[エンタメコラム] すべての始まりはここから 「冬のソナタ」その3

ヨン様とたくさんの家族が出会えた作品



スカウトしたヨン様をドラマ「愛の挨拶」でデビューさせたことで有名なユン・ソクホ監督。その監督の作品で8年ぶりに主演を演じることや、「ホテリアー」で見せた印象的な演技で一気にファンクラブ会員が増えたヨン様とドラマ「初恋」で共演したチェ・ジウさんとがふたたび共演することなどが話題になり、「冬のソナタ」は放映前から大勢の人の期待を集めていました。


 


2001年に放映された「ホテリアー」で見せてくれた、冷酷なビジネスマンなのにどことなく母性本能をくすぐる寂しそうな横顔で、まっすぐな愛を表現するトンヒョクに似ているチュンサンと、柔らかくジェントルなミンニョンのひとりふた役にヨン様が挑戦するということもファンにとっては驚きでした。ところが、ヨン様はそれを見事に演じ分けてみせます。


 


ユン監督が追求する映像美とヨン様の演技、そしてチェ・ジウさんの愛らしい雰囲気がうまく化学反応を起こし、視聴率をどんどん上げて行きました。


 


チュンサンとユジン、ヨン様とチェ・ジウさんは、視聴者が選ぶもっとも似合うドラマカップル、パーフェクトカップルにも選ばれました。あまりにも息がぴったり合っていたことから、本当に付き合っているのではないかという噂もあったほどです。2002年、ワールドカップの成功を祈願するため、オーストラリアで開催されたファッションショーにふたりがモデルとして参加したときに現地で食事をしたことや、ヨン様がファンクラブの掲示板にチェ・ジウさんに興味を持ったこともあったと告白したことなどが火種となり、話が大きくなっていきましたが、交際説は噂に過ぎませんでした。


 


「冬のソナタ」はその美しい映像から、ロケ地ツアーを流行させたドラマでもあります。南怡島(ナミソム)や春川(チュンチョン)、ドラゴンバレースキー場、外島(ウェド)、ソウルの中央高校、大学路(テハンノ)、フアムドン聖堂、湫岩海水浴場などなど、ロケ地の場所を視聴者同士で教え合い、ドラマのワンシーンを真似るのが流行りました。クリスチャンでもないのに聖堂で愛を誓ったり、南怡島で雪だるまを作ったり、スキー場に行って大声で泣いたり叫んだり、雪の日には大学路を歩いたり……。ほかの人には冷たく無口なのに、ユジンにだけはにかんだような温かい笑顔を見せるチュンサンの姿を追いかけて、ロケ地だった中央高校の構内を歩き回ったものです。


 


特に南怡島は、「冬のソナタ」家族(ファン)にとっては聖地のような場所ですよね。「冬のソナタ」を観てからは毎年冬になると行きたくなってしまう南怡島には、タバコを手に真剣なまなざしで台本を読でいるヨン様、スタッフと楽しそうに会話するヨン様、リハーサル中のヨン様など、当時の写真がまだ残っています。何年経っても、南怡島のメタセコイア並木道に足を一歩踏み入れると、そこはチュンサンとユジンのパラダイス!


 


外島だって、ソウルからは片道5時間ほどかかる遠い遠い場所ですが、「不可能の家」を自分の目で見たいという気持ちを抑えきれずに、バスを乗り継いで行きました。南怡島も外島も知ることになったきっかけは「冬のソナタ」ですが、こんなにきれいな島があったなんて! ヨン様が韓国の美を紹介する写真集を作りたいと思ったのも「冬のソナタ」がきっかけかもしれませんね。


 


日本で「冬のソナタ」が放映されてからは、本格的にほとんどのロケ地がツアー商品となり、観光客が押しかけました。「冬のソナタ」を観て韓国の冬を神秘的に感じた南の国の人たちは、雪を見たり触ったり、スキーに乗ったりするための団体ツアーで韓国を訪れるようになりました。「キムチ、焼肉、あかすり」に代表されていた韓国ツアーが、ソウル以外の地域にまで足を伸ばし文化体験へとワンランクアップグレードしたことも、ヨン様のことを知るために韓国語を学び、さらに韓国のことをもっと知りたいと何度も韓国ツアーに参加するような人が増えたのも、「冬のソナタ」の業績といえるでしょう。


 


日本で「冬のソナタ」が話題になればなるほど、韓国では逆に、「冬のソナタ」よりも「冬のソナタ現象」に、「ぺ・ヨンジュン」よりも「ヨン様」にスポットライトが当てられ、作品の芸術性やストーリーよりも、輸出品としての価値ばかりがニュースになったのは残念でした。


 


ヨン様は「冬のソナタ」でKBS演技大賞最優秀演技賞・人気賞、百想芸術大賞を受賞し、スターとして頂上に上りつめながらも、次の作品に映画「スキャンダル」を選択しました。


 


「冬のソナタ」が放映されていたころ、ヨン様は「まだ俳優というよりタレント。これからは映画にも出演して俳優と呼ばれたい」とインタビューで答えたことがあります。自分との約束を守るかのように、映画に挑戦することを決めたところは完璧主義者のヨン様らしいとしか言いようがありません。しかも、時代劇というまったく違うジャンル、そしてプレイボーイというまったく違うキャラクターに挑戦したんですよ! 「メガネのないヨンジュン氏はヨンジュン氏じゃない!」というファンの心配をよそに、朝鮮時代のプレイボーイになりきりましたね。


 


「冬のソナタ」は韓流の原点であり、ヨン様に出会えたすべての始まりです。ヨン様個人にとっては韓流スターになれた作品というよりも、日本と世界の家族に出会え、今でも大親友であるリュ・スンスさんに出会えた、思い出深い作品として残っているのではないでしょうか。




ニッコリア
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[エンタメコラム] すべての始まりはここから 「冬のソナタ」その2

「冬のソナタ」の登場人物をご紹介します!



前回に続き、「冬のソナタ」の魅力をお伝えしていきます。今回は「冬のソナタ」の登場人物をご紹介しましょう!


 


ドラマタイトル:「冬のソナタ」


原題:겨울연가 ギョウル ヨンガ(冬の恋歌)


放映年度:2002年1月14日~2002年3月19日 全20話 KBS


 



カン・チュンサン(ぺ・ヨンジュン)



ピアニストの母を持つ、色白で無口で気難しそうな、春川第一高校にやってきた転校生。自らの出生の謎を解明すべく、死んだと聞かされ続けていた父の存在を確かめるため春川へやってきました。天真爛漫なユジンと出会い、彼女と初めて手をつなぎ、初めてキスをし、初めて一緒にピアノを弾き、少しずつ心を開いていきます。ところが、サンヒョクの父が自分の父なのか、それともユジンの父が自分の父なのか、謎が解けないまま、チュンサンはユジンに会いに行く途中で交通事故に会います。


 


□コメント


当時29歳にして高校生役を演じるということで、ヨン様本人も心配されたようですが、思ったよりも制服姿が似合っていましたね。ドラマの中の制服は、韓国では1983年に廃止されたもの。主人公たちの年齢からするとあり得ない設定でしたが、逆に黒い制服がチュンサンの冷たさを引き立ててくれました。学校の塀を飛び越えるユジンの靴を履かせてあげるシーンや、ナミソムで自転車のうしろにユジンを乗せて走るシーンは、カップルなら誰でも真似したくなる名場面となりました(撮影現場では、ヨン様が自転車から転げ落ち、チェ・ジウさんを思いっきり地面に叩き落してしまいNGを出したりと、あまりロマンチックではなかったようです。驚いたヨン様が慌ててチェ・ジウさんに駆け寄る場面はかわいかったですよ~)。


 



イ・ミニョン(ぺ・ヨンジュン)



チュンサンにそっくりだけど、アメリカ育ちで名前も性格も違います。ユジンがリノベーションを担当したスキー場の責任者として、ユジンと出会います。愛する女性のすべてを包み込む懐の広いダンディーな雰囲気の男性。チェリンの恋人でありながら、ユジンのことが気になり、しだいに惹かれていきます。記憶が戻りチュンサンだった頃の自分やユジンとのことも思い出しますが、交通事故の後遺症で「記憶」と「視力」のどちらかを選ばなくてはならなくなります。手術のためニューヨークへ旅立つチュンサンは、ユジンとの思い出を大事にするため記憶を選びます。


 


□コメント


「パラムモリ(風髪)」と呼ばれた、風になびくようなウェーブがかかったヘアスタイルにメガネ、二重に巻いたマフラー、ロングコートというスタイルが大流行しましたね。雪降る空を見上げながら、真っ白な歯を見せて笑うヨン様スマイルにひと目惚れしてしまいました。美しい、という表現がぴったりの甘いマスクに180cmの長身、がっちりした肩、温かそうな大きな手は、現実離れした理想の王子様でありながらも、話しかけると笑顔で見つめ返してくれそうな親しみやすさを同時に持っている男性でした。ヨン様の魅力が爆発したキャラクターでしたね。


 



チョン・ユジン(チェ・ジウ)



子供の頃に父を亡くし、厳しい生活を余儀なくされながらも明るく前向きな女の子です。幼なじみのサンヒョクから慕われますが、転校生のチュンサンと喧嘩したり、いたずらをしたりしながら恋に落ちてしまいます。しかしある日突然、チュンサンはいなくなってしまいます。それから10年後、ユジンはソウルにあるポラリスというインテリア会社を共同経営しています。サンヒョクとも婚約し、安定した日々を過ごしていたところ、チュンサンにそっくりのミニョンに出会ったことで、心の奥深くしまっていたハートをぎゅっと締め付けられるような初恋を思い出します。ミニョンがチュンサンではないかと何度も戸惑いながら、そして婚約者であるサンヒョクを気にしながらも、揺れる心をどうにも押さえられません。


 


□コメント


174cmという長身の8頭身美女チェ・ジウさん。日本では「ジウ姫」というニックネームで親しまれていますよね。1994年、MBCの専属タレントとして採用されデビューしました。ミルク色の肌と赤ちゃんのような純粋な笑顔に、ついつられて笑ってしまいます。その場を明るくぱっと華やかにしてくれる女優の中の女優! ジウ姫を見ただけで清々しい気持ちになります。ジウ姫が「涙の女王」と呼ばれるきっかけとなったのが、「冬のソナタ」です。うるうるの瞳からぽろっと真珠のような涙を流すシーンでは、視聴者を虜にしました。


 



キム・サンヒョク(パク・ヨンハ)



高校時代はチュンサンにユジンを奪われたことで心が重かったサンヒョクですが、のちにユジンと婚約し、ラジオ局のプロデューサーとして充実した日々を送ります。ところが、ユジンがチュンサンにそっくりなミニョンと一緒に仕事をすることを知ってから、心の平穏は終わってしまいます。あんなに優しく両親とも仲のよかったサンヒョクだったのに、チュンサンの秘密を知ってから両親と対立し、人が変わったようになっていきます。


 


□コメント


1994年にデビューしたヨンハさんは、「冬のソナタ」で初めて主演クラスに躍り出ました。高校生といっても違和感がないほど制服が似合っていて、あどけない笑顔がサンヒョクというキャラクターにぴったりシンクロしていましたよね。「冬のソナタ」で一気に有名になり、それから5年ほど韓国よりも日本での活躍が目立ちましたが、2008年の「オンエアー」でドラマに復帰。「オンエアー」は社会現象にまでなったほど大ヒットを記録します。今度はテレビドラマのプロデューサー役で、「冬のソナタ」とはまったく違う、男らしい大人の男性になっていました。韓流スターより「パク・ヨンハ」と呼ばれたいという俳優ヨンハさんの次の作品が楽しみです。


 



オ・チェリン(パク・ソルミ)



チェリンはファッションデザイナーで、ブティックを運営しています。欲しいものは何でも手に入れられたのに、チュンサンだけは思うようにいかなかったことから、ユジンにずっと嫉妬していました。留学先でチュンサンにそっくりなミニョンに出会い恋に落ちたチェリンは、ユジンにミニョンを見せびらかしたくてうずうずしています。ユジンとサンヒョクの婚約式にミニョンと一緒に現われ、驚かせます。ミニョンには、「ユジンはいつも初恋の人に似ているといって男に近づくから気をつけて」と嘘をつきます。チュンサンとユジンのあいだを邪魔する悪役ではありますが、「なぜ私じゃだめなの? 私を好きになってくれないの?」というチェリンが、ユジンと同じく初恋を忘れられず苦しみ続けていたのだと考えると、憎めません。


 


□コメント


1998年、MBCの専属タレントとしてデビューしたパク・ソルミさんは、赤い唇とシャープなあごがチャームポイントです。名前を本名のパク・へジョンから芸名パク・ソルミに変えて運が回ってきたという彼女は、「冬のソナタ」で強烈な印象を残し、「オールイン」にも出演しました。個性がハッキリした役のほうが好きというソルミさんは、大学生になってから20Kgも減量したほど、やると決めたことはやり通す強さを持っています。自分の演技に満足できずに芸能界引退を考えたほど悩んだ時期もありまたが、今は元気に復帰し、映画にドラマにと多方面で活躍しています。


 


次回は「冬のソナタ」の人気の秘密に迫ります。ご期待ください!



ニッコリア
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[エンタメコラム] すべての始まりはここから 「冬のソナタ」その1

世界中が虜になった名作



ニッコリア読者のみなさん~アンニョンハセヨ! ヨズム、モハセヨ?(最近、どんなことしてますか?)


ヨン様は、ここ1年近く取り組んでいる韓国の伝統工芸と美しい景色を紹介する写真集の最後の仕上げに余念がないようです。


 


待ちに待ったヨン様の写真集は、ついに9月末の日本での来日イベントを通して発売されることが決まりました! ヨン様が下調べをして、直接体験して、写真を撮って、頭を抱えて悩みながら1ページずつ丹念に仕上げた写真集は、どんな内容なんでしょうか? 写真集を胸にヨン様の足跡を追って韓国中を歩き回るためには、今から体力作りをしておかないといけませんね!


 


写真集に掲載しきれなかった内容は専用のサイトで紹介し、その内容も更新していく計画とのことなので、とても楽しみです。韓国人の目には当たり前すぎてその美しさに気がつかなかった風景や伝統文化が、ヨン様のカメラレンズを通してどんなふうに紹介されるのでしょうか? 初デートを前に胸をときめかせる心情といいますか・・・興奮が醒めません。


 


ヨン様は写真集に取り組む一方、「韓国訪問の年」広報大使としての活動もあちこちで行なっていて、政府の期待もとても高く、頼りにされています。健康な「食」にとても興味があるというヨン様。韓国伝統料理をおいしくおしゃれに再現したの「高矢禮(ゴシレ)」をプロデュースした実力を活かして、韓国政府が進めている「韓食の世界化プロジェクト」のアドバイザーとして会議に参加したことも話題になりました。


 


また、日本の盛岡市にある岩山漆芸美術館の名誉館長となり、漆芸の匠として名声の高い全龍福先生に教わった漆作品を公開しましたね。映像でしか見ることができませんでしたが、夢中になって作品に取り組むヨン様の姿はとても美しく、その真剣なまなざしにうっとりしてしまいました。自宅に工房まで作ってしまったほど漆にハマっているようで、今後も定期的に作品を展示する計画があるそうですね。ヨン様の魂がこもった作品はどんなものなのかと、ドキドキしてしまいます。みなさんも漆芸にチャレンジしてみたくなったのではないでしょうか? ヨン様が訪問された各地での情報によると、日本のヨン様家族(ファン)向けに韓国の伝統文化を体験できるイベントも準備しているということなので、写真集を全身全霊でたっぷりと味わいましょう!


さて、今回みなさんと一緒に堪能したいドラマは、そう! 世界中の人々がヨン様に出会うきっかけとなった作品、「冬のソナタ」です。


 


韓国で2002年1月から3月まで放映されたこのドラマは、「忘れられない初恋」、「運命の愛」をテーマに、三角関係と友情、家族愛、出生の秘密、交通事故、記憶喪失などの要素をミックスさせた典型的なホームドラマ+トレンディードラマとして高視聴率を記録しました。真っ白な雪と吐息、南怡島(ナミソム)とスキー場の風景、ヨン様の笑顔と涙と純愛に、惚れてしまった女性は少なくありませんでした。


 


その年の冬から春にかけて、韓国ではヨン様のようなヘアスタイルやメガネ、マフラーの巻き方、キャメル色のロングコート、チェ・ジウさんのようなおかっぱ頭やエルメスのバッグ、ポラリスネックレスなどが大ヒット、真似をする人が続出しました。


 


「これからは道に迷ったときにポラリスを探してごらん。いつも同じ場所にいるから。ポラリスは絶対動かないから」……チュンサンのいつまでもユジンを守り抜くという誓いのように聞こえるセリフや、雪の中にネックレスを隠して渡すという鳥肌もののプロポーズも、ヨン様とチェ・ジウさんのふたりだと、さらりとしていてつい真似したくなる場面になってしまうのが不思議でした。


 


しかし、記憶喪失の主人公が初恋の人と出会って過去を思い出し、相手の女性はそのときの恋人を捨てて初恋の人のもとに帰るといったストーリーのドラマは、それまで何度も繰り返されたパターンだったので、当時記録的な視聴率を記録した時代劇に埋もれて、「冬のソナタ」もしだいに忘れられてしまいます。


 


その後2003年4月、「冬のソナタ」は日本で放映され「ハートに火をつけた」ドラマとして伝説となります。数々の関連本が出版され、関連DVDが発売され、ドラマの番外編がアニメで制作され、パチンコ、ニンテンドーDSのゲームソフトも登場しましたね。


 


「冬のソナタ」は日本だけでなく、中国、台湾、ベトナム、エジプト、トルコなどでも放映され、中近東にまで韓流ブームを巻き起こしました。世界のあちこちの人々が、韓国や日本のファンと同じようにチュンサンとユジンの涙を見て涙し、ふたりの笑顔に幸せな気持ちになるなんて信じられませんでした。「初恋」、「友情」、「家族愛」に関する感情は、国籍に関係なく同じなんですね。


 


次回は、「冬のソナタ」のストーリーをおさらいしてみましょう。

ニッコリア
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