第21回:月火ドラマ新作激突! KBS「春のワルツ」 vs MBC「君はどの星から来たんだい?」





第21回 月火ドラマ新作激突! KBS「春のワルツ」 
      vs MBC「君はどの星から来たんだい?」

2006年3月24日


●春の新作ドラマの波が押し寄せてきた

 韓国は先週、雪は降るわ、風はすごいわ、急にマイナス8度まで下がるわで、真冬に戻ってしまった。これを韓国語で「コッセムチュイ(花が咲くのをねたむ寒さ)」と言う。面白い表現ですよね。3月、4月まで何度か「コッセムチュイ」があるものだから、冬物を早くクリーニングに出して仕舞い込みたいのだけど、そのタイミングが難しくて。

 去年なんて、夏になってからやっとクリーニングに出したくらい。韓国では、4人家族だとたいていバスルームが2つあって、部屋が4つあるマンションに住むのだけど、夫婦の寝室には別途ドレスルームがあるところが多い。さらにあちこちに収納スペースが付いているけど、それでも嫁入り道具として立派な洋服箪笥を買わないといけないのは、一度にいろいろな季節の洋服を出しておかないといけないからかも知れない。家も、1人で押し入れ2つ分は占領している。どうにかしたいんだけど……。







「春のワルツ」に主演するハン・ヒョジュとソ・ドヨンは2人ともモデル出身の新人
(c)KBS
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 それはそうとして、「最近“宮”のほかに面白いドラマなくってさ~」と嘆いていたところ、来ました来ました。ついに春の新作ドラマの波が押し寄せてきました! 「秋の童話」「冬のソナタ」「夏の香り」と続くユン・ソクホ監督の四季シリーズ最後の作品で、50億ウォン(約6億円)の制作費でオーストリアでの豪華ロケが売りのKBS「春のワルツ」(月火)を皮切りに、春が始まりましたよ!

 「春のワルツ」に対抗するMBCの月火・春ドラマは「屋根裏部屋の猫」「ラブストーリー・イン・ハーバード」のキム・レウォンと、「私の名前はキム・サムスン」で憎めないライバル・ヒジン役で一気にアイドル歌手から俳優として花開いたジョン・リョウォン主演の「君はどの星から来たんだい?」。

 「春のワルツ」については、ますます磨きがかかった映像美を披露しているという評価もあれば、いつものストーリで飽きてしまうという評価もあるが、今までのところ結構いい! 出演者は新人ばかりで地味なところもあるけど。

 「君はどの星から来たんだい?」はコミカルな場面や面白いセリフも多く、結構評価が高い。久々に登場したレウォンと、いつものイメージとは全然違う、強気だけど純粋な田舎娘がとっても似合うリョウォンの息もぴったり合っているから観ていて楽しいのだ。視聴率を比べてみると、「君は~」のほうがちょっと上。「春~」は10.9%、「君は~」は12%を超えた。

 「春のワルツ」は、どうせ出生の秘密に記憶喪失に三角関係のあのパターンでしょう?」と最初はあまり評価が高くなかったけど、徐々に「ちょっといいかも知れない」に変わっている。主な視聴者は韓国でも年配の主婦層で、30代以下の女性は「君は~」のキム・レウォンにぞっこんなのだ。とはいえ、「私の名前はキム・サムスン」で大ブレイクしたダニエル・へニーが「春~」の主人公の1人なので、こっちも気になってしょうがない。だからどっちも早く観たいのよね。テレビを2台並べて同時に観たい!



視聴!

 春のワルツ』(KBS2・毎週月火夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。KBSのインターネットでの視聴方法について詳しくは第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。

 君はどの星から来たんだい?』(MBC・毎週月火夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。


●ユン・ソクホ監督の四季シリーズ最終章は「春」







中央がユン・ソクホ監督で、時計回りにジェハ(ソ・ドヨン)、フィリップ(ダニエル・へニー)、ウンヨン(ハン・ヒョジュ)、イナ(イ・ソヨン)
(c)KBS
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 「春のワルツ」の主な登場人物は、オーストリアで活躍中のピアニストのジェハ(ソ・ドヨン)、マネージャーのフィリップ(ダニエル・へニー)、韓国で貧しくも健気に特技を生かし手作りアクセサリーの露店をやっているウンヨン(ハン・ヒョジュ)、クラシック音楽のアルバムを制作する企画チーム長のイナ(イ・ソヨン)。

 第1話のあらすじは–ウンヨンは工芸デザイン公募で賞を取りオーストリアに行くことになり、飛行機の中でイナに出会う。一方イナは、子供の頃に一緒にピアノを習ったジェハにアルバム制作の説得に行くところだった。

 ジェハを驚かせようと、マネージャーのフィリップジェハを連れて、空港まで迎えに来てほしいと頼むイナイナと面識のないフィリップは、ウンヨンイナと思い込み、英語がほとんど話せないウンヨンと一騒動に。しかし結局はイナを見つけてジェハの車に乗せる。

 運転していたフィリップは、街で偶然ウンヨンを見つけ一目散にウンヨンに近づき、「僕は君のガイド」とか言いながら市内観光に。そして、フィリップウンヨンに、ジェハのコンサートチケットをプレゼントする。

 その後、偶然にジェハウンヨンは同じ列車の同じ車両に乗り合わせる。なぜか他の乗客が皆降りてジェハウンヨンは2人きりに。そのとき、ジェハの頭の上にあったウンヨンのトランクが開いて、そこからコチュジャンが漏れジェハのセーターを汚してしまう。ウンヨンはクリーニング代の代わりにと「これ高いチケットなのよ」とジェハのコンサートチケットを差し出す。

 そしてコンサート会場でウンヨンは隣の席を気にしながらジェハを待つのだけど、ご想像のとおりジェハが舞台に登場する。それを見て、怒りのために帰ろうとするウンヨン。しかし、ジェハがアンコールで、子供の頃が懐かしいと「クレメンタイン」を演奏すると、ウンヨンはその場に座り込んでしまう。

 第2話からはウンヨンの子供の頃の話なのだが、早速ウンヨンが子供のころ兄と慕っていたスホがジェハだということがわかってしまい、緊張感がなくなる。

 しかし、ここでユン監督の得意技が! これでドラマから目が離せなくなるというファンも多い。子供時代を過ごした赤い屋根の家と黄色に花が咲き乱れる島、ハート型の海岸、雪降るオーストリアの街並み、どの場面もため息が出るほど。ロケ地探しはもっぱらユン監督自身が行うということも驚きだ。

 「春のワルツ」は、健気な女性が登場する「秋の童話」「冬のソナタ」「夏の香り」と続く四季シリーズの中でも、主人公がもっとも「キャンディ キャンディ」のキャンディっぽい。全体的には「冬のソナタ」と似ているので、冬ソナファンには嬉しいドラマかも知れない。

●明るさが魅力の「君はどの星から来たんだい?」

 「春~」がオーストリアなら、「君は~」オーストラリアで海外ロケ! 「君は~」のヒロインのジョン・リョウォンは小学校5年から大学2年までオーストラリアに住んでいた、いわゆる移民逆戻りタレントの1人。「私の名前はキム・サムスン」では、ダニエルと流暢な英語で話していたのが印象的だった。1999年に韓国に遊びに来たときにスカウトされて、女の子4人グループ「シャクラ」でデビューし、2002年からは演技に専念したいとシャクラを脱退。アイドル歌手出身俳優の中でもっとも成功したケースだ。何十回もドラマのオーディションに挑み、最後の最後でキャスティングされたのがサムスン。それから一気に花開いたからよかったね。

 キム・レウォンはバスケ選手だった中学生の頃、制服のモデルになったのをきっかけに映画やドラマで子役デビューし、1981年生まれという若さですでにデビュー11年を迎えた。特にこれといった起伏もなく、人気スターとしてファンからも監督や製作者からも一目おかれているのは、映画やドラマ中心で、そのほかのテレビ番組には出ず、プライベートでも1人で釣りに出かけるくらい。仕事が決まると役作りと演技以外は何も考えないという真剣なところが、人気の秘訣なのかも知れない。2007年には徴兵で軍隊に入ってしまうので、当分彼の作品が観られないと思うと心が痛みます。でも、ちょくちょく休んでいたから違和感はないかも知れない。

 「君は~」は、ピとソン・へギョ主演の「フルハウス」で有名なピョ・ミンス監督の作品で、こちらも出生の秘密が絡むけど、とにかく明るくてつい噴き出してしまう場面がいっぱい! 個人的に、とてもお勧めしたいドラマだ。








「君はどの星から来たんだい?」主演のキム・レウォンとジョン・リョウォン。リョウォンは令嬢ヘスと田舎娘ボッシルの1人2役
(c) キムジョンハクプロダクション
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 ストーリーは–オーストラリアに移民したスンヒ(キム・レウォン)は、映画監督の父と女優の母をもち自らも映画監督として活躍している。高校の先輩ジョンフン(パク・シフ)の紹介で出会った大金持ちの孫であるヘス(ジョン・リョウォン。ボッシルと1人2役)と結婚を考えているが、彼女の母の猛反対で悩んでいた。スンヒはプロポーズを決意しドライブ中にヘスに指輪を渡す。しかし、指輪がシートの下に落ちてしまいそれを拾おうとした瞬間、前に停まっていたトラックと衝突しヘスは死んでしまう。

 絶望したスンヒは、それから韓国に戻り何もせずぶらぶらと2年を過ごすが、ジョンフンの勧めで再起のためにミュージックビデオの監督を務める。ロケ地探しに江源道の田舎町を歩いていたところで、ヘスにそっくりな女性を見かけ、後を追う。

 気がつくとそこは1日に1回したバスが通らない山間地域のど田舎。近くにホテルも旅館も何もないところ。ヘスにそっくりな彼女は、自分の家は民宿をやっているから来ないかという。彼女の名前はボッシルボッシルは事故で精神年齢が10歳に戻ってしまった母と2人で住んでいて、実は民宿などやったこともない。

 スンヒのために母子2人で食事の準備をしたり大騒ぎ。ボッシルは、スンヒを勉強場所を探している司法試験浪人と勘違いし、色々説教したり変な目で見たりするが、その後スンヒは大勢の人を連れてミュージックビデオの撮影にやってくる。

 撮影所で食事の支度を手伝うアルバイトに雇われたボッシルは、ヘスの従姉妹で音楽プロデューサーのミヒョン(カン・ジョンファ)と、制作会社の社長ジョンフンの目に留まり、母の手術代を稼ぐためにソウルで就職することになる。

 ボッシルは、スンヒがいるチームの事務補助として就職はしたが、行く先々でスンヒとぶつかってばかり。スンヒは自分は監督だと威張ったり、ドジなことをしてボッシルにフォローしてもらったり、ボッシルのことが好きなのかな? と思わせてはまた嫌味を言ったり、わがままだけど憎めない役柄は、屋根裏部屋のときと変わらない。で、そこがいい!

 一方、ジョンフンボッシルヘスの妹ヘリムであると確信し、あれこれ調べる。彼もまたボッシルの明るいけどちょっと悲しそうな、秘密めいた雰囲気と、無垢な心に惹かれていく。いつも自信満々で完璧な女性としてボッシルが憧れるミヒョンも、積極的にスンヒにアプローチし四角関係が始まる。

 第2話に、スンヒヘスを回想するシーンで、ピアノを一緒に弾きながらキスする場面があるのだけど、これ必見! 早速、名場面として語られているほどうっとりしてしまいます。オーストラリアの砂漠や海、またレウォンの出身地でもある韓国江原道の田舎の風景も見逃せない。

 この2つのドラマ、どちらも見応えあるから、毎週月火は、どちらを
VODに回すべきかで悩んでしまう。ラブコメとキム・レウォンが好きな私としては、先週は、ちょっと暗い「春のワルツ」よりもレウォンちゃんのおとぼけにギャハハと笑える「君はどの星から来たんだい?」を選択。でも、「ワルツ」も気になるものだから、途中で何度もチャンネルを替えてストーリーがこんがらがってしまった。2作品は、出生の秘密、四角関係、海外ロケでとっておきの風景などなど、似ているところも多いし。


 次回も、春の新作ドラマを紹介する。「ハン・ガインとヤン・ドングンがカップルになったということだけでも視聴率20%は間違いない」と言われる「Dr.ケン」(発音が微妙でGGENG)。現代版チャングム物語で、青瓦台で大統領の料理人になる田舎娘の奮闘記「本当に本当に好き」、ソン・イェジン主演の「恋愛時代」など、まだまだ続きます。ご期待ご期待~。

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第20回:ビジネス上手な実業家ヨン様、「太王四神記」はどうなったの?







第20回
ビジネス上手な実業家ヨン様

新作ドラマ「太王四神記」はどうなったの?

2006年3月6日


●冬ソナの聖地、春川は今も変わらず

 先週久しぶりに冬ソナの聖地ともいえる春川(チュンチョン)へ行ってきた。冬ソナ放映から4年経った2006年冬、ドラマロケ地ツアーもだいぶ落ち着いたようだし、春川はどう変わったのかな? と思っていたら、まだまだ雰囲気はそのまま。

 冬ソナの写真やヨン様、ジウ姫の手形の前で嬉しそうに写真を撮ったり、まるでヨン様とデートしているかのように、うっとりとした表情で自分なりの春川を満喫している中国や日本の女性グループも、まだまだかなりいらっしゃいましたよ。







春川名物のタッカルビは驚くほどの美味しさ
 以前は団体ツアーがメインだったが、最近はリピーターの個人旅行者が増えている。春川といえばタッカルビ(鶏とキャベツ、もち、さつまいもなどを入れて辛く炒めたもの)にマックッス(辛い冷麺の一種で黒っぽい蕎麦に凍った汁とキムチとコチュジャン、ごま油などを入れて混ぜる)、これを食べないわけにはいかない。

 今ではソウルでもおいしいお店が増えたが、やっぱり本場の春川のほうが味付けも濃くてボリュームもあっておいしいかった! 相変わらずタッカルビ通りの入り口での客引きはすごかったけど、客引きはなく、お店の入り口に新聞の紹介記事が張ってあるだけのお店に入ったら、「うわ~タッカルビってこんなにおいしかったっけ?」というほどの美味しさで驚いてしまった


●ビジネス上手のヨン様は事業に大忙し

 春川といえば冬のソナタで、ペ・ヨンジュンのことも気になるところ。韓国が誇るスパースターで、アジアを代表するスターであるヨン様の2005年の収入は約200億ウォン(約24億円)、所属事務所のBOFの売り上げは440億ウォン(約53億円)だそう。

 BOFが2月アジアコンテンツ投資計画発表記者懇談会でこの数字を発表し、度肝を抜かされた。この懇談会では、ヨン様が90億ウォン(約11億円)を投資してソフトバンクコリアと韓流のデジタルコンテンツ事業を始めるということも発表され、そろそろ撮影が始まる「太王四神記」のことよりもデカデカと新聞を騒がした。「KEY EAST」という社名で韓流に限らずアジア流というか、アジアのコンテンツをより活発に交流させようというのが目標ということで、韓国でも「さすがヨン様はスケールが違う」と期待されている。

 韓国のマスコミによるとヨン様はかなりのビジネス上手で、冬ソナがヒットする前から不動産の投資に成功、自分の所属するマネージメント会社BOFと日本のマネージメントを担当しているIMXに自ら投資し、レストランにも投資を始めた。昨年、BOFがロッテデパート最上階にオープンした「Tea Loft」という、とってもおいしくて天井から空がのぞけるおしゃれなカフェも大繁盛している。

 正直、この手のカフェは韓流ファン狙いの値段が高いだけのお店だと思い込んでいたが、大間違い! 「ヨン様席」といって入り口からすぐ右手のところに写真が張ってあり、おば様方が順番待ちをしていたりもするけど、韓国地元ではとにかく「おいしい!」と評判のカフェなのだ。







Tea Loftのシルトッ
(出典:Naverお店検索)
 「韓国伝統のお餅とお茶ってこんなにおいしかったっけ?」と近所のサラリーマンやOLが口を揃えお勧めするカフェでもある。一番人気のシルトッは、かぼちゃやなつめなどの具がたっぷり入ったふわふわのお餅が、1人分ずつ石焼ビビンバの容器のお子様用みたいな蒸し器で出てくるんだけど、あまり甘くもなく後味すっきり、それに腹持ちもいいので、おやつやちょっとしたブランチにと近所のサラリーマンやOLが並ぶ並ぶ!

 さつまいもラテやカフェオレもあるけど、お勧めはヨン様もよく飲んでいるという五味子茶(オミジャチャ)。家庭でも夏は麦茶のように冷蔵庫の中に常備している飲み物で、甘く酸っぱく苦く辛くしょっぱい5つの味がする赤いお茶のこと。でも実際に飲んでみると甘酸っぱいだけで苦味や辛味なんで全然感じられず、すっきりした味でおいしい~。

◆Tea Loft
 場所:明洞ロッテデパート本店 14階
 営業時間:11:00~21:30
 電話:02-772-3996
 メニュー:シルットッ、アイスオミジャ、さつまいもラテなど6,000ウォンから

 このほかにも、韓国のスポーツ新聞に大きく報じられたのが、ヨン様のウェルビン(Well-Being)レストラン投資。春江南のドサン公園近くにオープン予定の健康志向の自然食レストランなのだが、ヨン様自らもいつもWell-Being食を心がけているとかで、個人的な興味から投資を決めたそうだ。渋谷にオープンしたCafeBと合わせ、ヨン様聖地がまた増えそうだ。


●気になるヨン様新作ドラマのヒロインは?

 ところで、新作ドラマ「太王四神記」だが、今月中には撮影を開始するという。ヨン様は、古代王様の雰囲気を出すために髪も伸ばしトレーニングに励む毎日。だが、未だにヨン様に愛されるヒロインが決まっていない。

 冬ソナは日本やアジア各国はもちろんのこと、中近東など9か国に輸出され韓流ブームの伝説となったが、「太王四神記」は90か国に同時配給し、新たな韓流ブームを盛り上げていくそうだ。大作ドラマのヒロインは新人から選びたいということだが、果たしてどういう人が選ばれるのか、韓国でもヨン様家族(ファン)が首を長くして待っている。







済州道のオールインハウス
 済州道で工事中の120億ウォン規模の野外セットは、「オールインハウス」を超える済州道の名所としてすでに日本からの観光客でにぎわっているそうだ。2006年は「済州訪問の年」でもあるので観光客向けの特典もあれこれ企画されている。済州道は、昔は新婚旅行のメッカとして、今はゴルフ、マリンスポーツなどが楽しめるリゾート地として韓国でも大人気の観光地で、映画「シュリ」や「チャングム」のロケ地もある。BOFも済州道からの依頼で、ツアーやイベント企画に参加する方針で動いている模様だ。

 「四月の雪」のロケ地となった江原道三陟市(サムチョク)は海水浴場しかない田舎で、観光地とも言いがたい地域だったが、ヨン様ツアーのおかげで地域経済が活性化され1,664億ウォンもの経済的効果を得た。「あんなちっちゃいサムチョクに昨年は約5万人の日本人観光客が訪れているなら、済州には20万人は来てくれるのではないか」と期待されている。

 大韓航空は3月末から「羽田-済州直行便」を正式運行するそうなので、今からとことん「太王四神記」の世界を堪能するのもいいかもしれない。そうそう、済州の特産物というかお土産で喜ばれているのは太刀魚、アカアマダイといったお魚、ハンラボンというゆずとオレンジを混ぜたようなとっても大きく値段も高い夏みかんと金柑。サボテンチョコやゆず香水、みかん石鹸もよかった。果物は日本へは持って帰れないから済州でいっぱい食べてくださいね。









春にはユチェコッ(菜の花)が咲き乱れる済州 青く澄み切った済州の海と空


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第19回:韓ドラの新しいジャンルを切り開いた『宮』<その2>~ドラマ初出演の新人ばかり、だから新鮮







第19回
韓ドラの新しいジャンルを切り開いた『宮』<その2>

ドラマ初出演の新人ばかり、だから新鮮

2006年2月8日


●春の結婚シーズンには給料の3分の1が飛ぶ!?

 今日は大雪の中、友人の子供の生まれて初めての誕生日「ドル」があった。韓国では1歳の誕生日はとても重要な日で、ホテルのバイキングやファミリーレストランを借切り大勢の人を呼ぶ。家族や親戚はもちろん、会社の上司や後輩や友人や近所の人まで集まり、子供の誕生を正式に祝うのだ。

 韓国ドラマによく出てくるのが、交際を始めて100日目、1年目、1,000日目などの記念日に彼氏が大きな花束と指輪を贈りながら結婚のプロポーズをするという場面だが、韓国では実際に100日と1年はとても重要な意味をもっていて、大学入試100日前の日もお祝いをする。一時期受験100日前の日から銀の指輪をはめるとよい、というデマのせいで銀の指輪がバカ売れしたものだ。お母さんたちは毎日早朝に、教会やお寺に通い100日間子供の合格を祈る。

 子供が生まれて100日目になると「ぺッイル」といって家族が集まりパーティーをする。この日は真っ白なペッソルギというお米と砂糖で作ったほんのり甘い四角い餅を配る。大昔は赤ちゃんの生存率が低かったから、100日経ってやっと「この子はもう大丈夫」と思ったのかも知れない。

 今は100日目はパスして生まれて1年目を迎えるドルの日を盛大に祝うことが多く、招待された人は純金の赤ちゃん用指輪をプレゼントするのが慣わし。記念にもなるし、成長しながら金銭が必要になったらお金に換えて使ってね、という意味もある。

 でも今年に入ってから純金の値段が暴騰しちゃって、ドル用の指輪がまったく売れないそう。また会社から直行するため買う時間がないということも多いので、そういうときは祝儀を渡す。相場は大体は5万ウォン~10万ウォン(2006年2月8日現在:1ウォン=約0.12円)、親戚の場合はずっしり重さのある純金のネックレスや金で作った長寿を願う亀、富を願う豚を贈るか、祝儀をはずむ。

 結婚式でも、会場がホテルだったら食事代を考えて5万ウォン~10万ウォン、たった15分で結婚式終了、はい次のカップル入場~というような専用の結婚式場だったら3万ウォン~5万ウォンかな? でも仲良しグループの友人とか、会社の上司関係になると10万ウォンは出さないと恥ずかしい。

 また、新婚旅行のあとに新居を公開する「ジプドゥリ」という行事があって、招待客はお金が泡のように出てくることを祝って洗剤、また友人同士でお金を出し合って家電なんかをプレゼントする習慣がある。日本と同じように韓国でも毎月何かと祝儀を出すことがあり、春の結婚シーズンになると給料の3分の1が飛んだとか、家計圧迫、…と嘆く主婦が多い。まあ、一種の貯金と考えれば気は楽になるけど。

●『宮』は微笑ましいシーンの連続

 それはさておき、前回に続きドラマ『宮』の話題。1、2話では冬休み中の中高生のウケ狙いか、日本でいうと2chで使われているようなネット用語が出まくり、大人たちにはさっぱりわからない宇宙語ともいわれるスラングが字幕解説付きで登場してひんしゅくをかっていた。でも、3話からはだいぶ落ち着いて、宮廷の厳格な生活ぶりが紹介されている。







皇太子役のジュ・ジフン。モデル出身だけあって187cmもある長身にスレンダーなスタイルはさすが!
(c)iMBC(※ 画像はクリックで拡大)
 休む暇などまったくない公務の連続、警護が付きっ切りで私生活はまったくなし、毎朝のお通じまで報告しなくてはならない生活が続く皇太子妃チェギョン。まだ高校生なのに皇太子妃となり家族と離れ宮で生活する彼女は、久しぶりに両親と宮で会える日を心待ちにしている。

 だが当日、勉強の時間だからと部屋に閉じ込められ、急いで戻ってみると両親はすでに帰ったあとで、チェギョンのために持ってきてくれた数々のキムチだけが手紙と一緒に残されていた。でもチェギョンのお母さんはかなりのしっかりもの(ちゃっかりもの?)で、保険の外交をしているんだけど、なんと皇帝と皇后と面会したとき、皇帝に保険を勧め1件契約成立!

 泣き崩れるチェギョンを見た皇太子は、こっそり皇后にお願いし2泊3日、付き人なしで夫婦揃ってチェギョンの実家へ里帰りすることになる。

 皇太子は、いつもの堅苦しい皇室とは違い、家族がみんな友達のように仲よく、お父さんが料理してお母さんが味見する姿に微笑んだり、チェギョンと一つしかないベッドをめぐって口喧嘩の末結局二人で一緒のベッドに寝っ転がりちょっとドキドキしたり、皇室では口を大きく開けるからみっともないと禁じられているチャンチュサム(焼肉屋さんで出てくる葉っぱがサンチュ、この葉っぱにご飯、お肉、味噌たれなどを包んで食べること)を食べてみたり、靴を履いたまま家の中へ入ったり(「花より男子」を参考にしたのか)、習慣からベッドの中でも靴下を履いたままで驚かれたりと、とっても微笑ましい場面が多くて、TVの画面をなでなでしながら観てしまいましたよ。

 チェギョンと皇太子もお互いをけなし合ってばかりいたけど、このときからは少しずつお互いに惹かれ合っていくのを自覚したみたい。もうその姿がかわいらしくてたまらん!


視聴!<宮(グン)>

 』(MBC、毎週水・木夜10時から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。海外VODは300kbpsストリーミング・ダウンロードが1話1,000ウォン。
 MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは
第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。


●皇太子役ジュ・ジフンはポスト“ヨン様”!?

 皇太子役のジュ・ジフンはこれが初めてのドラマ主演だけど、放映から1か月もしない内に今をトキメク大物新人としてCMでも引っ張りだこ。監督が一目見て惚れ込んだというだけに、冷たいようで奥深いところでは絶えず気を配る繊細な性格を上手く表現していて、しかもそこにいるだけで絵になるかっこよさです。ヨン様の雰囲気にはまだ追いつかないけど、十分可能性ありじゃないかな?

 ドラマでは、幻の伝統スポーツも数々紹介されている。宮内の所々にお皿のようなものを置き、中に球をスティックで打って入れる元祖ゴルフのようなものや、馬に乗って球を打ち合うポロのような競技が数百年も前に韓国に存在していたことがわかりびっくり。裏歴史豆情報も仕入れることができて面白い。

●主人公の感情や今後の成り行きを暗示するテディーベア







毎回あちこちの場面で登場するテディーベアたち
(c)iMBC
 『宮』には毎回エンディングに主人公の感情や今後の成り行きを暗示させるようなポーズをしたテディーベアが登場する。元彼女ヒョリンと妃チェギョンの間で皇太子の心がゆれているときは目隠ししたテディーベアが登場したり、皇太子シンと従兄弟であるユルの今後の関係を表すように伝統衣装を着た2匹のテディーベアのうち片方が殴られ転んでいたりと、かなり手が込んでいる。これは済州道にあるテディーベアミュージアムの協力によるもので、ファンタジーっぽい雰囲気を演出するための小道具として使われている。そういえば皇太子シンはいつも白いテディーベアを抱いている。







伝統衣装をアレンジした衣装はチェギョンのものだけで2億ウォンの制作費がかかっている
(c)iMBC
 見どころはまだまだ続く。チェギョンが着ている伝統衣装である韓服とドレスをミックスしたかわいい衣装や、宮殿あちこちのゴージャスなオリエンタル風のインテリアも目を楽しませてくれる。雑誌にも『宮』のインテリアが何度か紹介されていて、おしゃれ主婦の間ではここに出てくる古家具や原色で華麗な刺繍が施された屏風をインテリアのポイントに取り入れるのが流行っていて、壁紙もシンプルな白をベースにソファーの後ろの壁だけド派手な黄色に花柄、または水彩画で大きな1輪の花が描いてあるものをポイントにする家も増えている。

 『宮』は時代劇ではないということで故宮での撮影を断られ、15億ウォンの予算をかけて工場地に立派なセットを作り、ソウル中心にある景福宮のずっと後ろまで宮殿が続く背景はコンピューターグラフィックで処理したそうだ。セットの中には1千万ウォンを超えるアンティークソファー、カップ一つが数百万ウォンというティーセットなどもあり、おちおち動き回れないとか。野外撮影は観光コースとして人気のソウル市内の雲ヒョン宮(ウンヒョングン)、慶熙宮(キョンヒグン)で行われている。

 韓国ドラマも成長を続けていて、人気俳優を主演に起用し、スターの人気に便乗するメロドラマはもう人気がなく、主演はみんな新人、時代劇でもトレンディードラマでも制作費をうんとかけてじっくり事前制作して(でもまだ韓国のほとんどのドラマはその日の午後撮影した場面が夜10時に放映されるというすごいスケジュールで制作されている)、ありきたりのストーリーではなく好き嫌いが分かれる個性的な物語が視聴率を稼いでいる。

●美少年イ・ジュンギが人気~映画「王の男」が大ブレイク中

 映画の世界でも同じく新人を起用した同性愛っぽいストーリーの時代劇が今物凄くブレイクしている。「王の男」という映画で観客1,000万人突破を目前に控えている。韓国の王様の中で、唯一母を死刑にさせた政治家たちへの復習から暴君となり悪名高かった燕山君(ヨンサングン)と、彼のお気に入りとなり宮廷芸人となった男たちの話で、とても哲学的なセリフが多く、最初はヒットしにくいと言われていた。ところが、この映画で王様の寵愛を受ける女形コンギルを演じた美少年イ・ジュンギが一気にスターの仲間入り。この子を観るために何度も映画館に足を運ぶファンが多いらしく、韓国映画記録を塗り替えるのではと期待されている。









「王の男」映画ポスター。一番手前がイ・ジュンギ 今とにかく話題の中心はイ・ジュンギだ

 今の時期は特に大作とよべるドラマはないが、3月には海外ロケ中心の、「パリの恋人」「プラハの恋人」に続く「サンフランシスコ」が始まるということで女性ファンをときめかせている。ヨン様はこの頃、主演ドラマ「太王四神紀」の撮影に向けて剣術や乗馬などの基礎練習に励んでいるそう。次回はそのニュースも含めて、主演のエリック(神話)が撮影中深刻な交通事故に遭い、ドラマが途中で放映中断という放送史上初めての事態となってしまった「オオカミ」のことも報告します。お楽しみに!


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第18回:韓ドラの新しいジャンルを切り開いた『宮』<1>~美少年皇太子とお調子者の女子高生が政略結婚







第18回
韓ドラの新しいジャンルを切り開いた『宮』<その1>

美少年皇太子とお調子者の女子高生が政略結婚

2006年1月27日


●お正月はお盆と並び2大憂鬱連休!?

 1月29日はいよいよソルナル(お正月)。おじいちゃんの家や宗家(その家の代々長男家系)に集まり、朝早くハンボク(韓服、伝統衣装)着てセベ(両親や親戚にひざまずく礼をしてお年玉をもらう)して、チャレ(お正月とお盆の朝にするご先祖さまの法事)して、トックッ(楕円形にスライスした白いもちを入れたスープ、お雑煮)を食べると、やっと1歳年を取ったことになる。

 それから親戚中の家を回り、セベしてお年玉をゲットする儀式が続くので、大人たちは5,000ウォンや1万ウォンの新札と白い封筒をいっぱい用意しないといけない。前年に結婚した叔父や叔母なんて格好のえじき! お年玉支給先が増えたぞ~とセベにやってくる子供たちが後を絶たない。結婚したことでやっと大人と認められるので、お年玉をあげる資格がもらえるんだけど、そんな資格ちっとも嬉しくないわい。

 主婦にとって、お正月なんてお盆と並び2大憂鬱連休だ。旦那の実家でこき使われて肉体的に疲れるのは我慢できるけど、兄嫁の自慢話に付き合わされたり、顔も知らない親戚の子供が卒業だからと金銭を要求されたり。また、未だに「法事をしてくれる、家系を継ぐ男の子を絶対産まないといけない」ときっぱり言う姑がうじゃうじゃいるもんだから、精神的にすごく疲れちゃうのよね。お正月連休に海外旅行に行ける人が羨ましい!!!!

●ストレス解消はドラマ『宮』で







左から皇太子の元彼女ミン・ヒョリン(ソン・ジヒョ)、皇太子イ・シン(ジュ・ジフン)、皇太子妃シン・チェギョン(ユン・ウンヘ)、王子イ・ユル(キム・ジョンフン)
(c)iMBC(※ 画像はクリックで拡大)
 私は最近、その「もうすぐお正月だぜストレス」をドラマ『宮(グン)』で癒している。水・木曜日は、ドラマの時間に遅れると嫌なので外出もしない熱の入れよう。VOD再放送もあるけど、やっぱり誰より早く『宮』を観たいのよね。

 でも先週なんてびっくり! 夜10時のドラマの時間にいきなり大統領新年演説なんていうのが入って、全チャンネルが一斉に40分も大統領の顔を流しているではないか。チャンネルの選択権というものがない。視聴率が高い時間帯に映像を流したい大統領の気持ちはわかるけどさ~こんなこと日本ではあり得ないと思う。

 まあ、落ち着いて『宮』の話に戻るとしよう。不況の漫画市場で唯一60万部も売れた人気漫画が原作で、ドラマ出演は初めてというアイドル歌手とモデルが主人公に起用。この2つの事実だけで1年以上もネットで論争が絶えなかった『宮』がついにヴェールを脱いだ! とすごい盛り上がり。2年間の制作準備を経て9月から撮影を開始し、1月11日初放映の視聴率は16%台とまずまず、ネットの検索順位や掲示板での盛り上がりは熱々。新人ばかり登場するので演技には期待していなかったが、とんでもない。なかなかやるじゃないの!

 論争の中心となった主人公の皇太子妃シン・チェギョン役のユン・ウンヘは、セクシー路線のアイドルグループ「ベビーボックス」のメンバーで、1999年に中学3年でデビュー。ぽっちゃり体型なうえ、お笑い番組でバカ力を披露したせいでニックネームは「ソニョジャンサ」(ソニョは少女、ジャンサは力持ちの意味)。そんな彼女が、原作ではのっぽの女子高生チェギョンを演じることになり、原作ファンは「絶対ドラマ観ないから!」と大騒ぎ。そのストレスからか物凄く痩せて、ドラマでは物凄くキレイになっていた。


視聴!<宮(グン)>

 』(MBC、毎週水・木夜10時から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。海外VODは300kbpsストリーミング・ダウンロードが1話1,000ウォン。
 MBCのインターネットでの視聴方法について詳しくは
第3回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編3<有料でも見たい!MBC>を参照。


●豪華なセットや衣装も見所







朝鮮時代と変わらない華麗な伝統衣装やドレスも数多く登場するのも見所
(c)iMBC
 『宮』を観ていて一番驚いたのは、豪華な宮殿セット。ここまでセットや衣装、小物、CGに力を入れたトレンディードラマは珍しいのではないだろうか。

 「韓国が植民地支配や戦争を経験しない平和な国で」「イギリスや日本のように立憲君主国で皇室が維持されていて」「今では誰も住んでいない景福宮に、国民から尊敬される皇帝と皇后、カッコいい皇太子様が住んでいて」「伝統様式の部屋の中には大型TVや最新のホームネットワークが完備されていて」「チャングムのような厳しい試験をパスした国家公務員の宮女がいて、この時代にもみんなが羨む職場である活気あふれる宮殿が残っていたら」皇族の生活はどんなものだっただろうか、という想像から生まれた『宮』は、宝塚の舞台のような華麗な宮殿と、21世紀の最新設備を備えた高級マンションが合体したような、今時の皇室の部屋を見事に表現していて、ストーリー以外でも楽しめる要素がいっぱいある。

●新たなジャンルのラブコメが人気

 2005年から徐々に韓国ドラマの公式――交通事故、記憶喪失、出生の秘密、三角関係、財閥2世、人気がないと突然留学に行ってしまう登場人物、すったもんだの末のハッピーエンドなど――を脱皮した新たなジャンルのラブコメが人気で、『宮』も、高貴な美少年皇太子とお調子ものでおてんば娘の結婚から物語が始まる。しかし、決してシンデレラでもキャンディ・キャンディでもなく「シムチョン(沈清)」だそうだ。

 1、2話のセリフに頻繁に登場する、この「シムチョン」についてちょっと解説しよう。シムチョンは昔話に登場する、貧しいが心優しく働きものの孝行娘。お寺に供養米300俵を出してお祈りすると盲目の父の目が見えるようになると聞き、そのお米と引き換えに自ら海のいけにえになると志願し、父のために自分の命を捨てる。だが親孝行な娘に感動した海の王様の竜王様はシムチョンを自分の妻にし、娘を亡くしたものと嘆き悲しむ父を探し出し、海の底にある竜宮で仲良く暮らしました、という物語。

 『宮』の主人公シン・チェギョン(ユン・ウンヘ)も、家族のために皇太子との結婚を決意するのだ。


●美少年皇太子とお調子者の女子高生が政略結婚!?

 父が友人の保証人になってしまったばかりに銀行から全財産を取り上げられ、いよいよすべてが競売にかけられるそのとき、宮内庁から人がやってくる。

 先王と、先王の命を助け親友になったチェギョンのお祖父さんは、皇太子とチェギョンを結婚させようと約束し、その証拠に指輪を取り交わしていた。しかしチェギョンの家では「お祖父さんはボケているのよ」と誰もその話を信じていなかった。

 だが、それが本当だとわかったとき父は、「娘が皇太子妃になれば家は競売にかけられなくて済む」と考えるが、「皇太子妃になったら、まだ高校生の娘に自由に会うこともできなくなる」と葛藤する。そんなときチェギョンは決意する。「私はシムチョン!結婚するよ。でもこれは私の選択だから心配しないで」。

 一方皇太子イ・シン(ジュ・ジフン)には好きな女性がいた。同級生でチェギョンとは比べものにならない優雅な美少女で、バレリーナを夢見るミン・ヒョリン(ソン・ジヒョ)。高校を卒業したら結婚しようとプロポーズまでしていた。







皇太子妃の部屋にはアンティーク家具やかわいい小物がいっぱい
(c)iMBC
 しかし、「チェギョンという庶民と結婚し、より国民に身近な皇室を作れ」といわれる。しかも相手は同じ学校の生意気なチェギョン。

 最愛の女性を一生宮殿の中に閉じ込めておきたくはないと考えた皇太子は、「おっちょこちょいのチェギョンが皇太子妃になれば皇帝と皇后は毎日心配事が絶えないだろう。これは仕返しになる」と考え結婚することに。ヒョリンは傷つきバレエのコンクールに専念する。

 チェギョンは学校にも行けず宮殿で妃勉強。何とか礼儀や宮廷用語を学び結婚式の準備も整う。強気に皇太子妃になるとは言ったものの家に帰りたい、友達にも会いたいと心細くなるいっぽう。しかし、徹底的にチェギョンを無視する皇太子に怒り、自分も負けじと皇太子を「シン君!」と呼び捨てにし、相手にしない。

 10キロを超えるかつらに皇族だけが着られる見事な伝統衣装に身を包み、結婚の儀式とソウル市内のパレードまで無事済ませたその夜、チェギョンは大臣との挨拶の席でおじぎをしたとたん、かつらを大臣の後頭部にポタッと落としてしまう。慌てるが、重くて首が回らない。そんなチェギョンを皇太子は見て見ぬ振り。

 また未成年者ということで初夜の代わりに一緒に食事をすることになるが、ここでも「これからよろしく」と泣きそうなチェギョンに対して、皇太子は冷たく「かまってやれないけど同じ年の友達として人生相談ぐらいだったらなんとか」と握手しようと手を差し出す。ついに爆発したチェギョンは皇太子の手を思いっきり噛んでしまう。

●2人の美少年に注目!!







皇太子のイ・シン(ジュ・ジフン)。ドラマに登場する白いテディーベアは主人公たちの心情を代わりに表現してくれる重要な役割をもつ
(c)iMBC
 その後学校に戻った2人を待っていたのは、コンクールから戻ったヒョリンと転校生のイ・ユル(キム・ジョンフン)。ユルは皇太子の従兄弟で王子。父が交通事故で亡くなっていなければ彼が皇太子になっていたはずだったが、皇太子以外の王子は宮殿の外で生活しなくてはならないという法律のせいで3歳の時からイギリスに住んでいた。母は有名な女優で野心家。今でも夫の交通事故は陰謀だったと主張している。

 いつも笑顔が素敵で気配り上手なユルは、王子ということを隠しチェギョンのよき相談相手として仲良くなる。チェギョンの孤独な宮殿生活を少しでも癒してあげようと、こっそり皇太子にあれこれアドバイスしたりもする。

 一方ヒョリンは、不倫でも構わないと皇太子の周辺から離れない。皇太子もまたヒョリンのことが好きでたまらない。チェギョンはユルのことも気になるが、わがままで自己中でいつも寂しそうな表情をしているのに、公式の場ではとてもおおらかで我慢強い皇太子のことも気になるのよ。この4人の関係はいよいよ本格的に絡んでくる気配なので、今日も家でじっとしてなきゃ!

 特にお勧めなのは、皇太子役のジュ・ジフンとユル役のキム・ジョンフン。この2人の美少年に注目してほしい。もううっとりするほどカッコいい!

 キム・ジョンフンはUNという男性デュオでデビューし、日本でもファンクラブが結成されているほどの人気者。26歳とは思えない童顔で、高校生役でも違和感ない。包容力オーラ出しまくりで、彼だけはユル役にぴったりと原作ファンも納得のキャスティングだった。

 ジュ・ジフンはモデル歴3年目、ドラマ初出演で主人公という大抜擢。すらっと伸びた長い脚、スタイル抜群で何を着ても「皇太子様~」とため息が出てしまうほど。だけど、インタビューでは「モデルの時のくせが抜けなくて場面ごとにロボットみたいにポーズを決めている自分が恥ずかしい。初放送を観た感想は、カラオケで録音した自分の歌声を聞いたみたいに死にたくなるほど恥ずかしい。毎週少しでも演技がよくなったねと言われるようにがんばります」と、はにかんだ笑顔がまたかわいい~。

 次回その2では、韓国女性のハートを虜にした『宮』のロケ地や、その後の展開、漫画が原作のドラマシリーズなどをお伝えします。

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第17回:ヨン様の2006年はドラマに始まりドラマで終わる?~済州道でヨン様に会える!? 「太王四神記」撮影開始







第17回
ヨン様の2006年はドラマに始まりドラマで終わる?

済州道でヨン様に会える!? 「太王四神記」撮影開始

2006年1月11日


●ヨン様4年ぶりのドラマは90か国で同時放送

 ヨン様に会いたいなら済州道に行け! ペ・ヨンジュン4年ぶりのドラマ復帰作「太王四神記」(テワンサシンギ)がついに済州道オールロケーションで事前制作される。

 撮影は、北済州郡猫山峰(プクチェジュグン・ミョサンボン)観光地に野外セットが完成する2月以降になる予定で、2006年12月までほぼ丸1年済州道(チェジュド)で撮影される。正式に海外のマスコミを招待した制作発表会を行い、3月以降に本格的な撮影を始めるそうだが、済州道はすでに「“ヨン様アイランド”と名前を変えた方がいいんじゃないか?」というぐらい、盛り上がっている。

 どこよりも道庁がはりきっちゃって「何でも協力させていただきます!」と報道資料を出したり、野外セット工事の進行やドラマ撮影関連情報をリアルタイムでマスコミに流してくれる。撮影後は宿泊施設を増強し、韓流観光地として公開するそうだが、今まで「オールイン」を始め数々のドラマが済州道で撮影されたなか、自治体の道庁がここまで騒ぐのは珍しい。やっぱりヨン様だからでしょうね。

 「太王四神記」は制作費300億ウォン(約35億円、発表の度に金額がつり上がっていく)、全24話で90か国で同時放送される予定だが、韓国での放映時期やどの放送局から放映するかについてはまだ調整中。最初はSBSと言われていたが、現在ではMBC10月または11月放映説がもっとも有力視されている。

●相手役の有力候補は「天国の階段」のキム・テヒ!?

 公開募集中の、ヨン様に愛されヨン様を守る四神の一人であり、重要な役のスジニがまだ決まらないなか、ヨン様演じる広開土大王(グァンゲトデワン、この王様の名前がダムドク談徳)を愛しながらも対立するしかない野心家のソギハ役にはムン・ソリが選ばれ、スジニ役もいよいよか~と盛り上がり始めた。ムン・ソリは映画「オアシス」で障害を持つ女性の役を鳥肌が立つほどリアルに演じきり、ベニス映画祭で新人女優賞を受賞した大物女優。これが初のドラマ出演となる。

 スジニ役として噂があったのは、今やCMクィーンで、韓国でもっともきれいな女優と称えられているキム・テヒ。「天国の階段」でジウ姫をとことんいじめる悪役で、驚いたように目をパッチリ見開いた表情が印象的だったソウル大出身(韓国の東大)。その後「ラブストーリーインハーバード」では、「キム・レウォンとプライベートでも付き合っているのでは?」と疑われるほどの息がぴったりのラブシーンで、1話当たり最低15回はため息が出るほど素敵だった! キム・テヒがヨン様の相手役になってくれたらいいのに、と個人的に祈っています。

 そのほか「茶母」、「バリでの出来事」、クォン・サンウ主演映画「恋する神父」でどんな役柄も繊細に演じきり、ワイヤーアクションも代役なしでやってのけ、根性ある女優と評判の高いハ・ジウォンも候補だったそう。スジニ役を決めないままで撮影開始とはいかないので、急いでいる様子だけど、どうなることやら。









韓国でもっともきれいな女優と称えられているキム・テヒは、ヨン様相手役の有力候補
(c)SBS
※ クリックで拡大
「茶母」「バリでの出来事」「恋する神父」のハ・ジウォンも候補に
(c)iMBC



●今度のヨン様は一味違う。一人3役にも注目

 冬ソナ以降、甘い笑顔がトレードマークのヨン様だが、 「太王四神記」は1,600年も前の古代を背景とする時代劇だし、満州まで領土を広げたカリスマの戦略家、広開土大王の役なので、今までとはかなり違う顔を見せてくれるはず。

 しかも今回のヨン様は、第1話と第2話では、天帝の息子であり太陽の力を持つヘモス(解慕漱)から、ヘモスの息子で卵から生まれたという伝説のある高句麗(コウクリ)の始祖東明王となるジュモン(朱蒙)へ生まれ変わり、第5話からは高句麗19代目の王「広開土大王」として一人3役の大活躍なので期待しないわけにはいかない。

 ニュース検索で金鍾学監督のインタビューを読んでいたら、「日本でヨン様の筋肉もりもりの写真集が20万部も売れたそうだが、『残念ながら彼の筋肉をさらすような場面はないでしょう』」と言っていた。ヨン様ファンを何だと思ってるのさ~。

 映画「ロードオブザリング」の特殊効果を担当したWETAのスタッフがコンピュータグラフィックとセットのミニチュア制作に参加し、第1話と第2話の韓国建国神話をドラマ史上最高の技術でファンタジー風に仕上げるというから、私なんて「HDテレビを買って放映を待つしかない!」と早速旦那を説得している始末です。

●2006年の韓国ドラマは時代劇が目白押し

 2006年の韓国ドラマの特徴は、「太王四神記」を始め高句麗が背景の時代劇が多いということ。SBS、KBS、MBC3社ともに2005年の視聴率を時代劇が引き上げたこともあり、今年も莫大な制作費をかけた時代劇もしくは時代劇風のトレンディードラマをあれこれ準備している。

 ネットユーザの投票で2006年の期待作に選ばれたドラマはMBCの「宮」。漫画が原作で、もし今の時代まで朝鮮王朝が続いていたら、という仮説の基に、高校生で庶民の娘が妃に選ばれ、あれこれ問題を起こしながらも立派な王妃として成長するというストーリーの中に、王位継承をめぐる暗闘や三角関係、出生の秘密などを盛り込んだ。撮影は順調に続いていて、ついに1月11日よりMBC水木ドラマとして放映が始まる。「宮」については次回詳しく報告しますね。


<おまけ>

 ヨン様がイメージキャラクターの建築会社のサイトから、あれこれ画像をダウンロードできます。


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第15回:離婚するべき? しないべき? 視聴者が作る夫婦ドラマ







第15回
離婚するべき? しないべき?

視聴者が作る夫婦ドラマ

2005年11月24日


●今年も冬ソナの季節がやってきた

 昨日(11月21日)ソウルは初雪だった。といっても深夜ちらっと降っただけだが、ついに冬ソナの季節かと思うとこの1年も早すぎ~と年取るのが悲しくなってしまう。

 韓国人は初雪といえばみんな何かしら甘酸っぱい思い出を持っている。ドラマに限らず全国のカップルが「初雪が降る日にどこどこで会おうね!」と約束をするのが通例。初雪が降る日彼女のマンションのベランダの下で雪だるまを作って彼女が窓を開けるまで待っていたとか、雪に足跡で「サランへ!(愛してる)」と残して「外見て!」とショートメッセージを送信するなんていうのはもう古いといわれているけど、でもやっぱりいるんだよね。特に遠距離恋愛なんて初雪が降る日の長電話は基本中の基本である。韓国に彼氏がいる人は天気予報をチェックして、雪の日には必ず電話をするべきである。

 韓国の冬は三寒四温といって、寒い日が3日続いて温かい日が4日続くんだけど、雪はいつも暖かい日に降る。この時期海に行くと、ドラマのように人の少ない雪の海岸を走りながら「私を捕まえて~」なんてことをやっているカップルの多いこと~。こんなバカカップルをダッサルカップル(鳥肌カップル)と呼んでいる。

●ネット発書籍「今週、妻が浮気します」が韓国上陸

 先日、こういう1年を振り返る時期にふさわしい本が日本からやってきた。日本で話題の「今週、妻が浮気します」(
関連記事)の韓国翻訳版である。韓国ドラマの常連素材の「浮気」、でも韓国では儒教の考えが残っているせいか、男性の浮気は許しても女性の浮気は許せないという人が多い。女性は結婚すると何よりも子供が大事なので浮気など想像もしないだろう、と男性たちは勝手に思い込んでいるようだ。だが、同じ女性の間でも女性の浮気はタブーで、夫の浮気に耐えられず苦しんでいるとき素敵な人に出会ってしまった、という同情的な場合以外はとんでもない人とレッテルを張られるのがオチ。ドラマでも妻の浮気はめったに出てこない。

 年中ドラマでは浮気する夫が出てくるけど、韓国で結婚した人の浮気は犯罪だ。懲役2年以下の姦通罪に当たる。これは離婚届けと同時に配偶者が警察に届け出る親告罪で、最後の手段として残されている。この前テレビの討論番組で姦通罪を廃止するべきかについてやっていたけど、難しい問題だよね。ドラマではこれを悪用して酔っ払った男性を引きずりこんで女性と一緒にいる写真を撮り、「私の妻と浮気するなんて姦通罪でぶち込んでやる~」と和解金を要求する場面が度々出てくるんだけど、実際にもこういう詐欺があるみたい。

 だから「今週妻が浮気します」は、韓国では表に出ない女性の浮気をテーマにした本だからと、最初は「失楽園」並みのすごいディープな小説と思われていた。だが中身はすれ違う夫婦、妻を愛しながらうまく表現できなかった夫の切なさ、一生懸命自分のことのように興奮し激励し見守ってくれるユーザたちの暖かい気持ちが一冊にまとまった、夫婦愛を書き綴った特別な本だったからその意外性から静かにブームになっている。「浮気」をテーマにしながら、これほど「私も文句ばかり言ってるけど、やっぱり旦那さんのことを愛していたんだわ」と気づかせてくれる本はない、とまで言われている


●夫婦の危機をドラマ仕立てにした『夫婦クリニック愛と戦争』







姑のいびりが原因で離婚する夫婦がまだまだ多い。結婚したての奥さんは写真のように上は緑、下は赤の韓服を着る
(c)KBS
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
 最近の韓国女性はとても強いので(これは世界的な傾向かも)、お母さんの世代のように夫が戻ってくるまで耐える、子供のために我慢する、なんてことはあまりない。浮気といえば泥沼、即離婚になりかねないのが現実。韓国夫婦の「こんなのあり?」と引いてしまうほどの泥沼をよ~く見せてくれるのがこれ、KBS2の金曜ドラマ『夫婦クリニック愛と戦争』(以下『愛と戦争』)。

 視聴者から寄せられた離婚の危機に陥った夫婦の事情をドラマ仕立てにし、視聴者がこの夫婦は離婚するべき、しないべきという風に電話とネットから参加する視聴者参加型ドラマで、5年間も15~17%の視聴率を維持している人気番組だ。毎回最後は離婚調整のために法廷を訪れ、判事から説教される場面で終わるところが韓国らしい。

●ウソのような泥沼再現ドラマはすべて視聴者から寄せられた実話

 『愛と戦争』では、「大恋愛で結婚したのに姑のいびりと忙しさを理由にかまってくれない夫が問題で離婚することになった話」、「自分の父が残した遺産を資金に成功したのに、若い新入社員と浮気の末離婚を要求する夫に復讐するため不倫現場を隠し撮りして姦通罪で告訴しようとするが、そんなとき、夫は女性社員らがセクハラで訴えられることになり、妻は会社を守るべきかそのまま放っておくべきかで悩む話」、「絶対幸せにさせるからと積極的にアプローチされて再婚したのに、子供を理由にいつまでも前妻と仲良くする夫が許せないと姦通罪で訴えた話」、「ある日、若い女性が家に乗り込んできて、『結婚した人とは知らず7年もあんたの夫と付き合ったのだから、そろそろ妻の座を譲ってくれ』と言われたが、妻はむかついて復讐のためにも離婚できないという話」、「自分の成功を嫉む兄嫁に『社長と浮気しているらしい』と姑に嘘をつかれ、離婚の危機に陥ってしまった話」、「若い男の子とチャットで出会い浮気する妻、浮気と思い待っていたが妻が戻ってきた途端にいやになり離婚したくなった夫。しかし、妻が離婚だけはイヤだとすがりつく、という話」、「学生結婚でままごとのような新婚生活のはずが、姑が出産し赤ちゃんの世話を押し付けられるはめになり、自分も子供を生んだのに何事も孫より自分の子供を優先させる姑のせいで結婚生活を維持する自信がなくなる話」等々、“戦争”のような夫婦の事情が毎週紹介されている。

 毎回視聴者の意見は「離婚するべき!」が圧倒的に多い。なんでも「離婚しちゃえ~」というなら視聴者の参加はあまり意味がないように思えるが、現実にこんなことがあり得るだろうかというような内容が毎回登場するから仕方ない。ここに登場する話は、すべて視聴者から寄せられた実話だそう。視聴者掲示板にも「そうそう、私も似たようなことを経験した」、「これが現実だったら私は絶対結婚したくない」など毎週400件以上の意見が寄せられている。

 再現ドラマなので有名なタレントは一切出演せず、エキストラでよく顔を出しているタレントの何人かが順番で主演するんだけど、ここで不倫専門女優としてヒットし他のドラマにも助演で顔を出すようになったタレントもいた。毎週金曜日の夜11時はこれといって面白い番組がないので、子供からお年寄りまでよく『愛と戦争』を観ている。だから不倫の場面で露出が多すぎるだの、夫婦喧嘩が大げさすぎて子供に悪影響を与えるだの、毎週何かしら新聞で叩かれたりもする番組だ。








毎回、離婚調整室で判事から「離婚はいけないよ~」と説教される場面でしめくくるのがこの番組の特徴でもある
(c)KBS

 2003年には、ドラマの中からもっとも反響が大きかったエピソードが選ばれ単行本も発行された。もっとも近い関係でありながら遠い他人でもある夫婦の生き方を、離婚という極端な状況に追い込まれた人たちの話を振り返ってみようという企画で、エピソードの紹介だけでなく精神科医、判事、フェミニストで構成された調整委員会のアドバイスが付け加えられているのが特徴。もし自分もこういうことになったら、に備えて読んでみたという人が多い。

 でもどこの国でも仲良し夫婦もいれば問題を抱えた夫婦もいる。このドラマを見て「韓国人男性との結婚はよそう……」、そこまでは考えなくていいですよ!


視聴!<プラハの恋人>

 『夫婦クリニック愛と戦争』(KBS2、金曜日夜11時5分から)をVODで視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から(56kbpsは無料)。
 KBSのインターネットでの視聴方法について詳しくは
第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。



 


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第16回:2005年最高のドラマはやっぱりキム・サムスン!









第16回 2005年最高のドラマはやっぱりキム・サムスン!

2005年12月21日


 クリスチャンが多くクリスマスが国の公休日である韓国では、この時期になると教会や聖堂の十字架に豆電球が飾られ、募金を求めるボランティアの訪問もぐっと増える。イブの夜は家族と一緒に教会に行くべきか、友達とスキーに行くと嘘をつき恋人と熱い一夜を共にするべきかで揺れる青春男女の煩悩が雪へと変わる時期でもあるのだ。ソウル市庁広場には今年もスケート場が開設され、ルミナリエも一層きれいに輝いている。

 明洞にある聖堂にはロウソクがいっぱい灯され、パイプオルガンが演奏される。誰でも自由に入れるので恋人達が並んで座りお祈りをする冬ソナのような場面があちこちで目立つ。クリスチャンでなくても、クリスマスだけは聖堂でミサに参加してみたい気分になったりするんだよね。

 韓国のお正月は旧暦なので、2006年のお正月は1月29日。だから年末、年明けという雰囲気はまだこれからだけど、TVではもう今年の総決算が始まっている。

 NG名場面や名セリフ集、芸能ニュースTOP10、映画賞、芸能大賞などの授賞式が続々行われているので気分はもうお正月である。結婚する前は、お正月はセベ(韓服を着て礼をするお正月の挨拶)して、お年玉もらって、トックッ(棒のような白く固いもちを斜めにスライスしてスープに入れたもので、お正月の朝必ず食べる)食べて、早速映画やショッピングに繰り出したもの。しかし、結婚した途端、「今年のトックッは一体何人分作るのかな…、皿洗いは…、お年玉は一体いくら用意すればいいんだ!!」と頭を抱えブルーな気持ちになってしまう。イケナイ、イケナイ。今年の名ドラマを思い出して気分転換しなくちゃ!

●「サムスン」からは人気俳優が続出

 あちこちのポータルサイトで年末まで行われる2005年ドラマ人気大賞投票を見ると、
このコラムでも紹介したことのある、視聴率50%超えのMBC「私の名前はキム・サムスン」が他を圧倒して1位になるのではないかと予想される。

 30歳、職もなく恋人もいない、いつもダイエットに失敗してばかりのサムスンが年下社長と出会い恋に仕事に燃える「恋愛奮闘記」とも言えるこのドラマは、サムスンが失恋を予感し、酔っ払うといつの間にか隣に座っている(サムスンの幻想に現れる)亡くなったお父さんに「心臓がかちかちに硬くなっちゃえばいいのに」(そうすれば失恋で胸が痛むこともない)と泣きながら訴える場面や、年下の彼に結婚するまではベッドインできないと拒みながらも、「もう何年も飢えているこの姉さんは血の涙を流したいよ」と、逆に彼を襲いたい気持ちを抑え込む場面が話題になった。

 そして、このドラマがきっかけでブレイクした俳優は数知れず。主人公のサムスンを演じたキム・ソンアはコミカルな演技で映画でもヒットを飛ばしていたが、このドラマで下半期広告モデルとして引っ張りだこに! ベーカリー、フライドチキン、ブロードバンド、コラーゲン飲料、DHCなどに登場している。

 自分勝手で生意気だけどかわいい年下の彼のヒョン・ビンもドラマ以降絶好調で、数々のCMに登場。映画にドラマにと続々と主演が決まっている。

 アイドルグループ出身で、サムスンとは正反対のキャラクターを演じ、視聴者を泣かせる好感の持てる悪役だったリョウォンは、キム・ソンアをしのぐ人気。自動車、化粧品、建設、ファッションなど10本以上のCMに登場している。そして、「リョウォンが番組で身に着けた洋服やアクセサリーは翌日完売する」とまで言われるほどで、“韓国の20代女性がもっとも真似したい女優”にも選ばれている。また、芸能番組の司会までやっているが、実は、主役に抜擢されたドラマ「ガウルソナギ(秋の夕立)」では視聴率が2%という驚異的な(!?)記録を打ち出し、今年最悪のドラマに選ばれそうな雰囲気。リョウォンもがっかりした様子で、「当分は休養して演技の勉強をし直す」と言っている。

 そして、サムスンといえばやっぱりこの人! 今年最高の新人ダニエル・へニーだ。お母さんは韓国人、お父さんはイギリス人でアメリカで生まれ育ったハーフのモデル。サムスンに出演する前は、色んなCMに出ていたにもかかわらずまったく注目されていなかった。

 初めてのドラマで大ブレイクした今では、サムスンの出演者の中で人気NO.1。広告モデルとしてはもちろん、「ただそこにいるだけで癒される~」と幅広い年齢層に支持され、あちこちのトーク番組や芸能番組で特別ゲストとして招かれている。韓国語がほとんど喋れないので広告の仕事が中心だが、もっともっとドラマや映画でも活躍したいと、一生懸命韓国語と演技の勉強をしているとか。


●ハッピーエンドの「グムスン」も外せない

 9か月間も月曜から金曜まで30分間毎日放映された「
グッセオラ・グムスンアVOD・海外からの視聴は1話1,000ウォン、頑張れグムスン、直訳すると「たくましくなれ、グムスン」)も2005年の代表作。








ハッピーエンドはグムスンの再婚
(c)iMBC
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
最初グムスンはこんなにダサかった!
(c)iMBC

 お父さんは事故で亡くなり、お母さんは家出、祖母の元で育てられたグムスンは二十歳そこそこで妊娠し結婚するが、なんと3日後には夫が交通事故で死亡。夫の家族と同居しながら子育てと家事に追われ、嫁という立場に悩み、美容師としての夢を追いかけるという悪戦苦戦が主婦層の涙を誘い、20~30%台の安定した視聴率を維持した。

 最後はグムスンの再婚でもめにもめるが、結局ハッピーエンドで幕を閉じる。その、子連れ美容師アシスタントと独身エリート医者の再婚は現実離れしていて空想ドラマと悪評されたり、夫をひき殺した犯人が再婚相手という設定に「それはひどすぎる」と視聴者からの声が殺到しストーリーが修正されたりと、色んなことがあった。

●ホームドラマ人気のその訳は?

 ここ数年、トレンディードラマよりも家族の絆や夫婦の絆といったホームドラマの方が視聴率が高くなっている。それには、多忙な10~20代の若者にはネットや携帯電話から再放送を利用する人が多く、巷で話題のドラマも視聴率は10~20%そこそこ、その一方で、それほど話題でなくても、TVの前に座りっぱなしの高年齢層をターゲットにしたホームドラマは視聴率だけは30%超える、といった事情がある。広告を考えると視聴率が重要だから、少しでも視聴率が落ちるとシナリオを修正して、登場人物を交通事故や結婚や留学で片付けて早期終映することも多い。

●早期終映の名作ドラマ「ビョルスンゴム」

 個人的にとても残念なのはMBCの「
ビョルスンゴムVOD・海外からの視聴は1話1,000ウォン、別巡検、朝鮮時代の秘密偵察を担当した刑事)」という朝鮮時代を背景にした時代劇風刑事ドラマが、たった5話で早期終映してしまったこと。









4人の刑事が主人公
(c)iMBC
冷静で頭の切れる刑事サユル役のチョン・ユソク。オールインで執拗にイナの人生を狂わせようとした悪役イム・デスを演じた人
(c)iMBC

 「茶母」、「大長今(邦題:宮廷女官チャングムの誓い)」の雰囲気そのままに、何度もどんでん返しを繰り返しながら犯人を追う、昔の警察と法医学者たちのスリリングなストーリーが本当に面白かった。これは実録である朝鮮後期の法医学書に登場する事件をドラマ化したもので、殺人なのか自殺なのかを科学的に実証する方法や死体の検視方法が生々しく登場し、毎回「へぇ~」と口を開けて見入っていた。

 朝鮮時代のことなので専門用語などは漢字と解説が字幕で入り、ちょっとした豆知識にもなった。マニアも多くて視聴者掲示板には始終「とても新鮮!」、「150年も前に科学捜査隊がいたなんてすごい!」、「いつも冷静でクールな刑事とおっちょこちょい刑事のかけひきも見ものだけど、リアルすぎる死体は夢に出てきそうで怖いです」などなど、応援メッセージが絶えなかったのに。早期終映はどうしてなんだ~。

 久しぶりに子供からお年寄りまで楽しめるドラマが始まったと思ったのに、そして特に視聴率がよくないという理由でもないのに、突然やめてしまうなんて。サムスンの成功以降、どのチャンネルも、サムスンのような無鉄砲な明るくちょっととんがった年上彼女と、わがままだけど愛嬌たっぷりのかわいい年下彼氏が登場するドラマばかり作ろうとするから面白くない。

 また、「韓国ではまったく人気がなくても日本で売れればそれでいい」と断言する純愛ドラマも多いのは、ちょっといただけない。「ビョルスンゴム」みたいに、どんどん新しいジャンルを作らないとだめだよ~。

 そのほか、このコラムで紹介したドラマはすべて名ドラマ度上位にランクされているので、見逃した方はぜひダシボギ(VOD再放送)で年末までにじっくり堪能しましょう。来年も、“先が読めてしまうけどつい観てしまう”韓国ドラマのあれこれをお伝えします!

 セへ ボッ マーニ バッウセヨ (新年福がたくさんありますように)

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第14回:念願の悪役に初挑戦! 不精髭が超セクシーなピ(RAIN)が帰ってきた







第14回
念願の悪役に初挑戦!

不精髭が超セクシーなピ(RAIN)が帰ってきた

2005年11月9日


●待望のピ(Rain)新作ドラマ『このろくでなしの愛』







製作発表会、左からピ、シン・ミンア、キム・サラン、イ・ギウ
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
 「いつか、本当にどうしようもない悪役に挑戦してみたかった!」
 「演技するときはピはほかのところに埋めてきます。ピとチョン・ジフンは別人です。歌手としては歌とダンスを研究し、俳優としてはこの役柄にすっかりはまり、この人の人生を歩めるだろうか悩みます。歌とダンスは学べるけど、感情と表現力は学べないからすごく大変です」
(10月27日、製作発表会でピ語る)

 「フルハウス」から約1年、ピ(RAIN)が帰ってきた! でも今回はピとしてではなく、チョン・ジフン(本名)として「今まではどうすればよりカッコよく見えるだろうか自分のイメージを優先してきたが、このドラマでは自分が感じるとおり演技したい」、「いつか本当にどうしようもない悪役に挑戦してみたかった!」と製作発表会でもノリノリだった。

 『このろくでなしの愛』は、2004年に独特の感性がこもったセリフでソ・ジソプを不滅のスターに伸し上げたKBSドラマ『ごめん、愛してる』のイ・ギョンヒ作家とピの組合せというだけで、韓国ではこの夏から「一体どういうドラマなんだ!」と注目されてきた。

●鍛え上げた体で格闘家に挑戦







格闘技試合場面でのピ
(c)KBS
 ピが演じる主人公カン・ボックはかなりの実力を持つ格闘技の選手だが、わざと一度もチャンピオンにならなかった。チャンピオンになると煩わしい、という理由で。

 兄ミング(キム・ヨンジェ)と二人で孤児院で育てられ悪名高い不良少年だった17歳、喧嘩の末倉庫が火事となり、ボックを片思いし続けたハン・ミンジョン(キム・サラン)に助けられる。しかし、彼女は頬と背中にやけどを負い、兄ミングは弟をかばって少年院行きとなる。

 ……それから10年後、ボックは責任を取るために、少しも愛情を感じたことのないミンジョンと同居している。ミンジョンはボックのためなら何でもするタイプで、お金をいっぱい稼いで、整形手術してやけどの痕をなくし、ボックのきれいな奥さんになるのが夢。

 一方有名な女優チャ・ウンソク(シン・ミンア)は路上キャスティングで抜擢されたスターで、家族はみんな彼女の収入だけで豪華な暮らしをしている。父は義理母に操られ、息子のようにかわいがっていたミングに金を渡し、もうウンソクと縁を切ってほしいと言う。

 ウンソクは、5年も付き合ったミングと突然連絡が取れなくなっても彼を想い続けている。しかし、完璧なエリートで財閥2世のキム・ジュンソン(イ・ギウ)とひょんなことでスキャンダルとなり、ジュンソンの父は戦略的に婚約発表をする。でもウンソクは「自分にはミングがいるから婚約はできない」ときっぱり宣言。ますます、ジュンソンはウンソクに勝負欲を燃やすといういつものパターン。


視聴!<プラハの恋人>

 『このろくでなしの愛(原題:イジュギルノメサラン)』(KBS2、毎週月・火夜9時55分から・10月31日放映スタート)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。
 KBSのインターネットでの視聴方法について詳しくは
第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。


●復讐心が愛に…、そして五角関係!?







ボディーガードになったピ
(c)KBS
 少年院に入ってから連絡が取れなくなった兄ミングと、ボックは10年ぶりに再会するが、その日、兄は屋上から墜落し昏睡状態になってしまう。ミングは屋上から、電光板に流れるウンソクの結婚発表ニュースを見て、何かにとりつかれたように足を踏み出し落ちてしまったのだ。

 兄の家を訪ねたボックはウンソクの存在を知り、彼女のせいで兄が自殺を図ったと思い込み、復讐を誓う。ボックはジュンソンがウンソクにボディーガードを付けたがっていることを知り、テストに合格する。一歩一歩ウンソクへ近づき復讐のチャンスを狙うボックだが、徐々にウンソクの純粋な心に惹かれ、ジュンソンも同じようにいつの間にかウンソクを愛する自分に気づく。

●パズルのようなストーリー展開に目が離せない

 三角関係でもなくボック、ミング、ウンソク、ミンジョン、ジュンソン5人の五角関係と復讐がメインストーリだけど、そう単純なドラマではない。映像やストーリーの流れがパズルのようになっていて、これが1話でも見ないと何のことかさっぱりわからなくしまうのだ。

 1話は兄が屋上から落ちるシーンで終わったのに、2話では時間をさかのぼりボックと兄が再会する場面から始まるし、『ごめん、愛してる』のような映像美をかなり追求しているっぽい。それに強烈なキスシーンだけが先に朝の主婦番組で紹介され、今そのシーンが今週3話か4話目で登場するらしい、という情報からみんな身を悶えて放映時間を待っている。もう、私もネットで探して観ました。ウンソク役のシン・ミア、演技とはいえ羨ましい……。

 ピは格闘技選手という設定のため、元々すごい筋肉質なのにさらに毎日6時間以上もトレーニングし、キックボクシング、ボクシング、剣道も練習していたそう。「僕は力運動には強いんですよ。すもう、腕相撲、柔道、合気道とか。ドラマのために毎日朝晩縄跳び500回、二重飛び2,000回、アクションスクール6時間。泡を吹くほど大変でしたが、編集された映像をみるとやりがいがありますね」 と製作発表会でも嬉しそうに話していた。体重も7kg落とした。朝食は鶏の胸肉、夕食はさんまだったそう。

●カッコいい場面の連続でピの虜に!







韓国ではピの不精髭がカッコいいと大騒ぎ
(c)KBS
 ボディガードとしてカッコいい場面連続のようなので、ちょっと心の準備をしてからでないと心臓が危ないかもしれない。ドキッ!グサッ!とピの虜になってしまいますよ。

 ピは今アジアでもっとも注目されている歌手で、日本でも待望の初シングル「Sad Tango」が来年1月25日に発売される予定だ。ピの初めての日本語シングルであり、ドラマ撮影の合間に録音とミュージックビデオの収録を終えた。12月7日にはピのヒット曲だけを集めたベストアルバム「EARLY WORKS」が日本で発売される。武道館コンサートに続いて12月29日は台湾のスーパードームで「Rainy Day-Taipei」コンサートが開かれる。

 10月30日、KBSで放映された「KBSスペシャルー密着取材ピ、アジアを越えて」もすごい反響があった。無名ダンサーからスターになるまでの汗と涙、「努力した分必ず結果がある」と信じるその姿勢が共感を呼び、「社員の精神教育用に」と放送資料の購入問合せが殺到したそう。ちょうど翌31日から『このろくでなしの愛』が放映されたため、「ドキュメンタリー仕立てのドラマ宣伝」と批判する声もあったが、「それにしてもピはすごい、この子は世界のスターになるよ」とおじ様達まで応援し始めている。

 「フルハウス」のアジア平均視聴率は50%、3作目のこのドラマもアジア全域で大ヒットするといいね!

※注) KBSスペシャルのピ放映分は残念ながら著作権の関係でVOD再放送をしていない。

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第13回:いい男見つけた! 韓国初本格ミステリー『復活』~これこそ韓国男児、オム・テウン再発見







第13回
いい男見つけた! 韓国初本格ミステリー『復活』

これこそ韓国男児、オム・テウン再発見

2005年10月26日


●お目当てはオム・テウン







初主演で一人二役、双子役に挑んだオム・テウン
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
(c)KBS
 ドラマのストーリはもちろん面白いんだけど、正直、私はこのドラマ、主人公(双子役の)オム・テウン目当てで彼しか見ていません。^^;;;

 韓国では「花美男(コッミナム)」という言葉があるのだけれど、これは文字どおり“花のようにきれいな美男”のことで、ウォンビンのように顔がかわいい美少年系のオルチャン、クォン・サンウのような筋肉もりもりのモムチャンといった、若くて本当ペットにしたいぐらいの男の子が大人気なのだ。

 これは
以前紹介した『私の名前はキムサムスン』の影響もかなりある。30代でちょっと太めで、美人でも何でもないお姉さんがかわいい男の子のわがままに振り回されながらも積極的に求愛されて困っちゃう~という、女のロマンというか、妄想というか、そういう夢を見させてくれるドラマが人気で、主人公役の俳優さんもみんな「男の子」ばっかりなのだ。

 そこで今じゃ、「男!青年!」って感じの俳優さんといえばもうオム・テウンしかいないのよ。

 彼は、歌手としても女優としても評価の高いオム・ジョンファの弟。だが姉の名声を一切利用せず、映画『シルミド』のちょい役を始め、数々の映画に出演しながら演技力を磨いてきた。実際顔も全然似ていないから、弟だなんて誰も気づかなかった。昔は似ていたかも知れないけどさ、今はもう。。。。トホホ~。

 彼がドラマに出演するようになったのはつい最近のことで、それから一気に人気を得て、『復活』で生涯初めての主役に抜擢された。74年生まれだから、31歳で始めての主演なのだ。その分思い入れもすごかったようで、「彼の演技って鳥肌が立つほどすごいよね」とあちこちのマスコミが絶賛した。

 彼の顔って一見くせがあって、最初は「何この人!」なんて思っていたんだけど、何度も見ているうちに男の魅力というか、スーツ姿がカッコいいとか、ふとした笑顔が意外にかわいいとか、一つ二ついいところが目に付き始めるのだ。そうなるともう、ドラマのストーリなんてどうでもよくなり、オム・テウンしか目に入らなくなるんです。


視聴!<復活>

 『復活』(KBS、2005年6月~8月放映、全24話)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。VODは56kbpsは無料、700kbpsは700ウォン(約77円)。
 SBSについて詳しくは
第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。


●「復活パニック」なんていう熱血マニア集団も登場

 『復活』は本当に残念なことに、以前紹介した『私の名前はキムサムスン』と時間帯がダブってしまい視聴率はイマイチだったが、
VOD再放送収入は記録的。「復活パニック」という熱血マニア集団を抱えたことで、有名になった。また2~3話分飛ばしてしまってもストーリが大体わかってしまう他のドラマとは違い、1話でも観ないと「ちょっと、何の事よ!!!」と怒りたくなるような手が込んだストーリというのも、TVよりはVODでじっくり観たいドラマにさせたのかも知れない。

 視聴者掲示板には毎日「復活のストーリ教えて下さい」、「あの場面でどうしてそうなるの?」、「ハウンとウンハの恋はハッピーエンドですよね」と質問と答えが並び、100万件を超える書き込みを持つドラマとしても有名になっちゃった。

●三角関係に出生の秘密、そして家族の絆と負担なく観られる展開!?







三角関係になるしかないガンジュ、シンヒョク、ウンハ。ウンハは『オールイン』と『チャングムの誓い』にも出演したハン・ジミン。お肌もつるつるでとてもきれい!
(※ 画像はすべてクリックで拡大)
(c)KBS
 ストーリは「この世には完璧な善人もいなければ完璧な悪人もいないというミステリー復讐劇」とTV局のサイトには紹介されているが、サスペンス劇場ということではなく、いつもの三角関係に出生の秘密に家族の絆とかが中心となるので、観るに負担はない。

 主人公は双子のハウンとシンヒョク(オム・テウンの一人二役)。汚職事件を捜査中の刑事だった父の車にこっそり乗り込む7歳の男の子。だが父は殺され、交通事故ということにされ、男の子も記憶喪失に。そして、ある家にもらわれ本名を忘れ、ハウンという名前で育てられる。







ハウンとウンハ、幼い頃から一緒に育てられ、二人で支え合いながら生きてきた
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(c)KBS
 ハウンはその家の娘ウンハに恋し、「彼女のためなら何でもする」と誓う少年はやがて刑事となり、ある観光ホテル社長の自殺事件を捜査していたところ、過去の記憶とつながる。そして、父は殺され双子の兄がいること、母が生きている事を知る。

 父のことを調べるために動き出したところ、逆に汚職刑事と追い詰められ、同僚刑事の裏切りで犯人達に見つかり、20年ぶりに偶然再会した弟シンヒョクが、自分と間違われ殺されてしまう。

 母は自分の夫を殺した人間とは知らず、夫の親友と再婚していた。妹まで生まれ、シンヒョクは義理の父が経営する大手建設会社の副社長だった。ハウンはこのすべての復讐のため、シンヒョクになりきる。神父の服装をして刑務所へ行き、父を殺すように指示された犯人の口からすべてを聞くことになり復讐を誓うが、そのためには愛するウンハとも別れなくてはいけない。







シンヒョクは性格は悪いんだけど憎めないという典型的な役ではあるが……
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(c)KBS
 だが、彼の建設会社の新入社員としてウンハがやってくる(…もうお約束の偶然連発)。シンヒョクをハウンではないかと驚くが、シンヒョクは他人のふりをする。シンヒョクは父を殺した仇で国会議員の娘である記者のガンジュと政略結婚することになっている。

 一方、ウンハはシンヒョクのライバルのような御曹司テジュンの目に留まり、あれこれプレゼント詰めにされるという、またもやお約束のくさい愛のプロポーズオンパレード。シンヒョク、ウンハ、ガンジュとウンハ、シンヒョク、テジュンという二つの三角関係が動き出す。ウンハとテジュンが一緒にいるところを見ると嫉妬で顔の筋肉がぶるぶる震えるシンヒョク、というかハウン。

●観た人はみな絶賛。もう観るしかない!!

 犯人達をゆっくり少しずつ苦しめながら、破滅へと追い詰めていくシンヒョク。ウンハへの愛は、二人は、そして復讐はどうなるの? という内容。でも他のドラマのように明快なストーリではなく、最終回も「う~ん、それでどうなるの?」という視聴者の判断に任せるようなところがある。想像しながら後々も楽しめるというのはあるけど、ちょっと難しい。『復活』を観た人はみんな必ず「絶対観るべきよ! こんな名作ないわよ!」と大推薦しているので、騙されたと思って、まずは1話分だけでも観てみましょう。KBSはVOD無料だし。



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第12回:不倫、死、愛、久しぶりにどろどろな韓国ドラマはいかが?







第12回
不倫、死、愛、

久しぶりにどろどろな韓国ドラマはいかが?

2005年10月12日


 朝夕は冷たい風が吹きはじめ、秋も深まるちょうどこの頃が韓国旅行にはベストな時期。温かい石という意味の床暖房オンドルの上に座り、甘辛いだしのきいた海鮮鍋「ヘムルタン」や舌の上でとろける味付きカルビ、豪快に焼いて色んな薬味につけて食べる豚の三枚肉「サムギョサル」、これでもか! とどっしり30品目以上のおかずが運ばれてくる韓定食、東大門市場が発祥地の鶏がまるごと入った韓国式手打ちうどん「ダッハンマリカルグッス」などを食べてお腹いっぱいになり、そのまま寝転がってドラマを見ていると、もうここが天国!

●『ばら色の人生』はどろどろドラマの決定版!?

 秋になると韓国では、とにかく泣かせるどろどろのドラマが始まる。親の反対を押し切り結婚したおしどり夫婦の片方が突然白血病で死ぬとか、継母にいじめられながらも健気に生きる少女が苦労の末愛する人に出会ったが幸せは長く続かずまた白血病で死んでいくとか、秋から冬にかけて苦労ばかりした主人公がやっとの想いで幸せをつかみそうになったところで死ぬドラマがやたらと多い。

 『ばら色の人生』も典型的なそのパターンなのだが、知っていながらも「これからどうなるの!」と気になってしょうがない。24話作でちょうど14話まで放映されたところ。去年大ヒットしたどろどろドラマの代表格「愛情の条件」を作った監督と作家が手を組んでいるだけに、主婦の間では1話でも見逃してはならない名作と名高い。

 また作家自ら「偶然だらけで無理に涙を誘うそんなドラマと比べないでください」というほど、しっかりしたストーリがベースになっている。また冬ソナを制作したPANエンターテインメントが企画したドラマというのも日本のファンには気になるポイントかもしれない。

●ドラマさながらの離婚劇を演じたチェ・ジンシルの復帰作







主人公スニ役のチェ・ジンシル
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(c)KBS
 またこのドラマは、元巨人の投手だった趙成?(チョ・ソンミン)と派手な夫婦喧嘩の末離婚し、ドラマ以上に激しい離婚騒動を披露してくれた女優チェ・ジンシルの復帰作でもある。整形の塊、金しか頭にないなど影口もいっぱい叩かれる女優だが、やっぱり演技はさすがの大物。胃癌にかかり死にたくないともがく場面や、お金になることだったら何でもするケチな主婦を違和感なく演じている。

 先週までのストーリはこんな感じ。ソンムンは同じ銀行に勤めていた5歳年上の彼女スニに積極的にプロポーズし、「ばら色の人生を君と一緒に歩みたい」と親の反対を押し切り結婚する。2人の娘はとても元気で親思いだが、上の娘ソマンには知的障害がある。でも下の娘ヒマンはかしこく我慢強くいつも姉の世話をしてくれる。

 スニは幼い頃母が家出し長女として父と妹と弟の世話をしてきた。一人暮らしの父のことを考えるといつも胸が痛む。スニの犠牲のお陰で妹のヨンイは30歳そこそこで化粧品会社の重役となり、弟はアメリカに留学している。節約が命のたくましい主婦スニは化粧品や洋服など自分のものは一切買わず、粗大ゴミ置き場をあさる毎日。昼はパート、夜は酔っ払いの代理運転をし、必死に生きている。


視聴!<ばら色の人生>

 『ばら色の人生』(KBS2、毎週水木・夜9時55分から)を視聴するには、ドラマ視聴ページ(VOD)から。VODは56kbps・300kbpsは無料、高画質700kbpsは1話700ウォン(約77円)で、OnAirは無料。
 KBSについて詳しくは
第2回:無料で楽しむ韓国ドラマ 入門編2<KBS>を参照。


●たくまし過ぎる妻に嫌気がさして浮気

 同じマンションの隣には姑と舅の浮気相手だったおばさん、ソンムンの妹家族が住んでいる。ソンムンの妹はいつも嫌味ったらしく、食事も毎日スニの家で済ませるちゃっかりもの。一方ソンムンはたくましすぎるスニに嫌気が差し浮気をする。ソンムンの父も死ぬまで浮気し母を苦しめた。それを知っていながら自分も浮気していることを後ろめたいとも思ったりするが、やっぱり熊のような女房より猫のような彼女のほうが愛しい。

 結婚10周年を迎えた日、ついにソンムンはスニに離婚を切り出す。スニは腹いせに家の名義と全財産をもらうことで離婚を約束するが書類だけ受け取り家に逃げ帰る。娘達のためにも離婚は絶対にしないというスニに腹を立てたソンムンは暴力を振るうが、スニも譲らない。スニの妹ヨンイはそんな姉に離婚を勧めるが、ヨンイも実は自分の友達と結婚した元カレと不倫している。

 スニは夫の裏切りに自殺まで考えるが、娘達を思うと自分がいつまでも元気でいることが夫への復讐になると考え直す。ヨンイは姉の顔色がどんどん悪くなっていくのを心配するが、スニはお金がもったいないと診療も受けず我慢する。やっと病院へ行ったスニは末期の胃癌と診断される。

●不倫相手に裏切られた夫は…

 だがこのことを誰にも言えない。一人で手術を決めたスニはヨンイの結婚だけは見届けたいとヨンイの彼氏を訪ね、不倫関係だったことを知り絶望する。スニは離婚してもいいとソンムンに言い、手紙を残し病院へ向う。だがソンムンは見事浮気相手に裏切られ、残されたのは借金だけ。

 仕方なく家に戻るとスニの手紙があり、それまでのことが書かれていた。「色々あったけど、やっぱりあなたは私の最初で最後の恋。でもあなたが私を裏切ったことはまだ許せないのよ」という文章に心打たれ後悔するソンムンは病院に駆け込むが……。

●リアルすぎて鳥肌・感動でもらい泣き







左から夫ソンムン役のソン・ヒョンジュ、妹ヨンイ役のイ・テラン、スニ役のチェ・ジンシル
 あらすじだけだとあまり面白くないかもしれないが、これが違うんだよ~。俳優達の演技の上手いこと! 特にソンムン役のソン・ヒョンジュは今までやさしい夫役かコミカルな役ばかりで、このドラマは初めての悪役。女に目がくらみ奥さんに暴力を振るう場面なんかリアルすぎて鳥肌が立っちゃったよ。また手紙を読みながら懺悔の涙を流す場面なんかも、ありきたりの当然な場面なんだけど感動してもらい泣きしてしまった。

 脇役も充実していて、笑いあり涙ありと楽しませてくれる。特に長年夫の浮気相手だった人と喧嘩しながらも女同士でお互い頼りながら友達のようになっていくおばあちゃん達の関係も面白い。

●主婦たちは共感しまくり!!







ドラマファンが作った『ばら色の人生』9月号表紙。夫の浮気を克服する方法、あなたがソンムンならどっちを選ぶ? などドラマをパロディーにしたもの
 主婦の間では「他人事とは思えない」、「感動的なセリフが盛りだくさんで涙が止まらない」と大人気。視聴率も25%を軽く超えた。特にスニが娘達や夫、父、妹のために自分を犠牲にして必死でお金を貯めようとする場面や、癌ということを知り娘に「我慢しなくていい。食べたいもの買いたいものを何でも我慢しなくていい。一度きりの人生なんだから」と泣きながら話す場面は、自分の話のようでたまらないとみんな大騒ぎ。

 韓国は儒教の国なのにドラマを見る限りでは不倫天国ようだとよく言われる。ドラマで葛藤や涙を誘う場面を作りやすいから、不倫を利用するのはいつの時代も変わらないが、90年代まではほとんどが不倫をすると天罰が当たるぞ! という結末で浮気するのは夫、待つのは奥さんだったのに対し、最近は結婚した人の恋だからといってすべて不倫とは言えないという微妙な設定で、奥さんが不倫し夫が苦しんだり、復讐や天罰よりクールに離婚して新しい出会いを探したり、色々なパターンに変化している。

●今後の展開から目が離せない

 だがやっぱり人気なのは典型的なパターンで、夫が反省して戻ってくるという設定。『ばら色の人生』で夫の名前は「バン・ソンムン」なんだけど、これは反省文という意味。戻ってきた夫をどう処理するのか、癌にかかったスニは視聴者の哀願にも関わらず本当に死ぬのか(韓国って制作しながら放映するから視聴者の意見で主人公が死んだり、死ななかったりする)など、まだまだ目が離せない。

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