第5回 : ヒンズー語がインターネット言語に!? 世界が注目するインド

主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。第5回は、知られざるインドのコンテンツ事情を紹介します。


インターネットの最大市場はインドになる可能性も


今回ご紹介するのは、2026年には中国を抜いて世界人口1位になるといわれているインドです。2006年、GoogleのCEOエリック・シュミット氏が、「インターネットの最大市場は中国でなくインドになる。英語と中国語に続いてヒンズー語がインターネット言語になる」と発言してから一気に注目度が高まりました。アメリカをはじめ、世界のIT企業で働く優秀な技術者の多くがインド人であることは日本でも有名です。しかし、インドにおけるネット普及率や利用はまだまだこれからです。


インターネット利用率は人口12億人の約7%で、そのうちオンラインゲームや動画などのデジタルコンテンツをスムーズに利用できるブロードバンド加入者は0.6%しかいません。ところが、携帯電話の利用率は約23%、世界で最も速いスピードで携帯電話加入者が伸びているのがインドです。


インド通信局は、固定通信によるインフラ普及ではなく、第4世代(4G)と呼ばれるモバイルブロードバンド、LTEまたはWiMAX(ワイマックス)で国家情報化を進めようとしています。インドでは既にパソコンユーザーよりも携帯電話ユーザーの方が多く、クレジットカードや銀行口座よりも携帯電話を使った送金や決済の方がよく使われているほどです。


オンラインゲーム/モバイルゲームもよく利用されていて、韓国や欧米企業のゲームが広く浸透しています。モバイルインターネットユーザーが急増していること、ネットユーザーの4割がゲームを利用していることから、印刷物とテレビが90%近くを占めていた広告市場も、インターネットへと方向転換し始めました。






インドで人気なのはソーシャルネットワークサイト(SNS)とお見合いサイト

結婚相手をお見合いサイトで探すインド


電子書籍ユーザーも多く、毎年2倍近く成長しているのがインドの特徴です。インフラが整備されていない中でも、インドの国民的スポーツであるクリケットのプレミアリーグをYouTubeで生中継したところ、5000万人以上が視聴したというからすごいですね。


ソーシャルネットワークサイト(SNS)の人気はインドでも例外ではありません。今インドで最も話題のサイトはFacebookと、GoogleのOrkutです。2009年まで、Orkutはユーザー数1800万人を突破し、圧倒的にユーザーが多かったのですが、2010年からはFacebookに追いつかれています。Twitterも人気です。インドで起きたテロや政治問題を真っ先に伝えてくれたのもFacebookとTwitterでした。


世界各国にいるインド人同士がつながりやすいということでもFacebookが人気ですが、もう一つ、結婚相手を探すツールとしても人気なのだとか。インドではお見合いサイトの需要も高く、交際相手をネットで見つけ、ソーシャルネットワークサイトで愛をはぐくみゴールイン! というカップルが増えている模様。花嫁の持参金をめぐるトラブルで殺人事件まで起きているインドだけに、ネットで出会い、恋愛結婚することで慣習に従わないカップルの登場が新鮮に映るようです。


インドはまた“ボリウッド”と呼ばれるほど映画産業も盛んです。そのため3D映画や3Dテレビ、モバイル端末から利用できる3D映像コンテンツが注目されています。


次回は東南アジアのコンテンツビジネス事情をご紹介します。



By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)

@nifty
ビジネス

Original Link
http://business.nifty.com/articles/asia/100803/