょっと変わった病院の院長さんを演じて、知られるようになりました。『太王四神記』が2度目のドラマ出演です。


          チョロ
          百済の貴族だが、青龍の力を封印した神物を心臓に差し込んでいるため怪物のようになり、仮面で顔隠している。スジニに恋をする。
          イ・フィリップ(チョロ役)
          1981年5月26日生まれ。『太王四神記』がデビュー作の新人で、詳しいプロフィールは公開されていません。


          個性派の俳優がそろった『太王四神記』、日本での放映が楽しみですね!

             – BY  趙章恩

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          http://ni-korea.jp/entertainment/essay/index.php?id=14

          第13回:韓国ファンも期待大! チェジュ野外セットはいつも満員御礼


          予習してさらにハマる太王四神記

          【第十三回】

          韓国ファンも期待大! チェジュ野外セットはいつも満員御礼






          9月19日、ついに始まった『太王四神記』



          当初、5月から放映予定だったペ・ヨンジュン主演のドラマ『太王四神記』が、韓国MBCで9月10日のスペシャル放送を皮切りに、3話連続放映され、9月19日からは毎週水・木曜日の夜9時55分から放映されるようになりました。3月から何度も放映の延期が発表され、これ以上延期すると放映できなくなるという説が流れる中、キム・ジョンハク監督が異例の放映延期謝罪記者会見を開いたり、MBCのドラマ局長が「ファンタジー時代劇のため、コンピューターグラフィック作業にとても時間がかかるので、完成度を高めるためにはもう少しが時間ほしい」などと釈明に乗り出すなど、紆余曲折がありました。当初SBSで放映される予定がMBCになったり、世界90ヶ国同時放映の予定が韓国で先行放映となったりもしましたが、とにかく放映が始まり、首を長くして待っていたかいがありました!


          430億ウォン以上の制作費をかけた超大型ドラマなので、オーディオもコンピューターグラフィックも手が抜けないし、完成度を高めるためには放映時期を延期するしかなかったというのも納得です。2003年に企画され、2006年3月から撮影開始、済州(チェジュ)の野外セット場も完成しましたが、撮影内容は秘密にされていたため、放映開始が決まるまでキャスティング情報もマスコミによって全部違うほどでした。出演しない俳優の名前が出ていたり、ヨン様と重要な関係になる新人女優の顔すら放映間直になってから公開されたほどです。撮影状況や具体的なストーリーが、これほど見えてこなかった韓国ドラマも珍しいです。





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          予告スペシャルでは、スタッフ達が「キム・ジョンハク監督は、演出に関してはとてもしつこい人」、「撮影現場にいた人でさえ、目を見開いてしまうほどすごい映像美!」と証言しているように、確かに手が込んだ映像となっています。


          韓国では、連続ドラマは週2回放映されます。日本は週1回なので、韓国の連続ドラマのほうがストーリーの展開が速く、よりハマることができます。また韓国では、ドラマの途中にCMが入らないため、1話分が60~70分と日本より若干長いので、日本で放映されるときは、違った編集になっているかもしれませんね。それとも日本ではNHKで放映される予定なので、同じくCMなし、同じ編集になるんでしょうか。日韓の見比べも面白そうですね。このコラムでは韓国版『太王四神記』の感想も細かく報告する予定ですので、お楽しみに~。


          放送が始まった『太王四神記』、当初は100%放送前の制作を目指していましたが、まだ韓国のあちこちで撮影は続いています。放映前からロケ地である全羅南道(チョルラナムド)羅州(ナジュ)と済州(チェジュ)の猫山峰(ミョサンボン)野外セット場は、待ち焦がれたファンでごった返し、今日はどんな撮影をしていたかをブログで報告しあっているほどなんですよ。ネットで『太王四神記』を検索すると、ブログにポスティングされた野外セット場関連書き込みがずらっと登場します。


          また韓国では、『風の国』という漫画が『太王四神記』のストーリと似ていることから、「これが原作なのでは?」と、予習のために漫画を読み始めたファンも増えています。三国時代や高句麗っぽいモチーフのアクセサリーやTシャツが人気で、その中でも『太王四神記』にも登場する黒い鳥「三足烏」(詳しくは第10回:『太王四神記』の紋章になった「三足烏」の秘密を参照ください)のネックレスやリング、Tシャツはハンドメイドのため、生産が追いつかずオンラインショッピングモールですぐ品切れになるほどです。





          「三韓志テーマパーク」はすでに100万人以上が訪問



          「羅州三韓志(ナジュサムハンジ)テーマパーク」と名づけられた全羅南道羅州(ナジュ)のセット場。実はここは、ドラマ『朱蒙(チュモン)』の野外セットだったところをテーマパークにしたもの。同じく高句麗を背景にしている『太王四神記』でも利用することになったのです。週末には日本からの訪問客だけで100人以上、韓国やアジアから集まる観光客を含めると、1万人にも及ぶ訪問客で大変な賑わいをみせています。2006年7月から2007年3月までに、有料で入場した訪問客は100万人を突破したほどです。『朱蒙』の人気のおかげともいえますが、今は何と言っても『太王四神記』! 早朝から撮影チームをぴったりマークして移動し、羅州市内で何日も滞在する熱血ファンが増えているため、羅州市内の景気までもよくなっているとか。ヨン様の映画『四月の雪』のロケ地だった三陟(サムチョク)もすごかったですよね。ソウルからバスで4時間30分、国内線も列車も通らない東海岸の漁村が日本人観光客でごった返し、あとから韓国でもそのきれいな風景や珍しい洞窟が有名になり、夏の避暑地として脚光を浴びています。


          「三韓志テーマパーク」は、4万5千坪の敷地に180億ウォンの費用をかけた大規模なセット場らしく、訪問する人はみんな、入口から「うわ~」と大歓声を上げます。地元のおばさんは「ゴミ山だったところにあんなにきれいなセットが建つなんて、想像もしなかったわ~」と感激していましたね。


          お城や貴族の家、城壁などと一緒に、周辺には川も流れ、きれいなお花畑もあります。ひとつひとつ眺めて写真も撮って……などとやっていると、あっという間に2時間以上は過ぎてしまいます。このセット場が『太王四神記』ではどのように使われるのか、想像しながら歩いてみるのもいいですね。2006年を騒がせた化け物ドラマ『朱蒙』を1話でも観てから訪問すると、また格別な体験となるでしょう。「三韓志テーマパーク」は、羅州市の経済発展に貢献した業績が認められ、2007年第2回大韓民国スポーツレジャー文化大賞で「レジャー文化産業テーマパーク部門大賞」を受賞したほどの人気スポットとなりました。


          ■入場時間 9:30~18:00


          ■入場料
          ・大人(19歳以上)3000W
          ・青少年(13~18歳)2500W
          ・子供(6~12歳)1000W


          ソウルからの所要時間は、KTXを利用した場合はトータルで4時間30分ほど、国内線を利用した場合は、3時間ほど。ソウル金浦(キンポ)空港から国内線で光州(クァンジュ)まで、または龍山(ヨンサン)駅からKTXに乗って光州駅または羅州駅に下車、光州駅または羅州市外バスターミナルから「180-1」番バスに乗ります(国内線は55分、KTXは2時間50分)。


          光州から羅州までは約40分、羅州からテーマパークまでは30分ほどかかります。でも気をつけてください。180-1番バスの中でも中布(ジュンポ 중포)行きのバスに乗ってください。同じ180-1番でも路線が違うバスがあるので乗る前に必ず「サムハンジテーマパークガヨ?」(「ガヨ」は「~に行きますか?」の意味)と訊いてみましょう。羅州は梨とコムタン(牛のしっぽの骨と肉をじっくり煮込んだ白いスープ)の特産地でもあります。これも忘れずに楽しんできてくださいね。


          『太王四神記』の本拠点ともいえる済州の猫山峰セット場に集まる韓国ファンの反応も、次回お伝えしましょう。





          • 今や人気スポットとなった三漢志テーマパーク。











          • 三漢志テーマパークの横を流れる栄山江(ヨンサンガン)は、長さ115.5キロメートル、面積3371平方キロメートルの韓国4大江のひとつ。


               – BY  趙章恩

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          第12回:高句麗昔話「ホドン王子とナクラン姫」


          予習してさらにハマる太王四神記

          【第十二回】

          高句麗昔話「ホドン王子とナクラン姫」






          韓国人なら誰もが知っている物語 ~その2~



          「好董(ホドン)王子と楽浪(ナクラン)姫」のお話も、前回ご紹介した「バボオンダルとピョンガン姫」同様、日本の「桃太郎」や「かぐや姫」のように、韓国では誰もが知っている物語。高句麗時代に実在した人物の悲しいラブストーリーです。愛する人のため国を裏切った姫と、国のために愛する人を利用した王子の話は『三国史記』に記録され、語り継がれてきました。ホドン王子は、ドラマの主人公として有名になった高句麗の建国王「朱蒙(チュモン)」の曾孫にあたります。それではご紹介しましょう。





          ホドン王子とナクラン姫



          高句麗の3代目大武神王(デムシンワン、在位18~44年)は、最初の王妃に跡継ぎになる男の子が生まれなかったため、二番目の王妃を迎えました。二番目の王妃は男の子を産み、その名前を好董(ホドン)とつけました。ホドン王子はとてもハンサムで聡明だったので、王はこの上なく大事に王子を育てました。


          ある日、青年になったホドン王子は、高句麗の東にある沃沮(オクジョ)というところへ狩に出かけます。そこで高句麗の周辺国である楽浪(ナクラン)の王・崔理(チェリ)に出会います。崔理はホドン王子を見るなり、娘と婚姻させて高句麗の侵略から国を守ろうと考え、王子を楽浪へ招待します。美しいナクラン姫と出会った王子は一目惚れし、父である大武神王には何の話もせず、こっそり婚姻を約束します。二人の蜜月は過ぎ、ホドン王子はあと何日かで高句麗に戻らなくてはならなくなりました。ホドン王子はナクラン姫に約束します。「父上に婚姻を許してもらい、迎えに来るから待っていてください」……。


          しかし、高句麗に戻ったホドン王子は、婚姻の話を父に切り出せませんでした。なぜなら、大武神王が「楽浪を侵略し、高句麗の領土にしよう」と王子に話したからです。そして大武神王は、自鳴鼓(ジャミョンゴ)さえ鳴らなければ、戦に勝つのは時間の問題だと語りました。楽浪には、自ら鳴って敵の侵入を知らせてくれる不思議な「自鳴鼓」という太鼓があり、高句麗の侵略から国を守ってくれていたのです。


          それを聞いたホドン王子は、姫に手紙を書きます。「愛する姫よ。あなたが自鳴鼓を破ってくれれば、父上も姫との婚姻を許すでしょう」。


          手紙をもらった姫は悩みます。家族と国を裏切り、愛を選ぶべきなのか……。姫は「自鳴鼓を破るのは父と楽浪を裏切ることだが、私とホドン王子が婚姻すれば、楽浪も高句麗もひとつの国になる。夫になる王子の言うことに従うべきなのでは?」。そして姫は自鳴鼓を破り、このことをホドン王子に知らせます。


          大武神王15年(32年)、ホドン王子は軍を導いて楽浪を攻撃します。自鳴鼓は鳴りませんでした。高句麗軍が攻めてくると、楽浪の王は慌てました。自鳴鼓が鳴らなかったのに敵が攻めてきたからです。自鳴鼓が破かれているのを見た王は、犯人が姫であると直感します。王は涙を流しながら国を裏切った姫を殺します。楽浪は高句麗に負け、領土を占領されてしまいました。戦には勝ちましたが、ナクラン姫が死んだという知らせに、ホドン王子は自分のせいだと後悔し、悲嘆に暮れました。


          一方、大武神王の一番目の王妃が、ついに男の子を産みました。王妃は自分の子息を跡継ぎにするため、ホドン王子を追い出そうとします。王妃は大武神王に「私がいくら年齢の割に若くて美しいといっても、ホドン王子が義理の母である私に、特別な感情を抱くのはおかしいではありませんか」と嘘をつきました。


          大武神王は「そんなはずはない、王子を自分の子供だと思って愛してくれ」と王妃に頼みました。しかし、王妃はさらに嘘をつきました。ホドン王子が自分の手を握った、これが嘘というなら自決すると言い、王を脅したのです。王はついにホドン王子を叱りつけました。ホドン王子は考えました。言い訳をすると王妃の嘘がばれてしまい、父と王妃の仲が悪くなる、自分が犠牲になれば父も王妃も弟も幸せになるのではないだろうか……。そう考えたホドン王子は、ナクラン姫を想いながら自ら命を絶ちました。





          ドラマやアニメにもなった「ホドン王子とナクラン姫」



          ナクラン姫が住んでいたのは、今の中国と北朝鮮の境界あたりです。大武神王は領土拡張に熱心な王様で、高句麗の南にある小さな国々を攻めました。その中のひとつが、楽浪国だったのです。ホドン王子が姫に会いに行くには鴨綠江(アプログガン)を渡らなくてはなりません。王子が自決した場所も、鴨綠江上流あたりだと言われています。鴨綠江は中国と北朝鮮の間を流れる大きな川で、長さは803kmにも及びます。水の流れが激しく、真冬でも凍らないほどだそうです。敵の動きを監視して自ら鳴り出すという「自鳴鼓」は不思議ですが、今から2000年近くも前の古代には、そういう太鼓があったのかもしれませんね。


          「ホドン王子とナクラン姫」は、韓国ではミュージカルになったり、60年代にはドラマ化もされています。有名なのは1990年に北朝鮮で制作された長編アニメです。北朝鮮を代表するアニメ作品として、海外でも研究対象になっているほどの話題作です。大人も楽しめるアニメだと評判が高いので、日本でも観られるチャンスがあるといいですね。


          ドラマ『太王四神記』も、とても切ないラブストーリーだそうです。ナクラン姫になった気持ちで、ペ・ヨンジュン演じる太王・ダムドク王子様の活躍を見守りましょうね!

             – BY  趙章恩

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          第11回:高句麗昔話「バボオンダルとピョンガン姫」


          予習してさらにハマる太王四神記

          【第十一回】

          高句麗昔話「バボオンダルとピョンガン姫」




          韓国人なら誰もが知っている物語



          韓国人なら誰でも知っている昔話の「バボ(バカ)オンダルとピョンガン姫」。逆玉の輿とでも言うべきストーリーですが、実在した人物の悲しいラブストーリーなのです。いろんな小説やミュージカルのモチーフにもなっているこの物語は、『三国史記』に記録されています。それではご紹介しましょう。



          バボオンダルとピョンガン姫



          高句麗の25代目王様、ピョンガン王(平岡王または平原王、在位559~590)時代、顔が険悪でこっけいだけど、心は優しい温達(オンダル)という男がいました。温達の家はとても貧しく、いつも食べ物を乞い母親を養っていました。ボロボロの服と履き物で市場を行き交っていたため、人々は彼を「バボ温達(バカな温達)」と呼んでいました。


          ピョンガン王には泣き虫の姫がいました。王様は姫が泣くたびに、「いつも泣いてばかりでは、貴族の嫁にはなれない。今度泣いたら、バボ温達と結婚させるぞ!」と脅かしました。


          姫が16歳になり、王様は貴族の高氏の家に嫁がせようとしました。すると姫は、「大王は、いつも私に温達の妻になるだろうとおっしゃいました。王様はウソや冗談を言わないものです。私はほかの人とは結婚できません」と言いました。怒った王様は「私の教えに従わないなら、私の娘にはなれない。君の勝手にしなさい」と言いました。


          姫は金の腕輪を数十個持って宮廷をあとにし、ひとりで歩き始めました。道ですれ違う人々に温達の家の場所を尋ねて、たどり着きました。


          家には目が不自由な年老いた温達の母がひとりでいました。姫はお辞儀をして、温達がいる場所を尋ねました。温達の母は「私の息子は貧しいので、高貴な方とお会いできるような者ではありません。今あなたからは格別な香りがし、手を触ると柔らかく、まるでふわふわの綿のようです。きっと偉い方に違いないでしょう。誰に騙されてここまでいらしたんですか? 私の息子は飢餓を我慢できず、山へ木の皮を剥がしに行きました」と話しました。


          姫は温達を探して山に行きました。姫は温達とバッタリ出会い、心のうちを告白しました。温達はびっくりして、「ここは女がひとりで通るようなところではない。君は人間ではなく幽霊に間違いない。近づくな!」と叫び、逃げ出しました。


          姫は後を追い、家の前で泊まって、翌朝もう一度温達の家を訪ねました。そして、温達と彼の母に今までの事情を詳しく話しました。温達の母は「我が家はとても貧しく、姫様が泊まるようなところではありません。私の息子は姫様とは婚姻できません」と断りました。


          すると姫は、このように話しました。「昔から、貧しくても心が通い合えば幸せになれると言われています。それなのに、お金持ちになってからでないと一緒になれないということでしょうか?」。


          姫は金の腕輪を売って畑と家、奴婢、馬と牛を買い、家財道具も揃えました。初めて馬を買いに行く日、姫は温達に「市場の馬を買わず、宮殿から使い道がないと判断されて民に売り払われる馬を買ってください。その中でも、病気にかかってやつれた馬を選んでください」と頼みました。姫は働き者だったので、大事に世話をされたその馬は日に増して太り、丈夫になりました。


          高句麗では毎年3月3日、王様が狩大会を開き、捕らえた猪や鹿を天と山川の神霊に捧げる春の祭りが行なわれていました。その日は、温達も自分が育てた馬に乗って、王様について行きました。彼は誰よりも速く先頭を走り、捕獲した獲物も多かったので、王様の目に留まりました。王様は彼を呼んで名前を聞き、驚いてしまいました。


          その時、後周(中国)の武帝が軍隊を引き連れ、高句麗の領土である遼東(ヨドン)を攻めてきました。温達は、王様に従い戦で勇敢に戦いました。ほかの兵士達もその気勢に圧倒され、高句麗は大勝を収めます。国中が温達に感心し、尊敬しました。


          王様は喜び、温達を婿として正式に認めます。そして大兄(デヒョン)という地位を与え、寵愛しました。ですが温達は安楽な生活を拒み、将軍として国を守るため、毎日兵士と一緒に生活しました。


          ある日温達は、「新羅(シンラ)が漢江の北側にある我々の領土を奪い、国民が苦しめられています。大王が私に軍使を与えてくだされば、必ず我々の領土を奪い返してみせます」と王様に申し出ました。戦に出るとき、温達は姫に「鶏立(ゲリプ)と竹嶺(ジュクリョン)の西のにある領土を取り返すまでは帰らない」と誓いました。しかし温達は、領土を取り戻す前に、峨旦城(アチャソン)の下で新羅軍の矢に打たれ死んでしまいました。


          みんなは悲しみ、温達を棺桶に入れ宮殿まで運ぼうとしましたが、棺桶はびくともしません。姫が峨旦城まで来て、涙を流しながら「生と死はもう決まってしまいました。安心してお帰りください」と話しかけると、やっと棺桶が動きました。

             – BY  趙章恩

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          第10回:『太王四神記』の紋章になった「三足烏」の秘密


          予習してさらにハマる太王四神記

          【第十回】

          『太王四神記』の紋章になった「三足烏」の秘密






          太陽に住む神聖な黒い鳥



          済州島(チェジュド)の猫山峰(ミョサンボン)観光地区にあるドラマ『太王四神記』野外セットに行くと、ある鳥のマークが紋章として使われているのが目に入ります。この鳥は高句麗を象徴し、太陽の中に住んでいると言われる三足烏(サムジョッオ)です。もちろんデザインはそれぞれ違いますが、『朱蒙(チュモン)』や『淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)』など、高句麗を背景にしたドラマには必ず登場する紋章です。
          どうして三足烏が高句麗の象徴になったのか? それは1500年ほど前に建てられた高句麗時代の古墳壁画に、必ずといっていいほど三足烏が登場するからです。当時、高句麗の2番目の都市だった中国吉林省集安にある古墳の天井を見ると、右には太陽を象徴する三足烏が描かれた円が、左には月の神であるヒキガエルが描かれた円があり、東には龍、西には蛇、北には星が描かれています。太陽と月の間には、菩提樹が風に揺れているような絵も描かれています。このほかにも、高句麗の遺跡や遺物には、この三足烏が頻繁に登場します。


          遥か古代から東アジアでは、この太陽に住む神聖な黒い鳥が神のメッセンジャーとして広く崇拝されていたので、これは高句麗だけの文化とは言い切れません。しかし、高句麗の三足烏は、ほかの国の三足烏とは違う特徴を持っているんです。三足烏は足が三本あるカラスだとよくいわれますが、高句麗の三足烏はカラスではなく、頭に冠がついた黒い鳥で、龍を餌にするほど強くたくましい最強の鳥なのです。高句麗人は、「我々は神に選ばれた民族だ」という自負から、この太陽の鳥を大事にしていたのではないでしょうか。





          • 高句麗時代の古墳壁画に描かれた黒い鳥「三足烏」(中央の円の中)。












          高句麗の「三足烏」が日本に?



          日本サッカー協会の紋章にも三本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」が使われているため、「高句麗の三足烏と同じ鳥なのではないか?」、「三足烏は日本の象徴なのではないか?」と疑う意見もありますが、よく見ると日本の八咫烏は頭に冠がありません。日本の三足烏はカラス、高句麗の三足烏は想像の中の黒い鳥なので違うという説もあれば、高句麗を建国した朱蒙(チュモン)の息子、沸流(ビリュ)と温祚(オンジョ)が建てた国が百済なので、高句麗の象徴が当時百済と交流が活発だった日本にも伝わったという説もあります(ちなみにドラマ『朱蒙』の中では、沸流と温祚は朱蒙の子ではないという設定です)。一方では、古代東アジアで広く太陽を崇拝していたので、日本や中国でも同じく三足烏の伝説が残っているという説もあります。


          1363年に韓半島の歴史記録をまとめた『ダングンセギ』には、「紀元前1878年、宮廷の庭に黒い鳥が飛んできたが、その翼の長さは三尺もあった」という記録があります。韓民族は、紀元前数千年も前から生命の象徴である太陽と月を崇拝していました。高句麗は、太陽の中に住む神鳥として、三足烏という想像の鳥を民族のシンボルにしたのかもしれません。





          「三足烏」は天と地と人の象徴



          高句麗の古墳壁画に頻繁に登場する三足烏。その冠は数字の1と水や太古の生命を、翼は数字の2と和合、均衡、夫婦、温かみを、3本の足は数字の3と自然の生命、循環、夫婦の間で生まれた子供、完成、力を象徴します。3は天と地と人を表わす天の数字でもあります。


          一部には、三足烏は中国の象徴で、高句麗がそれを真似たという主張もありますが、高句麗は中国の唐と対立し何十回も戦を繰り返していただけに、敵のものを真似て自分の象徴にするのは可能性の低い説かもしれません。


          「高句麗の黒い鳥はカラスだ」「いや、カラスではなく想像上の鳥だ」と意見は分かれるところですが、カラスに関しては、高句麗と今の韓国で認識が違うところがあります。韓国人はカラスは凶鳥として嫌い、都会では滅多に見かけることのない鳥となりました。一方、高句麗人は、カラスは死体を食べるので、霊魂を天へ導き来世で生まれ変われるようにしてくれる吉鳥と考えていたのです。高句麗を滅亡させた新羅にとって、高句麗を象徴する黒い鳥を好きになれるはずはなく、統一新羅時代から高麗時代、朝鮮時代と時を経る中で、いつしかカラスは縁起の悪い鳥だと思われるようになり、それが今でも影響を及ぼしているのではないかと推測されています。


          『太王四神記』で登場する三足烏の紋章を見ていると、頭に冠がついた足三本の黒い鳥はとても神秘的で威厳に満ちていて、賢く潔かった高句麗人の魂を少しは分けてもらえないかな~と、ボーッとしてしまいます。アクセサリーにしてずっと身につけていたい! と思いませんか? 『太王四神記』公認グッズとして発売されるのが待ち遠しいですね。

            – BY  趙章恩

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