第4回 : キーワードは「アプリケーション」と「3D」!韓国から見る日本の未来

主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。第4回は、日本より数段進んでいる韓国コンテンツのトレンドを紹介します。

実名ブログが世論をつくる


2000年以降の韓国では、今のFacebookのような同窓会サイトや、インターネット上の分身であるアバターを利用したソーシャルネットワークサイト「Cyworld」が大ブームとなりました。リアル世界の自分は地味でも、アバターの着せ替えには大金を使い果たして満足する人が増えたものです。小学生が両親の携帯電話から勝手に着せ替えアイテムを決済し、支払いをめぐるトラブルも絶えませんでした。


一方、言論統制が厳しかった韓国で、市民が記者となり自由な意見を言い合えるインターネット新聞が脚光を浴びた時期もありましたが、すぐBlogにその座を奪われました。今はTwitterのようなつぶやきサイト「Metoday」や「Connecting」が情報の発信源であり、マスコミであり、世論の役割を果たしています。もう10年も前からソーシャルネットワークサイトが定着しているせいか、韓国人はネットで実名を公開したり、自分の顔を公開したりすることをあまりためらいません。


2006年からは「UCC(User Created Contents)」という、動画投稿サイトが大ヒットしました。偶然投稿したギター演奏動画が世界中の動画投稿サイトに転載され、ニューヨークタイムズで取り上げられた無名のギタリストもいます。それに触発され、自己アピール動画が絶えませんし、自作動画がきっかけで女優になった人も数知れません。1次面接の代わりに動画履歴書を要求する企業も登場しました。


何か一つブームになると老若男女関係なく全国民がはまってしまう、熱しやすくて冷めやすい韓国人らしく、人気コンテンツは1年もたずコロコロ変わっています。そんな中、2010年韓国で最もホットな話題は「アプリケーション」と「3D」です。




韓国でも人気なのはスマートフォンから利用するつぶやきサイト


失業対策としてアプリケーション制作を支援


2009年秋にiPhoneが発売されてから、パソコン中心だったデジタルコンテンツの利用は急速にスマートフォンとモバイルインターネットへと切り替わりました。


韓国政府は通信キャリアと組んで、就職難や失業対策の一つとしてアプリケーション制作を支援しています。面白い企画を持ち込むと、開発はすべて無料で支援してくれるセンターもオープンしました。コンテンツ製作会社のものではなく、個人デベロッパーのアプリが人気を集め、数千万円も売り上げを達成したという「アプリ長者」が何人も登場したからです。


Appleのアプリケーションストアに対抗して、Samsungや韓国のキャリアもアプリケーションマーケットを続々オープンさせています。スマートフォン、タブレットPC 、IPTV、家電など、あらゆるデバイスから利用できるアプリケーション販売を目指しています。


韓国で人気のアプリケーションは拡張現実(日本のセカイカメラのようなサービス)、ゲーム、位置情報を利用した生活情報などで、無料で利用できる無線LANや高速モバイルネットワークアクセススポットも急増しました。ソウル市内ではほぼどこでも無料で無線LANが使えます。


さらに、3Dテレビだけでなくスマートフォン向け3D映像や3Dゲームの開発も、商用化が目前になっています。安価の電子書籍端末が出そろい、まだ正式発売の予定のないiPadも個人輸入で数千台が普及しているため、電子書籍やタブレットPC向けの3Dコンテンツもブームになると見込まれています。


ネットに関しては常に一歩先を行く韓国に注目すれば、日本で何がはやるか予測できるはず。ビジネスマンにとっては目の離せない国です。


次回はインドのコンテンツビジネス事情をご紹介します。


By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)

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