中国デジカメ市場 三星テックウィンが躍進
キヤノンに次ぐ第2位の座に
北米市場でも販売増が顕著
【ソウル発】韓国産デジタルカメラが中国市場で躍進を遂げている。三星テックウィンの発表によると、2007年5月の中国デジカメ市場で、テックウィンはキヤノンに次ぐ19%のシェアを獲得し2位となった。昨年末のシェアはキヤノンが25%、ソニーが20%、三星テックウィンは17%で、テックウィンは05年に51万台、06年では126万台を販売した。同社は今年末までに23%のシェア獲得を掲げ、首位奪取に意欲を示している。
デジタルカメラの世界成長率は、年率約5-8%だが、中国市場は前年比90%以上の急成長を遂げている。世界に占める中国市場は10%以上とされ、台数規模は約1240万台と予想されている。
中国市場での三星テックウィンのシェアは、06年3月までは15.8%にすぎなかったが、「VLUUiシリーズ」を発売してからシェアが急上昇した。このVLUUiはデジカメにMP3再生機能とメモリを利用して映画やドラマを再生できる動画再生機能が搭載されているのが特徴だ。中国の顧客は、韓国のように基本機能だけの低価格商品よりもスリムで高機能なプレミアム商品を好む傾向にある。VLUUiはカメラから直接モデムを差込み、HSDPAでネットにつなげ写真や動画を送信できる機能を搭載している。
テックウィンは3月、天津に年間1200万台の生産能力を備えた工場を本格的に稼働させると同時に、現地法人を通じて流通構造も変化させ、攻撃的なマーケティングに着手した。4月からはブランドイメージ強化のため韓流人気スター、チャン・ドンゴン氏を起用した広告も大々的に始めた。
テックウィンのファン・チュンヒョン常務は「中国は今後の成長率からみても米国、欧州よりも重要な市場である。韓国の4倍、世界の10%を超える市場規模であることも魅力的だ」と話した。
一方、北米市場でもテックウィンは07年だけで490万台のデジカメを出荷し、10.6%のシェアを獲得し4位に浮上した。IDCの調査によると07年5月の北米市場は、1位がキヤノンで21.1%、2位はソニー(16.3%)、3位はコダック(13.2%)、4位は三星テックウィン(10.6%)、5位はオリンパス(9.1%)、6位はニコン(6.7%)だった。
テックウィンのシェアは、前年同期に比べて7ポイントも上昇しており、ウォールマートのほかにべストバイオンラインに製品を流通させ、大型専門店を中心とした流通チャネルへと多様化させた結果といえる。市場の成熟化にともない買い替え需要に照準をあてたことも奏功した。
テックウィンのVLUUiシリーズは、07年に北米のTIPA(Technical Image Press Association)賞を受賞するなど製品の優秀性が認められた。グループ内でLCD、バッテリー、メモリなど主要な中核部品の開発ができる点が同社の強みで、今後もデザインや差別化された機能で中国、北米、欧州、ロシアやシンガポール、香港、メキシコなど12か国にある三星電子法人を通して流通させていく。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)
[BCN This Week 2007年6月25日 vol.1192 掲載] Link