「創意力」求める韓国IT企業 国を挙げて融合型人材を育成
韓国の企業では、任せられたことだけをうまくやり遂げるだけではなく、自分で仕事を1見つけ出して前にどんどん進めていくクリエイティブな人材を求めている。
サムスングループは「オープンな心、オープンな頭、オープンな行動」、現代グループは「挑戦、創意、熱情、協力、グローバルマインド」、LGグループは「覇気、創意性、国際的眼目と能力」というように、大手企業ほど「柔軟」で「創意力」を持つ人材を求めている。
韓国政府も人材養成プランとして、やれることを自ら見つけ出して取り組み、それを解決・発展させていくような人材の育成を目指している。
2008-12年の国家IT政策である「NEW IT戦略」では約280億円を投入して、さまざまな分野の知識を持つ融合型人材を育てるとしている。放送と通信の融合など、融合関連プロジェクトリーダーになれる博士クラスの人材を5年間で2万人養成する。
また、「青年リーダー10万人養成」計画も明らかにし、約120億円をかけて高い成長率と雇用が見込める未来産業を発掘していく計画もある。未来産業とは、文化コンテンツや新再生エネルギー、環境産業、グリーンIT、半導体や情報セキュリティなどのユビキタス都市建設に必要なIT融合、先端医療、バイオ、ロボット、知識サービスなどである。国を挙げて文化、芸術、科学分野の創意的な人材養成ができる教育環境を作るとも発表している。
IPTVをはじめ放送と通信の融合が始まると、映像やコンテンツ、音楽といった芸術分野の知識がある社員が必要となってくる。大手通信社のKTは今年初めて芸術職を募集する。通信技術の基礎と芸術的な感性を両方持っている融合型で創意的な人材を欲しがっているが、なかなかいないようだ。そこで、欲する人材を獲得するために、企業が大学に特定の学部を設立することも行われている。その学部に成績上位1%の優等生だけを入学させ、奨学金に生活費も支援し、企業に必要な勉強をさせて卒業生全員を採用するという手法だ。
韓国では政府も企業も「融合型」「創意的」人材を強調している。だが、これにより、全国民が「創意」の画一化を強要され、競争オンリーの社会になってしまうのではないかと心配する。
(趙 章恩●取材/文)