第3回 : 幼児の6割以上がインターネットを利用!ブロードバンド先進国―韓国

第3回 趙章恩(チョウ チャンウン)


幼児の6割以上がインターネットを利用!ブロードバンド先進国―韓国


主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。第3回は、ブロードバンドが普及している韓国で人気の高いコンテンツを紹介します。


ブロードバンド革命で10代~30代の99%がネット利用者に


韓国では目が覚めた途端にスマートフォンから自分のBlogやTwitterを確認し、地下鉄の駅で配られる無料新聞に目を通して、会社に着いたら気になるニュースをポータルサイトからじっくり検索することから1日が始まります。


ニュースは新聞社のサイトではなく「NAVER.com」「DAUM.net」「NATE.com」の3大ポータルサイトから利用するのが定番となっています。ニュースをBlogやTwitterに転送するのも楽ですし、ほかのユーザーが記事の下に書きこんだ「デッグル」(コメント)が面白いからです。


インターネット実名制度により、会員登録したりコメントを書き込んだりするためには出生申告の時に付与される住民登録番号で個人認証を行わないといけません。誰が何をしたのか記録が残りますが、あまり気にすることなくみんな自由に書き込んでいます。一時期、実名制度に反対して海外サイトを利用するユーザーもいましたが、韓国も中国同様、Yahoo!やGoogleといった外資系サイトの利用率がとても低いのが特徴です。


1998年の経済危機から立ち直るため国を挙げて取り組んだブロードバンド革命により、世界のどの国よりもインターネットが早く普及した韓国。韓国インターネット振興院の「2009インターネット利用実態調査」によると、10~30代の99%がインターネット利用者で、国民の98%は携帯電話を持っています。3~5歳幼児のインターネット利用率も61.8%に至ります。子供の絵本や童謡も、紙やCDではなくパソコンとネットを経由して利用されているほどです。


生活のほぼすべてが情報化され、世界のテストベッドといわれるほど電子政府や医療情報化、デジタル教科書などあらゆる分野で最先端のサービスが提供されている韓国では、コンテンツサービスも世界に先駆けてブームになったものがたくさんあります.






韓国で人気のオンラインゲーム「アイオン」のプレイに最適化された高性能ノートパソコンまで登場した


ブロードバンドの普及をけん引したのは対戦型オンラインゲームでした。ネットワークを経由して見ず知らずのユーザーと対戦できる戦争ゲーム「スタークラフト」が大ヒットし、このゲームをより速い速度で楽しむためPCバン(ネットカフェ)に入り浸り、超高速インターネット加入者も急増したものです。


オンラインゲームブームは、ゲームの中に登場するアイテムを現金で売買できる仲介サイトまで登場させました。時間と手間を掛けてキャラクターを育てるより、早く魔法のアイテムを手に入れて勝ちたいというユーザーが増えてしまったからです。アイテム獲得を目的に個人情報を盗んで会員登録する犯罪グループまで登場し問題になったものです。またゲーム中毒も社会問題になり、今では政府が中毒予防教室を運営しているほどです。


動画サービスのネット配信も早く、1998年には既にテレビ局のドラマやバラエティー番組がネットに公開され、決まった時間にテレビの前に座らなくても、好きな番組を好きな時に見られるようになりました。


ドラマのNG場面や出演者のインタビューなどのおまけ動画も登場し、今テレビで流れている画面をそのままテレビ局のホームページから見られる「Onair」サービスもあります。無料だった「ダシボギ」(再放送)サービスは、2001年あたりから一話100円ほどに有料化されました。携帯電話を利用した小額決済が広く普及したことから、デジタルコンテンツの有料化も早く定着しました。2004年以降IPTV(ブロードバンドを利用してコンテンツを配信するサービス)が普及してからは、ダシボギはパソコンよりテレビとリモコンで利用するコンテンツとなりました。


次回は2010年韓国で話題のあのコンテンツをご紹介します。


By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)

@nifty
ビジネス

Original Link

http://business.nifty.com/articles/asia/100706/








インターネットこそ若返りの妙薬! [2007年4月18日]

韓国では全国どこに行っても、郵便局、市役所、区役所、住民自治センターといった公共機関には無料でインターネットが使えるパソコンが数台置いてあり、誰でも使えるようになっている、また99年あたりから無料または月1000円ほどの安い授業料で参加できるシニアパソコン教室が市役所や区役所で年中開催されている。ちょっと前までも60代以上の世代はインターネットが使える、いやインターネットがどういうものか知っているだけでも「すご~い」と言われるほどデジタルデバイドが深刻だった。

 でもこの頃はシニアのインターネット利用は当たり前、インターネットがきっかけになり人生が変わったというデジタルシニア世代がよくテレビで紹介されている。ネットでも若い世代と変わらないほど動画投稿やブログ運営、スカイプを利用して世界各国のユーザーとビデオチャットに熱心な、インターネットを利用するのが日常になったWebver族が脚光を浴びている。


 WebverはWebとsilverの合成語で、以前は引退後は世の中の動きには鈍くなり近所付き合いだけになってしまいがちだったシニア世代が、インターネットを利用して最新情報を取り入れ、積極的に友達の輪を広げ人生を楽しんでいることから付けられた名前だ。シニアパソコン教室はパソコンの使い方やネットの基本的な使い方を教えていたが、それぐらい普通に使えるシニアが増えてからは動画教室、HOMPY(韓国のSNS)教室などに種目を変えている。


 韓国マイクロソフトと韓国情報文化振興院が情報化教育を履修した55歳以上400人にアンケート調査をした結果によると、情報化教育後「生活が楽しくなった」が98%、「友達が増えた」が91%と、「より健康になった」が89%、「子供や孫との会話が増えた」が90%、「日常生活がより便利になった」97%、など、インターネットを利用するようになってからコミュニケーションも増え、健康状態もよくなり世代間のデバイド解消にも役立っていることが分った。


中でも21%のシニアが情報化教育後「再就職や経済活動のチャンスに恵まれた」と答え、シニアの情報化が人生の中での経済活動期間の延長にも現実的に役立っていた。また面白いのは54%もの人が「掲示板に投稿したり、他人の書き込みに対してコメントを残したことがある」と答え、27%は「インターネットショッピングを利用したことがある」と答えている点だ。インターネットショッピングは日本のシニアより利用度が低いかも知れないが、さすが討論好きの韓国らしく、書き込みやコメントを残して自己主張を楽しむのは年齢など関係ないようだ。

 この調査を担当した韓国マイクロソフトは「韓国はデジタル化が急速に進みすぎたため、インターネットがシニアを社会から疎外させる主な原因になっていたが、ここ数年インターネットを自由に利用できるようになったシニアが増えたため、逆にインターネットがシニアの社会復帰を促進している」と分析した。


 韓国のSNS「サイワールド」も、2007年1月現在50歳以上の会員は95万人で、2004年3万8千人に比べ25倍も増えている。全会員の中で50歳以上が占める割合も2004年1%から2005年3%、2006年4%と徐々に増えている。ポータルサイト「DAUM」も2006年末時点の50歳以上利用者は全会員の13.3%で、2004年に比べ4%ほど増えている。自分で撮影した動画をブログやHOMPYに掲載して訪問者の反応をワクワクしながら待ったり、ネットで出会った友達のサイトにコメントを残したりすることで精神的に若返り、健康になったというシニアは一人二人ではないようだ。


 ソウルから南へ30分ほど離れた軍浦市(グンポ市)には「NO老クラブ」という70~80代が中心のインターネット同好会が活発な活動をしている。市が主催した情報化教室に参加した人達が中心となり、クラブのホームページを作って自由に書き込みしたり、次のオフ会ではどこに行こうかとチャットをしたり、子供向けにネット礼儀教室コンテンツを制作してみたり、忙しい毎日を送っている。


 NO老クラブに参加している78歳のおばあさんは「ネットを使うようになる前まではいつ死ぬんだろうか、病気にならず眠ったまま死ねるといい、そんなことばかり考えていて笑うこともなかった。でも今はネットであれこれ検索してみたり、シルバー同好会に加入して掲示板でやりとりをしながら気に入った人とデートもしてみたり、スカイプでアメリカにいる孫娘とビデオチャットもしてみたり、毎日があっという間に過ぎていくから困るわ~」と幸せそうだった。


 まだ韓国の60歳以上のネット人口は30%にならない程度で、日本よりも少ない。だがネットで得られる幸福指数はどの国に負けない。それは逆にデジタルデバイドより世代デバイドの方が怖いという裏返しかもしれないが、積極的に新しい人生を楽しむ姿に子供も孫も元気付けられる。若返りついでに、ネットで青年のふりをしているシニアもいるかもしれないと思わせるほどだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070418/268573/

韓国インターネット事情一人勝ちKT追撃で競争本格化(2007年7月23日 掲載)

インタネット事情 一人勝ちKT追で競本格化


 



放送と通信の販割引が解禁


移動制度、3月スタ



 


【ソウル7月から有無線インタネット、CATV、電話、インタネット電話など放送と通信のセット販割引が解禁となるうえ、3月からは、KT(Korean Telecom)の固定電話番のままインタネット電話を利用できる番移動制度もスタトする。これまで一人勝ちしているKTのシェア切り崩しに向けて、通信事業者と放送事業者間の主導権争いが本格化するのは必至だ。


 


 情報通信部が6月に表した「市場支配的事業者の通信サビス結合販告示及び認可指針」によって、シェア50%を超えているインタネットサビス電話事業者であるKTと移動通信のSKTも料金の割引ができるようになった。今までKTとSKTは、料金やサビス容を更するためには情報通信部に申告し、複な審議が必要であった。このため社はサビス格を値下げしたくてもできないという言いを繰り返してきた。これによって、益を伸ばし支配的事業者として市場を掌握してきた。


 


 情報通信部は、審査簡素化制度を導入して特別な失格件がない限りセット販認可申請を受けた日から30日以に、標準料金の10%以でセット販割引を許可する方針だ。この簡素化制度によってKT、SKテレコム、LG、HanaroTelecomなど通信業者は、すべて系列社や他社と提携してインタネット、電話、CATVなどの商品をセットで申しむと料金を割り引くセット販を準備している。グル社に有線インタネット業者を持たないSKテレコムや移動通信キャリアとがないHanaroが、どこと提携するのかが注目の的になっている。


 


 LGDACOMは、子LGパワコムの約150万超の高速インタネット加入者を象に、「超高速インタネット+インタネット電話」のセット加入にして料金を10%割り引く。9月からはインタネットTV(IPTVの前身でTVとセットトップボックスを利用してVODを利用する通信業者が主体のサビス)+超高速インタネット+インタネット電話のTPS(Triple Play Service)、さらに長期的にはLGテレコムの携電話までをセットで割り引くQPS(Quadruple Play Service)計を持っている。


 


 SKテレコムはグル社のSKテリンクとシー・アンドエムが発売した「ケブルTV+超高速インタネット+インタネット電話」のTPSに、自社の携電話料金も割り引くQPSを準備している。特にSKテレコムは、今年下半期にはKTの固定電話市場を狙い、屋では固定電話、屋外では携電話として使える「携電話+Wifiフォン」のデュアル携KTの市電話市場も積極的に攻略する計だ。


 


 今年春から超高速インタネット+電話+TVポタルのセット加入で、最大20%割引が可能となるセット商品を販し、133万人の加入者を確保したHanaroもKTFと3G携電話までをセットにできないかと交中だ。Hanaroは、加入者の33%がセット商品に加入しているが、これを年末まで40%に引き上げたいとしている。


 


 KTはSKテレコムや競合事業者らのセット商品を討し、子社であるKTFの3G携電話とモバイルWiMAXのWibro、インタネットTVを組み合わせて割り引く。KTは肝心な市電話の割引には消極的だ。固定電話の上高は、総売上高11兆7809億ウォンの36%を占め、韓全固定電話の92%を占める占事業でもあるからだ。KTはセット商品が加入者維持に果的との点は認めながらも、短期的にはり上げが落ちるとして他の事業者の動向を把握してから対応するとしている。


 


 だが3月、インタネット電話と固定電話の番移動制度が始まれば、KTの固定電話加入者は激減すると予想されている。インタネット電話の番移動制度は地域間の移動による局番調整問題、加入者たり1500ウォンずつ賦課される相互接料も改善されなくてはならないが、セット販で料金割引を促進し、通信市場の競激化を促進する情報通信部の政策は、ユ迎されている。



趙章恩(チョウ
チャンウン=ITジャナリスト)



BCN This Week 2007年7月23日 vol.1196 載] Link 


 


 


 

「公称100Mbpsならせめて30Mbpsは出てないと」—韓国のインターネット最低速度保障制度を紹介

インターネットサービス事業者の広告を見ると、最大100Mbps光の速度で動画もすいすい、ADSLで下り最大47Mbps、なんて大きく書いてあるけど、よく見ると広告の下に小さい字で「通信速度は技術規格上の最大値であり、お客さま宅内での実使用速度を示すものではありません」、「最大100Mbpsとは、お客さま宅内に設置する弊社回線終端装置から弊社設備までの間における技術規格上の最大値であり、お客さま宅内での実使用速度を示すものではありません。インターネット利用時の速度は、お客さまのご利用環境、回線の混雑状況、集合住宅の場合は当該建物の伝送方式等によって低下する場合があります」と書いてある。

 一体私は何Mbpsの速度のインターネットが使えるの?と突っ込まずにはいられない。100Mbpsと聞いて申し込んだのに、Flashで作られたWebサイトがなかなか表示されずイライラした経験はないだろうか。


 韓国では通信政策を担当する放送通信委員会が、事業者のネットワーク拡大と品質管理、設備増強が適切に行われているかなどの責任を追及するため、ベストエフォートではなく最低保障速度制度を強化することにした。これは世界でも前例がないため、韓国内でも何を基準に最低速度を決めるのか、最低速度を守れなかった場合はどのように規制するのか、議論になっている。政府は専門家のアドバイスから100Mbpsと宣伝する場合は30Mbps、10Mbpsと宣伝する場合は2Mbpsを最低保障速度として提示している。最低保障速度制度があれば事業者も品質を安定させ管理しないといけないため投資が増え、サービスの品質改善とそれによる利用者の権益向上を期待している。


 そもそも最低保障速度制度は今回が初めてではない。2002年8月、政府は「超高速インターネット品質保証制度」の導入により、下りの最低保障速度を約款に明記するよう勧告した。韓国のインターネット事業者は速度がいつも利用している平均速度より目に見えて落ちたり、1日3時間以上インターネットにアクセスできないと1カ月の料金から日割りして1日分の料金を無料にしてくれる。速度が落ちたりアクセスできなくなったら顧客センターに電話して遠隔で確認してもらい、異常があることを確認できれば割引してもらえる。それでも速度低下が続く場合は、約定加入した場合でも違約金なく解約できる。


 しかし、その基準となる最低保障速度は2002年当時のまま。下り最高10Mbpsと宣伝する商品の場合、当時の基準だと、実測0.5Mbps以上であれば最低保障速度を守ったことになるが、これが最高100Mbpsを謳う光LAN商品にもそのまま適用されているのだ。韓国のインターネットの平均速度は各自業者の品質評価発表によると、下りは最高速度の75%以上を保っているが、それに比べ最低保障速度は遅すぎるということである。


 放送通信委員会は事業者の最低保障速度は最近のネットワーク環境と合わないことを指摘し、もっと現実的な制度を導入するため最低速度のアップグレードを事業者に要求したというわけだ。今までは最低速度が最高速度の1~10%だったが、それを5~50%に引き上げるべきということだ。2008年12月からは最高100Mbpsのサービスであれば、最低30Mbps以上は出ないといけないようして、約款に最低保障速度を明記させる。


 最低速度を30Mbpsにした理由は特に基準があるわけではないが、IPTVや広帯域サービスを問題なく受信できるようにするためにはこれぐらいの速度が必要という韓国情報社会振興院の調査結果によるものだ。速度が落ちた場合にはどのように報償するかについても約款に記載し、加入者に告知するようにした。最低保障速度制度はあくまでも勧告事項で強制事項ではないので、守りたくない事業者は守らなくてもいいが、顧客離れを防ぐためには守らないわけにはいかない。
























































●事業者別最低保障速度改善計画 単位:Mbps
事業者 サービス 最高速度 変更前最低保障速度 最低保障速度改善計画 改良時期
KT ライト 50 1 5(FTTH) 2008.12
1(xDSL)
スペシャル 100 5 30 2008.12
SK Broadband(旧Hanaro Telecom) スピード 10 1 1.5 2008.12
2 2009.1
光LAN 100 5 30 2008.12
LG Powercom プライム 10 1 5 2008.12
光LAN 100 30 50 2008.12

 最低速度に満たない場合は、顧客センターに電話して遠隔で速度テストをして異常を確認してもらうか、事業者ごとに運営している速度測定WEBサイトにアクセスして速度をテストした記録すこと。当然かもしれないが、速度が落ちても事業者側からは絶対先に補償を持ち出さないので、利用者がこまめにチェックして補償を要求しなくてはならない。ネットでは速度を問題に解約を要求したら、6ヶ月間料金を無料にしてくれた、利用料を安くしてくれたという経験談も登録されていることから、わざと速度を理由に割引の交渉を持ちかける利用者も少なくないようだ。


 韓国の平均的な光LAN料金はISP料金やモデムレンタル込みで月2000~3000円ほど。所得に比べ決して安いとはいえない。それに韓国では動画投稿やインターネット経由で地上波放送局の番組を有料VODで視聴するパターンが定着しているため、高画質の動画をストリーミングでみたり、アップロードしたりするため、速度にはとても敏感である。最低補償速度制度は品質保証のようなものなのだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年10月29日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20081029/1009261/