旧正月には楽しい行事がいろいろ
2011年、新しい年が始まった。
辛卯年を迎えた韓国は30年ぶりという寒波に襲われた。ソウルからチェジュまで全国各地が史上2番目の大雪に見舞われ、大変な年越しとなった。
韓国の冬は三寒四温と言われる。氷点下を下回る寒さが3日間続いた後に、暖かい日が4日間続く。そして、また3日間寒くなる、というのが典型的なパターンである。しかしこの冬は、12月から1月にかけて12日以上連続で氷点下12~19度となっている。
毎日のように大雪が振り、雪だるまが作れるほどなので、最初のうちは「ホワイトクリスマスになっていいね~」なんて喜んでいた。しかし、最近は「もういいかげんにしてくれないかな~」ってイラついてしまうほどの雪!雪!雪!
正月料理の「トックッ」は1年に2度食べる
日本は1月1日がお正月だから、「年が明けた」というはっきりした意識を持てるだろう。韓国は、旧暦で祝う旧正月(ソルナル、韓国語でお正月)が本当のお正月なので、年は明けたものの、なんとなく新年でないような気がする。12月32日、33日を生きているような気分が続いてしまう。
韓国はクリスチャンが多い国なので12月25日のクリスマスは公休日である(お釈迦さまの誕生日も公休日)。そのせいかクリスマスが来ると、宗教に関係なくもう年末なんだな~という気分がじわじわとわいてくる。韓国の会計年度は1月始まりの12月締めなので、どこの会社も12月は忘年会で忙しい。そして1月には、始務式をして新しい年度を始める。
12月31日から1月1日にかけて、光化門、鐘路を中心とするエリアに年越しを祝う人が集まりカウントダウンをする。テレビ局が特設舞台を設置する。地下鉄とバスは深夜2時ぐらいまで延長運転する。
テレビは「新年が明けた」と祝い、「2011年最初に生まれた赤ちゃんは誰か!」とか、「卯年生まれの有名人は誰だ!」に注目する。世界各国の年越しの様子も放映する。
それでもやっぱり、旧暦のお正月が来るまでは、明けたような、明けてないような微妙な気分のままである。新年の挨拶も、1月にして、また旧正月にもするべきなのか、といつも悩んでしまう。それとも、今はしないで旧正月にするべきなのか?
「セベ」も悩ましい。セベはお正月の日に両親をはじめ、親戚や恩師、お世話になった人のお宅を訪ねてする礼のこと。跪いて頭を下げ、全身でする「ジョル」をする。これも1月1日にして、またお正月にもするべきなのか? だって、1月1日はお正月でないとしても、年が明けたのだから「明けましておめでとうございます」を言わずには過ごせないではないか(ちなみに韓国では「セへボクマニバドゥセヨ=新年福をたくさんもらってください」と挨拶する)。
でもお歳暮は旧正月に贈るので、やっぱり新年の挨拶は旧正月にするべきなのか。宗教によっては、1月1日をお正月とする家もあるので、ますます悩ましい。
ま、セベをしたらセベッドン(お年玉)がもらえるので、子供にとってはセベが2度あるのも悪くはないだろうけど。
お正月に食べるトックッも、1月1日にも食べて、お正月にまた食べるのがいつものパターンだ。トックッは、白い棒状の固い餅を斜めにスライスして、牛肉を煮込んだ出汁に入れて食べるスープ。地域によっては、大人のこぶしほどの大きさの餃子を入れたりもする。お正月が近づくと、餅屋さんにお米を持っていって餅を作ってもらう。固くなるまで冷ましてから何十人分もスライスする。これは手が腫れるほど大変な仕事でもある。スライスしてある餅をスーパーで買う家庭も増えている。
韓国語に初詣に当る言葉はない。だが、お正月には教会に行ったり、聖堂に行ったり、お寺に行ったりする。また、1月1日に日の出を見るついでに行くという人もいれば、お正月になってから、という人もいる。
旧暦の大晦日は寝ないで過ごす
結局お正月が2回あるようなものなので、紛らわしいことが多い。だが、それでも楽しいこともある。
韓国ではお正月の前日から15日までは色々なイベントがある。お正月の前の日、旧暦の大晦日は「ソッダルグムム」と呼ぶ。昔からこの日には大掃除をして、近い親戚や近所の人に1年の感謝を込めて挨拶をする。
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By 趙 章恩
2011年1月6日
-Original column
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110105/217807/