疑惑の三星電子、著作権押さえて携帯音楽コンテンツに本腰 [2007年11月8日]

大統領選挙まであと1カ月と迫っている韓国で、選挙よりもビッグなニュースが報道されて大変なことになっている。

 それは、三星グループの元法務担当役員だった弁護士の「衝撃告白」。巷の噂を立証するもので、三星が検察や政府機関、政治家など全方位にワイロを渡していただけでなく、会社が損をしても李会長の一人息子に経営権が渡るよう、他人の名義を利用して株購入資金のための莫大な隠し資金を作っているというものだった。


 記者会見で弁護士は自分の手でワイロを渡したこともあり、隠し資金作りのために自分の名義を貸してあげたため通帳には50億ウォンがある、市庁駅付近にある三星本館の27階には隠し資金を管理する秘密の部屋があり、デパートの紙袋には1億ウォン、書類封筒には500万ウォンという具合に現金や商品券が山積みになっていると告白。「三星と僕は共犯です」としている。三星を辞めて2年も経った今になって告白した背景をあやしげに思う人もいるが、新聞やテレビでは三星の話ばかりが連日続いている。


 市民団体は早速、三星の李会長をはじめ役員らを告訴。しかし、検察はワイロをもらったとする検事の名簿を証拠として提出しない限り捜査にとりかからないと発表した。三星側は事実とはまったく違うと言いながらもこの弁護士を訴えるわけでもなく、疑惑は膨らむばかりだ。


 とまあ、前置きが長くなってしまったが、今日は三星電子の携帯向け音楽配信サービスの話である。


 三星電子が、デジタルアルバムの制作、オンラインゲームの配給、独立映画の制作支援などコンテンツ業に手を広げている。三星電子は通信事業者のSKテレコムおよびKTFとデジタルシングルアルバムを共同制作し、SKテレコムとKTF向けの三星電子製の携帯電話端末にその音楽ファイルやプロモーションビデオの一部をプリインストール。試聴してからダウンロード購入できる「Try&Buy」プロジェクトを開始し、2008年にはサービスを提供すると発表した。製作した音楽ファイルの著作権は3社が共同で所有する。2008年上半期に販売される三星電子の携帯電話「Anycall」には3~4曲ほど共同制作されたデジタルシングルの一部がプリインストールされる。


 音楽がプリインストールされるのはいいが、音楽の流行はよくて3カ月くらい。一方で携帯電話は2~3年は流通する。このため、新曲がインストールされた最新端末を買う人でない限り、音楽をダウンロードして購入する人はいないのではないか、という意見もある。三星電子はまず15曲ほど製作し、反応をみてサービスを継続するかどうかを決めようとしているので、まだ本格的に音楽製作と流通に乗り出したとは言い難いが、興味を持っているのは確かだ。

韓国では通信事業者がコンテンツ・プロバイダーを子会社化してモバイル音楽サービスを独占しているため、三星電子は通信事業者と手を組むことになった。ベンダーと通信事業者が一緒に音楽サービスに乗り出すのはこれが初めてで、モバイルコンテンツの利用を促進させるのに効果的ではないかとみられている。というのも、韓国のモバイルインターネット利用率は4割程度しかない。その4割というのも6カ月の間に1回でも携帯電話からインターネットにアクセスしたことがある人の割合なので、モバイルインターネットやコンテンツに関してはまだ日本の半分ほどしか市場がないのが現状なのだ。

 そうは言っても、ライバルであるアップルの「iPhone」と「iTunes」の関係を見れば、携帯電話市場において音楽コンテンツは欠かせない。携帯電話市場で優位な位置を占めようするならば、手を出さないわけにはいかないコンテンツだ。ただ、三星電子は韓国のナップスターと言われる音楽配信サービス「ソリバダ」とも提携したことがあるのだが、著作権違反の訴訟が長引いてしまい、これといったビジネスは何もできなかったという苦い経験がある。こうしたことから、音楽ファイルの流通だけではなく、著作権を得られる製作フェーズから自分の手できっちりやってしまおうと考えたようだ。


 携帯電話に音楽をプリインストールしておくのには理由がある。10月に、未成年者が好奇心から携帯電話からコンテンツをダウンロードし、数百万ウォンものデータ通信料が発生したのは、通信事業者が料金制度について十分説明しなかったからとし、通信事業者に対して全額払い戻すよう求める判決が出た。通信事業者は、データ通信料の告知義務はコンテンツ・プロバイダーにあると抵抗したが、通信事業者の責任がより重いとし、成人でも説明不十分で1カ月に数百万ウォンものデータ通信料が発生した場合は50%を返してもらえることになった。このような事情もあり、三星電子とSKテレコム、KTFは、プリインストール済みのシングルを試聴させて、気に入って購入したいユーザーには、料金のことを十分理解させてからダウンロードさせるようにしたわけだ。


 三星電子の携帯電話のCMソングはメガヒットを記録したことがある。果たしてどんな曲を提供してくれるのだろうか。三星電子の音楽携帯が出るまで機種変更せずに待ってみようかな。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン      
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<ケーススタディ“韓流”IT TRY&ERROR>9.今回のテーマ■著作権改正(上)

 議論沸騰の著作改正 違反3回でサイト制閉鎖


 


 


 


添付画像 韓政府の著作法改正案が議論の的になっている。著作法に違反し、警告を3回受けたサイトは制閉鎖(つまり業)を命じることができるという方向で著作法改正を討していると政府が表したことから、大波き起こしているのだ。



 法改正の背景には、米
との間でのFTA(自由貿易協定)がある。FTAを締結するための件として著作保護が前提になるだけに、コンテンツを利活用することよりも利者の保護と違反にする罰に片寄りすぎているという批判が高まっている。


 


 韓のコンテンツ産業政策を担する監督官の文化体育光部が7月17日に表した改正案によると、違法コピ物をインタネットコミュニティサイトやブログ、ストレジサビス、P2Pサイトに載したユが該ファイルの削除・伝送中命令を受けてもわなかった場合、ID停止や解約を政府がサイト運者側に命令できるようになっている。これにわない業者には1000万ウォンの罰金が課され、3回以上の分を受けたサイトへのアクセスを遮する方式でサイトを閉鎖できる。


 


 ここで問題になるのは、ユの過失によって業に追いまれるポタルサイトがでてくる可能性がある点だ。このため、ポタルサイト側では「過な措置だ」と猛反している。24時間モニタリングをしても、2000万人以上の員の著作違反をすべて封じめることは不可能なのが際のところだろう。特に動投稿がブムになってから、ブログを通じたドラマの違法コピが溢れかえっているのだからなおさらだ。添付画像


 


 政府は8月になると、業界の意見を受け入れ、ポタルも罰の象になるという初の案を更して、P2Pやファイル共有サイト、ストレジサビスだけを象にするといった案も提案している。


 


 これらのサイトは、ユが違法コピ載し、それを他のユがダウンロドするためにはサイト側に利用料をわなくてはならないような仕組みを持っている。政府は、違法コピされたコンテンツで儲けているようなサイトは業に追いんでいく姿勢をみせている。(趙 章恩●取材/文)


 


 BCN This Week 2008年9月8日 vol.1250 載]Link