Google中国撤退、韓国からは撤退しないのね

Googleの中国撤退は、自由を守るために撤退したとも見れるのか?


韓国におけるGoogleのシェアは2009年11月時点でまだ3%と、検索市場8割を占めるNAVERには全然勝てない。
しかし韓国は今、ADSLが初めて商用化された時のようなスマートフォンブーム!


アンドロイドフォンも韓国で発売され、スマートフォンではGoogleが韓国で結構なシェアを占めるのではないかと思われる。


検索だけでなくマップやドキュメントや翻訳などなど、ついつい利用してしまうサービスがいろいろあるので、スマートフォンから利用しやすい。韓国でもGoogle Blogが始まったし。


韓国のポータルや検索サイトは、まだ十分にモバイル対策をしていないので、今のうちに!と思っているかも。


韓国は人口も少ないし、世界市場からみれば広告規模も小さく、韓国の検索サイトは日本を狙っている。
韓国のインターネットサービス企業が一番力を入れているのも日本市場である。


韓国の検索サイトやインターネットサービス会社が日本進出を目指すもう一つの理由は、韓国よりは自由だから、というのもあると聞く。


日本のマスコミで韓国企業が世界市場で強い理由は何だ~と騒いでますが、基本は韓国市場だけでは食べていけない、韓国ではビジネスがし辛い、といった理由もある。


Googleも韓国で実名制度に反対し、YOUTUBEアップロードを中止した。
表現の自由を守るため、だそう。


アンドロイドマーケットはゲーム事前審査制度によってサービスが禁止される危機もあった。


韓国は実名制度、ゲーム事前審議制度、コンテンツ規制が厳しく、ガラパゴス規制なんてよくいう。


自由=混沌、混乱、炎上ではないと思うのだが。。。


– BY  趙章恩

Link
http://www.kddi-ri.jp/blog/cho/?p=222

ゲーム審議巡りGoogleとつばぜり合い、暗雲漂う韓国Android Market

2009年11月に発売されたiPhoneをきっかけに、韓国では、ネット利用がパソコンからスマートフォンへ、有線ブロードバンドからモバイルブロードバンドへ一気に移行している。キャリアも端末ベンダーもアプリケーション販売サイト(アプリストア)をオープンし、面白いアプリケーションを確保するため、個人デベロッパーの囲い込みに精を出している。

 韓国の人気モバイルコンテンツはなんといってもゲーム。音楽ダウンロードや映像コンテンツも人気を集めているが、いつでもどこでも楽しめる手軽な暇つぶしとして、スマートフォンでもキラーアプリはゲームになると見られている。


 ところが、韓国のiPhone App Storeには「ゲーム」カテゴリーがない。


 韓国では「ゲーム物等級委員会(Game Rating Board、以下「委員会」)」の事前審議を受けていないゲームコンテンツは販売できない。審議により青少年への有害性、射幸性を判断し、すべてのゲームを「全体利用可」・「12歳利用可」・「15歳利用可」・「青少年利用不可」にレーティングする。


 App Storeは韓国だけのためにゲームの事前審議を受ける面倒なことを避けるため、ゲームカテゴリーそのものを削除した。その代わり、エンターテインメントカテゴリーの中に、いくつか事前審議を受けたゲームを提供している。


 最近発売されたAndroid端末向けAndroid Market(Android向け専用アプリ配布サービス)には事前審議を受けていない“ゲーム”が約4400件提供されていることから、委員会と衝突している。Googleがゲームの事前審議を受けないままゲームアプリを流通し続ける場合、委員会は、Android Marketを韓国では利用できないように閉鎖することもできるとして騒ぎになった。


 Googleは米本社の確認を取っているとして、委員会の要請に応えないままゲームの提供を続けている。ゲーム類の事前審議を受けるのか、それともiPhoneのように「ゲーム」カテゴリーのないAndroid Marketを提供するか。


 世界最大マーケットと言われる中国から検閲や規制に反発して撤退したGoogleである。韓国向けAndroid Marketを別途つくるようなことはしないだろう。表現の自由を守り開放・共有という企業理念を守るため、事前審議に反対し、韓国でAndroid Marketそのものを提供しないことも考えられる。

韓国企業が制作した韓国市場向けゲームならまだしも、世界中のデベロッパーがAndroid向けに開発し続けているゲームすべて事前審議を受けるとなると、それは大変な作業になる。それにAndroid Marketではなく、キャリアのアプリストアを経由していくつかの機能を提供するという方法もある。しかしこれでは、ユーザーにとってAndroid搭載スマートフォンを購入する魅力が減ってしまう。


 しかも有料アプリケーションも韓国独自の個人認証を利用しないと決済できないため、Android Marketの有料アプリは利用できないままである。


 ゲームやコンテンツ政策を担当する省庁の文化観光体育部は、「韓国でサービスしたければ韓国のルールを守れ」という委員会と、「コンテンツの選択幅を狭める時代遅れの規制」と反発するユーザーの板挟み状態。事前審議を経ないゲームが流通する現状下では、Android Marketからのゲーム利用は違法行為になる。


 文化観光体育部も規制による市場萎縮よりは流通促進、という姿勢を見せている。同組織はゲーム産業振興に関する法律を改定し、アプリストアのように個人も売り手として参加できる「オープンマーケット」は例外とし、「事前審議」ではなく「自律審議」にする方案を検討するとした。ゲーム物等級委員会のガイドラインに沿って年齢レイティングを自己登録する方法である。従業員300人以上、年間売上300億ウォン以上、自律審議担当者2人以上のオープンマーケット事業者が対象となる。法律が改定されれば、アプリストアに世界中のデベロッパーが開発したゲームがリアルタイムで流通される。委員会はオープンマーケット事業者がガイドラインを守っているかどうかを事後規制することになる。


 韓国の新聞記事によると、iPhoneを販売する94カ国の中でゲーム事前審議をしているのは韓国が唯一という。ほとんどの国は事業者に任せ、問題があれば事後審議してフィルタリングしていく。


 一方、韓国にしか存在しない規制の影響でいいこともあった。国内企業は規制の少ない、より自由な市場を求めて海外を目指すことになった。韓国のモバイルゲームはApp Storeに登録されるや否や有料ダウンロード上位を占め、「アプリケーションで一攫千金」という神話まで生み出した。どんなことにも一長一短はある。


 今後、ゲームの行方に大きな注目が集まるだろう。政策決定者は、スマートフォン向けだけを特別扱いせず、他業界から恨まれることのないよう、流通活性化に向けた公平な規制緩和をしてもらいたいものである。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2010年4月1日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100331/1023976/

Googleでさえも苦戦、米国発ネットサービスが普及しない理由

またもや海外の有名サイトが韓国市場に定着できず撤退することになった。

 3Dバーチャルリアリティのコミュニティサービスとしてアメリカや日本で話題を集めた「Second Life」。日本では関連本もたくさん出版され、企業のSecond Lifeの中に店舗を作ったりしているようだが、韓国では話題にはなったものの、反応はよくなかった。どうしても利用したい気持ちになれない顔が怖すぎるアバター、スムーズに動かない3Dなど、一体Second Lifeのどこがいいのかよく分からないという反応がほとんどだった。


 Second Lifeの韓国撤退記事のコメント欄には、「Second Lifeって何ですか?」、「この記事を見て初めて韓国語サービスをしていることに気付きました」、「まだ潰れてなかったんですね」といった書き込みがあり、韓国内でどんな状況だったのかを物語っている。


 それでも運営会社リンデンラボは、2007年10月韓国のゲーム会社と会社を設立して韓国語サービスを始めた。結局ユーザーは増えず、韓国のパートナーだったゲーム会社も再契約しない方針を決めた。現在Second Lifeの韓国語サービスを担当した「セラコリア」社は宙に浮いた状態で、独自で3Dバーチャルリアリティサービスを展開するとしている。


 米国を中心にヒットしたインターネットサービスのうち韓国で失敗したのは、「My Space」の方が先立った。My Spaceなんて世界で2億人のユーザーがいるのに、韓国では2400万人の会員を保有した韓国産SNS「Cyworld」には勝てず、たった3カ月でサービスを中断し撤退してしまった。世界検索市場の6割を占めているというGoogleも韓国ではNAVER、DAUM、NATEの3大検索ポータルサイトを相手に苦戦している。韓国のネットユーザーは独特だから、ブランドパワーだけを信じて韓国のネットユーザーの好みを反映しなかったから、などなどの理由が挙げられている。

しかし、それは韓国だけが特別だから、というより、やっぱり他の国でサービスをすること自体とても難しいことなのだ。インターネットは国境がない、市場はグローバル化している、といわれても、やっぱりそれぞれ国民性があり、趣向があり、その国の人同士でしか分かち合えない何かがあるのだ。

 韓国のインターネットサービス韓国では大人気の「Cyworld」だって米国や台湾では失敗し、帰ってきた。ポータルサイトのNAVERも日本に進出してみたけどぱっとしないまま撤退し、2009年夏に改めて日本に再進出している。


 海外サービスはみんな韓国で失敗しているのかというとそうでもなく、YouTubeだけは健在だ。Twitterのユーザーも増えている。韓国の実名制度に反対し、匿名で利用できるからだ。またTwitterの場合は、つぶやきというサービスがまだなかった時に入ってきたので、市場独占効果があった。


 韓国ユーザーがほしがっているサービスとは何かを把握した結果成功した、とまでいうのは大げさであるが、進出したい国の実情を細かく把握したサービス設計をしているサイトは失敗しない。最初から無理に海外進出なんてしないのが、安全なのかもしれない。


 一方では、こんな心配もある。中国や日本のように人口の数が多いところでは無理をしてでもサービスを続けながら、人口が少ない韓国はだめならすぐパスしてしまう、あまり重要でない市場として見られているのではないかということだ。全てのインターネットサービスに義務付けられている実名制度もやっかいだし。


 韓国から次々に消えていく海外インターネットサービス。韓国のユーザーはレベルが高くて特別だから~なんて思わず、もっと世界と関わり合うことを考えた方がいいのではないだろうか。その方が韓国企業の海外進出にも役立つはずだ。


(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2009年11月18日

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20091118/1020514/

韓国ネット業界に緊張感 GoogleがDAUMと契約し攻勢へ(2007年1月15日 掲載)

 


【ソウル】韓大手ポタルで訪問者ではNaverにいて2位のDAUMコミュニケションがGoogleと契約、韓インタネット業界には緊張感が漂いはじめている。Googleは索サイトとしてのシェアは4%ほどしかなく、人のないサイトに落していたが、韓法人は今後、社員やし積極的に攻めにじる方針を示した。一部では、GoogleによるDAUM買収説まで浮上している。



 DAUMはCPC(Cost Per Click)の
告の大のためGoogleと略的に提携、1月から適用すると表した。今回の提携でDAUMはGoogleの告システム「アドセンス(AdSense)」を導入することになる。アドセンスは、載順位選定方式で告費、際のクリック率など多な要素を組み合わせ、索語との連性と情報の質が高い順に表示させることができる。


 


 社は共同で索を基盤としたマケティング活動をすすめ、今後の索ビジネスの展望と方向性にするカンファレンスを開催、告市場攻略のための緊密な協力係を構築する計社の提携は告に限らず、韓タルサイトの運全般に影響をえるとの見方が有力だ。GoogleはDAUMにタゲットを絞った告主を募集するなど意欲的だ。


 


 またGoogleは、Empasとも再契約に成功した。DAUMとEmpasを味方につけることで韓国内R&Dセンタを設立、地位を固める略をとっている。


趙章恩(チョウチャンウン=ITジャナリスト)



BCN This Week 2007年1月15日 vol.1170 載] Link 


 


 


 

韓国政府の手が及ばないGoogle、個人情報保護はできないのかしないだけなのか

韓国のある有名歌手がインタビューで、自分の住民登録番号が盗まれ信用情報を確認してみると、見たこともない100以上のアダルトサイトやゲームサイトに会員登録されていてショックだったという話をしていたが、韓国人なら誰もが一度は経験することでもある。無料Webメール一つ使うにも、住民登録番号と氏名を紹介する本人確認制度が定着している韓国。住民登録番号は名称から想像できる通り、出生届けを出すと同時に発行され死ぬまでその人の背番号になる。口座を作るにも保険に入るにも、病院で治療を受けるにも、携帯電話に加入するにも住民登録番号が必要だ。というより、住民登録番号さえわかればその人の行動をある程度追跡できるほど重要な番号である。

 私の住民登録番号と住所、電話番号などもまた!流出された。大手ガソリンスタンドのメンバーシップカード1000万人分の個人情報が漏れた事件で、私の個人情報もしっかり入っていたのだ。今度は車のナンバーや種類まで。オークション事件でも個人情報を流出されたのに。「趙さん融資は入りませんか?趙さんまだ生命保険加入してないから今のうち入ったらどうですか?、趙さん浄水器レンタルしませんか?、趙さん格安の土地買いませんか?」などなど、このスパム電話による被害はどうしてくれるのだ。


 しかし、こうした大規模な流出事件よりも問題になっているのがGoogleで簡単に住民登録番号や個人情報を検索できてしまうことである。アメリカでもGoogledorkといって個人情報を検索して悪用する事件があるようだが、Googleの検索に韓国語で住民登録番号と入力すると個人情報が収まったエクセルファイルやワードファイルが常に6000潤オ7000千件は出てくる。これでも政府の地道な取締りのお陰で少なくなった方で、2006年あたりには1万件以上のファイルが検索されていたという。


 Googleで検索した個人情報と自分の写真をつかって身分証を偽造し、銀行で口座を作ったり携帯電話に加入したりということもできる。こうして作られた口座と携帯電話は振り込め詐欺やネットオークション詐欺に使われている。


 これらのファイルは元のサイトから削除されてもGoogleにはキャッシュで残っていることが多い。Googleは自分達がファイルを保存しているわけではなく、検索結果にひっかかるだけなので責任はない、住民登録番号で検索するのを止めることはしないという。韓国の検索サイトは住民登録番号らしき番号の組み合わせは検索結果に表示されないようにしている。Googleだってこれぐらいのことはできるはずなのだが、「自由な情報流通が本社の方針なので・・・」と韓国の個人情報保護方針にはついていけないとしている。


 韓国の「情報通信網利用促進及び情報保護などに関する法律」では、民間企業の技術的・管理的ミスによる個人情報流出事故に対して最大1000万ウォン(約100万円)の過怠料を付加するようにしている。検索ポータルサイトのNaverやDaumはこの法律によって厳しく管理されているが、Googleは韓国企業が運営するサイトではないので処罰するわけにもいかず、どうか協力してくだいさいとしか言いようがないという。


 韓国情報保護振興院はGoogleの検索結果に住民登録番号が出てくると自動的に探知して知らせてくれるプログラムまで開発したそうだ。振興院の職員達は個人情報が掲載されているサイトの運営者にその事実を教えて削除するようにし、Googleにキャッシュを削除してくれるよう要請するという、なんとも地道な作業を毎日繰り返している。「Google住民登録番号点検統計」によると、2008年上半期だけで16万4536人の個人情報が検索されたという。見つかっただけでこれぐらいだから、実はもっとすごい数の個人情報がネットで出回っていることになる。個人情報が掲載されていたWebサイトの数は6万558もあった。Googleは確か中国では特定のキーワードは検索結果に反映しないとか、中国政府の要求を飲んだのではなかったっけ?


 Googleの検索結果に自分の個人情報が出てくる場合、削除を要請することはできるが、コールセンターも何もなく、Webサイトから問い合わせるしかないので、いつ削除してくれるかもわからない。


 でもGoogleが韓国の法律を守らないお陰でGoogleは「ネット亡命先」になりつつある。住民登録番号なしでもメールやグループ掲示板が使えるので、韓国政府の本人確認を逃れてGoogleで言いたい放題書き込むネット亡命者がどんどん増えている。韓国企業が運営するサイトは必ず本人確認をするのでネットユーザーが捕まることがよくある。新聞社の報道論調に抗議するため広告不買運動が行われた時も、広告主の電話番号リストと抗議要領を書き込んだユーザーに対して「これは表現の自由ではなく業務妨害である」と身柄を拘束する事件もあった。Googleだったらその心配はない。


 自由な情報流通がモットーのGoogleだ。政府の掲示物削除要請やユーザーを逮捕するためIPアドレスやデータを渡せと要求されても、今まで通り応じない可能性が高い。政府もGoogleを相手には厳しくできないだろうし。Googleのページビューは2007年6月1億9080万件だったのが、反政府集会の後、ネット規制が次々に発表された2008年6月には2億8000万件とかなり増えている。


 韓国政府の手が及ばないGoogleの存在は、いいのか悪いのか「微妙」としか言いようがない。これがいわゆるニッチマーケットを狙った作戦だとしたらすごいことである。Googleが韓国で勢力を拡大するためには、これからも韓国法を守らない方がいいってことなのだろうか。でも住民登録番号がそのまま検索結果に反映されるのだけはやめてほしいものだ。

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年9月24日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080924/1008179/

Google Chrome、韓国ブロガー達の反応は

グーグルの新しいWebブラウザー「Chrome」は韓国でも話題騒然、ブログにはChromeを使用した感想があふれかえっている。もともと検索の王者グーグルが開発しているだけに、マイクロソフトのExplorerよりも使いやすいブラウザーになるだろう、画期的なブラウザーでない限り公開しなかったはずであると、期待されていた。

 韓国のブロガーたちは初印象はとにかく邪魔な機能もなくすっきり整頓されている、Webサイトを見やすくすることに注力したブラウザーという評価をしている。Web画面が表示されるスペースを最大限確保するためタブを左上に表示させ、メニューも一行にするなど無駄をなくしたのも好評だ。何よりも満足されているのはスピード。Webサーフィンの体感速度がとにかく速い、すいすい画面が表示され移動できる、メモリーも少ししか使わないのでストレスがない、アドレスの代わりにキーワードを入れるだけで該当するサイトがどんどん出てくるので楽、などと世界のユーザーと同じようにその利便性に驚き、使ってみた人はみんな絶賛している。


 個人的にはChromeでは一つのタブがエラーになった時に、シャットダウンするのがそのタブだけに限定されることが何よりも気に入っている。Explorerだと一つの画面にエラーが発生すると、全てのタブやブラウザーがシャットダウンしてしまうので、書きかけのメールなどが吹っ飛ぶことがよくあった。こういう時に限って、自動的に下書き保存されるはずが何も残っていなくて、髪を引き抜きながら悲鳴をあげたくなる悲惨な状況になってしまうので本当に困っていた。


 しかし予想通りの問題もあった。以前、Firefox 3が使えない理由で紹介したのと同じように、IE以外ではサイトが表示されない、SNSでは音楽再生ができない、インターネットバンキングや電子政府が使えない、サイトにログインでいないといった問題がChromeでも繰り返されている。


 グーグルは、Chrome韓国語正式バージョンではActiveXが使えるようプラグインを追加する方式で調整すると話している。現在、ActiveXに対応しないと使えなくなるサイトをリストアップしているとのこと。有名な話だが、韓国のWebサイトはWeb標準ではなくIEに合わせられているため、世界的に話題になっているブラウザーであっても韓国では使えない。グーグルはWeb標準を守らない韓国市場に合わせたブラウザーを公開するとしている。そこまでするほど、韓国って大きな市場なのかな?


 韓国のWeb標準化団体であるオープンウェブは、「グーグルがActiveXをサポートすることによって、やっとWeb標準化を守ろうとする動きが出始めた韓国が逆戻りする可能性もある、ActiveXによるセキュリティ問題がChromeでも発生する可能性がある。グーグルのこの決定にはがっかりした」と反対している。


 さらにグーグルのプライバシー侵害が気になるので使いたくないという人も少なくない。Chromeを通してユーザーのWebサーフィンの履歴が全てグーグルに報告されているからだ。グーグルはユーザーの訪問履歴を収集しているというのだ。GoogleのWebアプリケーションを使っていたりすると、さらにGoogleに提供する情報の種類は増える。


 Googleに集約されている情報をつなぎ合わせれば、理論上、どこの誰がどんな情報に興味を持っているのかも把握できるので、世界各国の動きをグーグルは予測できるというわけだ。私のような一個人の情報など使い物にならないかもしれないが、政府機関に勤める重要人物がどんなサイトを訪問し、どんなキーワードで検索しているのかといった情報を集められたら、これはかなりすごいことにつながるのではないだろうか。こう考えると、グーグルは新しいブラウザーを公開したのではなく、個人情報収集ツールを広めようとしているのかもしれないという怖さもある。

 

(趙 章恩=ITジャーナリスト)

日経パソコン
2008年9月10日 

-Original column
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080910/1007829/