第2回: 世界のゲーム市場の5割が中国製に!?中国のSNS・チャット・ゲーム事情

主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。第2回は、SNSやゲームなど中国で人気の高いコンテンツを紹介します。


4億人がチャットで人脈づくり


中国インターネット協会Internet Society of China(ISC)が集計しているWEBサイトアクセスランキングを見ると、圧倒的1位はポータルサイトの「百度(Baidu.com)」です。検索を中心にニュース、音楽、動画、コミュニティー、ユーザー同士の質問と答えで成り立つ知恵検索など、一通りのサービスを提供しています。


2位は、チャット・メッセンジャーサービスが目玉のポータルサイト「qqメッセンジャー(qq.com)」です。中国ネットユーザーの約97%が利用しているといわれています。一人のユーザーが複数のIDを登録できるといっても、4億IDを突破したというのはほかの国では考えられないような規模ではないでしょうか。


「関係」がものをいう国だけに、人脈を管理できるSNSやチャット・メッセンジャーの人気は高く、大学生専用や地域別、年齢別など、細分化されたサイトも人気が高くなっています。


qqメッセンジャーは海外に住む中国人もよく利用していて、中華コミュニティーの結束力を高める役割も果たしています。企業の顧客センターもIDを持っていて、チャット方式で苦情処理を行っているほどです。


中国からは海外のソーシャルネットワークサイトにはアクセスできないよう遮断されているため、日本で人気のTwitterは利用したくてもできません。しかしあの手この手を使って“つぶやく”人が増えていて、日本の女優のTwitterアカウントをフォローする中国ユーザーが一万人を超えた、なんていうことが話題になったりもしました。中国側が提供する“つぶやく”サイトとしては、共産党の機関紙である人民日報の「t.people.com.cn」があり、政治家も参加しています。









中国で第2位の人気を誇る「qqメッセンジャー」。
携帯電話からも利用でき、中国の若者の間でなくてはならないコミュニケーション手段となっている




中国政府の後押しで急成長するゲーム市場


3位は中国だけでなく、中華圏ユーザーをターゲットにしているポータルサイト「Sina.com.cn」です。ニュースやブログ、検索に力を入れていて、中国、香港、台湾、米国向けにサイトを分けて、それぞれに特化した初期画面を提供しています。


アクセスランキングでは6位ですが、ここ数年人気なのが動画投稿サイトの「youku.com」です。違法なものもありますが、中国で人気の高い韓国や日本のドラマ、映画、バラエティー番組の動画が見られることからアクセスが急増しています。百度をはじめ、ほかのポータルサイトも動画サービスに力を入れているため、合法な動画を増やすための競争が激化しています。youku.comは韓国の民放であるソウル放送と提携し、2010年から3年間200本の韓流ドラマをストリーミングサービスする予定です。インターネット専用ドラマの制作にも乗り出すようです。


中国で人気が高いコンテンツといえば、やはりオンラインゲームでしょう。中国は政府の文化産業支援政策に伴い、ゲーム市場に集中的な投資が行われています。12年には世界のゲーム市場の5割を占めるだろうと予測されているほどです。ユーザー数で見ると、韓国から輸入された対戦型オンラインRPGが主流ですが、輸入したゲームを中国語でサービスするだけにとどまらず、中国独自のゲーム制作にも力を入れるようになりました。


そのほかインターネットショッピング市場も毎年2倍近く増加していて、09年には約4兆円の規模に達しています。最も人気なのは中国のeBayとも呼ばれる「taobao.com」で、ユーザー数は約1億5000万人、日本の人口よりも多いではありませんか!


10年6月からは日本のYahoo!と提携し、日中でオークションに出品したり落札できたり、海外発送もできるようにする予定です。これをきっかけに日中のインターネットコンテンツサービスの相互進出も期待されているのです。


第3回は、韓国のコンテンツビジネス事情を紹介します。

By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)

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第1回 :4億人が利用する中国のインターネット事情

主要先進国の景気回復が遅れるなか、アジア各国の成長は止まりません。中国や韓国、インドなど、まだまだ元気な国が多いのが実情です。知っているようで知らないアジアのコンテンツビジネス事情はどうなっているのでしょうか。第1回は中国のインターネット市場について紹介します。


さらに爆発的な成長が見込まれる中国のインターネット市場


政府の検閲を理由にGoogleが撤退したことで世界の注目を集めた中国のインターネットサービスですが、インターネット利用やネットでの書き込み、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などの利用は萎縮することなく増え続けています。検閲なんてずっと前からあったことなので、何を今さら、という感じすらします。


Googleは世界の検索サイトとしてシェアを高めていますが、中国では国民性を反映した自国企業のポータルサイトが人気を集めています。Yahoo!やGoogleといった海外サイトの中国語版のシェアは実は低いのです。


規制の多い中国だけにインターネットの利用も遅れているだろうと思ったら大間違い。インターネットが普及したのは意外と早く、1990年には「com.cn」という中国のドメインが登録され、93年から国家情報化事業が始まりました。96年にはネット接続サービスが始まりネットカフェも登場しています。


China Internet Network Information Centerのデータによると、2009年末中国のネット人口は3億8400万人、なんと前年比50%も増加しています。2010年3月にはついに4億人を突破しました。それでもまだ人口普及率では28%ほどに過ぎないというから恐ろしい勢いです。ネットユーザーの平均年齢は25歳と、世界平均42歳に比べ大変若いのが特徴です。これから爆発的な成長が見込まれているとても魅力的な市場なのです。



10倍に膨らむネット広告市場


2008年より携帯電話の3Gサービスが始まったことから、データ通信の利用者も2億3300万人に至っています。特に青少年の75%は携帯電話からネットにアクセスしていて、パソコン(69.7%)より多くなっています。検索サービスやソーシャルネットワークサイトのほとんどは、携帯電話やスマートフォン向けにも提供されています。


60の大都市市民を対象にした調査では、ネットユーザーの約7割が、暇な時にやることとして「インターネット」と答えています。インターネットにさえつながれば、音楽を聴いたり動画を見たり、ゲームをしたり、いろんな人とチャットをしたり、ショッピングをしたり、何でもできてしまいます。高速ブロードバンドも都市部では日本と変わらないほど普及しているのです。


北京、上海といった大都会だけでなく、小さな農村にもネットカフェが必ずあるほどインターネットは広く利用されています。(中国はネットカフェも人海戦術。パソコンが1000台ほどワンフロアに並べられたネットカフェもありました)。もちろん、所得の差によるデジタルデバイドは深刻ですが、情報源としてネットの役割はとても大きいのです。


インターネット広告市場もここ5年間で10倍に膨れ上がり、2009年には日本円にして約3000億円に達しました。2010年は上海万博の影響でネット広告が増加するものと見られ、2013年には約1兆7000億円規模になるのではないかと予測されています。Googleが撤退したおかげでネット広告がほかの中国勢ポータルサイトに回り、アクセス数1位のポータル「百度(baidu.com)」の2010年1~3月の純利益は昨年同期比2倍以上増加しました。広告単価も値上げされ、市場独占が懸念されるほどです。


第2回は、中国のインターネットではどんなコンテンツが人気なのか、SNSやオンラインゲームなどを紹介します。

By- 趙 章恩(チョウ チャンウン)

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