韓国の携帯電話事情 補助金自由化で1円端末が復活(2007年5月7日 掲載)

WIPI搭載免除で海外メも流入か



 


 


【ソウル】加熱しすぎた競を抑えるため1999年に禁止された携電話補助金(日本では奨励金にあたる)が自由化される。従来は一定期間以上同じキャリアに加入しているユし、千円程度の補助金しか出せないよう情報通信部が細かくルルを決めていたが、5月からは補助金緩和、3月からは規制撤で完全自由化となる。日本の奨励金規制議論とはまったく逆の現象が起きている。



 この規制緩和とは別に、情報通信部は05年4月から携
電話端末に搭載が義務づけられている「WIPI」についても規制を緩和し、搭載を免除することにした。WIPIは韓国独自の技術で開された無線インタネット標準プラットフォムだ。


 


 韓の携電話加入者の多くは、携電話から無線インタネットにアクセスせず、音通話とSMS(ショトメッセジ)しか使わない。韓ではSMSがメルのようにキャリアに係なく送受信できるからだ。


 


 WIPI搭載が免除されれば、携電話端末は約20%ほど安くなる見み。特に加入者個人への端末購入補助金と販売奨励金が上せされれば、1円端末や無料端末が登場するようになる。


 


 KTFが発売したWIPIを搭載していない3G端末の値段は33万ウォン(約4万円)前後で、通常の3G端末に比べると10万ウォン(約1万3000円)以上安くなる。これにKTFは3G加入者にして30万ウォンほどの補助金と10万ウォンほどの奨励金を出している。これを合わせると、端末と手料はすべて無料になる。SKテレコムもKTFの低3G端末による市場攻略に抗し、無線インタネット機能を搭載しない超激安新機種を表する予定だ。


 


 ユにとっては端末が安くなるのはいいことだが、問題もある。WIPIという壁がなくなることによって海外メの低格端末が韓で流通しやすくなるのは避けられないからだ。


 


 また、WIPIを搭載していないというのは無線インタネットが使えない端末ということなので、キャリアの無線デタのり上げ大にもい影響をえる。


 


 HSDPA携はテレビ電話やグロバルロミングなどが付加入となるため、このような機能が使えない端末を販しても意味がないのではないかという議論もある。奨励金の自由化で格競だけがきした場合、WIPI搭載免除で削減された費用をそのままマケティング費用に回すことになり、キャリアにとっては何のメリットもないことになるかもしれない。それでも通信業は政府の規制ではなく市場の流れに任せるべきという意見が倒的に多い。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト) Link


 

韓国携帯電話市場 三星がシェア50%割り込む(2007年7月2日 掲載)

電話市場 三星がシェア50%割り



 


打開策で「ミニスカト携




 


【ソウル】三星電子の調べによると韓5月の携電話販207万台、4月に比べて17.6%加した。しかし、三星の韓国内でのシェアは46%とはじめて半を割りんだ。



 三星が精彩を欠くようになったのは、パンテックの躍進が見逃せない。無線インタ
ネットプラットホムを搭載していない激安3G端末を販し、市場で絶大な人を博しているためだ。


 


 SKTの子社だったSKテレテックを買し「SKY」のブランドで端末を販しているパンテックは、三星とモトロラのシェアを奪い、5月は24万台を販して13%のシェアを獲得した。3-4月には、資金難で部品の入手に支障が出る事態にったが、キパッドのカラわるマジックキパッド携をはじめ、3GTV電話携、メタルスリム携、インタネット機能を省いた激安携など略端末の販が好調だ。


 


 一方、三星は3G略端末「ミニスカト携」に力を入れ、奨励金をやすなどしてシェア回復を目指す。無駄のないデザインがミニスカトを着た女性に似ているのでこのような名前をつけたと三星では明する。ミニスカト携は、海外で先に販したスライド型モデルで薄さ10.9mmの「ウルトラエディション10.9」の国内向けとなる。端末のどこにもデコボコした部分がないためすっきりしたデザインで、グリップ感を改善した。


 


 2Gと3Gのハンドオフ、Bluetooth、200万素カメラ、MP3再生、GPS搭載で携電話をそのままカナビとしても活用でき、格は55万ウォン台(約7万円)。番移動制度または新規加入だと奨励金がもらえるので3万円ほどで入手できる。


 


 三星は「3G略端末を6月1日に発売しただけに、6月はシェア50%台を奪還できるだろう」と楽観視している。加入者1位のキャリア、SKテレコムをいて3G市場では倒的に加入者純率が高いKTFの係者は「今年の三星はこれといった製品がなく3G市場でのシェアは低かったが、6月には再度躍進を遂げるだろう」と展望した。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)



BCN This Week 2007年7月2日 vol.1193 載] Link 


 


 


 

韓国の新携帯電話 三星SDIとSKテレコムが開発(2007年7月16日 掲載)

の新携電話 三星SDIとSKテレコムが開



 


9月には有機EL採用モデル登場へ




 


【ソウル】次世代ディスプレイとして脚光を浴びているアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)の液晶面を搭載した携電話が、韓発売される。三星SDIと移動通信キャリアのSKテレコムは、AMOLEDを利用した携電話パネルを共同開し、9月には製品化すると表した。



 AMOLEDは現在、携
電話ディスプレイ分野を掌握している超薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT-LCD)に比べ厚さは3分の1ほどと薄く、色再現率、視野角、答速度などは倒的に優れている。AMOLEDが適用された携電話は180度に近い視野角で動を見ることができるので、携電話の面をTVのようにみんなで視できる。映像理速度も液晶表示装置より1000倍以上早く、より完璧な動を具現できるためモバイル動ビスの成長も予想されている。


 


 三星SDIとSKテレコムはAMOLED携電話のために衛星デジタルマルチメディア放送(DMB)、動コンテンツといったAMOLEDの優秀さを体できる映像送信技術も共同開し、AMOLEDを搭載する携電話だけで利用できるメニュー画面も新しくつくる予定だ。


 


 三星SDIは4600億ウォン(約600億円)を投資して工場にAMOLED用ラインを追加、9月までには本格的な生産を始める。これは世界で初めての大量生産で、携電話向けの小型パネルを門的に生産する。同社は、日本企業の京セラの携電話「メディアスキン」と韓アイリバMP4プレClix(クリックス)」にマケットテスト用としてAMOLEDを対応させ好評を得た。この経験が、SKテレコムとの携電話開にも生かされる。


 


 三星SDIのAMOLED商用化が進展すれば連部品企業も恩を受けると期待されている。最近、AMOLEDモジュル供給業者であるマグナチップ半導体社とソンイルテレコム社は、本格的に量産体制を整えた。


 


 三星SDIの係者は「SKテレコムとの協業でAMOLED大量供給の第一を踏み出すことができた。多くの製造社とパネル供給にする協議を進めている」と話した。一方、SKテレコムのアクセス技術究院は「今回の三星SDIとの技術協力を機に高品質映像サビスをSKテレコムの加入者に提供できるようになった。TV電話やモバイルTVといった映像コンテンツのアップグレドでWCDMAでも競力を高められるようになる」と早期にAMOLEDを導入することでプレミアを狙う。


 


 三星電子、LG電子といった韓の携電話ベンダは「技術的な限界によって携電話のプレミアム略が停したが、今回のAMOLED大量生産をきっかけに、世界の携電話市場をリドできる端末を開できるだろう」と期待を寄せる。三星電子も2007年中にAMOLED対応の携電話を発売する計で、世界市場でも早期に販がスタトすることになりそうだ。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年7月16日 vol.1195 載] Link 


 


 

携帯電話標準プラットフォームWIPI搭載義務廃止問題

WIPI(Wireless Internet Platform for Interoperability)は韓国政府が2001年国策として開発した携帯電話向けモバイルインターネット標準プラットフォーム(携帯電話キャリアのモバイルインターネット網にアクセスできるようにするミドルウェア)で、2005年4月から韓国で販売される全ての携帯電話端末に搭載が義務化されているが、米貿易代表部(USTR)の問い合わせをきっかけに、義務化廃止が求められるようになった。2008年7月、放送通信委員会はWIPI義務化 . . .


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韓国 三星電子の携帯電話 ギネスブックに掲載(2007年10月8日 掲載)

薄さとで世界一を


 


  


【ソウル】三星電子の携電話端末プレミアムラインアップ「ウルトラエディション5.9」「ウルトラエディション8.4」「1000素カメラ付き携」の3種が、2008年版ギネスブックに新しく載された。



 079月に
行された「2008年版ギネスブック」に、世界で最も薄い携電話(world slimmest phone)部門に5.9mmの極薄端末「ウルトラエディション5.9」(SGHU100)が載った。三星電子を代表する機種でもある極薄端末の「ウルトラエディション5.9」は高素カメラとBluetoothなど先端機能をすべて搭載しながら、ハドウェア設計技術である「SSMT」を使して5.9mmという驚くべき薄さを現した。携電話端末の素材にはマグネシウムとガラス化プラスチックを使い、薄くても丈夫なところが特長だ。ギネスブックは製品の薄さを調するために物と同じ厚さの側面写真載した。


 


 これとともに「1000素カメラ付き携」(SCHB600)が世界最高素携電話部門に、「ウルトラエディション8.4」(SGHZ370)が世界で最も薄い3G電話にそれぞれ載された。


 


 三星電子の携電話端末は以前にもギネスブックに載ったことがある。99年に開された世界初のモバイルテレビ付き携電話(SCHM220)は01年の世界最小テレビ携電話部門に選ばれ、ギネスブックに紹介された。これを含めると三星電子の携電話端末は合計4種がギネスブックに登載されている。


 


 三星電子の係者は「極薄デザインや高素カメラフォンは、世界の携電話業界のメガトレンドである」としたうえで、「薄さを競う部門で三星の携電話端末がギネスブックに記されたのは世界携電話市場のトレンドを主導する社の技術が優れていることの証しである」と、嬉しさをせない子である。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


 BCN This Week 2007年10月8 vol.1206 載]  Link


 


 

韓国の家電業界動向 LG電子 携帯電話の販売が好調 (2007年10月29日 掲載)

予想を上回る業利益に


新興市場での販が寄


 


 


【ソウル7-9月期に携電話の販売実績が史上最高となったLG電子は、業利益3615億ウォン(約470億円)の好業績をあげた。この業利益額は市場の予想値を大幅に上回る水準だ。低格モデルが販の中心だったにもかかわらず、業利益を伸ばしたのは、韓以外の新興市場での販が順調だったことが寄したようだ。


 


 LG電子の業績表によると、グロバル連携基準で上高は前年同期比11.8%9兆9111億ウォン、業利益は73.8%3615億ウォンに達した。


 


 アナリストたちは上高10兆ウォン、業利益3000億ウォンを予想していたので、それを大きく上回っている。しかしアニングサプライズ(事前に予想されていなかった情報で株が大きく反すること)として業界を驚かせた前四半期に比べ、低格の携電話端末が販の中心を占めたことから、上高と業利益はそれぞれ5%、22%減少した。


 


 携電話事業を担ているMC(モバイルコミュニケション)事業部はインド中南米など新興市場の大で2190万台の携電話を販し、四半期決算では初めて2000万台を突破。前四半期比15%、前年同期比32%となった。


 


 前四半期に引きき、携電話はLG電子の各事業部のなかで業利益の最高額を記業利益率は8.4%を維持している。前年同期(1.1%)よりは大きく加したが、低格モデルの販売拡大と主力モデル販売価格の引き下げによって、前四半期(11.6%)に比べて多少落ちた。


 


 LG電子は「低格モデルの需要と、主力モデル販売価格の下落により益性が多少化したのは確か。ただ、新興市場で販量を伸ばしたことで得られた成果でもあるので、足している。携電話は第4四半期にも年末年始特需で新興市場を中心に成長が持し、3G市場の成長が加速化すると見まれる」と明した。業界ウオッチャらは、低格携電話端末が人を得てから平均販売価格が第2四半期の160ドルから第3四半期には130ドルにまで落ちたにもかかわらず、堅調な利益率を記していると、LG電子を高く評する。


 


 携電話以外の部門をみると、DD(デジタルディスプレイ)事業部の業赤字は287億ウォンで、1383億ウォンの赤字を記した前四半期に比べ好した。季節的な要因が作用したうえに、上半期から本格的に推進していた原削減と生産性向上活動が果を揮した結果とみられる。第4四半期には50インチ以上の大型TVの需要がえてくると予想され、プラズマTVの販えていることから績は回復すると見まれている。プレミアム市場で確立したブランド認知度を土台に、量と益の方を狙っている。


 


 LG電子の係者は「優位性を揮できる市場を維持しながら、これからどれくらい新興市場を開拓できるかがカギとなるだろう」としながら、「鏡のように光るシャイン携PRADA(プラダ)とデザイン面で提携したPRADA携を中心に高格製品がれているプレミアム市場も重要なのはわりはない。CDMAにおいては韓市場の場合プレミアムモデルを大する方針で、海外では北米市場を中心に新興市場攻略を進める。GSM(Global System for Mobile Communications=第二世代携電話の方式)市場では新興市場を中心に物量をげる計で、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access=第三世代携電話の無線アクセス方式)市場では動機能を化し、北米と日本市場の攻略を化、3Gの機器更需要に積極的に対応していく」と略を語っている。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)


 


BCN This Week 2007年10月29日 vol.1209 載] Link 


 


携帯電話と環境汚染

 韓国西海岸の海で、韓国史上最悪の原油海洋流出事故が発生した。流出量もさることながら、政府が波の速度や方向を読み誤る人災もあいまって、事故発生後12時間で40kmもの海岸が黒い油だらけになってしまった。これを受けて12月19日に大統領選挙を控えている候補たちは、こぞって漁村を訪問し、生態系に与える損害を心配するそぶりを見せたり、油を取り除く作業に参加するふりをしたりするなど大忙し。


 だが、目に見える被害には慌てふためいても、原油流出と同様に人間の環境や生態に悪影響を与えている携帯電話の廃棄については大統領候補の誰一人として問題意識を持っていないようだ。


 現在、韓国では年間に2000万台の携帯電話が販売される一方で、年間1500万台も中古の携帯電話が発生する。環境団体は、これらがどのように処理されていて、今後環境をどのように汚染させてしまうのかについて知らせるキャンペーンを実施している。


 携帯電話には、水銀やカドミウム、焼却するとダイオキシンを発生させるポリ塩化ビニール、オゾンを破壊するブロム化合物といった有害物質が含まれており、ちゃんと廃棄せずに他のゴミと一緒に燃やされたりすると環境汚染が進んでしまう。前述の環境団体によると1999年以降に韓国で生産された1億2506万台の携帯電話のうち、8500万台が未回収だそうだ。この8500万台に含まれている鉛の量は実に22トンに上る。韓国国民4800万人が120日間飲める水を汚染できるだけの鉛だと言う。


 韓国で捨てられている端末の7割は机の引き出しの中に埋もれているか、家庭のゴミとして分別もされずに捨てられている。回収されているのは3割程度で、さらにその中で再活用されるものはごく一部にすぎない。携帯電話を修理中の顧客に向けたレンタル端末として使われたり、中古端末流通業者によって中国や東南アジア、中央アジアに輸出されたりしてはいるが、ほとんどの端末は廃棄物として捨てられているのが現実である。


 しかも、捨てられている端末のほとんどが故障していない正常なもの。市民団体である「韓国緑色消費者連帯」の2007年7月調査によると、ソウル市民の4人に1人は3~6カ月に一度の周期で機種を変更し、5人に1人は家に2台以上の使わなくなった携帯電話端末を持っていると回答している。機種変更した理由は「故障したから」がもっとも多かったが、「新しいモデルがほしい」「製品の機能に満足できない」という回答も多かった。ユーザーの買い替え頻度の高さが、捨てられる端末数の増加に拍車をかけている格好だ。


 通信キャリアーやメーカーによる回収もあまり進んでいなかった。情報通信部によると、2003年~2005年の3年間に発生した中古の携帯電話は3870万6000台、このうち通信キャリアーが回収したのは1382万2000台で回収率は33.6%にすぎない。通信キャリアーには一定量の中古端末を回収する義務はなく、加入者が望む場合には無料で回収しなくてはならないというルールがあるだけだ。機種変更やMNP(番号移動制度)を利用する際に中古端末を返納すると1万~3万ウォンほど追加で値引きしてくれるのだが、それは加入者を他のキャリアーに取られないためのマーケティングにすぎない手法だし、金額が少ないためか積極的に参加するユーザーは少ない。また、メーカーについても、生産者責任活用制度(EPR)によって課せられている回収義務は生産量の16.5%にすぎないため、積極的に中古端末を回収しようとは思っていない。


 こうした背景から、通信キャリアーとメーカーは、お互い自分たちに回収の義務があるわけではないと言い張っている。メーカーは販売を担っている通信キャリアーの代理店で回収すればいいと主張し、通信キャリアーは回収・廃棄については法律で製造者が責任を取るようになっていると主張している。某大手携帯電話端末メーカーは、環境団体の回収義務を果たしていないという抗議に対して「環境汚染の恐れがある中古端末を家庭のゴミとして捨てる消費者が悪い」と開き直っていた。


 そこで、これまで携帯電話の回収は通信キャリアーとメーカーの両者が責任を持って行うべきとしていた情報通信部は、中古携帯電話の回収率を高めるため、通信キャリアーと大手スーパーマーケットと共同で「寄付フォンキャンペーン」を実施している。11月~12月の2カ月間にわたり、全国1000以上の小中高校、大型スーパーの「E-Mart」に中古端末の回収箱を設置し、E-MartではSK株式会社のポイントサービス「OKCashbag」で端末1台当たり1000ポイント(現金1000ウォン相当)のポイントを、学校では自分の携帯電話からショートメッセージを100件無料で送信できる商品券をそれぞれ贈呈している。さらに抽選でノートパソコンや自動車もプレゼントする。SKテレコムによると、全国の学校を中心に2カ月の間に13万2500台もの携帯電話が回収できたという。


 回収された中古端末は、廃棄専門業者に1台当たり350~1000ウォンで販売され、それによって得られた収益は貧しい人々のために全額使われる。廃棄専門業者に渡された携帯電話からは、重さ100g当たり3gほどの金銀銅やコバルトといったお金になるレアメタルが出てくるという。しかし、お金になる金属といっても450ウォン程度で、廃棄費用が600ウォンなので赤が出てしまう。そこで差額はベンダーが環境基金という名目で穴埋めしてくれるのという構図だ。その一方で輸出となると得られる収益は大きい。中央アジアでは韓国製の中古端末が大人気で、1台2000~1万ウォンで買ってくれるそうだ。情報通信部が目標にする回収台数は10万台で、1億ウォンほどの収益金を集め寄付できると予想している。


 筆者も1996年に韓国で発売された武器のように黒くて重くて分厚い端末を記念にとってある。今思うとよくこんなものをかばんの中に入れて歩いたものだと感心するが、初めてこの携帯電話を買った日は、それは嬉しかった。その思い出を忘れたくなくてずっと引き出しに入れたままになっているが、他の人も同じように思い出のある中古端末だから回収に出さないのかな? 引越し間際になって燃えないゴミで捨てるより、ちゃんと回収して環境保護に役立つとしよう。もうちょっと景品が多かったら、すぐにでも回収キャンペーンに参加するのにな~


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2007年12月12日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20071212/289309/

2008年、三星電子の携帯電話の狙い目は高速ネット

2007年、韓国の携帯電話の普及率は90%を突破。携帯電話の端末数も初めて2000万台を突破した。2006年の1600万台から20%以上も成長した結果となった。三星電子が発表した資料をみると、2007年に韓国で販売された携帯電話端末は2076万台あり、このうち三星電子が1042万台を販売。50%のシェアを維持しているという。LG電子は全体の市場規模を2100万台とした上で、自社のシェアが26%と説明していた。

 加入者数は頭打ち状態と言われながらも台数が伸びているのは、やはり、買い替え周期がどんどん短くなっているからだろう。韓国インターネット振興院の調査では平均1年半に1度は機種変更をすると回答した人が多かったが、通信キャリアーの直営代理店担当の話を聞くと2~3カ月で機種変更するユーザーもかなり多いと言う。しかも、端末価格に糸目をつけない新しいもの好きの「アーリーアダプター」は、意外と高校生や大学生に多いというから驚きだ。お金を稼いだことがない人ほど使いっぷりがいいというのは本当だったのか。


 買い替え周期のほか、2007年に韓国の携帯電話販売台数が増えたのは、通信キャリアーから顧客に支給される端末購入補助金制度が緩和され、安価な携帯端末が登場したからという分析もある。KTFが3G加入者を増やそうと3G端末に限って補助金を増やしたところ、SKテレコムもこれに負けじと補助金を使ったため、結局、人気1位の端末は「1ウォン携帯」になってしまった。その反動からか、2008年には補助金規制が完全になくなり端末をどんなに安くしてもよくなったにもかかわらず、どの通信キャリアーも「補助金よりは中身で勝負したい」と言うし、ベンダーも新興市場向けの安い端末で世界市場でのシェアはある程度獲得できたので、2008年は売り上げを伸ばすためにハイエンドの高価格な端末をどんどん発売すると宣言している。


 しかし通信キャリアーは口々に、「今は嵐の前の静けさのようなもので、どこか一社が補助金を出し始めると、また一気に『1ウォン端末』競争になるしかない。しかし、補助金で安く売ることを前提にしたシンプルな端末には付加価値がないので、モバイル市場の成長を妨げるだけだ。当然のことだがARPU(Average Revenue Per User;ユーザー1人当たりの収益平均)は、モバイルインターネットやコンテンツをあれこれと使えるハイエンド端末ほど高くなるので、できるだけハイエンドな端末を売りたい」としている。

三星電子は、新興市場では安くてもある程度の機能を備えた端末でシェアを拡大させ、同時にハイエンド端末を投入することで市場をリードし、世界市場でのシェアを伸ばしていく計画だ。120ドルで買えるスライド式のカメラ携帯は世界で1000万台売れた。


 モトローラにわずかな差で勝ち、ノキアに続いて世界2位の携帯電話会社と自負している三星は、2008年は世界で2億台を販売し、3G端末の台数は2桁以上増加させるとしている。しかし天下の三星といえどもiPhoneの大ヒットを見過ごすわけにはいかず、タッチパネル式で500万画素以上のデジカメ、エンターテインメント機能が強化された端末を重点的に発売するとしている。


 三星電子が2007年に実績を上げたのは、プレミアム市場だけでなく、低価格なローエンド端末にまで領域を拡大したオールラウンドプレイヤー戦略にあると分析されている。アジア向けには音声通話に重点を置いた端末、欧米では極薄だったり1000万画素カメラだったり、世界初という端末を発売してきた。手広く何でもやった結果、売り上げが伸びたというわけだが、このままずっとあれもこれも製造する戦略で収益性を保てるかは未知数だ。


 三星電子の成功を見てか、LG電子も「新興市場を狙ったローエンド端末と、欧米を狙ったハイエンド端末の両方でシェアを伸ばす」という戦略を発表している。しかし、欲張りすぎてどっちの市場もつかめないなんてことになる可能性もあるし、販売台数は伸びても収益は落ちるばかりという危険性もある。デザインや機能が良くなるのもいいのだが、メーカーだからと言って製造することばかり考えず、その端末でどういうコンテンツを利用できるのか、どういう楽しみ方があるのか、というところも考えてほしいものだ。


 三星電子はWibro(韓国で開発された高速無線通信技術)やモバイルWiMAXといったモバイルインターネットが携帯電話事業の次の成長ポイントととらえ、GoogleやYahoo!と提携してネットを使うための携帯電話を企画・販売したこともある。ブログや検索に便利な携帯電話として、アップロードが高速なHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)対応端末も登場した。これからは移動しながらでも100Mbps以上の通信速度が出る携帯電話事業を狙っている。タッチパネルや豊富なカラーを使ったデザインに高画素カメラ付き、アップロード速度を速めて撮ったらすぐ投稿させる使い方を普及させ、さらにモバイルライフを進化させようということなのだろう。移動しながらも仕事ができてTV会議にも参加できます、という広告も見たけど、「移動中なので戻ったら資料送ります」と時間稼ぎをしていた私のような人間は言い訳がちょっと苦しくなるな~

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年1月23日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080123/291849/

携帯電話の料金値下げ騒動、規制緩和が逆に独占を促す可能性も(2)

韓国の新政府は、規制を緩和することで自由競争を促進し、その結果として通信料金や通話料金を引き下げ、家計のコスト負担を軽くするという公約を打ち出している。そのために、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)の導入やUSIMのロック解除、セット販売の規制緩和などで市場競争を極大化させ、値下げ競争も勃発させるという方針だ。競争を活発化させるのはいいが、これが逆に大手1社の独占状態を作ってしまう可能性も大きいのである。

 セット販売の規制が緩和されたことで、ブロードバンド通信、固定電話、IPテレビなど他の通信サービスとセットで使うユーザーの月額料金を割り引くことが可能になった。これを受けて、携帯電話のシェア1位のSKテレコムは、ブロードバンドISPで2位のハナロテレコムを買収し、ブロードバンドとIPテレビ、IP電話、携帯電話を一つにセット化した料金制度を開始する見込みだ。ブロードバンド1位のKTの子会社でありながらもこれまで別運営だった携帯電話のシェアで2位のKTFは、KTと合併して本格的に携帯電話とブロードバンドを合わせたサービスを提供したいと発表した。3位のLGテレコムもグループ会社が光ファイバーとIP電話、IPテレビを提供しているので、携帯電話と連携した料金制度を提供しようとしている。


 しかしブロードバンド市場で圧倒的なシェアと資金力を持つKTが携帯電話市場をも牛耳るようになれば、料金を一方的に安くしてシェアを独占できる。しかもKTは衛星放送や映画制作会社も傘下に抱えているので付加価値を付けやすい。このままではKTが携帯電話でもシェアを独占するのは時間の問題かもしれないと言われている。独占までは料金を安くして、良いサービスも提供するが、一旦競争相手を潰してしまえば、その後はやりたい放題になるのではないか。杞憂かもしれないがそう考えると怖くなってしまう。


 通信料金が安くならない理由の一つに、大手の通信キャリアが通信料を勝手に決められないという制度的問題がある。例えばSKテレコムの場合、シェアが50%を超えているため料金を自由に決められず、政府が認可する料金でサービスを提供しなければならない。これはシェアの少ない事業者を保護し、市場支配力を最小限にとどめさせるためだ。この制度によりKTも有線のブロードバンド料金を勝手に値下げできない状況にある。SKテレコムは「料金を安くしたくてもできないようにしていたくせに、今となってもっと安くしろ、もっと削れと言うことは、会社の利益は考えるなということか」と不満を漏らしている。事業者が自由に料金を決められるようにすれば、競争に応じて通信費は安くなる。この規制をなくす方が、セット販売の規制を緩和するよりも先ではないだろうか。

通信費を安くできないもう一つの理由は補助金にある。2008年3月から「端末補助金規制」が廃止され、通信キャリアは顧客に対して端末を安く提供できるようになる。補助金とは、顧客が新規加入や機種変更で端末を購入する際に、通信キャリアが一定金額を補助して、顧客が安く端末を購入できるようにする制度だ。今まで韓国の携帯電話端末が、日本円に換算して8万~9万円もするのは、この補助金が規制されていたためだと言われている。


 通信キャリアにとっては補助金を自由に使えるようになったからといって、そんなに嬉しくはない。去年は限定的に3Gの加入者に対しては端末補助金を支給できたので、3G端末を購入するユーザーには格安端末(1ウォン携帯や無料携帯)を支給していた。しかし、身を削る競争の末、マーケティング費用を使いすぎて営業利益が予想を下回った通信キャリアも登場した。


 今年3月からは、3Gと2Gの購入者に端末補助金を自由に出せるようになる。そうは言っても、もうその余力はないと各通信キャリアはしり込みしていたのだが、シェア2位のKTFがついに先頭に立って3G端末を2年間の月賦払いで購入すると半額になるという端末補助金支給を開始した。長く加入してもらうことで、補助金を出したとしても利用料で利益を十分出せるという考えで始めたことは想像に難くない。逆に言えば、通信費を安くしてしまうと自分の首を絞めてしまうので、それはできないというわけだ。ちなみに、残りの通信キャリア2社は、補助金制度がまだ解禁されてもいないのにこんなことをされては困る、公正取引違反だ、と反発している。


 韓国の通信キャリアはよく期限限定の料金プランを発表したり、とんでもなく安い料金プランを発表したりしてはすぐにそのプランをやめてしまう。制度問題もそうだが、通信費などを安くするために、先を見すえて企画を打ち立てていないことの表れだろう。


 代表的なのが「カップル料金」。2台の携帯電話を同時に加入して「カップルプラン」にすると、基本料金だけで2台の携帯電話間の通話は無料とSMSの送信が無料かつ無制限というものだった。このプランで、通信キャリアの予測を大きく上回る通話トラフィックが発生し、結局1年ほどでプランをやめてしまったになった。その後も懲りずに2台間の通話が100分間無料、SMSの送信は無制限に無料で利用可能、毎月の映画予約チケット(自由に映画を選択できる)を2枚贈呈といった面白い企画を打ち出しては、予想外に加入者が多くなり、営業利益が落ちる可能性があるのでプランを一方的に打ち切ったりしている。


 長い目で見て料金プランを企画すれば加入者にとってはより安く、企業にとっても利益をあげられる構造になると思うのだが、今回の値下げ騒動を見ると政府も通信キャリアも鼻の先しか見ないで大騒ぎしているように見えてしまう。企業も得して加入者も得する携帯電話料金値下げになってくれるといいのだが、まだまだ道は険しいようだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年2月6日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20080205/293131/

話題の携帯電話、hapticって何だ?

このごろ韓国では携帯電話の面白いCMが登場した。「チョン・ジヒョンより彼女が好きな理由は触れるから」というちょっと刺激的な広告コピーの携帯電話「haptic」。日本でもシャンプーのCMに出演したり、日曜ドラマの「猟奇的な彼女」の原作映画で主演を演じたチョン・ジヒョンが登場して、お茶目な姿を見せてくれるサムスン電子の携帯電話CMだが、「触れる」ということでタッチパネル端末であることをとても上手く伝えている。

 iPhoneが登場して以来、世界的にタッチパネルの携帯電話が流行っている中、サムスン電子はさらに進化したタッチパネル端末として「haptic」を発売した。LG電子のタッチスクリーン端末であるPRADA携帯に対抗するもので、韓国標準協会が選定した第9回大韓民国新技術ウトゥム(一等)賞を受賞した話題の製品でもある。端末価格が8万円もするのに発売から20日間で7万台、3カ月間で20万台が売れ、今ではどの代理店に行っても売り切れ状態という幻の携帯だ。ネットでは端末に2万円ほどのプレミアが付いて取り引きされている。


 hapticは触覚という意味を持つ単語で、文字通りタッチパネルの携帯電話であるが、ただ液晶をタッチして機能させるだけの端末ではない。ちょっとアナログ感覚というか。電話をかけるときは昔のダイアル式の電話のような効果音が流れ、写真アルバムを見るときは紙のアルバムをめくるような音がする。写真の上に手書きで文字やイラストを残して、それを送信することもできる。液晶画面のアイコンを指でクリックすると振動し、端末を傾けることでファイルを検索したり写真を見たりということができる。22種類の振動機能が搭載され、クリックするたびに端末が違うように反応する。例えば家族や友人の誕生日を入力しておくと電話がかかってきたときにその人のバイオリズムに合わせた振動が感じられるので、毎回違う感触を体験できる。Widgetを利用して初期画面を自由自在に作れる。


 16対9比率の3.2インチの液晶画面に軽くほどよいグリップ感があってタッチしやすく、地上波DMB(韓国版ワンセグ)にも対応しているので携帯電話にしては大きな画面でテレビが見られるのもいい。メモリーは130MBと余裕があるが、サムスンの携帯電話といえば700万画素、1000万画素の高画質カメラ付き携帯が有名なのにhapticはカメラが200万画素しかないのはちょっと残念だ。でもhapticはタッチパネルにしてはかなり使い心地がよく、当初ボタンが一つもないタッチパネル式で開発されたが、ユーザーテストでタッチパネルだけでは逆に不便と指摘されたことで設計を修正、一般ユーザーの意見を最大限反映したのも特徴としている。


 サムスン電子は、これは単純なタッチパネルではなく携帯電話がユーザーに合わせて反応する、触感と感性を刺激する新しいジャンルのケータイであると説明しているが、端末の機能よりもCMがよかったので買ってみたいとする人が多いような気がしないでもない。


 サムスン電子がタッチパネル携帯電話に重点を置くようになったのはiPhoneの影響もあるがLG電子のPRADA携帯が予想以上にヒットしたことも影響しているようだ。1年ほど前、LG電子は有名ブランドPRADAと提携し、タッチパネルの端末をヨーロッパで先に発売し、のちに韓国で歴代最高価格の88万ウォン、約9万円で売り出した。それでもこんなにスタイリッシュな端末は見たことがないと爆発的な売り上げを記録し、特に専門職の男性に人気を集めた。


 hapticよりさらに上をいくタッチパネル端末としてサムスンはヨーロッパ市場向けに500万画素カメラ付きの「SOUL」を発売した。「the Spirit Of Ultra」の略字でUX (User eXperience)に対応している。既存の端末は内蔵された一つのUXしか利用できなかったが、ユーザーが自分に合ったUXをデザインできるという点が違うそうで、ユーザーがカラーや明るさなどをいくつか設定すると携帯電話がユーザーに合ったUXテーマを作ってくれるという。音楽を聴いている間はキーパッドも音楽再生にあったものを、メールを書くときにキーボードに早変わりするDaCP (Dynamic Adaptive Control Pad)技術のマジカルタッチキーボードもつけたとのこと。


 携帯電話の待ち受け画面なんて1年以上そのままだし、メールを書くときにタッチパネルなんてじれったくて使えないと思ってしまう私にはこれってそんなにすごいの?とあまりピーンとこないが、かなりすごいことらしい。タッチパネルだと画面も大きくてインターネット検索も楽々、手書きもできるから使いやすいといえば使いやすいが、モバイルコンテンツや写真を編集する機能などほとんど使わずに電話とメールだけという人には逆にボタンがないので不便かもしれない。


 韓国では2009年にはタッチパネル式の携帯電話が全体の3~4割を占めると予想されているほどで、市場調査会社のガートナーの資料によると、2007年に世界市場で1500万台規模だったタッチパネル式の携帯電話は2008年には2倍以上の3500万台規模になる見込みだという。今からタッチパネルに慣れておく必要があるのかもしれない。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年4月30日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080430/1001648/